JP2014003971A - 茶葉由来のタンパク質分解物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】茶葉あるいは茶殻をアルカリ水溶液で抽出し、得られた抽出液に酸を加えてpH2から5にすることによりタンパク質画分を沈降させる工程及び、得られたタンパク質画分をタンパク質分解酵素で分解し酵素反応を停止した後に、酵素反応液をpH2から5にすることで未反応タンパク質を沈降させ、酸性水溶液可溶のペプチド画分と未反応タンパク質画分とを分離する工程を順次行う。また、タンパク質分解酵素での分解工程では、中性エンドペプチダーゼ、酸性エキソペプチダーゼを作用させる。
【選択図】なし
Description
すなわち、請求項1記載の本発明は、以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法を提供するものである。
(a)茶葉をアルカリ水溶液で抽出し、抽出残渣を取り除き抽出液を得る工程
(b)抽出液のpHを2から5にすることにより凝集したタンパク質画分を回収する工程
(c)タンパク質画分を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤及び酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し反応液を得る工程
(d)反応液のpHを2から5に調整して不溶性画分を除去し可溶性画分としてタンパク質分解物を回収する工程
請求項2記載の本発明は、以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法を提供するものである。
(a)茶葉をアルカリ水溶液で抽出し、抽出残渣を取り除き抽出液を得る工程
(b)抽出液のpHを2から5にすることにより凝集したタンパク質画分を回収する工程
(e)タンパク質画分を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し反応液を得る工程
(d)反応液のpHを2から5に調整して不溶性画分を除去し可溶性画分としてタンパク質分解物を回収する工程
(f)タンパク質分解物を、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解する工程
請求項3記載の本発明は、以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法を提供するものである。
(a)茶葉をアルカリ水溶液で抽出し、抽出残渣を取り除き抽出液を得る工程
(b)抽出液のpHを2から5にすることにより凝集したタンパク質画分を回収する工程
(c)タンパク質画分を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤及び酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し反応液を得る工程
(g)反応液を限外ろ過膜で処理して透過液としてタンパク質分解物を回収する工程
請求項4記載の本発明は、以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法を提供するものである。
(a)茶葉をアルカリ水溶液で抽出し、抽出残渣を取り除き抽出液を得る工程
(b)抽出液のpHを2から5にすることにより凝集したタンパク質画分を回収する工程
(e)タンパク質画分を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し反応液を得る工程
(g)反応液を限外ろ過膜で処理して透過液としてタンパク質分解物を回収する工程
(f)タンパク質分解物を、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解する工程
請求項5記載の本発明は、さらに、回収したタンパク質分解物を限外ろ過膜を用いて処理して透過液としてタンパク分解物を得ることを特徴とする請求項1乃至2記載のタンパク質分解物の製造方法を提供するものである。
請求項6記載の本発明は、アミノ酸を乾燥固形中に1重量%以上含有する請求項1乃至5記載の製造方法により得られるタンパク質分解物である。ここでアミノ酸とはアスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、セリン(Ser)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、テアニン(Thea)、γ-アミノ酪酸(GABA)の10種類を示す。また、本請求項の重量%は、これら10種類のアミノ酸の合計含有量である。
請求項7記載の本発明は、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpで表されるジペプチドの合計が乾燥固形中に0.1重量%以上含有する請求項6記載のタンパク質分解物である。
請求項8記載の本発明は、請求項6乃至7記載のタンパク質分解物を含有する食品素材或いは食品添加剤である。
請求項9記載の本発明は、請求項6乃至7記載のタンパク質分解物を含有する飲食品である。
請求項10記載の本発明は、請求項8記載の食品素材或いは食品添加剤を含有する飲食品である。
請求項11記載の本発明は、粉末状或いは液体状の清涼飲料である請求項9乃至10の飲食品である。
請求項12記載の本発明は、請求項6乃至7記載のタンパク質分解物を有効成分として含有する血圧降下剤である。
請求項13記載の本発明は、請求項6乃至7記載のタンパク質分解物を有効成分として含有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤である。
本発明で使用される茶葉としては、チャノキ(Camellia sinensis)を原料としたものであれば良く、その加工度、加工方法は問わず、生茶葉や緑茶、白茶、烏龍茶、紅茶、ジャスミン茶として加工された茶葉をそのまま利用できるほか、茶飲料の製造工程で生じる抽出残渣(茶殻)を原料とすることができるが、未利用資源の有効活用という観点からして、茶殻を原料とすることが好ましい。
タンパク質抽出時の温度は40℃以上であれば、茶葉あるいは茶殻からタンパク質を抽出できるが、好ましくは50℃以上95℃以下、より好ましくは60℃以上90℃以下、さらに好ましくは75℃以上85℃以下の条件が適している。
タンパク質抽出に要する時間は30分から24時間程度であるが、製造コストとタンパク質抽出効率を鑑みれば、1時間以上10時間以下が好ましく、2時間以上5時間以下がより好ましい。
中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で酵素分解を行う場合、含有されるエンドペプチダーゼが安定的に作用できるpHであれば問題なく酵素分解が可能であるが、酵素分解を行うタンパク質により最適pHが変化することを考慮に入れると、反応pHを好ましくは至適pH±1.5の範囲で、より好ましくは至適pH±1.0の範囲で、さらに好ましくは至適pH±0.5の範囲で酵素分解を行うとよい。例えばサモアーゼPC10Fによる酵素分解の場合、至適pHが7.0付近であるが、茶葉タンパク質を酵素分解できるpHは5.5以上8.5以下であり、得られるタンパク質分解物の収量を増加させるためには、反応pHを好ましくは6.0以上8.0以下の範囲で、さらに好ましくは反応pHを6.5以上7.5以下の範囲に設定すればよい。
中性エンドペプチダーゼと酸性エキソペプチダーゼの各酵素反応条件は上記の通りであるが、中性エンドペプチダーゼ活性と酸性エキソペプチダーゼ活性の双方を有する酵素製剤あるいは、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤を併用する場合、双方のペプチダーゼ活性が安定して作用できるpHであれば、茶葉タンパク質を分解物することが出来るが、好ましくは反応pHを4.0以上7.0以下、より好ましくは反応pHを4.5以上6.8以下で、さらに好ましくは反応pHを5.0以上6.5以下に設定することが適している。例えば、中性エンドペプチダーゼ活性と酸性エキソペプチダーゼ活性の双方を有する酵素製剤であるスミチームLPの場合、茶葉タンパク質を分解するのに適している反応pHは5.5以上6.5以下である。
限外濾過膜の分画分子量を100,000より大きくした場合、透過液に未分解のタンパク質が多く含まれるため、得られるタンパク質分解物の溶解性が悪くなる可能性があり、限外濾過膜の分画分子量が1,000未満の場合、透過液としてのタンパク質分解物中のACE阻害活性ペプチド含有量が低下することが考えられるため、限外濾過膜として好ましくない。
さらに得られたタンパク質分解物の香味上の問題、異臭等に関しては活性炭処理等の手段を行って改善することも可能である。
尚、本明細書中で記載している“アミノ酸含有量”のアミノ酸類はタンパク質分解物中のアスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、セリン(Ser)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、テアニン(Thea)、γ-アミノ酪酸(GABA)の10種類であり、“アミノ酸含有量”はタンパク質分解物乾燥固形中に含まれる上記10種類のアミノ酸の合計含有量である。
