JP2023046568A - 処理液、印刷方法、及び印刷装置 - Google Patents

処理液、印刷方法、及び印刷装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 処理液が付与された領域に対してインクを付与する場合、インクにより形成される画像においてカラーブリード及びビーディングの発生を抑制することができる一方で、インクの濡れ広がり性が低下する課題がある。また、付与された処理液の塗布ムラに起因して画像における濃度ムラが発生する課題がある。【解決手段】 第4級アンモニウムカチオンポリマー、有機溶剤、及び水を含有する処理液であって、前記第4級アンモニウムカチオンポリマーの含有量は、前記処理液の質量に対して10.0質量%以上30.0質量%以下であることを特徴とする処理液。【選択図】なし

Description

本発明は、処理液、印刷方法、及び印刷装置に関する。
従来から、インク中の色材を凝集させる機能を有する処理液を用いた印刷方法が知られている。例えば、商業印刷に用いられるコート紙や、紙器等で用いられる古紙パルプを中層及び裏層に配合して表面にコーティングを施した板紙などのような低吸収性の記録媒体に対してインクを付与した場合において発生する、隣接するドットの合一による色ムラ(ビーディング)の不具合は、記録媒体上に予め色材の凝集性を有する処理液を付与しておくことで抑制できる。
処理液に含まれる凝集剤の種類、量、及び物性値は、インク中の色材の極性及び分散方式により適宜選定することができ、例えば、色材としての顔料がアニオン性の水溶性樹脂で分散されている場合には、カチオンポリマー、カチオン性微粒子、有機酸、又は多価金属塩などが凝集剤として用いられている。
しかし、凝集剤の凝集反応が早すぎると、インク滴が記録媒体の表面に濡れ広がる前に凝集するため、インクのドット径が広がらない場合があり、着弾後のインク滴の移動による色ムラ(ビーディング)や色境界滲み(カラーブリード)は有効に抑えることができる一方で、画像濃度や彩度がかえって低下する問題がある。
また、凝集剤の凝集反応が遅すぎると、普通紙等の表面コート層を有さない記録媒体の場合には、インクが内部に浸透してしまい、発色が悪くなる問題や、ビーディングやカラーブリードが発生してしまう問題がある。
特許文献1には、印刷層の滲みの発生を抑えることを目的として、水系着色インクと水系コーティング液とを含むインクセットを備えたインクジェットプリンタによって印刷層を基材上に形成する印刷方法であって、水系着色インクが、少なくとも第1のインク、第2のインク、第3のインク及び第4のインクの4種のインクを含み、それぞれのインクが独立して、水、顔料、水溶性溶剤及び樹脂を含み、水系コーティング液が、水、水溶性溶剤及び樹脂を含み、該水系コーティング液中に含まれる樹脂がカチオン性ポリマーを含み、水系コーティング液をプリントヘッドから吐出させて、コーティング液滴を基材上に着弾させる工程と、第1のインク、第2のインク、第3のインク及び第4のインクをこの順番にプリントヘッドから吐出させて、インク滴をコーティング液上に着弾させることにより印刷層を形成させる工程とを含み、第1のインクは、水系着色インクの中で25℃における表面張力が最も低いことを特徴とする印刷方法が開示されている。
しかしながら、処理液が付与された領域に対してインクを付与する場合、インクにより形成される画像においてカラーブリード及びビーディングの発生を抑制することができる一方で、インクの濡れ広がり性が低下する課題がある。また、付与された処理液の塗布ムラに起因して画像における濃度ムラが発生する課題がある。
本発明は、第4級アンモニウムカチオンポリマー、有機溶剤、及び水を含有する処理液であって、前記第4級アンモニウムカチオンポリマーの含有量は、前記処理液の質量に対して10.0質量%以上30.0質量%以下であることを特徴とする処理液に関する。
本発明によれば、インクにより形成される画像においてカラーブリード及びビーディングの発生を抑制することができ、インクの濡れ広がり性の低下が抑制され、画像における濃度ムラの発生が抑制される処理液を提供することができる。
図1は、印刷装置の一例を示す模式図である。 図2は、処理液を塗布する処理液塗布装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
<<処理液>>
本開示の処理液は、第4級アンモニウムカチオンポリマー、有機溶剤、及び水を含む。また、必要に応じて、界面活性剤、及びその他成分を含んでもよい。
本開示における「処理液」は、被印刷物に対して付与され、処理液が付与された領域に対して後から付与されるインクと接触することで、インクにおいて凝集又は増粘を生じさせる液体組成物である。
本開示における「インク」は、被印刷物の処理液が付与された領域に対して付与されることで画像を形成する液体組成物である。
本開示における「被印刷物」は、処理液及びインクを付与される対象物である。
<第4級アンモニウムカチオンポリマー>
第4級アンモニウムカチオンポリマーは凝集剤として処理液中に含有され、処理液中に溶解している。本開示において「凝集剤」とは、処理液がインクと接触したときに、インクにおいて凝集又は増粘を生じさせる成分を表す。具体的には、例えば、インクに含まれる色材又は樹脂などの水分散性粒子を凝集させる成分が挙げられる。このような凝集剤を含む処理液を用いることで、処理液と接触したインクにおいて凝集又は増粘を生じさせ、これによりインクにより形成される画像においてカラーブリード及びビーディングの発生を抑制することができる。
