JP2003272623A - リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法並びにこれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法並びにこれを用いたリチウム二次電池

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JP2003272623A JP2002072851A JP2002072851A JP2003272623A JP 2003272623 A JP2003272623 A JP 2003272623A JP 2002072851 A JP2002072851 A JP 2002072851A JP 2002072851 A JP2002072851 A JP 2002072851A JP 2003272623 A JP2003272623 A JP 2003272623A
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Kanji Hisayoshi
完治 久芳
Takeshi Sakurai
健 櫻井
Tadashi Sugihara
忠 杉原
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Mitsubishi Materials Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【課題】 初期放電容量の低下を最小限に抑制でき、か
つ高温度での充放電サイクルの進行に伴う容量の低下を
効果的に抑制し得る。 【解決手段】 リチウム二次電池用正極活物質がMnの
一部を元素Mに置換したスピネル型リチウムマンガン複
合酸化物Li(1+x)Mn(2-x-y)y4からなる活物質本
体と、活物質本体の表面の少なくとも一部に被着された
被覆層からなり、被覆層が活物質本体の表面を還元処理
して得られるリチウム化合物又はMnの価数が2〜4の
リチウムマンガン複合酸化物或いはマンガン化合物であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム二次電池
に用いられる正極活物質及びその製造方法と、この正極
活物質を用いて製造されたリチウム二次電池に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、リチウム二次電池の基本的な
概念は、図5に示すように、内部がセパレータ1により
第1室2a及び第2室2bに区画された容器2に電解液
3が貯留され、第1室2aに正極4が電解液3に浸漬し
た状態で収容され、更に第2室2bに負極5が電解液3
に浸漬した状態で収容される構造となっている。このリ
チウム二次電池6では、正極4はアルミメッシュ板に活
物質を含むスラリーを塗布又は含浸させた後に、この塗
布物又は含浸物を加熱乾燥してアルミメッシュ板に活物
質を付着させることにより形成され、負極5は黒鉛等に
代表される炭素又は金属リチウム等により板状に形成さ
れる。上記正極4に付着させる活物質としては、従来よ
りLiCoO2等のリチウムコバルト複合酸化物、Li
NiO2等のリチウムニッケル複合酸化物、LiMn2
4等のリチウムマンガン複合酸化物等の金属酸化物が一
般に用いられる。
【0003】しかしながら、上記リチウムコバルト複合
酸化物を用いた電池は、その理論容量は大きくなる反
面、他の複合酸化物を使用した電池と比べると放電容量
が高くなり、非水電解液が分解しない電位範囲における
放電容量は理論容量の約1/2程度と低下してしまう欠
点がある。また複合酸化物に含まれるコバルトは、その
材料コストが高価であること、埋蔵量が少ないこと、排
気や排水における環境規制が厳しい等の諸問題があり、
電池の更なる量産化及び大型化に伴い、上記問題が深刻
化するおそれがある。またリチウムニッケル複合酸化物
を用いた電池は、理論容量が大きく適度な放電電位が得
られる反面、充放電過程で起きる結晶構造の変化に関係
する充放電電位の変化や充放電サイクルの進行に伴う結
晶構造の崩壊に起因する充放電容量の低下に対して抜本
的な解決がなされておらず、電池の特性安定性及び信頼
性が不十分であるという問題点があった。
【0004】これに対して、結晶にスピネル構造を有す
るリチウムマンガン複合酸化物を用いた二次電池は、他
の2つの複合酸化物を用いた電池に比べ理論容量は若干
劣るものの、適度に高い充放電電位を有するとともに、
