JP6868217B2 - 被印刷物の表面処理用液体組成物、およびそれを用いたインクセット、記録方法、記録装置、収容容器、印刷物 - Google Patents

被印刷物の表面処理用液体組成物、およびそれを用いたインクセット、記録方法、記録装置、収容容器、印刷物 Download PDF

Info

Publication number
JP6868217B2
JP6868217B2 JP2017047543A JP2017047543A JP6868217B2 JP 6868217 B2 JP6868217 B2 JP 6868217B2 JP 2017047543 A JP2017047543 A JP 2017047543A JP 2017047543 A JP2017047543 A JP 2017047543A JP 6868217 B2 JP6868217 B2 JP 6868217B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
printed matter
mass
surface treatment
liquid composition
ink
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017047543A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017222833A (ja
Inventor
拓也 齋賀
拓也 齋賀
聖之 関口
聖之 関口
亮 宮越
亮 宮越
大輔 朝比奈
大輔 朝比奈
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to US15/594,744 priority Critical patent/US10676628B2/en
Publication of JP2017222833A publication Critical patent/JP2017222833A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6868217B2 publication Critical patent/JP6868217B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41MPRINTING, DUPLICATING, MARKING, OR COPYING PROCESSES; COLOUR PRINTING
    • B41M5/00Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein
    • B41M5/0011Pre-treatment or treatment during printing of the recording material, e.g. heating, irradiating
    • B41M5/0017Application of ink-fixing material, e.g. mordant, precipitating agent, on the substrate prior to printing, e.g. by ink-jet printing, coating or spraying

