JP2003203633A - 正極活物質およびこれを含む非水電解質二次電池 - Google Patents

正極活物質およびこれを含む非水電解質二次電池

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高容量で長期保存性およびサイクル寿命の
優れたリチウム含有複合酸化物からなる正極活物質と、
これを用いた非水電解質二次電池とを提供する。 【解決手段】 X線吸収微細構造におけるK吸収端の吸
収極大値に基づく酸化状態が2.0〜2.5のニッケル
および3.5〜4.0のマンガンを含むリチウムイオン
含有複合酸化物からなる正極活物質、およびこれを用い
た非水電解質二次電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、正極活物質、特に
非水電解質二次電池に用いる正極活物質に関する。さら
に本発明は、特定の正極活物質を含む正極を有する高容
量で安価な非水電解質二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コードレスおよびポータブルなA
V機器およびパソコンなどの普及にともない、それらの
駆動用電源である電池としても、小型、軽量および高エ
ネルギー密度の電池への要望が強まっている。特に、リ
チウム二次電池は、高エネルギー密度を有する電池であ
ることから、次世代の主力電池として期待され、その潜
在的市場規模も大きい。現在市販されているリチウム二
次電池の大半においては、正極活物質として4Vの高電
圧を有するLiCoO2が用いられているが、Coが高
価であることからLiCoO2の値段が高い。このこと
から、LiCoO2に代わる様々な正極活物質が研究さ
れている。なかでも、リチウム含有遷移金属酸化物が精
力的に研究され、LiNiaCob2(a+b≒1)が
有望とされている。また、スピネル構造を有するLiM
24の商品化がされているようである。
【0003】また、高価なコバルトの代替材料として、
ニッケルおよびマンガンについての研究が盛んに行われ
ている。例えば、層構造を有するLiNiO2は大きな
放電容量を発揮することが期待されるが、充放電にとも
なって結晶構造が変化することから劣化の程度が大き
い。そこで、充放電時の結晶構造を安定化し、劣化を抑
制することのできる元素をLiNiO2に添加すること
が提案されている。このような添加元素としては、具体
的には、コバルト、マンガン、チタンおよびアルミニウ
ムなどの元素があげられている。
【0004】さらに、NiおよびMnの複合酸化物をリ
チウム二次電池用の正極活物質として使用する従来技術
について説明する。例えば米国特許第5393622号
公報においては、Niの水酸化物、Mnの水酸化物およ
びLiの水酸化物を一度に乾式混合して焼成し、焼成物
をさらに室温まで冷却し、再び加熱により焼成して、
式:LiyNi1-xMnx2(式中、0≦x≦0.3、0
≦y≦1.3)で示される組成を有する活物質を製造す
る方法が提案されている。また、米国特許第53709
48号公報においては、水溶液にLi塩、Ni塩および
Mn塩を一度に混合し、乾燥および焼成を経て式:Li
Ni1-xMnx2(式中、0.005≦x≦0.45)
で示される活物質を得る方法が提案されている。
【0005】また、米国特許第5264201号公報に
おいては、ニッケルおよびマンガンの水酸化物または酸
化物と過剰の水酸化リチウムとを混合して焼成する乾式
合成方法や、水酸化リチウムの飽和水溶液中でニッケル
およびマンガンの酸化物などをスラリーにした後、この
スラリーを減圧下で乾燥および焼成し、式:LixNi
2-x-yMny2(式中、0.8≦x≦1.0、y≦0.
2)で示される活物質を得る合成方法が提案されてい
る。さらにまた、米国特許第5629110号公報にお
いては、β−Ni(OH)2を用いる乾式混合合成法に
より、式:LiNi1-xMnx2(式中、0<x≦0.
2、y≦0.2)で示される活物質を得ることが提案さ
れている。また、特開平8−171910号公報におい
ては、マンガンとニッケルの混合水溶液中にアルカリ溶
液を加えてマンガンとニッケルを共沈させ、水酸化リチ
ウムを加え、ついで焼成することによって式:LiNi
xMn1-x2(式中、0.7≦x≦0.95)で示され
る活物質を得る方法が提案されている。
【0006】また、特開平9−129230号公報にお
いては、式:LiNix1-x2(式中、MはCo、M
n、Cr、Fe、VおよびAlの少なくとも一種、1>
x≧0.5)で示される組成を有する好ましい粒子状活
物質が開示されており、NiおよびMnを含む活物質と
してx=0.15のものが示されている。また、特開平
10−69910号公報においては、共沈合成法で合成
された式:Liy-x1Ni1-x2x2(式中、MはCo、
Al、Mg、Fe、MgまたはMn、0<x2≦0.
5、0≦x1<0.2、x=x1+x2、0.9≦y≦
1.3)で示される活物質が提案されている。前記公報
には、MがMnの場合は本来放電容量が小さく、x2が
0.5を超えると、高容量を目的とするリチウム二次電
池の正極活物質としての本来の機能を失うと記載されて
いる。最もMn比率が大きい場合としては、LiNi
0.6Mn0.42が例示されている。なお、米国特許第5
985237号公報においては、層構造を有するLiM
nO2の製造方法が示されているが、これは実質的に3
V級の活物質である。
【0007】上述のような米国特許公報および日本特許
出願公開公報に記載された先行技術は、全てLiNiO
2のサイクル特性などの電気化学的特性を改善するため
に、LiNiO2の特徴を残しつつ、LiNiO2に微量
の元素を添加するものである。したがって、添加後に得
られる活物質に含まれるNiの量がMnの量を常に上回
っており、Ni:Mn=0.8:0.2の比が好ましい
とされている。また、最もMn量が多い比としては、N
i:Mn=0.55:0.45が開示されている。しか
し、これら従来技術においては、LiNiO2がLiM
nO2と分離してしまうため、単一相の結晶構造を有す
る複合酸化物を得るのは困難である。これは、共沈の際
に別々の領域で酸化されるニッケルおよびマンガンの性
質から均質な酸化物を形成しにくいからであると考えら
れる。
【0008】上述のように、現在市販されている4Vの
高電圧を有するLiCoO2の代替材料として、同様の
層構造を有しつつ高容量で低コストの正極活物質である
LiNiO2およびLiMnO2の研究開発がなされてい
る。しかし、LiNiO2は放電形状が平坦でなく、か
つサイクル寿命も短い。さらに、耐熱性も低く、LiC
oO2の代替材料として使用するには大きな問題があ
る。このため、LiNiO2に様々な元素を添加して改
良することが試みられているが、その改良は未だ不充分
である。また、LiMnO2では3Vの電圧しか得られ
ないことから、層構造を有さず、容量の低いスピネル構
造をもつLiMn24が研究されはじめている。すなわ
ち、LiCoO2と同等の4Vの電圧を有し、平坦な放
電カーブを示し、さらにLiCoO2より高容量で低価
格の正極活物質が求められ、さらに、かかる正極活物質
を用いた高容量で充放電効率の優れた非水電解質二次電
池が求められていた。
【0009】これに対して、特願2000−22785
8号明細書では、LiNiO2が持つ特性やLiMnO2
が持つ特性を新たな添加元素を入れることで改良する技
術ではなく、ニッケル化合物とマンガン化合物を原子レ
ベルで均質に分散させて固溶体を形成することで、新た
な機能を発現するニッケルマンガン複合酸化物からなる
正極活物質が提案されている。すなわち、従来技術にお
いては、多くの添加元素が提案されているが、そのなか
でどの元素が具体的に好ましいかが技術的に明確にはさ
れていなかったのに対し、ニッケルおよびマンガンをほ
ぼ同比率で組合せることにより新たな機能を発現し得る
正極活物質が提供されている。
【0010】以上のように、複合酸化物に関する組成お
よび合成手法に関しては、従来からの知見が得られる。
一方、これら複合酸化物におけるニッケル、マンガンお
よびコバルトの遷移金属元素の酸化状態に関しては、そ
の材料の出来映えを推し量る重要な事項であるにもかか
わらず、関連する論文上では検討されているが、特許公
報および特許公開公報においてはほとんど検討されてい
ない。例えば、M.M.Grushらは、Chem.Mater.,12(3),65
9-664,2000のなかで、スピネル構造を有するLiMn
2-yMey4中のMeが、コバルトの場合は3価、ニッ
ケルの場合は2価であることを報告している。また、Qi
ming ZhongおよびJ.R. Dahnらは、J.Electrochem.Soc.,
144(1),205-213,1997のなかで、同様にLiNixMn
2-x4のスピネル構造を有する酸化物の酸化状態が、L
+1Nix +2Mn1-2x +3Mn1-x +44 -2で表されること
を報告している。さらに、彼らはこの材料の充放電挙動
において4.1Vの平坦部はMn 3+とMn4+の酸化還元
に対応し、4.7Vの平坦部がNi2+とNi4+の酸化還
元に対応するとしている。
【0011】これらの複合酸化物はすべてスピネル構造
を有し、特にMnとNiを含む複合酸化物の充放電領域
は4.7Vと高電位である。LiCoO2やLiNiO2
のなどの層構造を有する酸化物に関しては、E.Rossenお
よびJ.R.Dahnらは、Solid State Ionics, 57(3-4), 311
-18, 1992のなかで、LixMnyNi1-y2のMn4+
存在することを報告し、さらに、Mn4+の増加に伴って
容量が低下することを報告している。また、B.J.Neudec
ker,J.B.Batesらは、J.Electrochem.Soc.,145(12)19
98のなかで、Lix(MnyNi1-y2−xO2において
XPS測定からMn3+およびMn4+とNi2+の存在を報
告している。しかし、Ni2+は表面に存在し、内部はN
3+であると論じている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、ニッケルおよびマンガン元素を固溶させることによ
って、得られるリチウム含有複合酸化物の組成を制御す
るという従来の技術に基づき、さらにそれぞれの元素の
酸化状態を制御することによって、高容量で長期保存性
およびサイクル寿命の優れたリチウム含有複合酸化物か
らなる正極活物質を提供することを目的とする。すなわ
ち、本発明は、制御された酸化状態を有する元素を含む
リチウム含有複合酸化物からなる正極活物質を得ること
を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、X線吸収微細
構造におけるK吸収端の吸収極大値に基づく酸化状態が
2.0〜2.5価のニッケルおよび3.5〜4.0価の
マンガンを含むリチウムイオン含有複合酸化物からなる
