JP2003289799A - 弱酸性乳飲料及びその製造方法 - Google Patents
弱酸性乳飲料及びその製造方法Info
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Abstract
れ、ざらつきを感じず、口当たりが良好で、低粘度で飲
みやすい弱酸性乳飲料及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 (a)リン酸塩及び陰イオン性有機酸モ
ノグリセリド又は(b)リン酸塩、陰イオン性有機酸モ
ノグリセリド並びにクエン酸及び/又はクエン酸塩を含
有することを特徴とする熱安定性が良好な弱酸性乳飲
料。乳固形分を含有する乳原料に、上記(a)又は
(b)を加えて混合し、pHを5.4〜6.3に調整し
た後、加熱殺菌することを特徴とする熱安定性が良好な
弱酸性乳飲料の製造方法。
Description
弱酸性乳飲料及びその製造方法に関する。本発明の弱酸
性乳飲料は、加熱殺菌による乳タンパク質の凝集が抑制
されており、ざらつきを感じず、口当たりが良好で、低
粘度で飲みやすい飲料である。
性乳飲料が知られているが、乳タンパク質はpH3.4
〜4.6の範囲において非常に不安定であり、特に、殺
菌などの加熱によって凝集しやすく、保存中に沈殿も生
じやすい。そこで、発酵乳、果汁、酸味調製剤等の酸性
物質を含有する酸性乳飲料において、加熱による乳タン
パク質の凝集、保存中の沈殿、粘度上昇を抑制するため
に、次のような工夫がなされている。 (1)ペクチン等の安定剤を乳に添加した後、果汁を添
加して、pHを3.5〜4.5に調整し、さらに乳タン
パク質の粒子の大きさを調整すること(特開平7−43
号公報)、(2)ペクチン分解酵素を作用させて得られ
る低分子化ペクチンとペクチンとの混合物を添加するこ
とによって、酸性乳飲料を低粘度化すること(特開平7
−264977号公報)、(3)沈殿物が見られない酸
性乳飲料を調製する際に、無脂乳固形分を0.05〜2
%以下に調整し、繊維素グリコール酸ナトリウムその他
の陰イオン繊維性高分子を添加し、さらにクエン酸等の
酸性物質を特定温度範囲で添加することにより安定性を
高めること(特開昭60−12930号公報)、アルギ
ン酸やアルギン酸塩を添加することにより、酸性乳飲料
の乳タンパク質の沈殿を抑制すること(特開平1−21
5239号公報、特開平3−206838号公報)等。
ュチーズを添加した乳飲料は、フレッシュ感があり、か
つフレッシュチーズの良好なチーズ風味と牛乳の良好な
ミルク風味とを有している。また、牛乳に苺等の果汁を
添加した乳飲料は、果汁由来の自然な風味と牛乳の良好
なミルク風味とがマッチしており、さらに、牛乳にコー
ヒーを添加したものは、牛乳とコーヒーの風味とがマッ
チし、好ましい乳飲料となる。これらの乳飲料は、フレ
ッシュチーズ、果汁、コーヒー等を添加することにより
弱酸性(pH5.4〜6.3)となっている。このような
弱酸性乳飲料は、牛乳の新しい飲用の方法を提供するも
のであり、その需要は今後大きく伸張するものと考えら
れる。しかし、乳飲料をpH5.4〜6.3の弱酸性の状
態で加熱殺菌すると、乳タンパク質が凝集するという問
題がある。
ば、pHが2.5〜4.5である酸性乳飲料の場合は、加
熱による乳タンパク質の凝集、保存中の沈殿、粘度上昇
を抑制することができるが、pHが5.4〜6.3の範囲
である弱酸性乳飲料の場合は、加熱による乳タンパク質
の凝集を抑制することができない。また、本発明者ら
は、先に、(a)リン酸塩とクエン酸塩、(b)リン酸
塩とカルシウム反応性が高い多糖類、または(c)リン
酸塩とクエン酸塩とカルシウム反応性が高い多糖類のい
