JP2003268674A - サイズされた炭素繊維束の製造方法およびチョップド炭素繊維 - Google Patents

サイズされた炭素繊維束の製造方法およびチョップド炭素繊維

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JP2003268674A
JP2003268674A JP2002063508A JP2002063508A JP2003268674A JP 2003268674 A JP2003268674 A JP 2003268674A JP 2002063508 A JP2002063508 A JP 2002063508A JP 2002063508 A JP2002063508 A JP 2002063508A JP 2003268674 A JP2003268674 A JP 2003268674A
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carbon fiber
sizing
fiber bundle
liquid
resin
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JP2002063508A
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Masanobu Kobayashi
正信 小林
Yoshiki Takebe
佳樹 武部
Atsuki Tsuchiya
敦岐 土谷
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Toray Industries Inc
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  • Treatment Of Fiber Materials (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】炭素繊維強化樹脂に供するに適した、流動性、
集束性に優れたチョップド炭素繊維およびその原料であ
る炭素繊維束の製造方法を提供する。 【解決手段】単繊維本数が1.5万〜100万の範囲で
束ねられた連続炭素繊維束に、粘度が0.01〜0.1
ポイズであるサイジング液でサイジング処理を行った
後、さらに粘度0.5〜20ポイズであるサイジング液
でサイジング処理を行うことを特徴とする、サイズされ
た炭素繊維束の製造方法、および、その製造方法で製造
される、サイズされた炭素繊維束を長さ1〜10mmに
切断して得られるチョップド炭素繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂をマ
トリックスとする炭素繊維強化樹脂の製造に適した、サ
イズされた炭素繊維束の製造方法およびその製造方法を
用いたチョップド炭素繊維に関するものであり、特に単
繊維本数が多く総繊度が大きいサイズされた炭素繊維束
を好適に製造する方法およびその方法で得られる炭素繊
維束を原料とするチョップド炭素繊維に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維強化樹脂は、非強化の樹脂に比
べて強度、剛性、寸法安定性にはるかに優れているた
め、事務機器や自動車分野など様々な分野で広く利用さ
れている。炭素繊維の需要は年々増えており、航空機・
スポーツ等のプレミアム用途から建築、土木、エネルギ
ー関係の一般産業用途へ需要が移行してきており、炭素
繊維に対する要求も厳しく、性能だけでなく価格の低減
が大きな課題となっている。そのため近年、価格の低減
に向けてより単繊維本数が多く総繊度が大きい炭素繊維
束が供給されるようになってきている。
【0003】炭素繊維強化樹脂の製造法としては様々な
方法があるが、よく用いられている方法は、通常3〜1
0mm程度の長さに切断されたチョップド炭素繊維を樹
脂ペレットあるいは樹脂パウダーと共に押出機で溶融混
練して繊維強化ペレットとし(これをコンパウンド工程
という)、これを射出成形によって成形品とする方法で
ある。このような工程に供されるチョップド炭素繊維
は、定量的にかつ安定的に供給するために、サイジング
剤で集束させた形態で使用されるのが通常で、このサイ
ジング剤で集束されたチョップド炭素繊維は、スクリュ
ーフィーダー等により押出機に連続的に自動計量の下に
供給される。
【0004】この際に、チョップド炭素繊維を定量的に
かつ安定的に供給するための特に重要な指標はチョップ