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Description

本発明は、被印刷物の表面処理用液体組成物、およびそれを用いたインクセット、記録方法、記録装置、収容容器、印刷物に関する。
インクジェットプリンターは低騒音、低ランニングコスト、カラー印刷が容易であるなどの利点を有することから、デジタル信号の出力機器として一般家庭に広く普及している。
従来、印刷対象には普通紙など吸収性のメディアが一般的に用いられていたが、近年では対象が多様化しており、例えば商業印刷用のインク吸収性の低い印刷用塗工紙や、食品包装材料などインク非吸収性のプラスチックフィルムに対しても、インクジェット記録方法により、従来のメディアと同等以上の画像品質、印刷速度の高速化が要求されている。
しかし、このようなメディアでは、着弾したインクの液滴が浸透せずに表面に長時間残るため、画像のベタ部分で液滴が寄り集まって、まだら状の濃度ムラ(ビーディング)が極めて発生しやすい。
このようなビーディングの抑制を目的として、凝集剤を含有した前処理液の塗膜をメディア表面に形成し、その部分にインクを着弾させて印字する方法が提案されている。前処理液に含まれる凝集剤がインク中の樹脂粒子や色材を固定することで、色材の移動を抑え、ビーディングを抑制することが知られている。前処理液に含まれる凝集剤としては、多価金属塩などの水溶性塩が、電荷反発によって分散している樹脂粒子や色材に対して強い凝集性を示す。
しかし、前処理液の塗膜を形成するため水溶性塩を添加すると、顔料をメディアに定着させるための、バインダー成分となる樹脂粒子が凝集(塩析)してしまうため、前処理液の保存安定性の確保が難しいことが問題となっている。
上記問題を解決することを目的として、樹脂粒子にアルコキシシリル基ビニル単量体、これと共重合可能な重合性単量体、(メタ)アクリル酸脂環式アルキルエステル、及び水酸基含有(メタ)アクリル系単量体を含む単量体混合物、さらに、この単量体混合物に加えて、アルキルアルコキシシラン、又は部分的に加水分解縮合したアルキルアルコキシシランを特定の量で含有してなる混合物を、特定の乳化剤を用いて乳化共重合して得られる共重合体粒子を用いることで、樹脂粒子の耐塩性を向上させる方法が提案されている。(特許文献1)
さらに、前記の前処理液塗膜上にインクが着弾した際に塗膜が溶解するのを防ぐため、前処理液の塗膜には耐水性が要求される。
このように、インク吸収性の低いメディアを用いる高速印字システムにおいては、高いビーディング抑制効果および耐水性を有した前処理液および印刷方法が求められるだけでなく、同時に前処理液の保存安定性が求められる。
本発明は、かかる現状を鑑みてなされたものであり、長期に渡る高い保存安定性を有し、高いビーディング抑制効果および耐水性を有した、被印刷物の表面処理液用液体組成物を提供することを目的とする。
本発明は下記[1]に記載する通りの液体組成物に係るものである。
[1]樹脂粒子、多価金属塩、および水を含み、前記樹脂粒子が下記一般式(1)で示される構造単位を有する樹脂を含む被印刷物の表面処理用液体組成物。
Figure 0006868217
式中、R1は−COO−を表し、R2およびR3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは5〜100の整数である。
本発明によれば、印刷画像のビーディングを抑制し、耐水性に優れ、かつ長期保存安定性に優れた被印刷物の表面処理用液体組成物を提供することができる。
本発明の記録装置の一例を示す模式図である。 図1の前処理部の前処理液塗布装置を示す模式図である。 図1のインクジェット記録部のインクジェットヘッドを示す模式図である。 図1のヘッドユニットの拡大図である。
上記本発明[1]について詳しく説明する。なお、本発明[1]の実施の形態には次の各項目[2]〜[10]も含まれるので、これについても説明する。
[2]前記一般式(1)で示される構造単位において、nが10〜50の整数である上記[1]に記載の被印刷物の表面処理用液体組成物。
[3]前記樹脂粒子はモノマー由来のモノマー単位と架橋剤由来の架橋単位とを含み、樹脂粒子における前記モノマー由来のモノマー単位と前記架橋剤由来の架橋単位との合計を100質量%としたとき、前記一般式(1)で示される構造単位を1質量%〜20質量%含む上記[1]又は[2]に記載の被印刷物の表面処理用液体組成物。
[4]前記被印刷物の表面処理用液体組成物が、表面処理用液体組成物の合計100質量%に対して水溶性塩を0.1質量%〜20質量%含む上記[1]〜[3]のいずれかに記載の被印刷物の表面処理用液体組成物。
[5]前記樹脂粒子のガラス転移温度が−40℃〜0℃である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の被印刷物の表面処理用液体組成物。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の被印刷物の表面処理用液体組成物と、色材及びインク用樹脂粒子を含むインクとからなるインクセット。
[7]上記[6]に記載のインクセットを用いて、被印刷物に被印刷物の表面処理用液体組成物を塗布する工程と、インクを付着させる工程とを有する記録方法。
[8]上記[7]に記載の記録方法を用いて画像を形成する記録装置。
[9]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の被印刷物の表面処理用液体組成物が充填されている収容容器。
[10]上記[7]に記載の記録方法を用いて画像が形成された印刷物。
本発明に係る被印刷物の表面処理用液体組成物は、被印刷物の表面処理用液体組成物を被印刷物に塗布する塗布工程と、前記被印刷物の表面処理用液体組成物が乾燥した後に色材及びインク用樹脂粒子を含むインク組成物をノズルから吐出して、前記被印刷物へ付着させるインク吐出工程を備えた記録方法に使用するものである。前記被印刷物の表面処理用液体組成物は、前記インク中の色材またはインク用樹脂粒子を凝集させるものである。
[被印刷物の表面処理用液体組成物]
本発明の被印刷物の表面処理用液体組成物(以下、単に前処理液ともいう)は、少なくとも樹脂粒子、水溶性塩、および水を含み、前記樹脂粒子が下記一般式(1)で示される構造単位を有する樹脂を含むことを特徴とする。
Figure 0006868217
式中、R1は−COO−を表し、R2およびR3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは5〜100の整数である。
以下、本発明の前処理液の構成成分について説明する。
<樹脂粒子>
本発明では、水溶性塩との共存下における樹脂粒子の長期的な保存安定性を目的として、樹脂粒子を構成する樹脂の側鎖にノニオン性の親水性部位を有する下記一般式(1)の構造を導入した。この構造によって、電荷反発型のエマルションであっても立体反発の要素が加わるため、塩析効果のある水溶性塩の存在下においても保存安定性を確保することが可能となる。
本発明における樹脂粒子は、重合性を有する単官能のモノマー、乳化剤、重合開始剤、架橋剤などを含む材料を用いて、乳化重合によって得られる微細な樹脂の粒である。
前記樹脂粒子は、下記一般式(1)で示される構造単位を有する樹脂を含むことを必要とする。この構造によって、立体反発が生じ、水溶性塩の存在下でも優れた保存安定性が得られる。また、R1は−COO−、R2およびR3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であることを必要とし、R3はメチル基であると保存性が向上するため好ましい。R2は、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
Figure 0006868217
式中、R1は−COO−を表し、R2およびR3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは5〜100の整数である。
前記樹脂粒子に含まれる一般式(1)で示される構造単位において、n=5〜100の整数であり、好ましくは10〜50の整数である。nが5未満では一般式(1)で示される構造による立体反発が不足し、前処理液中に混在する塩によって凝集しやすくなるため、保存安定性が悪化する。nが100を超えると親水性が増加し、前処理液が塗膜を形成した際に耐水性が低下する。