ずれかを配合することにより、弱酸性乳飲料の加熱殺菌
による乳タンパク質の凝集を抑制できるという知見を得
ているが(特願2001−088467号)、この技術
では、配合される多糖類によって、弱酸性乳飲料が増粘
することがある。そこで、本発明は、加熱殺菌による乳
タンパク質の凝集が抑制され、ざらつきを感じず、口当
たりが良好で、低粘度で飲みやすい弱酸性乳飲料を提供
することを課題とする。
題を解決するべく鋭意研究を進めた結果、(a)リン酸
塩及び陰イオン性有機酸モノグリセリド、又は(b)リ
ン酸塩、陰イオン性有機酸モノグリセリド並びにクエン
酸及び/又はクエン酸塩を配合することにより、加熱殺
菌しても乳タンパク質の凝集が生じず、飲用した際にも
ざらつきを感じず、口当たりが良好で、低粘度で飲みや
すい弱酸性乳飲料が得られることを見出し、本発明を完
成させるに至った。すなわち、本発明は、下記の(a)
又は(b)を含有することを特徴とする熱安定性が良好
な弱酸性乳飲料である。 (a)リン酸塩及び陰イオン性有機酸モノグリセリド、
(b)リン酸塩、陰イオン性有機酸モノグリセリド並び
にクエン酸及び/又はクエン酸塩。本発明はまた、陰イ
オン性有機酸モノグリセリドとして、クエン酸モノグリ
セリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド及びコハク酸
モノグリセリドからなる群から選択される少なくとも1
種類以上を含有することを特徴とする前記弱酸性乳飲料
である。無脂乳固形分が、(a)を含有する場合は2〜
10%であり、(b)を含有する場合は2〜12%であ
ることを特徴とする前記弱酸性乳飲料である。pHが、
(a)を添加する場合は5.7〜6.3であり、(b)を
添加する場合は5.4〜6.3であることを特徴とする前
記弱酸性乳飲料である。本発明はまた、乳固形分を含有
する乳原料に、下記の(a)又は(b)を加えて混合
し、pHを5.4〜6.3に調整した後、加熱殺菌する
ことを特徴とする熱安定性が良好な弱酸性乳飲料の製造
方法である。 (a)リン酸塩及び陰イオン性有機酸モノグリセリド、
(b)リン酸塩、陰イオン性有機酸モノグリセリド並び
にクエン酸及び/又はクエン酸塩
部分はカゼインと結合しているが、乳のpHが酸性域に
なるにつれて、カゼインと結合しているカルシウムがカ
ルシウムイオンとなって遊離する。そのため、中性域の
乳に比べて、弱酸性域の乳にはカルシウムイオンが多く
存在しており、そのことが、弱酸性域の乳の熱安定性を
低下させる大きな要因となっている(P.Walstr
a and R.Jenness (1984)Case
in Micelles,In Dairy Chemi
stry and Physics,John Wile
y & Sons,pp229−253)。弱酸性域の乳
を加熱すると、カルシウムイオンがリン酸カルシウムと
なってカゼインミセルへの結合が促進されると共に、ホ
エータンパク質の変性も促進される。そして、リン酸カ
ルシウムが結合したカゼインミセルと変性したホエータ
ンパク質とが会合して、カゼインミセル同士の凝集及び
乳タンパク質の凝集が生じる。そこで、陰イオン性有機
酸モノグリセリドを添加することにより、陰イオン性有
機酸モノグリセリドが、カゼインミセルの表面に付着
し、安定化させることができるため、加熱による乳タン
パク質の凝集が抑制される。さらに本発明においては、
リン酸塩、クエン酸やクエン酸塩を添加することによ
り、カルシウムイオンをキレートして低減させることが
でき、乳タンパク質をより安定化することができる。
明する。本発明において弱酸性乳飲料とは、乳とフレッ
シュチーズ、果汁、コーヒー等を混合して得られたpH
が5.4〜6.3の範囲の乳飲料をいう。本発明の弱酸性