ド炭素繊維の流動性であり、この指標が大きくないと、
極端な場合には、チョップド炭素繊維が供給部ホッパー
で閉塞して押出機に供給されなくなることがある。従来
から粉体を取り扱う分野では、ホッパーでの粉体の流動
性と摩擦係数、安息角、嵩密度、形状因子などの種々の
特性値との間に相関関係があることが知られている。例
えば、粉体の摩擦係数は低いほど、安息角は小さいほ
ど、また嵩密度は高いほど流動性が高くなることが知ら
れている。しかし、チョップド繊維の場合には、粉体の
場合よりも、チョップド繊維自体の形状因子が、これら
の特性値に大きな影響を与えるのである。そのため、例
えば安息角の場合について云えば、その特性値を得るた
め、チョップド繊維の集合体を堆積して円錐体を形成さ
せる必要があるが、得られる安息角の値は、円錐体の大
きさの影響や堆積させる条件(落下高さ、落下量の速度
等)の影響を受け、理想的な円錐形状にならないこと、
測定試料量の影響を受けることなど測定条件により異な
ってくる。その結果、流動性のある程度の目安にはなる
ものの、最終的には実際に押出機で確認試験を行なわざ
るを得ないのが実状である。
【0005】また、チョップド炭素繊維の流動性は、チ
ョップド炭素繊維が粉体の場合に比べて、粒径に相当す
る寸法が極めて大きく、形状が棒状あるいはフレーク状
であること、および炭素繊維においては、単繊維本数の
少ない繊維束を合糸して処理するガラス繊維と異なり、
通常単繊維本数が多く総繊度が大きい繊維束であること
から、これらから得られるチョップド炭素繊維はチョッ
プドガラス繊維よりも流動性が低くなるのが一般的であ
った。そのため、繊維強化樹脂をより高性能化しコスト
パーフォマンスを高めて、チョップド炭素繊維がチョッ
プドガラス繊維に置き換わるような素材となるために
は、ガラス繊維で従来用いられている装置で、ガラス繊
維と同等の工程通過性を有し、生産性の低下を招かない
ことが求められてきた。
【0006】チョップド炭素繊維の流動性や集束性の改
良に関しては、公知の粉体の取り扱い技術や、チョップ
ド炭素繊維に極めて類似するチョップドガラス繊維の技
術を参考にして、例えば特開平5−261729号公報
および特開平5−261730号公報等で種々の技術が
提案されているが、上記の問題を完全に解決できるまで
には至っていない。特に、従来、チョップド炭素繊維
は、単繊維本数1,000本から30,000本程度の
連続繊維を原料として製造されてきたのが、近年、炭素
繊維の低コスト化要求に伴い、従来より単繊維本数が多
く総繊度が大きい繊維束の炭素繊維が製造されるように
なり、これらの炭素繊維を原料としたチョップド炭素繊
維が製造されるようになってきたが、このような炭素繊
維から製造されるチョップド炭素繊維は、扁平なものと
なり易く、それに伴い、チョップド炭素繊維の流動性や
集束性が低下するなど、上記の問題がさらに顕在化する
ようになってきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、主と
して炭素繊維強化樹脂に供するに適した、流動性、集束
性に優れたチョップド炭素繊維およびその原料である炭
素繊維束の製造方法を提供することにあり、更に詳しく
は、炭素繊維の低コスト化要求に伴なう、単繊維本数が
多く総繊度が大きい炭素繊維束を原料としてチョップド
炭素繊維を製造するに際して、炭素繊維束の高扁平度化
に起因して生ずる、チョップド炭素繊維流動性および集
束性の低下の問題を解決することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のサイズされた炭
素繊維束の製造方法は、上記課題を解決するために、次
の構成を有する。すなわち、単繊維本数が1.5万〜1
00万の範囲で束ねられた連続炭素繊維束に、粘度が
0.01〜0.1ポイズであるサイジング液でサイジン
グ処理を行った後、さらに粘度0.2〜20ポイズであ
るサイジング液でサイジング処理を行うことを特徴とす
る、サイズされた炭素繊維束の製造方法である。
【0009】また、本発明のチョップド炭素繊維は、上
記課題を解決するために、次の構成を有する。すなわ
ち、上記の製造方法で製造される、サイズされた炭素繊
維束を長さ1〜10mmに切断して得られるチョップド
炭素繊維である。
【0010】このような本発明によれば、従来より単繊
維本数が多く総繊度が大きい繊維束より製造されたチョ
ップド炭素繊維において、集束性、嵩密度共に優れ、品
質が良好なものを得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について、望まし