茶系飲料、コーヒー飲料、炭酸飲料、果実飲料、果実酒類、野菜飲料、清涼飲料、乳飲料類、乳酸菌飲料類、ドリンク剤類、スポーツドリンク、豆乳などの飲料類;アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓、ヨーグルト、プリン、ゼリーなどのデザート類;饅頭、羊羹、キャラメル、キャンディー、錠菓、スナック、クラッカー、ビスケット、クッキー、パイ、チョコレート、チューインガムなどの菓子類;和風スープ、洋風スープ、中華スープ、味噌汁などのスープ類;パン類;ジャム類;マヨネーズ、ドレッシングなどの調味料類;レトルトカレー等のレトルト食品などを挙げることができる。尚、本発明のタンパク質分解物を飲食品に含有させる場合、添加量としては飲食品1食あたり10mgから2,000mg、好ましくは50mgから1,000mg、より好ましくは100mgから800mg、さらに好ましくは200mgから600mgが適当である。
緑茶飲料、紅茶飲料、烏龍茶飲料、麦茶飲料、はと麦茶飲料、甜茶飲料、プーアル茶飲料、ジャスミン茶飲料、抹茶飲料、ブレンド茶飲料、杜仲茶飲料、玄米茶飲料、マテ茶飲料等の茶系飲料類;スポーツ飲料類;コーヒー、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料等のコーヒー飲料類;トマトジュース、ニンジンジュース、野菜ジュース、野菜果汁ミックスジュース等の野菜飲料類;コーラ炭酸飲料、透明炭酸飲料、果汁入り炭酸飲料、果実着色炭酸飲料、乳類入り炭酸飲料、栄養ドリンク炭酸飲料等の炭酸飲料類;天然果汁、果汁飲料、果肉飲料、果汁入り混合飲料等の果実飲料類などを挙げることができる。
各種飲食物の形態であれば、上記タンパク質分解物と同様に、飲料、農水産加工品、乳製品、菓子、調味料、フリーズドライ食品、レトルト食品等の食品や健康食品に含有させることができる。また、医薬品製剤の形態であれば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、シロップ等の経口投与剤が好ましい。
本発明におけるACE阻害活性(IC50)は、以下の方法に従って測定した。
緩衝液:150mM HEPES、450mM NaCl(pH 8.3)
酵素:ウサギ肺由来ACE(Sigma)
1mg/mL 牛血清アルブミン水溶液に溶解し、濃度を100mU/mLに調整。
基質:Benzoyl−Gly−His−Leu・H2O(ペプチド研究所)
上記緩衝液に溶解し、濃度を6 mMに調整する。
本発明物質を含む水溶液70μLをeppendorf社の protein LoBind tube (1.5 mL)に入れ、基質溶液200μLを加えて十分に攪拌後、37℃、5分間インキュベートした。酵素溶液30μLを添加して、37℃、30分間反応後、1M酢酸ナトリウムバッファー(pH4.0)を200μL加えて反応を停止させた。反応停止後、8,000×gで遠心分離を行い、上清をHPLC分析に供し、ACEにより加水分解されたBenzoyl-Gly量を定量した(A)。ここで、1M酢酸ナトリウムバッファー(pH 4.0)200μLを加えた後に、酵素を添加したもののBenzoyl-Gly量をblank(B)、阻害物質水溶液の代わりに水を加え、ACE反応させたもののBenzoyl-Gly量をcontrol(C)とし、それぞれのBenzoyl-Gly量を下記式に代入して阻害率を算出した。
阻害率(%)={1−(A−B)/(C−B)}×100
また、阻害剤の濃度を段階的に調製し、それぞれの阻害率を導き、終濃度を横軸、阻害率を縦軸として、各結果をプロットし、得られる曲線が50%の阻害率を通過する点の終濃度をIC50値とした。
カラム:Capcell pak MGII(I.D.3.0×100mm,粒子径3μm,資生堂)
ガードカラム:Guard cartridge Capcell pak C18 MGII S-3(I.D.3.0×10mm,資生堂)
カラム温度:40℃
検出:PDA 210-400nm(解析波長228nm)
移動相:水:アセトニトリル:リン酸=800:200:0.5+500mg/L硫酸ナトリウム
流速:0.56mL/分
インジェクション量:10μL
基質液は、和光純薬製カゼイン(Hammerstein処方)の0.6%緩衝溶液を用いた。基質液2mLに酵素溶液0.4mLを添加し、30℃、10分間反応させた。次いで、440mMトリクロロ酢酸水溶液2mLを加えることで反応を停止させた後、反応液を0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、酸可溶性分解物の量をフォリン法により測定した。1分間に1μgチロシンに相当するフォリン試液呈色物質の増加をもたらす酵素量を1ユニットとした(以下、特に断りのない限り、プロテアーゼ活性のユニットとは本法で測定されたユニット数をさす)。
タンパク質分解物を25〜50mg秤量して水に溶解させた後に50mLに定容し、0.45μm PTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、ジペプチド定量測定試料とした。測定試料はODSカラムを用いてHPLCで分離し、三連四重極型質量分析装置(ABI社製、API3200)のMRMモードで検出、定量した。
<HPLC条件>
カラム:Capcell pak MG (I.D.2.0×100mm,粒子径3μm,資生堂)
カラム温度:40℃
移動相:(A)水:アセトニトリル:ギ酸=98:2:0.1
(B)水:アセトニトリル:ギ酸=45:55:0.1
流速:0.2mL/分
サンプル注入量:10μL
勾配:0〜4分:0%移動相(B) 4〜22分:0〜35%移動相(B) 22〜24.5分:35%移動相(B)
<MS条件>
ionization:ESI
scan type:MRM
polarity:positive
ion source:Turbo
spray
curtain gas:25
collision gas:3
ion spray voltage:5500
temperature: 550℃
ion source gas1: 70
ion source gas2: 40
<茶葉タンパク質の調製>
緑茶(ゆたかみどり種、鹿児島産、2番茶)100gを60℃の熱水(2000g)で抽出した後、抽出残渣をさらに90℃の熱水(2,000g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.1M水酸化ナトリウム水溶液(1.4L)に浸漬し、80℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。 次に、遠心分離 (15,000×g、60分間)により不溶物を除去後、2M塩酸によりpHを3.5に調整し等電点沈澱させ、遠心分離 (15,000×g、60分間)を行うことによりタンパク質20gを得た。
<茶葉タンパク質分解物の調製>
得られたタンパク質のうち、100mgを水で湿潤後、50mM水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶解させた後、2M塩酸を加えて下記表1に示すpHに調整し、水で20mLに定容した。次に表1に記載した種々のタンパク質分解酵素100ユニットを37℃で4時間作用させて、タンパク質を分解した。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加熱して酵素を失活させた。その後、0.2M水酸化ナトリウム水溶液または0.6M塩酸を用いてpHを3.5に調整し、沈澱した未分解のタンパク質およびタンパク質分解酵素を、遠心分離(3,300×g、30分間)により除去し上清を回収した。その上清について電気透析装置(マイクロアシライザーS1、カートリッジAC110-10、旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行ない、各タンパク質分解酵素の分解物を得た。
また、これらのタンパク質分解物についてACE阻害活性を測定した(表1)。
<茶葉タンパク質のプロテアーゼ分解物の製造>
実施例1<茶葉タンパク質の調製>で得られた茶タンパク質5gを570mLの15mM NaOH水溶液に溶解させ、1M塩酸でpH7に調整し、スミチームCP(100,000ユニット)を加え、37℃で90分反応させた。沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止させ、室温まで冷却し、1M塩酸を加えpH4に調整した後、生成した沈殿を遠心分離(10,000×g,30分間)に供し、上清と沈殿に分離した。上清は回収し、濃縮することよりスミチームCP分解物溶液を得た。
スミチームCP分解物溶液に炭酸水素ナトリウムを加え、pHを6.5に調整し、30%メタノールになるよう、メタノールを加え、以下に記載した条件でゲル濾過に供した。分画はサンプル導入を0分として、80-122分、122-132分、132-193分、193-220分、220-280分に溶出する5つのフラクションに分画した。各フラクションについて濃縮乾固を行い、ACE阻害活性を測定した結果、ACE阻害活性は193-220分で溶出する画分が最も高かった。
<ゲル濾過条件>
カラム:Sephadex G-15(I.D.40×440mm,GE healthcare)
検出:210nm
移動相:水:メタノール=7:3
流速:2mL/分
