JP2003265137A - 精製サイリウムシードガム、およびこれを用いた製品 - Google Patents
精製サイリウムシードガム、およびこれを用いた製品Info
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Abstract
溶解しない成分やタンパク質含量が低く、溶解したとき
に優れた透明性を有する高度に精製されたサイリウムシ
ードガムおよびこれを用いた製品を提供する。 【解決手段】 0.5質量%の濃度の水溶液の光線透過
率(測定波長660nm、液厚10mm、温度25℃)
が83%以上である精製サイリウムシードガム。
Description
サイリウムシードガムおよびこれを用いた製品に関す
る。本発明の精製サイリウムシードガムは、安定剤や食
物繊維素材等として、食品添加物、特定保健用食品の原
材料等として広く利用される。
しくは、温水や熱水でサイリウム種皮(ハスク)から抽
出して得られるサイリウムシードガム(これらを総称し
てサイリウムと表すことがある)は、食物繊維の豊富
な、食品用素材として用いられて来た。近年、特にその
整腸作用および/またはコレステロール低減作用といっ
た機能により、サイリウムについては、厚生労働省から
表示を許可された特定保健用食品の原材料としての利用
が活発に行われている。
含む食品を摂取したことによりアナフィラキシーショッ
クを起こしたという症例報告(Kaplan M.J. Anaphylact
ic reactions to "Heartwise", [Letter] New Eng. J.
Med., 1990:323:1072-3)がなされて以来、日本国内に
おいても、サイリウムに不純物として含まれるタンパク
質によるアレルギーの発症が問題として取り上げられる
ようになってきた。また、この報告を受けて、厚生省生
活衛生局食品保健課長、食品化学課長より、サイリウム
を含有する食品又は添加物にあっては、高度に精製した
サイリウム製品を使用するよう関係営業者に対する指導
をお願する旨各自治体の衛生主管部(局)長宛に通知さ
れた(衛保第361号及び衛化第169号、平成9年12月2
6日)。
(1)USP5,266,473号には、1〜50質量%の固形分濃
度を有するサイリウムシードハスクのスラリーにプロテ
アーゼ(タンパク質加水分解酵素)を作用させ、ハスク
表面のアレルゲンタンパク質を分解し低アレルゲンサイ
リウムシードハスクを製造する方法が開示されている。
しかしながら、本発明の実施により得られるサイリウム
シードハスクは、ハスク表面のみのタンパク質を分解し
て得られたものであり、しかもプロテアーゼ処理をする
際のハスクの状態がスラリーであるため、ハスクの表面
でさえ、全てに、プロテアーゼが作用しているかは疑問
である。また、得られたハスクに含まれるタンパク質含
量が開示されていないため、精製度合いを推し量ること
もできない。さらに、サイリウムシードハスクを水に十
分に加熱溶解しておらず濾過操作も経ていないところか
ら、サイリウムシードハスクが常態として含有する水ま
たは熱水に溶解しない成分を精製後も内在していると考
えられ、優れた溶液透明性も期待できない。
に記載の文献である(2) Jameset al. Anaphylactic
rections to a psyllium-containing cereal, J. Alle
rgyClin. Immunol., 1991:88(3):402-408 には、粒子
の表面を研磨し、篩い分けてアレルゲンタンパク質を低
減させた、高度に精製されたサイリウムが開示されてい
る。しかしながら、開示されたサイリウムは、サイリウ
ム粒子を研磨することにより表面のタンパク質を削り取
り、これを篩い分けて得られるものであるため、微小な
削りかすが付着等により残存することは否めない。この
方法で純度98%のサイリウムを得た旨が報告されてい
