JP2003285346A - ポリエチレンテレフタレートの射出成形方法 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレートの射出成形方法

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JP2003285346A
JP2003285346A JP2002094187A JP2002094187A JP2003285346A JP 2003285346 A JP2003285346 A JP 2003285346A JP 2002094187 A JP2002094187 A JP 2002094187A JP 2002094187 A JP2002094187 A JP 2002094187A JP 2003285346 A JP2003285346 A JP 2003285346A
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polyethylene terephthalate
carbon dioxide
pet
injection
polymer
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JP2002094187A
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Keiji Nishiura
啓二 西浦
Akihisa Takano
彰久 高野
Noriaki Umeda
憲章 梅田
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Asahi Techno Corp
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Asahi Techno Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 未結晶ポリエチレンテレフタレートを用い、
反りがなく、しかも機械的強度に優れる成形品を効率よ
く射出成形できるようにし、ペットボトルに代表される
未結晶ポリエチレンテレフタレート成形品のリサイクル
を促進できるようにする。 【解決手段】 未結晶ポリエチレンテレフタレート成形
品の粉砕フレーク、結晶核剤、結晶化促進剤及び補強用
ゴム状重合体を射出成形機の射出機内で溶融混合する際
に、二酸化炭素を0.3重量%以上溶解させ、この溶融
ポリエチレンテレフタレート組成物を、予め二酸化炭素
で加圧した金型キャビティに射出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエチレンテレ
フタレート(以下「PET」という)の射出成形方法に
関する。さらに詳しくは、例えばペットボトルなどのブ
ロー成形品のリサイクルに利用することができるPET
の射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、PETは、結晶化速度が遅いた
め、金型温度を高くしなければ十分に結晶化した剛性の
ある射出成形品を得ることができず、成形効率が悪いこ
とから、結晶核剤と結晶化促進剤を添加し、金型温度を
低くしても良好な結晶化速度と結晶化度が得られるよう
にして射出成形することが行われている(特開2001
−191366号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記結
晶化核剤と結晶化促進剤を添加しても、反りがなく、し
かも機械的強度に優れる射出成形品を効率よく成形しに
くい問題がある。特にペットボトルなどのブロー成形品
に代表される未結晶PET成形品の粉砕フレークを用い
て射出成形する場合、原料が成形履歴により低分子量化
しており、上記問題をより顕著に生じやすいことから、
近年消費量が増大しているペットボトルをリサイクルす
る大きな障害となっている。
【0004】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたもので、未結晶PETを用い、反りがなく、しかも
機械的強度に優れる成形品を効率よく射出成形できるよ
うにすることを第1の目的とする。また、本発明は、ペ
