JP2003286330A - 硬化性に優れたエポキシ樹脂組成物、その硬化物およびその用途 - Google Patents
硬化性に優れたエポキシ樹脂組成物、その硬化物およびその用途Info
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Abstract
は2官能以上のエポキシ樹脂、(B)硬化剤、および、
(C)硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物におい
て、前記(B)硬化剤が、一般式(I)で表されるエス
テル含有化合物またはエステル含有樹脂であり、前記
(C)硬化促進剤が、一般式(II)または(III)
で表されるフォスファゼン化合物を必須として全硬化促
進剤中に30〜100重量%を含むことを特徴とするエ
ポキシ樹脂組成物。 【効果】 本エポキシ樹脂組成物は、エステル基による
硬化でありながら、硬化性に優れるものであり、従来の
技術により得られたエポキシ樹脂組成物が使用されてい
る産業分野において、代替して使用することが可能であ
り、特に半導体の封止材として用いることにより、生産
性に優れるエポキシ樹脂組成物を提供することができ
る。
Description
な性質と言える、硬化性を改良したエポキシ樹脂組成物
に関し、より詳しくは半導体集積回路を封止する目的に
供するに充分な性能を有し、且つ工業生産において優位
となる、成型サイクルの高速化を可能にする、速硬化性
エポキシ樹脂組成物に関するものである。さらに、該エ
ポキシ樹脂の硬化物、および、該エポキシ樹脂により半
導体集積回路を封止してなる半導体装置に関するもので
ある。
SI)は、それを保護する封止材により、外部雰囲気の
ゴミや埃、熱、水分、あるいは光による誤作動等から守
られている。この封止材としては、金属やセラミックス
によるものから、近年では樹脂封止へと変遷しており、
現在ではエポキシ樹脂封止が主流である。特に、コスト
面と物性面のバランスから、フェノール樹脂を硬化剤と
したエポキシ樹脂組成物が多く使われており、中でも、
エポキシ樹脂としてはo−クレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂やビフェノール型エポキシ樹脂を、硬化剤とし
てフェノールノボラック樹脂やフェノールアラルキル樹
脂を用いた、エポキシ樹脂組成物が多く使われている。
しかし、この樹脂組成物は、封止材としての要求性能の
中で、耐熱性には優れるものの、耐湿性の点では劣ると
いう欠点を有していた。この問題に対し、様々な改良が
検討されてきたが、いずれにしてもフェノール性水酸基
によるエポキシ基の硬化反応である以上、化学式(XI
I)
に起因する吸湿性が生じるため、低吸湿化には限界があ
ることは自明であった。
法として、西久保ら出願の特開昭62−53327号公
報に示される様なエポキシ基とエステル基の反応が提案
され、更に本発明者らによりエポキシ/エステル付加反
応に対して高活性な、特に封止材用途に好適なフォスフ
ァゼン系硬化触媒を含むエポキシ樹脂組成物が提案され
ている。(特開2000−327751等)これらの提
案により、ある種の硬化剤を必須とするものではありな
がら、エポキシ樹脂に対する硬化剤として水酸基をエス
テル化した硬化剤を用いることで、従来のエポキシ樹脂
組成物に対し、圧倒的な低吸湿性を示す硬化物を得るこ
とが可能となった。
下の課題が明らかになった。すなわち、工業的な生産を
意図した成型サイクルを考慮したとき、その硬化速度、
特に金型からの離型が可能となるまでの時間に関与する
初期硬化の速度に限界があることが判明した。これは、
様々な硬化触媒も用いることが可能であるフェノール硬
化の場合は、要求される物性、硬化速度等に応じて様々
な種類の硬化触媒を取捨選択、あるいは併用することに
より対応することが可能であるのに対し、エステル硬化
に関しては硬化触媒が限られ、実質的に先の本発明者ら
の提案した、フォスファゼン型触媒に限られるため、硬
化速度の調整が出来ないことが原因である。唯一の方法
としては、硬化触媒量を増量することで対応することで
あるが、この方法は樹脂組成物の流動性を悪化させてし
まい、また高価なフォスファゼン触媒を大量に用いるこ
とはコストアップにも繋がるため、好ましい方法とは言
えない。
テル基による硬化でありながら、硬化性に優れるエポキ
シ樹脂組成物を提供すること、およびそれを用いた硬化
物および半導体装置を提供することにある。
した結果、エステル基を有する硬化剤において、エステ
ル基に対し特定の位置に置換基を導入することで硬化速
度が向上する事を見出し、本発明を完成するに至ったも
のである。
1]に記載した事項により特定される。
物または2官能以上のエポキシ樹脂、(B)硬化剤、お
よび、(C)硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物
において、前記(B)硬化剤が、一般式(I)で表され
るエステル含有化合物またはエステル含有樹脂であり、
前記(C)硬化促進剤が、一般式(II)または(II
I)で表されるフォスファゼン化合物を必須として全硬
化促進剤中に30〜100重量%を含むことを特徴とす
るエポキシ樹脂組成物(一般式(I)中、Xは、炭素数
1〜7の脂肪族または芳香族アルデヒド残基、炭素数8
〜14のキシリレン誘導体残基または炭素数10〜15
の脂肪族ジエン残基を示し、R1は炭素数1〜6の直
鎖、分岐または環状のアルキル基、アリール基、アルコ
キシ基を示し、その置換位置はOA基に対しオルソ位ま
たはメタ位である。Aは水素原子もしくは炭素数2〜1
0の芳香族または脂肪族アシル基を示し、水素原子/ア
シル基のモル比が90/10〜0/100の範囲であ
る。繰り返し単位を示すmは、1〜50の範囲に分布
し、その平均は1〜20の範囲である。一般式(II)
中、R2は水素原子、炭素数1〜10の直鎖、分岐、環
状アルキル基、炭素数6〜10のアリール基、アラルキ
ル基を示し、全て同一であっても異なっていてもよい。
また、Y-で示されるアニオンは、ハロゲンアニオン、
ヒドロキシアニオン、炭素数1〜8のアルコキシアニオ
ン、6〜18のフェノキシアニオン、炭素数1〜6の脂
肪族または芳香族カルボン酸から導かれる カルボキシ
アニオン、ナフトキシアニオンを示す。一般式(II
I)中、R3は水素原子、炭素数1〜10の直鎖、分