正極活物質に関する。また、前記正極活物質において
は、充電前および電圧がリチウム金属基準で2.5〜
3.5Vのとき、X線吸収微細構造におけるニッケルお
よびマンガンのK吸収端の吸収極大値から決定される値
が、ニッケル2価およびマンガン4価で構成されるのが
好ましい。
【0014】また、前記正極活物質は、リチウム金属基
準で3.3〜4.6Vの作動電位、および1g当たり1
50mAh以上の充放電容量を有するのが好ましい。さ
らに、前記リチウムイオン含有複合酸化物が層状の結晶
構造を有し、六方晶系に帰属した格子定数がa=2.8
0〜2.95,c=13.8〜14.4の範囲であるの
が好ましい。また、前記リチウムイオン含有複合酸化物
がニッケル元素とマンガン元素を実質的に同比率で含む
のが好ましい。
【0015】前記リチウム含有複合酸化物が、式
(1): Li[MX(NiδMnγ)1-X]O2 (式中、Mはニッケルおよびマンガン以外の1種以上の
元素、−0.1≦X≦0.3、δ=0.5±0.1、γ
=0.5±0.1、Mがコバルトの場合は−0.1≦X
≦0.5)で表されるのが好ましい。前記Mの酸化状態
が3価であるのが好ましく、また、前記Mがアルミニウ
ムおよびコバルトの少なくとも一方を含むのが好まし
い。
【0016】さらに、前記正極活物質は、0.1〜2μ
mの粒径を有する前記リチウム含有複合酸化物の結晶粒
子と、2〜20μmの粒径を有する前記結晶粒子の二次
粒子との混合物を含むのが好ましい。また、本発明は、
リチウムイオンを吸蔵・放出する材料および/または金
属リチウムを負極活物質として含む負極、上記正極活物
質を含む正極、ならびに電解質を有する非水電解質二次
電池をも提供する。本発明によれば、容量が高く充放電
効率に優れた非水電解質二次電池を提供することができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明者らは、ニッケルおよびマ
ンガン元素を含む一連のリチウム含有複合酸化物に関し
て鋭意研究および開発を進め、非水電解質二次電池用の
正極活物質として優れた機能を発現するものを見出して
きた。さらに、これらの従来技術をベースに、組成およ
び結晶構造に加え、ニッケルおよびマンガン元素の結晶
中での酸化状態を制御することにより、より優れた機能
を有する正極活物質が得られることを見出した。
【0018】まず、本発明におけるリチウム含有複合酸
化物はニッケルとマンガンとを含むことを前提とする
が、その比率は1:1(同比率)であることが重要であ
る。また、これら元素は前記酸化物中でナノレベルで均
一に分散されていることが重要である。また、結晶構造
の観点から、前記リチウム含有複合酸化物は、層構造を
有し、六方晶系に帰属した格子定数がa=2.80〜
2.95、c=13.8〜14.4の範囲であることが
重要である。
【0019】つぎに、本発明の最大の特徴である、前記
リチウム含有複合酸化物中のニッケルおよびマンガンの
酸化状態の制御について説明する。上述のように、リチ
ウム含有複合酸化物の組成、結晶構造および合成手法に
関しては従来から種々の研究がなされているものの、含
まれるニッケルおよびマンガンなどの遷移金属元素の酸
化状態は、得られる正極活物質の性能などに影響を及ぼ
す重要なファクタであるにもかかわらず、ほとんど検討
されていない。
【0020】この酸化状態は前述のようにいくつかの論
文においては記述されているものの、2種以上の遷移金
属元素を含むリチウム含有複合酸化物を非水電解質二次
電池用正極活物質として用いる場合において、それぞれ
の遷移金属元素の好ましい酸化状態はいずれの文献にも
見当たらない。特に、これらの酸化状態を制御すること
で新たな優れた機能を付与し得ることについての報告は
皆無である。すなわち本発明は、従来からほとんど検討
されてこなかったこの点に着目して得られたものであ
り、2種以上の遷移金属を含むリチウム含有複合酸化物
の各々の元素の、新たな機能を発現するための好ましい
酸化状態を開示するとともに、実際にその酸化状態を実
現するための具体的手法および得られる新たな機能を詳
細に開示する。
【0021】加えて、本発明者らは、前記リチウム含有
複合酸化物を母材として用い、これに異種元素を固溶さ
せることで、さまざまな付加機能をさらに加え得ること
も見出した。例えば、アルミニウムをドープすることで
結晶粒子の耐熱性を向上させたり、電位を少し上げた
り、充放電カーブの形状をフラットにしたりすることが
可能である。コバルトをドープすることで分極特性を改
良することが可能である。また、マグネシウムをドープ
することで前記結晶粒子の電子伝導性を上げることがで
きる。さらに、前記異種元素の種類を変えることによ
り、高温での前記結晶粒子の表面と電解液との反応によ
るガス発生量を少なくしたり、逆に多くしたりすること
も可能である。
【0022】以下においては、これらの第3元素として
コバルト、アルミニウムまたはマグネシウムに代表させ
て本発明を説明することがあるが、他の元素に関しても
ニッケルとマンガンの酸化状態を制御したリチウム含有
複合酸化物を母材として用いて新たな機能を発揮させる
ことが重要である。したがって、当業者であれば、本発
明の効果を損なわない範囲で、種々の添加元素を用いて
他の機能を付加することは容易に推測、実施できる。
【0023】(1) 本発明の正極活物質の組成、結晶
構造および電気化学特性 本発明の正極活物質は層構造を有し、六方晶系として粉
末X線回折ピークの帰属を行うことができる。現在、リ
チウム二次電池用として最も広く使用されているLiC
oO2はリチウム金属に対して4.3V充電で140〜
145mAh/gの電気容量を持っている。負極に炭素
材料を使用した電池も、ほぼこれと同等の利用率を発揮
するように設計されている。したがって、前記電位領域
で同等以上の容量が確保できない電池は、実情に沿わず
に市場では魅力に欠ける。
【0024】ニッケルおよびマンガンを含むリチウム含
有複合酸化物として、Qiming Zhong, J.R. Dahnらは、
J.Electrochem.Soc.,144(1), 205-213, 1997のなかで、
LiNixMn2-x4などのスピネル構造を有する酸化
物を報告している。本明細書において論じているよう
に、スピネル構造のMnとNiを含む複合酸化物の充放
電領域は4.1Vまたは4.7Vにあり、4.7Vに充
放電領域を有する複合酸化物は逆に高電位過ぎて使いに
くい。さらに、容量も120mAh/gと小さい。これ
らの理由から、スピネル構造を持つ複合酸化物は高容量
を志向するリチウム二次電池用正極活物質としては好ま
しくない。
【0025】この観点から、従来のLiCoO2と同様
な層構造を持つリチウム含有複合酸化物が高容量の正極
活物質としての可能性を有しており好ましい。したがっ
て、本発明に係る正極活物質は、3.3〜4.6Vの領
域にリチウム金属基準の作動電位を有し、1g当たり1
50mAh以上の充放電容量を示すものを前提とする。
ここで、図1に本発明のLiNi1/2Mn1/22の粉末
X線回折パターンを示す。層構造を有する六方晶系でミ
ラー指数を帰属させると、ほぼすべてのピークを強度に
関しても矛盾無く解析できることから、本発明の正極活
物質が層構造を有することがわかる。
【0026】つぎに、得られた正極活物質の電気化学特
性を、コイン型電池を作製することにより評価した。コ
イン型電池は以下の手順で作製した。正極活物質、導電
材であるアセチレンブラック、結着剤であるポリフッ化
ビニリデン樹脂(以下、「PVDF」という。)を8
0:10:10の重量比で混合し、シート状成形物を得
た。そしてこの成形物を円盤状に打ち抜き、真空中で8
0℃の温度で約15時間乾燥させ、正極を得た。また、
シート状に成形されたリチウム金属を円盤状に打ち抜い
て負極とした。セパレータとしてはポリエチレンの微多
孔膜を用い、電解液は、EC(エチレンカーボネート)
とEMC(エチルメチルカーボネート)の1:3(体積
比)の混合溶媒に、1モルのLiPF6を溶解して調製
した。そして、これらを用いて常法により、2016サ
イズ(径が20ミリ、厚み1.6ミリ)のコイン型電池
を作製した。
【0027】作製したコイン型電池を用い、10時間率
相当の定電流値で2.5〜4.6Vの間で充放電を行っ
た。約180mAh/gの充放電容量を得ることがで
き、かつ、4V級の放電電圧が得られることがわかっ
た。図2にこのコイン型電池の充放電カーブを示した。
図2より明らかなように、充放電による分極の程度が極
めて小さい。また、放電カーブは、前述したニッケルお
よびマンガンを含みスピネル型構造を有する正極活物質
とは異なり、一段でほとんどフラットな形状を示した。
また、放電電位は4V級の非水電解質二次電池用極活物
質として適した電位を有した。
【0028】このような充放電カーブの形状は、比較的
勾配のある傾斜したカーブを描くLiNiO2や、3V
級のLiMnO2とは明らかに異なる。また、電位およ
び放電形状の面からLiCoO2とも異なることがわか
る。このことから、得られる正極活物質が新たな材料で
あり、リチウム金属基準の作動電位が3.3〜4.6V
の領域で、1g当たり150mAh以上の充放電容量を
示すことを前提とする高容量志向の正極活物質として非
常に好ましいことがわかる。
【0029】正極活物質の充放電反応に伴う反応メカニ
ズムの解析を目的として、その結晶構造の変化を調べ
た。実験は前述のコイン型電池を作製して行った。充放
電の各途中点で充放電を中断し、コイン型電池を分解し
て正極活物質の結晶構造変化をX線回折装置を用いて解
析した。コイン型電池を分解して取り出した正極は、導
電剤であるアセチレンブラックや結着剤であるPVDF
も含んでいた。なお、解析は、測定中の分解や水分の影
響を最小限にするために、ポリエチレン製の袋に入れて
行った。充放電にともなう結晶格子の体積変化をX線回
折から得られる格子定数を用いて計算した。その結果、
充電に伴って体積が減少するとこがわかった。a軸およ
びc軸は充電によってそれぞれ減少および増加し、体積
は減少していく。放電状態で104立方オングストロー
ムの格子体積から一次直線的に101立方オングストロ
ーム(充電容量180mAh/g)まで単純に減少し
た。
【0030】このような現象は正極活物質として大きな
価値がある。現在、リチウム二次電池を主とする電池系
においては、正極活物質としてLiCoO2を用い負極
活物質としてグラファイトを用いる。正極のLiCoO
2の格子体積は酸化(充電)に伴って増加する。グラフ
ァイトもLiイオンを層間に挿入することで膨張する。
したがって、この電池系は、充電に伴って正極および負
極ともに膨張する。この膨張は電池においては不都合で
あり、具体的には膨張でセパレータが押しつぶされた
り、場合によっては内部短絡の原因になったりする。ま
た、このような膨張を考慮してあらかじめ充填容量を減
らしておくことなどが必要な場合もある。さらに、薄型
