JP2003268273A - インクジェットプリンタ用インク - Google Patents

インクジェットプリンタ用インク

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JP2003268273A
JP2003268273A JP2002076354A JP2002076354A JP2003268273A JP 2003268273 A JP2003268273 A JP 2003268273A JP 2002076354 A JP2002076354 A JP 2002076354A JP 2002076354 A JP2002076354 A JP 2002076354A JP 2003268273 A JP2003268273 A JP 2003268273A
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JP
Japan
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ink
acid
compound
pigment
jet printer
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JP2002076354A
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Miyuki Nishimura
美由喜 西村
Nagayuki Takao
長幸 鷹尾
Tomohisa Nishimoto
智久 西本
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Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチック、ガラス、金属板などの非吸収
面に印刷する場合の乾燥性にすぐれ、しかも再分散性も
満足するインクジェットプリンタ用インクを提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】 顔料、高分子化合物および水とともに、
環状化合物として、カルボキシル基を有する単環式化合
物または多環式化合物を含有することを特徴とするイン
クジェットプリンタ用インク、とくに、上記の顔料が有
機顔料または分散染料である上記構成のインクジェット
プリンタ用インク、また上記の環状化合物がカルボキシ
ル基を2個以上有する単環式化合物または多環式化合
物、たとえばベンゼンジカルボン酸、ベンゼントリカル
ボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ナフタレンジカル
ボン酸、ナフタレントリカルボン酸またはナフタレンテ
トラカルボン酸である上記構成のインクジェットプリン
タ用インク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速印字用のイン
クジェットプリンタに有用な低粘度のインクジェットプ
リンタ用インクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、顔料を使用したインクジェットプ
リンタ用インクでは、顔料の分散粒径を微細にし、さま
ざまな添加剤により印字安定性や保存安定性、再分散性
などの改良がなされてきている。たとえば、特開200
0−212486号公報には、スチレン−(メタ)アク
リル酸系水溶性樹脂を分散剤として用いたインクジェッ
ト用の水性インキ組成物が記載されている。また、米国
特許第5,512,089号明細書には、インクのpH
を9〜12の間に調整することにより、乾燥したインク
の再分散性を高めることが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
公知のインクは、プリンタヘッドにおける目詰まりを防
止するため、プリンタヘッドでのインクの乾燥防止や再
分散性の向上を目的として、インク中に高沸点の水溶性
有機溶剤を多量含有させるようにしている。このため、
プラスチック、ガラス、金属板などの非吸収面に印刷し
た場合、乾燥が悪く、手などの接触により簡単に剥がれ
る問題があった。
【0004】本発明は、このような事情に照らして、プ
ラスチック、ガラス、金属板などの非吸収面に印刷する
場合の乾燥性にすぐれ、しかも再分散性も満足するイン
クジェットプリンタ用インクを提供することを目的とし
ている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために、鋭意検討した結果、顔料、高分子
化合物および水を含有するインクジェットプリンタ用イ
ンクにおいて、インク中に特定の環状化合物を含ませた
ときに、乾燥したインクの再分散性に好結果が得られ
て、従来のように高沸点の水溶性有機溶剤を多量に含ま
せる必要がなく、その結果、プラスチック、ガラス、金
属板などの非吸収面に印刷した場合のインクの乾燥が速
くなり、非吸収面に印刷する場合の乾燥性と再分散性と
をうまく両立できることを見い出し、本発明を完成する
に至った。
【0006】すなわち、本発明は、顔料、高分子化合物
および水とともに、環状化合物として、カルボキシル基
を有する単環式化合物または多環式化合物を含有するこ
とを特徴とするインクジェットプリンタ用インクに係る
ものである。とくに、本発明は、上記の顔料が有機顔料
または分散染料である上記構成のインクジェットプリン
タ用インク、上記の環状化合物がカルボキシル基を2個
以上有する単環式化合物または多環式化合物である上記
構成のインクジェットプリンタ用インク、上記のカルボ
キシル基を2個以上有する単環式化合物または多環式化
合物がベンゼンジカルボン酸、ベンゼントリカルボン
酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ナフタレンジカルボン
酸、ナフタレントリカルボン酸またはナフタレンテトラ
カルボン酸である上記構成のインクジェットプリンタ用
インク、上記の環状化合物がインク全量に対して0.2
〜2重量%である上記構成のインクジェットプリンタ用
インクを、それぞれ、提供できるものである。
【0007】また、本発明は、上記の高分子化合物が1
0℃以下のガラス転移温度を有する上記構成のインクジ
ェットプリンタ用インク、上記の10℃以下のガラス転
移温度を有する高分子化合物が側鎖にアルキル基の炭素
数が8〜32の範囲にあるアルキルエステル構造を有す
る上記構成のインクジェットプリンタ用インク、上記の
高分子化合物の酸価が130〜400mgKOH/gであ
る上記構成のインクジェットプリンタ用インク、上記の
高分子化合物の重量平均分子量が1,000〜20,0
00である上記構成のインクジェットプリンタ用イン
ク、上記の高分子化合物がインク全量に対し0.1〜3
重量%である上記構成のインクジェットプリンタ用イン
クを、それぞれ、提供できるものである。
【0008】さらに、本発明は、粘度が1〜2mPa・
sである上記構成のインクジェットプリンタ用インク、
溶媒として水溶性有機溶剤を含有し、この水溶性有機溶
剤がインク全量に対し1〜20重量%である上記構成の
インクジェットプリンタ用インク、インクジェットプリ
ンタが連続循環方式である上記構成のインクジェットプ
リンタ用インクを、それぞれ、提供できるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における環状化合物は、カ
ルボキシル基を有する単環式化合物または多環式化合物
