JPH11200160A - チョップド炭素繊維およびその製造方法 - Google Patents

チョップド炭素繊維およびその製造方法

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JPH11200160A
JPH11200160A JP2145798A JP2145798A JPH11200160A JP H11200160 A JPH11200160 A JP H11200160A JP 2145798 A JP2145798 A JP 2145798A JP 2145798 A JP2145798 A JP 2145798A JP H11200160 A JPH11200160 A JP H11200160A
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JP
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carbon fiber
sizing agent
chopped carbon
cut
chopped
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JP2145798A
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English (en)
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Haruo Ohara
春夫 尾原
Tetsuyuki Kyono
哲幸 京野
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価なフィラメント数の多い炭素繊維束を原
料にして、流動性の良好なチョップド炭素繊維を安定し
て製造する。 【解決手段】 フィラメント数20,000〜150,
000本の連続状炭素繊維束にサイジング剤液を付与
し、濡れたままの状態でカットし、さらにカットした炭
素繊維束に振動を与えて造粒した後乾燥する、またはカ
ット後にさらに水または水系サイジング剤液を追加付与
した後、振動を与えて造粒後乾燥するチョップド炭素繊
維の製造方法、およびこれらの方法により製造されたチ
ョップド炭素繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂をマ
トリックスとした炭素繊維強化樹脂の製造に適したチョ
ップド炭素繊維およびその製造方法に関するもので、特
に繊度の大きいチョップド炭素繊維およびその製造方法
に関する。更に詳しくは、短繊維強化樹脂成形材料の強
化材として取扱い性に優れ、かつ、優れた力学特性の成
形品が得られるチョップド炭素繊維およびその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維強化樹脂は、非強化の樹脂に比
べて強度、剛性、寸法安定性にはるかに優れているた
め、OA機器や自動車部品など様々な一般産業分野で広
く利用されている。炭素繊維の需要は年々増えており、
航空機、スポーツ分野等のプレミアム用途から、建築、
土木、エネルギー関係の一般産業用途へ需要がシフトし
ており、炭素繊維に対する要求も性能だけでなく価格の
低減が大きな課題となっている。そのため近年、価格の
低減に向けてよりフィラメント数の多い炭素繊維が供給
されるようになってきている。
【0003】炭素繊維強化樹脂の製造法としては様々な
方法があるが、よく用いられている方法は、3〜10m
m程度の長さに切断されたチョップド炭素繊維を樹脂ペ
レットあるいは樹脂パウダーとともに押出機で溶融混練
してペレット化(これをコンパウンド工程という)し、
これを射出成形によって成形品とする方法である。この
ような工程に供されるチョップド炭素繊維は、押出機中
に定量的に安定供給するためにサイジング剤で集束させ
た形態で使用されるのが通常で、このサイジング剤で集
束されたチョップド炭素繊維はスクリューフィーダー等
により押出機に連続的に自動計量しながら供給される。
この際に必要な特性は、チョップド炭素繊維の流動性で
あり、この特性が満たされないと、極端な場合は供給部
ホッパーで閉塞しプロセス不能に至ることがある。
【0004】チョップド炭素繊維の流動性の改良につい
ては、すでに公知の粉体の取り扱い技術やガラス繊維の
技術を参考に特開平5−261729号および特開平5
−261730号公報等で種々の技術が提案されてい
る。チョップド炭素繊維は粉体の場合に比べて粒径に相
当する寸法が極めて大きく、形状が棒状あるいはフレー
