JP4602573B2 - インクジェット記録用インク - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用インクに関する。さらに詳細には、この発明は、アルカノールアミンで中和された親水性ポリマーを含有することを特徴とし、印字品位、耐擦性、速乾性、吐出安定性等に優れるインクジェット記録用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、インク組成物の小滴を飛翔させ、記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方式である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度、高品位な画像を、高速で印刷できるという特徴を有する。
通常、インクジェット記録方式に用いられるインクとしては、臭気、安全性等の面から水性インクが主流を占めており、各種の水溶性染料又は顔料を色素として水又は水溶性有機溶剤に混合させた溶液からなるインクが使用されている。
インクジェット記録用インクに要求される特性としては、印字品位、速乾性、耐水性、耐擦性、保存安定性、吐出安定性、ヘッド等の部材を侵さないこと等が挙げられる。
しかし、これらの特性は互いに相反する関係にあることが多いため、各特性を同時にバランスよく満足させることは相当困難である。
例えば、乾燥性を向上させるために記録媒体へのインクの浸透を促進する浸透剤を添加すると、インクは滲みやすいものとなり、印字品位、光学濃度に悪影響が及ぼされる。
【0003】
また、印刷物の耐擦性を向上させる目的では、バインダーとして、アクリル酸-スチレン-α-メチルスチレンの三元共重合体(特開平8-253716号公報)、又はジイソブチレン-マレイン酸共重合体(特開平8-41394)等を少量インクに添加することが検討されている。しかし、これらの樹脂は、印刷物の耐擦性を向上する一方、インクの耐水性を低下させたり、また水や高揮発成分がインク吐出口から蒸発した結果、樹脂濃度を上昇させて、高粘度化、さらには被膜化し、ノズル目詰まりを生じ易いという問題がある。
他方、水溶性樹脂の代わりに、アクリル-ウレタン共重合体(特開平10-60353号公報)や樹脂エマルション(特開平4-18462号公報)等の疎水性樹脂分散体を含むインクはノズル詰まりをやや改善するが、色素として顔料を用いた場合に分散安定性や保存安定性を悪化するという問題がある。
【0004】
さらに、本発明者らの知見によれば、耐擦性のみならず耐水性を付与するバインダーとして用いられるアクリル酸系親水性ポリマーと、そのカルボキシル基を中和する塩基とを含むインクでは、塩基がリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物である際に、その高いイオン強度からポリマーの溶解性が十分に高まる反面、印刷時の噴射によりインクが記録媒体上に残留し、耐水性に劣るものとなる。また、アンモニアや脂肪族アミン等を塩基として用いると、それらの蒸気圧が高すぎるために、インクカートリッジにおいて外気と接するオリフィスからインクが容易に揮発し、固化することによって目詰まりが頻発する。
このように、従来報告されている水性インクの場合、インクジェット記録に必要な特性を全て満足するには至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、印字品位、耐擦性、速乾性、吐出安定性に優れるインクジェット記録用インクを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、色素、水溶性有機溶剤、1重量%水溶液の粘度が常温で0.1〜5mPa・sであり、分子内に1又は2個のカルボキシル基を有する親水性ポリマー及び水を含むインクにおいて、前記親水性ポリマーがアルカノールアミンで中和されていることを特徴とするインクジェット記録用インクが提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
分子内に1又は2個のカルボキシル基を有する親水性ポリマーは、インクの目詰まり及び安定な吐出を考慮して、1重量%水溶液において0.1〜5mPa・s(常温、具体的には25〜30℃条件下)、好ましくは0.5〜3 mPa・sの粘度である。
また、粘度が上記範囲内であるポリマーにおいて、重量平均分子量MWが3,000〜15,000、好ましくは5,000〜12,000であり、かつ重量平均分子量MWと数平均分子量MNの比率(分散度MW/MN)が1〜2.5、さらに1.2〜2.0であることが好ましい。
粘度の測定装置としては回転式、振動式、粘弾性測定装置等が挙げられるが、B形粘度計やロトビスコ及びビスコテスター(ハーケ社)等の回転式粘度計又は振動式粘度計が好適に用いられる。また、重量平均分子量MW及び数平均分子量MNはGPC(ゲルろ過クロマトグラフィ)等によって測定される。
【0008】
親水性ポリマーが上記の条件を満たすことによって、インクが取り扱い易く、インク吐出が安定であるのみならず、印刷物の堅牢性が好適に保持される。また、記録媒体が透明フィルムや表面がポリマー処理されたレジンコート紙等の定着性の悪い媒体であっても、色素をこれら媒体に浸透、定着させることができ、特に、一般的にインクジェット記録に用いられるアニオン性顔料において、ポリマーのアニオン電荷が強いために顔料の電気的反発力と親水性ポリマーの電気二重層による反発作用を維持し、顔料の分散安定性を増大させる。