ットボトルなどのブロー成形品に代表される未結晶PE
T成形品のリサイクルを促進できるようにすることを第
2の目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、上記第
1の目的のために、結晶核剤、結晶化促進剤及び補強用
ゴム状重合体と、0.3重量%以上の二酸化炭素とを含
有する溶融PET組成物を、予め二酸化炭素で加圧した
金型キャビティに射出することを特徴とするPETの射
出成形方法を提供するものである。
【0006】本発明の第2は、やはり前記第1の目的の
ために、PET、結晶核剤、結晶化促進剤及び補強用ゴ
ム状重合体を射出成形機の射出機内で溶融混合して溶融
PET組成物とする際に、射出機内に二酸化炭素を供給
して、0.3重量%以上の二酸化炭素を含有する溶融P
ET組成物とし、この溶融PET組成物を、予め二酸化
炭素で加圧した金型キャビティに射出することを特徴と
するPETの射出成形方法を提供するものである。この
本発明の第2は、前記第2の目的のために、PETとし
て、未結晶PET成形品の粉砕フレークを用いることを
その好ましい態様として含むものである。
【0007】本発明の第3は、前記第2の目的のため
に、結晶核剤、結晶化促進剤及び補強用ゴム状重合体を
PETに練り込み、しかも二酸化炭素を含有させたマス
ターバッチと、未結晶PET成形品の粉砕フレークとを
射出成形機の射出機で溶融混合し、二酸化炭素を0.3
重量%以上含有する溶融PET組成物とし、この溶融P
ET組成物を、予め二酸化炭素で加圧した金型キャビテ
ィに射出することを特徴とするPETの射出成形方法を
提供するものである。
【0008】さらに本発明の第4は、前記第2の目的の
ために、結晶核剤、結晶化促進剤及び補強用ゴム状重合
体をPETに練り込んだマスターバッチと、未結晶PE
T成形品の粉砕フレークとを射出成形機の射出機内で溶
融混合して溶融PET組成物とする際に、射出機内に二
酸化炭素を供給して、0.3重量%以上の二酸化炭素を
含有する溶融PET組成物とし、この溶融PET組成物
を、予め二酸化炭素で加圧した金型キャビティに射出す
ることを特徴とするPETの射出成形方法を提供するも
のである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で用いるPETとは、少な
くとも90モル%以上がエチレングリコールであるジオ
ール成分と、少なくとも90モル%以上がテレフタル酸
であるジカルボン酸成分との重合反応によって得られる
熱可塑性樹脂をいう。本発明で用いるPETは、未使用
品とリサイクル品のいずれでもよいが、反りが小さく、
機械的強度に優れる射出成形品を得やすいことから、エ
チレングリコールと高純度のテレフタル酸の直接重合反
応により製造された、主鎖にエステル結合を持つ直鎖状
のものが好ましい。
【0010】本発明においては、上記PETを、結晶核
剤、結晶化促進剤及び補強用ゴム状重合体を添加すると
共に、0.3重量%以上の二酸化炭素を溶解させた溶融
PET組成物とし、この溶融PET組成物を、予め二酸
化炭素で加圧した金型キャビティに射出することでPE
Tの射出成形品を成形する。
【0011】上記結晶核剤としては、PETの結晶生成
時に球晶の数を増大させるものであれば無機物でも有機
物でもよい。具体的には、例えば、タルク、クレーなど
の粘土類;酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アルミナ、酸
化鉄などの金属酸化物;炭酸塩(例えば炭酸マグネシウ
ムなど)、ケイ酸塩、硫酸塩(例えば硫酸バリウムな
ど)、リン酸塩などの無機塩;モノカルボン酸の金属塩
(例えばリチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、
カルシウム塩、バリウム塩など)、安息香酸の金属塩
(例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩な
ど)、有機燐化合物の金属塩(例えばマグネシウム塩、
亜鉛塩など)などの有機酸塩;アイオノマー、ポリエス
テルオリゴマーのアルカリ金属塩、全芳香族ポリエステ
ルなどの高分子微粉末;カーボンブラック、グラファイ
ト、アルミニウムなどの無機単体粉末を挙げることがで