第4級アンモニウムカチオンポリマーの重量平均分子量は、300以上1800以下であることが好ましく、300以上1200以下であることがより好ましく、300以上600以下であることが更に好ましい。重量平均分子量が300以上であることで、色材等に対する急激な凝集反応を抑制しつつ、色材等の全体を凝集させる作用を発揮できる。また、重量平均分子量を1800以下とすることで、処理液の粘度上昇を抑制でき、処理液の塗布性を向上させることができる。重量平均分子量を600以下とすることでより低粘度化できるため好ましい。処理液の粘度が高い場合、被印刷物への処理液の塗布ムラが発生しやすくなるため好ましくない。処理液の塗布ムラは、インクにより形成される画像において濃度ムラとして観察される。
第4級アンモニウムカチオンポリマーとしては、市販品であっても合成品であってもよいが、市販品としては、例えば、エポミン SP-003、SP-006、SP-018、SP-200(いずれも日本触媒社製)などが挙げられ、一例として、下記構造式(A)のような化学構造からなる。
Figure 2023046568000001
第4級アンモニウムカチオンポリマーの含有量は、処理液の質量に対して10.0質量%以上30.0質量%以下であり、20.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましい。10.0質量%以上30.0質量%以下であることで、顔料の分散安定性が高く、異なるインク間の25℃における静的表面張力の差が1.5mN/m以下のインクに対しても期待するカラーブリード及びビーディング抑制効果を得ることができる。また、10.0質量%未満である場合、特に、25℃における静的表面張力が25mN/m以上のインクにおいて、カラーブリードおよびビーディングの抑制が不十分となる。また、30.0質量%超である場合、第4級アンモニウムカチオンポリマーの溶解性の観点から、使用可能な有機溶剤や中和剤の種類が限定され、均一な処理液とすることが困難になり、処理液の塗布ムラ及びこれに起因する画像における濃度ムラを生じる場合があるため、好ましくない。なお、20.0質量%以上30.0質量%以下であることで、顔料分散安定性の高いインクに対してもカラーブリード及びビーディング抑制効果をより得ることができる。
なお、凝集剤としては、上記の第4級アンモニウムカチオンポリマー以外に、酸又は多価金属塩を用いることができることが知られている。本開示においては、凝集剤として、第4級アンモニウムカチオンポリマーを用いていれば、酸又は多価金属塩は用いても用いなくてもよいが、処理液の製造時に積極的に酸又は多価金属塩を添加していないこと(言い換えると、処理液において酸及び多価金属塩を実質的に含まないこと)が好ましい。
凝集剤として酸を使用する場合、カラーブリードおよびビーディング改善効果を十分発揮するためには処理液の液性が酸性であることが必要となる場合が多いが、処理液が酸性であると金属腐食を生じる可能性が高く、印刷装置に用いることができる材料が制限されてしまう。金属材料を使用する印刷装置に対しても長期間、腐食を発生させずに使用できる処理液にするためには、凝集剤として酸を用いず、処理液の液性を中性~弱アルカリ性にすることが好ましく、その条件下であっても高い凝集効果を持つ凝集剤を選定することが望ましい。この点、第4級アンモニウムカチオンポリマーであれば、処理液のpHによらず凝集効果を発揮することができるため、金属腐食防止と、カラーブリード及びビーディングの抑制と、を両立させることが可能となる。
凝集剤として多価金属塩を使用する場合、インク中の色材等との電荷的な作用によって会合し、色材等の凝集体を形成して、被印刷物への定着を促進させる効果は高いが、色材等に作用する金属イオンの分子量はカチオンポリマーや有機酸と比較して小さいため、色材等との凝集反応速度が相対的に速い。そのため、インク滴のドットの広がりが抑制される場合があり、処理液を塗布しない場合と比較してドット径が小さくなる傾向にある。特に、表面張力が高く、粘度が低いインクの場合には、被印刷物に塗布した処理液中の多価金属塩が印刷装置から吐出されたインク滴と接した瞬間にインク滴を凝集固定化する作用が働き、インク滴全体に凝集効果が行き渡る前にインク滴底面が固まる現象が起こる場合があり、高速印刷時にはドット滴上端まで凝集させることが出来ないまま次のインク滴が着弾し、ビーディング抑制効果が不十分となる現象が起こりやすい。この点、第4級アンモニウムカチオンポリマーであれば、処理液とインクの凝集反応速度を緩やかにすることができ、インクの濡れ広がりが過度に阻害されず、インク滴全体まで凝集剤成分をいきわたらせることができる。
なお、処理液は吐出不良ノズルを補間するための補間ドットを形成する制御部を有するシステム構成で用いた場合、より効果を発揮する。上記システム構成を有する場合、補間ドットによって吐出不良により生じた白スジを軽減することが可能だが、補間ドットのドット径が小さいと効果が十分発揮されず、狙いの白スジ軽減効果が得られないという問題が生じるためである。具体的には、処理液を用いた場合において、一例として、インクの吐出速度が7m/sec、駆動周波数2kHz、1滴当たりの体積が2.5pLで吐出させたときのドット径が40μm以上であれば白スジ軽減効果が得られる。