次に193-220分に溶出するACE阻害活性の主画分をアセトニトリル:水 = 1:9に溶解させ、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行った後、以下に記載の条件で分取HPLCに供した。0-5.5分、5.5-10分、10-15.5分、15.5-17.8分、17.8-21.5分、21.5-24.5分、24.5-30分に溶出する画分に分け、濃縮・乾固し、得られた各画分についてACE阻害活性試験を行ったところ、10-15.5分(A-1)と15.5-17.8分(A-2)のフラクションに強いACE阻害活性が認められた。
<分取HPLC条件>
カラム:SunFire C18 OBD(I.D.19×250mm,粒子径5μm,Waters)
カラム温度:40℃
検出波長: 220nm
移動相:(A)水:トリフルオロ酢酸=100:0.05
(B)アセトニトリル:トリフルオロ酢酸=100:0.05
流速:8.5mL/分
勾配:0〜5分:10%移動相(B) 5〜25分:10〜75%移動相(B) 25〜40分:75%移動相(B)
更にA-1とA-2のフラクションをアセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸=10:90:0.05に溶解し、合一後0.45μm PTFE(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)フィルター濾過を行い、以下に記載の条件で分取HPLCに供した。3.5-13分、13-15.2分、15.2-16.6分(B-1)、16.6-18分、18-20.2分(B-2)、20.2-23.2分(B-3)、23.2-25.7分(B-4)、25.7-28分(B-5)、28-29分、29-31分、31-40分に溶出するフラクションに分画し、濃縮・乾固後、各フラクションについてACE阻害活性試験を行った。
<分取HPLC条件>
カラム:SunFire C18 OBD (I.D.19×250mm,粒子径5μm,Waters)
カラム温度:40℃
検出波長: 220nm
移動相:(A)水:トリフルオロ酢酸=100:0.05
(B)アセトニトリル:トリフルオロ酢酸=100:0.05
流速:8.5mL/分
勾配:0〜5分:10%移動相(B) 5〜25分:10〜40%移動相(B) 25〜40分:40%移動相(B)
ACE阻害活性が強かったB-1をアセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸=10:90:0.05に溶解させ、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行った後、以下に記載の条件で分取HPLCに供した。34-36分、36-38分、38-43分に溶出するフラクションに分画し、濃縮・乾固後、各画分についてACE阻害活性試験を行った。一本のピークとして溶出された36-38分のフラクションが最もACE阻害活性が強かったため、LC-ESI-MS分析および市販標品との比較を行ったところ、36-38分のフラクションはIle-Tyrと決定した。
<分取HPLC条件>
カラム:SunFire C18 OBD(I.D.19×250mm,粒子径5μm,Waters)
カラム温度:40℃
検出波長: 220nm
移動相:(A)水:トリフルオロ酢酸=100:0.1
(B)アセトニトリル:トリフルオロ酢酸=100:0.1
流速:8.5 mL/分
勾配:0〜5分:5%移動相(B) 5〜50分:5〜15%移動相(B) 50〜60分:15%移動相(B)
フラクションB-1の次にACE阻害活性が強かったB-4とB-5をアセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸=10:90:0.05 に溶解後合一し、0.45μm PTFE フィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行った後、以下に記載の条件で分取HPLCに供した。41-42分(C-1)、42-44分、44-47分、47-48分、48-52分、52-53分(C-2)、53-55分、55-60分のフラクションに分画し、濃縮・乾固後、各フラクションについてACE 阻害活性試験を行ったところ、C-1とC-2に強力なACE阻害活性が認められた。
<分取HPLC 条件>
カラム:SunFire C18 OBD(I.D.19×250mm,粒子径5μm,Waters)
カラム温度:40℃
検出波長: 220nm
移動相:(A)水:トリフルオロ酢酸=100:0.1
(B)アセトニトリル:トリフルオロ酢酸=100:0.1
流速:8.5 mL/分
勾配:0〜5分:10%移動相(B) 5〜55分:10〜20%移動相(B) 55〜65分:20%移動相(B)
ACE阻害活性が認められたフラクションC-1とC-2に関して、LC-ESI-MS分析および市販標品との比較を行った。その結果、C-1に含まれる主成分はVal-Trpであることがわかり、C-2に含まれる主成分はIle-Trpであることが判明した。
以上の結果から、本プロテアーゼ分解物中に含まれるACE阻害活性ペプチドは、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpが主成分であることが確認できた。Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-TrpのACE阻害活性を表2に記す。
表1記載の茶葉タンパク質分解物を水に溶解させ1mg/mLに調整し、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行った後、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量した(表3)。
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
実施例1<茶葉タンパク質の調製>で得られた茶タンパク質5gを570mLの15mM NaOH水溶液に溶解させ、1M塩酸(HCl)でpH7に調整し、スミチームCP(100,000ユニット)を加え、37℃で120分反応させた。沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止させ、室温まで冷却し、1M塩酸を加えpH4に調整した後、生成した沈殿を遠心分離(10,000×g, 30分間)に供し、上清と沈殿に分離した。上清を回収し濃縮した後、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、茶葉タンパク質のスミチームCP分解物を得た。得られた分解物を水に溶解後、5mg/mLに調整し、その6mLずつを50mL遠沈管に分注し、0.2M NaOH水溶液または0.6M塩酸を用いて表4に示す各酵素の反応pHに調整した。その後、表4に記載の種々のタンパク質分解酵素30ユニットを添加し、37℃で4時間作用させて、スミチームCP分解物をさらに分解した。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、0.2M NaOH水溶液または0.6M塩酸でpHを7.0に調整し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥しスミチームCP分解物の各プロテアーゼ処理物をそれぞれ約30mg得た。
<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>
これらの分解物を水に溶解させ1mg/mLに調整した後に、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量した(表4)。
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
実施例1<茶葉タンパク質の調製>で得られた茶タンパク質5gを0.5M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で加熱溶解させ、1M塩酸(HCl)でpH6.8に調整し、水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を5000ユニット添加し、60℃で5時間酵素分解した。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加熱し酵素反応を停止させた。その後、0.6M塩酸で酵素反応液のpHを3.5に調整し、沈澱した未分解のタンパク質およびタンパク質分解酵素を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清は0.2M水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、中性エンドペプチダーゼ(サモアーゼPC10F)分解物1.9gを得た。この分解物100mgを水に溶解後、5mg/mLに調整し、0.2M水酸化ナトリウム水溶液または0.6M塩酸を用いてpH4に調整した。その後、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する製剤(スミチームACP-G、スミチームFP-G(pH4)、スミチームLP)各100ユニットを上記中性エンドペプチダーゼ分解物に添加し37℃で4時間作用させて、サモアーゼPC10F分解物をさらに分解した。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、0.2M水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.0に調整し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行った結果、サモアーゼPC10F分解物についての各酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤の処理物をそれぞれ100mg得た。