岐、環状アルキル基、炭素数6〜10のアリール基、ア
ラルキル基を示し、全て同一であっても異なっていても
よい。)。
おいて、Rがメチル基である、o−クレゾール、また
は、m−クレゾールから誘導されるエステル含有化合
物、または、エステル含有樹脂であることを特徴とす
る、[1]に記載したエポキシ樹脂組成物。
で表される、o−クレゾール、または、m−クレゾール
ノボラックから誘導されるエステル含有化合物、また
は、エステル含有樹脂であることを特徴とする、[1]
に記載したエポキシ樹脂組成物(一般式(IV)中、A
は水素原子もしくは炭素数2〜10の芳香族または脂肪
族アシル基を示し、水素原子/アシル基のモル比が90
/10〜0/100の範囲である。繰り返し単位を示す
mは、1〜50の範囲に分布し、その平均は1〜20の
範囲である。)。
表される、o−クレゾール、または、m−クレゾールア
ラルキル樹脂から誘導されるエステル含有化合物、また
は、エステル含有樹脂であるエポキシ樹脂組成物である
ことを特徴とする、[1]に記載したエポキシ樹脂組成
物(一般式(V)中、Aは水素原子もしくは炭素数2〜
10の芳香族または脂肪族アシル基を示し、水素原子/
アシル基のモル比が90/10〜0/100の範囲であ
る。繰り返し単位を示すmは、1〜50の範囲に分布
し、その平均は1〜20の範囲である。)。
で表される、o−クレゾール、または、m−クレゾール
−ジシクロペンタジエン樹脂から誘導されるエステル含
有化合物、または、エステル含有樹脂であることを特徴
とする、[1]に記載したエポキシ樹脂組成物(一般式
(VI)中、Aは水素原子もしくは炭素数2〜10の芳
香族または脂肪族アシル基を示し、水素原子/アシル基
のモル比が90/10〜0/100の範囲である。繰り
返し単位を示すmは、1〜50の範囲に分布し、その平
均は1〜20の範囲である。)
含有化合物またはエステル含有樹脂のアシル基Aが、ア
セチル基またはベンゾイル基であることを特徴とする、
[1]乃至[5]の何れかに記載したエポキシ樹脂組成
物。
含有化合物またはエステル含有樹脂のアシル基Aが、ア
セチル基およびベンゾイル基であり、アセチル基/ベン
ゾイル基のモル比が99/1〜1/99であることを特
徴とする、[1]乃至[5]の何れかに記載したエポキ
シ樹脂組成物。
(VII)で表されるジヒドロキシナフタレンから得ら
れるエポキシ樹脂、一般式(VIII)で表されるビフ
ェノール類から得られるエポキシ樹脂、一般式(IX)
で表されるノボラック型樹脂から得られるエポキシ樹
脂、一般式(X)から得られるフェノールアラルキル樹
脂から得られるエポキシ樹脂、および、一般式(XI)
で表されるフェノール−ジシクロペンタジエン樹脂から
得られるエポキシ樹脂からなる群から選択された少なく
とも一つのエポキシ樹脂を、エポキシ樹脂成分中に20
重量%〜100重量%含むことを特徴とする、[1]乃
至[7]の何れかに記載したエポキシ樹脂組成物。(一
般式(VII)中、2,3−エポキシプロピル基の置換
位置は1,5位、1,6位、1,7位、2,6位、また
は2,7位である。一般式(VIII)中、R4は水素
原子またはメチル基を表し、全て同一でも異なっていて
もよい。一般式(IX)中、R5は水素原子またはメチ
ル基を示し、繰り返し単位を示すmは、1〜50の範囲
に分布し、その平均は1〜20の範囲である。一般式
(X)中、R6は水素原子またはメチル基を示し、繰り
返し単位を示すmは、1〜50の範囲に分布し、その平
均は1〜20の範囲である。一般式(XI)中、R7は
水素原子またはメチル基を示し、繰り返し単位を示すm
は、1〜50の範囲に分布し、その平均は1〜20の範
囲である。)。
したエポキシ樹脂組成物に対し、(D)有機および/ま
たは無機充填材を、(A+B)100重量部に対し、1
00〜1900重量部を添加して得られるエポキシ樹脂
組成物。
載したエポキシ樹脂組成物を熱硬化させて得られるエポ
キシ樹脂硬化物。
載したエポキシ樹脂組成物を用いて半導体集積回路を封
止して得られる半導体装置。
(B)(C)および(D)成分について詳細に説明す
る。
合物または2官能以上のエポキシ樹脂は、1分子中に2
つ以上のエポキシ基を有する物であれば全て用いること
が可能である。具体的に例示すれば、次のようなものを
挙げることが出来る。すなわち、オレフィン類の酸化
や、水酸基のグリシジルエーテル化、1,2級アミン類
のグリシジルアミン化、カルボン酸のグリシジルエステ
ル化等により得られるエポキシ基を有するものである。
カテコール、レゾルシン、ハイドロキノンの様なジヒド
ロキシベンゼン類;2,6−ジヒドロキシナフタレン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビ
スフェノールA)、2−(3−ヒドロキシフェニル)−
2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノ
ールS)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィ
ド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルシクロヘキ
サン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルベンゼ
ン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジ
ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチルビフェ
ニル、4、4’ジヒドロキシジフェニルエーテル、6,
6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチ
ル−1,1−スピロビインダン、1,3,3−トリメチ
ル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−インダン−
6−オール等のビスフェノール類;テトラフェニロール
エタン、ナフトール−クレゾールレゾール縮合物等のオ
リゴフェノール類、一般式(XIII)
状のアルキル基、アリール基、アルコキシ基を示し、繰
り返し単位を示すmは、1〜50の範囲に分布し、その
平均は1〜20の範囲である。)で表されるフェノール
ノボラック類、ノボラック類からビスフェノール体を除