ク状であること、特に高速の溶融紡糸によって製造され
るガラス繊維と異なり合糸等の操作を行う前の単位での
フィラメント数が多いため、従来射出成形に主として用
いられてきたチョップドガラス繊維よりも流動性が低い
傾向がある。
【0005】また、従来の炭素繊維は、フィラメント数
が1,000本から24,000本の連続繊維を原料と
して製造されているが、近年、一層の低コスト化を図る
ために従来より多数のフィラメントを有する炭素繊維が
製造されるようになり、これらを原料としたチョップド
炭素繊維の製造を行う必要性が生じている。
【0006】よりフィラメント数の多い炭素繊維を原料
としてチョップド炭素繊維を製造する場合、サイジング
剤を糸条内部まで含浸させるためには糸束は扁平な方が
よい。従来のフィラメント数1K(1,000本)〜2
4K(24,000本)の炭素繊維束と同様のプロセス
で、よりフィラメント数の多い炭素繊維からチョップド
炭素繊維を製造すると、扁平度の非常に大きいチョップ
ド炭素繊維となるが、このようなものは流動性が悪い。
一方で、断面形状を円形に近づけると繊維束の嵩密度が
高くなるため、繊維束内部にサイジング剤が浸透しにく
く、集束性が悪くなる傾向がある。また、このようなチ
ョップド炭素繊維はコンパウンド工程で受ける剪断力に
よって解繊しやすいので、ファイバーボールが出来やす
く、その結果流動性の低下を招き、コンパウンド工程に
おいてホッパーから押出機へチョップド炭素繊維を移送
するときに閉塞等のトラブルを起こしやすくなる。
【0007】従来、チョップド炭素繊維を得る方法とし
ては、まず炭素繊維をサイジング剤浴に浸漬し、ついで
乾燥工程で集束させた炭素繊維を連続または別工程でカ
ッターを使って定長にチョップする方法が一般的であっ
た。一方、ガラス繊維をチョップする方法は、溶融紡糸
されたガラス繊維にバインダーを付与した後濡れた状態
でカットし次いで乾燥する方法が一般的である。ガラス
繊維をチョップする方法によれば、少ない付着量で高い
集束性のチョップド炭素繊維が得られやすく、この方法
を炭素繊維に適用した例としては、特開平5−2617
29号および特開平5ー261730号公報が挙げられ
る。しかし、これら公報中に記載の炭素繊維束中のフィ
ラメント数は高々12,000本程度であり、これより
も糸束が太いとカットするときに濡れた連続繊維の糸束
を引き取るニップローラーで扁平に押しつぶされ、カッ
ト糸が扁平形状になりやすい。扁平なチョップド炭素繊
維は前述のようにコンパウンド工程での流動性が低下す
るという問題を生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、炭素
繊維強化複合材料に供するチョップド炭素繊維に関し、
安価なフィラメント数の多い炭素繊維束を原料にしてチ
ョップド炭素繊維を得る方法において、流動性の良好な
チョップド炭素繊維を得ることのできる製造方法、およ
びその方法により製造されるチョップド炭素繊維を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のチョップド炭素繊維の製造方法は、第1の
方法として、フィラメント数20,000〜150,0
00本の連続状炭素繊維束にサイジング剤液を付与し、
濡れたままの状態でカットし、さらにカットした炭素繊
維束に振動を与えて造粒した後乾燥することを特徴とす
る方法からなる。
【0010】さらに本発明に係る第2の方法は、フィラ
メント数20,000〜150,000本の連続状炭素
繊維束にサイジング剤液を付与し、濡れたままの状態で
カットし、さらにカットした炭素繊維束に水または水系
サイジング剤液を追加付与し、その後、振動を与えて造
粒した後乾燥することを特徴とする方法からなる。
【0011】上記方法においては、カット長を3〜10
mm、振動を与えて造粒するときの含液率を25〜45
重量%に調整することが好ましい。
【0012】このような方法により、嵩密度が0.4g
/ml以上の流動性の良好なチョップド炭素繊維が得ら
れる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、望ましい
実施の形態とともに詳細に説明する。本発明に係る第1
の方法は、サイジング剤液で濡れたままのカット糸を無
風状態で振動を与えた後乾燥することを特徴とするチョ
ップド炭素繊維の製造方法を提供するものである。振動
によりカットされた炭素繊維(以下、カット糸という)
同士が接触した際に、サイジング剤液の表面張力により
カット糸同士が重なりあって接着し、その状態で乾燥さ
れることにより、厚みのある集束性の良好なチョップド
炭素繊維が形成される。このチョップド炭素繊維は、カ