きる。これらの結晶核剤は、単独又は2種以上を組み合
わせて使用することができる。また、これらの結晶核剤
の中でも、結晶化促進効果に優れることから、タルクが
好ましい。
【0012】結晶化促進剤としては、PETの可塑剤と
して作用する低分子化合物又は高分子化合物を用いるこ
とができ、特に融点が80°以下のものが好適に使用で
きる。上記低分子化合物としては、例えばベンゾフェノ
ンなどのケトン;テトラクロルエタンなどのハロゲン化
炭化水素;ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ト
リフェニルフォスフェート、フタル酸エステルなどのエ
ステル;N−置換芳香族アミドなどのアミド類を挙げる
ことができる。上記高分子化合物としては、例えばカプ
ロラクトンその他の各種脂肪族ポリエステル類;末端封
鎖脂肪族ポリエステル類;ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなど
のポリグリコール類;末端封鎖ポリグリコール類;脂環
式カルボン酸変性ポリオレフィンなどのポリオレフィン
類;ナイロン6などのポリアミドを挙げることができ
る。これらの結晶化促進剤は、単独又は2種以上を組み
合わせて使用することができる。
【0013】本発明における結晶核剤の添加量は、PE
T100重量部に対して0.25〜5.0重量部である
ことが好ましい。また、結晶化促進剤の添加量は、PE
T100重量部に対して4〜10重量部であることが好
ましい。本発明においては、二酸化炭素を溶解させるこ
とでPETの結晶化速度を向上させることができるの
で、この二酸化炭素を使用しない場合に比して結晶核剤
と結晶化促進剤の添加量を少なくすることができ、特に
可塑剤である結晶化促進剤の添加量を減らすことによ
り、機械的強度に優れた射出成形品が得やすい利点があ
る。
【0014】上記結晶核剤と結晶化促進剤の添加量は、
使用するPETの種類によっても相違するが、少な過ぎ
ると、結晶化度が小さくなりやすく、逆に多過ぎると、
結晶化度は高くなるが、PET本来の物性が損なわれや
すく、いずれも得られる射出成形品の機械的強度が低下
しやすくなる。
【0015】本発明で用いる補強用ゴム状重合体は、P
ET組成物中に粒子状に分散し、得られる射出成形品の
機械的強度、特に耐衝撃性を高める補強材として作用す
るもので、PETとの相溶性をもたらす官能基を有する
ゴム状重合体を用いることができる。
【0016】上記官能基を有するゴム状重合体として
は、例えばα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体
(例えば無水物、エステル化合物、アミド化物、エステ
ル化物、アミド化物、イミド化物)でグラフト変性した
ゴム状重合体を用いることができる。ゴム状重合体とし
ては、例えばスチレン−ブタジエンブロック共重合体
(SBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体
(SIS)及びこれらの水素添加物、例えばスチレン−
エチレン−ブチレンブロック共重合体(SEBS)、ス
チレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SE
BS)、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重
合体(SEPS)、エチレン−プロピレン−ジェンエラ
ストマー(EPDM)、エチレン−ブテン共重合体、エ
チレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合
体、プロピレン−ブテン共重合体などが挙げられる。こ
れらのゴム状重合体への前記α,β−不飽和カルボン酸
又はその誘導体の付加量は、ゴム状重合体100重量部
当たり0.01〜20重量部であることが好ましく、更
に好ましくは0.1〜10重量部である。
【0017】また、上記官能基を有するゴム状重合体と
しては、上記のSBS、SIS及びこれらの水素添加物
(例えばSEBS、SEPS)などのゴム状重合体につ
いて、アニオン重合する段階で、水酸基、エポキシ基、
カルボン酸基、酸無水物基、アミド基、アミノ基、シラ
ノール基、イソシアネート基などの官能基を少なくとも