<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>
これらの分解物を水に溶解(1mg/mL)後、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、3種類のACE阻害活性ペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量した(表5)。
<茶葉タンパク質の調製>
緑茶(ゆたかみどり種、鹿児島産、2番茶)200gを65℃の熱水(4000g)で抽出した後、抽出残渣をさらに95℃の熱水(4000g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.125M 水酸化ナトリウム水溶液2.8 Lに浸漬し、80℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。 抽出液を室温まで冷却した後、抽出液を1M塩酸によりpH7に調整し、珪藻土を420g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより不溶物を除去した。得られた濾液を2M塩酸によりpH3.5に調整してタンパク質を等電点沈澱させ、遠心分離 (4,500×g、60分間)で沈殿を回収後、凍結乾燥することにより、茶葉タンパク質28.7gを得た。
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られたタンパク質のうち、5gを0.5M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で加熱溶解させ、1 M塩酸でpH7に調整した。このタンパク質水溶液に水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を5000ユニット添加し、60℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、1 M塩酸でpHを3.5に調整し未分解のタンパク質を沈殿させた。この沈殿物を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清を0.1M NaOH水溶液でpH4.5に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2000ユニット加え、50℃で4時間作用させた。反応終了後、0.2M NaOH水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。反応液は室温に戻し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物1.8gを得た。
<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>
また、この茶葉タンパク質分解物について、水に溶解させ0.6mg/mLに調整した後に、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)についてLC-ESI-MSによる定量分析を行った(表6)。
実施例2<プロテアーゼ分解物中のACE阻害活性ペプチドの同定>と同様の手法により、本実施例で得られたタンパク質分解物についてACE阻害活性を指標に、ゲル濾過で溶出される活性画分について、HPLCによる精製操作を4回繰り返し、上記ACE阻害活性ジペプチド以外のACE阻害活性ペプチドの探索を行った。その結果、本実施例で得られたタンパク質分解物はACE阻害活性を有することが知られている既知のジペプチドVal-Tyr、Ala-Trp、Leu-TyrおよびLeu-Trpを含有していることが見出された。そこで、本実施例のタンパク質分解物について、水に溶解させ0.6mg/mLに調整した後に0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、Val-Tyr、Ala-Trp、Leu-TyrおよびLeu-TrpをLC-ESI-MSで定量した(表7)。
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
実施例6<茶葉タンパク質の調製>で得られた茶葉タンパク質のうち、5gを0.5M水酸化ナトリウム水溶液で加熱溶解させ、1M塩酸でpH7.2に調整し、水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を5000ユニット添加し、60℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加熱後、pHを0.1M塩酸でpH4に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2000ユニット加え、50℃で4時間作用させた。反応終了後、0.2M水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止させた。
得られた酵素反応液を限外濾過遠心チューブ(Millipore社,Amicon Ultra-15 Centrifugal Filter Devices,MWCO;50,000)で3,500×gで15分遠心を行い、透過液を回収した。得られた透過液について、更に限外濾過遠心チューブ(CORNING社,Spin-X UF20, MWCO:10,000)で3,500×gで30分遠心を行い、透過液を回収した。この透過液を、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥し、タンパク質分解物(1.26 g)を得た。
<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>
また、得られた分解物を水に溶解させ1 mg/mLに調整した後に、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、7種類のACE阻害活性ペプチド(Ala-Trp、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp、Val-Tyr、Leu-Trp、Leu-Tyr)をLC-ESI-MSで定量した(表10)。
<茶葉タンパク質の調製>
国産緑茶葉(1番茶、2番茶、秋冬番茶、春番茶、三重産)各10gを300mL(30倍量)の温水(60℃)で5分間抽出した後、抽出残渣をさらに300mLの熱水(90℃)で10分間、二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.2M水酸化ナトリウム水溶液140mLに浸漬し、80℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。 アルカリ抽出液を1M 塩酸を用いてpH6に調整し、遠心分離 (4,500×g、60分間)により不溶物を除去後、0.5M塩酸によりpHを3.5に調整し等電点沈澱させ、遠心分離 (4,500×g、120分間)で沈殿を回収後、凍結乾燥して茶葉タンパク質を得た(表11)。
得られたタンパク質のうち、500mgを水で湿潤後、50mM水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶解させた後、2M塩酸を加えてpH7.1に調整し、水で80mLに定容した後に、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を500ユニット加え、37℃で4時間作用させて、タンパク質を分解した。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加熱後、0.1M塩酸でpHを3.5に調整し、沈澱した未分解のタンパク質およびタンパク質分解酵素を、遠心分離(3,000×g、60分間)により除去し上清を回収した。得られた上清を0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH4に調整し、酸性エキソペプチダーゼを有する酵素製剤(スミチームACP-G)を200ユニット加え、37℃で4時間作用させた。反応終了後、0.2M水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間加熱した。反応液を室温に戻し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、茶葉タンパク質分解物を得た。
<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>
この茶葉タンパク質分解物について、水に溶解させ1mg/mLに調整した後に0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量分析した(表12)。