正極活物質の結晶構造が充放電サイクルの過程で変化せ
ず安定に維持できることが確認されている。そのため、
リチウムマンガン複合酸化物を用いた電池は、その理論
容量に近い容量の充放電が可能である。また、正極活物
質としてのリチウムマンガン複合酸化物は、正極活物質
からリチウムイオンが完全に出尽くした満充電状態(λ
MnO2 )においても正極活物質の結晶構造は安定に維
持され、熱的安定性が他の材料系と比べて優れているこ
とが確認されている。また、この満充電時の酸素脱離開
始温度は400℃を超える高温である。このため、リチ
ウムマンガン複合酸化物を用いた電池は、理論容量に近
い容量の充放電が可能であるとともに、発火による爆発
などの危険はなく、熱安全性が極めて高いという得難い
利点を有しているため、実用化に向けた開発が進められ
ている。
【0005】しかし、上記従来のリチウムマンガン複合
酸化物系の正極活物質を用いた二次電池においては、他
の材料系を使用した電池と比べて40℃以上の温度で充
放電を繰り返す際の容量低下が顕著になり、また放電す
る電流量が増大するに伴って取り出せるエネルギが急速
に減少する、いわゆるレート特性が悪化する問題があっ
た。この上記問題点を解決するために、正極活物質の一
部をLi、Co、Al等の金属元素によって置換する方
法が提案されている。これらの方法により置換された正
極活物質を用いることにより二次電池の高温サイクル劣
化をも緩和できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Li、
Co、Al等の金属元素によって置換した正極活物質を
二次電池に用いることにより、初期放電容量の低下を招
くという問題が判明した。この問題の原因としては、L
i、Co、Al等の金属元素による置換によってMnの
価数が上昇し、充放電反応に寄与する3価のMn原子数
が相対的に減少するためであると考えられる。本発明の
目的は、初期放電容量の低下を最小限に抑制でき、かつ
高温度での充放電サイクルの進行に伴う容量の低下を効
果的に抑制し得るリチウム二次電池用正極活物質及びそ
の製造方法並びにこれを用いたリチウム二次電池を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
スピネル型リチウムマンガン複合酸化物からなる活物質
本体と、活物質本体の表面の少なくとも一部に被着され
た被覆層からなり、被覆層が活物質本体の表面の少なく
とも一部を還元処理して得られるリチウム化合物又はM
nの価数が2〜4のリチウムマンガン複合酸化物或いは
マンガン化合物からなることを特徴とするリチウム二次
電池用正極活物質である。請求項1に係る発明では、活
物質本体の表面の少なくとも一部を還元処理して得られ
るリチウム化合物又は酸素欠損を導入し、スピネル型リ
チウムマンガン複合酸化物のMnの価数を落とすことに
より得られるMn価数2〜4のリチウムマンガン複合酸
化物或いはマンガン化合物からなる被覆層を被着させる
ことにより、このリチウム化合物、Mnの価数が2〜4
のリチウムマンガン複合酸化物又はマンガン化合物はリ
チウムイオン伝導性を有するため、リチウムイオンの移
動が効率的に行われるので放電容量が増加する。またリ
チウムイオンの移動がこの被覆層を通じて均一に行われ
るため、活物質本体の劣化が抑制される。従って、初期
放電容量の低下を抑制するとともに、高温での充放電サ
イクルの容量低下を抑制することができる。
【0008】請求項6に係る発明は、電気炉内に活物質
本体を入れて、この活物質本体を還元性ガス雰囲気下、
300〜700℃、1〜60分焼成することを特徴とす
るリチウム二次電池用正極活物質の製造方法である。請
求項6に係る発明では、上記方法を用いて正極活物質を
製造することにより、請求項1ないし5いずれか記載の
正極活物質が得られる。
【0009】請求項8に係る発明は、請求項1ないし5
いずれか記載の正極活物質又は請求項6又は7記載の方
法で得られた正極活物質を用いて製造されたリチウム二
次電池である。請求項8に係る発明では、上記請求項1
ないし5いずれかに記載された正極活物質又は請求項6
又は7記載の方法で得られた正極活物質を用いてリチウ
ム二次電池を製造することにより、このリチウム二次電
池の初期放電容量の低下を抑制することができるととも
に、高温における充放電サイクルの容量低下を抑制でき
る。
【0010】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
基づいて説明する。図1に示すように、リチウム二次電