<有機溶剤>
有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤などを用いることができる。水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
有機溶剤としては、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
有機溶剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、処理液の乾燥性及び吐出信頼性の点から、処理液の質量に対して5.0質量%以上60.0質量%以下が好ましく、10.0質量%以上50.0質量%以下がより好ましい。
<水>
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、乾燥性の点から、処理液の全量に対して、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましい。シリコーン系界面活性剤としては、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S-1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
Figure 2023046568000002

(但し、一般式(S-1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF-618、KF-642、KF-643(信越化学工業株式会社)、EMALEX-SS-5602、SS-1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ-2105、FZ-2118、FZ-2154、FZ-2161、FZ-2162、FZ-2163、FZ-2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK-33、BYK-387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2~16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4~16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。 これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F-1)及び一般式(F-2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
Figure 2023046568000003
上記一般式(F-1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0~10の整数が好ましく、nは0~40の整数が好ましい。
Figure 2023046568000004
上記一般式(F-2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1~6の整数、又はCHCH(OH)CH-CmF2m+1でmは4~6の整数、又はCpH2p+1でpは1~19の整数である。nは1~6の整数である。aは4~14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS-111、S-112、S-113、S-121、S-131、S-132、S-141、S-145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC-93、FC-95、FC-98、FC-129、FC-135、FC-170C、FC-430、FC-431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF-470、F-1405、F-474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、UR、キャプストーンFS-30、FS-31、FS-3100、FS-34、FS-35(いずれも、Chemours社製);FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF-136A,PF-156A、PF-151N、PF-154、PF-159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS-3100、FS-34、FS-300、株式会社ネオス製のFT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF-151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、含有される液体(処理液)の質量に対して0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<その他の成分>
処理液には、必要に応じて、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<その他(樹脂粒子、色材)>