本発明における樹脂粒子を構成する一般式(1)で示される構造以外の構造に限定はなく、一般式(1)で示される構造単位と共重合可能な樹脂であれば公知のものから適宜選択できる。前記樹脂としては例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン‐ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。これらは1種または2種以上を併用してもよい。
前記樹脂粒子が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1つであるとき、ガラス転移温度の制御が比較的容易であり、分散安定性や耐擦過性に優れるため好適である。
前記樹脂粒子は、モノマー由来のモノマー単位と架橋剤由来の架橋単位とを含み、モノマー由来のモノマー単位と架橋剤由来の架橋単位との合計を100質量%としたとき、一般式(1)で示される構造単位を1質量%〜20質量%含むことが好ましく、2質量%〜15質量%がより好ましく、4質量%〜10質量%がさらに好ましい。前記構造単位が、1質量%以上であると一般式(1)で示される構造による立体反発によって保存安定性が向上する。また、20質量%以下であると耐水性が向上する。
前記樹脂粒子における一般式(1)で示される構造単位の含有量は、前記一般式(1)において、繰り返し単位数がn=5〜10のとき8質量%〜20質量%、n=11〜40のとき4質量%〜10質量%、n=41〜100のとき1質量%〜8質量%の組み合わせにより、保存安定性の効果と塗膜の耐水性の両立が可能となるため好ましい。
前記樹脂粒子は架橋構造を有していてもよい。例えば、樹脂粒子を製造する際に架橋剤を添加することにより、架橋構造を有する樹脂粒子が得られる。架橋剤としてエチレン性不飽和化合物を併用することができる。エチレン性不飽和化合物の具体例としては、加水分解性アルコキシシリル基含有エチレン性不飽和化合物(ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン等)、多官能ビニル化合物(ジビニルベンゼン、ジアリルフタレートなど)が挙げられる。
前記樹脂粒子を製造する際に乳化剤を用いても良い。用いる乳化剤としては特に制限はなく、公知のものから目的に応じて適宜使用することが出来る。これらの市販品としては、例えば、SE−10N(ADEKA社製)、NE−10(ADEKA社製)、NE−20(ADEKA社製)、NE−30(ADEKA社製)、アデカリアソープSR−10(ADEKA社製)、アデカリアソープSR−20(ADEKA社製)、アデカリアソープER−20(ADEKA社製)、アクアロンRN−10(第一工業製薬社製)、アクアロンRN−20(第一工業製薬社製)、アクアロンRN−50(第一工業製薬社製)、アクアロンHS−10(第一工業製薬社製)、アクアロンKH−05(第一工業製薬社製)、アクアロンKH−10(第一工業製薬社製)、エレミノールJS−2(三洋化成工業社製)、ラテムルS−180(花王社製)等がその代表例としてあげられる。これらは1種類または2種類以上を併用してもよい。
前記樹脂粒子を製造する際に重合開始剤を用いても良い。重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸素水素、tert−ブチルヒドロパーオキシドなどの過酸化物、これらの過酸化物と金属イオン、アスコルビン酸などの還元剤との組合せからなるレドックス開始剤、2,2'−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物などが挙げられる。
この重合反応は、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中で行うのが好ましい。本発明においては、この重合開始剤は1種または2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記樹脂粒子が前記一般式(1)で示される構造単位を有する樹脂を含むこと、及び樹脂粒子に対する一般式(1)で示される構造単位の含有量は、13C−NMR、1H−NMR、熱分解GC/MSから構造の解析を行うことにより求めることができる。
また、製造工程に用いた材料、及びその含有量が分かれば、その含有量により前記一般式(1)で示される構造単位の含有量を求めることができる。
前記一般式(1)で示される構造単位を有する樹脂を含む樹脂粒子の製造方法としては、例えば、一般式(1)で示される構造単位となるモノマー、他の構造単位となるモノマー、架橋剤、乳化剤等を攪拌した乳化液を、重合開始剤を含む水相に投下して乳化重合を行うことで樹脂粒子を得ることが出来る。
前記一般式(1)で示される構造単位となるモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール(n=5〜100)モノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(n=5〜100)モノメタクリレート、エトキシポリエチレングリコール(n=5〜100)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール(n=5〜100)モノアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(n=5〜100)モノアクリレート、等を挙げることができる。具体的には、ブレンマーAME−100(日油社製)、ブレンマーPME−100(日油社製)、ブレンマーPME−200(日油社製)、ブレンマーPME−400(日油社製)、ブレンマーPME−1000(日油社製)、ブレンマーPME−4000(日油社製)などが挙げられる。前記モノマーの配合量により、樹脂粒子における前記一般式(1)で示される構造単位の含有量を求めることができる。
前記の前処理液中の樹脂粒子の含有量は、前処理液総量に対して固形分として0.5質量%〜30質量%であることが好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。0.5質量%以上では塗膜が充分に基材を被覆するため塗膜の均一性が向上し、30質量%以下では前処理液の塗布性が向上する。
前記樹脂粒子のガラス転移温度は以下に限定されないが、塗膜状態でのガラス転移温度が−40℃〜0℃であることが好ましい。前記ガラス転位温度が−40℃以上であると、印刷後に前処理液の塗膜部分がベタつき(タック)が抑制されるため耐擦性が向上し、ガラス転移温度が0℃以下では前処理液の樹脂粒子の軟化によってメディアへの密着性が向上する。
前記樹脂粒子は、分散状態でのメジアン粒子径D50が40nm〜300nmの範囲であることが好ましく、60nm〜200nmの範囲であることがより好ましく、80nm〜150nmがさらに好ましい。前記樹脂粒子の粒子径が40nm以上であると前処理液の過度増粘を抑制しやすく、300nm以下であると塗膜の透明性が向上する。
<水溶性塩>
前記水溶性塩はインク中の成分を着滴後に速やかに凝集させ、ビーディングを抑制する。水溶性塩としては金属塩やオキソ酸塩など、凝集させるインク中の成分によって適宜選択することが出来る。
水溶性塩の例としては以下に限定されないが、インク中の顔料や樹脂粒子を効果的に凝集させることができるため、多価イオンからなる塩が好ましく、多価金属塩がより好ましい。多価金属としては、カルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属より選択される一種以上であるとビーディング抑制効果に優れるため好ましい。
上記の多価金属塩の具体例としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、硫化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどが挙げられる。
上記のオキソ酸塩の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、珪酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記の前処理液における水溶性塩の含有量は、前処理液の合計100質量%に対して0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%がより好ましく、1質量%〜3質量%がさらに好ましい。前記含有量が0.1質量%以上であるとインクによる画像形成の際に、インク成分の凝集によるビーディング抑制効果が発揮される。一方、20質量%以下であると乾燥塗膜の強度や透明性が向上する。