い実施の形態とともに詳細に説明する。
【0012】本発明においては、単繊維本数が1.5万
〜100万の範囲で束ねられた連続炭素繊維束、いわゆ
る多フィラメント炭素繊維束を用いる。特に、単繊度が
0.3〜2dtex、好ましくは0.6〜1dtexで
あり、1m当たりの撚り数が0〜10回である炭素繊維
束を用いることが好ましい。また、連続繊維束は、スト
ランド引張り強度が2000〜7000MPa、ストラ
ンド引張り弾性率が150〜500GPa、単繊維直径
が5〜10μmを有するものを用いるのが、複合材料に
使用するものとして好ましい。
【0013】本発明では、連続繊維束に、第1段のサイ
ジング液でサイジング処理を行った後、さらに、第2段
のサイジング液でサイジング処理を行うという、少なく
とも2段階に分けてサイジング処理を行うが、ここで、
第1段のサイジング液を粘度0.01〜0.1ポイズと
し、かつ、第2段のサイジング液を粘度0.2〜20ポ
イズとするのである。サイジング液に使用するサイジン
グ剤は、集束性を付与できるものであれば、熱硬化性樹
脂、熱可塑性樹脂のいずれを含んでいても良い。またサ
イジング剤の種類は同一または異なっても使用できる
が、均一性を高め複合材料の特性を安定して得るために
は同一のものが好ましい。例えば、ウレタン樹脂、エポ
キシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、エポキシ変性ウ
レタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェーノル樹脂、ポリ
アミド樹脂、変性ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ビスマ
レイミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホ
ン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリ
ドン樹脂およびポリアクリル樹脂からなる群より選ばれ
る少なくとも1種の樹脂が用い得る。この樹脂を、通
常、水を媒体として、水分散液または水溶液としたサイ
ジング液となすのが、人体への安全性の面及び自然環境
を汚さないという環境対策の面からも好ましい。なお、
そのような水分散液または水溶液には発明の目的を損な
わない程度で若干の有機溶剤を含んでいてもよい。サイ
ジング液の粘度は、サイジング剤として用いる化合物の
性状(固状、液状)や分子量、サイジング液の濃度や液
温により制御することができる。また、水分散液の場合
はエマルジョン径によっても制御することができる。
【0014】本発明において、第1段のサイジング液で
のサイジング処理では、サイジング液の粘度が0.01
〜0.1ポイズである。サイジング液の粘度が小さい範
囲のものを用いるので、多フィラメント炭素繊維束の内
部にまでサイジング液を浸透させることができるため、
後述する第2段のサイジング液でのサイジング処理後に
切断したチョップド炭素繊維において、フリーファイバ
ーのないチョップド炭素繊維となる。ここで、フリーフ
ァイバーとは、例えばチョップド炭素繊維を縦に割いた
ときに毛羽立つ、単繊維が数本から数百本の集合したも
のを意味している。ここでのサイジング液の粘度が大き
すぎると、多フィラメント炭素繊維束の内部にまで液を
浸透させることができず、無理に浸透させようとして
も、ローラでしごきを加えるなどの繊維自体を傷める操
作が必要になる一方、サイジング液を均一に内部まで含
浸できない。第1段のサイジング液は、サイジング剤の
濃度を1〜30g/L、好ましくは5〜25g/L、よ
り好ましくは10〜20g/Lとし、サイジング処理す
る際の液温を0〜50℃とすることにより所望の粘度と
できることが多い。
【0015】第1段のサイジング液でのサイジング処理
において、連続炭素繊維束の内部にできる限り均一にサ
イジング液を浸透させるために、ローラ全部が液に浸漬
された、いわゆる液没ローラや、ローラの一部が液に浸
漬された、いわゆる液浸ローラなど、少なくとも一部が
サイジング液に浸漬して設けられたローラを用いて、連
続炭素繊維束をサイジング液に浸漬する手段が通常用い
られる。本発明では、主に炭素繊維束に付与する張力や
ローラ形状を調節することによって、かかるローラ上で
の炭素繊維束を50倍以上の幅/厚み比とするのが良
い。そのようなローラ上の炭素繊維束の幅/厚み比が5
0倍未満であると、多フィラメント炭素繊維束の内部に
までサイジング液が均一に浸透しない現象が生じやす
