JP2001277279A - 回収樹脂射出成形品 - Google Patents

回収樹脂射出成形品

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JP2001277279A
JP2001277279A JP2000101847A JP2000101847A JP2001277279A JP 2001277279 A JP2001277279 A JP 2001277279A JP 2000101847 A JP2000101847 A JP 2000101847A JP 2000101847 A JP2000101847 A JP 2000101847A JP 2001277279 A JP2001277279 A JP 2001277279A
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Daisuke Mizushima
大介 水島
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Chuo Kaseihin Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プラスチック成形品からの回収樹脂や成形中に
発生するランナーなどからの回収樹脂を用い、異物混入
による影響を抑制した品質の良好な回収樹脂射出成形品
を提供する。 【解決手段】重量平均繊維長が1mm以上の繊維5〜50
重量%を含む回収樹脂射出成形品である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は回収樹脂射出成形品
に関し、さらに詳しくは、プラスチック成形品からの回
収樹脂や成形中に発生するランナーなどからの回収樹脂
(一般にリサイクル樹脂と称せられる)を用いた品質の
良好な回収樹脂射出成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、容器包装リサイクル法や家電製品
リサイクル法などの各種法令により、合成樹脂のリサイ
クルが義務付けられ、その有効なリサイクル方法が求め
られている。合成樹脂のリサイクル方法として、これま
で各種の方法が提案され、実施されており、その方法と
しては、例えばマテリアルリサイクル方法、ケミカルリ
サイクル方法、サーマルリサイクル方法などが知られて
いる。これらの中で、マテリアルリサイクル方法は、素
材を最も有効に、かつ低エネルギー消費で利用するもの
であり、最も好ましいとされている。回収樹脂のマテリ
アルリサイクル方法としては、一般に多層構造の成形品
の内部コア材に回収樹脂を使用する方法が用いられてい
る。この場合の射出成形は、一般にサンドイッチ射出成
形法と呼ばれており、そして、表層がバージン樹脂で、
内部のコア材が回収樹脂からなるサンドイッチ構造の射
出成形品を成形する方法などが行われている。しかしな
がら、このようなサンドイッチ射出成形法では、成形品
の形状が複雑になると、均一な表層及びコア層の厚み比
率を有する成形品が得られにくく、したがって、該成形
品のコア材として少量の回収樹脂を含有させた射出成形
品が利用されているのが実状である。そこで、バージン
樹脂の使用量をできるだけ少なくし、回収樹脂をできる
だけ多く使用し、しかも性能に優れる成形品を得ること
が要求されている。回収樹脂を使用する場合における共
通の最大の問題として、該樹脂中に混入する異物によっ
て、成形品の品質が低下することを挙げることができ
る。しかも、この異物混入量は常に一定ではなく、多量
に混入した際の成形品品質の確保が大きな課題となって
いる。このため、従来、これらの回収樹脂成形品は、外
観、物性、流動性などをあまり必要としない低付加価値
の厚肉成形品用途に使用されてきた。異物が混入した回
収樹脂を射出成形品として再利用する場合、種々の問題
があるが、その1つとして成形品中に異物が存在するた
めに生じる応力集中などによる耐衝撃性などの低下が挙
げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、異物の混入による影響、例えば異物の混
入による耐衝撃性の低下などを抑制し、品質が良好で、
付加価値の高い用途に利用し得る回収樹脂射出成形品を
提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、異物混入