<水>
前処理液中における水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前処理液の乾燥性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
本発明の液体組成物の媒体は、水性媒体であるが、必要に応じて水以外のものを添加しても良く、例えば、水溶性有機溶剤、界面活性剤が挙げられる。
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
また、前処理液および前処理液と共に使用するインクセットが、有機溶剤として1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールのうちいずれかを含有する場合、造膜性が向上し、さらに耐擦過性が向上するため好ましい。
有機溶剤の前処理液中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前処理液の合計100質量%に対して、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。含有量が10質量%以上であるとメディアへのぬれ性が向上し、60質量%以下であると乾燥性が向上する。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記の前処理液中の界面活性剤の量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
前記の前処理液は、必要に応じて顔料や染料などの着色剤を含有してもよい。
前記の前処理液は、その他添加剤として、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤などを含有してもよい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明のインクセットは、前記の前処理液と、色材及びインク用樹脂粒子を含むインクとからなる。
次に、本発明のインクセットで用いるインクについて説明する。
[インク]
前記の前処理液と組み合わせて使用するインクとしては、色材、及びインク用樹脂粒子を含み、さらに、有機溶剤、水を含むことが好ましい。前処理液中の水溶性塩によってインク中の色材またはインク用樹脂粒子を凝集させる。
<有機溶剤>
インクに使用する有機溶剤としては水溶性であること以外は特に制限されず、前記の前処理液と共通のものを使用することが出来る。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
<色材>
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクトブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
顔料をインク中に分散させるには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした自己分散顔料等が使用できる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能なものを用いることができる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<顔料分散体>
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
<インク用樹脂粒子>
本発明のインクでは、必要に応じて前処理液とは別のインク用樹脂粒子を併用することができる。
インク用樹脂粒子に含まれる樹脂としては例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン‐ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
前記インク用樹脂粒子としては、目的に応じ、適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。
前記市販の樹脂粒子としては、例えば、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂粒子、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂粒子、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂粒子、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂粒子、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂粒子、サイデン化学株式会社製)、プライマルAC−22、AC−61(アクリル系樹脂粒子、ローム・アンド・ハース製)、ナノクリルSBCX−2821、3689(アクリルシリコーン系樹脂粒子、東洋インキ製造株式会社製)、#3070(メタクリル酸メチル重合体樹脂粒子、御国色素株式会社製)、タケラックW−6061、W−5661(アニオン性ウレタン樹脂、三井化学社製)、アローベースCB−1200(カチオン性オレフィン樹脂、ユニチカ製)などが挙げられる。
前処理液の塗膜との密着性と優れた耐擦過性を得る観点からアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂であることが好ましい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。前記界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、および防錆剤としては前記の前処理液と共通のものを使用することが出来る。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
本発明の処理液およびインクは前記構成成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して作製する。攪拌混合は、通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行なうことができる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
本発明の記録方法、記録装置においては、後述するように、インクを付着させた後に、後処理液を塗布しても良い。
<後処理液>
後処理液は、透明な層を形成することが可能であれば、特に限定されない。後処理液は、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等、必要に応じて選択し、混合して得られる。また、後処理液は、記録媒体に形成された記録領域の全域に塗布しても良いし、インク像が形成された領域のみに塗布しても良い。
[被印刷物]
本発明に用いる被印刷物(記録媒体とも言う)としては、特に制限なく用いることができ、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、非浸透性基材に対して特に好適に用いることが出来る。
本発明における非浸透性基材とは、水透過性、吸収性及び/又は吸着性が低い表面を有する基材を指しており、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれる。
より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である基材を指す。前記非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
前記非浸透性基材の中でも、特にポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルムに対してビーディングの改善が良好である。
前記ポリプロピレンフィルムの例としては、東洋紡製P−2002、P−2161、P−4166、SUNTOX製PA−20、PA−30、PA−20W、フタムラ化学製FOA、FOS、FORなどが挙げられる。