いた残査物[トリフェノール体以上:以下VRと約
す]、一般式(XIV)
状のアルキル基、アリール基、アルコキシ基を示し、繰
り返し単位を示すmは、1〜50の範囲に分布し、その
平均は1〜20の範囲である。)で表されるフェノール
アラルキル類、一般式(XV)
に分布し、その平均は1〜5の範囲である。)で表され
るナフトールアラルキル類、一般式(XVI)
環状のアルキル基、アリール基、アルコキシ基を示し、
繰り返し単位を示すmは、1〜50の範囲に分布し、そ
の平均は1〜20の範囲である。)で表されるフェノー
ル−ジシクロペンタジエン共重合樹脂(DPR樹脂)等
のフェノール樹脂類;エチレンジアミン、プロピレンジ
アミン、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、4,4’
−ジアミノフェニルメタン(MDA)、4、4’−ジア
ミノジフェニルエーテル、4、4’−ジアミノジフェニ
ルスルホン、2,2−ビス(4,4’−ジアミノフェニ
ル)プロパン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレ
ンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、一般式
(XVII)
環状のアルキル基、アリール基、アルコキシ基を示し、
繰り返し単位を示すmは、1〜50の範囲に分布し、そ
の平均は1〜20の範囲である。)で表されるアニリン
アラルキル樹脂[商品名:Anilix、三井化学
(株)社製]等の脂肪族、芳香族アミン類;m−アミノ
フェノール、p−アミノフェノール、2−(4−アミノ
フェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、4−アミノフェニル−4−ヒドロキシフェニル)メ
タン等のアミノフェノール類;フタル酸、イソフタル
酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒド
ロフタル酸、ダイマー酸、1,3−ジカルボキシシクロ
ヘキサン等のカルボン酸類;サリチル酸、4−ヒドロキ
シ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸類等を挙げること
が出来る。
ジル化は公知の方法により行うことができ、ハロゲン化
水素アクセプターの存在下、エピクロルヒドリンを反応
させることが最も一般的である。なお、グリシジルエス
テルを製造する際には、金属触媒、特にTlNO3、T
l(OCOCF3)3等のタリウム化合物を触媒とし、カ
ルボン酸メチルエステルとグリシドールとを反応させる
方法が好ましいことも知られている。
導体集積回路の封止材として好ましいものとしては、フ
ェノール化合物、フェノール樹脂類から誘導されるグリ
シジルエーテル類であり、具体的には、上記の一般式
(VII)で表されるジヒドロキシナフタレンから誘導
されるエポキシ化合物、一般式(VIII)で表される
ビフェノール類から得られるエポキシ樹脂、一般式(I
X)で表されるフェノールノボラック樹脂から得られる
エポキシ樹脂、一般式(X)で表されるフェノールアラ
ルキル樹脂から得られるエポキシ樹脂、一般式(XI)
で表されるフェノール−ジシクロペンタジエン樹脂から
得られるエポキシ樹脂等である。
特徴となるのは(B)硬化剤成分における置換基の導入
位置を限定したことである。すなわち、置換基の存在と
その置換位置による硬化性の関係を示すことにより本発
明がなされている。
(I)
アルデヒド残基、炭素数8〜14のキシリレン誘導体残
基または炭素数10〜15の脂肪族ジエン残基を示し、
R1は炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル
基、アリール基、アルコキシ基を示し、その置換位置は
OA基に対しオルソ位またはメタ位である。Aは水素原
子もしくは炭素数2〜10の芳香族または脂肪族アシル
基を示し、水素原子/アシル基のモル比が90/10〜
0/100の範囲である。繰り返し単位を示すmは、1
〜50の範囲に分布し、その平均は1〜20の範囲であ
る。)で表されるエステル含有化合物またはエステル含
有樹脂である。これらをさらに具体的に例示すれば、一
般式(IV)に示される様な、o−、またはm−クレゾ
ールノボラック樹脂のエステル化物、あるいはo−、ま
たはm−クレゾールノボラックからビスフェノール体を
除去した残査物のエステル化物、o−、またはm−クレ
ゾールノボラックから単離されるビスフェノール体のエ
ステル化物、一般式(IV)に示される様な、o−、ま
たはm−クレゾールアラルキル樹脂のエステル化物、あ
るいはo−、またはm−クレゾールアラルキル樹脂から
ビスフェノール体を除去した残査物のエステル化物、o
−、またはm−クレゾールアラルキル樹脂から単離され
るビスフェノール体のエステル化物、一般式(V)に示
される様な、o−、またはm−クレゾール−ジシクロペ
ンタジエン樹脂のエステル化物、あるいはo−、または
m−クレゾール−ジシクロペンタジエン樹脂からビスフ
ェノール体を除去した残査物のエステル化物、o−、ま
たはm−クレゾール−ジシクロペンタジエン樹脂から単
離されるビスフェノール体のエステル化物を挙げること
が出来る。これらのo−またはm−クレゾール樹脂をエ
ステル化する方法は、公知の方法が用いられるが、具体
的には以下の通りである。すなわち、上述のような水酸
基をエステル化する際に用いるエステル化剤としては、
有機カルボン酸無水物、有機カルボン酸ハライド、有機
カルボン酸のいずれでもよい。誘導したいエステルの炭
素数によるエステル化剤の特徴により適宜選択すればよ
い。このエステル化剤を具体的に例示すれば、無水酢
酸、アセチルクロライド、アセチルブロマイド、酢酸、
無水プロピオン酸、プロピオン酸クロライド、プロピオ
ン酸ブロマイド、プロピオン酸、無水酪酸、酪酸クロラ
イド、酪酸、無水吉草酸、吉草酸クロライド、吉草酸ブ
ロマイド、吉草酸、ピバリン酸クロライド、ピバリン
酸、フェニル酢酸、フェニル酢酸クロライド、2−フェ
ニルプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、o−ト
リル酢酸、m−トリル酢酸、p−トリル酢酸、クメン
酸、無水安息香酸、安息香酸クロライド、安息香酸ブロ
マイド、安息香酸、o−メチル安息香酸クロライド、m