の影響の少ない回収樹脂射出成形品について鋭意研究を
重ねた結果、重量平均繊維長がある値以上の繊維、好ま
しくはガラス繊維を特定の割合で含む回収樹脂射出成形
品が、前記目的に適合し得ることを見出し、この知見に
基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、(1)重量平均繊維長が1mm以上の繊維5〜50重
量%を含むことを特徴とする回収樹脂射出成形品、
(2)繊維がガラス繊維である第1項記載の回収樹脂射
出成形品、(3)回収樹脂が回収ポリエチレンテレフタ
レート樹脂である第1項又は第2項記載の回収樹脂射出
成形品、及び(4)o−クロロフェノール中において、
30℃で測定した固有粘度が0.6〜1.0デシリットル
/gの回収ポリエチレンテレフタレート樹脂に、重量平
均繊維長が5〜20mmのガラス繊維60〜90重量%を
含有するマスターバッチを、ガラス繊維として組成物全
量に基づき5〜50重量%の割合で配合すると共に、組
成物全量に基づき、結晶化核剤0.1〜10重量%及び
/又は結晶化促進剤0.1〜20重量%を配合した樹脂
組成物を射出成形してなる第3項記載の回収樹脂射出成
形品、を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の射出成形品の素材として
用いられる回収樹脂とは、合成樹脂成形品の不良品や実
用された後の成形品、さらには樹脂成形中に発生するラ
ンナーなどを回収して粉砕処理し、あるいはさらにそれ
をペレット化した樹脂のことである。この回収された樹
脂中には、成形品表面に後加工された塗料片、印刷片、
ホットスタンプ片などが一般に含まれることが多く、さ
らに各種のゴミや異種の樹脂が混入していることが多
い。本発明においては、これらの異物が混入した回収樹
脂も用いることができる。また、該回収樹脂の種類とし
ては、一般の射出成形やブロー成形などに使用できる熱
可塑性樹脂、具体的には、ポリスチレン、スチレン−ア
クリロニトリル共重合体、ゴム強化ポリスチレン、スチ
レン−メチルメタクリレート共重合体、ABS樹脂、ス
チレン−メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体な
どのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、メチ
ルメタクリレート−スチレン共重合体などのメタクリル
系樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−エチレン共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの塩化ビニー
ル系樹脂などの非結晶性樹脂;あるいはポリビニルアセ
テート、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルや
ポリスチレンなどを配合した変性ポリフェニレンエーテ
ル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテ
ルイミド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアセタール、
ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。これら
の樹脂は単体であってもよいし、2種以上のブレンド物
であってもよく、また2種以上からなるポリマーアロイ
であってもよい。これらの回収樹脂の中で、ポリエチレ
ンテレフタレート(以後PETと略称する)は特に良好
に使用できる。本発明における回収PETとは、PET
ボトル、該ボトル再生品から成形したシート及び該シー
トの真空成形品(卵の包装パックなど)等の回収PE
T、及び該回収PETに各種配合物を配合した樹脂であ
る。本発明の回収樹脂射出成形品は、重量平均繊維長が
1mm以上の繊維を5〜50重量%の範囲で含むことが必
要である。該繊維の含有量が5重量%未満では異物混入
による品質の低下を抑制する効果が十分に発揮されず、
本発明の目的が達せられないし、50重量%を超えると
成形性が悪くなる。成形品の品質及び成形性などを考慮
すると、この繊維の好ましい含有量は、10〜40重量
%の範囲である。また、重量平均繊維長が1mm未満では
異物混入による品質の低下を抑制する効果が十分に発揮