であり、この化合物は、顔料とくに有機顔料または分散
染料に対してπ電子相互作用を有するとともに、カルボ
キシル基に基づく水への溶解作用を有していることによ
り、インクの再分散性の向上に大きく貢献する。このよ
うな環状化合物の中でも、上記効果をより良く発揮させ
るため、カルボキシル基を2個以上有する単環式化合物
または多環式化合物がとくに好ましい。
【0010】カルボキシル基を2個以上有する単環式化
合物または多環式化合物には、1,2−シクロヘキサン
ジカルボン酸、1,2−ベンゼンジカルボン酸、1,3
−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン
酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5
−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼン
テトラカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、
2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカル
ボン酸、アントラセンジカルボン酸、ピレンジカルボン
酸、ナフタレントリカルボン酸、アントラセントリカル
ボン酸、ピレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカル
ボン酸、アントラセンテトラカルボン酸、ピレンテトラ
カルボン酸、4−メチルテレフタル酸、4−ヒドロキシ
イソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、2,5−
ジヒドロキシテレフタル酸、2−メトキシイソフタル
酸、4−カルボキシフェノキシアセテトアシッド、2,
5−ジヒドロキシ1,4−ベンゼンジアセティックアシ
ッド、1,2−フェニレンジオキシアセティックアシッ
ド、1,4−フェニレンヂアセティックアシッドなどが
ある。
【0011】これらの単環式化合物または多環式化合物
の中でも、水への溶解性の点より、カルボキシル基を2
個以上有するベンゼンまたはナフタレン化合物が最も好
ましい。その中でも、ベンゼンジカルボン酸、ベンゼン
トリカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ナフタレ
ンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸またはナフ
タレンテトラカルボン酸を使用すると、本発明の効果が
とくに顕著に発現されるため、望ましい。
【0012】本発明において、このようなカルボキシル
基を有する単環式化合物または多環式化合物は、インク
全量に対し0.2〜2重量%の含有量とするのが好まし
く、0.4〜1重量%の含有量とするのがより好まし
い。含有量が0.2重量%未満では、この環状化合物と
顔料とのπ電子相互作用が小さくなり、顔料同士が強い
凝集をひき起こし、再分散性が悪くなる。また、2重量
%を超えると、インク中の電解質が過剰となり、保存安
定性が悪くなりやすい。
【0013】本発明のインクジェットプリンタ用インク
は、溶媒として、イオン交換水、純水などの水を使用
し、この溶媒中に顔料を高分子化合物を用いて均一に微
分散させてなるものである。顔料としては、有機顔料ま
たは分散染料が用いられるが、場合により、これらの顔
料とともにまたはこれらの顔料に代え、無機顔料を使用
してもよい。顔料の量は、インク全量に対し1〜20重
量%の範囲が好ましく、2〜10重量%の範囲がより好
ましい。顔料の含有量が1重量%未満となると、インク
にした場合、色濃度が薄くなりすぎて実用的ではなく、
また20重量%を超えると、粘度が高くなりすぎて印字
できなくなる場合がある。
【0014】有機顔料としては、カーボンブラックや、
アゾ系、アゾメチン系、ポリアゾ系、フタロシアニン
系、キナクリドン系、アンスラキノン系、インジゴ系、
チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンツイミダゾロン
系、イソインドリン系、イソインドリノン系などの顔料
が用いられる。また、分散染料としては、アゾ系、アン
トラキノン系、インジゴ系、フタロシアニン系、カルボ
ニル系、キノンイミン系、メチン系、キノリン系、ニト
ロ系などの染料が用いられる。
【0015】無機顔料には、酸化チタン、亜鉛華、酸化
亜鉛、トリポン、酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化ケ
イ素、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、硫酸
バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カドミ
ウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、クロムバー
ミリオン、モリブデートオレンジ、黄鉛、クロムイエロ
ー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロ
ー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、チタ
ンコバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、群青、
ウルトラマリンブルー、紺青、コバルトブルー、セルリ
アンブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレ
ット、マイカなどがある。
【0016】高分子化合物は、主に顔料の分散を助ける
ために有効な成分であり、アクリル系、ビニル系、ポリ
エステル系、ポリウレタン系、エポキシ系、アミノ系な
どの各種の高分子化合物が、単独でまたは2種以上の混
合系で用いられる。合成やモノマーの入手、極性基の導
入のしやすさから、アクリル系やビニル系の高分子化合
物が好ましい。また、再分散性を向上させるという本発
明の目的からすると、10℃以下のガラス転移温度を有
するものが好ましい。
【0017】10℃以下のガラス転移温度を有する高分
子化合物には、側鎖にアルキル基の炭素数が8〜32の
範囲にあるアルキルエステル構造、とくに好ましくはラ
ウリルエステル構造やステアリルエステル構造を有する
高分子化合物がある。このような高分子化合物は、アル
キル基の炭素数が8〜32の範囲にあるアルキルエステ
ル構造を有するモノマーと酸性基を有するモノマーと必
要によりこれら以外の他のモノマ−とを共重合させるこ
とにより、得られる。
【0018】アルキル基の炭素数が8〜32の範囲にあ
るアルキルエステル構造を有するモノマーとしては、ア
クリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチル
ヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチ
ル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アク
リル酸セチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸ステア
リル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、
メタクリル酸ベヘニルなどのアクリル系モノマーがあ
り、また上記と同様のアルキルエステル構造を有するビ