1つ結合させたものも利用できる。また、これらの官能
基を有するゴム状重合体に前記α,β−不飽和カルボン
酸又はその誘導体を更に反応させたものも利用すること
ができる。
【0018】本発明において、上記官能基を有するゴム
状重合体は、それが有する水酸基、エポキシ基、カルボ
ン酸基、酸無水物基、アミド基、アミノ基、シラノール
基、イソシアネート基などの官能基がPETと反応する
ことによるPETとの相溶性を有し、PET組成物中に
粒子状に分散することで、補強効果をもたらす。
【0019】本発明において、上記補強用ゴム状弾性体
の分子量は、3万〜100万であることが好ましい。分
子量が小さ過ぎると、十分な補強効果が得にくく、分子
量が大き過ぎると、良好な分散性が得にくくなる。ま
た、補強用ゴム状弾性体の添加量は、PET100重量
部に対して0.5〜50重量部であることが好ましく、
更に好ましくは1〜30重量部である。添加量が少な過
ぎると、十分な補強効果が得にくく、添加量が多過ぎる
と、得られる成形品の剛性が低下しやすくなる。
【0020】本発明において、上述した結晶核剤、結晶
化促進剤及び補強用ゴム状重合体と、二酸化炭素とを含
有する溶融PET組成物とする方法としては、(1)結
晶核剤、結晶化促進剤、補強用ゴム状重合体及びニ酸化
炭素をいずれも射出成形機の射出機内でPETに添加す
る方法と、(2)結晶核剤、結晶化促進剤、補強用ゴム
状重合体及びニ酸化炭素を高濃度に含有するPETのマ
スターバッチを予め用意しておき、このマスターバッチ
を射出成形機の射出機内でPETに添加混合する方法
と、(3)結晶核剤、結晶化促進剤及び補強用ゴム状重
合体を高濃度に含有するPETのマスターバッチを予め
用意しておき、このマスターバッチを射出成形機の射出
機内でPETに添加混合するする際に射出機内に二酸化
炭素を供給して溶解させる方法とがある。いずれの方法
においても、二酸化炭素は、PETの可塑剤として作用
し、上記結晶核剤、結晶化促進剤及び補強用ゴム状重合
体の混合分散を助けると共に、PETの結晶化速度を向
上させる働きをなすが、射出成形後は成形品から揮散
し、成形品に残留することがない。従って、本発明にお
いては、特に可塑剤でもある結晶化促進剤の添加量を少
なく押さえても、低い金型温度で良好な結晶化速度を得
ることが可能で、多量の結晶化促進剤を添加することに
よる成形品の耐熱性、剛性などの物性の低下を防止する
ことができる。また、二酸化炭素を含有させることによ
り、PET組成物中に粒子状に分散される補強用ゴム状
重合体の粒子径を大きくすることができ、二酸化炭素を
添加しない場合に比して、良好な補強効果を得ることが
できる。
【0021】以下、上記(1)〜(3)の方法について
更に説明する。
【0022】まず、(1)の方法は、PETを射出成形
機の射出機内で溶融混練する際に、結晶核剤、結晶化促
進剤、補強用ゴム状重合体を添加し、これらを溶融した
PETに混合分散すると共に、射出機内に二酸化炭素を
注入して溶融PETに溶解させることで行われる。
【0023】射出機内への二酸化炭素の注入は、シリン
ダのベント部や、スクリュの中間部又は先端部からシリ
ンダ内に二酸化炭素を注入することで行うことができ
る。シリンダ内への二酸化炭素の注入は、注入を容易に
するために、注入箇所のスクリュの溝深さを深くしてお
き、当該箇所の溶融樹脂圧を低くして行うことが好まし
い。また、二酸化炭素の注入を伴う射出機でのPETの
溶融混練は、PETに溶解した二酸化炭素の発泡圧力に
よってスクリュが後退しないよう、スクリュに適当な背
圧を加えて行うことが好ましい。
【0024】射出機としては、スクリュが回転しても、
溶融樹脂のドルリングが生じないように、バルブノズル
を有するものを用いることが好ましい。また、スクリュ
先端部の構造がミキシング性に優れた構造であることが
好ましい。例えば、先端部にダルメージ式、マット式、
ピン式又はダブルフライト式などのミキシングピースを
有するスクリュ構造であることが好ましい。
【0025】次に、前記(2)の方法は、結晶核剤、結
晶化促進剤及び補強用ゴム状重合体を高濃度に含有する
と共に、二酸化炭素を高濃度に含有するPETのマスタ
ーバッチを用いる方法で、このマスターバッチの製造方
法としては、次の3つの方法がある。即ち、押出機で結