されず、本発明の目的が達せられない。本発明において
用いられる繊維としては、一般に熱可塑性樹脂の強化材
として慣用されている各種繊維、例えばガラス繊維、炭
素繊維、アラミド繊維などを好ましく使用することがで
きる。これらの繊維は単独で用いてもよいし、2種以上
を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、特にガ
ラス繊維が好適である。射出成形に使用されるガラス繊
維強化樹脂としては、短く裁断したガラス繊維をペレッ
トに練り込んだ樹脂が多いが、近年、長繊維強化熱可塑
性樹脂射出成形品が紹介されている。例えば引抜成形法
などにより、長繊維を熱可塑性樹脂で被覆するようにし
て均一に含浸させ、分散をよくし、界面の密着を良好な
ものにして5〜15mm程度の長さに切断したペレットを
用いた射出成形が行われている。この長繊維配合ペレッ
ト中の長繊維は射出成形時に射出シリンダや金型でせん
断力などにより切断されて、繊維長は大幅に低下し、一
般の射出成形では1mm以下になることが多い。
【0006】長繊維配合樹脂成形用に改良された特殊な
射出成形機や射出成形条件を選択して成形し、射出成形
品中の繊維長を極力長くする試みがなされているが、未
だ一般的に広く使用されるところまでは至っていない。
本発明は長繊維配合樹脂を用い、射出成形機や射出成形
条件を選択して射出成形して、射出成形品中の繊維長を
極力長くすることと、回収樹脂を組み合わせることによ
り、回収樹脂射出成形品固有の欠点を極力現れにくくし
た成形品である。すなわち、射出成形機や射出成形条件
を選択して成形し、回収樹脂射出成形品中の繊維長を1
mm以上とした成形品である。射出成形時の各段階でのガ
ラス繊維長の変化については、「Kunststoff
e」第79巻、第624ページ(1989年)などに報
告されている。射出成形品中のガラス繊維長を長くする
には、樹脂の温度を極力高く保持し、溶融粘度を低くし
て成形する方法や、樹脂にかけるせん断速度を極力小さ
くして成形する方法が好ましい。したがって、樹脂の混
練はせん断力で行うよりも、スタティックミキサーのよ
うな混練様式が好ましい。本発明においては、ガラス繊
維あるいは炭素繊維のマスターバッチ、すなわち繊維を
樹脂中に分散させやすい分散性に優れる樹脂に、重量平
均繊維長が5〜20mmのガラス繊維あるいは炭素繊維
を、マスターバッチ全量に基づき60〜90重量%の割
合で配合したペレットからなるマスターバッチを、回収
樹脂にブレンドして射出成形する方法を好ましく採用す
ることができる。特に上記のガラス繊維マスターバッチ
を回収PETにブレンドして射出成形するのが好適であ
る。射出成形品中の繊維長を長くするには、原料樹脂中
の繊維長は長い方が好ましいが、成形機ホッパでの樹脂
の食い込みなどから、ペレット長(繊維長にほぼ等し
い)は、一般に20mm以下が好ましく、さらに好ましく
は15mm以下である。繊維の重量平均繊維長が5mm未満
では射出成形品中の繊維の重量平均繊維長が1mm未満に
なりやすい。このような理由から、マスターバッチ中の
繊維の重量平均繊維長は8〜15mmの範囲がより好まし
い。次に、本発明において、回収樹脂として好適に使用
されるPETについて説明する。PETの射出成形には
一般にガラス繊維配合樹脂の射出成形が広く使用され、
その結晶化させた射出成形品が耐熱性、剛性に優れたエ
ンジニアリングプラスチック樹脂成形品として広く使用
されている。PETは結晶化速度が遅いことから、PE
Tの射出成形の長年の課題は、低い金型温度で射出成形
を行っても成形品の結晶化度を十分に上げることにあ
り、このため樹脂に適度な結晶化促進剤や結晶化核剤を
配合した成形材料を創り出すことにあった。適度な結晶
化促進剤や結晶化核剤を配合しない場合、金型温度を1
00℃以上に高くして射出成形しないと十分に結晶化し
た射出成形品は得られにくい。十分に結晶化させること
により、射出成形品に高耐熱性、高剛性を付与すること
が追求されてきた。一方、PETの結晶化速度が遅いこ
とを利用して、透明な二軸延伸PETボトルが広く使用
されている。二軸延伸PETボトルの成形では、分子量
の大きなPETを用いて成形中に結晶化が起こらないよ
うにしている。更に、最近PETに第三成分を共重合し
て成形時の溶融粘度を高め、結晶化速度を遅くしたダイ
レクトブロー成形用PETも使用されるようになった
