JP2007091790A - 有機繊維強化ポリ乳酸樹脂組成物および成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 強度・剛性や荷重たわみ温度が高く品質が安定し、成形性と機械的性質と耐熱性、さらにはリサイクル性、環境負荷低減性においても優れたポリ乳酸樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリ乳酸および/又は乳酸を80モル%以上含むポリ乳酸共重合体(A)100質量部に対して、クレイ、カオリン、タルク、ワラストナイト、ケナフの中から選ばれた少なくとも1種の結晶核剤(B)1〜100質量部、高級脂肪酸塩および/又はエステル(C)0.05〜3質量部、および融点が245℃以上の有機繊維(D)5〜100質量部含有したことを特徴とするポリエステル繊維強化ポリ乳酸樹脂組成物である。好ましい態様は、有機繊維(D)としては、融点が245℃以上のポリエチレンテレフタレートを芯に、融点が100〜200℃の樹脂を鞘とした複合繊維を使用する。また、この樹脂組成物を成形して得られる相対結晶化度80%以上の成形品である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機繊維で強化されたポリ乳酸樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、結晶化速度が促進され、離型性が改善された強度・剛性や耐衝撃性および荷重たわみ温度の高い有機繊維強化ポリ乳酸樹脂組成物とそれから得られる成形品に関する。
従来、ポリ乳酸樹脂は、生分解性を有することから、ポリ乳酸樹脂から成形された日用品などは、使用後は生分解して自然に帰すように研究が進められた。しかし、成形品の強度が低く、荷重たわみ温度も約55℃と低く、実用範囲は限られたものであった。また、特許文献1のように、ガラス繊維強化も研究されているが、ガラス繊維を大量に配合することは、ポリ乳酸の環境にやさしいというメリットを損なう、リサイクルによる物性の低下が大きいなどの問題がある。一方、ケナフや竹繊維による補強も検討されているが、自然の繊維であるため、品質の安定性が低く、工業用途には問題があり、一般化していないのが実情である。
これらの課題を解決するために、これまで、合成繊維強化も検討されたが、ポリ乳酸樹脂中で繊維の開繊や分散性が悪く補強効果が低く、実用に至らなかった。そこで、バイオマスであるポリ乳酸の環境にやさしいという特徴を損なうことなく、強度・剛性や荷重たわみ温度が高く、品質が安定したポリ乳酸樹脂組成物の開発が望まれている。
特開2005−200517号公報 工業材料、Vol.51、No.3、P9(2003)
本発明は、石油依存度が低く環境にやさしく、強度・剛性や荷重たわみ温度が高く、品質が安定したポリ乳酸樹脂組成物を提供することにある。更に詳しくは、ポリエチレンテレフタレート繊維などの有機繊維が均一分散し、かつポリ乳酸の結晶性を促進し、成形性と機械的性質と耐熱性において優れ、さらには、リサイクル性、環境負荷低減性に優れた樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに到った。
即ち本発明は、
(1)ポリ乳酸および/又は乳酸を80モル%以上含むポリ乳酸共重合体(A)100質量部対して、クレイ、カオリン、タルク、ワラストナイト、ケナフからなる群から選ばれた少なくとも1種の結晶核剤(B)1〜100質量部、高級脂肪酸塩および/又は高級脂肪酸エステル(C)0.05〜3質量部および融点が245℃以上の有機繊維(D)5〜100質量部を含有することを特徴とする有機繊維強化ポリ乳酸樹脂組成物、
(2)前記有機繊維(D)が、融点245℃以上のポリエチレンテレフタレートを芯に、融点100〜200℃の樹脂を鞘とした複合繊維であることを特徴とする前記(1)のポリ乳酸樹脂組成物、
(3)前記(1)および(2)いずれかに記載のポリ乳酸樹脂組成物を成形して得られた、相対結晶化度が80%以上であることを特徴とする成形品、