池10はこの実施の形態ではシート状の積層体であり、
正極集電板11と、正極活物質を含む正電極12と、電
解質シート13と、負極活物質を含む負電極14と、負
極集電板15とをこの順序で積層したものである。正極
集電板11はアルミニウム板からなり、負極集電板15
は銅板からなる。また正電極12に含まれる正極活物質
としては、その活物質本体にスピネル型リチウムマンガ
ン複合酸化物が用いられる。負電極14に含まれる負極
活物質としてはグラファイト系の活物質が用いられる。
更に電解質シート13としては電解液が含まれるポリエ
チレンオキシド系のシートが用いられる。
【0011】本発明は、正極活物質が、スピネル型リチ
ウムマンガン複合酸化物からなる活物質本体と、その活
物質本体の表面の少なくとも一部に被着された被覆層か
らなり、この被覆層が活物質本体の表面の少なくとも一
部を還元処理して得られるリチウム化合物又はMnの価
数が2〜4のリチウムマンガン複合酸化物或いはマンガ
ン化合物からなることを特徴とする。活物質本体である
スピネル型リチウムマンガン複合酸化物はMnの一部を
元素Mに置換した次の式(1)で表される組成物であ
る。
【0012】 Li(1+x)Mn(2-x-y)y4 ……(1) 但し、MはCr、Fe、Co、Ni、Al、Rh、Ti
及びZnからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元
素であり、0<x<0.2であり、0<y<0.2であ
る。0.02<x<0.07、0.05<y<0.15
が好ましい。x又はyが0であると、充放電時の格子定
数変化が大きく、サイクル特性に劣る。x又はyが0.
2を越えると、LiのMnサイトへの固溶が進んでしま
い、活物質1g当たりの充放電容量が80mAh未満に
低下してしまう不具合を生じる。
【0013】スピネル型リチウムマンガン複合酸化物か
らなる活物質本体の平均粒径は、0.2〜20μmの範
囲に規定される。上記数値範囲であると、電極内におけ
る活物質の充填性が損われず、かつ電解液との接触も良
好になる。電極シートを作製する際において正極活物質
の分散性及び充填性を良好にするために0.5〜15μ
mの範囲にすることが好ましく、1〜10μmの範囲が
更に好ましい。この平均粒径が0.2μm未満である
と、正極活物質の分散性及び充填性が低下するため、電
極シートの作成が困難になる。平均粒径が20μmを越
えると、良好なレート特性を確保することが困難にな
る。
【0014】活物質本体の表面の少なくとも一部に被着
された被覆層は、この活物質本体の表面を還元処理する
ことにより得られるリチウム化合物又はMnの価数が2
〜4のリチウムマンガン複合酸化物或いはマンガン化合
物である。例示すれば、リチウム化合物としては、Li
2O、LiOH等が挙げられる。Mnの価数が2〜4の
リチウムマンガン複合酸化物としては、LiMnO2
Li2Mn24、Li2MnO3、Li4Mn512、Li2
Mn49、LiMn34等が挙げられる。マンガン化合
物としては、MnO2、Mn34等が挙げられる。リチ
ウム化合物、Mnの価数が2〜4のリチウムマンガン複
合酸化物又はマンガン化合物はリチウムイオン伝導性を
有しているため、リチウムイオンの移動が効率的に行わ
れる。そのため放電容量が増加する。またリチウムイオ
ンの移動がこの被覆層を通じて均一に行われるため、正
極材料の劣化が抑制される。従って、初期放電容量の低
下を抑制するとともに、高温での充放電サイクルの容量
低下を抑制する。
【0015】被覆層の厚さは2〜300nmである。高
活性とサイクル劣化のトレードオフを考慮すると10〜
100nmが好ましい。2nm未満であると、高活性と
なるため、サイクル劣化が顕著になる。300nmを越
えると、高率充電ができない。
【0016】活物質本体表面への被覆層の被着量は活物
質本体重量に対して0.1〜2重量%である。好ましく
は活物質本体重量に対して0.3〜0.8重量%であ
る。0.1重量%未満であると、被着される面積が十分
ではないため、高温サイクル特性を改善する効果が得ら
れず、2重量%を越えると容量低下が顕著になる。
【0017】活物質本体は、例えば以下に示す方法によ
って得られる。即ち、Liを含む化合物とMnを含む化
合物と元素Mとを所定組成範囲となるようにそれぞれ混
合し、得られた原料混合物を大気中もしくは酸素雰囲
気、或いは必要に応じてAr雰囲気中で温度500〜9
00℃の範囲、より好ましくは680〜800℃の範囲
で焼成することによりMnの一部を元素Mに置換したス
