JP2008094939A - 分散樹脂及びインクジェット用顔料インク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粒子を溶液中で分散するために用いる分散樹脂であって、その構造中に、環状構造を形成する重合体である環状構造セグメントを有し、且つ、該環状構造セグメントは、少なくとも疎水性官能基を有する単量体を重合することによって得られる分散樹脂、及び該分散樹脂を用いてなるインクジェット用顔料インク。
【選択図】なし
Description
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、
n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、
2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環式化合物の(メタ)アクリレート等を使用することができる。疎水性官能基を有する単量体は、微粒子表面の化学的な性質に応じて適切に選択するのが好ましい。しかし、多くの有機顔料に対しては、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族官能基を有する単量体が好ましい。
ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、モルホリルアクリルアミド等のヘテロ環を有する単量体;
(メタ)アクリルアミドやその誘導体等;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート;
NKエステルM90−G(製品名 新中村化学製);
ブレンマー50POEP800B(製品名 日本油脂製)等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル;
2−フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが付加された(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリルアミドやその誘導体等;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート;
NKエステルM90−G(製品名 新中村化学製);
ブレンマー50POEP800B(製品名 日本油脂製)等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル;
2−フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが付加された(メタ)アクリレート等を使用できる。
RAVEN1255(コロンビア製);
REGAL330R、400R、660R、MOGUL L(以上、キャボット製);
Nipex 160IQ、Nipex170IQ、Nipex180IQ、Nipex75、Printex 95、Printex 90、Printex 35、Printex U(以上、デグサ製)等がある。
キナクリドン固溶体、C.I.Pigment Violet 19等が挙げられる。又、シアンの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、2、3、15:3、15:4、16、22、C.I.Vat Blue 4、6等が挙げられる。更に、上記以外の色の顔料を用いることもできるが、その場合も含め、何れの顔料も各色インクおいて単独でも、2つ以上の顔料を混合してもよい。勿論、本発明は、これらに限られるものではない。又、以上の他、自己分散型顔料等、新たに製造された顔料も使用することが可能である。
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;
アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;
エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2乃至6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;
グリセリン;
エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;
N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等
が挙げられる。前記の水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。