(本発明におけるPETにはこのような第三成分を共重
合したPETも含む)。近年この二軸延伸PETボトル
が多量に使用され、それがそのまま廃棄物として廃棄さ
れるようになり、したがってこの再利用が強く求めら
れ、最近ではその回収利用がかなりすすんでいる。二軸
延伸PETボトルの回収においては、集積されたボトル
の洗浄、粉砕、異物除去処理が行われ、さらに、乾燥さ
れて再生フレークとされる。これがそのまま、あるいは
ペレット化されて回収PETとして繊維用等に使用され
る。
【0007】PETの重合度は、一般に固有粘度数[I
V値(デシリットル/g)]で表される。例えばo−ク
ロロフェノール中、30℃で測定した値で表現し、しょ
う油、ソース、洗剤用には0.65〜0.75デシリット
ル/g程度、炭酸飲料、ジュース用には0.75〜0.9
デシリットル/g程度、化粧用品用には0.9〜1.0デ
シリットル/g程度のPETが使用されている。なお、
ここで述べるIV値(デシリットル/g)とは、1g/
1デシリットルのPETを含むo−クロロフェノール溶
液で30℃にて測定した粘度と、30℃の溶剤(o−ク
ロロフェノール)の粘度との相対粘度比から、1を差し
引いた値であり、本発明で用いるIV値はこの値を示す
こととする。本発明においては、回収PETとして、o
−クロロフェノール中、30℃で測定した上記IV値が
0.6〜1.0デシリットル/g、好ましくは0.65〜
0.9デシリットル/gの範囲にあるものを用いるのが
有利である。このIV値が0.6デシリットル/g未満
では射出成形品の強度が不足するおそれがあるし、1.
0デシリットル/gを超えると成形性が低下するおそれ
が生じる。本発明の回収樹脂射出成形品は、例えば回収
PETに、前記のガラス繊維を含むマスターバッチと共
に、所望により各種の添加成分を配合して樹脂組成物を
調製し、これを射出成形して作製するのが好ましい。上
記各種添加成分としては、例えば、結晶化核剤、結晶化
促進剤、離型剤、安定剤、滑剤、着色剤、難燃剤、ブレ
ンド用ポリマーなどを挙げることができる。結晶化核剤
と結晶化促進剤を配合することにより、結晶化速度の遅
いPETの結晶化を促進し、低い金型温度で射出成形を
行っても、内部のコア層を結晶化することができる。こ
こで、結晶化核剤としては、例えば、タルク、クレーな
どの粘土類、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アルミナ、
酸化鉄などの金属酸化物、炭酸塩、珪酸塩、硫酸塩、燐
酸塩などの無機塩、モノカルボン酸のリチウム塩、ナト
リウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩
など、安息香酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウ
ム塩など、芳香族オキシスルホン酸の金属塩など、有機
燐化合物のマグネシウム塩、亜鉛塩などの有機酸塩、ア
イオノマー、ポリエステルオリゴマーのアルカリ金属
塩、全芳香族ポリエステルの微粉末などの高分子物質、
カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム粉末な
どの単体などを挙げることができる。これらの結晶化核
剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種
以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中
で、タルクは、結晶誘導期間、半結晶化時間共に短く、
結晶化促進効果に優れ、且つ安価であるので、特に好適
に使用することができる。結晶化促進剤としては、PE
Tの可塑剤として働く物質を使用することができ、低分
子化合物、高分子化合物のいずれをも使用することがで
きる。結晶化促進剤として用いる低分子化合物として
は、例えば、ベンゾフェノンなどのケトン、テトラクロ
ルエタンなどのハロゲン化炭化水素、ネオペンチルグリ
コールジベンゾエート、トリフェニルフォスフェート、
フタル酸エステルなどのエステル、窒素置換芳香族アミ
ドなどのアミドなどを挙げることができる。結晶化促進
剤として用いる高分子化合物としては、例えば、カプロ
ラクトン、その他各種脂肪族ポリエステル、その末端封
鎖化合物などのポリエステル、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、それらの末端封鎖化合