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの例としては、東洋紡製E−5100、E−5102、東レ製P60、P375、帝人デュポンフィルム製G2、G2P2、K、SLなどが挙げられる。
前記ナイロンフィルムの例としては、東洋紡製ハーデンフィルムN−1100、N−1102、N−1200、ユニチカ製ON、NX、MS、NKなどが挙げられる。
<記録装置、記録方法>
本発明の記録方法は、本発明のインクセットを用いて、被印刷物に前記の前処理液を塗布する工程と、インクを付着させる工程とを有する。
本発明の記録装置は、本発明の記録方法を用いて画像を形成する記録装置である。
本発明の記録装置の一例について図1乃至図4を参照して説明する。図1は記録装置の一例を示す模式図であり、図2は図1に示す記録装置の前処理部の前処理液塗布装置を示す図である。図3は、図1のインクジェット記録部のインクジェットヘッドを示す模式図であり、図4は、図1のヘッドユニットの拡大図である。
図1において、記録装置300は、記録媒体搬送部301と、記録媒体203に前処理液を塗布する前処理部302と、前処理液が塗布された記録媒体203を乾燥させる第一の乾燥部303と、乾燥した記録媒体203に水性顔料インクを吐出して画像を形成するインクジェット記録部304と、画像が形成された記録媒体に後処理液を塗布する後処理部305と、後処理液が塗布された記録媒体203を乾燥させる第二の乾燥部306で構成されている。
記録媒体搬送部301は、給紙装置307と、複数の搬送ローラーと、巻き取り装置308で構成されている。そして、記録媒体203は、ロール状に巻かれた連続紙(ロール紙)であり、搬送ローラーにより給紙装置307から巻き出された後、搬送され、巻き取り装置308によって巻き取られる。
記録媒体搬送部301から搬送された記録媒体203は、前処理部302の前処理液を収容してなる前処理液収容容器204から前処理液が供給され、塗布される。
図2に示すように、前処理液収容容器204の内部に、前処理液205が貯留されておいる。ここで、攪拌・供給ローラー206、移送ローラー207及び薄膜化ローラー208により、塗布ローラー209の表面に、前処理液205の薄膜が形成される。そして、塗布ローラー209は、回転する対向ローラー201に押し付けられながら回転し、その間を記録媒体203が通過することで、記録媒体203の表面に前処理液205が塗布される。このとき、圧力調整装置202により、対向ローラー201と塗布ローラー209の間のニップ圧を調整することができ、前処理液205の塗布量を制御することができる。また、塗布ローラー209及び対向ローラー201の回転速度を調整することにより、前処理液205の塗布量を制御することもできる。塗布ローラー209、対向ローラー201は、駆動モーター等の動力源により駆動され、動力源のエネルギーを調整することにより、塗布ローラー209、対向ローラー201の回転速度を制御することができる。
このように、塗布ローラー209を用いて、記録媒体203の記録領域に前処理液205を塗布すると、比較的粘度の高い前処理液205を記録媒体203上に薄く塗布することができ、色むらの発生をさらに抑制することができる。
前処理部302における前処理液の塗布方法としては、ロールコート法に限定されず、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法等が挙げられる。
なお、前処理液205は、記録媒体203の記録領域の全域に塗布してもよいし、画像が形成される領域のみに塗布してもよい。
前処理液205が塗布された記録媒体203は、第一の乾燥部303のヒートローラー311、312により、乾燥させる。具体的には、前処理液205が塗布された記録媒体203は、搬送ローラーにより、ヒートローラー311、312に搬送される。ヒートローラー311、312は、通常、50〜100℃に熱せられているため、前処理液205が塗布された記録媒体203は、ヒートローラー311、312からの接触伝熱により、水分が蒸発し、乾燥する。
第一の乾燥部303における乾燥手段としては、ヒートローラーに限定されず、赤外線乾燥装置、マイクロ波乾燥装置、温風装置等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
なお、前処理液205が塗布される前の記録媒体を加熱してもよい。
乾燥した記録媒体203は、インクジェット記録部304により、画像データに応じて、画像が形成される。
インクジェット記録部304は、フルライン型のヘッドであり、記録媒体203の搬送方向に対して、上流側から、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)に対応する4つのインクジェットヘッド304K、304C、304M、304Yが配置されている。図3に示すように、ブラック(K)のインクジェットヘッド304Kは、記録媒体203の搬送方向に対して、直交する方向に、4つのヘッドユニット304K−1、304K−2、304K−3、304K−4を千鳥状に配列することにより、記録媒体203の記録領域の幅を確保している。図4に示すように、ヘッドユニット304K−1のノズル面309には、ヘッドユニット304K−1の長手方向に沿って、ノズル310が配列され、ノズル列が形成されている。
なお、ノズル列は、複数列形成されていてもよい。
また、インクジェットヘッド304C、304M、304Yも同様の構成であり、4つのインクジェットヘッド304K、304C、304M、304Yは、同じピッチを保持して搬送方向に配列されている。これにより、1回の記録動作で記録領域の幅全体に画像を形成することができる。
画像が形成された記録媒体203は、必要に応じて、後処理部305で後処理液が塗布される。
後処理液は、画像が形成された記録媒体203上に、透明な保護層を形成することができる。
なお、後処理液は、記録媒体203の記録領域の全域に塗布してもよいし、画像が形成された領域のみに塗布してもよい。
画像が形成された記録媒体203又は後処理液が塗布された記録媒体203は、第二の乾燥部306のヒートローラー313、314により、第一の乾燥部303と同様にして、乾燥させる。
乾燥した記録媒体203は、巻き取り装置308により巻き取られる。
なお、巻き取り装置308により巻き取られる前の記録媒体203を乾燥させる巻き取り前乾燥部をさらに設置してもよい。
なお、インクの使用方法としては、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
<収容容器>
本発明の収容容器は、前記の前処理液が充填されているものであり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を構成することもできる。
前記容器としては、その形状、構造、大きさ、材質に特に制限無く、目的に応じて適宜選択できる。
<印刷物>
本発明の印刷物は、本発明の画像形成方法を用いて画像が形成されたものである。本発明の前処理液とインクとからなるインクセットを用いて、被印刷物に前処理液を塗布し、さらにインクを付着させることにより画像が形成される。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、例中の「部」は「質量部」であり、「%」は、評価基準中のものを除き、「質量%」である。
<樹脂粒子分散液1の作製>
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管を備えた1Lのフラスコ(A)内に、イオン交換水89.0部を仕込み、窒素を導入しつつ70℃に昇温した。さらに、下記の水溶液を投入した。
10%アクアロンHS−10水溶液 3.0部
5%過硫酸アンモニウム水溶液 2.6部
フラスコ(B)内にて下記の化合物をホモミキサーで混合し、乳化液を得た。
メタクリル酸メチル 38.9部
アクリル酸2−エチルヘキシル 49.6部
ポリアルキレングリコールモノメタクリレート(n=23)
(ブレンマーPME−1000 日油社製) 4.0部
ビニルトリエトキシシラン 7.5部
アクアロンHS−10 1.5部
イオン交換水 42.9部
次いで、フラスコ(A)にフラスコ(B)の乳化液を2.5時間かけて連続的に滴下した。また、滴下開始から3時間経過するまでの間1時間毎に5%過硫酸アンモニウム水溶液1.6部を投入した。滴下終了後70℃で2時間熟成した後に冷却し、28%アンモニア水でpHを7〜8となるように調節し、樹脂粒子分散液1を得た。
