JP2022040431A - 正極活物質およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

正極活物質およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池の抵抗を小さくすることができる正極活物質を提供する。【解決手段】ここに開示される正極活物質は、結晶構造が空間群R-3mに帰属される正極活物質である。c軸長の標準偏差σcは、0.025Å≦σc≦0.045Åを満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、正極活物質に関する。本発明はまた、当該正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年、リチウムイオン二次電池は、パソコン、携帯端末等のポータブル電源や、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両駆動用電源などに好適に用いられている。
リチウムイオン二次電池は、その普及に伴い、さらなる高性能化が要求されている。リチウムイオン二次電池の高性能化を目的として、正極活物質の結晶構造の検討がなされている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、正極活物質であるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物にケイ素を均一に固溶させることによって、その結晶構造におけるa軸とc軸とを大きくすれば、正極活物質の結晶構造を安定化できることが記載されている。
特開2018-60759号公報
しかしながら、近年のリチウムイオン二次電池の高性能化への要求はますます高まっており、なかでも、車載用のリチウムイオン二次電池にはより高い入出力特性が求められている。そのためには二次電池のさらなる低抵抗化が求められており、本発明者が鋭意検討した結果、従来の正極活物質を用いた場合には、リチウムイオン二次電池の低抵抗化が不十分であるという問題があるということがわかった。
そこで本発明は、リチウムイオン二次電池の抵抗を小さくすることができる正極活物質を提供することを目的とする。
ここに開示される正極活物質は、結晶構造が空間群R-3mに帰属される正極活物質である。c軸長の標準偏差σcは、0.025Å≦σc≦0.045Åを満たす。このような構成によれば、リチウムイオン二次電池の抵抗を小さくすることができる正極活物質が提供される。
ここに開示される正極活物質の好ましい一態様では、a軸長の標準偏差σaは、0.005Å≦σa≦0.02Åを満たす。このような構成によれば、リチウムイオン二次電池をより低抵抗化することができる。
ここに開示される正極活物質の好ましい一態様では、正極活物質は、層状岩塩型構造を有し、結晶子径は、950Å以上1450Å以下である。このような構成によれば、リチウムイオン二次電池をより低抵抗化することができる。
別の側面から、ここに開示されるリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、を備える。前記正極は、上記の正極活物質を含む。このような構成によれば、抵抗が小さいリチウムイオン二次電池が提供される。
本発明の一実施形態に係る正極活物質を用いて構築されるリチウムイオン二次電池の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る正極活物質を用いて構築されるリチウムイオン二次電池の捲回電極体の構成を示す模式分解図である。
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。なお、本明細書において言及していない事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイスをいい、いわゆる蓄電池、および電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。また、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電荷担体としてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
本実施形態に係る正極活物質は、空間群R-3mに帰属される結晶構造を有する。c軸長の標準偏差σcは、0.025Å≦σc≦0.045Åを満たす。
R-3mに帰属される正極活物質の結晶構造の例としては、層状岩塩型結晶構造、および擬スピネル型結晶構造が挙げられる。
層状岩塩型結晶構造を有する正極活物質としては、一般式LiMO(Mは、Li以外の1種または2種以上の金属元素である)で表されるリチウム複合酸化物が挙げられる。リチウム複合酸化物としては、上記Mとして、Ni、Co、Mnのうちの少なくとも1種を含むリチウム遷移金属酸化物が好ましく、その具体例としては、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム系複合酸化物、リチウム鉄ニッケルマンガン系複合酸化物等が挙げられる。なかでも、より小さい抵抗の観点から、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物が好ましい。
