JP2001261948A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物

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JP2001261948A
JP2001261948A JP2000076594A JP2000076594A JP2001261948A JP 2001261948 A JP2001261948 A JP 2001261948A JP 2000076594 A JP2000076594 A JP 2000076594A JP 2000076594 A JP2000076594 A JP 2000076594A JP 2001261948 A JP2001261948 A JP 2001261948A
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Nori Yoshihara
法 葭原
Satoshi Sakai
智 坂井
Hitoshi Kosugi
仁志 小杉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高流動と高強度を有し、大型成形品や薄肉成形
品で高強度を必要とする部品やインサート成型品に好適
なポリエステル樹脂組成物を得ること。 【解決手段】飽和ポリエステル樹脂(A)100重量部
に対して、融点が80〜200℃のポリマー及び/また
はオリゴマー(B)0.5〜80重量部、無機強化材
(C)0.5〜150重量部を含有し、270℃におい
てせん断速度1000/秒の溶融粘度が下記(I)式を
満たすことを特徴とするポリエステル樹脂組成物。 η < 2000+50X (I) (ここでXは、組成物中の無機強化材の含有量(重量
%)を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ポリエステル樹脂
組成物に関するものであり、電気・電子部品や自動車や
自動二輪車などの部品として有用に使用される組成物で
ある。特に本発明の組成物は高流動と高強度を有し、大
型成形品や薄肉成形品で高強度を必要とする部品やイン
サート成型品に応用される。また低圧で充填が可能なた
め大型成形品を容量の小さい成形機で成形することがで
きる経済的な組成物である。
【0002】
【従来の技術】従来、飽和ポリエステル樹脂を自動車や
電気・電子部品として使用する場合、高い機械強度を得
るために高粘度のポリエステルに繊維強化材を配合して
応用されていた。しかし、大型成形品や薄肉成形品の場
合、成形時流動性が不足するため金型設計時ゲートなど
に大きな制約があり用途は限定されていた。また、流動
性を改善するために、低粘度の飽和ポリエステル樹脂を
使用したり、繊維長の短い繊維強化材を使用すると、強
度、特にウエルド強度が低下するので実用上問題があっ
た。また、他の重合体をポリマーアロイした場合、一般
的な加成性では粘度は低下せず、逆に増粘する場合が多
い。従って、高い機械物性を活かした軽薄短小化した製
品設計が出来なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高い機械的
物性と流動性が高く大型成形品や薄肉成形品に適した組
成物を提供することを課題としている。また、ブロー成
形された高粘度のボトル回収品を、高い流動性を必要と
する射出成形用途に利用できることも課題のひとつであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明者らは鋭意、研究、検討した結果、遂に本発
明を完成するに到った。すなわち本発明は、飽和ポリエ
ステル樹脂(A)100重量部、融点が80〜200℃
のポリマー及び/またはオリゴマー(B)0.5〜80
重量部、無機強化材(c)0.5〜150重量部を含有
し、270℃においてせん断速度1000/秒の溶融粘
度が下記(I)式を満たすことを特徴とするポリエステ
ル樹脂組成物である。好ましくは(B)成分が、融点が
125〜200℃のポリマー及び/またはオリゴマーで
あり、さらに好ましくは変性ポリプロピレンであること
を特徴とするポリエステル樹脂組成物である。また、特
に飽和ポリエステルとして270℃におけるせん断速度
1000/秒の溶融粘度が2050ポイズ以上であるこ
とを特徴とするポリエステル樹脂組成物である。さらに
環境面や経済面から、ペットボトル回収レジンを用いる
ことができることも特徴とするものである。 η < 2000+50X (I) (ここでXは、組成物中の無機強化材の含有量(重量
%)を示す。)
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において(A)飽和ポリエ
ステル樹脂用のグリコール成分としては、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキ
サメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シキ
ロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、
ポリラクトン等が挙げられる。また、酸成分としては、
公知の酸成分が使用できる。例えば、テレフタル酸、ナ
フタレンジカルボン酸、イソフタル酸、アジピン酸、セ
バシン酸等が使用される。(A)成分として好ましく
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレートまたはこれらの組み合わせである。なお共重合
する場合20モル%を超えると耐熱性や結晶性が低下す
るので、この用途には好ましくない。
【0006】また本発明においては、ポリエチレンテレ
フタレート系樹脂からなるボトル成形品等のリサイクル
品が使用できる。これらのポリエチレンテレフタレート