である。
上記の構成からなる本発明の組成物は、特殊な結晶核剤によりポリ乳酸の結晶化速度が速く、金型からの脱型性がよく成形性に優れ、高温における剛性が高く高温金型による成形が可能である。このため、耐熱性の高い有機繊維補強ポリ乳酸樹脂組成物を提供することができる。
また、有機繊維を強化繊維として含有する本組成物から得られる成形品は、リサイクル使用しても繊維が殆ど折損しなくて物性低下が小さいことからエコ設計に適した成形品が提供でき、環境負荷が小さく省資源に適する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の有機繊維補強されたポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸および/又は乳酸を80モル%以上含むポリ乳酸共重合体(A)100質量部に対して、クレイ、カオリン、タルク、ワラストナイト、ケナフからなる群から選ばれた少なくとも1種の結晶核剤(B)1〜100質量部、高級脂肪酸塩および/又はエステル(C)0.05〜3質量部、融点が245℃以上の有機繊維(D)5〜100質量部を含有することを特徴とする有機繊維強化ポリ乳酸樹脂組成物である。
また、好ましい態様として、有機繊維(D)としては、融点245℃以上のポリエチレンテレフタレートを芯に、融点が100〜200℃の樹脂を鞘とした複合繊維を使用する。また、この樹脂組成物を射出成形などによって成形して得られた、相対結晶化度が80%以上である成形品である。
本発明に使用されるポリ乳酸および/又は乳酸を80モル%以上含むポリ乳酸共重合体(A)としては、190℃、21.2Nにおけるメルトフローレート(JIS K7210)が0.1〜100g/10分の樹脂が好ましく、特に、0.5〜50g/分が好ましい。0.1g/10分未満では、成形時の流動性が低く大型の成形品が成形できないので好ましくない。また、100g/10分を越えると、機械的強度が低く、脆くなるので本発明には好ましくない。
また共重合成分としては、ε−カプロラクトン、エチレンアジペート、ブチレンアジペート、ヘキシレンアヂペート、エチレンサクシネート、ブチレンサクシネート、グリコール酸、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレートなどが挙げられる、これらの中では、ε−カプロラクトン、エチレンサクシネート、ブチレンサクシネートが特に好ましい。
本発明には、クレイ、カオリン、タルク、ワラストナイト、ケナフからなる群から選ばれた少なくとも1種の結晶核剤(B)が、ポリ乳酸および/又は乳酸を80モル%以上含むポリ乳酸共重合体(A)100質量部対して、1〜100質量部配合される。これらは、ポリ乳酸および/又は乳酸共重合体に配合され、結晶核剤として作用する。この核剤効果により、210℃の樹脂組成物の溶融体を10℃/分で温度降下させたとき、DSCのサーモグラムにおいて、120〜90℃に結晶化による発熱ピークが検出される。この発熱ピーク温度が高温である程、結晶核剤効果が大きく、好ましい。結晶核剤効果が無いか低いものは、この条件で結晶化発熱ピークは90℃以下となり発熱量も小さくなる。この冷却速度で殆どの分子が非晶状態で凍結されることを示唆している。結晶核剤は、好ましくは2〜50質量部配合される。1質量部未満では、金型表面温度の100℃近傍における剛性が低く脱型が困難である。また100質量部を越えると衝撃に対して脆く割れやすくなるので好ましくない。
本発明に使用される高級脂肪酸塩および/又は高級脂肪酸エステル(C)は、ポリ乳酸および/又は乳酸を80モル%以上含むポリ乳酸共重合体100質量部に対して、0.05〜3質量部配合される。0.05質量部未満では、離型抵抗が高く離型時突き出しピンにより成形品が変形し、場合により破損することがある。また3質量部を越えると射出成形時ペレットがスクリュー表面でスリップして食い込み不良が発生しやすく可塑化が安定しないので好ましくない。