ニル系モノマーを使用することができる。これらのモノ
マーは、モノマー全体の3〜50重量%、とくに5〜4
0重量%を占めるのが望ましい。これらのモノマーが過
少となると、顔料との相互作用が弱くなり、過多となる
と、疎水性が高くなり、インクの再分散性が悪くなる場
合がある。
【0019】酸性基を有するモノマーは、高分子化合物
の水溶化を助けて再分散性を良好にするためのものであ
り、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアク
リル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル
酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、アクロイル
オキシエチルフタレート、アクロイルオキシサクシネー
トなどのカルボキシル基を有するモノマー、アクリル酸
2−スルホン酸エチル、メタクリル酸2−スルホン酸エ
チル、ブチルアクリルアミドスルホン酸などのスルホン
酸基を有するモノマー、メタクリル酸2−ホスホン酸エ
チル、アクリル酸2−ホスホン酸エチルなどのホスホン
酸基を有するモノマーなどが挙げられる。中でも、カル
ボキシル基を有するモノマーが好ましい。
【0020】他のモノマーには、前記以外のアクリル系
モノマー、スチレン系モノマー、水酸基を有するモノマ
ー、アミノ基を有するモノマー、(メタ)アクリル酸グ
リシジルなどのグリシジル基を有するモノマー、メトキ
シポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの
メトキシ基を有するモノマー、エチレンなどのα−オレ
フィン、イタコン酸ベンジルなどのイタコン酸エステ
ル、マレイン酸ジメチルなどのマレイン酸エステル、フ
マール酸ジメチルなどのフマール酸エステル、シリコー
ン系モノマー、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル
などがある。
【0021】前記以外のアクリル系モノマーには、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロ
ピル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ベンジル、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イ
ソプロピル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸
n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t
−ブチル、メタクリル酸ベンジルなどがある。また、ス
チレン系モノマーには、スチレン、α−メチルスチレ
ン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メ
チルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどがある。さ
らに、水酸基を有するモノマーには、アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、
アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキ
シプロピル、グリセロールモノメタクリレート、ポリエ
チレングリコールモノメタクリレート、プロピレングリ
コールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモ
ノアクリレート、プロピレングリコールモノアクリレー
トなどがある。
【0022】また、アミノ基を有するモノマーとして
は、アクリル酸アミド、アクリル酸アミノエチル、アク
リル酸アミノプロピル、メタクリル酸アミド、メタクリ
ル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピルなどの
第1級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸メチルア
ミノエチル、アクリル酸メチルアミノプロピル、アクリ
ル酸エチルアミノエチル、アクリル酸エチルアミノプロ
ピル、メタクリル酸メチルアミノエチル、メタクリル酸
メチルアミノプロピル、メタクリル酸エチルアミノエチ
ル、メタクリル酸エチアミノプロピル、2−ビニルピリ
ジン、4−ビニルピリジンなどの第2級アミノ基を有す
るモノマー、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリ
ル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノ
プロピル、アクリル酸ジエチルアミノプロピル、メタク
リル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルア
ミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、メ
タクリル酸ジエチルアミノプロピルなどの第3級アミノ
基を有するモノマー、アクリル酸ジメチルアミノエチル
メチルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチ
ルメチルクロライド塩、アクリル酸ジメチルアミノエチ
ルベンジルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノ
エチルベンジルクロライド塩などの第4級アミノ基を有
するモノマーなどがある。
【0023】これらのモノマーの共重合は、塊状重合
法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、レドックス
重合法などの一般的な重合方法を用いて、行うことがで
きる。その中でも、反応操作が簡単なことから、溶液重
合法が好ましい。溶液重合法では、上記のモノマー混合
物を溶解した溶剤に重合触媒を加え、180℃以下、好
ましくは30〜150℃で、30分間〜40時間、好ま
しくは2〜30時間、重合反応させればよい。重合触媒
には、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブ
チルパーオキシド、クメンパーヒドロキシド、アセチル
パーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパ
ーオキシドなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチルニ
トリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、
アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ化合
物などが用いられる。
【0024】また、溶液重合法に用いる溶剤には、ヘキ
サン、ミネラルスピリットなどの脂肪族炭化水素系溶
剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水
素系溶剤、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、メタノー
ル、ブタノールなどのアルコール系溶剤、メチルエチル
ケトン、イソブチルメチルケトンなどのケトン系溶剤、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メ