処理液は、実質的に樹脂粒子を含まないことが好ましい。処理液中に実質的に樹脂粒子を含まないことで、処理液付与手段や被印刷物搬送手段の汚染を抑制でき、メンテナンス性を向上させることが可能となる。なお、実質的に含まないとは、例えば、樹脂粒子の含有量が、処理液の質量に対して、0.1質量%以下であることを表すことが好ましく、処理液の製造時に積極的に樹脂粒子を添加していないことを表すことがより好ましい。
また、処理液は、用途上、実質的に色材を含まないことが好ましい。なお、実質的に含まないとは、例えば、色材の含有量が、処理液の質量に対して、0.1質量%以下であることを表すことが好ましく、処理液の製造時に積極的に色材を添加していないことを表すことがより好ましい。
<処理液の物性>
処理液の物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
処理液の25℃での粘度は、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE-80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
処理液の表面張力としては、被印刷物上で好適にレベリングされ、乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
処理液のpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
<<インク>>
インクの組成は、特に限定されないが、有機溶剤、水、色材、樹脂、界面活性剤、及びその他成分などを含む。なお、有機溶剤、水、界面活性剤、及びその他の成分については、上記の処理液と同様のものを用いることができるため、これらの説明を省略する。
<色材>
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、混晶を使用してもよい。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性のよいものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
更に、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
色材の含有量は、インクの用途等によって適宜決定すればよいが、インクの質量に対して1.0質量%以上15.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下がより好ましい。
顔料を分散させてインクを得るためには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、用いられる顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料が含まれてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。竹本油脂社製RT-100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<樹脂>
インクは、樹脂を含んでもよい。樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル-スチレン系樹脂、アクリル-シリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いてもよい。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、及び高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
<インクの物性>
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE-80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、被印刷物上で好適にレベリングされ、乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
<<被印刷物>>
被印刷物としては特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることができるが、非浸透性基材であってもよい。
非浸透性基材とは、水透過性、水吸収性、又は水吸着性が低い表面を有する基材を指し、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない基材も含まれる。より定量的には、ブリストー(Bristow)法において、接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材を指す。
非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
<<印刷装置、印刷方法>>