本実施例では、疎水性官能基を有する単量体が共重合してなる環状構造を有するセグメント(以下、環状構造セグメント)が、主鎖の疎水性セグメントから分岐してなるグラフト共重合体で構成された分散樹脂の例について述べる。
(環状構造セグメントB1の合成)
疎水性官能基を有する単量体であるスチレンと、下記の構造を有するカレンズMOI−BM(商品名:昭和電工製)を共重合して、環状構造セグメントB1を合成した。カレンズMOI−BMは、熱処理によって脱ブロック化して、下記に示したように、活性なイソシアネート基を再生する構造を有する化合物である。環状構造セグメントB1の合成は、J.Polym.Sci.,1999,37,2027に記された方法を用いて行った。スチレンとカレンズMOI−BMの共重合比はmol仕込み比で、20:1とした。スチレンとカレンズMOI−BMが共重合されてなる環状構造セグメントは、数平均分子量が2,310であり、共重合体の重合度は21である。
親水性官能基を有する単量体としてアクリル酸を30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、そして、ラジカル重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル1部を用いた。これらの単量体と、重合開始剤の混合物を1−メトキシ−2−プロパノール中に滴下してラジカル重合を行った。このとき、重合温度を110℃とし、N2還流下で滴下時間は3時間とした。滴下が終了した後、更に3時間110℃に保ち重合反応を行った。その後、室温まで冷却し、ヘキサン1,000部中に反応物を展開して未反応物を沈殿精製により取り除き、減圧乾燥して主鎖共重合体C1を得た。得られた主鎖共重合体C1の数平均分子量は4,200であった。
上記にて合成した環状構造セグメントB1を60部と、親水性官能基を有する主鎖共重合体C1を40部、ジオキサン800部中に溶解し、150℃に加熱して環状構造セグメントB1のブロックイソシアネート基を脱ブロック化し、主鎖共重合体C1のヒドロキシル基と共有結合させた。その後、ヘキサン1,000部中に反応物を展開して、未反応物を沈殿精製により取り除き、減圧乾燥して分散樹脂A1とした。このようにして合成した分散樹脂A1の数平均分子量は10,000であった。又、酸価は180mgKOH/gであった。
(酸化チタン分散液t1の作製)
・分散樹脂A1 15部
・水酸化カリウム 3部
・メタノール 10部
・イオン交換水 57部
・粉砕メディア:ジルコニアビーズ、0.05mm径(ニッカトー製)
・粉砕メディアの充填率:70%(体積比)
・粉砕時間:1時間
[80度保存前後の平均粒子径測定]
酸化チタン分散液t1の保存安定性は、下記の方法及び基準で評価した。上記で得た酸化チタン分散液t1を密閉容器に入れ、80℃の恒温槽に24時間放置した。この試験前後での平均粒子径を粒度分布測定装置(大塚電子製 FPAR−1000)により、それぞれ測定した。そして、それぞれの測定値である平均粒子径PD1(試験前)と、PD2(試験後)との比、RPD=PD2/PD1を求め、得られたRPDを用いて下記の基準で評価した。評価結果は表1に示した。
◎:0.9<RPD≦1.2
○:0.8<RPD≦0.9、1.2<RPD≦1.4
△:0.7<RPD≦0.8、1.4<RPD≦1.8
×:RPD≦0.7、1.8<RPD
本実施例では、環状構造セグメントのみからなる分散樹脂の例について述べる。
Macromolecules,2003,36,926に記載されている環状構造ポリマーの作製方法に従い、環状構造を有する分散樹脂A2を合成した。原料としてアクリル酸メチル10mmolと、スチレン20mmolを用いた。得られたセグメントは、アクリル酸メチルとスチレンの共重合体よりなる環状構造が形成されたものであるが、これをKOH水溶液によりメチル残基を加水分解することで、アクリル酸とスチレンの共重合体よりなる環状構造セグメントA2を得た。その数平均分子量は21,680であり、アクリル酸の重合度は70、スチレンの重合度は160であった。分散樹脂A2に占めるスチレンの質量比は76質量%である。又、分散樹脂A2の酸価は203mgKOH/gである。
(酸化チタン分散液t2の作製と評価結果)
実施例1での分散樹脂A1を、上記で得た分散樹脂A2に代えて、実施例1の方法に従って酸化チタン分散液t2を作製した。その平均粒子径は80nmであった。酸化チタン分散液t2について実施例1と同様に評価し、得られた結果を下記表2に示した。
<分散樹脂A3の作製>
本実施例では、環状構造セグメントが、主鎖の親水性セグメントから分岐してなるグラフト共重合体で構成された分散樹脂の例について述べる。