チルピロリドン、ピリジンなどの非プロトン性極性溶
剤、水などが挙げられる。これらの中でも、インクの溶
媒としてそのまま使用できるという点で、水溶性の溶剤
を使用するのが好ましい。これらの溶剤は、必要により
2種以上を併用してもよい。
【0025】このようにして得られる10℃以下のガラ
ス転移温度を有する高分子化合物は、酸価が130〜4
00mgKOH/gであるのが好ましく、150〜350
mgKOH/gであるのがより好ましい。酸価が130mg
KOH/gより小さくなると、水への溶解性が弱くな
り、インクの再分散性が悪くなり、400mgKOH/g
より大きくなると、顔料への相互作用が弱くなり、分散
安定性が悪くなったり、粘度が高くなり、高速印字に適
応しにくくなる。
【0026】また、このような10℃以下のガラス転移
温度を有する高分子化合物は、重量平均分子量が1,0
00〜20,000であるのが好ましく、とくに1,5
00〜15,000であるのがより好ましく、さらに
2,000〜10,000であるのが最も好ましい。重
量平均分子量が1,000より小さいと、インク皮膜が
べたついて印刷物を重ねた場合に色移りを起こしやす
く、耐水性も悪くなる場合がある。また、重量平均分子
量が20,000より大きくなると、インクの粘度が高
くなり、高速印字に適応しなくなる場合がある。
【0027】このような10℃以下のガラス転移温度を
有する高分子化合物は、インク全量に対し0.1〜3重
量%の使用量とするのが、顔料の分散性および再分散性
のために、望ましい。過少でも過多となっても、インク
特性に好結果が得られない。この高分子化合物を用いる
際は、水溶化のため、酸性基を中和する。このため、水
酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど
の1価のアルカリ金属イオンや、アンモニア、トリエチ
ルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、エタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなど
の有機アミンが、中和剤として用いられる。揮発しにく
い中和剤は、インクジェットプリンタのヘッド目づまり
を防止するうえで、とくに望ましい。
【0028】本発明のインクジェットプリンタインクを
製造するには、顔料を微細に分散する必要があり、その
ために分散機で分散する。分散機としては、一般に使用
される分散機ならいかなるものでもよい。たとえば、ロ
ールミル、ボールミル、遠心ミル、遊星ボールミルなど
の容器駆動媒体ミル、サンドミルなどの高速回転ミルあ
るいは撹拌槽型ミルなどの媒体撹拌ミルが挙げられる。
分散機で用いる分散媒体には、ガラスビーズ、スチール
ビーズ、セラミックビーズなどが用いられる。これらの
中でも、0.01〜1.0mmの粒子径のセラッミックビ
ーズを用いるのがとくに好ましい。また、分散条件とし
ては、とくに限定されないが、遊星ボールミルでは加速
度5〜50G、サンドミルではセラミックビーズの充填
率50〜90%、周速5〜20m/秒で行うのが好まし
い。
【0029】本発明のインクジェットプリンタインク
は、溶媒である水に対し、顔料、分散剤として上記中和
した高分子化合物あるいは一般的な他の分散剤、さらに
前記の環状化合物を適宜の順に混合し、また通常は、水
溶性有機溶剤、pH調整剤、界面活性剤、印字ヘッドの
目詰まり防止剤、インクの消泡剤、殺菌剤、防黴剤、印
字への耐水性付与剤、電荷調整剤などのインクジェット
プリンタ用インクで従来から用いられている各種の添加
剤を混合し、上記の分散機を使用して、所望の粒径とな
るまで分散することにより、製造される。分散液を安定
化させるために、その後さらに40〜100℃で加熱処
理を施してもよい。
【0030】水溶性有機溶剤は、インクの乾燥を抑制し
たり、乾燥後に顔料が溶媒に再分散する再分散性を付与
するため、好ましく用いられる。この水溶性有機溶剤の
使用量は、インク全量に対し、1〜20重量%,とくに
2〜10重量%とするのがよい。水溶性有機溶剤の使用
量が過少では、印字ヘッドの目詰まり防止などの改善効
果が不十分となり、また過多となると、プラスチック、
ガラス、金属板などの非吸収面に印刷する場合の乾燥性
を損ないやすい。本発明では、前記した環状化合物の使
用により、再分散性を改善できるので、水溶性有機溶剤
の使用量は、従来に比べて、かなり低減でき、とくに上
記10重量%以下の少量としても、良好な再分散性が得
られ、上記乾燥性との両立が可能となる。
【0031】このような水溶性有機溶剤としては、水溶
性多価アルコールやその誘導体が好ましく、とくに、エ
チレングリコール、ジエチレングリコールまたはグリセ
リンなどの高沸点を有する溶剤が好ましい。その他の有
機溶剤として、トリエチレングリコール、トリプロピレ
ングリコール、ジメチルスルホキシド、ジアセトンアル
コール、グリセリンモノアリルエーテル、プロピレング
リコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコー
ル、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、γ
−ブチロラクトン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリ
ジノン、スルフォラン、トリメチロールプロパン、ネオ
ペンチルグリコール、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレング
リコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、
トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、β−ジヒドロキシエチルウレ
ア、ウレア、アセトニルアセトン、ペンタエリスリトー
ル、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノプ
ロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテ
ル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチ
レングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリ
コールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエ
ーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、
トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレ
ングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコ
ールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエ
チルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテ
ル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプ
ロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレ
ングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリ
コールモノメチルエーテル、グリセリンモノアセテー
ト、グリセリンジアセテート、グリセリントリアセテー
ト、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト、シクロヘキサノール、1−ブタノール、2、5−ヘ
キサンジオール、エタノール、n−プロパノール、2−
プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、フル
フリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコー
ル、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル,1,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−
ペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール,
1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールエタ
ン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリ
オール、1,2,6−ヘキサントリオール,1,2,5
−ペンタントリオール、3−メチル−1、5−ペンタン
ジオール、3−ヘキセン−2、5−ジオール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコールなども用い
られる。
【0032】pH調整剤としては、有機アミン、水溶性
無機塩または水酸化物の中から選ばれる少なくとも1種
が用いられ、インクのpHを7〜11の範囲に調整する
と、ノズルの目づまり防止に効果的である。有機アミン
には、アンモニア、モノエチルアミン、ジエチルアミ
ン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン、モノメチルアミ
ノエタノール、ジメチルアミノエタノール、モノエチル
アミノエタノール、ジエチルアミノエタノールなどがあ
る。水溶性無機塩には、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウ
ムなどがある。水溶性無機水酸化物には、水酸化リチウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネ
シウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。
【0033】界面活性剤は、印字安定性の向上に好結果
を与えるものである。とくに、サーマルタイプのインク
ジェットプリンタにおいて、ヒータで加熱したときのバ
ブルを安定に発生させるため、好ましく用いられる。添
加量は、インク全量に対し、0.5〜5重量%の範囲に
あるのが、印字安定性上、好ましい。
【0034】上記の印字安定性を考慮すると、界面活性
剤としては、水溶性のイオン性界面活性剤またはHLB
価12以上の非イオン性界面活性剤を用いるのが好まし
い。このような界面活性剤には、アニオン性界面活性
剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両
性界面活性剤などがあり、とくに好ましいのはアニオン
性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤である。
【0035】アニオン性界面活性剤には、ステアリン酸
ソーダせっけん、オレイン酸カリせっけんや半硬化牛脂
脂肪酸ソーダせっけんなどの脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナ
トリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、高級ア
ルコール硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼ
ンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリ
ウムなどのアルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキ
ルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハ
ク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナト
リウムなどのアルキルジフェニルエーテルジスルフォン
酸塩、アルキル燐酸カリウムなどのアルキル燐酸塩、ポ
リオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポ
リオキシエチレンアルキル硫酸トリエタノールアミンな
どのポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウ
ムなどのアルキルアリル硫酸エステル塩、ポリオキシエ
チレンアルキル燐酸エステル、ナフタレンスルフォン酸
ホルマリン縮合物などがある。
【0036】カチオン性界面活性剤としては、ココナッ
トアミンアセテート、ステアリルアミンアセテートなど
のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウム
クロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライ
ドなどの第4級アンモニウム塩、ラウリルベタイン、ス
テアリルベタインなどのアルキルベタイン、ラウリルジ
メチルアミンオキサイドなどのアミンオキサイドなどが
挙げられる。
【0037】HLB価12以上の非イオン性界面活性剤
には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキ
シエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステア
リルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、
ポリオキシエチレン高級アルコールエーテルなどのポリ
オキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルア
リルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、オキシエチ
レン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタ
ン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ
ラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミ
テート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレー
ト、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオ
キシエチレンソルビタントリオレエートなどのポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン
酸ポリオキシエチレンソルビットなどのポリオキシエチ
レンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エ