るが、この場合の純度の定義も、タンパク質含量につい
ても開示されていない。さらに、サイリウムを水に溶解
し濾過する操作を経ていないことから、やはり、サイリ
ウムが常態として持つ水または熱水に溶解しない成分を
精製後も内在していると考えられ、優れた溶液透明度を
期待できない。
り剥離したサイリウムハスクを熱水分散した後、ケーキ
濾過用濾過助剤を添加することなく30乃至150メッ
シュの網あるいは同等の目開きを有する濾布を用いて不
溶解分を除去し、次いで濾液よりガム分を回収し乾燥、
粉砕することを特徴とする精製サイリウムガムの製造方
法が開示されている。しかしながら、この方法において
は、濾過が濾材表面のみで行われているために、その水
不溶成分の除去の観点からは精製度が充分とは言えず、
高い溶液透明性を要求される用途に適用するには限界が
ある。
プセル剤、ダイエット補助食品や食品等の製品は、定常
的に摂取することで、高カロリー高脂肪に偏りがちな現
代人の食生活改善に資するものと期待されている。定常
的な摂取の為には、摂取する形態が、日常生活の中で無
理なく自然に摂取できるものであることが肝要である。
リウム粉体をそのまま又は水に溶かして飲用する,薬品
様形態(錠剤、カプセル剤等)のものを服用する、サイ
リウム含有食品(一般の食品中に添加されたもの)を飲
食する、といった形態が考えられるが、日常生活の中で
無理なく自然に摂取できるものとしては、サイリウム含
有食品の形態が最も望ましいことは論を待つべくもな
い。
食品として、麺類(スナック麺、即席麺)、シリアル、
粉末清涼飲料、アルミパック入り清涼飲料(ゼリー飲
料)の4種類がある(平成14年2月20日現在)。こ
れらの特定保健用食品は、いずれも、商品価値形成に高
い溶液透明性を有するサイリウムが必須とされる製品で
はないものである。これまでは、溶解時の透明性に優れ
たサイリウムが無かったが故に、ニアウォータ、ポーシ
ョンゼリーといった透明性が要求されるサイリウム含有
食品等の開発が困難な状況にあり、これを打開するため
に、優れた溶液透明性を有するサイリウムが望まれてい
る。
を鑑み、本発明は、サイリウムが常態として持つ水また
は熱水に溶解しない成分やアレルギー発症の原因となる
虞のあるタンパク質の含量が低く、水に溶解したときに
優れた透明性を有する高度に精製されたサイリウムシー
ドガムを提供することを目的とする。また、本発明の他
の目的は、本発明の精製サイリウムシードガムを用いた
製品を提供することにある。
を達成するために、明確で客観的な指標に基づいて、高
度に精製されたサイリウムシードガムを見い出すべく鋭
意検討し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、次に記載する事項により特定することができる。 (1)0.5質量%の濃度の水溶液の光線透過率(測定
波長660nm、液厚10mm、温度25℃)が83%
以上である精製サイリウムシードガム。 (2)タンパク質の含有率が0.5質量%未満である
(1)に記載の精製サイリウムシードガム。 (3)サイリウム種皮(ハスク)またはその粉砕物を加
水分解する工程(A)および加水分解反応物をケーキ濾
過する工程(B)を有する製造方法によって得られるこ
とを特徴とする(1)または(2)に記載の精製サイリ
ウムシードガム。 (4)(1)ないし(3)のいずれかに記載の精製サイ
リウムシードガムを用いた製品。
(ハスク)またはその粉砕物は、オオバコ科の植物 プ
ランタゴオバタ(Plantago ovata) の種子から得られ
る種皮(ハスク)またはその粉砕物であり、多糖類をそ
の主成分とするものである。本発明で用いられるサイリ
ウム種皮(ハスク)またはその粉砕物としては、サイリ
ウム、サイリウムハスク、サイリウムシードガム、イサ
ゴールとして市販されているものを挙げることができ