ット糸1〜5単位がずれながら重なり合って接着された
形態をなしており、個々の形状は様々であり、このよう
な形状の集合体である。ここでカット糸1単位とは原料
とした炭素繊維束がカットされたあと集束した状態のも
のであり、原料炭素繊維束そのままの太さから複数個に
縦割れしたものまでのそれぞれのカット糸を指す。
【0014】本発明の第1の方法の具体的な態様として
は、たとえば、まず炭素繊維束にサイジング剤液を付与
した後、そのままカットして得られた濡れたカット糸を
振動するプレート上に移送する。振動するプレート上で
はカット糸同士が接着し造粒される。この際に振動のベ
クトルを所定の方向に設定することにより、カット糸の
搬送が同時に行われ搬送しながら造粒することができ
る。
【0015】ついでこの造粒したカット糸を、振動で搬
送しながら熱風の吹き出し口を設けたパンチングメタル
(上記振動プレートのパンチングメタル部分)上に導き
連続的に乾燥させる。振動による搬送を行うことで造粒
と乾燥の連続プロセスが可能となり、しかも振動により
乾燥効率が大幅に高くなり短時間での乾燥が可能となる
特徴がある。振動条件としては、振動数1〜30サイク
ル/秒、振幅3〜10mmの範囲が好ましい。たとえば
図2に示すように、振動発生機12によって振動される
振動プレート10上における振動のベクトル16は、プ
レート10上のカット糸に対して垂直方向と搬送方向に
分力される。垂直方向の分力17はカット糸を撹拌する
力であり、搬送方向の分力18は搬送する力であり速度
に相当する。振動のベクトル方向(角度θ)を変えるこ
とにより各分力17、18の大きさを変えることができ
るが、本発明ではこのベクトルの方向はプレート水平面
に対して35〜55゜の仰角θに設定することが条件設
定が容易なので好ましい。
【0016】造粒のための振動条件と乾燥のための振動
条件はそれぞれ設定することができるが、同じプレート
上で造粒と乾燥の連続プロセスである場合は同じ振動条
件が好ましい。
【0017】これが本発明の具体的な一態様であるが、
上記のように必ずしも連続である必要はなく一定量をバ
ッチ式で振動させながら造粒処理、乾燥処理する方法で
もよく、生産性を考慮した態様であればよい。この際の
振動は、カット糸を攪拌することに特徴があり短時間乾
燥を達成するためのものである。
【0018】本発明において、濡れた連続炭素繊維をカ
ッターでカットするときの含液率は、好ましくは15〜
45重量%、さらに好ましくは20〜35重量%であ
る。含液率が45重量%を越えると、カット時にカッタ
ー刃やローラーに濡れた糸束が付着しカット工程でトラ
ブルをおこしやすくなること、また、濡れた糸束から絞
り出されるサイジング剤液が接触する部分、特にローラ
ー表面に付着し、これが種々のトラブルの原因になりや
すい。含液率が15重量%未満になると、カット工程の
剪断力で炭素繊維束が解繊しやすいことや、目標のサイ
ジング剤付着率を確保するために付与するサイジング剤
液の濃度を高くする必要があり、これが糸束内へのサイ
ジング剤液の浸透性を低下させる恐れがあるので好まし
くない。ここで含液率とは乾燥後の炭素繊維束重量に対
する炭素繊維束中に含まれるサイジング剤液重量の割合
である。
【0019】乾燥温度はサイジング剤が分解しない温度
であることが望ましく、130〜240℃が好ましい。
また、乾燥が終了するまでの乾燥時間が2分〜10分の
範囲となるように振動数、乾燥温度、風速を設定すると
好ましい。風速は0.5〜2m/秒であればよい。ここ
で乾燥が終了した状態とは、チョップド炭素繊維の水分
率が0.1%以下、好ましくは0.05%以下になるこ
とをいう。
【0020】さらに好ましくは、乾燥が終了したチョッ
プド炭素繊維を引き続き冷風を吹き付けて冷却すること
も良い。熱い状態のチョップド炭素繊維ではサイジング
剤が柔らかく、この状態では外力で解繊の危険性があ
る。さらに高温のため取り扱い性が悪い。
【0021】本発明に係る第2の発明は、造粒する際に
プレート上のカット糸に水または水系サイジング剤を追
加付与しながら振動を与えて造粒することを特徴として
いる。すなわち、カット工程では含液率をカッターへの
炭素繊維の付着がほとんど起こらない30重量%以下に
制御し、カット後はカット糸に水系サイジング剤液ある
いは水を噴霧して含液量がさらに高くなるように追加付
与したあと、または追加付与しながら、振動を与えるこ
とにより集束性の良好なチョップド炭素繊維を得る方法
である。
【0022】カット糸の含液率として25〜45重量%
で造粒、乾燥することが好ましい。またカット時の含液
率としては10〜30重量%であることが好ましい。追