その結果、茶葉の摘採時期に関わらず、いずれの緑茶から調製したタンパク質をプロテアーゼで分解したタンパク質分解物はACE阻害ジペプチドIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpを多量に含有することが分かった。
<茶葉タンパク質の調製>
紅茶葉(ディンブラ、ウバ)および烏龍茶葉(色種)10gを300mL(30倍量)の熱水(90℃)で5分間抽出した後、抽出残渣をさらに300mL(30倍量)の熱水(90℃)で10分間、二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を0.15M水酸化カリウム水溶液140 mL中に浸漬し、80℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。 アルカリ抽出液を1M 塩酸を用いてpH6に調整し、遠心分離 (4,500×g、60分間)により不溶物を除去後、0.5M塩酸によりpHを3に調製し等電点沈澱させ、遠心分離 (4,500×g、120分間)を行うことにより茶葉タンパク質を得た(表13)。
得られたタンパク質のうち、500mgを水で湿潤後、500mM水酸化カリウム(KOH)水溶液を加えて溶解させた後、2M塩酸を加えてpH7に調整し、水で80mLに定容した。その後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を500ユニット加え、37℃で4時間作用させて、タンパク質を分解した。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加温後、0.1M塩酸でpHを3.5に調整し、沈澱した未分解のタンパク質およびタンパク質分解酵素を、遠心分離(3,000×g、60分間)により除去し上清を回収した。得られた上清を0.1M KOH水溶液でpH4に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を200ユニット加え、37℃で4時間作用させた。反応終了後、0.1M KOH水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間加熱した。反応液は室温に戻し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、茶葉タンパク質分解物を得た。
<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>
これらの茶葉タンパク質分解物について、水に溶解させ1mg/mLに調整した後に0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量した(表14)。
その結果、茶葉の加工度、加工方法に関わらず、いずれの紅茶葉、烏龍茶葉からもACE阻害ペプチドIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpを多量に含むタンパク質分解物が得られることが確認できた。
<尿素可溶タンパク質の調製>
抹茶(商品名:あすかの、三井農林株式会社製)5gを7M尿素水溶液500mL(尿素210 g/500mL)に分散溶解させ、10分間かき混ぜた後に50mLの遠沈管に分注し、3,500×gで20分間遠心分離し、上清を回収した。得られた上清を透析膜に入れ、透析により尿素を除去した。透析膜内のタンパク質を回収後、凍結乾燥を行い、抹茶尿素可溶タンパク質を460mg得た。
<尿素可溶タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られた抹茶尿素可溶タンパク質50mgを水50mLに分散溶解させた後、サーモリシン(Sigma-Aldrich)1250ユニットを加え37℃で5時間作用させて、タンパク質を分解した。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加熱後、不溶物を遠心分離(3,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清はマイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後凍結乾燥を行い、抹茶尿素可溶タンパク質のサーモリシン分解物を55mg得た。
<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>
また、この分解物について、水に溶解させ1mg/mLに調整した後に、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量分析した(表15)。
実施例6、8および9の<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物および比較例1の<尿素可溶タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物を純水に1mg/mL,10mg/mLになるように添加、混合し、分散溶解性を目視で確認した。判定は不溶物の存在がないを○、濁りが生じ、不均一な溶液を×とした(表16)。
実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物および比較例1<尿素可溶タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物そのものに関して、専門パネリスト5名で官能評価を実施し、評価結果の採点を行った。
採点方法は各分解物に対して、5点:食品として味に全く問題なし、4点:食品としてやや味が気になるが商品として問題なし、3点:食品として味が気になるが商品として問題なし、2点:食品として味に問題があり商品として不向き、1点:食品として味に著しく問題あり、の評価点をつけ、平均値を算出した(表17)。
緑茶30gを70℃のイオン交換水900gで5分間抽出し、続いて濾紙(No.2、アドバンテック社製)で濾過することにより茶葉を除去して、800gの緑茶抽出液(pH6、Brix1.1°、タンニン濃度70mg/100mL)を得た。この緑茶抽出液を30 ℃ 以下まで冷却し、飲用濃度(タンニン濃度60mg/100mL)となるようにイオン交換水で希釈し、L−アスコルビン酸(30mg/100mL)と実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物(100mg/100mL)を添加した。これに炭酸水素ナトリウムを溶解してpH6に調整した緑茶調合液を得た。これを容器に充填し、レトルト殺菌処理(121℃
、7分間)を行って、タンパク質分解物を含有する緑茶飲料を得た。
添加するタンパク質分解物を比較例1<尿素可溶タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物とする以外は実施例10と同様の操作を行い、比較例2となる緑茶飲料を得た。また、タンパク質分解物を添加しない参照品も同様に調製した。
実施例10で調製した緑茶飲料、比較例2で調製した緑茶飲料および参照品に関しての溶解状態を分光光度計によりOD 660nmにおける透過率(T%)を測定することで調べた(表18)。
実施例10で調製した緑茶飲料、比較例2で調製した緑茶飲料および参照品に関して、専門パネリスト5名で官能評価を実施し、評価結果の採点を行った。
採点方法は各緑茶飲料に対して、5点:参照品より優れている、4点:参照品と同等、3点:参照品より劣るが商品として問題なし、2点:参照品よりかなり劣り商品として不向き、1点:参照品より著しく劣る、の評価点をつけ、平均値を算出した(表19)。
実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>および比較例1<尿素可溶タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物をそれぞれ10mg秤量して水に溶解させ、内部標準物質のβ-アラニン水溶液(250mg/L)を0.2mL添加した後に10mLに定容し0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、アミノ酸測定試料とした。定量するアミノ酸はアスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、セリン(Ser)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、テアニン(Thea)、γ-アミノ酪酸(GABA)の10種とした。測定はオルトフタルアルデヒドを用いて誘導体化{0.05M 四ホウ酸ナトリウム溶液1.0mLに2−メルカプトエタノール(和光純薬、生化学用)10μL、オルトフタルアルデヒドのエタノール溶液120μLを加えて反応}したのち、ODSカラムを用いてHPLCで分離、蛍光検出器で検出、定量した(表20)。
<HPLC 分析条件>
カラム:Develosil ODS-UG-3 4.6×75mm(野村化学株式会社)
カラム温度:40℃
蛍光検出:励起波長340nm、蛍光波長455nm
移動相:(A)5mM クエン酸カリウム緩衝液(pH6):アセトニトリル=19:1
(B)5mM クエン酸カリウム緩衝液(pH6):アセトニトリル=3:7
流速:1mL/min
勾配:0min:5%移動相(B),0〜2.5min:5〜12%移動相(B),2.5〜19min:12%〜20%移動相(B)