る。本発明で用いられるサイリウム種皮(ハスク)また
はその粉砕物の具体例として、ATLAS INDUSTRIES社(以
下、ATLAS社と略す)、SHRADDHA EXPORTS社、URVESH PS
YLLIUM INDUSTRIES LIMITED社等(何れもインド所在)
の製造・販売するサイリウムパウダー、サイリウムハス
クを挙げることができる。
ドのサイリウム種皮(ハスク)またはその粉砕物を用い
ても構わないが、ごみ等共雑物の少ないものが好まし
い。また、本発明で用いられるサイリウム種皮(ハス
ク)またはその粉砕物として、これらを、例えば酸や加
熱等によってわずかに処理し、これらの粘度を若干下げ
たものや、アルカリ性アルコール水溶液中にての加熱処
理により予めタンパク質を低減させたものも原料として
使用することができる。
方法に係る加水分解工程(A)においては、加水分解反
応は、上記のサイリウム種皮(ハスク)またはその粉砕
物を溶媒に分散もしくは溶解し、これに酵素を作用させ
る方法(酵素法と表すことがある)、酸性条件下で加水
分解する方法(酸加水分解法と表すことがある)または
酵素法と酸加水分解法とを組み合わせた方法(酵素/酸
加水分解法と表すことがある)等によって行うことがで
きる。酵素/酸加水分解法においては、酵素法を行った
後に酸加水分解法を行うことも、酸加水分解法を行った
後に酵素法を行うことも、酵素の至適pHが適合すれ
ば、酵素法と酸加水分解法とを同時に行うこともでき
る。
物を酵素法により加水分解を行う際に用いることのでき
る溶媒としては、水を挙げることができる。加水分解反
応を行なう際のサイリウム種皮(ハスク)またはその粉
砕物の使用量は、溶媒100質量部に対し、サイリウム
種皮(ハスク)またはその粉砕物は、一般的には、0.
1から5質量部であり、好ましくは0.1〜2質量部、
より好ましくは0.2〜1.5質量部である。前記の使
用量が、5質量部以下であれば得られる溶液の粘性が適
性な範囲となり操作性が悪化する虞がなく、0.1質量
部以上であれば生産性が低くなる虞もない。
述のサイリウム種皮(ハスク)またはその粉砕物の分散
液もしくは溶液の粘度を減じることができるものであれ
ば、種類、起源によらず如何なるものを用いてもよい。
例えば、夾雑タンパクを加水分解することで減粘効果の
ある、プロテアーゼと称される酵素群や、サイリウムを
加水分解することのできるペクチナーゼ、ヘミセルラー
ゼ等を用いることができる。これらの酵素は、単独で、
もしくは、至適pH、至適温度等酵素の適性を考慮し
て、2種以上の酵素を組み合わせて用いてもよい。
主に食品または食品添加物として使用されるため、本発
明に用いる酵素は、精製サイリウムシードガム中に残留
した場合においても食品または食品添加物の製造に用い
ることが可能なものであることが望ましい。これらの点
から、本発明に用いることのできるプロテアーゼの好ま
しい具体例としては、例えば、プロテアーゼ M「アマ
ノ」、ウマミザイム、ニューラーゼF(以上、アマノエ
ンザイム製)、スミチーム AP、スミチーム LP(以上、
新日本化学工業製)、プロチンFA(大和化成製)等を挙
げることができる。また、ペクチナーゼの好ましい具体
例としては、例えば、ペクチナーゼPL「アマノ」、ペク
チナーゼG「アマノ」(以上、アマノエンザイム製)、
スミチームAP-2、スミチーム SPC(以上、新日本化学工
業製)、スクラーゼ S(三共製)等を、ヘミセルラーゼ
の好ましい具体例としては、例えば、ヘミセルラーゼ
「アマノ」90G(アマノエンザイム製)、スミチーム AC
H(新日本化学工業製)、ヘミセルラーゼ M(田辺製
薬)等を、挙げることができる。
性等を考慮して任意に設定できるが、経済性あるいは製
品への酵素の混入の可能性を考慮すると必要最少限の量
が好ましく、サイリウム種皮(ハスク)またはその粉砕
物100質量部に対して、一般には、0.001〜2質
