JP2000186044A - 糖質分解酵素阻害剤及びそれを含有する食品又は医薬品 - Google Patents

糖質分解酵素阻害剤及びそれを含有する食品又は医薬品

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JP2000186044A
JP2000186044A JP10364320A JP36432098A JP2000186044A JP 2000186044 A JP2000186044 A JP 2000186044A JP 10364320 A JP10364320 A JP 10364320A JP 36432098 A JP36432098 A JP 36432098A JP 2000186044 A JP2000186044 A JP 2000186044A
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enzyme inhibitor
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Yoshishige Yamamoto
良重 山本
Tetsuji Tomita
哲司 富田
Norimasa Yanai
徳正 矢内
Tsuneya Yatake
経也 弥武
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Showa Sangyo Co Ltd
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Showa Sangyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性に優れた糖質分解酵素阻害剤を経済的
に提供すること。 【解決手段】 小麦ふすまの加熱生成物を有効成分とす
ることを特徴とする耐熱性糖質分解酵素阻害剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小麦ふすま由来の
加熱生成物を有効成分とする糖質分解酵素阻害剤、該阻
害剤の製造法、及び該阻害剤を添加した食品又は医薬品
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年我が国では食生活の向上に伴い、肥
満、糖尿病、高脂血症などの疾患が急増している。この
ような疾患の原因としては摂取カロリーが多すぎるとい
うことが第一に挙げられる。従って予防、治療には、ま
ず摂取カロリーを減らすことが重要であるが、食事制限
は精神的苦痛を伴う上にカロリー計算など手間がかかる
ため長続きせず、効果を上げるのが難しい。そこで、消
化酵素の活性を阻害することにより体内への過剰なエネ
ルギーの供給を抑制することを目的として、消化酵素阻
害剤が開発、利用されている。
【0003】日本人の食生活においては、総摂取エネル
ギーの約60%を糖質が占めている。このことから特
に、糖質の消化を抑制することは非常に有効であると考
えられ、食品を摂取する際に糖質分解酵素阻害剤を利用
して糖質の消化を阻害し、エネルギー供給を抑制する方
法が考えられている。
【0004】α−アミラーゼは澱粉、グリコーゲンを加
水分解する酵素で、動物の唾液、膵液中に含まれる。
【0005】α−アミラーゼ阻害物質に関しては古くか
ら研究が行われており、様々な由来のものが報告されて
いる。植物由来のものとしては、小麦の蛋白性物質(特
開昭57−140727号公報、特開昭58−85899号公報、特開
平9−194392号公報)、ビンロウジのフェノール性物質
(特開昭63−185995号公報)、サトイモの蛋白性物質
(特開平3−294300号公報)、月桂樹の粗エキス(特開
平4−27389号公報、特開平5−148153号公報)、大麦の
蛋白性物質(特開平4−134099号公報)、大豆の多糖
(特開平3−291229号公報)等が報告されている。ま
た、マオウ(特開平9−2963号公報)、ボタンピ(特開
平9−2966号公報)、桂皮(特開平9−40572号公報)、
グアバ葉(特開平7−59539号公報)等からも抽出されて
いる。