さらに、親水性ポリマーは、インクの固化後の再溶解性及び印刷物の速乾性、堅牢性の観点から、50〜100℃、例えば60〜90℃の範囲のガラス転移温度Tgを有することが好ましい。
【0009】
したがって、この明細書において「親水性」とは、常温水に対する溶解度が20〜30%以上であることを意味し、本発明の親水性ポリマーの構成要素は、分子内に1つ又は2つのカルボキシル基を持つモノマーユニット、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸及びそれらのモノエステルよりなる群から選ばれる。
これらのモノマーは単独でホモポリマーとして使用されても、複数の前記モノマーから成るコポリマーとして使用されてもよい。
さらには、前記モノマーの他に、顔料との親和性が高い疎水性モノマー、例えばスチレン、α-メチルスチレン、ナフタレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン(誘導体)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等を用いて、ブロック共重合体、グラフト共重合体もしくはランダム共重合体等の任意の形態のコポリマーとして合成して用いることができる。
【0010】
上記コポリマーの重合比率や重合形態等は、要求されるインク物性、一般には、ポリマーの水溶性を損なわず、粘度、分散度等の物性が適正な範囲で決定され、具体的には、2:1:1の重量比のアクリル酸:スチレン:α-メチルスチレン、又は1:1の重量比のアクリル酸:アクリル酸メチルからなっていてもよい。
しかし、印刷物の堅牢性及びインク吐出の安定性を得るため、親水性ポリマーはインク全量に対して0.5〜5重量%、例えば1〜3重量%含まれることが好ましい。
【0011】
本発明に用いられるアルカノールアミン類は、沸点が140℃程度〜340℃程度の中程度の揮発性と適度なイオン強度を持つものであればよく、具体的にはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノメタノール、ジエチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノールが挙げられる。
これらは塩基性、蒸気圧、粘度、水への溶解度等がそれぞれ異なるので、1つ又は複数を選択して用いられ、インクジェット記録用インクに用いた場合には、カートリッジ中でオリフィスからの蒸発をほとんど生じないでポリマーを安定な溶解状態に保つことができる。また、印刷後のインクにおいては、外気との接触表面積の増大により短時間で蒸発し、その蒸発に従って前記ポリマーを固化するため、ポリマーの疎水性被膜で被覆され、耐水性が十分な印刷物を生じることができる。
さらに、これらのアルカノールアミンは水溶性が極めて高く、他の水溶性有機溶剤や色素との親和性が高いため、特に色素の溶解性を著しく高め、水性インクにおいて色素の析出等の問題を生ずる恐れがない。
【0012】
前記親水性ポリマーは、酸価に対して50%以上、好ましくは70〜90%を前記アルカノールアミンで中和されていることが好ましい。本発明においては、ポリマーの酸価に対して過剰(1.2〜2.5当量)のアルカノールアミン類(最終的なインク全重量の1〜2重量%に相当)を加え、30分〜数時間、純水の存在下で60〜90℃の範囲の温度で加熱し、当該分野で公知の攪拌機を用いて攪拌し、処理を行った。この結果、前記ポリマーのpHが7〜11の範囲に調整され、「中和」される。
【0013】
本発明において、水溶性有機溶剤は、高沸点、低揮発性で吸湿性が極めて高く、ノズルの乾燥を防止する効果が高いため、分子量200〜600のポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールのポリアルキレングリコール類から選択することが好ましい。これらの溶剤は、前記親水性ポリマーと親和性が高く、ポリマーによるノズル目詰まりを防止する効果が大きい。
【0014】
前記ポリアルキレングリコールに加えて、目詰まり防止、浸透性の調整、粘度の調整等の目的で、グリセリン、エステル、アミド、カルボン酸、エーテル、アルコール、有機スルフィド、有機スルホキシド、スルホン酸、ケトンから成る群より選ばれる、単独あるいは複数の水溶性有機溶剤も使用することができる。具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、チオジグリコール等のグリコール類、グリセリン、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルコールエーテル類、DMF、ジメチルアセトアミド等のアミド類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等の含窒素複素環式ケトン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が挙げられ、このうち、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
これらの溶剤の含有量はインク全重量の3〜30重量%であるが、吐出安定性及び表面張力の点から、5〜20重量%であることがさらに好ましい。
【0015】
本発明に使用する色素は、公知の染料及び顔料の中から選択して用いることができ、インク全重量の1〜10重量%の範囲で含有されていることが望ましい。
染料としては直接染料、酸性染料、反応染料、分散染料、建設染料、可溶性建設染料、反応分散染料、油性染料が挙げられ、いずれも使用できる。これら染料の含有量は液媒体成分の種類、インクに要求される特性等に依存する。