高級脂肪酸塩および/又は高級脂肪酸エステルとしては、具体的にはステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸マグネシウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸アルミニウム、ステアリン酸ブチルエステル、モンタン酸ブチルエステル、ラウリル酸カルシウム、ラウリル酸亜鉛などが上げられる。これらの中では、ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウムが離型性改善効果と成形品の表面外観から特に好ましい。
本発明の樹脂組成物には、融点が245℃以上の有機繊維(D)が使用される。融点が245℃未満の有機繊維は、母相(マトリックス相)であるポリ乳酸系樹脂の融点との差が小さいので成形温度の条件幅が狭くなり、200℃を越えた成形樹脂温度で配向緩和が起こりやすく、有機繊維の高い強度や弾性率が損なわれるので好ましくない。
融点が245℃以上の有機繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド66繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、アラミド繊維などが上げられる。これらの中で特に、融点が245℃以上のポリエステル繊維が好ましい。
また、融点が245℃以上のポリエステル繊維としては、エチレンテレフタレート単位を80モル%以上、特に95モル%以上を含むポリエチレンテレフタレート系繊維が好ましい。ポリエチレンテレフタレートに、少量のイソフタル酸、アジピン酸、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが共重合されてもよい。
ポリエステル繊維としは、高倍延伸された高弾性率の繊維であり、23℃における引張弾性率は、15g/dtex以上の繊維が好ましい。
有機繊維(D)の好ましい態様としては芯鞘型、サイドバイサイド型などの複合繊維であり、母相のポリ乳酸樹脂中への分散性と接着性が優れる点で特に芯鞘繊維が好ましい。
芯鞘繊維の芯は、上記の有機繊維で、鞘となる樹脂は、融点100〜200℃の樹脂が好ましく、芯の繊維と母相のポリ乳酸系樹脂の両方に密着性がある樹脂がより好ましい。
芯と鞘の比率としては、質量比で20:80〜90:10が好ましく、より好ましくは、30:70〜80:20である。
具体的には、ポリ乳酸、ポリ乳酸・脂肪族ポリエステル共重合体、ポリエステル共重合体、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、エポキシ変性ポリオレフィン、塩変性ポリオレフィンなどが挙げられる。これらの中ではポリ乳酸、ポリ乳酸−脂肪族ポリエステル、ポリエステル共重合体が特に好ましい。なお、ここでは融点は示差走査熱量計により20℃/minで昇温した場合の吸熱のピーク温度である。
特に、芯に高融点のポリエステル、鞘に低融点のポリ乳酸系重合体を使用した複合繊維は、ポリエステル繊維のポリ乳酸系重合体中への分散性と母相のポリ乳酸系重合体に対する接着性が優れる点で好ましい。高融点ポリエステルとポリ乳酸系重合体からなる複合繊維を用いると、本発明の効果が特によく発揮され、特に好ましい態様のひとつである。
複合繊維に使用するポリ乳酸系重合体としては、融点が150〜185℃が好ましい。150℃未満では、得られた成形品の荷重たわみ温度が低下する傾向があり、185℃を越えると、成形時溶融が不十分となり、有機繊維のマトリックス中への分散が低下する傾向がある。
上記の複合繊維の製造方法は、例えば、高融点ポリエステルと低融点ポリ乳酸系重合体をそれぞれ並列した押出機にて溶融押出しし、溶融状態で接合しノズルから紡糸し、クエンチして得た未延伸糸を延伸し、撚りをかけた後、鞘部を加熱溶融させ集束させた後、好ましい長さにカットする方法が、集束性がよくコンパウンド作業時の取り扱い性に優れた複合繊維が得られる点で好適である。