実施例2の分散樹脂A2を合成した方法と同様の方法を用い、原料としてアクリル酸メチル15mmolと、スチレン20mmolとを用いて、環状構造セグメントB3の合成した。得られたセグメントは、アクリル酸メチルとスチレンの共重合体よりなる環状構造が形成されたものであるが、これをKOH水溶液によりメチル残基を加水分解することで、アクリル酸とスチレンの共重合体よりなる環状構造セグメントB3を得た。環状構造セグメントB3の数平均分子量は5,000であり、アクリル酸の重合度は25、スチレンの重合度は30であった。よってこの環状構造セグメントB7の重合度は55である。環状構造セグメントB3に占めるスチレンの質量比は63質量%であった。
疎水性官能基を有する単量体としてアクリル酸メチルを70部、n−ブチルメタクリレートを10部、グリシジルメタクリレートを5部用いた。ラジカル重合開始剤には、アゾビスイソブチロニトリルを4部用いた。上記した単量体原料と、重合開始剤との混合物を、1−メトキシ−2−プロパノール中に滴下してラジカル重合を行った。このときの重合条件は、重合温度を110℃とし、N2還流下で滴下時間は3時間とした。滴下終了後、更に3時間110℃に保ち、重合反応を行った。その後、室温まで冷却し、ヘキサン1,000部中に反応物を展開して未反応物を沈殿精製により取り除き、減圧乾燥して主鎖共重合体C3を得た。得られた主鎖共重合体C3の数平均分子量は5,800であった。
上記のようにして合成した環状構造セグメントB3を50部と、主鎖共重合体C3を50部を用いて、下記のようにして分散樹脂A3を合成した。これらの共重合体をジオキサン800部中に溶解し、N,N,N−トリエチルアミンを少量加え、70℃に加熱して環状構造セグメントB3のカルボキシル基と主鎖共重合体C3中のグリシジル基との間で結合を行った。その後、KOH水溶液中で主鎖共重合体中のアクリル酸メチルのメチル残基を加水分解し、主鎖共重合体がアクリル酸を含む親水性セグメントとした。その後、ヘキサン1,000部中に反応物を展開して、未反応物を沈殿精製により取り除き、減圧乾燥して分散樹脂A3とした。合成された分散樹脂A3は複数の環状構造セグメントB3を有する共重合体が主鎖共重合体C3から分岐した構造であり、数平均分子量が20,000である。又、分散樹脂A3の酸価は220mgKOH/gである。
(酸化チタン分散液t3の作製と評価結果)
実施例1での分散樹脂A1を、上記で得た分散樹脂A3に代えて、実施例1の方法に従って酸化チタン分散液t3を作製した。その平均粒子径は80nmであった。酸化チタン分散液t3について実施例1と同様に評価し、得られた結果を下記表3に示した。
本実施例では、単量体の組成が異なる2種類の環状構造セグメントが、それぞれ主鎖の疎水性セグメントから分岐してなるグラフト共重合体で構成された分散樹脂の例について述べる。
(環状構造セグメントB4の合成)
実施例2の分散樹脂A2を合成した方法と同様の方法を用い、原料としてアクリル酸メチル18mmolと、n−ブチルアクリレート15mmolとを用いて環状構造セグメントB4を合成した。得られたセグメントは、アクリル酸メチルとn−ブチルアクリレートの共重合体よりなる環状構造が形成されたものであるが、これをKOH水溶液によりメチル残基を加水分解することで、アクリル酸とn−ブチルアクリレートの共重合体よりなる環状構造セグメントB4を得た。その数平均分子量は3,300であり、アクリル酸の重合度は20、n−ブチルアクリレートの重合度は15であった。この環状構造セグメントB3に占めるn−ブチルアクリレートの質量比は57質量%である。
上記で得た環状構造セグメントB4と、実施例3で用いた環状構造セグメントB3と主鎖共重合体C3とを用い、実施例3の分散樹脂A3を合成した方法と同様の方法で、分散樹脂A4を合成した。その際、環状構造セグメントB3を25部、環状構造セグメントB4を25部、主鎖共重合体C3を50部用いた。環状構造セグメントB4とB3とは単量体の組成が異なる。合成された分散樹脂A4は、2種類の環状構造を有する共重合体セグメントB3とB4とが主鎖共重合体C3から分岐した構造であり、その数平均分子量が18,000であった。又、この分散樹脂A4の酸価は210mgKOH/gであった。
(酸化チタン分散液t4の作製と評価結果)
実施例1での分散樹脂A1を、上記で得た分散樹脂A4に代えて、実施例1の方法に従って酸化チタン分散液t4を作製した。その平均粒子径は80nmであった。酸化チタン分散液t4について実施例1と同様に評価し、得られた結果を下記表4に示した。