物などのポリグリコール、脂環式カルボン酸変性ポリオ
レフィンなどのポリオレフィン、ナイロン6などのポリ
アミドなどを挙げることができる。これらの結晶化促進
剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種
以上を組み合わせて用いることもできる。本発明におい
て、結晶化核剤と結晶化促進剤の種類と添加量は、回収
PETの分子量、成形品の厚み、成形時の金型温度など
の条件により、あるいは成形する射出成形品が必要とす
る耐熱性、剛性などの要求度に応じて、適量を選択して
使用することができる。例えば、成形品肉厚が厚い場
合、金型温度を極めて低くして成形する場合、成形品の
耐熱性がかなり必要とされる場合などでは、結晶化核剤
と結晶化促進剤の添加量を多くして、成形品の内部コア
層の結晶化を促進することが好ましい。結晶化核剤の配
合量は、樹脂組成物全量に基づき、好ましくは0.1〜
10重量%、より好ましくは1〜5重量%の範囲であ
り、一方、結晶化促進剤の配合量は、樹脂組成物全量に
基づき、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましく
は1〜10重量%の範囲である。
【0008】難燃剤として、例えば臭素化ポリスチレン
などの各種ハロゲン化合物、各種燐化合物、各種アンチ
モン化合物などが挙げられる。また、安定剤としては、
例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジ−tert
−ブチルフェノールなどが、離型剤としては、例えば高
級脂肪酸エステル、金属石鹸などが挙げられる。回収P
ET等の回収樹脂には常にある量の異物が混入してお
り、しかもその異物の混入量が常に一定していない。回
収樹脂で射出成形品を生産する場合、異物が多量に混入
することを考えて対処する必要がある。成形品の表層部
に異物が存在すると、該異物がノッチの存在と類似の働
きをし、その異物から割れ、クラックが発生しやすくな
り、耐衝撃性が低下する。本発明では回収樹脂射出成形
品に重量平均繊維長が1mm以上の繊維を5〜50重量%
含有させることにより、樹脂中の異物の影響を分散させ
て現れ難くするものである。配合繊維により異物の影響
を押さえ込むには、その繊維の繊維長を異物の大きさよ
り極力大きくする方が好ましい。異物の大きさより大幅
に大きい繊維長の繊維により、異物により生じた応力集
中を分散させ、射出成形品の耐衝撃性等の低下を低減さ
せることができる。本発明は射出成形品中の繊維の重量
平均繊維長を1mm以上とすることにより、異物の影響を
低減させた成形品である。本発明の射出成形品の好まし
い厚みは0.8〜6mmであり、より好ましくは1〜5mm
である。PETでこの厚みの範囲の成形品を得ようとす
る場合、薄肉成形品では急冷されるため結晶化は起こり
難くなり、成形品の内部コア層を結晶化させるためには
PET中に結晶化核剤や結晶化促進剤を適度に配合する
ことが肝要である。本発明の成形品を得るための射出成
形機及び射出成形条件としては、成形中に繊維の折損を
極力少なくする装置及び条件が採用され、一般に次の装
置及び条件が好ましい。すなわち、射出シリンダでは、
スクリュは深溝で、圧縮比が小さく、L/Dが小さく、
逆流防止リングのクリアランスは大きく、ノズル径は大
きいことが好ましい。金型ではランナー、ゲートは大き
いことが好ましい。金型はダイレクトゲートが最も好ま
しい。成形条件では、樹脂温度を高くすることにより樹
脂溶融粘度を小さくし、金型温度は高く、スクリュ回転
速度は小さく、スクリュ背圧力は小さく(ほとんど背圧
をかけない)、射出速度を遅くして成形することが好ま
しい。本発明は、これらの好ましい成形装置及び成形条
件を選択して、射出成形品中の繊維の重量平均繊維長を
1mm以上とすることと、回収樹脂を組み合わせることか
らなるものである。一般のPETの射出成形では、射出
シリンダー温度265〜300℃程度が使用されるが、
本発明では290〜300℃の高温度で成形することが
好ましい。樹脂可塑化時にはスクリュ背圧をほとんどか
けないで低速でスクリュを回転させる。金型温度は一般
に30〜100℃程度が使用されるが、本発明では70
〜100℃が好ましい。金型はゲートを大きくとり、ダ
イレクトゲートが最も好ましい。以上、本発明を回収P