電池は電池自身が膨張してしまい、薄型のメリットが低
減しかねない。
【0031】これに対し、上述のように酸化によって格
子体積が減少する活物質を用いることができれば、負極
の膨張をある程度吸収することが可能となり、電池全体
としての膨張による不都合を解決できることとなる。し
たがって、LiCoO2のように充電で膨張する正極活
物質とは全く正反対に、充電によっても体積が一定また
は減少する本発明の正極活物質は、グラファイトなどの
充電により膨張する材料を負極に用いる場合に特に価値
がある。
【0032】ここで、本発明の正極材料の充放電挙動の
特異性を補足説明する。層構造を有するLiCoO2
LiNiO2およびLiMnO2の電位は、それぞれ4
V、3.7Vおよび3Vである。したがって、4Vクラ
スの層構造を有する活物質を調製しようとする場合は、
通常はCoとNiを組み合わせたり、これらの元素の電
位的な特徴を残したまま微量の第3の元素を結晶構造の
安定化のために添加する試みがなされている。米国特許
第5264201号公報には、式:LixNi2-x -yy
2(式中、0.8≦x≦1.0、y≦0.2、ただし
MがCoの場合はy<0.5)の組成を有する活物質が
開示されている。添加元素Mとしては、Co、Fe、T
i、Mn、CrおよびVが開示されている。
【0033】この従来技術からもわかるように、Niを
基準にして多くの添加元素Mが示され、その添加量は微
量である。したがって、Niの電位的な特徴を生かしつ
つ添加元素を加え、添加元素の組合せによって電位を制
御することについては開示も示唆もされていない。Co
の添加量が多いことのみが記述されているが、Coが高
い電位を有すること、およびCoの電位がNiの電位に
ほぼ等しいことが従来から良く知られているため、この
ような組み合わせが検討されているものと考えられる。
【0034】さらに、例えば特開平4−267053号
公報には、式:Lixyz2(MはFe、Coまたは
Ni、NはTi、V、CrまたはMn)の組成を有する
活物質が開示されており、M元素で4Vの電圧を実現
し、N元素で構造の安定化を図ることが記載されてい
る。また、特開平10−69910号公報においては、
共沈合成法で合成された式:Liy-x1Ni1-x2x
2(式中、MはCo、Al、Mg、Fe、MgまたはM
n、0<x2≦0.5、0≦x1<0.2、x=x1+x
2、0.9≦y≦1.3)で示される活物質が提案され
ている。前記公報には、MがMnの場合は本来放電容量
が小さく、X2が0.5を超えると、高容量を目的とす
るリチウム二次電池の正極活物質としての本来の機能を
失うと記載されている。最もMn比率が大きい場合とし
ては、LiNi0.6Mn0.42が例示されている。
【0035】このような先行技術の思想は、本発明の思
想とは明らかに異なる。本発明では、ニッケルおよびマ
ンガン元素を含むリチウム含有複合酸化物に関して、結
晶構造、ニッケルおよびマンガンの組成、ならびにさら
にそれらの酸化状態を厳密に制御することで新たな機能
を出現させるもので、前述の従来技術とは思想が全く異
なるものである。
【0036】(2) 本発明のリチウム含有複合酸化物
中におけるニッケルおよびマンガン元素の酸化状態(価
数) 組成の観点からは、本発明のリチウム含有複合酸化物は
ニッケル元素とマンガン元素を同時に含むものでなけれ
ばならない。その比率はニッケルとマンガンの原子比が
1:1のときが好ましい。しかし、その組成よりも重要
なのがそれぞれの元素の酸化状態である。本発明の最大
の効果はこのニッケルおよびマンガンの酸化状態を同時
に制御することである。本発明の正極活物質の合成時
に、ニッケルの価数を2価とし、マンガンの価数を4価
とすることで、後述するような効果を得ることができ
る。
【0037】Qiming Zhong, J.R.Dahnらは、J.Electro
chem.Soc.,144(1), 205-213, 1997のなかで、LiNix
Mn2-x4のスピネル構造を有する酸化物の酸化状態
が、Li+1Nix +2Mn1-2x +3Mn1-x +44 -2で表され
ることを報告している。さらに、彼らはこの材料の充放
電カーブにおいて、4.1Vの平坦部はMn3+とMn 4+
の酸化還元に対応し、4.7Vの平坦部がNi2+とNi
4+の酸化還元に対応すると報告している。当該論文にお
ける酸化物はすべてスピネル構造を有し、MnとNiを
含む場合は、充放電領域が4.7Vと高電位である。
【0038】前述したように、本発明は層構造で放電電
位も4.6V以下の領域であり、さらに容量も150m
Ah/g以上を志向しているもので、論文で示されたス
ピネル構造のものとはまったく異なる。LiCoO2
LiNiO2のような層構造を有する酸化物に関して
は、E.RossenおよびJ.R.Dahnらは、Solid State Ionic
s,57(3-4),311-18,1992のなかで、LixMnyNi
1-y2のMn4+の存在を報告し、さらに、Mn4+の増加
に伴って容量が低下することを報告している。また、B.
J.NeudeckerおよびJ.B.Batesらは、J.Electrochem.So
c.,145(12)1998のなかで、Lix(MnyNi1-y2-x
2においてXPS測定からMn3+およびMn4+とNi
2+の存在を報告している。しかし、Ni2+は結晶粒子の
表面に存在し、結晶粒子の内部にはNi3+があると記載
されている。
【0039】このように、上記論文には、マンガンおよ
びニッケルの価数に関する記述があるものの、単に従来
の正極活物質を解析した結果を論じているに過ぎない。
また、前者では高容量の材料にはMn4+の存在はむしろ
容量低下の要因であると記載されており、本発明とは矛
盾する。また、後者においてもNi2+は結晶粒子の表面
に存在しているだけで内部にはNi3+が存在すると記載
されており、これも結晶粒子の内部までNi2+が存在し
得る本発明の正極活物質と異なる。さらに、これら論文
においては、本発明の効果については一切開示されてい
ない。将来的にニッケルおよびマンガンの価数を同時に
制御し、新たな機能を発現させる旨の示唆も無い。した
がって、本発明の正極活物質は、上記従来技術に係る正
極活物質とは、技術的思想、構成および効果において異
なるものである。
【0040】本発明の正極活物質におけるニッケルおよ
びマンガンの酸化状態を解析した結果の一例を以下に示
す。ここでは、前述したLiNi1/2Mn1/22および
LiNi1/3Mn1/3Co1/32を解析した。また、比較
のためにMnを含まないLiNi1/2Co1/22も同様
に解析した。なお、本発明の正極活物質の合成方法は後
述する。正極活物質におけるニッケルおよびマンガンの
酸化状態を測定するため、X線吸収端近傍の構造測定
(X-ray absorption near-K-edge structures, XANES)
を行った。実験に用いた設備およびその他の条件を以下
に簡単に示す。
【0041】 実験施設 :Spring-8 ビームライン :BL16B2 測定温度 :室温 測定エネルギー範囲:Mn-K殻、Co-K殻、Ni-K殻付近 分光結晶 :Si(111) ビームサイズ :1mm×2mm
【0042】酸化数を決定するために比較サンプルを用
いて検量線を作成した。2+、3+および4+の価数の
マンガンを含む基準サンプルとして、それぞれMnO、
Mn 23およびLi2MnO3を用いた。同様に2+、3
+および4+の価数を有するニッケルを含む基準サンプ
ルとして、それぞれNiO、LiNiO2およびNiO2
を用いた。また、参考のために、2+および3+の価数
のコバルトを含む基準サンプルとして、それぞれCoO
およびLiCoO2を用いた。解析では、ニッケル、マ
ンガンおよびコバルトのK吸収端の吸収極大を求めるこ
とで数値化を行った。
【0043】図3、図4および図5にそれぞれマンガ
ン、ニッケルおよびコバルトの酸化状態を図示した。図
3はマンガンの場合の酸化状態を示しており、縦軸はマ
ンガンのK吸収端の吸収極大から求めたエネルギー値を
示している。図3より、2価、3価および4価のマンガ
ンを含む正極活物質の測定点は、ほぼ直線で結べること
がわかる。この検量線をもとに、LiNi1/2Mn1/2
2とLiNi1/3Mn1/3Co1/32の測定値を乗せる
と、それぞれ図中に示した△および◇に相当する。この
ことから、LiNi1/2Mn1/22およびLiNi1/3
1/3Co1/32中のマンガン元素の酸化状態は、数値
で表現すると3.5〜4.0価の間にあり、化学原則か
ら判断すると個々のマンガン元素はほぼ4価であると判
断できる。
【0044】ニッケルの酸化状態を図4に示した。同様
にニッケルのK吸収端の吸収極大から求めたエネルギー
値から、2価、3価および4価のニッケルを含む正極活
物質の測定点はほぼ直線で結ぶことができ、この検量線
上にLiNi1/2Mn1/22とLiNi1/3Mn1/3Co
1/32の測定値を乗せると図中の△および◇に相当す
る。したがって、これらの正極活物質中のニッケルの酸
化状態を数値で表現すると2.0〜2.5価の間にあ
り、化学原則から判断すると個々のニッケル元素はほぼ
2価であると判断できる。なお、参考のためにLiNi
1/2Co1/22の解析結果を図中に示した。この場合、
図よりニッケルは3価であると判断される。
【0045】図5にコバルトの酸化状態を示した。Li
Ni1/3Mn1/3Co1/32のコバルト元素の酸化状態は
3価である(◇)。また、比較のLiNi1/2Co1/2
2についてもコバルトの酸化状態は3価であると判断で
きる(○)。以上のことから、本発明のLiNi1/2
1/22およびLiNi1/3Mn1/3Co1/32に関し
て、マンガンおよびニッケル元素はそれぞれほぼ4価お
よび2価であり、このことで全体の酸化数も満足する。
また、コバルト元素に関しては3価である。
【0046】つぎに、本発明の正極活物質が奏する効果
を説明する。本発明の正極活物質に含まれるニッケルお
よびマンガンは2価および4価であることはすでに示し
たが、このことが特に以下2点のような効果を発揮す
る。第1点は、本発明の正極活物質は、サイクル寿命、
特に高温下でのサイクル寿命が長く優れるという効果で
ある。また、第2点は、保存特性に優れるという効果で
ある。これらの効果の具体的な度合いに関しては、後述
する実施例で示すが、そのメカニズムは以下のように考
えられる。
【0047】従来技術においては、層構造を有する正極
活物質に関しての記載はないが、スピネル構造を有する
正極活物質に関しての記載がある。4Vの電位を発揮
し、スピネル型構造を有し、かつマンガンを含む複合酸
化物を正極活物質として用いる場合、特開2001−2
02959号公報などに記載されているように、サイク
ル寿命の低下や高温保存劣化が大きな問題がある。
【0048】具体的には、「リチウムマンガン複合酸化
物は、純粋にマンガンのみで合成した材料を正極活物質