乳飲料は、乳固形分を含有する原料乳に、下記の(a)
又は(b)を添加し、pHを5.4〜6.3に調整した
後、加熱殺菌することにより得られるものである。 (a)リン酸塩及び陰イオン性有機酸モノグリセリド、
(b)リン酸塩、陰イオン性有機酸モノグリセリド並び
にクエン酸及び/又はクエン酸塩。
しては、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、
ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウ
ム等を例示することができる。その添加量は、弱酸性乳
飲料の質量に対して、0.01〜0.5質量%とすること
が好ましい。添加量が0.01質量%未満では、加熱に
よる乳タンパク質の凝集を抑制するのに十分ではなく、
また0.5質量%を超えると乳タンパク質の疎水性部分
が表面に露出し、乳タンパク質が不安定性化するため好
ましくない。
酸モノグリセリドは、分子中にカルボン酸基(CO
O―)を含み、水中で解離して、陰イオン性の活性剤と
して作用するものであることが好ましく、クエン酸モノ
グリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク
酸モノグリセリド等が特に好ましい。これらは1種また
はそれ以上を適宜組合せて用いることができる。その添
加量は、弱酸性飲料の質量に対して、0.01〜0.5質
量%とすることが好ましい。添加量が0.01質量%未
満では、加熱による乳タンパク質の凝集を抑制すること
ができず、また0.5質量%を超えると、風味に影響を
及ぼすことがあるため好ましくない。
クエン酸塩としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸カ
リウム等を例示することができる。これらは1種または
それ以上を適宜組合せて用いることができる。クエン酸
及び/又はクエン酸塩の添加量は、乳飲料に対して0.
01〜2質量%とすることが好ましい。本発明において
は、陰イオン性有機酸モノグリセリド及びリン酸塩を添
加することにより、弱酸性乳飲料の熱安定性を付与する
ことができるが、クエン酸またはクエン酸塩を添加する
ことにより、さらに熱安定性を向上させることができ
る。
説明する。最初に、水にリン酸塩、陰イオン性有機酸モ
ノグリセリド、クエン酸、又はクエン酸塩を溶解した
後、原料乳を添加混合するか、又はリン酸塩、陰イオン
性有機酸モノグリセリド、クエン酸又はクエン酸塩を原
料乳と一緒に溶解するか、あるいは原料乳を混合した後
にリン酸塩、陰イオン性有機酸モノグリセリド、クエン
酸又はクエン酸塩を添加して溶解する。次いで、この原
料乳のpHが5.4〜6.3になるように調整し、最終製
品の用途に応じて加熱殺菌を行う。原料乳の調製は、水
と牛乳、脱脂乳、ホエー、クリーム等、又はこれらの濃
縮乳、粉乳、フレッシュチーズ等のナチュラルチーズ、
酸ホエー、発酵乳、バター、ファットスプレッド等、あ
るいは果汁、野菜汁、コーヒー、紅茶等、必要に応じ、
糖類、甘味料、香料、色素等の添加物を適宜添加し混合
する。この時、無脂乳固形分含量が3〜12%となるよ
うに調整することが好ましい。無脂乳固形分含量が3%
未満ではミルク感に乏しく水っぽくなるため、風味的に
好ましくなく、また、無脂乳固形分含量が12%を超え
ると乳タンパク質の加熱による凝集を抑制することがで
きなくなるため好ましくない。
ンゴ酸、酢酸等の有機酸、リン酸、塩酸等の無機酸、ク
エン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム
等のpH調整剤を用いることができる。上記(b)の組
合せを添加する場合は、飲料のpHを5.4〜6.3とす