量部、好ましくは0.01〜1質量部である。
する酵素の至適pH、至適温度等を考慮して適切な条件
を設定すればよいが、一般的には、pHは3〜10、好
ましくは5〜9、温度は、一般的には10〜90℃、好
ましくは20〜60℃である。pH調整は、酸性とする
ときは、塩酸、グルコノデルタラクトン等を、アルカリ
性とするときは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等
を添加することにより容易に行うことができる。
が1000 mPa・S(40℃、B型粘度計60rpm)以下となった
ときに停止すればよい。加水分解反応の停止は、アルコ
ールの添加、加熱等の方法で酵素を失活させることで行
う。精製工程の簡略化の上から、加熱法により加水分解
反応を停止させるのが好ましい。
ク)またはその粉砕物の加水分解反応を行う際に用いる
ことのできる溶媒としては、水を挙げることができる。
加水分解反応を行なう際のサイリウム種皮(ハスク)ま
たはその粉砕物の使用量は、前記酵素法と同じ程度とす
ればよい。
酸、グルコノデルタラクトン等を挙げることができる。
上述したように、本発明の精製サイリウムシードガムが
主に食品または食品添加物等の製品に使用されるため、
これら酸も、精製サイリウムシードガム中に残存した場
合においても食品または食品添加物等の製品の製造に用
いることができるものであることが望ましく、これを考
慮して選択するのが好ましい。これらの点から、上記の
酸は、食品添加物グレードであることが好ましい。本発
明で用いる酸の量は、用いる酸の濃度、pKa値に応じ
て、後述する酸加水分解反応の条件を充たすことができ
る様に、適宜調整する。
(ハスク)またはその粉砕物を処理する時間、反応温度
等に依って任意に設定することができるが、一般的に
は、pHは2〜6、好ましくは3.5〜4.5、温度
は、一般的には60〜100℃、好ましくは85〜95
℃である。酸加水分解反応は、溶液の粘度が200 mPa・S
(75℃、B型粘度計30rpm)以下となったときに反応を
停止すればよい。酸加水分解反応は、上述の塩基性物質
を用いて液のpHを、一般的には6より大、好ましくは
6.5〜10、に調整する等の方法で停止させることが
できる。
物を酵素/酸加水分解法で加水分解する場合において
は、例えば、酵素法を行った後に酸加水分解法を行う場
合においては、酵素による加水分解反応は上述した酵素
法と同様にして行うことができる。酵素法による加水分
解反応は、溶液の粘度が1000 mPa・S(40℃、B型粘度
計60rpm)以下となるまで継続し、次いで、移行する酸
加水分解反応の条件にpHを調整し、酸加水分解温度ま
で加熱することにより酵素を失活させると共に、次の酸
加水分解法に移行する。酸加水分解法に移行後は、上述
した酸加水分解法と同様にして、加水分解反応を行えば
よい。
(加水分解反応物と表すことがある)は、通常は、白〜
黄色の微濁の性状を有し、その粘度は、一般的には、20
0 mPa・S(75℃、B型粘度計30rpm)以下である。
工程(B)においては、加水分解反応物を、ケーキ濾過
する。本発明で「ケーキ濾過」とは、濾過助剤を用いて
濾過することをいう。ケーキ濾過に用いることのできる
濾過助剤は、加水分解反応物を濾過することができるも
のであれば、種類、形状、粒径等は問わないが、多糖類
のケーキ濾過において一般的に用いられている、珪藻土
やパーライト等を用いることができる。これらの平均粒
径は、10〜20μmのものが好ましい。濾過助剤の使
用量は、サイリウム種皮(ハスク)またはその粉砕物1
00質量部に対し、一般的には、0.01〜1000質
量部、好ましくは0.1〜500質量部である。加水分
解反応物と濾過助剤の加え方は、特に限定されず、公知
の方法を採用することができる。例えば、予め濾過助剤
によってケーキ層を形成させた上で濾過する等の方法も