なお、本明細書において「リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物」とは、Li、Ni、Co、Mn、Oを構成元素とする酸化物の他に、それら以外の1種または2種以上の添加的な元素を含んだ酸化物をも包含する用語である。かかる添加的な元素の例としては、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Na、Fe、Zn、Sn等の遷移金属元素や典型金属元素等が挙げられる。また、添加的な元素は、B、C、Si、P等の半金属元素や、S、F、Cl、Br、I等の非金属元素であってもよい。このことは、上記したリチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム系複合酸化物、リチウム鉄ニッケルマンガン系複合酸化物等についても同様である。
本実施形態に係る正極活物質の結晶構造においては、c軸長の標準偏差σcが0.025Å≦σc≦0.045Åを満たす。このc軸長の標準偏差σcは、空間群R-3mに帰属される結晶構造を有する通常の正極活物質のc軸長の標準偏差の値よりも小さいものである。
正極活物質の結晶内でのLiイオンの拡散、すなわち固相内でのLiイオンの拡散は、正極活物質の結晶構造においてLi層の中にあるLiのホッピングにより引き起こされている。c軸長は、結晶内でLiイオンが通過するトンネルの太さに関わっており、c軸長の小さい部分では、Liイオンの通過速度が落ちてしまう。そこで、c軸長のばらつきを小さくする、すなわち標準偏差σcで0.045Å以下とすることで、Liイオンが通過しやすいトンネルが形成される。しかしながら一方で、c軸長のバラつきがそろいすぎると、正極活物質が単結晶ライクになって微小欠陥からのLiイオンの三次元拡散が無くなり、抵抗が増加する。そこで、標準偏差σcで0.025Å以上とすることで、Liイオンを三次元に拡散させることができる。よって、0.025Å≦σc≦0.045Åである場合に、正極活物質の結晶内でのLiイオンの拡散性が特に高くなり、当該正極活物質を用いた二次電池を低抵抗化することができる。
本実施形態に係る正極活物質の結晶構造においては、a軸長の標準偏差σaが0.005Å≦σa≦0.02Åを満たすことが好ましい。a軸長のバラつきもLiのホッピング距離に関わるため、a軸長の標準偏差σaを0.005Å≦σa≦0.02Åの範囲内にすることで、、正極活物質の結晶内でのLiイオンの拡散性を高めることができ、当該正極活物質を用いた二次電池をより低抵抗化することができる。
なお、上記のc軸長の標準偏差σcおよび上記のa軸長の標準偏差σaは、例えば次のようにして求めることができる。正極活物質を原子分解能分析電子顕微鏡にて観察する。正極活物質が既に正極に含まれている場合には、FIB加工によって正極を薄片化した試料を準備し、これを当該電子顕微鏡で観察してよい。電子顕微鏡の視野中の任意の一次粒子を選択し、その粒子内で10点以上の電子回折像を測定する。取得した画像から空間群R-3mに帰属される結晶構造の正極活物質のその組成(すなわち、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.80Co0.15Al0.05など)に帰属した際の格子定数を測定し、c軸長およびa軸長を求める。この作業を3個以上の一次粒子に対して行う。一次粒子内の10点以上のc軸長およびa軸長のそれぞれについて、標準偏差を求める。格子定数を測定した3個以上の各一次粒子について、c軸長の標準偏差およびa軸長の標準偏差を求め、これらの標準偏差の平均値を算出する。算出したc軸長の標準偏差の平均値を、c軸長の標準偏差σcとし、算出したa軸長の標準偏差の平均値を、a軸長の標準偏差σaとする。
本実施形態に係る正極活物質は、層状岩塩型構造を有し、かつその結晶子径が950Å以上1450Å以下であることが好ましい。結晶子径も、結晶内でのLiイオンの拡散性に関係し、層状岩塩型構造において、結晶子径が950Å以上1450Å以下であることによって、正極活物質の結晶内でのLiイオンの拡散性を高めることができ、当該正極活物質を用いた二次電池をより低抵抗化することができる。
なお、上記の結晶子径は、例えば、正極活物質の粉体に対して、公知のX線回折(XRD)装置を用いて測定することにより求めることができる。具体的に例えば、(003)面の半価幅(半値幅)と2θ値とシェラー(Scherrer)の式を用いて、結晶子径を求めることができる。なお、正極活物質が既に正極に含まれている場合には、公知方法に従って正極活物質のみを単離し、これを測定試料としてよい。
正極活物質は、一次粒子から構成されていてもよく、一次粒子が凝集した二次粒子から構成されていてもよい。正極活物質の平均粒子径(D50)は、特に制限はないが、例えば、0.05μm以上であり、好ましくは1.0μm以上である。一方、正極活物質の平均粒子径(D50)は、例えば、20μm以下であり、好ましくは15μm以下である。なお、正極活物質の平均粒子径(D50)は、例えば、レーザー回折散乱法により求めることができる。正極活物質が二次粒子の形態にある場合には、この平均粒子径は、二次粒子の平均粒子径である。