ステル、アセチレングリコールなどが用いられる。
【0038】消泡剤としては、アルキルベンゼンスルホ
ン酸系、アルキル硫酸エステル系、脂肪酸塩系、4級ア
ンモニウム塩系などの陽イオン性界面活性剤、アルキル
ベタイン、アミンオキサイドなどの両性界面活性剤、ソ
ルビタン酸エステル系などの脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性
剤、メチルポリシロキサン共重合体、シリコーンオイル
などの有機シリコーン系の非イオン性界面活性剤などが
ある。防黴剤、殺菌剤には、安息香酸塩、アルキルアミ
ン塩、4級アンモニウム塩などが用いられる。
【0039】電荷調整剤は、インクに電荷をかけるタイ
プのインクジェットプリンタにおいて、インクの導電率
を所定の値に調整するために用いられるが、プリンタの
機種により必要とされる導電率が異なり、またインク中
の他の成分によってもインクの導電率が異なるため、必
要に応じて、適宜用いられる。このような目的で用いる
電解質には、たとえば、塩化アンモニウム、塩化ナトリ
ウム、硝酸リチウム、硝酸アンモニウム、チオシアン酸
アンモニウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナ
トリウム、亜硝酸アンモニウム、酢酸リチウム、酢酸カ
リウム、酢酸アンモニウムなどの無機塩類、トリエタノ
ールアミン塩酸塩、トリエタノールアミン硝酸塩、トリ
エタノールアミン硫酸塩などがある。なお、前記の環状
化合物は電解質であるため、導電剤としても作用する。
【0040】本発明のインクジェットプリンタ用インク
には、上記した各成分のほか、印字物の耐水性や光沢、
耐擦性などの品質を向上させるため、各種の樹脂を添加
するのが好ましい。樹脂の種類には、水溶性の樹脂や、
平均粒径が10〜300nmの分散型の樹脂がある。具
体的には、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレン−アクリル酸系
樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、アクリルエマルジ
ョン、アクリルウレタン樹脂などの公知の各種樹脂がい
ずれも使用可能である。これら樹脂の添加量としては、
粘度やその他の諸特性から、インク全量に対して、1〜
15重量%の範囲であるのが好ましく、2〜10重量%
の範囲であるのがより好ましい。
【0041】このように構成される本発明のインクジェ
ットプリンタ用インクは、粘度が1〜2mPa・sであ
るのが好ましく、とくに好ましくは1.2〜1.8mP
a・sであるのがよい。粘度を1mPa・sより小さく
すると、揮発性の溶剤を多量に使用する必要があり、人
体や環境の上で好ましくない場合がある。また、粘度が
2mPa・sを超えると、高速印字に適さなくなる場合
がある。
【0042】本発明のインクジェットプリンタ用インク
は、市販のピエゾタイプやサーマルタイプ、連続式など
のインクジェット方式であれば、その機種に限定なく、
すべてのプリンタに適用することができる。その中で
も、連続循環方式のプリンタに対して、とくに本発明の
効果を発揮できるものである。たとえば、特開平8−1
09343号公報および米国特許第4,255,754
号明細書などに記載されているプリンタなどに適用して
も、良好に印字することができる。
【0043】
【実施例】以下、実施例および比較例を用いて、本発明
をさらに詳細に説明する。なお、以下において「部」お
よび「%」は、とくに断りがない限り、「重量部」およ
び「重量%」を意味するものとする。また、以下におい
て、商品名などに関してとくに記載のない試薬は、すべ
て、和光純薬社製の試薬1級を使用したものである。さ
らに、実施例で用いた高分子化合物A〜D(10℃以下
のガラス転移温度を有する高分子化合物)は、下記の合
成例1〜4により、合成したものである。
【0044】合成例1 下記の成分を混合し、モノマー溶液を調製した。 n−ブチルアクリレート 57.9部 ラウリルメタクリレート 20.0部 アクリル酸 22.1部 パーオキシエステル(日本油脂社製の「パーヘキシルO」) 8.0部
【0045】これとは別に、窒素導入管を備え付けた反
応容器に、イソプロピルアルコール100部を計り込
み、窒素シールしながら、78℃まで昇温した。これ
に、上記のモノマー溶液を、2時間かけて滴下し、滴下
終了後、78℃で14時間反応させた。反応後の溶液
は、酸価170mgKOH/g、重量平均分子量8,70
0、ガラス転移温度−35℃の高分子化合物Aを含有す
る、不揮発分51.1%の溶液であった。これを、アン
モニアで115%中和し、イオン交換水とイソプロピル
アルコールを置換して、高分子化合物Aの25%水溶液
を調製した。
【0046】合成例2 下記の成分を混合し、モノマー溶液を調製した。 n−ブチルアクリレート 26.8部 ラウリルメタクリレート 40.0部 アクリル酸 33.2部 アゾビスイソブチルニトリル 8.0部 イソプロピルアルコール 100.0部
【0047】これとは別に、窒素導入管を備え付けた反
応容器に、イソプロピルアルコール100部を計り込
み、窒素シールしながら、還流温度まで昇温した。これ
に、上記のモノマー溶液を、2時間かけて滴下し、滴下
終了後、還流温度で14時間反応させた。反応後の溶液
は、酸価256mgKOH/g、重量平均分子量6,10
0、ガラス転移温度−37℃の高分子化合物Bを含有す
る、不揮発分33.1%の溶液であった。これを、アン
モニアで115%中和し、イオン交換水とイソプロピル
アルコールを置換して、高分子化合物Bの25%水溶液
を調製した。
【0048】合成例3 下記の成分を混合し、モノマー溶液を調製した。 エチルアクリレート 26.8部 2−エチルヘキシルアクリレート 40.0部 アクリル酸 33.2部 アゾビスイソブチルニトリル 8.0部 イソプロピルアルコール 100.0部
【0049】これとは別に、窒素導入管を備え付けた反
応容器に、イソプロピルアルコール100部を計り込
み、窒素シールしながら、還流温度まで昇温した。これ
に、上記のモノマー溶液を、2時間かけて滴下し、滴下
終了後、還流温度で14時間反応させた。反応後の溶液
は、酸価257mgKOH/g、重量平均分子量5,80
0、ガラス転移温度−20℃の高分子化合物Cを含有す
る、不揮発分32.3%の溶液であった。これを、アン
モニアで115%中和し、イオン交換水とイソプロピル
アルコールを置換して、高分子化合物Cの25%水溶液
を調製した。
【0050】合成例4 下記の成分を混合し、モノマー溶液を調製した。 n−ブチルアクリレート 15.8部 ラウリルメタクリレート 40.0部 アクリル酸 44.2部 アゾビスイソブチルニトリル 8.0部 イソプロピルアルコール 100.0部
【0051】これとは別に、窒素導入管を備え付けた反
応容器に、イソプロピルアルコール100部を計り込
み、窒素シールしながら、還流温度まで昇温した。これ
に、上記のモノマー溶液を、2時間かけて滴下し、滴下
終了後、還流温度で14時間反応させた。反応後の溶液
は、酸価342mgKOH/g、重量平均分子量6,70
0、ガラス転移温度−8℃の高分子化合物Dを含有す
る、不揮発分32.7%の溶液であった。これを、アン
モニアで115%中和し、イオン交換水とイソプロピル
アルコールを置換して、高分子化合物Dの25%水溶液
を調製した。
【0052】実施例1 ブラック顔料(デグサ社製の「Printex 8
5」、カーボンブラック)20.0部、市販の分散剤
(ジョンクリル62)14.3部、イオン交換水65.