<樹脂粒子分散液2〜12の作製>
樹脂粒子分散液1の作製において、フラスコ(A)およびフラスコ(B)の組成を表1に記載の種類と配合にした以外は同様にして樹脂粒子分散液2〜12を得た。
前記樹脂粒子のガラス転移温度は、DSCシステムQ−2000(TAインスツルメント社製)を用いて測定できる。具体的には、樹脂粒子分散液を70℃のオーブンで12時間以上加熱乾燥させ、固形分5mgをアルミニウム製の試料容器に入れて装置にセットし、窒素気流下にて以下の測定条件にて測定を行った。2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、中点法にてガラス転移温度を求めた。評価結果は表1に記載した。
(1)−70℃まで冷却後5分保持
(2)10℃/minで120℃まで昇温
(3)−70℃まで冷却後5分保持
(4)10℃/minで120℃まで昇温
前記樹脂粒子のメジアン粒子径(D50)は、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置(例えば、ELSZ−1000S(大塚電子社製))を用いて測定することができる。評価結果は表1に記載した。
<前処理液の調製>
[実施例1]
(前処理液1)
表2に示すように、以下の配合で調合後、混合攪拌し、前処理液1を得た。
・プロピレングリコール 15部
・3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 20部
・酢酸カルシウム一水和物 2部
・樹脂粒子分散液1(固形分として) 10部
・界面活性剤(TEGO(登録商標) WET270)
(Evonik Industries社製) 0.5部
・防腐剤(プロキセルLV、アビシア社製) 0.05部
・防錆剤(1,2,3−ベンゾトリアゾール) 0.05部
・イオン交換水 52.4部
[実施例2]
(前処理液2)
配合を表2の量にした以外は、前処理液1と同様の方法で前処理液2を調製した。
[実施例3]
(前処理液3)
配合を表2の量にした以外は、前処理液1と同様の方法で前処理液3を調製した。
[実施例4]
(前処理液4)
配合を表2の量にした以外は、前処理液1と同様の方法で前処理液4を調製した。
[実施例5]
(前処理液5)
配合を表2の量にした以外は、前処理液1と同様の方法で前処理液5を調製した。
[実施例6]
(前処理液6)
配合を表2の量にした以外は、前処理液1と同様の方法で前処理液6を調製した。
[実施例7]
(前処理液7)
配合を表2の量にした以外は、前処理液1と同様の方法で前処理液7を調製した。
[実施例8]
(前処理液8)
配合を表2の量にした以外は、前処理液1と同様の方法で前処理液8を調製した。
[実施例9]
(前処理液9)
配合を表2の量にした以外は、前処理液1と同様の方法で前処理液9を調製した。
[実施例10]
(前処理液10)
配合を表2の量にした以外は、前処理液1と同様の方法で前処理液10を調製した。
[実施例11]
(前処理液11)
配合を表2の量にした以外は、前処理液1と同様の方法で前処理液11を調製した。
[実施例12]
(前処理液12)
配合を表2の量にした以外は、前処理液1と同様の方法で前処理液12を調製した。
[比較例1]
(前処理液13)
配合を表2の量にした以外は、前処理液1と同様の方法で前処理液13を調製した。
[比較例2]
(前処理液14)
配合を表2の量にした以外は、前処理液1と同様の方法で前処理液14を調製した。
[比較例3]
(前処理液15)
配合を表2の量にした以外は、前処理液1と同様の方法で前処理液15を調製した。
[比較例4]
(前処理液16)
配合を表2の量にした以外は、前処理液1と同様の方法で前処理液16を調製した。
[比較例5]
(前処理液17)
配合を表2の量にした以外は、前処理液1と同様の方法で前処理液17を調製した。
<ビーディング評価>
作製した前処理液をバーコーター(巻き線径:0.1mm、付着量2.8g/m2)にてコロナ放電処理したOPPフィルム(二軸延伸ポリプロピレン:東洋紡製パイレンP2161)に塗工し、80℃で2分間乾燥させた。次いで、インクを液体吐出用装置(リコー社製のIPSIO GXe5500)により前記コロナ放電処理したOPPフィルムへ吐出させて印刷サンプルを得た。印字チャートはドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像のベタ部を、目視により濃度ムラ(ビーディング)レベルをA〜Dでランク付けした。以下の基準にて、ランクBまでを許容範囲とした。評価結果は表2に記載した。
[評価基準]
A:濃度ムラは見られない
B:やや濃度ムラが見られるが問題無い
C:濃度ムラが見られ、目視で明らかに分かるレベル
D:激しい濃度ムラが見られる(前処理液未塗布と同レベル)
インクは、以下の配合で混合攪拌し、0.8μmメンブレンフィルター(セルロース混合エステル)で濾過したものを、前処理液の評価に使用した。
・プロピレングリコール 20部
・ジエチレングリコールジエチルエーテル 4部
・2−メチル−2,4−ペンタンジオール 5部
・グリセリン 8部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1部
・エマルゲンLS−106(花王社製) 1部
・プロキセルLV(アビシア社製) 0.05部
・KM−72F(三井武田ケミカル社製) 0.05部
・タケラックW−5661
(アニオン性ウレタン樹脂 三井化学社製) 8部(固形分として)
・ブラック顔料分散液(FUJI SP SAMPLE 8134 富士色素社製)
2.5部(固形分として)
・イオン交換水 50.5部
<液体組成物の保存安定性評価>
作製した前処理液を密閉容器に入れ、40℃、70℃の恒温槽で7日間静置し、保管前後の粘度を測定し、粘度変化率から前処理液の保存安定性を評価した。
粘度は動的粘弾性測定装置(TA Instruments社製、AR2000 Rheometer)を用いて25℃50%RHの環境にて測定した。コーンプレート(φ40mm、1°)を使用し、ギャップ38μm、せん断速度200(1/s)の粘度を測定した。判定は以下の基準にて行い、Cまでを許容範囲とした。評価結果は表2に記載した。
[評価基準]
A:粘度変化率が10%以内である。
B:粘度変化率が10%を超え、20%以内である。
C:粘度変化率が20%を超え、50%以内である。
D:粘度変化率が50%を超えているか、目視可能な凝集物が発生している。
<耐水性評価>
作製した前処理液5gを直径50mmのテフロン(登録商標)シャーレに入れ、70℃のオーブン内にて12時間乾燥させた。乾燥後の塗膜を0.5g精秤し、次いで塗膜を蓋付きの瓶にイオン交換水5gと共に入れ、25℃で12時間静置した後、塗膜の質量を測定した。浸漬前後の塗膜の質量を次の式に代入し、処理液の含水率を算出した。
(含水率%)
=[(浸漬後の質量g)−(浸漬前の質量g)]/(浸漬前の質量g) ×100
含水率から塗膜の耐水性を以下の基準にてランク評価し、Cまでを許容範囲とした。評価結果は表2に記載した。
[評価基準]
A:含水率が10%以内である。
B:含水率が10%を超え、50%以内である。
C:含水率が50%を超え、100%以内である。
D:含水率が100%を超えている、または塗膜が溶解する。
Figure 0006868217
Figure 0006868217
以上、本発明の前処理液を用いることで、印刷画像のビーディングを抑制し、耐水性に優れ、かつ水溶性塩の存在下でも長期保存安定性に優れた被印刷物の前処理液を提供することができる。
201 対向ローラー
202 圧力調整装置
203 記録媒体
204 前処理液収容容器
205 前処理液
206 攪拌・供給ローラー
207 移送ローラー
208 薄膜化ローラー
209 塗布ローラー
300 記録装置
301 記録媒体搬送部
302 前処理部
303 第一の乾燥部
304 インクジェット記録部
305 後処理部
306 第二の乾燥部
307 給紙装置
308 巻き取り装置
304K、304C、304M、304Y インクジェットヘッド
304K−1、304K−2、304K−3、304K−4 ヘッドユニット
310 ノズル
311、312、313、314 ヒートローラー
特許第5048228号公報