あるが、一般的には、作業の容易さの点から、加水分解
反応物に濾過助剤を攪拌混合しこれを濾過する方法が好
ましく用いられる。
れば、特に限定されない。一般には、目開き100μm
未満の網あるいは濾布等が濾材として好ましく用いられ
る。濾過方法は、加圧濾過、減圧濾過、または加減圧な
しの自然濾過の何れを用いてもよい。濾過圧力は、加水
分解反応物が濾過できる程度のものであればよく、加水
分解反応物の性状によって適切な圧力を用いればよい。
一般的には、濾過圧力は大気圧〜1 MPaであり、濾過温
度は、一般的には、75〜95℃である。
リウムシードガムの回収方法は、スプレードライ法、水
親和性有機溶媒添加法等の公知の方法を採用することが
できる。精製度の高い製品を得るには、水親和性有機溶
媒添加法が好ましい。水親和性有機溶媒添加法に用いる
水親和性有機溶媒は、人体への安全性に問題なければ種
類は問わないが、本発明の精製サイリウムシードガムが
主に食品又は食品添加物等の製品に使用されるため、そ
の用に供するに足る精製度のものであることが望まし
い。水親和性有機溶媒の具体例としては、エタノール、
イソプロピルアルコール等の水溶性アルコール等を使用
することができる。濾液に水親和性有機溶媒を添加する
と、精製サイリウムシードガムの沈澱物を得ることがで
きる。また、少量の電解質を加えること、および/また
はpH調整により、沈澱生成の効果を上げることができ
る。これにより、沈澱生成に必要な水親和性有機溶媒量
の低減が可能となる。
製造する工程においては、処理の促進、および/または
殺菌の目的で、酵素を作用させる段階以外の各処理段階
において、酸化剤等を適宜加えることもできる。さら
に、処理中の雑菌汚染防止等の目的で、エタノール等の
有機溶媒を加えてもよい。
機溶媒添加法により得られた沈澱物等を回収し乾燥して
得られた、精製サイリウムシードガムを、粉砕し、所望
の精製サイリウムシードガムを粉体として得ることがで
きる。精製サイリウムシードガムの沈澱物の乾燥は、所
望の程度まで溶媒を除去することができる方法であれば
よく、例えば、加熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、電磁波
照射等の方法およびそれらを組み合わせた方法を用いる
ことができる。また、粉砕方法も、特に限定されず、乾
燥し固化した精製サイリウムシードガムを粉体状にでき
るものであれば如何なる粉砕方法を用いてもよい。本発
明の精製サイリウムシードガムを用いた製品としては、
例えば、本発明の精製サイリウム粉体自体を製品とした
もの、これを錠剤、カプセル等の薬品形態に形成した製
品、これを添加した各種特定保健用食品、ダイエット食
品、これを添加した飲料、化粧品、医薬部外品、医薬品
添加物、玩具等を挙げることができる。これら各種製品
は、それぞれの製品に適した公知の方法を採用して、製
造することができる。
説明する。しかし、本発明はこれら実施例に基づき限定
的に解釈されるものではない。本実施例において、特記
しないかぎり、部および%は、それぞれ、質量部および
質量%を表す。
リウム(ATLAS社製)を分散し加熱昇温し、90℃
で3時間、pHを4.0に保ちながら攪拌して溶解し加
水分解反応を行なった。その後、水酸化ナトリウムを用
いてpHを8.0に戻し、撹拌しながら濾過助剤(三井
金属製パーライト)25.0gを添加混合した。次いで
これを容量が3.0L、濾過面積が0.01m2のヌッチ
ェ濾過試験器を用い、濾材を粗布(目開き50μm)と
して、90℃の温湯でジャケット保温しながら濾過圧力
0.3MPaの条件で加水分解反応物を加圧濾過した。
得られた精製サイリウムシードガム濾液に、1.6質量
倍の蒸留イソプロピルアルコール(純度85%)を添加
し精製サイリウムシードガムを沈澱させ、回収した。こ
の沈澱物を加熱乾燥し、コーヒーミルで粉砕して18.