としてリチウムイオン二次電池を作製した場合には、サ
イクル特性が悪く、高温環境下で使用されたり保存され
た場合に比較的電池性能を損ない易いという欠点を有し
ていた。このような欠点を解決するためにマンガンの一
部をクロムやニッケル、コバルトなどの金属元素に置き
換える方法が提案され、これにより結晶構造の安定性が
向上し、サイクル特性や高温保持特性が改善されること
が判明した。」と記載されている。
【0049】このようにマンガンを含みかつスピネル構
造を有する正極活物質には、サイクル寿命および高温保
存特性を改良し、結晶構造を強固にすることを目的とし
て添加元素を加えている。また、特開2000−770
71号公報においては、マンガンを含む材料の劣化は、
マンガン元素の溶出に要因があると考察されている。当
該先行技術は、単に改良した手法で混合物を得る点に特
徴があり、本発明とは思想が異なるが参考のために記載
する。特開2000−77071号公報において、スピ
ネル構造を持つマンガン酸化物に、所定の比表面積かD
50粒径のリチウムニッケル複合酸化物を混合すること
を提案している。このことにより、リチウムニッケル複
合酸化物が水素イオンを捕捉しマンガンの溶出を抑制す
る。このときの反応としては、例えば水素イオンを取り
込む代わりにLiイオンを放出する機構が推定されてい
る。
【0050】また、リチウムニッケル複合酸化物が、リ
チウムマンガン複合酸化物と電解液と水の三者間の反応
に対する、何らかの触媒毒的な働きをしている可能性も
あることも記載されている。いずれにしても、これらの
記載はいずれもスピネル構造を持つマンガン含有複合酸
化物に関するものであり、本発明の層構造を持つ正極活
物質に関する記載はない。さらに、上述のように、複合
酸化物中のマンガンおよびニッケルの酸化状態を制御し
て改良を図るという思想については開示も示唆もない。
層構造に関するものに関しても、マンガンの溶出に起因
するサイクル寿命の低下に対して改善を図る技術につい
ても見当たらない。
【0051】本発明の層構造を有する正極活物質はマン
ガンおよびニッケルを含有するが、マンガンの溶出量が
きわめて小さい。したがって、マンガンの溶出を抑える
ことでサイクル寿命および保存性の改良に効果がある。
マンガン元素は一般的に2価の価数を有して電解液中に
溶出する。また、3価のマンガンは不均化反応を起こし
て、4価のマンガンと2価のマンガンとなり、2価のマ
ンガンが電解液中に溶出する。このことから、本発明者
らは、マンガンの酸化状態を4価にすることができれ
ば、マンガンの溶出を抑えることができるであろうとい
う点に着目し、本発明を完成するに至った。
【0052】本発明の正極活物質におけるマンガンは、
前述のX線吸収端近傍の構造測定(X-ray absorption n
ear-K-edge structures,XANES)で詳細に解析した結果
から、4価であることが証明される。このように、マン
ガンの価数を4価に制御することにより、電解液中に水
分が混入し多少のプロトンが生成されたとしても、マン
ガンが溶出することを大幅に抑制することが可能であ
る。
【0053】ここで、マンガンの溶出がサイクル寿命の
低下および保存特性の低下に悪影響を及ぼすメカニズム
を簡単に説明する。正極からマンガンイオンが溶出して
負極上達すると、マンガンおよびリチウムを含む有機物
が堆積して被膜を生成することがわかった。電解質とし
てLiPF6を用いた場合には、この膜からリン元素も
検出された。また、膜の組成分析の結果、マンガン元素
1個に対して約40個のリチウム元素が含まれることが
わかった。負極中にインターカレートされていたリチウ
ム元素が吐き出され、前記膜中に取り込まれたものと考
えられる。
【0054】このことから、微量のマンガンが溶出して
も、その約40倍の量のリチウムイオンが不活性にな
り、これにより顕著な容量劣化が起こるものと考えられ
る。さらに、前記膜は充放電にともなうリチウムイオン
の移動を妨げるため、得られる電池の放電特性を著しく
劣化させることも容易に推察される。また、マンガンイ
オンの溶出の速度は高温下で上昇するため、マンガン溶
出抑制の改良効果は、高温におけるサイクル寿命および
保存性に顕著に影響する。これがサイクル寿命を低下さ
せる原因であると考えられる。
【0055】一方、マンガンの価数を4価に制御してお
くだけでは、充分な充放電容量の確保は困難であると予
想される。しかし、本発明においては、ニッケルの価数
を2価に制御することによって、2価のニッケルから4
価のニッケルへの2電子の移動に基づく充放電が可能と
なり、充分な充放電容量を確保できる。なお、ニッケル
の価数を2価に制御するためにはマンガンの存在が必要
不可欠である。層構造の酸化物中で、ニッケル元素とマ
ンガン元素は相互に電子をやりとりできる電子状態にあ
ることが予想され、マンガン元素からニッケル元素に電
子が移動することによって相互に安定な形となる。この
ため、Ni3+およびMn3+ではなくNi 2+およびMn4+
になる。この現象はCoでは起こらず、LiNiCoO
2の場合は、Ni3+およびCo3+のままである。したが
って、Ni2+を得るためにはマンガン元素が不可欠であ
る。なお、比較のためにLiNi1/2Co1/22の測定
結果を図4中に示したが、これに含まれるニッケルは3
価であることがわかった。
【0056】以上をまとめると,LiNiO2の電位形
状および安全性、LiMnO2の3Vという低電位の解
消、マンガンイオンの溶出、ならびにスピネル構造では
困難な4V級で150mAh/g以上の高容量の確保な
どの課題をすべて解決するためには、少なくともニッケ
ルとマンガンを同時に含み、層構造で、それぞれの価数
がほぼ2価および4価に制御された正極活物質を得るこ
とが重要である。なお、リチウム金属基準で2.5〜
3.5Vの領域では前述と同様に測定評価した結果、ニ
ッケルおよびマンガンの価数はそれぞれ2価および4価
であった。
【0057】(3) 本発明の正極活物質の製造方法 つぎに、本発明の正極活物質の代表的な作成方法を具体
的に説明する。ただし、本発明は以下の方法に限定され
るものではなく、上述のように、組成、構造、ニッケル
およびマンガンの価数を制御することによって本発明の
効果を損なわない範囲であれば、当業者によって種々の
方法を採用することができる。本発明の正極活物質にお
いては、ニッケル原子とマンガン原子とが近接するとと
もに、両者に対して酸素原子およびリチウム原子が適切
な位置関係で存在することにより、ニッケルおよびマン
ガンの価数の制御が行われているものと考えられる。
【0058】そこで、本発明者らは、正極活物質の前駆
体を合成するために、ナノオーダーで構成元素の混合を
制御し得るメカニカルアロイ法を用いた。この方法であ
れば、混合の度合いを、回転数、時間およびボール径な
どの種々のパラメータを用いて変化させることが可能で
ある。具体的に用いる装置としては、例えば株式会社セ
イシン企業製の遊星ボールミルPM-1200などがあ
げられる。この装置は、公転するテーブル上に3個のポ
ットを乗せ、歯車を利用して同時に公転と自転とをさせ
ることで、ポット内のボールに高い遠心力を作用させる
ことができるものである。
【0059】例えば、NiOなどのニッケルを含む酸化
物、MnOなどのマンガンを含む酸化物、および水酸化
リチウムを所定の比率で混合して、ボールミルのポット
に投入する。このとき、これらを、リチウム、ニッケル
およびマンガンの原子比がLi/(NiおよびMnなど
の遷移金属)=1を満たすように混合するのが理想的で
ある。しかし、焼成温度および粒子形状の制御のため
に、各々の量を若干増やしたり減らしたりすることもで
きる。例えば、焼成温度が高いときや、焼成後の一次粒
子の粒径を大きくしたいときには、多少多めのリチウム
を混合する。この場合、約3%程度リチウムの量を増大
させるか減少させるのが好ましい。
【0060】また、1/2インチのアルミナ製ボールを
用い、水を同時に投入して湿式のメカニカルアロイ法を
用いた。各ポットの容積は400mlであり、各ポット
に15個のボールを入れ、公転回転数を200rpm、
公自転比を1.25とする。前記ボールミルを24時間
回転させることでリチウム含有複合酸化物を合成した。
ポットの雰囲気はアルゴン雰囲気下で封入することで不
活性雰囲気とした。得られたリチウム含有複合酸化物
を、ろ過、乾燥した。なお、合成の条件は限定されるも
のではなく、所望する正極活物質に応じて回転数、時間
およびボール径などを決定することができる。また、種
々の条件で得られた正極活物質の性能などは、焼成後の
X線による構造解析だけでは不充分であり、特に本発明
においては、XANESなどを用いた価数制御の可否を
確認することが必要である。
【0061】つぎに、好ましい焼成条件に関して説明す
る。焼成の雰囲気は酸化雰囲気であればよい。ここで
は、通常の大気雰囲気で検討した。前述のメカニカルア
ロイ法により得られたリチウム含有複合酸化物を、一気
に1000℃まで昇温し、その温度で混合物を10時間
焼成した。逆に、焼成が終了した後に温度を下げるとき
は、一度700℃で5時間アニールした後、除冷した。
酸化物を焼成する場合、1000℃を超えると酸素が欠
損しやすくなることが考えられる。この酸素の欠損を防
ぐ目的で、焼成終了後に欠損した酸素を戻すために70
0℃のアニール工程を導入した。このとき、酸素を吹き
込むことなどによりアニールの効果を増大させることが
できる。
【0062】(4) 本発明の正極活物質の粒子形状 このようにして得られたリチウム含有ニッケルマンガン
複合酸化物からなる本発明の正極活物質のSEM(走査
型電子顕微鏡)写真の一例を図6に示した。図6の
(a)は倍率1000倍の写真で、図6の(b)は倍率
30000倍の写真である。この図から明らかなよう
に、得られた種々の正極活物質は0.1〜2μmの粒径
を有する1次結晶粒子と2〜20μmの粒径を有する2
次粒子から成り立っている。なお、ここではニッケルと
マンガンを中心に記述したが、上記正極活物質にコバル
トなどの添加元素を加えることで粒子の表面状態などは
多少の変化はあるが、本発明の効果が損なわれることは
なく、また、1次粒子および2次粒子の粒径は上記記範
囲にあることが好ましい。
【0063】(5) 本発明の正極活物質の格子定数 ニッケルおよびマンガンを含む本発明の正極活物質を上
記(3)に示した製造方法によって作製し、X線回折か
ら結晶構造と格子定数を求めた。結晶構造は層構造を有
し、六方晶で帰属したときのa軸およびc軸を、それぞ
れ図7および図8に示した。組成により若干の格子定数
の変化が見られたが、これらの充放電特性およびサイク
ル寿命などの特性は、前述した本発明の正極活物質と同
等であった。図7および8に示される結果から格子定数
のバラツキ(σ値)が算出される。その値を図中のσ値
で示した。図7および8の結果、シックスσ値、および
従来からの我々のデータから、格子定数aの範囲は2.