本実施例では、単量体組成が同一で、その重合度が異なる2種類の環状構造セグメントが、それぞれ主鎖の疎水性セグメントから分岐してなるグラフト共重合体で構成された分散樹脂の例について述べる。
(環状構造セグメントB5の合成)
実施例2の分散樹脂A2を合成した方法と同様の方法を用い、原料としてアクリル酸メチル36mmolとn−ブチルアクリレート30mmolを用いた。得られたセグメントは、アクリル酸メチルとn−ブチルアクリレートの共重合体よりなる環状構造が形成されたものであるが、これをKOH水溶液によりメチル残基を加水分解することで、アクリル酸とn−ブチルアクリレートの共重合体よりなる環状構造セグメントB5を得た。その数平均分子量は6,600であり、アクリル酸の重合度は40、n−ブチルアクリレートの重合度は30であった。又、環状構造セグメントB5に占めるn−ブチルアクリレートの質量比は57質量%である。
上記で得た環状構造セグメントB5と、実施例4で使用した環状構造セグメントB4と、実施例3で使用した主鎖共重合体C3を用い、実施例3の分散樹脂A3を合成した方法と同様の方法を用いて分散樹脂A5を合成した。環状構造セグメントB4と環状構造セグメントB5とは、組成は同じであるが重合度の異なる環状構造セグメントである。分散樹脂A5の合成には、環状構造セグメントB5を25部と、環状構造セグメントB4を25部と、50部の主鎖共重合体C3とを用いた。合成された分散樹脂A5は、組成が同じで重合度の異なる2種類の環状構造を有する共重合体が、主鎖共重合体C3から分岐した構造であり、その数平均分子量が21,000であった。又、分散樹脂A5の酸価は210mgKOH/gであった。
(酸化チタン分散液t5の作製と評価結果)
実施例1での分散樹脂A1を上記で得た分散樹脂A5に代えて、実施例1の方法に従って酸化チタン分散液t5を作製した。その平均粒子径は80nmであった。酸化チタン分散液t5について実施例1と同様に評価し、得られた結果を下記表5に示した。
本実施例では、2種類の環状構造セグメントで構成された分散樹脂の例について述べる。2種類のセグメントは、単量体の組成が異なり、その分子量が同じである共重合体からなる。
(環状構造セグメントB6の合成)
実施例2の分散樹脂A2の合成と同様の方法を用い、原料としてアクリル酸メチル18mmolとn−ブチルアクリレート20mmolを用いた。得られたセグメントは、アクリル酸メチルとn−ブチルアクリレートの共重合体よりなる環状構造が形成されたものであるが、これをKOH水溶液によりメチル残基を加水分解することで、アクリル酸とn−ブチルアクリレートの共重合体よりなる環状構造セグメントB6を得た。その数平均分子量は5,000であり、アクリル酸の重合度は20、n−ブチルアクリレートの重合度は28であった。又、環状構造セグメントB6に占めるn−ブチルアクリレートの質量比は72質量%である。
異なる分子量の環状構造セグメントとして、実施例3で使用した環状構造セグメントB3と、上記で合成した環状構造セグメントB6とを用いた。環状構造セグメントB3と環状構造セグメントB6とは、単量体の組成は異なるが、セグメントの分子量が同じである共重合体からなる。分散樹脂A6の合成には、環状構造セグメントB3を10部、環状構造セグメントB6を10部、ヘキサメチレンジアミンを3部、N,N,N−トリエチルアミンを1部、2−クロロピリジウムアイオダイドを1部用いた。そして、これらをジクロロメタン1,000部中に溶解したものを10時間撹拌することで合成を行った。合成された分散樹脂A6は、組成が異なるが数平均分子量が5,000で同じ2種類の環状構造セグメントB3と環状構造セグメントB6とが、ヘキサメチレンジアミンにより結合された構造であり、その数平均分子量は12,000であった。又、分散樹脂A6の酸価は180mgKOH/gである。
(酸化チタン分散液t6の作製と評価結果)
実施例1での分散樹脂A1を、上記で得た分散樹脂A6に代えて、実施例1の方法に従って酸化チタン分散液t6を作製した。その平均粒子径は85nmであった。酸化チタン分散液t6について実施例1と同様に評価し、得られた結果を下記表6に示した。
本実施例では、2種類の環状構造セグメントで構成された分散樹脂の例について述べる。2種類のセグメントは、単量体の組成が異なり、その重合度が同じである共重合体からなる。
(環状構造セグメントB7の合成)
実施例2の分散樹脂A2の合成と同様の方法を用い、原料としてアクリル酸メチル15mmolとn−ブチルアクリレート20mmolを用いた。得られたセグメントは、アクリル酸メチルとn−ブチルアクリレートの共重合体よりなる環状構造が形成されたものであるが、これをKOH水溶液によりメチル残基を加水分解することで、アクリル酸とn−ブチルアクリレートの共重合体よりなる環状構造セグメントB7を得た。その数平均分子量は5,400であり、アクリル酸の重合度は30、n−ブチルアクリレートの重合度は25であった。よってこの環状構造セグメントB7の重合度は55であり、環状構造セグメントB3の重合度と同じである。又、環状構造セグメントB7に占めるn−ブチルアクリレートの質量比は72質量%である。