ることが好ましい。pHが5.4未満では、加熱による
乳タンパク質の凝集を抑制することができず、pHが
6.3を超えた場合は乳タンパク質が安定となるため、
本技術を用いる必要はない。なお、上記(a)を添加す
る場合には、上記の製造方法において、(b)の代わり
に(a)を添加すればよい。この場合、飲料のpHを
5.7〜6.3とすることが好ましい。pHが5.7未満
では、加熱による乳タンパク質の凝集を抑制することが
できず、6.3を超えた場合は乳タンパク質が安定とな
るため、本技術を用いる必要はない。
次のような効果を有する。 (1)(a)リン酸塩及び陰イオン性有機酸モノグリセ
リドを添加することにより、無脂乳固形分が2〜10%
である弱酸性乳飲料の熱安定性を向上させることがで
き、加熱殺菌による乳タンパク質の凝集を抑制すること
ができる。この効果は、特に、弱酸性乳飲料のpHが
5.7〜6.3の場合に顕著である。 (2)さらに、(b)リン酸塩、陰イオン性有機酸モノ
グリセリド並びにクエン酸及び/又はクエン酸塩を添加
することにより、無脂乳固形分が2〜12%である弱酸
性乳飲料の熱安定性を向上させることができ、加熱殺菌
による乳タンパク質の凝集を抑制することができる。こ
の効果は、特に、弱酸性乳飲料のpHが5.4〜6.3の
場合に顕著である。 (3)本発明の弱酸性乳飲料は、加熱殺菌による乳タン
パク質の凝集を抑制することができ、ざらつきを感じ
ず、口あたりや風味も良好で、低粘度で飲みやすい飲料
である。 (4)本発明の弱酸性乳飲料は、一般的なチルド流通に
適した殺菌(120〜130℃、2〜4秒間)に加え、
常温流通用に適した殺菌(140〜150℃、2〜4秒
間)をすることができるため、長期間保存することがで
き、保存中に乳タンパク質の沈殿が生じず保存性が良好
である。 (5)本発明の弱酸性乳飲料は、牛乳と良好な酸味を有
するフレッシュチーズや果汁を混合しており、フレッシ
ュ感があり乳風味の良好なものである。
性有機酸モノグリセリドの熱安定性効果を確認するため
に、試作品1〜11を調製し、熱安定性試験を行った。
熱安定性試験:0.3mlのサンプル溶液を2ml容量
のアンプル管(AP−2:マルエム社製)に注入し、バ
ーナーで封した。このアンプル管を80℃のオイルバス
で20秒加熱した後、さらに130℃のオイルバスで加
熱した。アンプル管を所定の温度(130℃)のオイル
バスに入れてから目視にて乳タンパク質の凝集が確認さ
れるまでの時間を測定した。凝集が確認されるまでの時
間が10分以上であるものを熱安定性が良好であるとし
た。
0gを混合し60℃に加温した。この混合液に脱脂粉乳
55.6g、上白糖50g、クリームチーズ200gを
添加し、TKホモミキサー(TK ROBOMICS:
特殊機化社製)を用い、10,000rpmにて5分間
均質処理った後、pHが5.7になるように乳酸、水酸
化ナトリウムを添加し、均質機(高圧ホモジナイザーG
M1:エスエムテー社製)を用い、150kg/cm2
の均質化処理を行い、弱酸性乳飲料を調製した。
リウム0.2質量%を添加したこと以外は、試作品1と
同様にして弱酸性乳飲料を調製した。
トリウム0.2質量%添加したこと以外は、試作品1と
同様にして弱酸性乳飲料を調製した。
ン酸ナトリウム0.2質量%添加したこと以外は、試作
品1と同様にして弱酸性乳飲料を調製した。
リドとして、クエン酸モノステアリン酸グリセリド0.
05質量%を添加したこと以外は、試作品1と同様にし
て弱酸性乳飲料を調製した。
リドとして、ジアセチル酒石酸モノステアリン酸グリセ
リド0.05質量%を添加したこと以外は、試作品1と
同様にして弱酸性乳飲料を調製した。
リドとして、コハク酸モノステアリン酸グリセリド0.