80〜2.95であるのが好ましく、また、格子定数c
の範囲は13.8〜14.4であるのが好ましいと考え
られる。
【0064】(6) 本発明の正極活物質の特性 本発明者らが研究を進めるなか、様々な要因でニッケル
およびマンガンの組成比が微妙にずれることがあった。
これらのずれと、ずれた組成を有する正極活物質を用い
た電池の特性とを照らし合わせると、ニッケルおよびマ
ンガンの比率が同一に近い正極活物質ほど良い特性を示
した。また、そのずれの範囲は10%程度であると許容
できた。なお、本発明においては、実質的にニッケルと
マンガンが同比率で固溶した酸化物が新たな機能を発現
することが明らかとなったが、かかる酸化物に新たな異
種元素(添加元素またはドーパント)を添加することに
よって付加価値が得られることは容易に予測可能であ
る。
【0065】したがって、本発明の正極活物質は2種の
遷移金属を実質的に同比率で含んでいることが重要で、
前記酸化物からなる結晶粒子の大部分が前記結晶構造お
よびその機能を損なわない範囲であれば、その他に新た
な異種元素が含まれていてもよい。特に、前記結晶粒子
は粒状であるため、その表面近傍にそのような添加元素
を含めるのが実際的である。このような添加元素による
付加機能を有する正極活物質もすべて本発明に含まれ
る。
【0066】かかる異種元素としては、例えばコバル
ト、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロ
ンチウム、イットリウムおよびイッテルビウムなどがあ
げられる。コバルトをドープすることで正極活物質の分
極が低減する。また、アルミニウムをドープすることで
正極活物質の電位が多少増加すると同時に熱的な安定性
が向上する。この場合、前述したメカニカルアロイ法で
得られたニッケル、マンガンおよびリチウムを含む化合
物を焼成するが、この焼成時に適量の水酸化コバルト、
水酸化アルミニウムなどの元素源を混合する。これによ
り、コバルトやアルミニウムは共晶した酸化物粒子の内
部まで全体にわたって均一にドープされることはなく、
表面近傍のみにドープされたアルミニウムの濃度が高く
なる。このことは、粒子の特性X線分析などで確認する
ことができる。
【0067】したがって、ドープによると正極活物質を
構成する結晶粒子の母体はニッケルマンガンの効果を保
ち、結晶粒子の表面の状態だけが変わることにより上述
した効果を付加することができる。コバルトの場合は、
内部にまで均一に浸透していっても本発明の効果が阻害
されることはなく、コバルトの分極低減効果が得られ
た。コバルトまたはアルミニウムは結晶格子中で3価の
状態であることが確認された。なお、図3および図4の
LiNi1/3Mn1/3Co1/32のXANESの測定結果
から、コバルトは3価であることがわかる。
【0068】なお、アルミニウムの添加量が増加するに
ともなってニッケルマンガンの効果が減少してくるの
で、表面に多少偏在させる方が効果的である。ストロン
チウムおよびイットリウムなども耐熱性を向上させる効
果を付与することができる。また、マグネシウムを添加
することで正極活物質の電子伝導性を約1〜2桁向上さ
せることができる。この場合も、メカニカルアロイ法で
得られた化合物に水酸化マグネシウムを混合して焼成す
ればよい。焼成も前述した方法で行えばよい。こうして
得られた正極活物質を電池に用いる場合、電子伝導性が
極めて高いので導電剤の量を減らして容量アップなどを
実現することができる。これらの異種元素の添加量は、
前記2種の遷移金属(ニッケルおよびマンガン)の合計
の0.05〜20原子%の範囲であるのが有効である。
0.05原子%未満では充分な効果が得られず、20原
子%を超えると容量が低下するという不具合が生じるか
らである。
【0069】(7) 非水電解質二次電池 以下、本発明の正極活物質を用いた非水電解質(リチウ
ム)二次電池を作製する場合に使用可能な他の構成材料
に関して述べる。本発明における正極を作製するために
用いる正極合剤中の導電剤は、構成された電池におい
て、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば特に
制限はない。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)およ
び人造黒鉛などのグラファイト類、アセチレンブラッ
ク、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファー
ネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなど
のカーボンブラック類、炭素繊維および金属繊維などの
導電性繊維類、フッ化カーボン、銅、ニッケル、アルミ
ニウムおよび銀などの金属粉末類、酸化亜鉛、チタン酸
カリウムなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの
導電性金属酸化物、ならびにポリフェニレン誘導体など
の有機導電性材料などをあげることができる。
【0070】これらは、それぞれ単独で、または本発明
の効果を損なわない範囲で任意に混合して用いることが
できる。また、これらのなかでも、人造黒鉛、アセチレ
ンブラック、ニッケル粉末が特に好ましい。導電剤の添
加量は、特に限定されないが、1〜50重量%が好まし
く、特に1〜30重量%が好ましい。カーボンやグラフ
ァイトでは、2〜15重量%が特に好ましい。
【0071】本発明における正極合剤中の好ましい結着
剤は、分解温度が300℃以上のポリマーである。例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオ
ロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PV
DF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチ
レン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチ
レン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロ
エチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン
共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエ
チレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフル
オロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロ
エチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチ
レン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキ
サフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合
体およびフッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニル
エーテル−テトラフルオロエチレン共重合体などをあげ
ることができる。これらは、それぞれ単独で、または本
発明の効果を損なわない範囲で任意に混合して用いるこ
とができる。
【0072】特に、このなかで最も好ましいのはポリフ
ッ化ビニリデン(PVDF)およびポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)である。正極の集電体としては、
構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導
体であれば特に制限はない。集電体を構成する材料とし
ては、例えばステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、
チタン、種々の合金および炭素などの他、アルミニウム
やステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあ
るいは銀を処理させた複合体なども用いることができ
る。
【0073】特に、アルミニウムあるいはアルミニウム
合金が好ましい。これらの材料の表面を酸化しておくこ
ともできる。また、表面処理により集電体表面に凹凸を
付けてもよい。形状としては、電池の分野において採用
されているものであってよく、例えば箔、フィルム、シ
ート、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、
発泡体、繊維群および不織布などがあげられる。厚さ
は、特に限定されないが、1〜500μmのものが好ま
しく用いられる。
【0074】本発明で用いられる負極材料としては、リ
チウム、リチウム合金、合金、金属間化合物、炭素、有
機化合物、無機化合物、金属錯体および有機高分子化合
物など、リチウムイオンを吸蔵・放出できる化合物であ
ればよい。これらはそれぞれ単独で、または本発明の効
果を損なわない範囲で任意に組み合わせて用いることが
できる。
【0075】リチウム合金としては、Li−Al系合
金、Li−Al−Mn系合金、Li−Al−Mg系合
金、Li−Al−Sn系合金、Li−Al−In系合
金、Li−Al−Cd系合金、Li−Al−Te系合
金、Li−Ga系合金、Li−Cd系合金、Li−In
系合金、Li−Pb系合金、Li−Bi系合金およびL
i−Mg系合金などがあげられる。この場合、リチウム
の含有量は10重量%以上であることが好ましい。
【0076】合金、金属間化合物としては遷移金属と珪
素の化合物や遷移金属とスズの化合物などがあげられ、
特にニッケルと珪素の化合物が好ましい。炭素質材料と
しては、コークス、熱分解炭素類、天然黒鉛、人造黒
鉛、メソカーボンマイクロビーズ、黒鉛化メソフェーズ
小球体、気相成長炭素、ガラス状炭素類、炭素繊維(ポ
リアクリロニトリル系、ピッチ系、セルロース系、気相
成長炭素系)、不定形炭素および有機物の焼成された炭
素などがあげられる。これらはそれぞれ単独で、または
本発明の効果を損なわない範囲で任意に組み合わせて用
いてもよい。なかでも、メソフェーズ小球体を黒鉛化し
たもの、天然黒鉛および人造黒鉛などの黒鉛材料が好ま
しい。
【0077】なお、炭素質材料には、炭素以外にも、
O、B、P、N、S、SiCおよびB4Cなどの異種化
合物を含んでもよい。含有量としては0〜10重量%が
好ましい。無機化合物としては、例えばスズ化合物およ
び珪素化合物などがあげられ、無機酸化物としては、例
えばチタン酸化物、タングステン酸化物、モリブデン酸
化物、ニオブ酸化物、バナジウム酸化物および鉄酸化物
などがあげられる。また、無機カルコゲナイドとして
は、例えば硫化鉄、硫化モリブデンおよび硫化チタンな
どがあげられる。
【0078】有機高分子化合物としては、例えばポリチ
オフェンおよびポリアセチレンなどの高分子化合物があ
げられ、窒化物としては、例えばコバルト窒化物、銅窒
化物、ニッケル窒化物、鉄窒化物およびマンガン窒化物
などがあげられる。これらの負極材料は、組み合わせて
用いてもよく、例えば炭素と合金の組合せ、または炭素
と無機化合物の組合せなどが考えられる。
【0079】本発明で用いられる炭素材料の平均粒径は
0.1〜60μmが好ましい。より好ましくは0.5〜
30μmである。比表面積は1〜10m2/gであるの
が好ましい。また、結晶構造上は、炭素六角平面の間隔
(d002)が3.35〜3.40Åでc軸方向の結晶
子の大きさ(LC)が100Å以上の黒鉛が好ましい。
本発明においては、正極活物質にLiが含有されている
ため、Liを含有しない負極材料(炭素など)を用いる
ことができる。また、そのようなLiを含有しない負極
材に、少量(負極材料100重量部に対し、0.01〜
10重量部程度)のLiを含有させておくと、一部のL
iが電解質などと反応したりして不活性となっても、上
記負極材料に含有させたLiで補充することができるの
で好ましい。
【0080】上記のように、負極材料にLiを含有させ
るには、例えば、負極材料を圧着した集電体上に加熱・
溶融したリチウム金属を塗布して負極材にLiを含浸さ
せたり、あるいは予め電極群中に圧着などによりリチウ
ム金属を貼付し、電解液中で電気化学的に負極材料中に
Liをドープさせたりすればよい。負極合剤中の導電剤
は、正極合剤中の導電剤と同様に、構成された電池にお
いて、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば特
に制限はない。また、負極材料に炭素質材料を用いる場
合は炭素質材料自体が電子伝導性を有するので導電剤を
含有してもしなくてもよい。
【0081】負極合剤中の結着剤としては、熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよいが、好ましい
結着剤は、分解温度が300℃以上のポリマーである。
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラ
フルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン
(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオ
ロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FE
P)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン
−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデ
ン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−
テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポ
リクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化
ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロ
ピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−
クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラ
フルオロエチレン共重合体およびフッ化ビニリデン−パ
ーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチ
レン共重合体などあげることができる。より好ましく
は、スチレンブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデンで
ある。なかでも最も好ましいのは、スチレンブタジエン
ゴムである。
【0082】負極の集電体としては、構成された電池に
おいて化学変化を起こさない電子伝導体であれば特に制
限はない。集電体を構成する材料としては、例えばステ
ンレス鋼、ニッケル、銅、チタンおよび炭素などの他、
銅やステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン
または銀で処理したもの、Al−Cd合金などが用いら
れる。特に、銅または銅合金が好ましい。これらの材料
の表面を酸化してもよい。また、表面処理により集電体
表面に凹凸を付けてもよい。
【0083】形状は、上記正極の場合と同様に、例えば
箔、フィルム、シート、ネット、パンチされたもの、ラ
ス体、多孔質体、発泡体および繊維群の成形体などが用
いられる。厚みは、特に限定されないが、1〜500μ
mのものが好ましく用いられる。電極合剤には、導電剤
や結着剤の他、フィラー、分散剤、イオン導電剤、圧力
増強剤およびその他の各種添加剤を用いることができ
る。フィラーは、構成された電池において、化学変化を
起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができ
る。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフ
ィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が用いられ
る。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜30
重量%が好ましい。
【0084】本発明における正極および負極は、正極活
物質または負極材料を含む合剤層の他に、集電体と合剤
層の密着性、導電性、サイクル特性および充放電効率の
改良などの目的で導入する下塗り層や合剤層の機械的保
護や化学的保護の目的で導入する保護層などを有しても
よい。この下塗り層や保護層は、結着剤や導電剤粒子、
導電性を持たない粒子などを含むことができる。セパレ
ータとしては、大きなイオン透過度を持ち、所定の機械
的強度を持ち、絶縁性の微多孔性薄膜が用いられる。ま
た、80℃以上で孔を閉塞し、抵抗をあげる機能を持つ
ことが好ましい。耐有機溶剤性と疎水性からポリプロピ
レン、ポリエチレンなどの単独又は組み合わせたオレフ
ィン系ポリマーあるいはガラス繊維などからつくられた
シートや不織布が用いられる。
【0085】セパレータの孔径は、電極シートより脱離
した活物質、結着剤および導電剤などが透過しない範囲
であることが望ましく、例えば、0.1〜1μmである
のが望ましい。セパレータの厚みは、一般的には、10
〜300μmが好ましく用いられる。また、空孔率は、
電子やイオンの透過性と素材や膜圧に応じて決定される
が、一般的には30〜80%であることが望ましい。ま
た、ガラスや金属酸化物フィルムなどの難燃材、不燃材
を用いればより電池の安全性は向上する。
【0086】本発明における非水電解液は、溶媒とその
溶媒に溶解したリチウム塩とから構成されている。好ま
しい溶媒は、エステル単独、または混合したエステルで
ある。なかでも、環状カーボネート、環状カルボン酸エ
ステル、非環状カーボネート、脂肪族カルボン酸エステ
ルなどが好ましい。さらには、環状カーボネートと非環
状カーボネートとを含む混合溶媒、環状カルボン酸エス
テルを含む混合溶媒、環状カルボン酸エステルと環状カ
ーボネートとを含む混合溶媒が好ましい。前記溶媒の具
体例、および本発明において用いられるその他の溶媒を
以下に例示する。
【0087】非水溶媒に用いるエステルには、例えば、
エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネー
ト(PC)、ブチレンカーボネート(BC)およびビニ
レンカーボネート(VC)などの環状カーボネート、ジ
メチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート
(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およ
びジプロピルカーボネート(DPC)などの非環状カー
ボネート、ギ酸メチル(MF)、酢酸メチル(MA)、
プロピオン酸メチル(MP)およびプロピオン酸エチル
(MA)などの脂肪族カルボン酸エステル、γ−ブチロ
ラクトン(GBL)などの環状カルボン酸エステルなど
があげられる。
【0088】環状カーボネートとしてはEC、PC、V
Cなどが特に好ましく、環状カルボン酸エステルとして
はGBLなどが特に好ましく、非環状カーボネートとし
てはDMC、DEC、EMCなどが好ましい。また、必
要に応じて、脂肪族カルボン酸エステルを含むものも好
ましい。脂肪族カルボン酸エステルは溶媒重量全体の3
0%以下、より好ましくは20%以下の範囲で含むこと
が好ましい。また、本発明の電解液の溶媒は上記エステ
ルを80%以上含む以外に、公知の非プロトン性有機溶
媒を含んでもよい。
【0089】これらの溶媒に溶解するリチウム塩として
は、例えばLiClO4、LiBF4、LiPF6、Li
AlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3
3、LiCF3CO2、Li(CF3SO22、LiAs
6、LiN(CF3SO22、LiB10Cl10、低級脂
肪族カルボン酸リチウム、クロロボランリチウム、四フ
ェニルホウ酸リチウム、LiN(CF3SO2)(C25
SO2)、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO
22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)などのイ
ミド類をあげることができる。これらは、使用する電解
液などに、それぞれ単独で、または本発明の効果を損な
わない範囲で任意に組み合わせて使用することができ
る。なかでも、特にLiPF6を含ませることがより好
ましい。
【0090】本発明において特に好ましい非水電解液
は、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート
を少なくとも含み、リチウム塩としてLiPF6を含む
電解液である。また、GBLを主溶媒として含む電解液
も好ましく、この場合には、VCなどの添加剤を数%添
加し、リチウム塩としてLiPF6以外のLiBF4とL
iN(C25SO22の混合塩を用いることが好まし
い。
【0091】これら電解液を電池内に添加する量は、特
に限定されないが、正極活物質や負極材料の量や電池の
サイズによって必要量用いればよい。リチウム塩の非水
溶媒に対する溶解量は、特に限定されないが、0.2〜
2mol/リットルが好ましい。特に、0.5〜1.5
mol/リットルであるのがより好ましい。この電解液
は、通常、多孔性ポリマー、ガラスフィルタ、不織布な
どのセパレータに含浸または充填させて使用される。
【0092】また、電解液を不燃性にするために、含ハ
ロゲン溶媒、例えば、四塩化炭素、三弗化塩化エチレン
を電解液に含ませることができる。また、高温保存に適
性をもたせるために電解液に炭酸ガスを含ませることが
できる。また、液の他に、つぎのような固体電解質も用
いることができる。固体電解質としては、無機固体電解
質と有機固体電解質に分けられる。
【0093】無機固体電解質には、Liの窒化物、ハロ
ゲン化物、酸素酸塩などがよく知られている。なかで
も、Li4SiO4、Li4SiO4−LiI−LiOH、
xLi 3PO4−(1−x)Li4SiO4、Li2Si
3、Li3PO4−Li2S−SiS2、硫化リン化合物
などが有効である。有機固体電解質では、例えば、ポリ
エチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリ
ホスファゼン、ポリアジリジン、ポリエチレンスルフィ
ド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポ
リヘキサフルオロプロピレンなどやこれらの誘導体、混
合物、複合体などのポリマー材料が有効である。
【0094】また、有機固体電解質に上記非水電解液を
含有させたゲル電解質を用いることもできる。上記有機
固体電解質としては、例えば、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリプロピレンオキサイド、ポリホスファゼン、ポ
リアジリジン、ポリエチレンスルフィド、ポリビニルア
ルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロ
プロピレンなどやこれらの誘導体、混合物、複合体など
の高分子マトリックス材料が有効である。特に、フッ化
ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体やポ
リフッ化ビニリデンとポリエチレンオキサイドの混合物
が好ましい。
【0095】電池の形状としては、コイン型、ボタン
型、シート型、円筒型、偏平型、角型などいずれにも適
用できる。電池の形状がコイン型やボタン型のときは、
正極活物質や負極材料の合剤は主としてペレットの形状
に圧縮されて用いられる。そのペレットの厚みや直径は
電池の大きさにより決定すればよい。また、電池の形状
がシート型、円筒型、角型のとき、正極活物質または負
極材料を含む合剤は、主として集電体の上に塗布(コー
ト)、乾燥、圧縮されて用いられる。塗布方法は、一般
的な方法を用いることができる。例えば、リバースロー
ル法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エ
クストルージョン法、カーテン法、グラビア法、バー
法、キャスティング法、ディップ法およびスクイーズ法
などあげることができる。そのなかでもブレード法、ナ
イフ法およびエクストルージョン法が好ましい。
【0096】塗布は、0.1〜100m/分の速度で実
施されることが好ましい。この際、合剤の溶液物性、乾
燥性に合わせて、上記塗布方法を選定することにより、
良好な塗布層の表面状態を得ることができる。集電体へ
の合剤の塗布は、集電体の片面ごとに行ってもよいが、
両面同時に行ってもよい。また、塗布層を集電体の両側
に設けるのが好ましく、一方の面の塗布層が合剤層を含
む複数層から構成されていてもよい。合剤層は、正極活
物質または負極材料のようにリチウムイオンの挿入およ
び放出に関わる物質の他に、結着剤や導電材料などを含
む。合剤層の他に、活物質を含まない保護層、集電体上
に設けられる下塗り層、合剤層間に設けられる中間層な
どを設けてもよい。これらの活物質を含まない層は、導
電性粒子、絶縁性粒子および結着剤などを含むのが好ま
しい。
【0097】また、塗布方法は連続でも間欠でもストラ
イプでもよい。その塗布層の厚み、長さおよび幅は、電
池の大きさにより決められるが、片面の塗布層の厚み
は、ドライ後の圧縮された状態で、1〜2000μmが
特に好ましい。合剤のペレットまたはシートの乾燥また
は脱水方法としては、一般に採用されている方法を利用
することができる。特に、熱風、真空、赤外線、遠赤外
線、電子線および低湿風を、単独あるいは組み合わせて
用いることが好ましい。
【0098】温度は80〜350℃の範囲が好ましく、
特に100〜250℃の範囲が好ましい。電池全体の含
水量は2000ppm以下が好ましく、正極合剤、負極
合剤および電解質それぞれの含水量は500ppm以下
にすることがサイクル性の点で好ましい。シートのプレ
ス法は、一般に採用されている方法を用いることができ
るが、特に金型プレス法またはカレンダープレス法が好
ましい。プレス圧は、特に限定されないが、0.2〜3
t/cm2が好ましい。カレンダープレス法のプレス速
度は、0.1〜50m/分が好ましい。
【0099】プレス温度は、室温〜200℃が好まし
い。負極シートに対する正極シートの幅の比率は、0.