く、引き続く第2段のサイジング液でのサイジング処理
後に切断して得られるチョップド炭素繊維においてフリ
ーファイバーが多くなることがある。
【0016】第2段のサイジング液でのサイジング処理
に供する前の炭素繊維束にはサイジング剤が通常0.1
〜2重量%付着しているようにする。また、第1段のサ
イジング液でのサイジング処理後、サイジング液に水を
媒体として用いた場合には、乾燥などによって水分を除
去し、第2段のサイジング液でのサイジング処理に供す
る前の炭素繊維束における含水率を0.1重量%以下と
しておくことが、引き続く第2段のサイジング処理にお
いて用いるサイジング液の濃度管理を容易にするために
は好ましい。
【0017】第2段のサイジング液でのサイジング処理
においては、サイジング液の粘度が0.2〜20ポイ
ズ、好ましくは0.5〜15ポイズである。チョップド
炭素繊維の集束性を高めるために、ガイドの接触部分に
設けた孔またはスリットのガイドよりサイジング剤液を
送り出して付与する、いわゆるガイド給油方式を採用す
るのがよい。またサイジング液の粘度を大きな範囲とし
ているので、太繊度の炭素繊維束の外側を覆うようにサ
イジング付与でき、炭素繊維束を切断して得られるチョ
ップド炭素繊維は、集束性、嵩密度ともに優れたものと
なる。ここで用いるサイジング液の粘度が低すぎると、
太糸条の炭素繊維走行時にサイジング液を持ち出すこと
ができず、所定の量までサイジング剤を付与させること
が困難になる一方、粘度が高すぎると、走行時の炭素繊
維が持ち出すサイジング液の量が多くなりすぎるため、
サイジング剤の付着量が大きくなりすぎ、サイジング剤
の付着量を制御することが困難となる。第2段のサイジ
ング液は、サイジング剤の濃度を30〜300g/L、
好ましくは40〜100g/L、より好ましくは40〜
80g/Lとし、サイジング処理する際の液温を0〜5
0℃とすることにより所望の粘度とできることが多い。
【0018】さらに、第2段のサイジング液でのサイジ
ング処理により付着させるサイジング剤の量は、繊維束
内部に含浸する分を補完するために第1段のサイジング
液でのサイジング処理により付着させるサイジング剤の
量より多くし、1〜5重量%程度とすることが好まし
い。また、第1段目のサイジング処理後繊維束を乾燥し
て、一旦巻き取り、その後第2段のサイジング液でのサ
イジング処理を行っても問題はない。
【0019】第2段のサイジング液でのサイジング処理
がなされた繊維束におけるサイジング剤の総付着量は、
1.0〜10重量%とするのがよい。これが少なすぎる
と、得られる繊維束の集束性が不足し、チョップド繊維
がばらけやすく取り扱い性が悪くなることがある一方、
多くなりすぎると、そのチョップド繊維を用いて繊維強
化樹脂としたときに、マトリックス樹脂に対するサイズ
剤の量が多くなるため、繊維強化樹脂の性能低下の原因
となることがある。
【0020】チョップド炭素繊維を得るため本発明の炭
素繊維束は切断されるが、その繊維長は、通常1〜10
mm、好ましくは3〜8mmに設定される。切断工程
は、第2段のサイジング液でのサイジング処理後、一旦
乾燥した後にあっても、第2段のサイジング液でのサイ
ジング処理後、乾燥する前にあってもよいが、得られる
チョップド繊維の品質を高めるためには乾燥する前にあ
った方がよい。乾燥前に切断した場合には、切断された
チョップド繊維を乾燥して水などの媒体を除去する。
【0021】繊維束を切断する装置としては、ロービン
グカッター等のロータリー式カッターや、ギロチンカッ
ター等、通常ガラス繊維において用いられているカッタ
ーを同様に用いることができる。特に、サイジング液で
濡れた繊維束を切断する場合には、ローラー等の回転部
に付着しようとする、あるいは付着したチョップド繊維
をブラシ等で除去しつつ切断するのがよい。特に、切断
の際に、繊維束の撚数、充填密度、含液率を適正な範囲
に制御すると、適正な割合でチョップド炭素繊維が繊維
軸方向に縦割れ分断して、流動性や集束性がより改善さ
れたチョップド繊維とすることができる。
【0022】本発明のチョップド炭素繊維を強化材とし
て、マトリックス樹脂と組み合わせることにより、炭素
繊維強化樹脂を製造することができる。繊維強化樹脂中
には、チョップド繊維3〜70重量%と、マトリックス
樹脂97〜30重量%とを含んでなるのが一般的であ
る。通常、マトリックス樹脂としては熱可塑性樹脂が用
いられる。熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル−
ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリアミ
ド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリア
セタール、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエ
ーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、変性ポリ
フェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ポ
リエーテルケトンあるいはこれら樹脂のアロイ等、ほと
んど全ての熱可塑性樹脂を使用することができる。
【0023】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をさらに具
体的に説明する。まず、本実施例で用いたチョップド炭
素繊維の各特性の測定方法について説明する。 〔チョップド炭素繊維の集束性〕強制攪拌テストで行っ
た。すなわち1000ccビーカーに200ccのチョップ
ド炭素繊維を投入し、攪拌モーターにて100rpmで
30分攪拌した後の嵩密度を測定し、その値を集束性の
目安とした。 [チョップド炭素繊維の流動性]スクリューフィーダー
を有するホッパー容量0.3m3の押出機に、チョップ
ド炭素繊維と樹脂ペレットを連続的に自動計量の下に供
給する。得られた繊維強化樹脂における繊維含有率が所
望の値に安定に制御出来る、すなわち計量性が良好な場
合を、「流動性良好」、計量性が不安定になれば「流動
性不良」と判定した。 〔チョップド炭素繊維のフリーファイバー発生率〕20
00ccのメスシリンダーに、予め質量を測定した約5
00ccのチョップド炭素繊維を試料として投入し密封
する。密封したメスシリンダーを、その高さ方向を軸と
して、20分間25rpmで回転させる。メスシリンダ
ーの回転を止め、試料を#4の篩に移し篩い分けする。
篩いに残ったフリーファイバーを採取しその質量を測定
する。試料全体の質量に対するフリーファイバーの質量
の百分率割合をフリーファイバー発生率とする。 (実施例1)単繊維本数70,000本、総繊度49,
500dtex、目付5.5g/mの炭素繊維束を、水
分散性を有するポリウレタン系サイジング剤(フィルム
100%引張弾性率:1.5MPa)を濃度10g/L
で水に分散させた第1段のサイジング液(粘度0.05
ポイズ、液温30℃)に、下部がサイジング液に浸漬し
て設けられたローラ上で炭素繊維束を幅/厚み比約10
0倍に拡げつつ浸漬させ、続いて200℃で3分間乾燥
させてボビンに巻きあげた。繊維束へのサイジング剤の
付着量は0.5重量%であった。続けて、その繊維束
に、第1段のサイジング液で用いたのと同じサイジング
剤を濃度50g/Lで水に分散させた第2段のサイジン
グ液(粘度0.5ポイズ、液温30℃)をガイド給油方
式で付与し、その後ロービングカッターで長さ6mmに
切断し、次いでオーブンの金網を振動数16サイクル/
秒、振幅6mmで振動させながら190℃で5分間乾燥
させて、サイジング剤の総付着量が2.0重量%のチョ
ップド炭素繊維を得た。得られたチョップド炭素繊維の
切断面を走査型電子顕微鏡で観察すると、チョップド繊
維の外側に多くのサイジング剤が付着しているのが観察
された。得られたチョップド炭素繊維の集束性、流動
性、フリーファイバー発生率を測定した結果を表1に示
す。得られたチョップド炭素繊維の流動性試験では、閉
塞を起こすことはなく、また設定した繊維含有率30重
量%のペレットが得られ計量性に全く問題なく工程を通
過できた。 (実施例2)第1段のサイジング液を、エポキシ系サイ
ジング剤を濃度10g/Lで水に分散させたもの(粘度
0.05ポイズ、液温30℃)に変更した以外は、実施
例1と同様にしてサイジング剤の総付着量が2.0重量
%であるチョップド炭素繊維を得た。なお、第2段のサ
イジング液でのサイジング処理をする前の繊維束には
0.5重量%のサイジング剤が付着していた。得られた
チョップド炭素繊維の集束性、流動性、フリーファイバ
ー発生率を測定した結果を表1に示す。 (実施例3)第1段のサイジング液を、水溶性ナイロン
系サイジング剤を濃度10g/Lで水に分散させたもの
(粘度0.07ポイズ、液温40℃)に変更し、第2段
目のサイジング処理に用いるサイジング液を、第1段と
同じサイジング剤を濃度50g/Lで水に分散させたも
の(粘度0.8ポイズ、液温40℃)に変更した以外は
実施例1と同様にして、サイジング剤の総付着量が2.