実施例3<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したスミチームLPのタンパク質分解物を10mg秤量して水に溶解させ、内部標準物質のβ-アラニン水溶液(250mg/L)を0.2mL 添加した後に10mLに定容し0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、アミノ酸測定試料とし、試験例5と同様の方法でスミチームLPによるタンパク質分解物中のアミノ酸含有量を定量した(表21)。
実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物2.0gを400mLの水に溶解させた。この溶液を限外濾過遠心チューブ(CORNING社, Spin-X UF 20, MWCO:10,000)に入れ3,500×gで30分遠心した。得られた透過液を凍結乾燥し、実施例11の透過層1(1.46g)を得た。同様に、実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物2.0 gを400mLの水に溶解させ、限外濾過遠心チューブ(Millipore社, Amicon Ultra-15 Centrifugal Filter Devices,MWCO;3,000)を用いて3,500×gで15分遠心した。得られた透過液を凍結乾燥し、実施例11の透過層2(1.35g)を得た。
実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物(限外濾過前)、実施例11の透過層1および透過層2をそれぞれ10mg/mLの水溶液に調製し、水をコントロールとし、色差計(日本電色 SE2000 セル厚 10mm)を用いて限外濾過前と限外濾過後の色差を測定した。その結果、限外濾過前の分解物と比較して、透過層1は明度(L値)が増し、赤み(a値)が減少した。また、透過層2では透過層1よりもさらに明度(L値)が増し、赤み(a値)と黄み(b値)もさらに減少した(表22)。
尚、色差(ΔE)は、明度の差(ΔL)、赤みの差(Δa)および黄みの差(Δb)を下記式に代入し計算した。
ΔE={(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)2}1/2
実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物(限外濾過前)、実施例11の透過層1および透過層2について、水に溶解させ1mg/mLに調整した後に、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、7種類のACE阻害活性ジペプチド(Ala-Trp、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp、Val-Tyr、Leu-Trp、Leu-Tyr)をLC-ESI-MSで定量した(表23)。その結果、限外濾過前と比較して、透過層1はほぼ同様のACE阻害活性ジペプチド含有率であったが、透過層2は限外濾過前と比較してACE阻害活性ジペプチドの含有率が増加した。以上のことから、茶葉タンパク質分解物を限外濾過して得られた透過層は、限外濾過前と同等以上のACE阻害活性ジペプチドを含有していることが確認できた。
添加するタンパク質分解物を実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物(限外濾過前)、透過層1および透過層2のタンパク質分解物とする以外は実施例9と同様の操作を行い、緑茶飲料をそれぞれ得た。また、タンパク質分解物を添加しない参照品も同様に調製した。得られた緑茶飲料について、参照品をコントロールとし、色差計(日本電色株式会社 SE2000 セル厚10mm)を用いて限外濾過前、透過層1および透過層2の色差を測定した。その結果、参照品と限外濾過前の分解物を添加した緑茶飲料の色差(ΔE)が9.5であったのに対し、透過層1を添加した緑茶飲料と透過層2を加えた緑茶飲料の色差はそれぞれ5.3と4.6であった(表24)。
<茶葉タンパク質の調製>
緑茶(ゆたかみどり種、鹿児島産、2番茶)200gを65℃の熱水(4000g)で抽出した後、抽出残渣をさらに95℃の熱水(4000g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.15M 水酸化カリウム水溶液2.1 Lに浸漬し、85℃で2時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。 抽出液を室温まで冷却した後、抽出液を1M塩酸によりpH7に調整し、珪藻土を420g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより不溶物を除去した。得られた濾液を1M塩酸によりpH4に調整してタンパク質を等電点沈澱させ、遠心分離 (5,000×g、60分間)で沈殿を回収後、凍結乾燥することにより、茶葉タンパク質32gを得た。
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られた茶葉タンパク質25gを0.6M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で加熱溶解させ、0.5M塩酸でpH7.5に調整した。このタンパク質水溶液に水を加えて液量を1000mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を12500ユニット添加し、50℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、0.5M塩酸でpHを3.5に調整し未分解のタンパク質を沈殿させた。この沈殿物を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清を0.1M NaOH水溶液でpH4.5に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を10000ユニット加え、50℃で4時間作用させた。反応終了後、0.1M NaOH水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。反応液は室温に戻し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物9gを得た。
<茶葉タンパク質の調製>
使用するアルカリを0.25M水酸化ナトリウム水溶液とする以外は製造例1<茶葉タンパク質の調製>と同様の操作を行い、緑茶(ゆたかみどり種、鹿児島産、2番茶)200gから茶葉タンパク質30gを得た。
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られた茶葉タンパク質5gを0.6M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で加熱溶解させ、0.5M塩酸でpH6.5に調整した。このタンパク質水溶液に水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を3000ユニット添加し、55℃で1時間酵素分解を行った。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、0.5M塩酸でpHを3.5に調整し未分解のタンパク質を沈殿させた。この沈殿物を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清を0.1M NaOH水溶液でpH4.5に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2500ユニット加え、55℃で3時間作用させた。反応終了後、0.1M NaOH水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。反応液は室温に戻し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物1.2gを得た。
<茶葉タンパク質の調製>
烏龍茶葉(色種)200gを90℃の熱水(4000g)で抽出した後、抽出残渣をさらに95℃の熱水(4000g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.15M水酸化カリウム水溶液2.1Lに浸漬し、85℃で1時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。
抽出液を室温まで冷却した後、抽出液を1M塩酸によりpH7に調整し、珪藻土を420g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2、アドバンテック社製)で濾過することにより不溶物を除去した。得られた濾液を1M塩酸によりpH2に調整してタンパク質を等電点沈澱させ、遠心分離 (5,000×g、60分間)で沈殿を回収後、凍結乾燥することにより、茶葉タンパク質35gを得た。