9〜1.1が好ましい。特に、0.95〜1.0が好ま
しい。正極活物質と負極材料の含有量比は、化合物種類
や合剤処方により異なるため限定できないが、容量、サ
イクル性および安全性の観点から当業者であれば最適な
値を設定できる。なお、本発明における電極の巻回体
は、必ずしも真円筒形である必要はなく、その断面が楕
円である長円筒形または長方形などの角柱状の形状であ
っても構わない。
【0100】ここで、円筒型電池の一例の一部を断面に
した正面図を図9に示す。正極板および負極板がセパレ
ータを介して複数回渦巻状に巻回された極板群4が電池
ケース1内に収納されている。そして、正極板からは正
極リード5が引き出されて封口板2に接続され、負極板
からは負極リード6が引き出されて電池ケース1の底部
に接続されている。電池ケースやリード板は、耐有機電
解液性の電子伝導性をもつ金属や合金を用いることがで
きる。例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブ
デン、銅、アルミニウムなどの金属またはそれらの合金
が用いられる。特に、電池ケースはステンレス鋼板、A
l−Mn合金板を加工したもの、正極リードはアルミニ
ウム、負極リードはニッケルが最も好ましい。また、電
池ケースには、軽量化を図るため各種エンジニアリング
プラスチックスおよびこれと金属の併用したものを用い
ることも可能である。
【0101】極板群4の上下部にはそれぞれ絶縁リング
7が設けられている。そして、電解液を注入し、封口板
を用いて電池ケースを密封する。このとき、安全弁を封
口板に設けることができる。安全弁の他、従来から知ら
れている種々の安全素子を備えつけてもよい。例えば、
過電流防止素子として、ヒューズ、バイメタル、PTC
素子などが用いられる。また、安全弁のほかに電池ケー
スの内圧上昇の対策として、電池ケースに切込を入れる
方法、ガスケット亀裂方法、封口板亀裂方法またはリー
ド板との切断方法を利用することができる。また、充電
器に過充電や過放電対策を組み込んだ保護回路を具備さ
せるか、あるいは、独立に接続してもよい。
【0102】また、過充電対策として、電池内圧の上昇
により電流を遮断する方式を採用することができる。こ
のとき、内圧を上げる化合物を合剤の中あるいは電解質
の中に含ませることができる。内圧を上げる化合物とし
てはLi2CO3、LiHCO 3、Na2CO3、NaHC
3、CaCO3およびMgCO3などの炭酸塩などがあ
げられる。キャップ、電池ケース、シートおよびリード
板の溶接法は、公知の方法(例、直流もしくは交流の電
気溶接、レーザー溶接または超音波溶接など)を用いる
ことができる。また、封口用シール剤は、アスファルト
などの従来から知られている化合物および混合物を用い
ることができる。
【0103】
【実施例】以下に、実施例に代表させて本発明を説明す
るが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。 《実施例1および比較例1〜4》ここでは、図9に示す
円筒型電池を作製した。正極板は、以下のように作製し
た。本発明の正極活物質粉末85重量部に対し、導電剤
である炭素粉末10重量部と結着剤であるポリフッ化ビ
ニリデン樹脂5重量部を混合した。得られた混合物を脱
水N−メチルピロリジノンに分散させてスラリーを得、
このスラリーをアルミニウム箔からなる正極集電体上に
塗布し、乾燥および圧延した後、所定の大きさに切断し
た。
【0104】負極板は、炭素質材料とスチレンブタジエ
ンゴム系結着剤とを重量比100:5の割合で混合して
えた混合物を銅箔の両面に塗着して、乾燥、圧延した
後、所定の大きさに切断して得た。セパレータとしては
ポリエチレン製の微多孔フィルムを用いた。また、有機
電解液には、エチレンカーボネートとエチルメチルカー
ボネートの体積比1:1の混合溶媒に、LiPF6
1.5モル/リットル溶解したものを使用した。作製し
た円筒型電池は直径18mm、高さ650mmであっ
た。
【0105】正極活物質としては、本発明のLi[Li
0.03(Ni1/2Mn1/20.97]O2を用いた(実施例
1)。この正極活物質をXANESにより解析したとこ
ろ、前述のようにニッケルは2価、マンガンは4価であ
ることを確認した。また、この正極活物質を用いた円筒
型電池を作製し、充放電を繰り返した後に分解した。こ
の電池から取り出された正極活物質を同様にXANES
により元素の価数を測定した。その結果、電圧がリチウ
ム金属基準で2.5〜3.5Vの時、ニッケルおよびマ
ンガンのK吸収端の吸収極大値から前述と同様に検量線
を得、この検量線から決定したニッケルおよびマンガン
の価数が、それぞれ2価および4価であった。
【0106】比較のために、水酸化リチウム、水酸化ニ
ッケル及びオキシ水酸化マンガンの粉末を用いて、実施
例1と同様の組成比になるように混合した。焼成以降の
工程はすべて実施例1と同様にして行った。得られた材
料を用いて円筒型電池を作製した(比較例1)。この材
料をXANESで解析したところ、ニッケルおよびマン
ガンの価数はそれぞれ2価および4価と同定されなかっ
た。
【0107】また、比較のために正極活物質としてLi
CO2を用いて同様の方法で円筒型電池を作製した(比
較例2)。さらに、比較例として、特願2000−22
7858号明細書に示した共沈法と同様の方法で作製し
たLiNi1/2Co1/22を用いて同様に円筒型電池を
作製した(比較例3)。このとき、正極活物質の焼成温
度は900℃とした。加えて、比較例としてスピネルリ
チウムマンガン酸化物を用いて同様の円筒型電池を作製
した(比較例4)。LiMn24は、電解二酸化マンガ
ンと炭酸リチウムを所定量の組成比で混合し、得られた
混合物を850℃で焼成して得た。電池の容量は、それ
ぞれの活物質の持つ容量によって異なった。
【0108】これらの電池を100mAの定電流で、ま
ず4.2Vになるまで充電した後、100mAの定電流
で2.0Vになるまで放電する充放電を行った。この充
放電を数サイクル繰り返し、ほぼ電池容量が一定になっ
たところで容量を確認した。容量の確認の条件は以下の
とおりである。まず充電は、4.2Vの定電圧充電で最
大電流は1Aとした。充電は電流値が50mAに達した
ときに終了した。放電は300mAの定電流放電で2.