印刷装置は、被印刷物に対して処理液を付与する処理液付与手段と、処理液を付与された被印刷物に対してインクを付与するインク付与手段と、を有し、必要に応じてその他構成を有してもよい。その他構成としては、例えば、被印刷物に対して付与された処理液を乾燥させる処理液乾燥手段、被印刷物に対して付与されたインクを乾燥させるインク乾燥手段、処理液を収容している処理液収容手段、及びインクを収容しているインク収容手段などが挙げられる。
印刷方法は、被印刷物に対して処理液を付与する処理液付与工程と、処理液を付与された被印刷物に対してインクを付与するインク付与工程と、を有し、必要に応じてその他工程を有してもよい。その他工程としては、例えば、被印刷物に対して付与された処理液を乾燥させる処理液乾燥工程、及び被印刷物に対して付与されたインクを乾燥させるインク乾燥工程などが挙げられる。
印刷装置及び印刷方法の概要について図1を用いて説明する。図1は、印刷装置の一例を示す模式図である。
図1に示す印刷装置200は、搬送される部材である被印刷物110に対して所望の色のインクを付与するインク付与手段の一例である液体吐出ヘッドを含む液体付与部101と、被印刷物110にインクを付与する前に被印刷物に処理液を付与する処理液付与手段の一例である処理液付与部120と、インクを付与した被印刷物を加熱するインク乾燥手段の一例である加熱手段130とを有している。
被印刷物110は、元巻きローラ102から繰り出され、搬送部103の搬送ローラ112によって、液体付与部101に対向して配置された搬送ガイド部材113上に送り出され、搬送ガイド部材113で案内されて搬送される。液体付与部101によってインクが付与された被印刷物110は、加熱手段130を経て、排出ローラ114によって送られて、巻取りローラ105に巻き取られる。
処理液付与部120には、処理液を付与するための対向ローラ121が設けられている。
処理液付与部120について、図2を用いて詳細に説明する。図2は、処理液を塗布する処理液塗布装置の一例を示す概略図である。図2に示すように、被印刷物110は搬送ローラによって処理液塗布装置300内に搬送される。処理液塗布装置300には処理液205が貯留されており、処理液205は撹拌・供給ローラ206、移送・薄膜化ローラ207a、207bによって塗布ローラ208のローラ面に薄膜状に転写される。そして、塗布ローラ208は、回転する対向ローラ121に押し付けられながら回転し、その間を被印刷物110が通過することにより、表面に処理液205が塗布される。また、対向ローラ121は、圧力調整手段209によって、処理液を塗布するときのニップ圧を調節することが可能であり、これにより処理液205の塗布量を変化させることができる。また、塗布量は、塗布ローラ208の回転速度を変えることにより調節することも可能である。
液体付与部101は、インクジェット印刷方式の吐出ヘッドであり、被印刷物110の搬送方向上流側から、4色分のフルライン型ヘッド111A、111B、111C、111Dが配置されている。各ヘッド111は、それぞれ、被印刷物110に対してブラックK、シアンC、マゼンタM、及びイエローYのインクを付与する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。なお、液体付与部によるインクの付与方法は、インクジェット印刷方式に限られず、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などであってもよい。
加熱手段130としては、加熱ローラ131を用いた。加熱手段としては、加熱ローラ以外に、温風ヒーター、赤外線ヒーターなどを用いることができる。
なお、印刷装置は、吐出不良ノズルを補間するための補間ドットを形成する制御部を有していても良い。補完ドットとは、吐出不良ノズルがある場合に、抜けや曲がりが発生している不良ノズルに対して、隣接するノズルから吐出するドットの滴数や滴サイズを変更することにより、不良ノズルによるスジを補正する機能を持たせたドットである。隣接ノズルから吐出する滴数を増やす又は滴サイズを大きくすることで、搬送方向に生じる縦スジを視認しにくくすることができ、良好な印刷が可能となる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<顔料分散体の調整>
-顔料分散体1(ブラック)の調整例-
まず、攪拌装置、滴下装置、温度センサー及び上部に窒素導入装置を有する還流装置を取り付けた反応容器を備えた自動重合反応装置(轟産業社製:重合試験機DSL-2AS型)の反応容器に、メチルエチルケトンを550g仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に加温した後、滴下装置によりメタクリル酸-2-ヒドロキシエチルを75.0g、メタクリル酸を77.0g、スチレンを80.0g、メタクリル酸ブチルを150.0g、アクリル酸ブチルを98.0g、メタクリル酸メチルを20.0g、及び「パーブチルO」(日本油脂社製)40.0gの混合溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に同温度で15時間反応を継続させて、酸価100、重量平均分子量21,000、Tg(計算値)31℃のアニオン性基含有スチレン-アクリル系共重合体Aのメチルエチルケトン溶液を得た。反応終了後、メチルエチルケトンの一部を減圧留去し、不揮発分を50%に調整した共重合体A溶液を得た。