【0006】α−グルコシダーゼには、アミラーゼが澱
粉を加水分解して生じるマルトースやマルトトリオース
を加水分解するマルターゼや、スクロースを分解するス
クラーゼ等が含まれ、動物の小腸上皮細胞に存在する。
α−グルコシダーゼ阻害剤に関しても、糖尿病の治療薬
として研究、開発されており、アカルボース、ボグリボ
ースが実用化されている(薬局Vol.47,No.9(1996)
1278−1292)。またD−キシロース、L−アラビノースな
どの天然糖質がスクラーゼに対して阻害効果を示すこと
が報告されている(Semenza, G.and V.Balthazar,
A.−K.:Eur.J.Biochem.,41,149(1974)、特開
平6−65080号公報)。
【0007】また、α−アミラーゼ阻害剤に関するもの
としては、特開平8−12584号公報、特開平8−10325
4号公報、特開平9−172999号公報等が挙げられるが、
その耐熱性は、のものはpH2〜4、4℃で18時間
安定;pH7、100℃で3時間安定、のものは酸性
側で、85℃で5分間安定、のものは酸性側では安定
であるが、中性側では安定ではない等、いずれも、その
安定性は十分ではない。
【0008】以上のようにこれまでに多くの、α−アミ
ラーゼ阻害剤、α−グルコシダーゼ阻害剤が開発されて
きたが、有効性が充分でなかったり、原料コストが高い
等の問題があり、また、耐熱性が低く加工食品に利用し
難いという問題がある等、未だ、実用的なものが開発さ
れていないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐熱
性に優れた糖質分解酵素阻害剤を経済的に提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究の結果、小麦ふすまを酸性条
件下で加熱処理すれば、耐熱性、安全性に優れたα−ア
ミラーゼ阻害活性及び/又はα−グルコシダーゼ阻害活
性を有する加熱生成物が経済的に得られることを見出
し、更に研究を重ねた結果、本発明を完成した。
【0011】即ち、本発明は、以下の通りである。
【0012】(1) 小麦ふすまの加熱生成物を有効成
分とすることを特徴とする耐熱性糖質分解酵素阻害剤。
【0013】(2) 加熱生成物が酸性条件下のもので
ある上記1記載の耐熱性糖質分解酵素阻害剤。
【0014】(3) 加熱生成物が小麦ふすまの蛋白質
由来成分を主成分とするα−アミラーゼ阻害物質である
上記1又は2記載の耐熱性糖質分解酵素阻害剤。
【0015】(4) 加熱生成物が小麦ふすまの糖質成
分由来のα−グルコシダーゼ阻害物質である上記1又は
2記載の耐熱性糖質分解酵素阻害剤。
【0016】(5) 小麦ふすまを、酸性条件下で加熱
処理して糖質分解酵素阻害活性を有する加熱生成物を得
ることを特徴とする耐熱性糖質分解酵素阻害剤の製造
法。
【0017】(6) 酸性条件下での加熱処理が、pH
1〜4、好ましくは1〜3、加熱温度80〜150℃、
好ましくは110〜140℃で行われるものである上記
5記載の耐熱性糖質分解酵素阻害剤の製造法。
【0018】(7) 上記1、2、3又は4記載の耐熱
性糖質分解酵素阻害剤を含有する食品又は医薬品。
【0019】本発明の糖質分解酵素阻害剤は、以下に示
す性質を有する。
【0020】(1)ヒト唾液α−アミラーゼ及びブタ膵
臓α−アミラーゼを阻害する。
【0021】(2)シュクラーゼ、マルターゼを阻害す
る。
【0022】(3)温度安定性:pH3〜7の範囲で、
100℃処理で1時間安定。
【0023】一般に、蛋白質は、酸性条件下で加熱処理
すると変性または加水分解するため、もともとその蛋白
質が持っていた機能を失うことが多い。従って、従来の
蛋白系小麦由来α−アミラーゼ阻害剤は、このような工
程を経ずに調製されていた。
【0024】ところが、本発明は、このような常識に反
して、小麦ふすまの場合、酸性条件下で高温加熱処理し
たにもかかわらず、糖質分解酵素阻害剤が得られるとい
う全く予想外な事実の発見に基づいてなされたものであ
り、得られた小麦ふすまの蛋白質由来の成分を主成分と
した糖質分解酵素阻害剤は、α−アミラーゼ阻害活性を