顔料としては無機顔料及び有機顔料が使用可能であり、無機顔料には、黄色顔料(カドミウムイエロー、クロムイエロー、ストロンチウムイエロー、黄酸化鉄等)、赤色顔料(光明丹、朱、ベンガラ、酸化第一銅等)、紫色顔料(コバルトバイオレット等)、青色顔料(プルシアンブルー等)、緑色顔料(エメラルドグリーン、コバルトグリーン、酸化クロム等)、白色顔料(酸化チタン、亜鉛華、鉛白、リトボン等)、黒色顔料(カーボンブラック、黒鉛、あるいは表面を酸化処理した改質カーボンブラック、顔料表面を樹脂等で処理したグラフトカーボン等の自己分散型カーボンブラック等)等が使用できる。
【0016】
また有機顔料には、アゾ系、アクリジン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、ペリノン系、イソインドレニン系等が使用できる。
顔料は、一般には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン-アクリル酸共重合体塩等の市販又は合成された高分子分散剤等により分散処理して顔料分散体として使用してもよく、粒経が25μm以下、さらには0.5μm以下の粒子からなる顔料を用いることが、印刷濃度及びインクの保存安定性、吐出安定性等から好ましい。
【0017】
その他必要に応じて、pH調整剤としてリン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム等の無機塩類、防カビ、防腐、防錆等の目的で安息香酸、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、ソルビン酸、p-ヒドロキシ安息香酸エステル、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等をインクに添加できる。更にノズル乾燥防止の目的で、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等も添加可能である。
また、表面張力の調整や定着性の向上、顔料の分散性向上の目的で、種々の非イオン性、アニオン性の界面活性剤や分散剤を添加することができる。
好ましい界面活性剤としては、アルキルフェニルエーテルのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド共重合体、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物などの非イオン活性剤、硫酸塩やスルホン酸塩型のアニオン活性剤が挙げられ、その添加量は0.01〜10重量%が好ましい。
【0018】
この発明において、インクは、前記のようにしてあらかじめ製造したポリマーの中和溶液を、色素、水溶性有機剤及び水と混合、攪拌して製造することができる。混合攪拌は通常の攪拌機を用いて行うことができ、必要に応じて、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、超音波分散機、高速分散機、乳化機等を用いることができる。
混合されたインクは、必要に応じて、遠心分離機による遠心分離ろ過及び孔径5μm以下のメンブランフィルター等により、十分ろ過することが好ましい。
【0019】
本発明のインクを用いて記録を行うのに好適な記録装置としてはインクを噴射して被記録体に印刷を行うオンデマンド方式又はコンティニュアスタイプのインクジェット装置が挙げられる。インク噴射の方式としては、記録ヘッド室内のインクに記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該エネルギーにより液滴を発生・噴射するサーマルジェット方式、又は記録ヘッド室内のインクを記録信号に対応した圧電素子により加圧し、噴射する圧電素子方式のいずれでもよい。
また、本発明のインクの付着させる被記録媒体は特に限定されず、当該分野で公知のインクジェット印刷専用紙、PPC用紙等が挙げられる。
【0020】
【実施例】
以下に本発明の実施例及び比較例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例1、3および4は参考例である。
基本溶剤組成:
A: ポリエチレングリコール(平均分子量=400) 10重量%
尿素 5重量%
エチレングリコールモノメチルエーテル 2重量%
B: ポリエチレングリコール(平均分子量=600) 6重量%
N-メチル-2-ピロリドン 5重量%
C: 2-ピロリドン 15重量%
チオジグリコール 5重量%
サーフィノール465(エアプロダクト社製) 1重量%
【0021】
Figure 0004602573
【0022】
公知のアクリル系ポリマーの合成法(「高分子の合成と反応(1)(2)」、共立出版参照)に従い、下記表1のモノマー組成(重量%)のポリマーを合成し、常温での1重量%水溶液の粘度(mPa・s)、分子量MW及び分散度(MW/MN)を測定した(表1)。粘度の測定は振動式粘度計(山一電機工業製VM-1A-L)により行い、分子量の測定はGPC(Waters製 600Eシステム)により行った。
【表1】
Figure 0004602573
【0023】
上記合成品を、ウォーターバスにて純水と表2に示す塩基を加えた後、70℃で1.5時間のあいだ加熱攪拌し、完全に溶解させた。この溶液と色素、有機溶剤及び純水を混合し、十分攪拌した。更に、1.2μmのメンブランフィルターにて減圧濾過し、ゴミや粗大粒子を除去してインクを調製した。
比較例1はポリマーの分子量MWが3,000より小さいインク組成例;