次に、冷却用ジャケットを備えた混合槽に、カーボンブラック(商品名:Raven1080、コロンビヤンカーボン日本株式会社製)を1,000g、共重合体A溶液を800g、10%水酸化ナトリウム水溶液を143g、メチルエチルケトンを100g、及び水を1,957g仕込み、撹拌混合した。混合液を、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(三井鉱山株式会社製、SCミルSC100)に通し、循環方式(分散装置より出た分散液を混合槽に戻す方式)により6時間分散した。分散装置の回転数は2,700回転/分間とし、冷却用ジャケットには冷水を通して分散液温度が40℃以下に保たれるようにした。分散終了後、混合槽より分散原液を抜き取り、次いで、水10,000gで混合槽及び分散装置流路を洗浄し、分散原液と合わせて希釈分散液を得た。ガラス製蒸留装置に希釈分散液を入れ、メチルエチルケトンの全量と水の一部を留去した。室温まで冷却後、撹拌しながら10%塩酸を滴下してpH4.5に調整した後、固形分をヌッチェ式濾過装置(日本化学機械製造株式会社製、加圧濾過機)で濾過し、水洗した。ケーキを容器に取り、20%水酸化カリウム水溶液200gを加えた後、ディスパ(特殊機化工業株式会社製、TKホモディスパー)にて分散し、更に水を加えて不揮発分を調整して、不揮発分20質量%のカーボンブラックが水酸化カリウム中で中和されたカルボキシル基含有スチレン-アクリル系共重合体で被覆された複合粒子として水性媒体中に分散した顔料分散体1を得た。
-顔料分散体2(シアン)の調整例-
顔料分散体1の調製例において、カーボンブラックを銅フタロシアニン(大日精化工業株式会社製、SEIKALIGHT BLUE A612)に変更した以外は、顔料分散体1の調製例と同様にして、顔料分散体2を得た。
-顔料分散体3(イエロー)の調整例-
顔料分散体1の調製例において、カーボンブラックをピグメントイエロー74(大日精化工業株式会社製、ファーストイエロー531)に変更した以外は、顔料分散体1の調製例と同様にして、顔料分散体3を得た。
<インクの調整>
-ブラックインク(K)の調整例-
1,5-ペンタンジオール22.5質量%、グリセリン7.5質量%、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール2.0質量%、界面活性剤(商品名:E1010、日信化学工業株式会社製)1.0質量%、2,4,7,9-テトラメチルデカン-4,7-ジオール1.1質量%、プロキセルLV(アビシア社製)0.2質量%、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール0.3質量%、及びイオン交換水を1時間撹拌し、均一に混合して、ロジン変性マレイン酸樹脂(ハリマ化成株式会社製、ハリマックR-100)2.0質量%を加えて更に1時間撹拌し均一に混合した後、顔料分散体1を固形分量が8.0質量%になるように加えて、更に1時間撹拌し均一に混合した。
得られた混合液を平均孔径が0.8μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにより加圧濾過し、粗大粒子及びゴミを除去して、ブラックインク(K)を得た。なお、ブラックインクの25℃における静的表面張力が25mN/m以上であった。
-シアンインク(C)及びイエローインク(Y)の調整例-
ブラックインク(K)の調整例において、インクの処方を下記表1に記載の組成及び含有量に変化させた以外はブラックインク(K)の調整例と同様にして、シアンインク(C)及びイエローインク(Y)を得た。なお、表1における組成の各数字の単位は「質量%」である。なお、シアンインク及びイエローインクの25℃における静的表面張力が25mN/m以上であった。
Figure 2023046568000005
<処理液の調整>
-処理液1の調整例-
グリセリン5.0質量%、1,2-プロパンジオール15.0質量%、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール0.1質量%、第4級アンモニウムカチオンポリマー(商品名:エポミン SP-006、日本触媒)20.0質量%、クエン酸無水物15.0質量%、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(商品名:エマルゲン103、花王株式会社製)0.1質量%、プロキセルLV(アビシア社製)0.1質量%、及びベンゾトリアゾール0.1質量%を添加し、1時間撹拌し均一に混合した。更に、イオン交換水を残量加えて合計を100質量%とし、1時間撹拌して均一に混合し、処理液1を得た。
-処理液2~11の調整例-
処理液1の調整例において、処理液の処方を下記表2に記載の組成及び含有量に変化させた以外は処理液1の調整例と同様にして、処理液2~11を得た。なお、表2における組成の各数字の単位は「質量%」である。また、表2に、各第4級アンモニウムカチオンポリマーの重量平均分子量(Mw)についても記載した。
なお、表2の各成分の詳細については、以下の通りである。
-金属塩-
・硝酸マグネシウム六水和物(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・クエン酸三カリウム一水和物(富士フイルム和光純薬株式会社製)
Figure 2023046568000006
[処理液の均一性]