また、高融点のポリエステル繊維と低融点の共重合ポリエステル繊維を別個に紡糸と延伸し、これらのフィラメントを所定の混合比になるように混繊複合して、撚りをかけて希望の長さに切断して複合繊維とする方法であっても構わない。
有機繊維(D)の単糸繊度は0.1〜20dtexが好ましく、より好ましくは1〜10dtex、特に好ましくは1.5〜5dtexである。0.1dtex未満では、繊維の剛性が小さく、曲げや圧縮の補強効果が小さく、20dtexを越えると表面積が小さくなり、補強効果が低下する。
単糸繊度が0.1未満では引張り強力が低く、20dtexを越えると、接触面積が小さく補強効果が低くなる傾向がある。
集束品の繊度は、2000〜700000dtexが好ましく、繊度が2000未満や700000を越える場合、母相樹脂への分配が悪くなる傾向がある。
成形材料中での繊維の長さは、0.5〜10mmが好ましく、より好ましくは1〜9mm、特に好ましくは2〜8mmである。0.5mm未満では容易に破壊面で繊維が引き抜かれて耐衝撃性が低下するなど補強効果が低くなる。また10mmを越えると、繊維のからみあいが強く、分散性が低下し、また、成形品の成形時、繊維が絡み合って、流動性低下や細いゲート部での繊維詰まりなどが発生しやすくなる傾向がある。
有機繊維(D)の断面形状は、円形、楕円断面や三角、四角などの多角断面、異型断面など特に限定されない。
本発明の樹脂組成物には、ポリ乳酸および/又はポリ乳酸共重合体(A)100質量部に対して、融点が245℃以上の有機繊維(D)は、5〜150質量部配合される。5質量部未満では、補強効果が低く、150質量部を越えると、流動性が低下して成形が困難になるので好ましくない。
本発明の有機繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物の製造法は特に限定されないが、本発明の効果を高めるには、有機繊維(D)は、予めポリ乳酸および/又は乳酸80モル%以上を含むポリ乳酸共重合体と何らかの形で複合化しておく事が好ましい。
複合化の方法としては、ポリ乳酸および/又は乳酸80モル%以上を含むポリ乳酸共重合体(A)やこれらのポリ乳酸系重合体に近似する重合体で有機繊維(D)の表面を前処理又は被覆処理しておく方法や高融点のポリエステルとポリ乳酸および/又は乳酸80モル%以上を含むポリ乳酸共重合体(A)やこれらのポリ乳酸系重合体に近似する重合体を複合紡糸する方法などである。
また本発明の樹脂組成物を得る方法としては、例えば、上記の高融点の有機繊維と低融点のポリ乳酸系重合体の芯鞘複合繊維、ポリ乳酸系重合体、結晶核剤などを混合する方法、左記混合物を押出機などを用いて溶融混練する方法、高融点ポリエステル繊維とポリ乳酸系重合体繊維からなる複合繊維と結晶核剤などが配合されたポリ乳酸系樹脂を溶融混練してペレット化する方法などがある。
高融点ポリエステルとポリ乳酸系重合体の芯鞘複合繊維と結晶核剤などが混合されたポリ乳酸系樹脂を溶融混練する方法は分散性が非常に良好であり、コンパウンドペレットを製造しないで、ドライブレンドして射出成形機内で溶融混練して射出成形しても高品質の成形品が得られるので特に好ましい。
本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物には、いろいろな改質樹脂や安定剤や着色剤、流動性改良材、離型材、結晶核剤が配合される。これらは、重合前後に混合することもできるが、単軸押出機、2軸押出機やニーダーなどの装置を用いて、混練することにより製造することができる。配合剤をより高濃度に含む組成物を予め溶融混練して、成形時にこれをマスターバッチとして混合することもできる。
本発明による射出成形品は、特定の有機繊維や結晶核剤や離型剤が特定量配合されている上記樹脂組成物を、表面温度が80〜120℃の金型にて射出成形して得ることが好ましく、このことにより相対結晶化度は容易に80%以上となり、好ましい相対結晶化度の90%以上を達成することができる。
また、金型温度が50℃程度の低温の場合は、得られる成形品の相対結晶化度は80%未満60%以上となり、荷重たわみ温度は、80℃以下60℃以上となる。