−メチル安息香酸クロライド、p−メチル安息香酸クロ
ライド、o−メチル安息香酸、m−メチル安息香酸、p
−メチル安息香酸、2,3−ジメチル安息香酸、2,4
−ジメチル安息香酸、2,5−ジメチル安息香酸、2,
6−ジメチル安息香酸、3,4−ジメチル安息香酸、
3,5−ジメチル安息香酸、等を挙げることができる。
この中で好ましいものとしては、無水酢酸、アセチルク
ロライド、安息香酸無水物、安息香酸クロライドを挙げ
ることが出来る。これらのエステル化剤は単独あるいは
任意の2種類以上を併用して用いることも可能である。
以上で用いればよく、上限は特に限定されず、過剰に用
いて充分にエステル化を進行させた場合は、過剰のエス
テル化剤は反応終了後除去すればよいが、現実的には反
応容積効率、コスト等の観点から、水酸基に対し10倍
モル以下、好ましくは5倍モル以下、さらに好ましくは
3倍モル以下がよい。
って異なるが、それぞれについて述べれば、有機カルボ
ン酸無水物については、一般に用いられる方法でよい。
すなわち、水酸基に対しエステル化するべき任意の量の
有機カルボン酸無水物を反応させたのち、副成する有機
カルボン酸、過剰の有機カルボン酸無水物を常圧蒸留、
減圧蒸留、水洗、炭酸塩等の弱塩基水洗浄等任意の方法
もしくはそれらの組み合わせによって除去する事によ
り、目的とするエステル化合物を得るものである。部分
エステル化を行う際は、水酸基に対して任意の量、すな
わち、本発明の樹脂組成物においては10モル%以上が
エステル化されたエステル化物を用いるので、10モル
%以上の有機カルボン酸無水物を用い、完全にエステル
化する際には、水酸基に対して等モル以上、溶剤を兼ね
ればその上限は特に制限されるものではないが、経済効
率、反応の容積効率を考慮すれば10倍モル%以下で用
いればよい。なお、この使用量は後述の有機カルボン酸
を用いた反応の際にも同様である。
ン、ピペリジン、トリエチルアミン等の反応に対しては
不活性な有機塩基の存在下において行うことが多いが、
本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体集積回路の封止材
等の電気・電子分野に用いる場合、これらの含窒素有機
塩基が残存することを避けなければならない。このた
め、最終的には水洗行程を導入する事が望ましい。しか
しながら、これら有機塩基を用いなくとも充分反応は進
行するので、有機塩基を用いないことが最も望ましい。
しくは80℃〜180℃の範囲、特に望ましくは100
℃〜160℃の範囲が望ましい。反応時間は反応物の種
類や反応温度に大きく左右されるが、およそ1時間〜2
5時間の範囲であり、現実的には高速液体クロマトグラ
フィーやガスクロマトグラフィー等でエステル化剤の消
失や水酸基の消失などを追跡しつつ終点を決定すること
が望ましい。
よい。原料とする水酸基を有する物質が反応温度に於い
て充分溶融し、且つエステル化剤が液体である場合、ま
た反応温度において溶融、あるいは樹脂に溶解し反応に
支障がない場合には無溶媒で反応を行えばよい。
溶媒であれば全て使用することが出来る。それらを例示
すれば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼ
ン、o−ジクロロベンゼン、ジフェニルエーテル等の芳
香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン、N,N−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチ
ルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒
類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコ
ールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチル
エーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、等を単独
で、あるいは任意の組み合わせで用いることが出来る。
ーブ中)、減圧のいずれでもよく、また反応系の雰囲気
は空気中、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス中
のいずれでもよいが、好ましくは窒素雰囲気下がよい。
ハライドを用いる場合における反応について説明する。
この場合も一般に用いられる手法を用いることが出来
る。すなわち、水酸基に対してエステル化するべき任意
の量の有機カルボン酸ハライドを反応させればよい。こ
の場合、副生するハロゲン化水素は、ピリジン、ピペラ
ジン、トリエチルアミン等の反応に不活性な塩基を必要
量存在させて系内においてトラップする方法と、ガスと
して反応中に順次速やかに系外に放出し、反応系外に設
置された水またはアルカリトラップを用いて捕捉する場
合が考えられるが、先に示す理由により、含窒素化合
物、イオン性化合物の混入を避けるためハロゲン化水素
ガスは反応中速やかに系外に放出する方法が好ましい。
この時、やはり反応に不活性なガスの気流下において反
応を行うとより好ましい。
エステル化を行う際は、水酸基に対して任意の量、すな
わち本発明の樹脂組成物においては10モル%以上がエ
ステル化されたエステル化物を用いるので、10モル%
以上の有機カルボン酸ハライドを用い、完全にエステル
化する際には水酸基に対して等モルもしくは小過剰を用
いればよく、大過剰用いることは特に制限されるもので
はないが、経済効率、反応の容積効率、さらに反応後の
処理工程の煩雑さを考慮すれば水酸基に対して10倍モ
ル以下、好ましくは5倍モル以下、さらに好ましくは3
倍モル以下の範囲で用いればよい。反応温度、反応にお
ける溶媒の使用、反応の形態に関しては先の有機カルボ
ン酸無水物の場合に準じればよい。
を用いる場合は、ほぼ有機カルボン酸無水物に準じれば
よいが、反応に際して酸触媒を必要とする。それを例示
すれば、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸等の鉱酸類;
p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンス
ルホン酸、ジメチルスルホン酸、ジエチルスルホン酸等
の有機スルホン酸類;トリフルオロメタンスルホン酸に
代表される超強酸;アルカンスルホン酸型に代表される