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られた茶葉タンパク質5gを0.5M水酸化カリウム水溶液で加熱溶解させ、0.5M塩酸でpH6.5に調整した。このタンパク質水溶液に水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を5000ユニット添加し、65℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、0.5M塩酸でpHを2に調整し未分解のタンパク質を沈殿させた。この沈殿物を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清を0.1M水酸化カリウム水溶液でpH4.0に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2500ユニット加え、45℃で2時間作用させた。反応終了後、0.1M水酸化カリウム水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。反応液は室温に戻し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物2.1gを得た。
<茶葉タンパク質の調製>
使用するアルカリを0.05M水酸化ナトリウム水溶液とする以外は製造例3<茶葉タンパク質の調製>と同様の操作を行い、烏龍茶(色種)200gから茶葉タンパク質34gを得た。
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
製造例3<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>と同様の操作を行い、茶葉タンパク質5gから酵素反応液を調製した。得られた酵素反応液を限外濾過遠心チューブ(CORNING社,Spin-X UF 20,MWCO:5,000)で3,500×gで30分遠心を行い、透過液を回収した。この透過液を、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥し、タンパク質分解物1.1gを得た。
<茶葉タンパク質の調製>
使用する茶葉を紅茶葉(ディンブラ)とする以外は製造例3<茶葉タンパク質の調製>と同様の操作を行い、紅茶葉(ディンブラ)200gから茶葉タンパク質29gを得た。
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られた茶葉タンパク質のうち、5gを1M水酸化ナトリウム水溶液で加熱溶解させ、0.2M塩酸でpH7.5に調整し、水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を4000ユニット添加し、60℃で3時間酵素分解を行った。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加熱後、pHを0.1M塩酸でpH4.0に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2000ユニット加え、50℃で3時間作用させた。反応終了後、0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止させた。
得られた酵素反応液を限外濾過遠心チューブ(CORNING社, Spin-X UF 20, MWCO:10,000)で3,500×gで30分遠心を行い、透過液を回収した。この透過液を、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥し、タンパク質分解物1.0gを得た。
烏龍茶(色種)30gを70℃のイオン交換水900gで5分間抽出し、続いて濾紙(No.2、アドバンテック社製)で濾過することにより茶葉を除去して、820gの烏龍茶抽出液(pH5.5、Brix 0.9 °、タンニン濃度250mg/100mL)を得た。この烏龍茶抽出液を30℃ 以下まで冷却し、飲用濃度(タンニン濃度50mg/100mL)となるようにイオン交換水で希釈し、L-アスコルビン酸と製造例4<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物を飲用濃度100mg/100mLとなるよう添加した。これに炭酸水素ナトリウムを溶解してpH6に調製した烏龍茶調合液を得た。これを容器に充填し、レトルト殺菌処理(121℃、7分間) を行って、烏龍茶飲料を得た。
紅茶(ディンブラ)30gを70℃のイオン交換水900gで5分間抽出し、続いて濾紙(No.2、アドバンテック社製)で濾過することにより茶葉を除去して、780gの紅茶抽出液(pH5.0、Brix 1.0 °、タンニン濃度300mg/100mL)を得た。この紅茶抽出液を30℃ 以下まで冷却し、飲用濃度(タンニン濃度60mg/100mL)となるようにイオン交換水で希釈し、L-アスコルビン酸と製造例5<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物をを飲用濃度100mg/100mLとなるよう添加した。これに炭酸水素ナトリウムを溶解してpH6に調製した紅茶調合液を得た。殺菌方法はUHT殺菌(135℃、30秒)を行い、PETボトルに充填し、紅茶飲料を得た。
<茶葉タンパク質の調製>
使用するアルカリを0.3M水酸化ナトリウム水溶液とする以外は製造例1<茶葉タンパク質の調製>と同様の操作を行い、緑茶(ゆたかみどり種、鹿児島産、2番茶)200gから茶葉タンパク質31gを得た。
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られた茶葉タンパク質5gを0.6M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で加熱溶解させ、0.5M塩酸でpH7.2に調整した。このタンパク質水溶液に水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を3000ユニット添加し、55℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、1M塩酸でpH4.5に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2500ユニット加え、55℃で4時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。得られた酵素反応液のpHを0.5M塩酸で3.5に調整し未分解のタンパク質を沈殿させた。この沈殿物を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清のpHを0.5M水酸化ナトリウム水溶液で7.0に調整し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物2.4gを得た。
この分解物を水に溶解させ1mg/mLに調整した後に、PTFEフィルター濾過を行い、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量分析した結果、Ile-Trp、Ile-Tyr、およびVal-Trpは、分解物の乾燥固形分に合計で0.286重量%含まれていた。また、このタンパク質分解物を10mg秤量して水に溶解させ、内部標準物質のβ-アラニン水溶液(250mg/L)を0.2mL添加した後に10mLに定容しPTFEフィルター濾過を行い、アミノ酸測定試料とし、試験例5と同様の方法でタンパク質分解物中のアミノ酸含有量を定量した結果、アミノ酸が合計で4.5重量%含まれていた。
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
製造例8で調製した茶葉タンパク質5gを0.3M水酸化カリウム水溶液で加熱溶解させ、0.2M塩酸でpH7.5に調整し、水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を4500ユニット添加し、65℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加熱後、酵素反応液を限外濾過遠心チューブ(CORNING社,Spin-X UF 20,MWCO:10,000)で3,500×gで30分遠心を行い、透過液を回収した。この透過液のpHを0.1M塩酸でpH3.8に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2000ユニット加え、50℃で4時間作用させた。反応終了後、pHを0.3M水酸化カリウム水溶液で7.0に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止させた。得られた酵素反応液はマイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥し、タンパク質分解物1.8gを得た。
この分解物を水に溶解させ1mg/mLに調整した後に、PTFEフィルター濾過を行い、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量分析した結果、Ile-Trp、Ile-TyrおよびVal-Trpは、分解物の乾燥固形分中に合計で0.224重量%含まれていた。また、このタンパク質分解物を10mg秤量して水に溶解させ、内部標準物質のβ-アラニン水溶液(250mg/L)を0.2mL添加した後に10mLに定容しPTFEフィルター濾過を行い、アミノ酸測定試料とし、試験例5と同様の方法でタンパク質分解物中のアミノ酸含有量を定量した結果、アミノ酸が分解物の乾燥固形分中に合計で3.2重量%含まれていた。
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