比較例2はポリマーの分子量MWが15,000より大きいインク組成例;
比較例3はポリマーの粘度が5mPa・sより大きいインク組成例;
比較例4はポリマーが親水性モノマーユニットを含まないインク組成例;
比較例5はポリマーの添加量が5重量%より多いインク組成例;
比較例6はポリマーをアンモニアで中和したインク組成例;
比較例7はポリマーをNaOHで中和したインク組成例;
比較例8はポリアルキレングリコールを含まないインク組成例である。
【表2】
Figure 0004602573
【0024】
インクジェットプリンター DeskJet 970Cxi(ヒューレット・パッカード社製)のカートリッジにインクを充填し、英文字、ライン及び画像を印刷し、以下の項目(1)〜(5)を評価した。
(1) 耐目詰まり性評価
カートリッジヘッドをクリーニングし、所定の印刷を行った後、ノズルの状態を顕微鏡にて観察した(○:目詰まりなし、×:目詰まりあり)。
(2) 印字乾燥性評価
印字後、印字部を指で擦り、指又は紙が汚れなくなるまでの時間(秒)を測定した(○:60秒未満、×:60秒以上)。
(3) 耐水性評価
市販のPPC用紙(日本製紙社製MultiACE AK-701)に印刷、6時間放置後、水道水中に5分間浸漬し、試験前後の光学濃度値を測定し、残存率(%)を示した(○:残存率90%以上、×:残存率90%未満)。
(4) 定着性評価
市販アート紙にベタ印刷した記録物を湿った綿棒にて3回擦ったときの印刷部の変化を目視にて評価した(○:擦れなし、×:擦れあり)。
(5) 印刷品質
市販のPPC用紙(日本製紙社製MultiACE AK-701)に印刷し、目視にて評価した(○:良好、×:不良)。
結果を表3に示す。
【表3】
Figure 0004602573
【0025】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明のインクは、色素、水溶性有機溶剤、1重量%水溶液の粘度が常温で0.1〜5mPa・sであり、分子内に1又は2個のカルボキシル基を有する親水性ポリマー及び水を含むインクにおいて、前記親水性ポリマーがアルカノールアミンで中和されていることを特徴とし、印刷品位に優れ、十分な耐擦性、速乾性、耐水性を備え、長期保存後や連続吐出時においても安定吐出が可能な性質をインクに付与することができる。
前記アルカノールアミンが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノメタノール、ジエチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノールからなる群より選択される1種又は2種以上である際には、ノズル目詰まりが回避され、かつ耐水性の高い印刷物を生じることができる。
また、親水性ポリマーが、重量平均分子量MW 3,000〜15,000かつ分散度MW/MN 1〜2.5のポリマー、特に(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸及びそれらのモノエステルよりなる群から選ばれるモノマーユニットの1種又は2種以上を構成要素とするポリマーであり、インク全量に対して0.5〜5重量%含まれることで、耐擦性、吐出安定性等の良好なバランスの特性が得られる。
さらに、水溶性有機溶剤として、分子量200〜600のポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールを用いることによって、ノズルの乾燥が防止される。また、グリセリン、エステル、アミド、カルボン酸、エーテル、アルコール、有機スルフィド、有機スルホキシド、スルホン酸、ケトンから成る群より選ばれる少なくとも1種の化合物とが含まれることによってノズル目詰まりが防止され、インクジェット記録用インクに必要な特性を全て満足する水性インクが得られる。

Claims (4)

  1. 以下の各成分:
    (a) 色素、
    (b) 水溶性有機溶剤、
    (c) 1重量%水溶液の粘度が常温で0.1〜5mPa・sであり、分子内に1個のカルボキシル基を有するモノマーユニットを構成要素とする親水性ポリマー、
    (d) 水
    を含むインクにおいて、前記親水性ポリマーが、構成要素が1:1の重量比のアクリル酸:アクリル酸メチルからなる親水性ポリマーであり、酸価に対して70〜90%をアルカノールアミンで中和されており、前記アルカノールアミンが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノメタノール、ジエチルアミノエタノール及びジメチルアミノエタノールから成る群より選択される1種又は2種以上であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
  2. 前記(c)親水性ポリマーの重量平均分子量MWが3,000〜15,000であり、分散度MW/MNが1〜2.5であることを特徴とする請求項1に記載のインク。
  3. 前記(c)親水性ポリマーが、インク全重量に対して0.5〜5重量%含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載のインク。
  4. 前記(b)水溶性有機溶剤が、分子量200〜600のポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のインク。
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