なお、相対結晶化度とは、成形品の表層から深さ0.1mmまでの範囲から10mgの試料を採取し、DSCによる窒素40ml/minの雰囲気下、20℃/minの昇温過程における50〜150℃間の発熱量をΔHc、融点(170℃)付近の吸熱量ΔHmとして(1)式により算定したものである。
相対結晶化度Xr(%)=100(ΔHm−ΔHc)/ΔHm (1)
一方、前記の結晶核剤(B)1〜100質量部の範囲外および有機繊維(D)が範囲外の場合においては、80〜120℃の金型温度範囲においても凝固せず粘性が大きく、従って離型抵抗が大きく、成形品に変形や割れが発生して離型不良となり、得られる成形品の相対結晶化度も10%以下でしかない。
本発明の有機繊維強化ポリ乳酸樹脂組成物の用途は特に限定されない。本発明では柔軟な有機繊維を使用しているのでリサイクル使用しても、繊維は殆ど折損せず物性低下が小さいことからエコ設計に適した成形品が提供でき、省資源に好適である。
以下、実施例により説明するが、これらに限定されるものではない。なお明細書中の物性評価は以下の方法により測定した。
(1)相対結晶化度
相対結晶化度は、成形品の表層から0.1mmの範囲から10mgを採取し、DSCによる窒素40ml/minの雰囲気下、20℃/minの昇温過程における50〜150間の発熱量をΔHc、融点(170℃)付近の吸熱量ΔHmとして(1)式により算定した。
相対結晶化度Xr(%)=100(ΔHm−ΔHc)/ΔHm
(2)シャルピー衝撃値
23℃、50%RHにて48時間調湿した幅10mmのノッチ付試験片について、東洋精機(株)製ユニバーサルインパクトテスター(60Kg−cmハンマー)を使用して、ISO179に準じて試験した。
(3)引張強さ・引張弾性率
23℃、50%RHにて48時間調湿したISO294の多目的試験片について、島津製作所社製オートグラフAG−IS型を使用して、ISO527に準じて試験して、引張強さと引張弾性率を測定した。
(4)荷重たわみ温度
23℃、50%RHにて48時間調湿した10mm×4mm×80mmの試験片について、東洋精機(株)製ヒートデストーションテスター(TYPE H8302)を使用して、ISO75に準じて、フラットワイズにて0.46MPa下での荷重たわみ温度(HDT)を測定した。
(実施例1〜10、比較例1〜4)
実施例、比較例に使用した材料は以下のとおりである。
<ポリ乳酸および/又はポリ乳酸共重合体(A)>
・PLA1:ポリ乳酸[東洋紡績(株)試作、メルトフローレート(190℃/21.2N)1.9g/10分 ]
・PLA2:ポリ乳酸[東洋紡績(株)試作、メルトフローレート(190℃/21.2N)11g/10分 ]
<結晶核剤(B)>
・MW5000:タルク[林化成(株)製、タルク ミクロンホワイト#5000 ]
・ASP:カオリン[林化成(株)製、カオリン ASP ]
・SAT−W:クレイ[林化成(株)製、焼成クレイ サテントンW ]
・VM8:ワラストナイト[林化成(株)製、ワラストナイト ]
・KEF:ケナフ[ユニパークス社製、ケナフ靭皮 5mm品 ]
<離型剤(C)>
・St−Mg:ステアリン酸マグネシウム[淡南化学工業(株)製、 NP1500 ]
・WAXE:モンタン酸エステル[クラリアント社製 ]
<ポリエステル繊維(D)>
・PET:ポリエチレンテレフタレート繊維[東洋紡績(株)製、単繊維径2dtex、集束繊度20000dtex、繊維長5mm ]
・PET/PLA:ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績(株)製)/PLA2(東洋紡績(株)試作、融点171℃)=50/50芯鞘複合繊維[東洋紡績(株)製、単繊維径 5dtex、集束繊度50000dtex、繊維長7.5mm ]
・PET/PES1:ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績(株)製)/共重合ポリエステル(東洋紡績(株)製、テレフタル酸//ブタンジオール/ポリラクトン系、融点178℃)=50/50の芯/鞘複合繊維[東洋紡績(株)製、単繊維径4.5dtex、集束繊度50000dtex、繊維長5mm ]