有し、しかも耐熱性が高いことを見出した。また、同時
に、α−グルコシダーゼ阻害活性を有することを見出し
た。このように、α−グルコシダーゼ阻害活性を有する
ものが得られたのは、多分、小麦ふすまに含まれる糖質
成分であるアラビノキシランの分解物である、キシロー
ス、アラビノース、又はこれらを構成糖とする糖質が生
成したためであると推察される。
【0025】本発明の製造法では、製粉工場の副産物で
ある小麦ふすまから、単なる酸性下の加熱処理により、
α−アミラーゼ阻害物質とα−グルコシダーゼ阻害物質
の両方を含有する阻害剤が短時間に得られるので、効率
的かつ経済的である。
【0026】また、本発明の糖質分解酵素阻害剤を用い
れば、α−アミラーゼ阻害物質とα−グルコシダーゼ阻
害物質を一緒に摂取することができるので、簡便かつ非
常に有効である。
【0027】そればかりでなく、本発明の糖質分解酵素
阻害剤は、酸性条件下での高温処理により得られるもの
であるので、耐熱性に優れている。従って、加工食品や
医薬品等に利用しても、その殺菌工程や加工、調理過程
で阻害活性が低下しない点で非常に有利である。
【0028】以下、本発明を詳細に説明する。
【0029】本発明の糖質分解酵素阻害剤の製造法は、
以下のようにして行うのがよい。
【0030】小麦ふすまとしては、その種類は特に限定
されるものではなく、何れの種類でもよく、通常の製粉
工程で発生する一般ふすま及びそれ以外のふすまの何れ
も利用できる。
【0031】小麦ふすま等から水洗によって水溶性蛋
白、少糖類、ミネラル類などの水溶性成分を除去し、本
発明の方法に供すれば、純度のよいものが得られる。
【0032】具体的には、小麦ふすまに水を加え、適当
な温度に加熱し、撹拌しながら洗浄する。洗浄温度は6
0℃前後、時間は1時間以上が望ましい。
【0033】また、水洗した小麦ふすまに、澱粉分解酵
素を作用させて澱粉を完全に除去し、本発明の方法に供
すれば、更に純度の高いものを得ることができる。
【0034】上述したように、本発明では、まず、原料
の小麦ふすま等を水洗して、水溶性蛋白や少糖類などを
除去するのが好ましい。水洗時の水温や分散方法につい
ては特に限定されない。固液分離は、濾過、遠心分離、
湿式分級などの一般的な方法であれば何れの方法を採用
してもよい。固液分離によって回収した小麦ふすまは、
更に、澱粉を除去してから本発明の方法に供するのが望
ましいが、必ずしも澱粉の除去を行う必要はない。
【0035】なお、小麦ふすまの洗浄と澱粉分解反応は
同時に行ってもよい。
【0036】小麦ふすま等から澱粉を完全に除くには、
澱粉分解酵素を作用させる必要がある。澱粉分解酵素と
しては、ノボノルディスクバイオインダストリー(株)
の「ターマミル」やナガセ生化学工業(株)の「グルコ
チームDB」等が使用できる。例えば、「グルコチーム
DB」を用いる場合には、水洗後の固液分離によって得
られた小麦ふすま等に10〜15倍容量程度の水を加
え、小麦ふすま等に対して0.1%(w/w)の「グルコ
チームDB」を添加して75〜95℃で1〜2時間も反
応させれば十分である。澱粉分解反応終了後の固液分離
は、濾過、遠心分離、湿式分級など何れの方法で行って
もよい。
【0037】小麦ふすま等の粒度は、特に調整する必要
はないが、澱粉分解酵素を作用させる場合には、粉砕に
よって予め粒度をある程度細かくしておくのが望まし
い。粉砕は乾式または湿式の何れを採用してもよく、粉
砕操作は水洗前後の何れで行っても構わない。ただし、
過度の粉砕によって固液分離の効率に影響するほど粒子
が細かくなりすぎるのは好ましくない。また、水洗後に
乾式で粉砕するには、水洗後に固液分離で回収した小麦
ふすま等を乾燥する必要があるので、経済的にはあまり
望ましくない。
【0038】小麦ふすまの洗浄と澱粉分解反応処理後、
固液分離を行うが、該分離は、濾過、遠心分離、湿式分
級など何れの方法で行ってもよい。
【0039】次いで、分取した固形物は、本発明の方
法、即ち、酸性条件下、好ましくはpHを1〜4、特に
好ましくは1〜3に調整して加熱処理する。加熱温度は
80〜150℃、好ましくは100〜150℃、特に好