加噴霧後の含液率が45重量%を越えると乾燥負荷が大
きくなったり装置が汚れやすいなどの問題が生じるので
好ましくない。また、25重量%未満では集束性が低下
するので好ましくない。この方法はサイジング剤付与後
のローラー表面の汚れやカッターへの付着によるトラブ
ルを回避すると同時に、乾燥後集束性の良いチョップド
炭素繊維を提供する方法として好ましい。
【0023】本発明において使用する炭素繊維は、引張
強度2,000〜7,000MPa、引張弾性率150
〜500GPaのものが一般的であるが、特に限定され
るものではない。
【0024】本発明のチョップド炭素繊維の製造方法に
おいて使用される炭素繊維束は、単繊維デニール0.5
乃至3デニール、好ましくは1乃至1.5デニール、フ
ィラメント数20,000〜150,000本からなる
多フィラメント炭素繊維で、1m当たり0〜10回の撚
を有する炭素繊維を用いることができる。チョップド炭
素繊維を製造する方法は、炭素繊維製造工程からオンラ
インで本発明のチョップド工程に供する方法、または一
旦巻き取った繊維束をオフラインでチョップド工程に供
する方法のいずれでもよい。したがって無撚か有撚かは
適宜必要に応じて決めればよい。有撚の場合、一旦巻き
取ったボビンから糸束を縦取りで解舒するときに発生す
る解舒よりも含み、ボビンの外側から引き出すアウトサ
イドプル方式やボビンの内側から引き出すわゆるインサ
イドプル方式等も含む。さらに、プロセスに応じて、ハ
ンドリング性を改善するための一次サイジング剤を0.
1〜2重量%付与し乾燥された炭素繊維束をチョップド
炭素繊維の原料として用いることも可能である。
【0025】本発明におけるサイジング剤としては、集
束性を付与できるものであれば熱硬化性樹脂、熱可塑性
樹脂の何れでもよい。例えば、ウレタン樹脂、エポキシ
樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、エポキシ変性ウレタ
ン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ
エーテルイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリサルホ
ン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリビニルアルコ
ール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアクリル樹
脂またはこれらの変性樹脂の単体もしくは混合物等であ
る。これらの樹脂の水分散液または水溶液として用い
る。尚、水の中に若干の溶剤を含んでいることも好まし
い。
【0026】本発明に係るチョップド炭素繊維を用いた
炭素繊維強化樹脂組成物のマトリックス樹脂に適した熱
可塑性樹脂としては、ABS、ポリアミド、ポリカーボ
ネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポ
リエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、変性
ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリエーテルケトンあるいはアロイ等、ほとんど全
ての熱可塑性樹脂を使用することができる。熱可塑性樹
脂組成物は、上記の集束処理されたチョップド炭素繊維
3〜70重量%と、上記のマトリックス樹脂97〜30
重量%からなる。この樹脂組成物中のチョップド炭素繊
維の含有率が3重量%未満では補強効果が小さく、70
重量%を越えると組成物の成形性が著しく悪くなり実用
的でない。
【0027】本発明におけるサイジング剤の付与方法
は、炭素繊維を走行させながらサイジング剤液に浸漬す
るディップ方式、またはローラー表面に付着したサイジ
ング剤を走行している炭素繊維に接触させるキスロール
方式、または炭素繊維が走行しているガイドの接触部分
に設けた孔またはスリットよりサイジング剤を送り出し
て付与するガイド給油方式が好ましい。特にガイド給油
方式は含液率制御の正確さと繊維束の形態制御の観点か
ら好ましい。ガイドに設けた孔またはスリットから必要
量のサイジング剤液を吐出させることにより、所望の含
液率に設定することができ、ガイド幅による繊維幅規制
が安定してできる。この場合、給油のためのガイドは1
個でよいが、2個以上設けてもよく、扁平状の炭素繊維
の片面または両面に付与する。付与した後、表面のサイ
ジング剤が糸束内部に浸透しやすくするために、ローラ
ーでしごきを加えながら走行させてもよい。さらにサイ