正極活物質、特にリチウム複合酸化物は、通常、前駆体としてリチウム以外の金属元素を含有する水酸化物粒子を晶析法によって作製し、これをリチウム化合物と混合して焼成することにより製造される。この前駆体は、通常、乾燥のために加熱される。ここで、前駆体の乾燥条件および焼成後の降温条件を変化させることによって、c軸長のばらつき(すなわち、標準偏差σc)を調整することができる。具体的には、前駆体を乾燥のために加熱処理すると、脱水によって金属層(特に遷移金属層)に歪みが生じ、c軸長のばらつき(すなわち、標準偏差σc)が大きくなる。そこで、前駆体の乾燥を真空乾燥等によって加熱することなく行うことにより、c軸長のばらつき(すなわち、標準偏差σc)を小さくすることができる。さらに、焼成後の昇温速度が大きいと、内部欠陥が生じてc軸長のばらつき(すなわち、標準偏差σc)が大きくなる傾向にある。そこで、焼成後の降温を長時間かけることにより(すなわち、降温速度を小さくすることにより)、c軸長のばらつき(すなわち、標準偏差σc)を小さくすることができる。
また、a軸長のばらつき(すなわち、標準偏差σa)は、焼成を2段階で行い、2段階目の焼成の温度を変化させることによって調整することができる。具体的には、2段階目の焼成の温度を小さくすることにより、核成長を停止させて欠陥排除を選択的に行うことができ、a軸長のばらつき(すなわち、標準偏差σa)を小さくすることができる。例えば、1段階目の焼成を800~950℃で行い、2段階目の焼成をそこから約100℃低い温度で行うことにより、a軸長のばらつき(すなわち、標準偏差σa)を十分に小さくすることができる。
また、結晶子径は、焼成温度を変化させることによって、調整することができる。このとき、焼成温度が高い方が、結晶子径が大きくなる傾向がある。
本実施形態に係る正極活物質を用いてリチウムイオン二次電池を構築した場合には、当該リチウムイオン二次電池は、抵抗が小さいものとなり、よって、出力特性に優れたものとなる。したがって、本実施形態に係る正極活物質は、好適には、リチウムイオン二次電池の正極活物質である。
したがって、別の側面から、ここに開示されるリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、を備える。当該正極は、上記説明した本実施形態に係る正極活物質を含む。以下、当該リチウムイオン二次電池の具体的な構成例を、図面を参照しながら説明する。
図1に示すリチウムイオン二次電池100は、扁平形状の捲回電極体20と非水電解質(図示せず)とが扁平な角形の電池ケース(即ち外装容器)30に収容されることにより構築される密閉型電池である。電池ケース30には、外部接続用の正極端子42および負極端子44と、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36とが設けられている。正負極端子42,44はそれぞれ正負極集電板42a,44aと電気的に接続されている。電池ケース30の材質には、例えば、アルミニウム等の軽量で熱伝導性の良い金属材料が用いられる。
捲回電極体20は、図1および図2に示すように、正極シート50と、負極シート60とが、2枚の長尺状のセパレータシート70を介して重ね合わされて長手方向に捲回された形態を有する。正極シート50は、長尺状の正極集電体52の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って正極活物質層54が形成された構成を有する。負極シート60は、長尺状の負極集電体62の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って負極活物質層64が形成されている構成を有する。正極活物質層非形成部分52a(すなわち、正極活物質層54が形成されずに正極集電体52が露出した部分)および負極活物質層非形成部分62a(すなわち、負極活物質層64が形成されずに負極集電体62が露出した部分)は、捲回電極体20の捲回軸方向(すなわち、上記長手方向に直交するシート幅方向)の両端から外方にはみ出すように形成されている。正極活物質層非形成部分52aおよび負極活物質層非形成部分62aには、それぞれ正極集電板42aおよび負極集電板44aが接合されている。
正極シート50を構成する正極集電体52としては、例えばアルミニウム箔等が挙げられる。正極活物質層54は、少なくとも上述の本実施形態に係る正極活物質を含む。また正極活物質層54は、導電材、バインダ等をさらに含み得る。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(グラファイト等)の炭素材料を好適に使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を使用し得る。
負極シート60を構成する負極集電体62としては、例えば銅箔等が挙げられる。負極活物質層64は、負極活物質を含む。負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を使用し得る。負極活物質層64は、バインダ、増粘剤等をさらに含み得る。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
セパレータ70としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられるものと同様の各種多孔質シートを用いることができ、その例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂から成る多孔質樹脂シートが挙げられる。かかる多孔質樹脂シートは、単層構造であってもよく、二層以上の複層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。セパレータ70は、耐熱層(HRL)を備えていてもよい。