ましくは110〜140℃であり、加熱時間は3〜12
0分、好ましくは10〜60分で実施するのがよい。
【0040】加熱処理後、中和し、固液分離、例えば、
遠心分離により上清を回収して、目的物を得ることがで
きる。
【0041】本発明の糖質分解酵素阻害剤は、このよう
にして得られる抽出液に限られるものではなく、濃縮
液、希釈液として使用することもできる。また、必要に
応じて、例えば、その活性を高める等の目的により、さ
らに精製工程を加えてもよい。
【0042】<用途>本発明の糖質分解酵素阻害剤は、
そのまま、又は食品、医薬品等に添加して利用できる。
【0043】本発明の糖質分解酵素阻害剤を食品として
利用する場合、その種類は、いかなるものであってもよ
く、例えばパン、麺、ビスケット、ケーキ等の澱粉含有
食品の他、米と一緒に摂取できるふりかけやソーセー
ジ、ハム、かまぼこ等の副食、ゼリー、プリン等のデザ
ート、ヨーグルト、アイスクリーム、ミルク等の乳製
品、グミ、キャンディ、チョコレート、ガム等の菓子
類、ジュース、ドリンク等の飲料、痩身を目的とした健
康食品等が挙げられる。更には、ペットフード等動物用
飼料にも利用できる。
【0044】また、本発明の糖質分解酵素阻害剤を医薬
品として利用する場合、例えば、賦形剤、着色剤、滑沢
剤、結合剤、崩壊剤、被覆剤、安定剤、保存剤等を配合
することができる。この場合、各成分と糖質分解酵素阻
害剤の配合割合は、特に制限されるものではなく、その
製剤化に適した割合を適宜選定することができる。ま
た、これらを配合した医薬品の製剤の剤型としては、錠
剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤等が挙げられ
る。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明の糖質分解酵素阻害剤の性
質及びその試験方法の詳細は、以下の通りである。
【0046】<α−アミラーゼ阻害物質の理化学的性質
> (1)分子量 ゲルろ過による分子量 HiLoad 16/60 Superdex 200 pg(フアルマシア製)を
用いたゲルろ過によると、活性のピークの分子量は排除
限界以上であった。
【0047】(2)SDS−PAGEによる分子量 Phast System(フアルマシア社製)を用いて行った。
【0048】Phast Gel Gradient 10−15を用いたSDS−
PAGEによると、(1)の活性のピークの分子量は約8,0
00以下であった。
【0049】(3)熱に対する安定性 100℃、1時間(pH7.0)の処理では、阻害活性は完全
に保持された。
【0050】(4)蛋白分解酵素の影響 糖質分解酵素阻害剤240mgに基質特異性の低い蛋白分
解酵素アクチナーゼE(科研製薬)600PU、またはプ
ロテアーゼ(サブチリシン;SIGMA)100Uを作用
させ、40℃、64時間反応させた。阻害活性の残存率
は下表のとおり。なお、この条件下でα−グルコシダー
ゼ阻害活性に変化は見られなかった。 阻害活性の残存率 ブタ膵臓α−アミラーゼ ヒト唾液α−アミラーゼ アクチナーゼ 76% 71% プロテアーゼ 76% 67% <α−アミラーゼ阻害活性の測定法>試料液 0.25 m
l、50 mM NaCl、5 mM CaC1及び0.04%卵白アルブミ
ンを含む20 mM PIPES(ピペラジン−N,N´−ビス(2-エ
タンスルホン酸))緩衝液(pH 6.9)0.15 ml、0.6
%可溶性澱粉溶液 0.5 mlを混合する。37℃、5分間予
備加熱後、ブタ膵臓またはヒト唾液αアミラーゼ溶液
0.1 mlを加え37℃、10分間反応させた。ヨウ素液(ヨ
ウ素0.05%、ヨウ化カリウム0.5%/1N塩酸)0.1 m
l、水2 mlを加え、660 nmでの吸光度を測定する。
【0051】なお、測定には試料を含まない時に吸光度
を80%減少させる酵素量を用い、この時の酵素活性を50
%阻害する阻害剤量を1 unit(U)とする。
【0052】<α一グルコシダーゼ阻害活性の測定法> (シュクラーゼ、マルターゼ阻害活性)ラット小腸アセ
トン粉末(シグマ社)に生理食塩水を加えてホモジナイ