酸性イオン交換樹脂;パーフルオロアルカンスルホン酸
型に代表される超強酸型イオン交換樹脂等である。
の場合が0.00001〜5重量%、好ましくは0.0
001〜1重量%、より好ましくは0.001〜0.1
重量%の範囲、イオン交換樹脂類の場合が1〜100重
量%、好ましくは10〜50重量%の範囲、その他の場
合は0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量
%の範囲である。この範囲を下まわると反応速度が低下
し、現実的な反応時間では完結しない。またこの範囲よ
り大きくなると、副反応が無視できなくなり、あるいは
触媒の除去の行程の煩雑さ等を含めてコストの増大に繋
がる。
反応を説明してきたが、いずれの場合もより精製度の高
いエステル化物を得る必要のある場合には、反応終了
後、水洗行程を導入すればよい。その場合はトルエン、
キシレン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケト
ン、酢酸エチル等の水洗可能な溶媒を用いて、洗浄廃水
に酸性成分、イオン性不純物が混入しなくなるまで洗浄
すればよい。また、本発明においては、そのエステル化
率は10モル%〜100モル%の範囲であるが、好まし
くは50モル%〜100モル%、さらに好ましくは80
モル%〜100モル%の範囲である。
(C)硬化促進剤である。従来のエポキシ−フェノール
硬化に用いられてきた代表的な硬化促進剤、例えばトリ
フェニルホスフィンの様なホスフィン類、2−メチルイ
ミダゾールの様なイミダゾール類などは、エポキシ−エ
ステル付加反応においては触媒硬化を有さないことは、
既に本発明者らが明らかにしている。
においては、硬化促進剤として一般式(II)または
(III)で表されるフォスファゼン化合物を必須とし
て全硬化促進剤中に30〜100重量%を含むことを特
徴とするエポキシ樹脂組成物に関するものである。
直鎖、分岐、環状アルキル基、炭素数6〜10のアリー
ル基、アラルキル基を示し、全て同一であっても異なっ
ていてもよい。また、Y-で示されるアニオンは、ハロ
ゲンアニオン、ヒドロキシアニオン、炭素数1〜8のア
ルコキシアニオン、6〜18のフェノキシアニオン、炭
素数1〜6の脂肪族または芳香族カルボン酸から導かれ
る カルボキシアニオン、ナフトキシアニオンを示す。
一般式(III)中、R3は水素原子、炭素数1〜10
の直鎖、分岐、環状アルキル基、炭素数6〜10のアリ
ール基、アラルキル基を示し、全て同一であっても異な
っていてもよい。上記一般式(II)で表されるフォス
ファゼン化合物は、昇氏ら出願の特開平10−7728
9において、詳細に説明されている。また、上記一般式
(III)のフォスファゼン化合物もまた、昇氏ら出願
の特開2000−355595において、詳細に説明さ
れている。
(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との配合比は、エポ
キシ基1当量に対して(B)硬化剤の(水酸基+エステ
ル基)が0.5〜1.5当量であり、好ましくは0.7
〜1.3当量である。当量比は、硬化物の最適物性が得
られる当量比を調整して用いることが好ましい。本発明
のエポキシ樹脂組成物においては、エポキシ樹脂および
硬化剤はそれぞれ一種類づつ単独で用いてもよく、複数
を併用してもよい。
須の成分として用いる硬化触媒の使用量は、全エポキシ
樹脂組成物(樹脂成分:エポキシ樹脂と硬化剤の合計)
に対して、好ましくは重量で0.001〜25%の範囲
であり、さらに好ましくは0.01〜15%、最も好ま
しくは0.1〜5%の範囲である。
ァゼン化合物を必須とするが、本発明のエポキシ樹脂組
成物においては、それ以外の、一般に用いられる公知の
硬化促進剤、例えば、2−メチルイミダゾール等のイミ
ダゾール類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン
類、トリエチルアミン等の3級アミン類、1,8−ジア
ザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のジアザビ
シクロ類、4−N,N−ジメチルピリジン等のピリジン
類等を、本発明の特徴が失われない範囲で用いても良
く、その使用量は全硬化触媒中に、フォスファゼン触媒
が30〜100重量部の範囲である。
必要に応じて、有機および/または無機充填材やその他
の添加剤を用いることができる。特に半導体集積回路の
封止材に用いるときには、その機械的特性の向上や全体
のコストダウンのために有機および/または無機充填材
を、また光による誤動作を防ぐためにカーボンブラック
等の着色剤を、更には離型剤、カップリング剤、難燃剤
等を用いることが望ましい。
しては、(A+B)100重量部に対し、100重量部
以上、1900重量部以下の範囲であり、好ましくは2
50重量部以上、より好ましくは550重量部以上であ
る。
としては、シリカ、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、タ
ルク、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、マイカ、ク
レー、チタンホワイト等の粉体、ガラス繊維、カーボン
繊維、アラミド繊維等の繊維体等が挙げられる。これら
の中で封止材用途において好ましいものは、結晶性シリ
カおよび/または溶融シリカであり、さらにその樹脂組
成物の成型時の流動性を考慮すると、その形状は球形ま
たは球形と不定形の混合物が望ましい。
し、各種添加剤を配合することが好ましい。例えば、樹
脂と無機充填材との接着性向上のためにはカップリング
剤を用いることが望ましく、かかるカップリング剤とし
ては、シラン系、チタネート系、アルミネート系、また
はジルコアルミネート系等を挙げることが出来る。なか
でも好ましいものとしては、シランカップリング剤であ
り、特にエポキシ基と反応する官能基を持つシランカッ
プリング剤が最も好ましい。
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N
−(2−アミノメチル)−3−アミノプロピルメチルジ
メトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルト
リエトキシシラン、3−アニリノプロピルトリエトキシ
シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン等を挙げることが出来る。これらを単独で、あるい
は2種類以上組み合わせて使用することが出来る。これ
らのカップリング剤は、予め無機充填材の表面に吸着あ
るいは、反応により固定化されていることが望ましい。
のエポキシ樹脂組成物を熱硬化させて得られる硬化物で
ある。
シ樹脂組成物を用いて半導体集積回路を封止して得られ
るものである。半導体装置を作製する方法としては、低
圧トランスファー成型が最も一般的であるが、その他の
方法、例えば、インジェクション成型、圧縮成型、注型
成型等の方法も可能である。また、溶剤を用いるような
特殊な手法も可能である。本発明の半導体装置は、従来
提案されていた未置換のエステル化フェノール樹脂硬化
剤を用いた場合に比べ、硬化が速く、特に初期硬化性に
優れるという特徴を有する。
が、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
たガラス製反応容器に、o−クレゾール:487g
(4.5mol)、シュウ酸:2.4g(0.5wt
%)を装入し、70℃において攪拌を行いながら35%
ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液):250g
(3.0mol)を1時間で滴下した。若干の発熱が認
められたが、70℃をキープし滴下終了後、更に5時
間、攪拌、反応を行った。その後、昇温し、90℃で2
時間熟成して反応を完結した。続けて水および過剰のo
−クレゾールを最高170℃、2.7kPaの条件で減
圧留去し、残査として457gのo−クレゾールノボラ
ック樹脂を得た。このものの水酸基当量は、127.2
g/eqであった。GPCによる分子量(標準ポリスチ
レン換算)は、Mn=514、Mw=691であった。
このo−クレゾールノボラック樹脂:254.4g
(2.0mol=水酸基)を温度計、滴下ロート、還流冷
却器、窒素導入管、攪拌装置、減圧装置(ハンディアス
ピレーター)およびアルカリトラップを備えたガラス製
反応容器に装入し、120℃へ昇温した。120℃〜1
25℃を保ちながら、塩化ベンゾイル:272.7g
(1.94mol)を3時間で滴下した。滴下終了後、
1時間で160℃まで昇温し、同温度において12時
間、熟成を行った。尚、滴下中および熟成中は還流冷却
器の頭頂部より微減圧し、系内を70〜100kPa程
度に保つことで、発生する塩化水素ガスを速やかに系外
へ除去した。系外に除去された塩化水素ガスは、還流冷
却器頭頂部と減圧装置との間に設けられたアルカリトラ
ップ中によりほぼ完全に中和された。熟成終了後、ガス
クロマトグラフにより樹脂中に塩化ベンゾイルが完全に
消失していることを確認し、反応終了とした。その後、
減圧を解除し、窒素導入管より毎分5ml/minの流
速で窒素を導入しながら120℃まで冷却した。同温度
において攪拌を続けながら、反応器壁に付着残存してる
塩化ベンゾイルを完全に消失させるため、イソプロピル
アルコール:50gを30分で滴下しながら反応させ
た。常圧(大気圧)において留出するイソプロピルアル
コールはそのまま系外に留出させながら30分間攪拌を
続けた後、再び160℃まで昇温し、最後は最高70k
Paまで減圧し、揮発分を留去した後、SUS製のバッ
トに排出して、ほぼ完全にベンゾイル化樹脂432gを
得た。(収率95%)
g(4.5mol)、シュウ酸:2.4g(0.5wt
%)を装入し、以下同様にして457gのm−クレゾー
ルノボラック樹脂を得た。このものの水酸基当量は、1
26.3g/eqであった。GPCによる分子量(標準
ポリスチレン換算)は、Mn=739、Mw=1304
であった。このm−クレゾールノボラック樹脂:25
2.6g(2.0mol=水酸基)を合成例1と同様に塩
化ベンゾイル:272.7g(1.94mol)と反応
させ、ベンゾイル化樹脂427を得た。(収率94%)
得た後、塩化ベンゾイル:272.7g(1.94mo
l)に変えて塩化ベンゾイル:196.8g(1.4m
ol)を用いた以外は同様にして、ノボラック樹脂の水
酸基がおよそ70%ベンゾイル化された樹脂:376g
を得た。(収率94%) このものの水酸基当量は、630.0g/eqであり、
68.5%の水酸基がベンゾイル化されている計算であ
った。
得た後、塩化ベンゾイル:272.7g(1.94mo
l)に変えて塩化ベンゾイル:140.6g(1.0m
ol)を用いた以外は同様にして、ノボラック樹脂の水
酸基がおよそ50%ベンゾイル化された樹脂:330g
を得た。(収率92%) このものの水酸基当量は、352.0g/eqであり、
49.3%の水酸基がベンゾイル化されている計算であ
った。
得た後、このo−クレゾールノボラック樹脂:254.
4g(2.0mol=水酸基)を粗く砕き、トルエン50
0gとともに温度計、滴下ロート、還流冷却器、窒素導
入管、攪拌装置、およびアルカリトラップを備えたガラ
ス製反応容器に装入し、スラリー状態で分散させた後、
30℃〜35℃において塩化アセチル:152.3g
(1.94mol)を2時間で滴下した。途中、反応の
進行と共に塩化水素ガスが流出し、徐々に樹脂がトルエ
ンに溶解して均一な溶液となった。反応とともに生成す
る塩化水素ガスは、系外に導かれ、アルカリトラップに
よりほぼ完全に中和された。滴下終了後、同温度により
3時間熟成した後、ガスクロマトグラフィーによって塩
化アセチルが完全に消失していることを確認し、反応終
了とした。その後、イソプロピルアルコール:50gを
系内に装入し、続けて窒素導入管より窒素導入管より毎
分5ml/minの流速で窒素を導入しながら、トルエ
ンおよびイソプロピルアルコールを系外に流出させなが
ら徐々に120℃まで昇温した。留出がほぼ止まった後
徐々に昇温および減圧を行い、最終的に160℃/70
kPamp条件で、揮発分を留去した後、SUS製のバ
ットに排出して、ほぼ完全にアセチル化された樹脂31
5gを得た。(収率94%)
g(4.5mol)、シュウ酸:2.4g(0.5wt
%)を装入し、以下同様にして405gのp−クレゾー
ルノボラック樹脂を得た。このものの水酸基当量は、1
25.7g/eqであった。GPCによる分子量(標準
ポリスチレン換算)は、Mn=397、Mw=519で
あった。このp−クレゾールノボラック樹脂:251.