系樹脂は、結晶性や流動性が低く設計されている場合が
多いが、本発明の配合組成を使用すると、汎用の成形法
である射出成形が出来る。
【0007】本発明において配合される(B)成分であ
る融点が80〜200℃のポリマー及び/またはオリゴ
マーとしては、ポリオレフィン、ポリアセタール、ポリ
アミド、ポリエステル及び/またはこれらの共重合体が
使用される。飽和ポリエステル100重量部に対して
0.5〜80重量部、好ましくは0.5〜20重量部、
さらに望ましくは1〜10重量部配合される。これより
少ないと流動性改良や離型性改良効果は小さく、またこ
れを超えると剛性や耐熱性が低下するので好ましくな
い。ポリオレフィンやポリオレフィン共重合体として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポ
リαオレフィンや、ポリエチレン−エチルアクリレート
共重合体、ポリエチレン−ビニールアセテート共重合
体、ポリエチレン−メチルメタクリレート共重合体、ま
たこれらのメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合
体、メタクリル酸金属塩共重合体、アクリル酸共重合
体、ポリオレフィン及び/またはポリオレフィン共重合
体の無水マレイン酸共重合体、ポリオレフィン及び/ま
たはポリオレフィン共重合体のエポキシ変性体が挙げら
れる。特に、融点が125〜200のポリマー及び/ま
たはオリゴマーが固化が速く成形サイクルが短く・バリ
が少ないので好ましい。特に、本発明においては無水マ
レイン酸変性のポリプロピレンが流動性や離型性がよく
好ましい。また、ポリエステルとしては、ポリブチレン
テレフタレート共重合体、ポリヘキサメチレンテレフタ
レート、またポリアミドとしてはポリアミド12,ポリ
アミド6共重合体が好ましい。
【0008】なお融点が80〜200℃のポリマー及び
/またはオリゴマーが本発明に適している理由として
は、未だ明確ではないが成形時は溶融状態で流動しやす
く、汎用の金型温度80〜150℃で結晶化速度が速
く、固化が速いので離型しやすく生産性がよいためと推
測される。また、より低粘度の場合効果が大きいことが
判ったが、これは金型内でポリエステル樹脂の表面に分
率が高くなり、金型表面を覆いやすい為と考察してい
る。また、結晶性が高いので飽和ポリエステルの耐熱性
や剛性が保持できる。
【0009】本発明において配合される(C)無機強化
材は、飽和ポリエステル樹脂100重量部に対して0.
5〜150重量部、好ましくは5〜150重量部、さら
に望ましくは10〜125重量部配合される。0.5重
量部より少ないと寸法安定性や高温での剛性が不足す
る。また、150重量部を超えると逆に耐衝撃性が低下
したり、ウエルド強度が低下するので好ましくない。無
機強化材としては、少量の添加量で寸法安定性が得ら
れ、外観も良好な強化材が好ましくタルク、ガラスビー
ズ、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム、ワラストナイ
ト、カオリン、クレー、ガラス繊維、炭素繊維等の無機
強化材の1種またはこれらの組み合わせが好ましい。本
発明ではタルクとガラス繊維の組み合わせが特に好まし
い。また、これらの強化材は飽和ポリエステル系樹脂と
の接着性向上、すなわち強度や耐衝撃性向上のためシラ
ンカップリング剤やチタネート系カップリング剤等を使
用するのが好ましい。
【0010】大型部品の場合、高い流動性と高強度とい
う相反する物性が要求されるが、本発明では、270℃
においてせん断速度1000/秒の溶融粘度が前記
(I)式を満たすものである。ここで用いられる溶融粘
度ηポイズは、径10mmφのシリンダー中の溶融樹脂
を直径0.5mm、長さ5mmのノズルから流出させる流動速
度と応力から計算で求められる。溶融粘度がこの範囲以
上では大型成形品が通常の射出成形機では成形できない
ので好ましくない。充填系の溶融粘度はベースレジンの
溶融粘度よりあがるのが一般的であるが本発明ではベー
スとなる飽和ポリエステル樹脂の溶融粘度より組成物の
溶融粘度が低くできる。従って、本発明では好ましくは
溶融粘度が2050ポイズ以上の飽和ポリエステルが使
用される。同じ流動性に設計した場合は、高いベースレ
ジンの物性が反映されやすく、ウエルド強度や耐久性に
優れている。
【0011】さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物
には、常用の添加剤、例えば熱安定剤、耐候剤、耐加水
分解剤、顔料を添加してもよい。熱安定剤としては、ヒ
ンダードフェノール系、チオエーテル系、ホスファイト
系などやこれらの組み合わせが挙げられる。耐候剤とし
てはカーボンブラック、ベンゾフェノン系、トリアゾー
ル系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。また、耐
加水分解剤としてはカルボジイミド、ビスオキサゾリ
ン、エポキシ、イソシアネート化合物などが挙げられ
る。また顔料としてはポリエチレンテレフタレート系重
合体の常用の耐熱顔料が使用される。
【0012】本発明ポリエステル樹脂組成物を得る方法
としては、前記の各構成成分を単軸押出機、2軸押出機
やニーダーなどの装置を用いて混練することにより製造
することができる。用いられる混練機の種類や混練条件
についての制限は特にない。
【0013】前記方法などによって得られた本発明のポ
リエステル樹脂組成物を成形品に成形する方法として
は、特に制限されるものではないが、射出成形法による
のが一般的である。なお、成形品の形状は特に制限され
ない。また、得られた成形品は成形材料に顔料を配合し
た原着法や塗装により着色されたり、ホットスタンプや
スクリーン印刷され、ボルト締めやセルフタッピングネ