・PET/PES2:ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績(株)製)/共重合ポリエステル(東洋紡績(株)製、テレフタル酸//ブタンジオール/ポリテトラメチレングリコール系、融点193℃)=50/50の芯/鞘複合繊維[東洋紡績(株)製、繊維径4dtex、集束繊度50000dtex、繊維長5mm ]
上記材料を表1に示す配合比にドライ状態で予備混合し、これを熱風乾燥機で100℃、3時間乾燥した後、その状態で東芝機械(株)製、IS射出成形機のホッパーに投入して、180℃のシリンダーで可塑化時に溶融混練して、金型温度50℃又は100℃にて、ISO294−1に準じた多目的試験片のマルチモールド型を使用して射出成形によりテストピースを成形した。
得られた試験片を23℃、50%RHにて48時間調整して、それぞれ荷重たわみ温度(0.46MPa)、引張強さ・引張弾性率、シャルピー衝撃値を評価した。その結果を表1に示す。
表1からも明らかなように、結晶核剤(B)、離型剤(C)、有機繊維の複合繊維(D)を配合した、有機繊維強化ポリ乳酸の組成物、特にこれを高温型で成形して得られる相対結晶化度が高い成形品は、高い衝撃値と荷重たわみ温度を有している。
Figure 2007091790
(実施例11)
実施例1により得られた射出成形品を、孔径5mmの篩をセットした朋来製作所製粉砕機で粉砕して、リサイクルペレットを得た。これを実施例1と同様に乾燥と射出成形して、実施例11のテストピースを得た。このシャルピー衝撃値は、9.6kJ/m2であり、リサイクル後96%の保持率であった。
(比較例5)
実施例11のMW5000を、旭ファイバーグラス社製カット長3mmのガラス繊維(03JA429)に変えた以外は全く同様にコンパウンドと射出成形して、テストピースを得た。このシャルピー衝撃値は、8.9kJ/m2であった。これを、実施例11と同様に粉砕して、射出成形された比較例5のリサイクル成形品のシャルピー衝撃値は、4.3kJ/m2とリサイクル後の保持率は48%であった。
ガラス繊維は成形や粉砕により折損するため補強効果が急減するが、PET繊維を使用した場合は、成形や粉砕時に殆ど折損しないので、リサイクルによる補強効果の低下はほとんど認められない。
本発明の有機繊維強化ポリ乳酸組成物は、非強化ポリ乳酸樹脂では設計できなかった耐熱性や強度が要求される大型の日用品、電気製品のケースやハウジング、さらには、耐熱性や強度剛性が要求される自動車、電機・電子機器、OA機器部品、家庭用具の部品などに使用可能である。
また、リサイクル成形品も高い耐衝撃性と高い荷重たわみ温度を保持することから、循環型社会に好適であり、さらには、バイオマス成分が主成分であり二酸化炭素の増大が非常に小さく、エコロジー的にも優れるため、産業上の利用可能性が大である。

Claims (3)

  1. ポリ乳酸および/又は乳酸を80モル%以上含むポリ乳酸共重合体(A)100質量部対して、クレイ、カオリン、タルク、ワラストナイト、ケナフからなる群から選ばれた少なくとも1種の結晶核剤(B)1〜100質量部、高級脂肪酸塩および/又は高級脂肪酸エステル(C)0.05〜3質量部および融点が245℃以上の有機繊維(D)5〜100質量部を含有することを特徴とする有機繊維強化ポリ乳酸樹脂組成物。
  2. 有機繊維(D)が、融点245℃以上のポリエチレンテレフタレートを芯に、融点100〜200℃の樹脂を鞘とした複合繊維であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  3. 請求項1および2いずれかに記載のポリ乳酸樹脂組成物を成形して得られた、相対結晶化度が80%以上であることを特徴とする成形品。
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