4g(2.0mol=水酸基)を合成例1と同様に塩化ベ
ンゾイル:272.7g(1.94mol)と反応さ
せ、ベンゾイル化樹脂421gを得た。(収率93%)
(4.5mol)、シュウ酸:2.4g(0.5wt
%)を装入し、以下同様にして353gのフェノールノ
ボラック樹脂を得た。このものの水酸基当量は、10
9.7g/eqであった。GPCによる分子量(標準ポ
リスチレン換算)は、Mn=688、Mw=1358で
あった。このフェノールノボラック樹脂:219.4g
(2.0mol=水酸基)を合成例1と同様に塩化ベンゾ
イル:272.7g(1.94mol)と反応させ、ベ
ンゾイル化樹脂408を得た。(収率97%)
=メチルであるビフェノール型エポキシ樹脂[商品名:
YX4000H、油化シェルエポキシ社製、エポキシ当
量193g/eq]を0.1グラム当量(19.3
g)、硬化剤として合成例1のo−クレゾールノボラッ
ク樹脂のベンゾイル化物[官能基当量228g/eq:
計算値]0.1グラム当量(22.8g)に、硬化促進
剤として、前記一般式(II)におけるR2が全てメチ
ル基、Y-がヒドロキシアニオンであるフォスファゼン
化合物(以下、PZN)0.842g(2%)、予め1
00℃/5分間溶融混練したものを、80℃において充
分溶融混練し、均一な樹脂混合物とした。このエポキシ
樹脂組成物のゲルタイムを測定したところ、175℃に
おいて48秒であった。また、キュラストメーター(日
合商事社製 CURELASTOMETER V型にて測
定。金型:P−200(樹脂用)、温度:175℃、振
動数:100サイクル/分、振幅角:±1°、サンプル
量:4.5g)によりこの樹脂組成物の硬化挙動を測定
した。測定温度は175℃とした。10%硬化までの時
間をt'c(10)、90%硬化までの時間をt'c(90)で表
し、結果を表−1に示す。
えた以外は同様にして、エポキシ樹脂組成物を得、ゲル
タイムおよびキュラストメーターによる硬化挙動を測定
した。結果を表−1に示す。
I)におけるR3が、全てメチル基であるフォスファゼ
ン化合物(以下PZO)2%に変えた以外は同様にし
て、エポキシ樹脂組成物を得、ゲルタイムおよびキュラ
ストメーターによる硬化挙動を測定した。結果を表−1
に示す。
シ樹脂を、o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂[商 品名:EOCN102S、日本化薬(株)社製、エポキ
シ当量210g/eq]およびフェノールアラルキル樹
脂型エポキシ樹脂[商品名:E−XLC−3L、三井化
学(株)社製、エポキシ当量238g/eq]に変えた
以外は同様にして、エポキシ樹脂組成物を得、ゲルタイ
ムおよびキュラストメーターによる硬化挙動を測定し
た。結果を表−1に示す。
ノボラック樹脂のベンゾイル化物および、合成例7のフ
ェノールノボラック樹脂のベンゾイル化物に変えた以外
は同様にして、エポキシ樹脂組成物を得、ゲルタイムお
よびキュラストメーターによる硬化挙動を測定した。結
果を表−1に示す。
およびE−XLCに変えた以外は同様にして、エポキシ
樹脂組成物を得、ゲルタイムおよびキュラストメーター
による硬化挙動を測定した。結果を表−1に示す。
例1のo−クレゾールノボラック樹脂のベンゾイル化
物、硬化促進剤としてPZNを2重量部用い、表−2に
示す割合で充填材およびその他の添加剤を配合し、ロー
ルによる加熱混練を行って封止材用成形材料を得た。
尚、シリカゲルは龍森(株)社製、商品名YXK−35
Rを用いた。こうして得られた成形材料を用い、175
℃/10min、150kg/cm2の条件下で硬化物
を得た後、175℃/8Hr(窒素雰囲気)の条件でア
フターキュアーをかけて、十分に硬化を進行させた。こ
の硬化物を用いて各物性を測定した。結果を表−2に示
す。尚、各種物性等の試験方法は以下の通りである。・
Tg(ガラス転移温度):TMA針進入法[島津 TM
A−DRW DT−30]により測定。・曲げ強度、弾
性率:JIS K−6911による。・煮沸吸水率:1
00℃の沸騰水中で2時間煮沸後の重量増加を測定。
ルノボラック樹脂のベンゾイル化物に変えた以外は同様
にして、封止材用成型材料を得た後、同様にして各種硬
化物物性を測定した。結果を表−2に示す。
オルソ位またはメタ位に置換基を有するフェノール樹脂
のエステル化樹脂は、フォスファゼン型触媒を用いてエ
ポキシ樹脂と硬化反応させる際、無置換フェノール樹脂
のエステル化物と比較してゲルタイム、キュラストメー
ターで測定することが出来る初期硬化の時間が短縮され
る。例えば、実施例1と比較例2を比較すると、オルソ
クレゾールノボラック樹脂のベンゾイル化物を硬化剤と
して用いた実施例1は、フェノールノボラック樹脂のベ
ンゾイル化物を硬化剤に用いた比較例2よりゲルタイム
で68.6%まで短縮されている。(実施例1=48
秒、比較例2=70秒)また、キュラストメーターによ
る初期硬化(t‘c(10))を比較すれば、71.3
%まで短縮されている。(実施例1=0.72min、
比較例2=1.01min)。また、パラ位置換フェノ
ール樹脂のエステル化物は、比較例1に示す様に、硬化
性は非常に悪化している。この様に、置換基の位置によ
り硬化性に大きな差が特徴的に出ることを見出したのは
本発明が始めてである。また、実施例13に示すよう
に、本発明の置換基を有するフェノール樹脂のエステル
化物は、硬化後の物性においても、何ら遜色無く、充分
に硬化し物性を発揮する。このため、例えばIC封止材
等に用いる際には、硬化サイクルを速くすることが可能
であり生産性の面で工業的に寄与する効果は大きなもの
がある。
成物は、エステル基による硬化でありながら、硬化性に
優れるものであり、従来の技術により得られたエポキシ
樹脂組成物が使用されている産業分野において、代替し
て使用することが可能であり、特に半導体の封止材とし
て用いることにより、生産性に優れるエポキシ樹脂組成
物を提供することができる。
Claims (11)
- 【請求項1】 (A)2官能以上のエポキシ化合物また
は2官能以上のエポキシ樹脂、(B)硬化剤、および、
(C)硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物におい
て、前記(B)硬化剤が、一般式(I)で表されるエス
テル含有化合物またはエステル含有樹脂であり、前記
(C)硬化促進剤が、一般式(II)または(III)
で表されるフォスファゼン化合物を必須として全硬化促
進剤中に30〜100重量%を含むことを特徴とするエ
ポキシ樹脂組成物(一般式(I)中、Xは、炭素数1〜