Claims (11)

  1. 樹脂粒子、多価金属塩、および水を含み、前記樹脂粒子が下記一般式(1)で示される構造単位を有する樹脂を含む被印刷物の表面処理用液体組成物。
    Figure 0006868217
    式中、R1は−COO−を表し、R2およびR3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは5〜100の整数である。
  2. 前記多価金属塩が、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、硫化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムから選ばれるいずれか一種を含有する請求項1に記載の被印刷物の表面処理用液体組成物。
  3. 前記一般式(1)で示される構造単位において、nが10〜50の整数である請求項1又は2に記載の被印刷物の表面処理用液体組成物。
  4. 前記樹脂粒子はモノマー由来のモノマー単位と架橋剤由来の架橋単位とを含み、樹脂粒子における前記モノマー由来のモノマー単位と前記架橋剤由来の架橋単位との合計を100質量%としたとき、前記一般式(1)で示される構造単位を1質量%〜20質量%含む請求項1〜3のいずれかに記載の被印刷物の表面処理用液体組成物。
  5. 前記被印刷物の表面処理用液体組成物が、表面処理用液体組成物の合計100質量%に対して水溶性塩を0.1質量%〜20質量%含む請求項1〜4のいずれかに記載の被印刷物の表面処理用液体組成物。
  6. 前記樹脂粒子のガラス転移温度が−40℃〜0℃である請求項1〜5のいずれかに記載の被印刷物の表面処理用液体組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の被印刷物の表面処理用液体組成物と、色材及びインク用樹脂粒子を含むインクとからなるインクセット。
  8. 請求項7に記載のインクセットを用いて、被印刷物に被印刷物の表面処理用液体組成物を塗布する工程と、インクを付着させる工程とを有する記録方法。
  9. 請求項8に記載の記録方法を用いて画像を形成する記録装置。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載の被印刷物の表面処理用液体組成物が充填されている収容容器。
  11. 請求項8に記載の記録方法を用いて画像が形成された印刷物。
JP2017047543A 2016-06-08 2017-03-13 被印刷物の表面処理用液体組成物、およびそれを用いたインクセット、記録方法、記録装置、収容容器、印刷物 Active JP6868217B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US15/594,744 US10676628B2 (en) 2016-06-08 2017-05-15 Surface treatment liquid composition for substrate, ink set, recording method, recording device, storage container, and printed matter