ジング剤を付与してからカットされるまでの時間が10
秒以上になるように処理すると、糸束内にサイジング剤
が浸透しやすくなり好ましい。
【0028】また、好ましい含液率制御方法はノズルを
用いる方法である。サイジング剤液に炭素繊維をディッ
プ後所定の径のノズル孔に通して含液量を決める方法で
ある。この場合、炭素繊維の目付け(g/m)と比重か
ら計算される炭素繊維束断面積(cm2 )をノズル孔の
面積(cm2 )で割った値が0.4〜0.7になるノズ
ル孔径であることが好ましい。この方法による場合、一
旦多量に付着したサイジング剤液を絞り出すことにより
繊維束内まで均一にサイジング剤液を浸透させることが
できるので好ましい。
【0029】この他の含液率制御方法として、ニップロ
ーラーでサイジング剤液を付与した炭素繊維束を絞る方
法や、ノズル孔より噴出した圧空により一旦多めに糸束
に付着させたサイジング剤液を吹き飛ばす方法等もあ
る。
【0030】サイジング剤液を含浸させた後カットされ
るまで繊維束の張力と形状、特に繊維束の幅の制御はで
きあがったチョップド炭素繊維の流動性に影響するので
重要である。そのため、種々のガイド、溝付きローラー
等を配して5KD(5,000デニール)〜20KD
(20,000デニール)/mmの範囲において目標の
充填度に調整した後カットする。充填度は繊維束の総繊
度(デニール)を繊維束幅(繊維軸と直角方向の長さ
(mm))で除した値である。
【0031】カット長としては3〜10mmが好まし
い。濡れ糸をカットする方法としては、ロービングカッ
ター等のロータリー式カッターやギロチンカッター、E
Cカッター等通常用いられているカッターを用いること
ができる。また、カットの際にはローラー等の回転部に
カット糸が付着しないようにブラシ等を設置するのが好
ましい。
【0032】以上説明したような本発明に係る方法によ
り、嵩密度が0.4g/ml以上である、流動性の良好
なチョップド炭素繊維が得られる。
【0033】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明する。なお、以下に述べる集束性の評価は強制攪拌
テスト前後の嵩密度測定によって行った。強制撹拌は容
積1000mlのビーカーに200mlのチョップド炭
素繊維を投入し、これを攪拌羽根にて100rpmで3
0分間攪拌した。嵩密度は500ccメスシリンダーに
約200mlのチョップド炭素繊維を投入し、このメス
シリンダーを3cmの高さから10回落下させた後、メ
スシリンダー内のチョップド炭素繊維の最上部の目盛り
を読み取り、この体積値でメスシリンダー内のチョップ
ド炭素繊維重量を徐して求めた。嵩密度が0.4g/m
l未満になるものは集束性不良と判定した。
【0034】実施例1 一次サイジング剤を1重量%付与し乾燥した後ボビンに
巻き上げ、フィラメント数70,000本、目付5.5
g/m、エポキシ系サイジング剤が1.5重量%付着し
た実質的に無撚の炭素繊維束を準備した。図1に示すよ
うに、炭素繊維束2が巻き上げられたボビン1を2個並
べ、インサイドプル方式で15m/分の速度で引き出
し、ガイド3を通した後、幅5mm、長さ50mmの溝
を有するガイド給油装置4に接触させながら張力2kg
で走行させた。このガイド給油装置4にサイジング剤計
量送液ポンプ5から、ウレタンを水中に分散させた水系
ウレタン樹脂サイジング剤を供給し、ガイド給油装置4
の給油スリットから、含液率が30重量%になるように
計量供給し、炭素繊維束2に付与した。次いでジグザグ
に並べた5個のローラー6で炭素繊維束2にしごきを加
えた後、繊維束幅を10KD/mmに調整し、ニップロ
ーラー7、8を通した後、2糸条を隣接させてカッター
ローラー9を備えたカートリッジカッターへ導き長さ6
mmにカットした。カットと同時にカッターの真下の振
動プレート10に層厚み約15mmになるように落下さ
せた。振動発生機12により、振動数16サイクル/
秒、振幅5mmで振動しているプレート10上に落下し
たカット糸は、ゆっくりとプレート10上を移動し搬送
された。カット糸は造粒されながら約1分間プレート1
0上に滞留した。次いでカット糸はそのままプレート1
0の孔径2mmのパンチングメタル部分上で振動数16
サイクル/秒、振幅5mmで振動させながら乾燥機11
内で190℃の熱風15を孔口から吹きださせ、3分間
乾燥してサイジング付着率が3.6重量%のチョップド
炭素繊維13を得た。このチョップド炭素繊維13の1
個を取り出してみると、カット糸は4個重なり合って全
体の形状は概ね矩形であった。このチョップド炭素繊維
13を取り出して嵩密度を測定したところ、0.47g