非水電解質は従来のリチウムイオン二次電池と同様のものを使用可能であり、典型的には有機溶媒(非水溶媒)中に、支持塩を含有させたものを用いることができる。非水溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類等の非プロトン性溶媒を用いることができる。なかでも、正極材料による低温抵抗の低減効果が特に高くなることから、カーボネート類が好ましい。カーボネート類の例としては、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F-DMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)等が挙げられる。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等のリチウム塩を好適に用いることができる。支持塩の濃度は、0.7mol/L以上1.3mol/L以下が好ましい。
なお、上記非水電解質は、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、上述した非水溶媒および支持塩以外の成分、例えば、ガス発生剤、被膜形成剤、分散剤、増粘剤等の各種添加剤を含み得る。
リチウムイオン二次電池100は、初期抵抗が小さく、出力特性に優れるという利点を有する。
リチウムイオン二次電池100は、各種用途に利用可能である。好適な用途としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。また、リチウムイオン二次電池100は、小型電力貯蔵装置等の蓄電池として使用することができる。リチウムイオン二次電池100は、典型的には複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態でも使用され得る。
以上、例として扁平形状の捲回電極体を備える角型のリチウムイオン二次電池について説明した。しかしながら、本実施形態に係る正極活物質は、公知方法に従い、他の種類のリチウムイオン二次電池にも使用可能である。例えば、本実施形態に係る正極活物質を用いて、積層型電極体(すなわち、複数の正極と、複数の負極とが交互に積層された電極体)を備えるリチウムイオン二次電池を構築することもできる。また、本実施形態に係る正極活物質を用いて、円筒型リチウムイオン二次電池、コイン型リチウムイオン二次電池、ラミネート型リチウムイオン二次電池等を構築することもできる。さらに、電解質を固体電解質とした全固体二次電池を構築することもできる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<正極活物質の作製>
〔実施例1~9および比較例1,2〕
硫酸ニッケル、硫酸コバルト、および硫酸マンガンを原料に用いて常法に従い、晶析法によって、ニッケルとコバルトとマンガンとを1:1:1のモル比で含有する複合水酸化物を前駆体として得た。この複合水酸化物と、炭酸リチウムとを、ニッケル、コバルトおよびマンガンの合計に対するリチウムのモル比が1:1となるように乳鉢で混合した。混合物をアルミナ製のるつぼに移し、マッフル炉内で焼成した。このようにして、正極活物質粒子である層状岩塩型結晶構造のリチウム複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)粒子を得た。ここで、前駆体の乾燥温度を室温~400℃の範囲で変化させ、また焼成後の降温にかける時間を2時間~12時間の範囲で変化させることにより、c軸長の標準偏差を変化させた。また、焼成を2段階で行い、2段階目の焼成温度を変化させることで、a軸長の標準偏差を変化させた。さらに、1段階目の焼成温度を800℃~950℃の範囲で変化させることにより、結晶子径を変化させた。
〔実施例10および比較例3〕
硫酸ニッケル、硫酸コバルト、および硫酸アルミニウムを原料に用いて常法に従い、晶析法によって、ニッケルとコバルトとアルミニウムとを80:15:5のモル比で含有する複合水酸化物を前駆体として得た。この複合水酸化物と、水酸化リチウムとを、ニッケル、コバルトおよびアルミニウムの合計に対するリチウムのモル比が1:1となるように乳鉢で混合した。混合物をアルミナ製のるつぼに移し、マッフル炉内で焼成した。このようにして、正極活物質粒子である層状構造のリチウム複合酸化物(LiNi0.80Co0.15Al0.05)粒子を得た。ここで、実施例10では複合水酸化物を室温で乾燥し、比較例3では複合水酸化物を加熱して乾燥し、さらに、焼成後の降温にかける時間を実施例10では長くして、c軸長の標準偏差を変化させた。
<正極活物質のc軸長の標準偏差、a軸長の標準偏差の測定>