ETを用いた場合について説明したが、他の熱可塑性樹
脂でも同様である。本発明の成形品は種々の用途に使用
できる。従来回収樹脂はバケツ、ごみ箱、栗石(砂利)
フェンス等の、必ずしも樹脂の性能が十分に生かされて
いない低グレードの用途に主に使用されてきたが、本発
明の成形品は樹脂の性能を生かせる用途に使用すること
ができる。回収樹脂に混入する異物による性能低下を抑
制し、各種の弱電、電子機器の部品や筐体、各種工業部
品、家具、日用品、建材、土木分野などに好適に使用で
きる。
【0009】
【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明するが、本発明は、この例によってなんら限定され
るものではない。 実施例1 箱状成形品を多量の砂状異物が混入しているPETボト
ルの回収フレークを用いて射出成形する。この箱状成形
品は底面が100mm×100mmの正方形であり、立ち上
がりが50mm、肉厚は2mmの寸法を有し、底面の中央に
ダイレクトゲートを有するものである。0.05〜0.5
mm程度の微細な砂状異物が1重量%混入しているIV値
0.7デシリットル/gの回収PETフレークに、樹脂
組成物全量の基づき、重量平均繊維長13mmのガラス繊
維80重量%を含むマスターバッチ[「BG5280」
中央化成品(株)製]30重量%及びタルク1.5重量%
を配合して樹脂組成物を調製した。次いで、この樹脂組
成物を120℃で、5時間乾燥したのち、射出成形機
「SG125M−Hr」[住友重機械工業(株)製]を用
い、射出シリンダ温度300℃とし、スクリュ背圧をか
けないで40rpmの低速度にてスクリュ回転させて可塑
化し、金型温度80℃に保持された金型キャビティへ低
速で射出して成形した。得られた射出成形品には、ガラ
ス繊維が24重量%含まれており、このガラス繊維の長
さを測定したところ、重量平均繊維長で2.0mmであっ
た。得られた回収樹脂射出成形品を切り出し、その物性
を測定した結果、破断引張強度(ASTM D63
8):140MPa、曲げ弾性率(ASTM D79
0):9500MPa、アイゾット衝撃強度(ノッチ付
き、ASTM D256A):150J/mであった。
また、これらの測定値のバラツキは小さく、成形品中の
異物の影響は認められなかった。
【0010】
【発明の効果】本発明の回収樹脂射出成形品は、異物の
混入による影響、例えば異物の混入による耐衝撃性の低
下などを抑制した品質の良好なものであって、付加価値
の高い各種用途に利用することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量平均繊維長が1mm以上の繊維5〜50
    重量%を含むことを特徴とする回収樹脂射出成形品。
  2. 【請求項2】繊維がガラス繊維である請求項1記載の回
    収樹脂射出成形品。
  3. 【請求項3】回収樹脂が回収ポリエチレンテレフタレー
    ト樹脂である請求項1又は2記載の回収樹脂射出成形
    品。
  4. 【請求項4】o−クロロフェノール中において、30℃
    で測定した固有粘度が0.6〜1.0デシリットル/gの
    回収ポリエチレンテレフタレート樹脂に、重量平均繊維
    長が5〜20mmのガラス繊維60〜90重量%を含有す
    るマスターバッチを、ガラス繊維として組成物全量に基
    づき5〜50重量%の割合で配合すると共に、組成物全
    量に基づき、結晶化核剤0.1〜10重量%及び/又は
    結晶化促進剤0.1〜20重量%を配合した樹脂組成物
    を射出成形してなる請求項3記載の回収樹脂射出成形
    品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013199121A (ja) * 2006-05-25 2013-10-03 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 繊維強化熱可塑性樹脂成形品
JP2016203615A (ja) * 2015-04-27 2016-12-08 株式会社山本製作所 ベント式射出成形装置及び射出成形方法
JPWO2017043070A1 (ja) * 2015-09-09 2018-06-21 株式会社カネカ 熱伝導性樹脂組成物

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