7部、湿潤剤(日信化学社製の「サーフィノール10
4」)2.5部を、分散機としてシンマルエンタープラ
イゼス社製の「ダイノーミルKDLスペシャル」によ
り、粒径0.3mmのジルコニアビーズを分散媒体とし
て、2時間分散して、顔料分散液(a)を得た。顔料の
分散粒径(コールター社製のレーザードップラー方式の
粒度分布計「N4 PLUS」で測定)が87nmであ
った。
【0053】つぎに、この顔料分散液(a)22.5部
に、グリセリン4.5部、高分子化合物A3.6部、
1,2,4−ベンゼントリカルボン酸0.8部、イオン
交換水68.6部を加えた。これを、再び、上記の分散
機により混合分散し、最終的にメンブランフィルターで
ろ過することにより、インクジェットプリンタ用ブラッ
クインクを調製した。
【0054】比較例1 実施例1で得た顔料分散液(a)10.0部に、グリセ
リン10.0部、マルチトース6.3部、スクロース
0.7部、ジエチレングリコール3.0部、2−ピロリ
ドン2.0部、サーフィノール465(前出)1.0
部、イオン交換水67.0部を加えた。これを、実施例
1と同様の分散機により混合分散し、最終的にメンブラ
ンフィルターでろ過することにより、インクジェットプ
リンタ用ブラックインクを調製した。
【0055】実施例2 ブラック顔料(デグサ社製の「Printex 8
5」、カーボンブラック)20.0部に代えて、銅フタ
ロシアニン顔料(大日本インキ化学工業社製の「Fas
togen Blue TGR」)を同量使用した以外
は、実施例1と同様にして、顔料分散液(b)を得た。
つぎに、顔料分散液(a)22.5部に代えて、上記の
顔料分散液(b)を同量使用し、かつ高分子化合物A
3.6部に代えて、高分子化合物Bを同量使用した以外
は、実施例1と同様にして、インクジェットプリンタ用
シアンインクを調製した。
【0056】実施例3 ブラック顔料(デグサ社製の「Printex 8
5」、カーボンブラック)20.0部に代えて、キナク
リドン顔料(大日本インキ化学工業社製の「Fasto
gen Super Magenta RTS」)を同
量使用した以外は、実施例1と同様にして、顔料分散液
(c)を得た。つぎに、顔料分散液(a)22.5部に
代えて、上記の顔料分散液(c)を同量使用し、かつ高
分子化合物A3.6部に代えて、高分子化合物Cを同量
使用し、さらに1,2,4−ベンゼントリカルボン酸
0.8部に代えて、1,2,4,5−ベンゼンテトラカ
ルボン酸を同量使用した以外は、実施例1と同様にし
て、インクジェットプリンタ用マゼンタインクを調製し
た。
【0057】実施例4 ブラック顔料(デグサ社製の「Printex 8
5」、カーボンブラック)20.0部に代えて、モノア
ゾイエロー顔料(大日本インキ化学工業社製の「Sym
uler Fast Yellow 4190」)を同
量使用した以外は、実施例1と同様にして、顔料分散液
(d)を得た。つぎに、顔料分散液(a)22.5部に
代えて、上記の顔料分散液(d)を同量使用し、かつ高
分子化合物A3.6部に代えて、高分子化合物Dを同量
使用し、さらに1,2,4−ベンゼントリカルボン酸
0.8部に代えて、1,2−ベンゼンジカルボン酸を同
量使用した以外は、実施例1と同様にして、インクジェ
ットプリンタ用イエローインクを調製した。
【0058】実施例5 顔料分散液(a)22.5部に代えて、実施例2で得た
顔料分散液(b)を同量使用し、かつ1,2,4−ベン
ゼントリカルボン酸0.8部に代えて、1,2,4,5
−ベンゼンテトラカルボン酸を同量使用した以外は、実
施例1と同様にして、インクジェットプリンタ用シアン
インクを調製した。
【0059】上記の実施例1〜5および比較例1で得た
各インクジェットプリンタ用インクについて、下記の方
法により、インクの粒径および粘度を測定し、また乾燥
性試験、再分散性試験および非吸収面での乾燥性試験の
評価を行った。これらの結果は、表1に示されるとおり
であった。
【0060】<インクの粒径および粘度の測定>インク
の粒径は、コールター社製のレーザードップラー方式の
粒度分布計「N4 PLUS」で測定した。また、粘度
は、東機産業社製の「R型粘度計」で測定(回転数10
0rpm)した。
【0061】<乾燥性試験>乾燥性の評価は、インクを
24時間室温で放置したのち、スパチュラで軽く押し
て、インクがスパチュラに付着するかを確認した。スパ
チュラにインクが付着しなかった場合を○、付着した場
合を×、とした。
【0062】<再分散性試験>再分散性の評価は、イン
クをスライドガラス上に滴下したのち、60℃のオーブ
ンで30分乾燥させたのち,イオン交換水中に浸漬させ
てインクの再分散性を確認した。ゆっくりと再分散して
いった場合を○、再分散しないで塊が確認された場合を
×、とした。
【0063】<非吸収面での乾燥性試験>非吸収面での
乾燥性の評価は、エプソン社製の「インクジェットプリ
ンタMJ510C」を用いて、ブラスチックフィルム上
に印字し、指で印刷面を擦って剥がれるかを確認した。
剥がれなかった場合を○、剥がれた場合を×、とした。
【0064】
【0065】上記の表1の結果から明らかなように、実