7の脂肪族または芳香族アルデヒド残基、炭素数8〜1
4のキシリレン誘導体残基または炭素数10〜15の脂
肪族ジエン残基を示し、R1は炭素数1〜6の直鎖、分
岐または環状のアルキル基、アリール基、アルコキシ基
を示し、その置換位置はOA基に対しオルソ位またはメ
タ位である。Aは水素原子もしくは炭素数2〜10の芳
香族または脂肪族アシル基を示し、水素原子/アシル基
のモル比が90/10〜0/100の範囲である。繰り
返し単位を示すmは、1〜50の範囲に分布し、その平
均は1〜20の範囲である。一般式(II)中、R2は
水素原子、炭素数1〜10の直鎖、分岐、環状アルキル
基、炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基を示
し、全て同一であっても異なっていてもよい。また、Y
-で示されるアニオンは、ハロゲンアニオン、ヒドロキ
シアニオン、炭素数1〜8のアルコキシアニオン、6〜
18のフェノキシアニオン、炭素数1〜6の脂肪族また
は芳香族カルボン酸から導かれる カルボキシアニオ
ン、ナフトキシアニオンを示す。一般式(III)中、
R3は水素原子、炭素数1〜10の直鎖、分岐、環状ア
ルキル基、炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基
を示し、全て同一であっても異なっていてもよい。)。 【化1】 - 【請求項2】 (B)硬化剤が、一般式(I)におい
て、Rがメチル基である、o−クレゾール、または、m
−クレゾールから誘導されるエステル含有化合物、また
は、エステル含有樹脂であることを特徴とする、請求項
1に記載したエポキシ樹脂組成物。 - 【請求項3】 (B)硬化剤が、一般式(IV)で表さ
れる、o−クレゾール、または、m−クレゾールノボラ
ックから誘導されるエステル含有化合物、または、エス
テル含有樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載
したエポキシ樹脂組成物(一般式(IV)中、Aは水素
原子もしくは炭素数2〜10の芳香族または脂肪族アシ
ル基を示し、水素原子/アシル基のモル比が90/10
〜0/100の範囲である。繰り返し単位を示すmは、
1〜50の範囲に分布し、その平均は1〜20の範囲で
ある。)。 【化2】 - 【請求項4】 (B)硬化剤が、一般式(V)で表され
る、o−クレゾール、または、m−クレゾールアラルキ
ル樹脂から誘導されるエステル含有化合物、または、エ
ステル含有樹脂であるエポキシ樹脂組成物であることを
特徴とする、請求項1に記載したエポキシ樹脂組成物
(一般式(V)中、Aは水素原子もしくは炭素数2〜1
0の芳香族または脂肪族アシル基を示し、水素原子/ア
シル基のモル比が90/10〜0/100の範囲であ
る。繰り返し単位を示すmは、1〜50の範囲に分布
し、その平均は1〜20の範囲である。)。 【化3】 - 【請求項5】 (B)硬化剤が、一般式(VI)で表さ
れる、o−クレゾール、または、m−クレゾール−ジシ
クロペンタジエン樹脂から誘導されるエステル含有化合
物、または、エステル含有樹脂であることを特徴とす
る、請求項1に記載したエポキシ樹脂組成物(一般式
(VI)中、Aは水素原子もしくは炭素数2〜10の芳
香族または脂肪族アシル基を示し、水素原子/アシル基
のモル比が90/10〜0/100の範囲である。繰り
返し単位を示すmは、1〜50の範囲に分布し、その平
均は1〜20の範囲である。) 【化4】 - 【請求項6】 一般式(I)で表されるエステル含有化
合物またはエステル含有樹脂のアシル基Aが、アセチル
基またはベンゾイル基であることを特徴とする、請求項
1乃至5の何れかに記載したエポキシ樹脂組成物。 - 【請求項7】 一般式(I)で表されるエステル含有化
合物またはエステル含有樹脂のアシル基Aが、アセチル
基およびベンゾイル基であり、アセチル基/ベンゾイル
基のモル比が99/1〜1/99であることを特徴とす
る、請求項1乃至5の何れかに記載したエポキシ樹脂組
成物。 - 【請求項8】 (A)エポキシ樹脂が、一般式(VI
I)で表されるジヒドロキシナフタレンから得られるエ
ポキシ樹脂、一般式(VIII)で表されるビフェノー
ル類から得られるエポキシ樹脂、一般式(IX)で表さ
れるノボラック型樹脂から得られるエポキシ樹脂、一般
式(X)から得られるフェノールアラルキル樹脂から得
られるエポキシ樹脂、および、一般式(XI)で表され
るフェノール−ジシクロペンタジエン樹脂から得られる
エポキシ樹脂からなる群から選択された少なくとも一つ
のエポキシ樹脂を、エポキシ樹脂成分中に20重量%〜
100重量%含むことを特徴とする、請求項1乃至7の
何れかに記載したエポキシ樹脂組成物。(一般式(VI
I)中、2,3−エポキシプロピル基の置換位置は1,
5位、1,6位、1,7位、2,6位、または2,7位
である。一般式(VIII)中、R4は水素原子または
メチル基を表し、全て同一でも異なっていてもよい。一
般式(IX)中、R5は水素原子またはメチル基を示
し、繰り返し単位を示すmは、1〜50の範囲に分布
し、その平均は1〜20の範囲である。一般式(X)
中、R6は水素原子またはメチル基を示し、繰り返し単
位を示すmは、1〜50の範囲に分布し、その平均は1
〜20の範囲である。一般式(XI)中、R7は水素原
子またはメチル基を示し、繰り返し単位を示すmは、1
〜50の範囲に分布し、その平均は1〜20の範囲であ
る。)。 【化5】 - 【請求項9】 請求項1乃至8の何れかに記載したエポ
キシ樹脂組成物に対し、(D)有機および/または無機
充填材を、(A+B)100重量部に対し、100〜1
900重量部を添加して得られるエポキシ樹脂組成物。 - 【請求項10】 請求項1乃至9の何れかに記載した
エポキシ樹脂組成物を熱硬化させて得られるエポキシ樹
脂硬化物。 - 【請求項11】 請求項1乃至9の何れかに記載した
エポキシ樹脂組成物を用いて半導体集積回路を封止して
得られる半導体装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002091900A JP3813105B2 (ja) | 2002-03-28 | 2002-03-28 | 硬化性に優れたエポキシ樹脂組成物、その硬化物およびその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
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