ピネル型リチウムマンガン複合酸化物が得られる。Li
を含む化合物としては、Liの水酸化物、酸化物、炭酸
塩、酢酸塩、硝酸塩等が例示される。Mnを含む化合物
としては、電解二酸化マンガン、化学二酸化マンガン、
Mn23等のマンガン酸化物、MnOOH、水酸化マン
ガン、Mnの炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、Mn及びOの一
部を置換した金属の各種塩等が例示される。Mnの一部
を置換する元素MとしてはFe、Cr、Co、Ni、R
h及びAlからなる群より選ばれた1種又は2種以上の
元素が挙げられる。
【0018】ここでスピネル構造は温度400℃以上の
焼成により得られるが、焼成温度が500℃未満では、
反応が十分に進行せず、活物質の結晶性が低下してしま
うため、スピネル型の良好な結晶構造を有するリチウム
マンガン複合酸化物は得られない。焼成温度が900℃
を越えると、酸素欠損等が現れやすくなり、所定組成範
囲内の活物質本体を得ることが困難になる。また、上記
合成操作を実施するに際して、平均粒径0.2〜20μ
mの正極活物質を得るために、出発原料となるマンガン
を含む化合物の粒径は0.2〜20μmの範囲とするこ
とが重要である。0.2μm未満であると、得られる活
物質本体の粒径は0.2μm未満となってしまい、この
ような微細な粒子を正極層内に隙間無く密に充填するこ
とは難しく、従って、限られた電池容積範囲で高い電池
容量を実現することが困難になる。20μmを越える
と、得られる活物質本体の粒径は20μmを越えてしま
う。このような粗大な活物質は正極層内に隙間無く充填
することは容易であるけれども、電解液と活物質との接
触面積が狭くなり電池反応速度が低下するため、優れた
電池特性が得られない。また、粒径の大きいマンガン含
有化合物を使用すると、合成時に反応が不均一に進行す
るため、組成のばらつきが大きくなり、電池容量の低い
活物質しか得られない。
【0019】調製した活物質本体表面の少なくとも一部
に被覆層を被着させて正極活物質を製造する方法として
は、図2に示すように、電気炉内に活物質本体であるス
ピネル型リチウムマンガン複合酸化物粉末を入れて、こ
の活物質本体の粉末を還元性ガス、例えばH2含有不活
性ガス雰囲気下で300〜700℃、1〜60分間焼成
することにより、活物質本体表面の一部又は全部が還元
処理されてリチウム化合物又はMnの価数が2〜4のリ
チウムマンガン複合酸化物或いはマンガン化合物からな
る被覆層が形成された正極活物質粉末が得られる。還元
性ガスには、水素又は一酸化炭素を含んだガスが挙げら
れる。具体的には、1〜100vol%の水素含有不活
性ガスが好ましい。焼成温度は300〜700℃であれ
ば、活物質本体の結晶構造を壊すことなく、その表面の
みを還元処理することができる。好ましい焼成温度は5
50〜650℃である。また焼成する時間は5〜15分
が好ましい。焼成温度300℃未満又は焼成時間1分未
満であると被覆層の形成が不十分となり、焼成温度70
0℃又は焼成時間60分を越えると、被覆層の成長が顕
著になり、充放電反応で取出せる活物質1g当たりの電
気容量が80mAh以下に低下する不具合を生じる。
【0020】本発明に係るリチウム二次電池は、先ず、
調製した本発明の正極活物質をバインダ及び導電助剤と
混合してスラリーを調製し、このスラリーをドクターブ
レード法により正極シートに引き伸ばして乾燥させるこ
とにより、正極集電体上に正極シートをそれぞれ積層
し、正極とする。ここで導電助剤としては、例えば、ア
セチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等が挙げら
れる。また、バインダとしては、例えば、ポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン
(PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等
が挙げられる。
【0021】次に、正極集電板と、正極と、セパレータ
及び非水電解液を含む電解質シートと、負極活物質を含
む負極と、負極集電板とをこの順序で積層することによ
りシート状のリチウム二次電池が得られる。正極集電板
としては、アルミニウム箔、ステンレス鋼箔、ニッケル
箔等が挙げられる。
【0022】セパレータは合成樹脂製不織布、ポリエチ
レン多孔質フィルム、ポリプロピレン多孔質フィルム等
から形成される。非水電解液としては、非水溶媒に電解