晶核剤、結晶化促進剤及び補強用ゴム状重合体をPET
に混合分散させてペレット化した後に、このペレツトを
二酸化炭素雰囲気内に置いて二酸化炭素を含浸させる方
法と、押出機で結晶核剤、結晶化促進剤及び補強用ゴム
状重合体をPETに混合分散させてペレット化する際
に、当該押出機内に二酸化炭素を注入する方法と、この
両者を併用する方法、つまり、押出機に二酸化炭素を注
入してペレット化し、得られたペレットを更に二酸化炭
素雰囲気下に置く方法である。押出機による溶融混練時
に二酸化炭素を注入すると、二酸化炭素の可塑化作用に
より、結晶核剤、結晶化促進剤及び補強用ゴム状重合体
を高濃度に混合分散させやすい利点がある。
【0026】上記マスターバッチにおける結晶核剤、結
晶化促進剤、補強用ゴム状重合体及びニ酸化炭素の含有
量は、このマスターバッチを射出成形機の射出機でPE
Tに添加して溶融混練し、溶融PET組成物とした際
に、溶融PET組成物中の結晶核剤、結晶化促進剤、補
強用ゴム状重合体及びニ酸化炭素の含有量が必要な含有
量となるよう、PETに対するマスターバッチの添加量
に応じて定めておけばよい。
【0027】更に、前記(3)の方法は、二酸化炭素を
除いて、結晶核剤、結晶化促進剤及び補強用ゴム状重合
体を高濃度に含有するPETのマスターバッチを予め押
出機で製造しておき、このマスターバッチを射出成形機
の射出機でPETと溶融混練する際に、マスターバッチ
に含有されていなかった二酸化炭素を前記(1)の方法
と同様にして溶解させる方法である。
【0028】前記(1)〜(3)のいずれの方法におい
ても、射出成形機の射出機で溶融混練したPET組成物
中の二酸化炭素溶解量は、0.3重量%以上であること
が必要で、0.5重量部以上であることが好ましい。溶
融PET組成物中の二酸化炭素の溶解量が少な過ぎる
と、上記結晶化速度の向上作用及び補強用ゴム状重合体
粒子径の増大作用が不十分となり、必要な低温下での結
晶化速度及び補強用ゴム状重合体による補強効果が得に
くくなる。また、溶融PET組成物中の二酸化炭素の溶
解量の上限は、特に制限はないが、多量の二酸化炭素を
溶解させるためには設備的負担が大きくなることから、
実用上3.0重量以下である。
【0029】本発明において、溶融PET組成物中の二
酸化炭素の含有量WCO(重量%)は、二酸化炭素を溶解
させた溶融PET組成物による射出成形直後の成形品の
重量W1と、同じ成形品を200℃の乾燥雰囲気中に2
4時間放置した後の重量W2とから下記式によって求め
られた値をいう。
【0030】WCO=100×(W1−W2)/W1
【0031】前記(1)の方法におけるPETは、ブロ
ー成形品に代表される未結晶PET成形品のリサイクル
を促進する上で、未結晶ポリエチレンテレフタレート成
形品の粉砕フレークであることが好ましい。また、前記
(2)及び(3)の方法においては、マスターバッチに
使用するPETは、繰り返しの熱履歴による物性劣化を
押さえるために未使用PETであることが好ましいが、
マスターバッチの添加対象であるPETは、同様の理由
から、未結晶ポリエチレンテレフタレート成形品の粉砕
フレークであることが好ましい。
【0032】本発明においては、上記(1)〜(3)の
いずれかの方法により射出成形機の射出機内に準備した
溶融PET組成物を、予め二酸化炭素で加圧した金型キ
ャビティに射出することで成形を行う。金型キャビティ
の二酸化炭素による加圧は、二酸化炭素を溶解させた溶
融PET組成物が、射出時にそのフローフロントで発泡
することを抑制するためのもので、溶融PET組成物の
二酸化炭素含有量によっても相違するが、このフローフ
ロントでの発泡を十分抑制できる圧力としておくことが
好ましい。また、射出成形時の成形温度条件は、使用す
るPETの種類、結晶化促進剤と二酸化炭素の含有量に
もよるが、溶融PET組成物温度が240〜285℃、
金型温度がPET組成物のガラス転移温度±25℃の範
囲であることが好ましい。
【0033】
【実施例】実施例1及び2 未結晶PET成形品の粉砕フレーク(ペットボトルのリ
サイクルフレーク)を用い、縦250mm、横150m
m、厚さ3mmで、中央部に高さ4mm、幅6mmのリ
ブを有する平板を射出成形し、反り量(成形品中央部と
端部間の厚さ方向のずれ量)を測定した。
【0034】未結晶PET成形品の粉砕フレークとして