3重量%のチョップド炭素繊維を得た。なお、第2段の
サイジング液でのサイジング処理をする前の繊維束には
0.6重量%のサイジング剤が付着していた。得られた
チョップド炭素繊維の集束性、流動性、フリーファイバ
ー発生率を測定した結果を表1に示す。 (実施例4)液浸ローラ上での繊維束の幅/厚み比を約
10倍に拡げるよう張力を変更した以外は実施例2と同
様にしてサイジング剤の総付着量が2.0重量%のチョ
ップド炭素繊維を得た。なお、第2段のサイジング液で
のサイジング処理をする前の繊維束には0.5重量%の
サイジング剤が付着していた。得られたチョップド炭素
繊維の集束性、流動性、フリーファイバー発生率を測定
した結果を表1に示す。 (比較例1)第1のサイジング液を、実施例1で用いた
サイジング剤を濃度50g/Lで水に分散させたもの
(粘度0.5ポイズ、液温30℃)に変更した以外は、
実施例1と同様にしてサイジング剤の総付着量が2.1
重量%のチョップド炭素繊維を得た。なお、第2段のサ
イジング液でのサイジング処理をする前の繊維束には
0.6重量%のサイジング剤が付着していた。得られた
チョップド炭素繊維の集束性、流動性、フリーファイバ
ー発生率を測定した結果を表1に示す。 (比較例2)第1段のサイジング液でのサイジング処理
を行わず、かつ、第2段のサイジング液として、実施例
1で用いたのと同じサイジング剤を濃度50g/Lで水
に分散したもの(粘度0.5ポイズ、液温30℃)を用
いた以外は、実施例1と同様にして、サイジング剤の総
付着量が1.7重量%のチョップド炭素繊維を得た。得
られたチョップド炭素繊維の集束性、流動性、フリーフ
ァイバー発生率を測定した結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来より単繊維本数の多い炭素繊維束を用いて、流動性
や集束性等の取扱い性に優れたチョップド炭素繊維を得
るに適した炭素繊維束を製造することができ、そのよう
な炭素繊維束から得られたチョップド炭素繊維は、繊維
強化樹脂となす場合の押出工程における工程通過性が優
れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B154 AA14 AB09 BA05 BB39 BB47 BC22 BD04 BD18 BE05 BF15 CA50 DA22 4G146 AA01 AB06 AC01A AC01B BB03 CB08 4L033 AA09 AC12 CA18 CA45 CA48 CA49 CA50 CA55 4L037 AT03 CS03 FA01 FA02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単繊維本数が1.5万〜100万の範囲で
    束ねられた連続炭素繊維束に、粘度が0.01〜0.1
    ポイズであるサイジング液でサイジング処理を行った
    後、さらに粘度0.2〜20ポイズであるサイジング液
    でサイジング処理を行うことを特徴とする、サイズされ
    た炭素繊維束の製造方法。
  2. 【請求項2】前記サイジング液が、サイジング水分散液
    またはサイジング水溶液である、請求項1に記載のサイ
    ズされた炭素繊維束の製造方法。
  3. 【請求項3】粘度が0.01〜0.1ポイズであるサイ
    ジング液でのサイジング処理に際して、少なくとも一部
    がサイジング液に浸漬して設けられたローラ上で、連続
    炭素繊維束を50以上の幅/厚み比に拡幅する、請求項
    1または2に記載のサイズされた炭素繊維束の製造方
    法。
  4. 【請求項4】粘度0.2〜20ポイズであるサイジング
    液でのサイジング処理に際して、サイジング液をガイド
    給油する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のサイズ
    された炭素繊維束の製造方法。
  5. 【請求項5】サイジング液には、ウレタン樹脂、アクリ
    ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル
    樹脂およびポリエーテル樹脂からなる群より選ばれる少
    なくとも一種の樹脂を主成分とするサイジング剤が含ま
    れる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のサイズされ
    た炭素繊維束の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造
    方法で製造される、サイズされた炭素繊維束を長さ1〜
    10mmに切断して得られるチョップド炭素繊維。
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