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016114533 2016-06-08
JP2016114533 2016-06-08

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017222833A JP2017222833A (ja) 2017-12-21
JP6868217B2 true JP6868217B2 (ja) 2021-05-12

Family

ID=60686713

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017047543A Active JP6868217B2 (ja) 2016-06-08 2017-03-13 被印刷物の表面処理用液体組成物、およびそれを用いたインクセット、記録方法、記録装置、収容容器、印刷物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6868217B2 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3578376B1 (en) 2017-02-01 2021-07-28 Toyo Ink SC Holdings Co., Ltd. Pretreatment liquid and ink set comprising said pretreatment liquid
JP2020094080A (ja) * 2017-03-29 2020-06-18 富士フイルム株式会社 インクセット及び画像形成方法
JP6388243B1 (ja) * 2017-12-25 2018-09-12 東洋インキScホールディングス株式会社 前処理液、及び前記前処理液を含むインキセット
WO2019150878A1 (ja) 2018-02-05 2019-08-08 富士フイルム株式会社 被記録媒体の製造方法、及び、画像記録方法
JP7056200B2 (ja) * 2018-02-14 2022-04-19 株式会社リコー 記録装置、記録方法及び記録物の製造方法
JP7073824B2 (ja) 2018-03-19 2022-05-24 株式会社リコー インクジェット用インク、インクジェット用インクセット、インク収容容器、およびインクジェット記録方法
EP3778249A4 (en) 2018-03-30 2021-06-09 FUJIFILM Corporation PRE-TREATMENT LIQUID, INK SET, IMAGE RECORDING MATERIAL, SUBSTRATE FOR IMAGE RECORDING, MANUFACTURING METHOD OF SUBSTRATE FOR IMAGE RECORDING AND IMAGE RECORDING METHOD
JP7040318B2 (ja) * 2018-06-26 2022-03-23 株式会社リコー 液体組成物、液体組成物付与装置、画像形成装置、及び画像形成方法
JP7107029B2 (ja) * 2018-06-29 2022-07-27 株式会社リコー 前処理液、インクセット、収容容器、記録装置、及び記録方法
WO2020040993A1 (en) * 2018-08-21 2020-02-27 Eastman Kodak Company Aqueous pre-treatment compositions and articles prepared therefrom
CN112739546B (zh) * 2018-09-26 2022-08-19 富士胶片株式会社 预处理液、油墨组、图像记录用基材、图像记录用基材的制造方法、图像记录物及图像记录方法
JP7234374B2 (ja) * 2019-07-25 2023-03-07 富士フイルム株式会社 非浸透性基材用インク及び画像記録方法
JP7331565B2 (ja) * 2019-09-06 2023-08-23 コニカミノルタ株式会社 インクジェット記録液セット、印刷物及びインクジェット記録方法
EP4251701A1 (en) 2020-11-30 2023-10-04 Ricoh Company, Ltd. Pre-processing fluid composition and printing method

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017222833A (ja) 2017-12-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6868217B2 (ja) 被印刷物の表面処理用液体組成物、およびそれを用いたインクセット、記録方法、記録装置、収容容器、印刷物
US10676628B2 (en) Surface treatment liquid composition for substrate, ink set, recording method, recording device, storage container, and printed matter
JP5862913B1 (ja) インク組成物及びそれを用いたインクジェット記録方法
JP2016125057A (ja) 水系インク
JP2012000893A (ja) インクジェット記録用処理液、カートリッジ、インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法
JP7110959B2 (ja) 処理液とインクのセット、画像形成方法及び画像形成装置
JP7184513B2 (ja) 水系インク
CN112123962A (zh) 表面处理用液体组合物,印刷方法,以及印刷装置
JP2018127521A (ja) インク、インク収容容器、インクセット、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法並びに記録物
JP7180476B2 (ja) インク
JP2022063248A (ja) インク、インクセット、インクジェット印刷装置、及び印刷方法
JP7139759B2 (ja) 画像形成用セット、画像形成装置および画像形成方法
JP2021188028A (ja) 白色インク、非白色インク、インクセット、印刷用セット、印刷方法、及び印刷装置
JP6496436B1 (ja) 受理溶液、この受理溶液を含有するインクセット及びインクセットを用いた印刷物の製造方法
JP7107029B2 (ja) 前処理液、インクセット、収容容器、記録装置、及び記録方法
JP7206853B2 (ja) インク、印刷方法およびインクジェット印刷装置
JP6866752B2 (ja) インク及び処理液のセット、記録方法、記録装置、並びに処理液
JP7238653B2 (ja) 液体組成物、処理液、処理液とインクのセット、画像形成方法、及び画像形成装置
JP2022135921A (ja) 処理液とインクのセット、画像形成方法、及び画像形成装置
JP2022034514A (ja) 処理液、処理液とインクのセット、印刷方法、及び印刷装置
JP2023046568A (ja) 処理液、印刷方法、及び印刷装置
EP4301821A1 (en) Set of processing fluid and inks, image forming method, and image forming apparatus
JP2023012602A (ja) 画像形成方法及び画像形成装置、処理液とインクのセット、及び印刷物の製造方法
JP2022047492A (ja) インク、画像形成方法、及び画像形成装置
JP2023090210A (ja) 印刷方法、処理液とインクのセット、及び印刷物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200907

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201030

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210312

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210325

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6868217

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151