ズし、遠心分離し上清を粗酵素液とする。試料液 0.2
5 ml、200 mMマレイン酸緩衝液(pH 6.0)0.2ml、基
質(20 mMシュクロース、またはマルトース)0.25 m
l、水0.1 mlを混合した。37℃、5分間予備加熱後、粗
酵素液0.2 ml加え、37℃、15分間反応させる。
【0053】生成したグルコース量をグルコースCIIテ
ストワコー(和光純薬)で測定し、阻害活性はコントロ
ールに対する阻害率(%)で示す。
【0054】
【実施例】以下に実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はそれらの例により限定されない。
【0055】
【実施例1】(糖質分解酵素阻害剤の調製)小麦ふすま
10gに水100gを加え、塩酸でpH5.0に調整
し、グルコチームDB(ナガセ生化学工業(株))を
0.01g加えて、60℃、5時間澱粉分解反応兼洗浄
を行った。遠心分離で上清を除去し、沈殿に水50gを
加えて、蓚酸でpH1.8に調整した。121℃、60
分加熱後、水酸化ナトリウムで中和して遠心分離で上清
を回収し、抽出液75.2g(固形分含量5.4g)を
得た。
【0056】この抽出液のブタ膵臓及びヒト唾液のαア
ミラーゼに対する阻害活性は1739U、2450Uで
あった。
【0057】また、シュクラーゼ及びマルターゼの阻害
率は、阻害物質濃度2mg/ml反応液で、46%及び
32%であった。
【0058】
【実施例2】小麦ふすま10gに水100gを加え、6
0℃で80分撹拌し洗浄した。遠心分離で上清を除去
し、沈殿に水50gを加えて、蓚酸でpH1.8に調整
した。遠心分離で上清を除去し121℃、60分加熱
後、水50gを加えて水酸化ナトリウムで中和して遠心
分離で上清を回収し、抽出液20.1gを得た。
【0059】この抽出液のブタ膵臓及びヒト唾液のαア
ミラーゼに対する阻害活性は1520U、2300Uで
あった。また、シュクラーゼ及びマルターゼの阻害率
は、阻害物質濃度4mg/ml反応液で、57%及び4
9%であった。
【0060】
【実施例3】(耐熱性)実施例1で調製した糖質分解酵
素阻害剤を、pH7、100℃で各時間保温後、アミラ
ーゼ阻害活性の残存率を測定した。 残存活性 保温時間 0分 10分 30分 60分 ブタ膵臓α−アミラーゼ 100% 101% 101% 103% ヒト唾液α−アミラーゼ 100% 104% 105% 101% この結果から、60分まで阻害活性は低下せず、非常に
耐熱性が高いことが確認された。
【0061】
【実施例4】(pH安定性)実施例1で調製した糖質分
解酵素阻害剤を、各pHで、100℃、5分保温後、ア
ミラーゼ阻害活性の残存率を測定した。 残存活性 pH 7 6 5 4 3 ブタ膵臓α−アミラーゼ 100% 100% 101% 98% 95% ヒト唾液α−アミラーゼ 100% 99% 102% 99% 97% この結果から、酸性〜中性領域で阻害活性は低下せず、
非常にpH安定性が高いことが確認された。
【0062】
【実施例5】実施例1の加熱条件を変更して実験を行
い、得られた糖質分解酵素阻害剤の阻害活性を示すと、
以下の通りである。
【0063】〔実施例5−1〕(変更条件:pH) 各pH(1〜7)で、110℃、60分加熱した。結果
を表1に示す。
【0064】
【表1】 〔実施例5−2〕(変更条件:加熱温度) pH2、各温度で、60分加熱した。結果を表2に示
す。
【0065】
【表2】 〔実施例5−3〕(変更条件:加熱時間) pH2、110℃で各時間加熱した。結果を表3に示
す。
【0066】
【表3】 上記の結果から、小麦ふすまを、酸性条件下(pH1〜
4)、高温度(80〜150℃)で加熱処理すれば、短
時間(3〜60分)に高い糖質分解酵素阻害活性を有す
るものが得られることが分かる。
【0067】
【発明の効果】1.本発明では、安価な原料である小麦
ふすまから、酸性条件下の加熱処理という簡単な手段に
より、有用な糖質分解酵素阻害剤を得ることができるの
で、経済的である。
【0068】2.本発明の糖質分解酵素阻害剤は、唾液
アミラーゼと膵臓アミラーゼに対して高い阻害活性を有
するα−アミラーゼ阻害物質及びシュクラーゼ、マルタ