05質量%を添加したこと以外は、試作品1と同様にし
て弱酸性乳飲料を調製した。
ナトリウム0.2質量%、陰イオン性有機酸モノグリセ
リドとしてクエン酸モノステアリン酸グリセリド0.0
5質量%を添加したこと以外は、試作品1と同様にして
弱酸性乳飲料を調製した。
ナトリウム0.2質量%、陰イオン性有機酸モノグリセ
リドとしてジアセチル酒石酸モノステアリン酸グリセリ
ド0.05質量%を添加したこと以外は、試作品1と同
様にして弱酸性乳飲料を調製した。
二ナトリウム0.2質量%、陰イオン性有機酸モノグリ
セリドとしてコハク酸モノステアリン酸グリセリド0.
05質量%を添加したこと以外は、試作品1と同様にし
て弱酸性乳飲料を調製した。結果を表1に示す。
機酸モノグリセリドをどちらも添加しなかった場合(試
作品1)又はどちらか一方を添加した場合(試作品2〜
7)は、熱安定性に乏しく、3分以内に乳タンパク質の
凝集が確認された。一方で、リン酸塩及び陰イオン性有
機酸モノグリセリドを添加した場合(試作品8〜10)
は、10分経過しても上乳タンパク質の凝集は確認され
ず、熱安定性が良好であった。
ン酸塩、陰イオン性有機酸モノグリセリドの熱安定性効
果を確認するために、試作品11〜15を調製し熱安定
性試験を行った。水1555.7gと牛乳273gを混
合し60℃に加温した。この混合液に脱脂粉乳25.3
g、上白糖50g、クリームチーズ91g、リン酸塩と
してピロリン酸二ナトリウム4g、有機酸モノグリセリ
ドとしてクエン酸モノステアリン酸グリセリド1gを添
加し、TKホモミキサー(TK ROBOMICS:特
殊機化社製)を用い、10,000rpmで5分間均質
処理を行った。次に、pHが5.4、5.6、5.7、6.
1、6.3となるように乳酸、水酸化ナトリウムを添加
し、均質機(高圧ホモジナイザーGM1:エスエムテー
社製)を用い、150kg/cm2の均質処理を行い、
弱酸性乳飲料(試作品11〜15)を調製した。
様の方法で熱安定性試験を行い、さらに、130℃、2
秒のプレート殺菌を行い、以下に示す方法で官能評価を
行った。 官能評価:10名の熟練パネラーに、試作品12〜16
を飲んだ時のざらつき及び風味を評価してもらい、その
平均点(小数点第2位四捨五入)で示した。なお、評価
点は以下の通りであり、平均点が4点以上で商品適性が
良好であるとした。ざらつき:5点・ざらつきを感じな
い、4点・ざらつきを僅かに感じるが概ね良好である、
3点・ややざらつきを感じる、2点・ざらつきを感じ
る、1点・強くざらつきを感じる。 風味:5点・大変良好である、4点・良好である、3点
・どちらともいえない、2点・やや悪い、1点・悪い。 結果を表2示す。
0分経過しても乳タンパク質の凝集は確認されず、熱安
定性が良好であった。一方で、試作品11〜12は、熱
安定性に乏しく、3分以内に乳タンパク質の凝集が確認
された。このことから、リン酸塩及び陰イオン性有機酸
モノグリセリドを添加した場合、pHが5.7〜6.3に
おいて熱安定性の良好な弱酸性乳飲料が得られることが
確認された。
ン酸塩、陰イオン性有機酸モノグリセリド及びクエン酸
塩の熱安定性効果を確認するために、試作品16〜20
を調製し熱安定性試験を行った。水1551.7gと牛
乳273gを混合し60℃に加温した。この混合液に脱
脂粉乳25.3g、上白糖50g、クリームチーズ91
g、リン酸塩としてピロリン酸二ナトリウム4g、有機
酸モノグリセリドとしてクエン酸モノステアリン酸グリ
セリド1g、クエン酸塩としてクエン酸三ナトリウム4
gを添加し、TKホモミキサー(TK ROBOMIC
S:特殊機化社製)を用い、10,000rpmで5分
間均質処理を行った。次に、pHが5.3、5.4、5.