は、ペットボトルリサイクルフレークを用い、このペッ
トボトルリサイクルフレーク100重量部に対して、タ
ルク(結晶核剤)2重量部、末端ベンゾエート化ポリブ
チレンアジペート(結晶化促進剤、分子量4000)4
重量部、補強用ゴム状重合体(旭化成製「タフテックM
1943」)5重量部を添加した。射出成形機(住友重
機製「SG220」)を用い、シリンダの中間部より8
MPaの圧力で二酸化炭素を注入して、0.75重量%
の二酸化炭素を含有する溶融PET組成物とした。射出
機のシリンダ温度は280℃、スクリュ回転数は120
rpm、スクリュ背圧は4kg/cm2とした。
【0035】得られた溶融PET組成物を、直径1.2
mmのピンゲートから金型キャビティ内に射出し、前記
成形品を成形した。射出時間は10秒、冷却時間は35
秒、射出時の充填圧力は42kg/cm2とし、金型温
度は実施例1で50℃、実施例2で20℃とした。
【0036】得られた成形品の反り量を表1に示す。
【0037】比較例1及び2 射出機のシリンダへの二酸化炭素の注入を行わなかった
ことと、射出時の充填圧力を49kg/cm2とした他
は実施例1及び2と同様にして同様の成形品の成形を行
った。
【0038】得られた成形品の反り量を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】実施例3 押出機を用い、未使用PET100重量部に対して、タ
ルク(結晶核剤)5重量部、末端ベンゾエート化ポリブ
チレンアジペート(結晶化促進剤、分子量4000)5
0重量部、補強用ゴム状重合体(旭化成製「タフテック
M1943」)40重量部、着色剤2.5重量部を添加
すると共に、シリンダの中間部より12MPaの圧力で
二酸化炭素を注入して、溶融混練物をダイスより押し出
し、常温常圧下でペレットとした。得られたペレットの
二酸化炭素含有量は0.90重量%であった。このペレ
ットを、更に3MPaの二酸化炭素雰囲気に24時間放
置し、本発明のマスターバッチ(本発明品)とした。こ
のマスターバッチの二酸化炭素含有量は1.4重量%で
あった。
【0041】次に、未結晶PET成形品の粉砕フレーク
75重量部に対して、上記マスターバッチ25重量部を
添加し、シリンダへの二酸化炭素の注入を行わなかった
他は実施例1と同様の条件で射出機で溶融混練して、
0.35重量%の二酸化炭素を含有するPET組成物と
した。
【0042】上記PET組成物により、実施例1と同様
の条件下で同様の成形を行い、得られた成形品における
補強用ゴム状重合体の粒子径、結晶化度、剛性(AST
MD790)、IZOD(ASTM D256)、HD
T(ASTM D648)及び反り量を測定した。
【0043】測定結果を表2に示す。尚、表2における
CO2含有量は、射出機中のPET組成物におけるCO2
含有量である。
【0044】比較例3 押出機のシリンダーへ二酸化炭素を注入しなかった他は
実施例3と同様にして得たペレットを二酸化炭素雰囲気
に置くことなくそのままマスターバッチ(比較品)とし
て用いた他は実施例3と同様にして同様の成形品を成形
し、同様の測定項目について測定を行った。
【0045】測定結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】実施例4 射出成形機(住友重機製「SG220」)を用い、未結
晶PET成形品の粉砕フレーク100重量部に対して、
タルク(結晶核剤)4重量部、末端ベンゾエート化ポリ
ブチレンアジペート(結晶化促進剤、分子量4000)
2重量部、補強用ゴム状重合体(旭化成製「タフテック
M1943」)5重量部を添加し、二酸化炭素の注入圧
力を17MPaとした他は実施例1と同様の条件で射出
機で溶融混練して、1.50重量%の二酸化炭素を含有
するPET組成物とした。
【0048】上記PET組成物により、実施例1と同様
の条件下で同様の成形を行い、得られた成形品における
結晶化度、剛性、IZOD、HDT及び反り量を測定し
た。
【0049】測定結果を表3に示す。
【0050】比較例4及び5 末端ベンゾエート化ポリブチレンアジペートの添加量
を、比較例4では4重量部、比較例5では8重量部と
し、二酸化炭素の注入を行わなかった他は実施例4と同
様にして同様の成形品を成形し、同様の測定項目につい