異なる分子量の環状構造セグメントとして、実施例3で使用した環状構造セグメントB3と、上記で合成した環状構造セグメントB7とを用いた。環状構造セグメントB3と環状構造セグメントB7とは、単量体の組成は異なるが、セグメントの重合度が同じである共重合体からなる。分散樹脂A7の合成には、環状構造セグメントB3を10部、環状構造セグメントB7を10部、ヘキサメチレンジアミンを3部、N,N,N−トリエチルアミンを1部、2−クロロピリジウムアイオダイドを1部用いた。そして、これらをジクロロメタン1,000部中に溶解したものを10時間撹拌することで合成を行った。合成された分散樹脂A7は、組成が異なるが、重合度が55で同じ2種類の環状構造セグメントB3と環状構造セグメントB7とが、ヘキサメチレンジアミンにより結合された構造であり、その数平均分子量は12,000であった。又、分散樹脂A7の酸価は180mgKOH/gである。
(酸化チタン分散液t7の作製と評価結果)
実施例1での分散樹脂A1を、上記で得た分散樹脂A7に代えて、実施例1の方法に従って酸化チタン分散液t7を作製した。その平均粒子径は85nmであった。酸化チタン分散液t7について実施例1と同様に評価し、得られた結果を下記表7に示した。
本実施例では、環状構造セグメントを有する分散樹脂A1を、カーボンブラックを分散するための分散樹脂として用いた場合の例について述べる。
実施例1での分散樹脂A1を用い、実施例1の酸化チタン分散液t1の作製において、酸化チタンをカーボンブラックMCF88(三菱化学製)に代えた以外は同様の方法に従って、顔料分散液k1を作製した。その平均粒子径は、65nmであった。このカーボンブラック分散液k1について、実施例1で行ったと同様の方法で評価し、得られた結果を下記表8に示した。
本実施例は、実施例2と同様に1種類の環状構造セグメントのみからなる分散樹脂の例について述べるが、実施例2とは、環状構造セグメントを構成する単量体の重合度が異なる。
実施例2の環状構造セグメントB2の合成と同様の方法を用い、原料としてアクリル酸メチル10mmolとスチレン30mmolとを用いた。得られたセグメントは、アクリル酸メチルとスチレンの共重合体よりなる環状構造が形成されたものであるが、これをKOH水溶液によりメチル残基を加水分解することで、アクリル酸とスチレンの共重合体よりなる分散樹脂A8を得た。合成された分散樹脂A8は環状構造を有する共重合体であり、アクリル酸とスチレンが共重合されてなるものであった。その数平均分子量は22,000であり、アクリル酸の重合度は60、スチレンの重合度は170であった。分散樹脂A8に占めるスチレンの質量比は80質量%であり、分散樹脂A8の酸価は100mgKOH/gであった。
(酸化チタン分散液t8の作製と評価結果)
実施例1での分散樹脂A1を、上記で得た分散樹脂A8に代えて、実施例1の方法に従って酸化チタン分散液t8を作製した。その平均粒子径は85nmであった。酸化チタン分散液t8について実施例1と同様に評価し、得られた結果を下記表9に示した。
本実施例は、環状構造セグメントを有する樹脂を含むインクジェット用顔料インクの例について述べる。尚、本実施例は、環状構造セグメントを有する樹脂を分散剤として用いずに、インク成分の1つとした例である。
<顔料分散液k2の作製>
・ジョンクリル678(ジョンソンポリマー製) 5部
・水酸化カリウム 1部
・イソプロピルアルコール 10部
・イオン交換水 69部
先ず、上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させる。これに、カーボンブラック(MCF88、三菱化学製)を15部加え、その後は、実施例1に記載した酸化チタン分散液t1の作製方法と同様にしてカーボンブラックが分散されてなる顔料分散液k2を作製した。
上記で調製した顔料分散液k2を使用し、実施例1で使用した分散樹脂A1を含む下記の組成比を有する成分を混合し、ブラックインクK2を調製した。尚、得られたブラックインクK2は分散樹脂A1を含むが、ブラックインクK2においては、特に分散樹脂A1を含有させた状態で分散処理を施しているわけではない。従って、分散樹脂A1がカーボンブラックの分散剤として必ずしも機能しているわけではない。
・分散樹脂A1 3部
・グリセリン 10部