ーゼを阻害するα−グルコシダーゼ阻害物質を含有し、
両方で糖質の消化を抑制するため、肥満、糖尿病、高脂
血症などの疾患の予防、治療に効果的である。
【0069】3.本発明の糖質分解酵素阻害剤は優れた
耐熱性を有しているので、加工食品や医薬品等に利用し
ても、その殺菌工程や加工、調理過程で阻害活性が低下
しない点で非常に有利であり、さまざまな食品や医薬品
等に添加して利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/99 C12N 9/99 (72)発明者 矢内 徳正 千葉県船橋市日の出2丁目20−2 昭和産 業株式会社総合研究所内 (72)発明者 弥武 経也 茨城県鹿島郡神栖町東深芝6 昭和産業株 式会社鹿島事業所内 Fターム(参考) 4B018 LB01 LB02 LB05 LB06 LB07 LB08 LB10 LE05 MD49 ME01 MF01 MF04 4C088 AB73 AC04 AC14 BA06 BA16 CA02 CA23 MA52 NA14 ZA70 ZC20 ZC33 ZC35 4H055 AA01 AA02 AA03 AB10 AB25 AC11 AD30 BA30 CA64 DA12

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 小麦ふすまの加熱生成物を有効成分とす
    ることを特徴とする耐熱性糖質分解酵素阻害剤。
  2. 【請求項2】 加熱生成物が酸性条件下のものである請
    求項1記載の耐熱性糖質分解酵素阻害剤。
  3. 【請求項3】 加熱生成物が小麦ふすまの蛋白質由来成
    分を主成分とするα−アミラーゼ阻害物質である請求項
    1又は2記載の耐熱性糖質分解酵素阻害剤。
  4. 【請求項4】 加熱生成物が小麦ふすまの糖質成分由来
    のα−グルコシダーゼ阻害物質である請求項1又は2記
    載の耐熱性糖質分解酵素阻害剤。
  5. 【請求項5】 小麦ふすまを、酸性条件下で加熱処理し
    て糖質分解酵素阻害活性を有する加熱生成物を得ること
    を特徴とする耐熱性糖質分解酵素阻害剤の製造法。
  6. 【請求項6】 酸性条件下での加熱処理が、pH1〜
    4、好ましくは1〜3、加熱温度80〜150℃、好ま
    しくは110〜140℃で行われるものである請求項5
    記載の耐熱性糖質分解酵素阻害剤の製造法。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3又は4記載の耐熱性糖
    質分解酵素阻害剤を含有する食品又は医薬品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100435829B1 (ko) * 2001-09-24 2004-06-12 (주)바이오랩 수크라아제와 말타아제에 대한 난황항체의 생산방법 및이를 이용한 식이 탄수화물의 흡수 억제용 조성물
US7354606B2 (en) 2002-11-07 2008-04-08 Access Business Group International Llc Nutritional supplement containing alpha-glucosidase and alpha-amylase inhibitors
CN103005282A (zh) * 2013-01-05 2013-04-03 江苏大学 一种具有降糖作用的麦麸提取物保健食品及其制备方法
KR101440781B1 (ko) 2011-07-12 2014-09-17 이해수 밀겨 추출물을 이용한 간 기능 개선제 조성물
JP2017165672A (ja) * 2016-03-15 2017-09-21 キューサイ株式会社 多糖消化阻害剤
WO2020040757A1 (en) * 2018-08-22 2020-02-27 General Mills, Inc. Functionalized bran

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