7、6.1、6.3となるように乳酸、水酸化ナトリウム
を添加し、均質機(高圧ホモジナイザーGM1:エスエ
ムテー社製)を用い、150kg/cm2均質化処理を
行い、試作品17〜21を調製した。試作品16〜20
について試験例1と同様の方法で熱安定性試験を行い、
さらに、試験例2と同様の方法で官能評価を行った。結
果を表3示す
0分経過しても上乳タンパク質の凝集は確認されず、熱
安定性が良好であった。一方で、試作品16は、熱安定
性に乏しく3分以内に乳タンパク質の凝集が確認され
た。このことから、リン酸塩、陰イオン性有機酸モノグ
リセリド及びクエン酸塩を添加した場合((b)を添加
する場合)は、pHが5.4〜6.3において熱安定性の
良好な弱酸性乳飲料が得られることが確認された。
量に対するリン酸塩及び陰イオン性有機酸モノグリセリ
ドの熱安定性効果を確認するために、試作品21〜25
を調製し熱安定性試験を行った。最終製品の無脂乳固形
分含量を調整するために乳、脱脂粉乳、クリームチー
ズ、水を表4に示す配合で用い、さらに、ピロリン酸二
ナトリウム4g、クエン酸モノステアリン酸グリセリド
1g、及びpHが6.1となるように乳酸、水酸化ナト
リウムを添加し、実施例2と同様の方法で試作品22〜
26を調製した。
の方法で熱安定性試験を行い、さらに、試験例2と同様
の方法で官能評価を行った。結果を表5に示す。
0分経過しても乳タンパク質の凝集は確認されず、熱安
定性が良好であった。一方で、試作品25は、熱安定性
に乏しく3分以内に乳タンパク質の凝集が確認された。
このことから、リン酸塩及び陰イオン性有機酸モノグリ
セリドを添加した場合((a)を添加する場合)、無脂乳
固形分含量が2〜10%の場合に、熱安定性の良好な弱
酸性乳飲料が得られることが確認された。
対するリン酸塩、陰イオン性有機酸モノグリセリド、ク
エン酸塩の熱安定性効果を確認するために、試作品26
〜30を調製し、熱安定性試験を行った。最終製品の無
脂乳固形分量を調整するために乳、脱脂粉乳、クリーム
チーズ、水を表6に示す配合で用い、さらに、ピロリン
酸二ナトリウム4g、クエン酸モノステアリン酸グリセ
リド1g、クエン酸三ナトリウム4g、及びpHが6.