5Vまで放電した。このとき得られた放電容量を、電池
の放電容量とした。充放電の雰囲気は25℃で行った。
この充放電を1サイクルとして500サイクルの試験を
行った。実施例1、比較例1および2で電池の容量が異
なるため、表1にはサイクル寿命試験を行う前に確認し
た(電池作製直後の)容量を100とし、500サイク
ル後の容量を指数で示した。したがって、この値がサイ
クル劣化率を表す数字となり、数値が大きいほどサイク
ル寿命が良好である。また、同様の試験を雰囲気45℃
に変更して行った。結果を表1に示した。
【0109】
【表1】
【0110】表1の結果より、本発明の正極活物質を用
いた電池がサイクル寿命に優れていることがわかる。し
たがって、本発明の正極活物質をリチウム二次電池に適
用することにより、従来主流であるLiCoO2を用い
た場合よりも優れた電池を提供することができる。
【0111】《実施例2:材料の安定性》充電によりL
iNiO2からLiが抜けるとLiNiO2は非常に不安
定になり、比較的低温で酸素を離してNiOに還元され
る。このことは、電池の正極活物質として使用する場合
は致命的で、発生する酸素が要因で電池の熱暴走、つま
り、発火や破裂に導かれることが予想される。このよう
な不都合も、ニッケル:マンガンを1:1、ニッケル:
マンガン:コバルトを1:1:1の比率で固溶させた酸
化物を用いることで改善できた。さらに、この正極活物
質の表面近傍にアルミニウムをドープすることにより耐
熱性を向上させることができた。
【0112】Li[Li0.03(Ni1/2Mn1/20.97
2にアルミニウムをドープした正極活物質を用いて実
施例1と同様にして作製した円筒型電池について以下の
試験を行った。ニッケル、マンガンの総量に対して、ア
ルミニウムの量を5原子%とした。この電池を4.8V
まで過充電し、その後、電池を分解して正極合剤を取り
出した。この正極合剤をそのままDSC(示差走査熱量
計)測定にかけた。このとき得られる最も低い温度で観
測される発熱ピークを表2に示した。なお、実施例1お
よび比較例2の電池についても同様に測定した。
【0113】
【表2】
【0114】表2より、いずれの場合の発熱温度も、L
iCoO2を用いた場合に比較して上昇していることが
わかる。このことは、以下のように考えることができ
る。LiCoO2を用いた場合は、過充電によってLi
CoO2の格子全体が膨張する。これにより結晶構造が
不安定となり酸素が放出されやすくなる。この状態で温
度を上昇させることで、この放出された酸素が要因と考
えられる発熱反応が観測される。一方、本発明の実施例
1の正極活物質では、結晶粒子表面に存在する有機物
(電解液)の酸化還元反応、および格子膨張による酸素
の放出が抑制されたものと考えられる。
【0115】さらに、アルミニウムを添加した場合には
この効果が増大し、発熱ピークの温度が大きく上昇して
正極活物質の熱的な安定性が飛躍的に向上していること
がわかる。アルミニウムの添加量を検討したところ、遷
移金属元素の合計の0.05〜20原子%の範囲で好ま
しい結果が得られた。0.05原子%未満では充分な効
果が得られず、20原子%を超えると容量が低下するか
らであった。なお、アルミニウムの価数は3+であると
考えられる。
【0116】《実施例3〜5および比較例3〜4:正極
活物質の電子伝導性》本発明のLi[Li0.03(Ni
1/2Mn1/20.97]O2に異種元素をドープすることで
付加機能を発現させることができるが、マグネシウムを
添加することにより電子伝導性を飛躍的に向上させるこ
とができる。このことで正極板中に添加する導電剤の添
加量を減らすことが可能で、その分だけ活物質を多く充
填することができ、結果として容量アップが可能であ
る。
【0117】本実施例では、正極活物質粉末93重量部
に対し、導電剤の炭素粉末3重量部と結着剤のポリフッ
化ビニリデン樹脂4重量部を混合した。このようにして
得られた極板の電子伝導性を測定した。測定は極板の厚
さ方向での抵抗値を測定し単位面積あたりの電子導電率
に換算した。測定結果を、Li[Li0.03(Ni1/2
1/20.97]O2を用いた極板の電子伝導率を100と
した場合の指数で表3に示した。
【0118】また、マグネシウムを添加した正極活物質
を用い、種々の添加量の導電材を含む極板の電子伝導率
の測定を行った。正極活物質は、メカニカルアロイ法で
得られたニッケル、マンガンおよびリチウムを含む化合
物を焼成して得たが、このときに適量の水酸化マグネシ
ウムを同時に混合して焼成した。なお、マグネシウムの
添加量は2原子%とした。このとき、正極活物質粉末、
導電材およびポリフッ化ビニリデン樹脂の重量比は、9
3:3:4(実施例3)、93:3:4(実施例4)、
94:2:4(実施例5)、95:1:4(実施例
6)、95:1:4(比較例3)または93:3:4
(比較例4)とした。
【0119】
【表3】
【0120】表3より、マグネシウムをドープした場
合、導電剤を2重量%添加した極板が、従来の3重量%
導電剤を添加した極板と同等の電子伝導性を示すことが
わかる。なお、添加量に関してはアルミニウムの場合と
ほぼ同様の傾向を示したが、添加量が増すとドープされ
ないマグネシウムが不純物として検出されるので、0.
05〜10原子%が好ましい。
【0121】《実施例7〜8および比較例5:分極の低
減》本発明のLi[Li0.03(Ni1/2Mn1/20.97
2に異種元素をドープすることで付加機能を発現させ
ることができるが、コバルトを添加することにより正極
の分極を低減させることができる。このことにより、正
極の常温での不可逆容量やハイレート放電時の高容量化
が測れる。本実施例では、正極活物質粉末85重量部に
対し、導電剤の炭素粉末10重量部と結着剤のポリフッ
化ビニリデン樹脂5重量部を混合した。実施例1で示し
た円筒型電池と同様の電池を作製して分極特性を評価し
た。測定結果を、Li[Li0.03(Ni1/2Mn1/2
0.97]O2を用いた1/2時間率放電(2C放電)と5時
間率放電(0.2C放電)の容量比率を100とし、指
数として表4に示した。
【0122】正極活物質は、メカニカルアロイ法で得ら
れたニッケル、マンガンおよびリチウムを含む化合物を
焼成するときに適量の水酸化コバルトを同時に混合して
焼成した。なお、コバルトの添加量は10原子%とした
(実施例7)。さらに、コバルトの場合は、粒子の内部
にまで均一にドープされてもニッケルおよびマンガンの
価数制御の効果を発揮できることがわかった。この場合
の正極活物質は、メカニカルアロイ法でニッケル、マン
ガン、リチウムおよびコバルトを含む複合酸化物を作製
した。組成比は、ニッケル:マンガン:コバルトを1:
1:1とした。得られた化合物を焼成して正極活物質を
得た(実施例8)。比較例としてLiCoO2を用いた
場合も同様の電池を作製した(比較例5)。
【0123】
【表4】
【0124】表4より、コバルトをドープした場合、分
極特性が改善されていることがわかる。さらに、実施例
5の結果より、コバルトの場合は、内部にまで均一に浸
透していってもこの効果を阻害することは無く、コバル
トの分極低減効果が得られることがわかった。添加量
は、コバルトの場合はアルミニウムやマグネシウムの場
合とは異なり、添加量を多くしてもニッケル、マンガン
の価数制御を維持したまま分極特性を改善でき、好まし
くは0.05〜50原子%であった。
【0125】
【発明の効果】本発明によれば、安価なニッケルマンガ
ン複合酸化物を正極活物質として有効に利用でき、高容
量で充放電効率の良好な非水電解質二次電池を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の正極活物質の粉末X線回折パターンを
示す図である。
【図2】正極活物質を用いたコイン型電池の充放電カー
ブを示す図である。
【図3】本発明の正極活物質のXANES測定結果から
得られるマンガン元素の価数を見積もるための図であ
る。
【図4】本発明の正極活物質のXANES測定結果から
得られるマンガン元素の価数を見積もるための図であ
る。
【図5】本発明の正極活物質のXANES測定結果から
得られるニッケル元素の価数を見積もるための図であ
る。
【図6】本発明の正極活物質のSEM写真である。
【図7】正極活物質の格子定数(a軸)のバラツキを示
す図である。
【図8】正極活物質の格子定数(c軸)のバラツキを示
す図である。
【図9】本実施例において作製した円筒型電池の一部を
断面にした正面図である。
【符号の説明】
1 電池ケース 2 封口板 3 絶縁パッキング 4 極板群 5 正極リード 6 負極リード 7 絶縁リング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芳澤 浩司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 永山 雅敏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5H029 AJ03 AK03 AL01 AL02 AL04 AL06 AL07 AL08 AL12 AM03 AM05 AM07 AM16 BJ02 BJ14 DJ17 EJ04 EJ12 HJ02 HJ05 HJ13 HJ17 HJ18 5H050 AA08 BA17 CA08 CA09 CB01 CB02 CB05 CB07 CB08 CB09 CB12 EA08 EA24 FA05 FA19 HA02 HA05 HA13 HA17 HA18

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線吸収微細構造におけるK吸収端の吸
    収極大値に基づく酸化状態が2.0〜2.5のニッケル
    および3.5〜4.0のマンガンを含むリチウムイオン
    含有複合酸化物からなる正極活物質。
  2. 【請求項2】 充電前および電圧がリチウム金属基準で
    2.5〜3.5Vのとき、X線吸収微細構造におけるニ
    ッケルおよびマンガンのK吸収端の吸収極大値から決定
    される値が、ニッケル2価およびマンガン4価で構成さ
    れる請求項1記載の正極活物質。
  3. 【請求項3】 リチウム金属基準で3.3〜4.6Vの
    作動電位、および1g当たり150mAh以上の充放電
    容量を有する請求項1または2記載の正極活物質。
  4. 【請求項4】 前記リチウムイオン含有複合酸化物が層
    状の結晶構造を有し、六方晶系に帰属した格子定数がa
    =2.80〜2.95、c=13.8〜14.4の範囲
    である請求項1〜3のいずれかに記載の正極活物質。
  5. 【請求項5】 前記リチウムイオン含有複合酸化物がニ
    ッケル元素とマンガン元素を実質的に同比率で含む請求
    項1〜4のいずれかに記載の正極活物質。
  6. 【請求項6】 前記リチウム含有複合酸化物が、式
    (1): Li[MX(NiδMnγ1-X]O2 (式中、Mはニッケルおよびマンガン以外の1種以上の
    元素、−0.1≦X≦0.3、δ=0.5±0.1、γ
    =0.5±0.1、Mがコバルトの場合は−0.1≦X
    ≦0.5)で表される請求項1〜5のいずれかに記載の
    正極活物質。
  7. 【請求項7】 前記Mの酸化状態が3価である請求項6
    記載の正極活物質。
  8. 【請求項8】 前記Mがアルミニウムおよびコバルトの
    少なくとも一方を含む請求項6記載の正極活物質。
  9. 【請求項9】 0.1〜2μmの粒径を有する前記リチ
    ウム含有複合酸化物の結晶粒子と、2〜20μmの粒径
    を有する前記結晶粒子の二次粒子との混合物からなる請
    求項1〜8のいずれかに記載の正極活物質。
  10. 【請求項10】 リチウムイオンを吸蔵・放出する材料
    および/または金属リチウムを負極活物質として含む負
    極、請求項1〜9のいずれかに記載の正極活物質を含む
    正極、ならびに電解質を有する非水電解質二次電池。
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