5gの精製サイリウムシードガムの粉末を得た。得られ
た精製サイリウムシードガムにつき、0.5質量%の濃
度となるように水に加え、加温溶解して調製した水溶液
の光線透過率(測定波長660nm、液厚10mm、温
度25℃)を可視分光光度計を用いて測定し、94.9
%の値を得た。また、得られた精製サイリウムシードガ
ムのタンパク質含量は0.43%であった。タンパク質含
量はセミミクロケルダール法で測定した。
分散し、pH調整は行わず、加熱昇温し90℃で3時間
攪拌して溶解させた。溶解後、冷水を加えて全量を2.
5Lにするとともに温度を50℃に調整した。これに酵
素「ウマミザイム」(天野製薬製)0.5gを撹拌しな
がら添加し、温度を50℃にて撹拌しながら5時間作用
させ加水分解反応を行なった。ここで、酵素添加前にp
H調整は行わなかったのは、用いた酵素の至適pHおよ
びpH安定性領域がサイリウムの1%溶液と同じ中性付
近である為である。その後、再び加熱昇温し、90℃で
30分攪拌して酵素を失活させた。この温度を保ちなが
ら塩酸を用いてpHを3.0に調整し、引き続き90℃
で3時間撹拌溶解した。これに水酸化ナトリウムを添加
してpHを8.0に戻し、実施例1と同条件にて沈澱、
乾燥、粉砕の各処理をこの順に実施して、19.3gの
精製サイリウムシードガムを得た。得られた精製サイリ
ウムシードガムにつき、実施例1と同様にして測定した
光線透過率は96.0%であった。また、実施例1と同
様にして測定したタンパク質含量は0.18%であった。
砂糖150gを水道水に分散して全量を1kgとした。
これを85℃の水浴で攪拌溶解した後、クエン酸溶液お
よびクエン酸ナトリウム塩溶液を各々適量加えてpHを
4.0に調整した。さらに、レモンフレーバー0.2gを
添加し撹拌して溶解させたのち、室温に冷却し透明性の
高いゼリー状飲料を得た。このゼリー状飲料につき、実
施例1と同様にして測定した光線透過率は92%であっ
た。
え、加熱溶解し、濃度が0.5質量%の水溶液を調製し
た。実施例1と同様にして、この水溶液の光線透過率を
測定した。得られた光線透過率は30.2%であった。
また、実施例1と同様にして測定したサイリウム(AT
RAS社製)のタンパク質含量は1.0%であった。
い、比較例1と同様にして、光線透過率およびタンパク
質含量を測定した。光線透過率およびタンパク質含量
は、それぞれ、48%および2.9%であった。
は、未精製サイリウムが常態として持つ水または熱水に
溶解しない成分の含有率が低く、その水溶液は高い光線
透過率を有し、またアレルギー等の原因となりうるタン
パク質含量も低い。本発明の精製サイリウムシードガム
は、透明性を要求される商品等の、従来のサイリウムで
は適用できなかった製品にまで適用範囲を広げることを
可能とし、選択できる商品バリエーションを広げ、一般
消費者によるサイリウムの定常的な摂取の機会を拡幅す
ることを可能とした。
Claims (4)
- 【請求項1】 0.5質量%の濃度の水溶液の光線透過
率(測定波長660nm、液厚10mm、温度25℃)
が83%以上である精製サイリウムシードガム。 - 【請求項2】 タンパク質の含有率が0.5質量%未満
である請求項1に記載の精製サイリウムシードガム。 - 【請求項3】 サイリウム種皮(ハスク)またはその粉
砕物を加水分解する工程(A)および加水分解反応物を
ケーキ濾過する工程(B)を有する製造方法によって得
られることを特徴とする請求項1または2に記載の精製
サイリウムシードガム。 - 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の精
製サイリウムシードガムを用いた製品。
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