1となるように乳酸、水酸化ナトリウムを添加し、実施
例2と同様の方法で、pHが6.1である試作品26〜
30を調製した。
の方法で熱安定性試験を行い、さらに、試験例2と同様
の方法で官能評価を行った。結果を表7に示す。
0分経過しても乳タンパク質の凝集は確認されず、熱安
定性が良好であった。一方で、試作品30は、熱安定性
に乏しく3分以内に乳タンパク質の凝集が確認された。
このことから、リン酸塩、陰イオン性有機酸モノグリセ
リド及びクエン酸塩を添加した場合((b)を添加する
場合)、無脂乳固形分含量が2〜12%において熱安定
性の良好な弱酸性乳飲料が得られることが確認された。
混合し、上白糖60g、苺果汁100g、ピロリン酸二
ナトリウム4g、クエン酸モノステアリン酸グリセリド
1g、クエン酸三ナトリウム4gを添加し、TKホモミ
キサー(TK ROBOMICS:特殊機化社製)を用
い、10,000rpmで5分間均質処理し、150℃
で2秒間加熱殺菌を行い、さらに均質機(高圧ホモジナ
イザーGM1:エスエムテー社製)を用い、150kg
/cm2で均質化処理を行って苺風味の弱酸性乳飲料を
調製した。この弱酸性乳飲料のpHは5.8、無脂乳固
形分は5であった。苺風味の弱酸性乳飲料は、加熱殺菌
により乳タンパク質の凝集がなく、熱安定性が良好であ
り、ざらつきも感じられず、低粘度で飲みやすくフレッ
シュ感があり風味も良好であった。また、この苺風味の
弱酸性乳飲料を7℃、25℃で1週間保存したところ、
保存前の粘度は、7℃では22mPa・S、25℃では
8mPa・Sであり、1週間保存後の粘度は、7℃では
21mPa・S、25℃では10mPa・Sであり、粘
度の変化もなく、乳タンパク質の沈殿もなかった。
を混合し、上白糖100g、インスタントコーヒー粉6
0g、ピロリン酸二ナトリウム4g、クエン酸モノステ
アリン酸グリセリド1g、クエン酸三ナトリウム4gを
添加し、TKホモミキサー(TK ROBOMICS:
特殊機化社製)を用い、10,000rpmで5分間均
質処理い、150℃で2秒間加熱殺菌を行い、さらに均
質機(高圧ホモジナイザーGM1:エスエムテー社製)
を用い、150kg/cm2で均質化処理を行ってコー
ヒー風味の弱酸性乳飲料を調製した。この弱酸性乳飲料
のpHは6.1で無脂乳固形分4.3%であった。コー
ヒー風味の弱酸性乳飲料を140℃で2秒間、加熱殺菌
を行ったところ、乳タンパク質の凝集がなく、低粘度で
飲みやすくコーヒー牛乳の本来のpHで自然さが好まし
いものとなった。また、このコーヒー風味の弱酸性乳飲
料を7℃、25℃で1週間保存したところ、保存前の粘
度は、7℃では18mPa・S、25℃では8mPa・
Sであり、1週間保存後の粘度は、7℃では20mPa
・S、25℃では5mPa・Sであり、粘度の変化もな
く、乳タンパク質の沈殿もなかった。
る乳タンパク質の凝集が抑制され、ざらつきを感じず口
当たりが良好で、低粘度で飲みやすい弱酸性乳飲料を提
供することができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 下記の(a)又は(b)を含有すること
を特徴とする熱安定性が良好な弱酸性乳飲料。 (a)リン酸塩及び陰イオン性有機酸モノグリセリド、
(b)リン酸塩、陰イオン性有機酸モノグリセリド並び
にクエン酸及び/又はクエン酸塩。 - 【請求項2】 陰イオン性有機酸モノグリセリドとし
て、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグ
リセリド及びコハク酸モノグリセリドからなる群から選
択される少なくとも1種類以上を含有することを特徴と
する請求項1記載の弱酸性乳飲料。 - 【請求項3】 無脂乳固形分が、(a)を含有する場合
は2〜10%であり、(b)を含有する場合は2〜12
%であることを特徴とする請求項1又は2記載の弱酸性
乳飲料。 - 【請求項4】 pHが、(a)を添加する場合は5.7
〜6.3であり、(b)を添加する場合は5.4〜6.3
であることを特徴とする請求項1又は2記載の弱酸性乳
飲料。 - 【請求項5】 乳固形分を含有する乳原料に、下記の
(a)又は(b)を加えて混合し、pHを5.4〜6.
3に調整した後、加熱殺菌することを特徴とする熱安定
性が良好な弱酸性乳飲料の製造方法。 (a)リン酸塩及び陰イオン性有機酸モノグリセリド、
(b)リン酸塩、陰イオン性有機酸モノグリセリド並び
にクエン酸及び/又はクエン酸塩。
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