ジなどの方法で部品として組み込まれる。
【0014】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
する。なお明細書中における物性評価は以下の方法によ
り測定した。 1)粘度:140℃で5時間乾燥したペレットを、27
0℃に温度調節された毛細管粘度計(東洋精機製キャピ
ログラフ)のシリンダー(10mmφx50mm)に投入
し、ノズル(直径0.5mm、ランド長5mm)から流
出させる速度と荷重から計算して求めた。
【0015】2)ウエルド強度:ASTM D638試
験法により、両端エッジゲートで射出成形した中央部に
ウエルドラインを含む TYPE I試験片について、2
3℃50%RH下で5mm/minの引張速度で試験した。
【0016】3)流動性:バレル温度を260―265
―265に設定した型締1000トンの射出成形機と、
120℃に調節された成形品(200x200x15
0、1.5t)用金型を使用して、充填する射出圧力と
射出速度を容量に対する割合で判断した。 ○:<70%、△:70〜90%、X:>90%
【0017】4)離型性:3)記載の流動性を測定する
際に成形される成形品の成形時、射出時間15秒、冷却
時間20秒の条件で成形し、離型性を下記のように評価
した。 ○:突き出しピン跡なく離型良好 △:ピン跡0.1〜
0.3mmあり ×:ピン跡0.3mm以上有るか離型せず
【0018】実施例1〜18、比較例1〜7 表1に示す樹脂、無機強化材、改質樹脂の中から組み合
わせ選択し、それらの所定量(重量部)を計量後予備混
合した。この予備混合体それぞれを、シリンダー温度を
ホッパー側から265―270―270℃に調節した直
径30mmΦの同軸2軸押出機のホッパーに投入し、ス
クリュー回転数100rpmにて溶融混練しペレットを
得た。得られた各々のペレットを140℃で3時間乾燥
し、シリンダー温度を260―265―265℃に設定
した射出成形機と表面温度100℃の金型を使用し、物
性評価用のテストピースを得、それぞれ評価した。その
結果を表1及び表2に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】 表1および表2において、 PETI:ポリエチレンテレフタレート、溶融粘度44
00ポイズ PETII:ポリエチレンテレフタレート、溶融粘度25
00ポイズ PETIII:ポリエチレンテレフタレート、溶融粘度1
700ポイズ P/MAH:無水マレイン酸変性ポリプロピレン、融点16
3℃、溶融粘度400ポイズ P/GMA:グリシジルメタクリレート変性ポリプロピレ
ン、融点161℃、溶融粘度480ポイズ E/MAA:エチレンーメタクリル酸共重合体、融点95
℃、溶融粘度3700ポイズ E/MMA/MAA/Zn:エチレンメチルメタクリレートーメタク
リル酸Zn塩、融点85℃、溶融粘度5100ポイズ E/MMA/MAA/Na:エチレンメチルメタクリレートーメタク
リル酸Na塩、融点85℃、溶融粘度4000ポイズ PHT:ヘキサメチレンテレフタレート、融点154℃、
溶融粘度1900ポイズPBT-PTMG:ポリブチレンテレフ
タレートーポリテトラメチレングリコール共重合体、融
点172℃、溶融粘度3200ポイズ PA12:ポリアミド12、融点186℃、溶融粘度360
0ポイズ EEA:エチレンエチルアクリレート共重合体:融点72
℃、溶融粘度2900ポイズ EPR/MAH:無水マレイン酸変性エチレンプロピレン共重合
体:融点なし、溶融粘度2100ポイズ
【0021】
【発明の効果】以上、表1および表2より明らかなよう
に、本発明組成物は、流動性、離型性およびウエルド強
度ともに優れたものであり、従って、大型成形品や薄肉
成形品に適した組成物を提供することができ、また、ブ
ロー成形された高粘度のボトル回収品を、高い流動性を
必要とする射出成形用途に利用できることもできるの
で、産業界に寄与すること大である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BB032 BB062 BB072 BB082 BB092 BB122 BB162 BB202 BB212 BG012 BG042 BG052 CF031 CF051 CF052 CF072 CF081 CL012 CL032 DA016 DJ006 DJ016 DJ036 DJ046 DJ056 DK006 FA046 FA086 FD016 FD06 FD08 FD09 FD20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】飽和ポリエステル樹脂(A)100重量部
    に対して、融点が80〜200℃のポリマー及び/また
    はオリゴマー(B)0.5〜80重量部、無機強化材
    (C)0.5〜150重量部を含有し、270℃におい
    てせん断速度1000/秒の溶融粘度が下記(I)式を
    満たすことを特徴とするポリエステル樹脂組成物。 η < 2000+50X (I) (ここでXは、組成物中の無機強化材の含有量(重量
    %)を示す。)
  2. 【請求項2】ポリマー及び/またはオリゴマー(B)の
    融点が125〜200℃である請求項1記載のポリエス
    テル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】ポリマー及び/またはオリゴマー(B)が
    変性ポリプロピレンである請求項1記載のポリエステル
    樹脂組成物。
  4. 【請求項4】飽和ポリエステル樹脂(A)として、27
    0℃におけるせん断速度1000/秒の溶融粘度が20
    50ポイズ以上である請求項1記載のポリエステル樹脂
    組成物。
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