質を溶解させた溶媒が使用される。非水溶媒としては、
エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネー
ト(PC)等の環状カーボネート、ジメチルカーボネー
ト(DMC)、メチルエチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート等の鎖状カーボネート、ジメトキシエタン、
ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン等の鎖状エ
ーテルや、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒド
ロフラン等の環状エーテル、クラウンエーテル、γ−ブ
チロラクトン等の脂肪酸エステル、アセトニトリル等の
窒素化合物、スルホラン、ジメチルスルホキシド等の硫
化物等が例示される。上記非水電解液は単独で使用して
も、2種以上混合した混合溶媒として使用しても良い。
電解質としては、過塩素酸リチウム(LiClO4)、
六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、ほうフッ化リ
チウム(LiBF4)、六フッ化ヒ素リチウム(LiA
sF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(Li
CF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルフォニルイ
ミドリチウム[LiN(CF3SO22]等のリチウム
塩が例示される。
【0023】負極活物質としては、炭素物質や、カルコ
ゲン化合物を含む物質や、軽金属からなる活物質を使用
することができる。炭素物質としては、コークス、炭酸
繊維、熱分解気相炭素物質、黒鉛、樹脂焼成体、メソフ
ェーズピッチ系炭素繊維(MCF)、メソフェーズ球状
カーボンの焼成体等が例示される。カルコゲン化合物と
しては、二硫化チタン、二硫化モリブデン、セレン化ニ
オブ等が例示される。負極に用いる軽金属としては、ア
ルミニウム、アルミニウム合金、リチウム金属、リチウ
ム合金等が挙げられる。負極は、上記負極活物質及び結
着剤を適当なバインダに懸濁し、この懸濁物を集電体に
塗布し、乾燥した後にプレス圧着することにより作製さ
れる。負極集電板としては、銅箔、ステンレス箔、ニッ
ケル箔等から形成したものを使用する。バインダとして
はPTFE、PVdF、EPDM、SBR、カルボキシ
メチルセルロース等を使用することができる。
【0024】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに説明す
る。 <実施例1>先ずLiを含む化合物と、Mnを含む化合
物と、Crを含む化合物とをそれぞれ秤量した後に混合
し、この混合物を800℃の温度で20時間空気中で焼
成した。これにより正極活物質本体(Li1.1Mn1.815
Cr0.0854)を得た。次いで正極活物質本体を電気炉
内に入れて10vol%H2、90vol%Arの混合
ガス雰囲気下、600℃、10分間焼成することによ
り、活物質本体表面に被覆層が形成された正極活物質を
得た。
【0025】<比較例1>実施例1の正極活物質本体を
焼成せず、この正極活物質本体を正極活物質とした。 <比較評価>実施例1及び比較例1の正極活物質をバイ
ンダ及び導電助剤と混合してスラリーを調製し、このス
ラリーをドクターブレード法により正極シートに引き伸
ばして乾燥させることにより、正極集電体上に正極シー
トをそれぞれ積層し、正極とした。これらの正極を図3
に示すように、充放電サイクル試験装置21に取付け
た。この装置21は容器22に電解液23(リチウム塩
を有機溶媒に溶かしたもの)が貯留され、上記正極12
が負極14(金属リチウム)及び参照極24(金属リチ
ウム)とともに電解液23に浸され、更に正極12、負
極14及び参照極24がポテンシオスタット25(ポテ
ンショメータ)にそれぞれ電気的に接続された構成とな
っている。この装置を用いて充放電サイクル試験を行
い、各正極活物質の放電容量を測定した。なお、このサ
イクル試験は室温において行い、充放電時の電流密度は
20mA/g一定で行った。実施例1及び比較例1で得
られたサイクル試験の結果を図4に示す。
【0026】図4より明らかなように、比較例1では充
放電サイクルの回数が増加するごとに放電容量が低下
し、サイクル数が200回まで進むと正極活物質1g当
たりの放電容量が80mAh/gまで落ち込んでいるこ