上記作製した各実施例および各比較例の正極活物質を、原子分解能分析電子顕微鏡「JEM-ARM300F」(JEOL社製)を用いて観察した。電子顕微鏡の視野中の任意の一次粒子を選択し、その粒子内で10点以上の電子回折像を測定した。取得した画像から、実施例1~9および比較例1,2では、LiNi1/3Co1/3Mn1/3に帰属した際の格子定数を測定し、c軸長およびa軸長を求めた。実施例10および比較例3では、LiNi0.80Co0.15Al0.05に帰属した際の格子定数を測定し、c軸長およびa軸長を求めた。この作業を3個以上の一次粒子に対して行い、一次粒子内の10点以上のc軸長およびa軸長のそれぞれについて、標準偏差を求めた。格子定数を測定した3個以上の各一次粒子について、c軸長の標準偏差およびa軸長の標準偏差を求め、これらの標準偏差の平均値を算出し、それらの平均値をそれぞれ、c軸長の標準偏差σcおよびa軸長の標準偏差σaとした。なお、解析には。解析ソフトウェア「INDEX」(Nanomegas社製)を用いた。結果を表1に示す。
<結晶子径の測定>
上記作製した各実施例および各比較例の正極活物質を、XRD装置「smart Lab」(Rigaku社製)および解析ソフトウェア「PDXL2」(Rigaku社製)を用いて分析し、(003)面の半価幅と2θ値とシェラーの式を用いて、結晶子径を求めた。結果を表1に示す。
<評価用リチウムイオン二次電池の作製>
上記作製した各実施例および各比較例の正極活物質と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、正極活物質:AB:PVDF=85:10:5の質量比でN-メチルピロリドン(NMP)中で混合し、正極活物質層形成用ペーストを調製した。このペーストを、厚さ15μmのアルミニウム箔上に塗布し乾燥することにより正極シートを作製した。
負極活物質としての天然黒鉛(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンラバー(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の質量比でイオン交換水中で混合して、負極活物質層形成用ペーストを調製した。このペーストを、厚さ10μmの銅箔上に塗布し、乾燥することにより負極シートを作製した。
また、セパレータシートとして、PP/PE/PPの三層構造を有する厚さ20μmの多孔性ポリオレフィンシートを用意した。
上記の正極シートと、負極シートと、セパレータシートとを重ね合わせ、電極端子を取り付けてラミネートケースに収容した。続いて、ラミネートケース内に非水電解液を注入し、ラミネートケースを気密に封止した。なお、非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。以上のようにして、容量10mAhの各実施例および各比較例の評価用リチウムイオン二次電池を得た。
<初期抵抗測定>
各評価用リチウムイオン二次電池を、SOC(State of charge)50%に調整した後、25℃の環境下に置いた。100mAの電流値で10秒間の放電を行い、放電開始から10秒後の電圧値を測定し、初期の電池抵抗を算出した。実施例1~9および比較例1,2については、比較例1の評価用リチウムイオン二次電池の抵抗を100とした場合の、他の評価用リチウムイオン二次電池の抵抗の比を求めた。実施例10および比較例3については、比較例3の評価用リチウムイオン二次電池の抵抗を100とした場合の、実施例10の評価用リチウムイオン二次電池の抵抗の比を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2022040431000002
LiNi1/3Co1/3Mn1/3およびLiNi0.80Co0.15Al0.05は、その結晶構造が空間群R-3mに帰属される正極活物質である。表1の結果より、結晶構造が空間群R-3mに帰属される正極活物質において、そのc軸長の標準偏差σcが0.025Å≦σc≦0.045Åを満たす場合に、リチウムイオン二次電池の抵抗が有意に小さくなっていることがわかる。したがって、ここに開示される正極活物質によれば、リチウムイオン二次電池の抵抗を小さくすることができることがわかる。
また、実施例1および実施例3~5の比較より、a軸長の標準偏差σaが0.005Å≦σa≦0.02Åを満たす場合に、リチウムイオン二次電池の抵抗が特に小さくなっていることがわかる。さらに、実施例5~9の比較より、結晶子径が950Å以上1450Å以下である場合に、リチウムイオン二次電池の抵抗が特に小さくなっていることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
20 捲回電極体
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極シート(正極)
52 正極集電体
52a 正極活物質層非形成部分
54 正極活物質層
60 負極シート(負極)
62 負極集電体
62a 負極活物質層非形成部分
64 負極活物質層
70 セパレータシート(セパレータ)
100 リチウムイオン二次電池

Claims (4)

  1. 結晶構造が空間群R-3mに帰属される正極活物質であって、
    c軸長の標準偏差σcが0.025Å≦σc≦0.045Åを満たす、
    正極活物質。
  2. a軸長の標準偏差σaが、0.005Å≦σa≦0.02Åを満たす、請求項1に記載の正極活物質。
  3. 前記正極活物質が、層状岩塩型構造を有し、結晶子径が950Å以上1450Å以下である、請求項1または2に記載の正極活物質。
  4. 正極と、負極と、を含み、
    前記正極が、請求項1~3のいずれか1項に記載の正極活物質を含む、
    リチウムイオン二次電池。
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