/mlであった。これを100rpm×30分間撹拌し
た後の嵩密度は0.44g/mlであった。このチョッ
プド炭素繊維を、ホッパー容量300lの押出機を用い
てナイロン樹脂にコンパウンドしたところ、ホッパー内
の流動性は良好で計量性に問題はなかった。
【0035】実施例2 実施例1と同じ条件で引き出された炭素繊維束2にガイ
ド給油装置4の給油スリットからアクリル樹脂を水中に
分散させた水系アクリル樹脂サイジング剤液を含液率が
20重量%になるように計量供給し、炭素繊維束2に付
与した。次いでジグザグに並べた5個のローラー6で炭
素繊維にしごきを加えた後、繊維束幅を10KD/mm
に調整し、2糸条を隣接させて実施例1と同様のカッタ
ーローラー9に導き入れカットした。このカット糸を実
施例1と同様の振動するプレート10上に拡げた後、噴
霧器14でカット糸にまんべんなく水を噴霧して、先に
付与したサイジング剤液と合わせて含液率が35重量%
になるように付与し、実施例1と同様に造粒と乾燥を行
った。得られたチョップド炭素繊維はサイジング剤付着
率3.1重量%のチョップド炭素繊維であった。このチ
ョップド炭素繊維は、実施例1と同様の矩形形状であっ
た。嵩密度を測定したところ、強制撹拌の前後で、それ
ぞれ0.44、0.41g/mlであった。このチョッ
プド炭素繊維を、ホッパー容量300lの押出機を用い
てナイロン樹脂にコンパウンドしたところ、ホッパー内
の流動性は良好で計量性に問題はなかった。
【0036】比較例1 実施例2において、カット糸を直接乾燥工程のパンチン
グメタルプレート上に供給し、サイジング剤付着率3.
3重量%、カット長6mmのチョップド炭素繊維を得
た。得られたチョップド炭素繊維は四角形の扁平であり
細かく縦割れして一部解繊状態であった。嵩密度を測定
したところ、強制撹拌の前後で、それぞれ0.38、
0.36g/mlであった。このものを用いてホッパー
容量300lの押し出し機を用いてプロセス性テストを
行ったところ、流動性が悪く閉塞を起こし安定してプロ
セスできなかった。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のチョップ
ド炭素繊維およびその製造方法によれば、安価なフィラ
メント数の多い炭素繊維束を原料にして、流動性の良好
なチョップド炭素繊維を安定して製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係るチョップド炭素繊維
製造工程の概略構成図である。
【図2】振動プレート上における振動のベクトルを示す
説明図である。
【符号の説明】
1 炭素繊維ボビン 2 炭素繊維束 3 ガイド 4 ガイド給油装置 5 サイジング剤計量送液ポンプ 6 ローラー 7、8 ニップローラー 9 カッターローラー 10 振動プレート 11 乾燥機 12 振動発生機 13 乾燥後チョップド炭素繊維 14 噴霧器 15 熱風 16 振動のベクトル 17 カット糸が受ける撹拌力 18 カット糸が受ける搬送力 θ 振動のベクトル方向(角度)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 277:00 D06M 101:40

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィラメント数20,000〜150,
    000本の連続状炭素繊維束にサイジング剤液を付与
    し、濡れたままの状態でカットし、さらにカットした炭
    素繊維束に振動を与えて造粒した後乾燥することを特徴
    とする、チョップド炭素繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 フィラメント数20,000〜150,
    000本の連続状炭素繊維束にサイジング剤液を付与
    し、濡れたままの状態でカットし、さらにカットした炭
    素繊維束に水または水系サイジング剤液を追加付与し、
    その後、振動を与えて造粒した後乾燥することを特徴と
    する、チョップド炭素繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 造粒された炭素繊維束を振動させながら
    熱風で乾燥する、請求項1または2に記載のチョップド
    炭素繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の方
    法により製造された、嵩密度が0.4g/ml以上のチ
    ョップド炭素繊維。
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