とが判る。これに対して実施例1では放電容量は充放電
サイクルが200回まで進んでも正極活物質1g当たり
の放電容量が100mAh/gを保持しており、サイク
ル特性が改善されていることが判る。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、リ
チウム二次電池用正極活物質が、スピネル型リチウムマ
ンガン複合酸化物からなる活物質本体と、活物質本体の
表面の少なくとも一部に被着された被覆層からなり、被
覆層が活物質本体の表面の少なくとも一部を還元処理し
て得られるリチウム化合物又はMnの価数が2〜4のリ
チウムマンガン複合酸化物或いはマンガン化合物からな
るため、初期容量の低下を最小限に抑制でき、かつ高温
度での充放電サイクルの進行に伴う容量の低下を効果的
に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の形態のリチウム二次電池の要部断
面構成図。
【図2】本発明の正極活物質の製造方法を示すフロー
図。
【図3】実施例1及び比較例1の正極活物質の充放電サ
イクル試験に用いられる装置。
【図4】実施例1及び比較例1の正極活物質の充放電サ
イクル試験結果を示す図。
【図5】リチウム二次電池の構造を模型的に示す断面拡
大説明図。
フロントページの続き (72)発明者 櫻井 健 茨城県那珂郡那珂町向山1002番地14 三菱 マテリアル株式会社総合研究所那珂研究セ ンター内 (72)発明者 杉原 忠 茨城県那珂郡那珂町向山1002番地14 三菱 マテリアル株式会社総合研究所那珂研究セ ンター内 Fターム(参考) 4G048 AA04 AB05 AC06 AD06 AE05 5H029 AJ05 AK02 AK03 AK18 AL04 AL06 AL07 AL11 AL12 AM03 AM04 AM05 AM07 CJ02 CJ14 CJ22 CJ28 DJ16 DJ17 HJ00 HJ01 HJ02 HJ04 HJ05 HJ12 HJ14 5H050 AA05 AA07 BA17 CA05 CA09 CA29 CB05 CB07 CB08 CB11 CB12 FA17 FA18 FA19 GA15 GA22 GA27 HA01 HA02 HA04 HA05 HA12 HA14 HA20

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スピネル型リチウムマンガン複合酸化物
    からなる活物質本体と、 前記活物質本体の表面の少なくとも一部に被着された被
    覆層からなり、 前記被覆層が前記活物質本体の表面の少なくとも一部を
    還元処理して得られるリチウム化合物又はMnの価数が
    2〜4のリチウムマンガン複合酸化物或いはマンガン化
    合物からなることを特徴とするリチウム二次電池用正極
    活物質。
  2. 【請求項2】 スピネル型リチウムマンガン複合酸化物
    は、Mnの一部を元素Mに置換した次の式(1)で表さ
    れる組成物である請求項1記載の正極活物質。 Li(1+x)Mn(2-x-y)y4 ……(1) 但し、MはCr、Fe、Co、Ni、Al、Rh、Ti
    及びZnからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元
    素であり、0<x<0.2であり、0<y<0.2であ
    る。
  3. 【請求項3】 被覆層の厚さが2〜300nmである請
    求項1又は2記載の正極活物質。
  4. 【請求項4】 被覆層の被着量が活物質本体重量に対し
    て0.1〜2重量%である請求項1ないし3いずれか記
    載の正極活物質。
  5. 【請求項5】 活物質本体の平均粒径が0.2〜20μ
    mである請求項1又は2記載の正極活物質。
  6. 【請求項6】 電気炉内に活物質本体を入れて前記活物
    質本体を還元性ガス雰囲気下、300〜700℃、1〜
    60分焼成することを特徴とするリチウム二次電池用正
    極活物質の製造方法。
  7. 【請求項7】 還元性ガスが水素又は一酸化炭素を含む
    請求項6記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし5いずれか記載の正極活
    物質又は請求項6又は7記載の方法で得られた正極活物
    質を用いて製造されたリチウム二次電池。
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