施例1〜5の各インクジェットプリンタ用インクは、2
4時間室温放置したのちの乾燥性が非常に良好で、再分
散性も良好であり、さらにエプソン社製のプリンタを用
いてプラスチックフィルムに印字した場合の乾燥性も良
く、指で接触しても剥がれなかった。これに対して、環
状化合物としてカルボキシル基を有する単環式化合物ま
たは多環式化合物を含ませなかった比較例1のインクジ
ェットプリンタ用インクは、再分散性は良かったが、2
4時間室温放置したのちの乾燥性が悪く、さらにエプソ
ン社製のプリンタを用いてプラスチックフィルムに印字
した場合の乾燥性を満足できず、指で接触すると簡単に
剥がれた。
【0066】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、イン
ク中に環状化合物としてカルボキシル基を有する単環式
化合物または多環式化合物を含ませたことにより、従来
では達成困難であった、非吸収面での乾燥性と再分散性
とを両立しうるインクジェットプリンタ用インクを提供
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西本 智久 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA13 FA03 FA04 FA05 FB01 FB04 FC02 2H086 BA52 BA53 BA55 BA59 BA60 BA61 BA62 4J039 AD03 AD09 AD10 AD12 AE04 AE05 AE06 BC09 BC13 BC28 BC75 BE01 BE08 BE12 BE22 CA06 EA41 EA42 GA24

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顔料、高分子化合物および水とともに、
    環状化合物として、カルボキシル基を有する単環式化合
    物または多環式化合物を含有することを特徴とするイン
    クジェットプリンタ用インク。
  2. 【請求項2】 顔料は、有機顔料または分散染料である
    請求項1に記載のインクジェットプリンタ用インク。
  3. 【請求項3】 環状化合物は、カルボキシル基を2個以
    上有する単環式化合物または多環式化合物である請求項
    1または2に記載のインクジェットプリンタ用インク。
  4. 【請求項4】 カルボキシル基を2個以上有する単環式
    化合物または多環式化合物は、ベンゼンジカルボン酸、
    ベンゼントリカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸、
    ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸ま
    たはナフタレンテトラカルボン酸である請求項3に記載
    のインクジェットプリンタ用インク。
  5. 【請求項5】 環状化合物は、インク全量に対して0.
    2〜2重量%である請求項1〜4のいずれかに記載のイ
    ンクジェットプリンタ用インク。
  6. 【請求項6】 高分子化合物は、10℃以下のガラス転
    移温度を有する請求項1〜5のいずれかに記載のインク
    ジェットプリンタ用インク。
  7. 【請求項7】 10℃以下のガラス転移温度を有する高
    分子化合物は、側鎖にアルキル基の炭素数が8〜32の
    範囲にあるアルキルエステル構造を有する請求項6に記
    載のインクジェットプリンタ用インク。
  8. 【請求項8】 10℃以下のガラス転移温度を有する高
    分子化合物は、酸価が130〜400mgKOH/gであ
    る請求項6または7に記載のインクジェットプリンタ用
    インク。
  9. 【請求項9】 10℃以下のガラス転移温度を有する高
    分子化合物は、重量平均分子量が1,000〜20,0
    00である請求項6〜8のいずれかに記載のインクジェ
    ットプリンタ用インク。
  10. 【請求項10】 10℃以下のガラス転移温度を有する
    高分子化合物は、インク全量に対し0.1〜3重量%で
    ある請求項6〜9のいずれかに記載のインクジェットプ
    リンタ用インク。
  11. 【請求項11】 粘度が1〜2mPa・sである請求項
    1〜10のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用
    インク。
  12. 【請求項12】 溶媒として水溶性有機溶剤を含有し、
    この水溶性有機溶剤がインク全量に対し1〜20重量%
    である請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェッ
    トプリンタ用インク。
  13. 【請求項13】 インクジェットプリンタが連続循環方
    式である請求項1〜12のいずれかに記載のインクジェ
    ットプリンタ用インク。
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