て測定を行った。
【0051】測定結果を表3に示す。
【0052】
【表3】
【0053】
【発明の効果】本発明は、以上説明したとおりのもので
あり、PETを用い、反りがなく、しかも機械的強度に
優れる成形品を効率よく射出成形できるものである。ま
た、本発明は、ペットボトルなどのブロー成形品に代表
される未結晶PET成形品の粉砕フレークを用いても、
同様に反りがなく、しかも機械的強度に優れる成形品を
効率よく射出成形できるので、そのリサイクルを促進で
きるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅田 憲章 東京都港区虎ノ門3丁目1番10号 旭化成 テクノプラス株式会社内 Fターム(参考) 4F202 AA24 AB08 AB11 AH55 AM26 CA11 CA15 CB01 CK90 CS10 4F206 AA24 AB08 AB11 AB18 AM26 JA07 JF01 JF02 JF06 JL02 JM04 JN11 JN27 JQ81

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶核剤、結晶化促進剤及び補強用ゴム
    状重合体と、0.3重量%以上の二酸化炭素とを含有す
    る溶融ポリエチレンテレフタレート組成物を、予め二酸
    化炭素で加圧した金型キャビティに射出することを特徴
    とするポリエチレンテレフタレートの射出成形方法。
  2. 【請求項2】 ポリエチレンテレフタレート、結晶核
    剤、結晶化促進剤及び補強用ゴム状重合体を射出成形機
    の射出機内で溶融混合して溶融ポリエチレンテレフタレ
    ート組成物とする際に、射出機内に二酸化炭素を供給し
    て、0.3重量%以上の二酸化炭素を含有する溶融ポリ
    エチレンテレフタレート組成物とし、この溶融ポリエチ
    レンテレフタレート組成物を、予め二酸化炭素で加圧し
    た金型キャビティに射出することを特徴とするポリエチ
    レンテレフタレートの射出成形方法。
  3. 【請求項3】 ポリエチレンテレフタレートとして、未
    結晶ポリエチレンテレフタレート成形品の粉砕フレーク
    を用いることを特徴とする請求項2に記載のポリエチレ
    ンテレフタレートの射出成形方法。
  4. 【請求項4】 結晶核剤、結晶化促進剤及び補強用ゴム
    状重合体をポリエチレンテレフタレートに練り込み、し
    かも二酸化炭素を含有させたマスターバッチと、未結晶
    ポリエチレンテレフタレート成形品の粉砕フレークとを
    射出成形機の射出機で溶融混合し、二酸化炭素を0.3
    重量%以上含有する溶融ポリエチレンテレフタレート組
    成物とし、この溶融ポリエチレンテレフタレート組成物
    を、予め二酸化炭素で加圧した金型キャビティに射出す
    ることを特徴とするポリエチレンテレフタレートの射出
    成形方法。
  5. 【請求項5】 結晶核剤、結晶化促進剤及び補強用ゴム
    状重合体をポリエチレンテレフタレートに練り込んだマ
    スターバッチと、未結晶ポリエチレンテレフタレート成
    形品の粉砕フレークとを射出成形機の射出機内で溶融混
    合して溶融ポリエチレンテレフタレート組成物とする際
    に、射出機内に二酸化炭素を供給して、0.3重量%以
    上の二酸化炭素を含有する溶融ポリエチレンテレフタレ
    ート組成物とし、この溶融ポリエチレンテレフタレート
    組成物を、予め二酸化炭素で加圧した金型キャビティに
    射出することを特徴とするポリエチレンテレフタレート
    の射出成形方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007269019A (ja) * 2006-03-10 2007-10-18 Asahi Kasei Chemicals Corp 結晶性熱可塑性樹脂の射出成形法
JP2012020514A (ja) * 2010-07-15 2012-02-02 Nissan Motor Co Ltd 射出成形方法、及び射出成形型

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