・エチレングリコール 5部
・N−メチルピロリドン 5部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 1部
・イオン交換水 43部
<吐出安定性の評価>
[試験A.吐出安定性の試験]
ブラックインクK2の吐出安定性は、下記の方法及び基準で評価した。ブラックインクK2を用いて、インクジェットプリンタPIXUS850i(キヤノン製)で、インクジェット写真用紙であるPR−101(キヤノン製)上に画像形成を行った。画像形成は、2,000枚連続記録を行った。そして、この連続記録で作成した印字物の中から、試験2,000枚目のサンプルを取り出して、反射濃度計RD−19I(GretagMacbeth製)を用いて、該サンプルについての光学濃度測定を行った。この2,000枚目のサンプルについて測定して得られた光学濃度をOD3とし、この吐出耐久性試験前に形成した印字物をサンプルとして、上記と同様の方法で測定した光学濃度をOD1とし、これらの値から、下記式で示されるROD2を求めた。そして、得られたROD2の値を用いて下記の基準で評価した。評価結果は、表10に示した。
ROD2=OD3/OD1
◎:ROD2>0.9
○:0.8<ROD2≦0.9
△:0.6<ROD2≦0.8
×:ROD2≦0.6
[80℃での保存試験前後の平均粒子径の測定]
インクの保存安定性は、下記の方法及び基準で評価した。ブラックインクK2を密閉容器に入れ、80℃の恒温槽に24時間放置した。この試験前後での平均粒子径を粒度分布測定装置(大塚電子製、FPAR−1000)により測定した。そして、得られた平均粒子径PD1(試験前)、PD2(試験後)の比、RPD=PD2/PD1を求め、得られた値を用いて下記の基準で評価した。評価結果は、表10に示した。
◎:0.9<RPD≦1.2
○:0.8<RPD≦0.9、1.2<RPD≦1.4
△:0.7<RPD≦0.8、1.4<RPD≦1.8
×:RPD≦0.7、1.8<RPD
本実施例では、実施例1で使用した分散樹脂A1によって顔料を分散してなるインクジェット用顔料インクの例について述べる。
<顔料分散液k3の作製>
・分散樹脂A1 15部
・水酸化カリウム 3部
・イソプロピルアルコール 10部
・イオン交換水 57部
上記で得た顔料分散液k3を使用し、下記の組成比を有する成分を混合し、ブラックインクK3とした。
・顔料分散液k3(顔料濃度として5部) 33部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 5部
・N−メチルピロリドン 5部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 1部
・イオン交換水 46部
実施例9で行ったと同様の方法及び基準でブラックインクK3を評価した。得られた結果を下記表11に示した。
本比較例では、環状構造セグメントを有さない従来の分散樹脂を用いて得られた分散液について述べる。
分散樹脂としてジョンクリル678(ジョンソンポリマー製)を用い、実施例1に従い、下記組成にて酸化チタン分散液t7を作製した。
・ジョンクリル678 5部
・水酸化カリウム 1部
・イソプロピルアルコール 10部
・イオン交換水 69部
・酸化チタン粒子(MT−100SA、テイカ製)15部
Claims (7)
- 粒子を溶液中に分散するための分散樹脂であって、構造中に、環状構造を形成する重合体である環状構造セグメントを有し、且つ、該環状構造セグメントは、少なくとも疎水性官能基を有する単量体を重合することによって得られることを特徴とする分散樹脂。
- 前記環状構造セグメントを複数有する請求項1に記載の分散樹脂。
- 前記複数の環状構造セグメントが、何れも共通の単量体を重合することによって得られる請求項2に記載の分散樹脂。
- 前記複数の環状構造セグメントが、互いに異なる単量体を重合することによって得られる請求項2に記載の分散樹脂。
- 前記疎水性官能基を有する単量体が、前記環状構造セグメントを構成するための単量体の50質量%以上である請求項1乃至4の何れか1項に記載の分散樹脂。
- 前記粒子が、顔料粒子である請求項1乃至5の何れか1項に記載の分散樹脂。
- 顔料、樹脂、水及び水溶性有機溶剤を含むインクジェット用顔料インクにおいて、該樹脂が、構造中に、環状構造を形成する重合体である環状構造セグメントを有し、且つ、該環状構造セグメントが、少なくとも疎水性官能基を有する単量体を重合することによって得られることを特徴とするインクジェット用顔料インク。
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