作製した処理液を50ccのガラス瓶に50g添加し、23℃室温下にて24時間静置し、目視で沈殿物の有無を観察した。下記表3で、静置後の処理液において、濁り及び沈殿が観察されなかったものを「なし」と表示し、濁り又は沈殿が観察されたものを「あり」と表示した。
[カラーブリード]
図2に示す処理液塗布装置を有した図1に示す印刷装置に、作製した処理液と、作製したブラックインク及びイエローインクと、を充填し、被印刷物(商品名:OKトップコート、127.9g/m、王子製紙社製)に対してベタ画像を印刷した。印刷条件としては、印刷速度が50mpm、加熱ローラの設定温度が100℃、解像度が1200dpi×1200dpiであった。
得られたベタ画像の、ブラックインクにより形成された領域とイエローインクにより形成された領域の境界における滲みを目視で観察し、下記の評価基準に基づいてカラーブリードを評価した。結果を下記表3に示す。なお、B以上を合格とした。
(評価基準)
A:滲みが全く観察されない
B:30cm離れた位置から滲みが観察できる
C:1m離れた位置から滲みが観察できる
[ビーディング]
図2に示す処理液塗布装置を有した図1に示す印刷装置に、作製した処理液と、作製したシアンインク及びイエローインクと、を充填し、被印刷物(商品名:OKトップコート、127.9g/m、王子製紙社製)に対して、シアンインク及びイエローインクにより形成された二次色のベタ画像を印刷した。印刷条件としては、印刷速度が50mpm、加熱ローラの設定温度が100℃、解像度が1200dpi×1200dpiであった。
得られたベタ画像における色ムラを目視で観察し、下記の評価基準に基づいてビーディングを評価した。結果を下記表3に示す。なお、C以上を合格とした。
(評価基準)
A:色ムラが全く観察されない
B:15cm離れた位置から色ムラが観察できる
C:30cm離れた位置から色ムラが観察できる
D:1m離れた位置から色ムラが観察できる
[濡れ広がり性]
インクジェットヘッド(装置名:MH5220、株式会社リコー製)に作製したブラックインクを充填し、インクの吐出速度が7m/sec、駆動周波数が2kHz、1滴当たりの体積が2.5pLになるように吐出条件を調整し、インクジェットヘッドから1mm下に配置した回転するドラム(直径10cm、3rpm)に貼った被印刷物(商品名:OKトップコート、127.9g/m、王子製紙社製)に対して印刷を行った。なお、被印刷物には事前に処理液が付与されていた。
得られた画像におけるインクのドット径を、デジタルマイクロスコープ(装置名:VHX-1000、株式会社キーエンス社製)を用いて測定し、下記の評価基準に基づいてインクの濡れ広がり性を評価した。結果を下記表3に示す。なお、B以上を合格とした。
(評価基準)
A:ドット径が40μm以上である
B:ドット径が30μm以上40μm未満である
C:ドット径が30μm未満である
[濃度ムラ]
図2に示す処理液塗布装置を有した図1に示す印刷装置に、作製した処理液と、作製したシアンインクと、を充填し、被印刷物(商品名:OKトップコート、127.9g/m、王子製紙社製)に対してベタ画像を印刷した。印刷条件としては、印刷速度が50mpm、加熱ローラの設定温度が100℃、解像度が1200dpi×1200dpiであった。
得られたベタ画像における濃度ムラを目視で観察し、下記の評価基準に基づいて濃度ムラを評価した。結果を下記表3に示す。なお、C以上を合格とした。
(評価基準)
A:濃度ムラが全く観察されない
B:15cm離れた位置から濃度ムラが観察できる
C:30cm離れた位置から濃度ムラが観察できる
D:1m離れた位置から濃度ムラが観察できる
Figure 2023046568000007
101 液体付与部
110 被印刷物
120 処理液付与部
130 加熱手段
200 印刷装置
特開2019-107875号公報

Claims (7)

  1. 第4級アンモニウムカチオンポリマー、有機溶剤、及び水を含有する処理液であって、
    前記第4級アンモニウムカチオンポリマーの含有量は、前記処理液の質量に対して10.0質量%以上30.0質量%以下であることを特徴とする処理液。
  2. 前記第4級アンモニウムカチオンポリマーの含有量は、前記処理液の質量に対して20.0質量%以上30.0質量%以下である請求項1に記載の処理液。
  3. 前記第4級アンモニウムカチオンポリマーの重量平均分子量は、300以上1800以下である請求項1又は2に記載の処理液。
  4. 前記第4級アンモニウムカチオンポリマーの重量平均分子量は、300以上600以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の処理液。
  5. 前記処理液は、実質的に樹脂粒子を含有しない請求項1乃至4のいずれか一項に記載の処理液。
  6. 被印刷物に対して請求項1乃至5のいずれか一項に記載の処理液を付与する処理液付与工程と、前記処理液を付与された前記被印刷物に対してインクを付与するインク付与工程と、を含む印刷方法。
  7. 被印刷物に対して請求項1乃至5のいずれか一項に記載の処理液を付与する処理液付与手段と、前記処理液を付与された前記被印刷物に対してインクを付与するインク付与手段と、を含む印刷装置。
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