製造例3<茶葉タンパク質の調製>で製造した茶葉タンパク質5gを0.2M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で加熱溶解させ、0.2M塩酸でpH6.8に調整した。このタンパク質水溶液に水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を3500ユニット添加し、65℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、0.2M塩酸でpH4.0に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を3000ユニット加え、50℃で4時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。得られた酵素反応液のpHを0.2M塩酸で2.5に調整し未分解のタンパク質を沈殿させた。この沈殿物を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清のpHを0.5M水酸化ナトリウム水溶液で7.0に調整した後に、限外濾過遠心チューブ(Millipore社,Amicon Ultra-15 Centrifugal Filter Devices,MWCO;3,000)を用いて3,500×gで15分間遠心した。得られた透過液を、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物1.5gを得た。
この分解物を水に溶解させ1mg/mLに調整した後に、PTFEフィルター濾過を行い、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量分析した結果、Ile-Trp、Ile-TyrおよびVal-Trpは、分解物の乾燥固形分に合計で0.271重量%含まれていた。また、このタンパク質分解物を10mg秤量して水に溶解させ、内部標準物質のβ-アラニン水溶液(250mg/L)を0.2mL添加した後に10mLに定容しPTFEフィルター濾過を行い、アミノ酸測定試料とし、試験例5と同様の方法でタンパク質分解物中のアミノ酸含有量を定量した結果、アミノ酸が合計で3.0重量%含まれていた。
<茶葉タンパク質の調製>
タンパク質を等電点沈殿させるpHを4.9とする以外は製造例1<茶葉タンパク質の調製>と同様の操作を行い、緑茶(ゆたかみどり種、鹿児島産、2番茶)200gから茶葉タンパク質26gを得た。
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られた茶葉タンパク質5gを0.2M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で加熱溶解させ、0.2M塩酸でpH6.5に調整した。このタンパク質水溶液に水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を3500ユニット添加し、65℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、0.2M塩酸でpH4.0に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を3000ユニット加え、50℃で4時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。得られた酵素反応液のpHを0.2M塩酸で5.0に調整し未分解のタンパク質を沈殿させた。この沈殿物を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清のpHを0.5M水酸化ナトリウム水溶液で7.0に調整した後に、限外濾過遠心チューブ(Millipore社,Amicon Ultra-15 Centrifugal Filter Devices,MWCO;3,000)を用いて3,500×gで15分間遠心した。得られた透過液を、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物1.3gを得た。
この分解物を水に溶解させ1mg/mLに調整した後に、PTFEフィルター濾過を行い、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量分析した結果、Ile-Trp、Ile-TyrおよびVal-Trpは、分解物の乾燥固形分に合計で0.221重量%含まれていた。また、このタンパク質分解物を10mg秤量して水に溶解させ、内部標準物質のβ-アラニン水溶液(250mg/L)を0.2mL添加した後に10mLに定容しPTFEフィルター濾過を行い、アミノ酸測定試料とし、試験例5と同様の方法でタンパク質分解物中のアミノ酸含有量を定量した結果、アミノ酸が合計で2.3重量%含まれていた。
以下の配合になるように各原料を混合した。なお、タンパク質分解物は実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物を使用した。
1.タンパク質分解物 35.0重量%
2.結晶セルロース 30.0重量%
3.乳糖 20.0重量%
4.澱粉分解物 10.0重量%
5.グリセリン脂肪酸エステル 5.0重量%
混合して得られた粉末を打錠成型することによりタンパク質分解物を含有する錠剤を得た。
以下の配合になるように各原料を混合し、タンパク質分解物を含有する粉末緑茶飲料を調製した。なお、タンパク質分解物は製造例1<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物を使用した。
1.デキストリン 60.0重量%
2.緑茶エキスパウダー 26.0重量%
3.タンパク質分解物 10.0重量%
4.ビタミンC 4.0重量%
以下の配合になるように各原料を混合し、タンパク質分解物を含有する食品素材を調製した。なお、タンパク質分解物は製造例1<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物を使用した。
1.タンパク質分解物 80.0重量%
2.デキストリン 15.0重量%
3.シクロデキストリン 5.0重量%
以下の配合になるように各原料を混合し、タンパク質分解物を含有するグミを調製した。なお、タンパク質分解物は実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物を使用した。
1.還元水あめ 40.0重量%
2.グラニュー糖 20.0重量%
3.ブドウ糖 20.0重量%
4.ゼラチン 5.0重量%
5.水 9.6重量%
6.オレンジ果汁 4.0重量%
7.オレンジフレーバー 0.4重量%
8.タンパク質分解物 1.0重量%
11週齢の雄性高血圧自然発症ラット(SHR)は日本SLC株式会社より購入し、温度22±1℃、湿度60%、12時間の明暗サイクルで管理した室内で飼育した。飼育期間中、通常固形食(5L37ローデントダイエット, 日本SLC)および水道水を自由摂取させた。試験には予備飼育と血圧測定の馴化を1週間行ったSHR(平均体重270g)を用いた。
SHRは1群7匹となるよう2群に分けた。コントロール群には滅菌した生理食塩水を6.7 mL/kg (1匹あたり約2 mL)、試料投与群には、実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物を生理食塩水で1.5mg/mLに調整した溶液を6.7 mL/kg(タンパク質分解物投与量:10mg/kg)、0.75mg/mLに調製した溶液を6.7 mL/kg(タンパク質分解物投与量:5mg/kg)となるようそれぞれゾンデで強制経口投与した。
非観血式血圧測定装置(BP-98AL, Softron社製)を用い、投与前及び経口投与3時間後及び6時間後の収縮期血圧を測定した。収縮期血圧は4回測定し、その平均値を測定値として記録した。統計処理はSPSS(ver19, IBM)を用い、Welchのt検定により同時間経過後の実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物を投与した群{投与群(10mg/kg)、投与群(5mg/kg)}とタンパク質分解物を投与しない群(非投与群)とを比較した(図1)。
結果、実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物の投与群(10mg/kg, 5mg/kg)のSHRは非投与群のSHRに比べて、タンパク質分解物の投与3時間後及び6時間後において有意な血圧降下作用を示した。
ラットへの実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物投与量を1mg/kg、2.5mg/kgとする以外は試験例9と同様の操作を行い、SHRへの降圧効果を確認した。その結果、実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物の投与群(1mg/kg,2.5mg/kg)のSHRは、非投与群のSHRに比べて、タンパク質分解物投与3時間後及び6時間後において有意な血圧降下作用を示した(図2)。
以上の結果から、本発明の方法で得られたタンパク質分解物は非常に低濃度の投与量でも、雄性高血圧自然発症ラットに対して血圧降下作用を示すことが分かった。
Claims (13)
- 以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法。
(a)茶葉をアルカリ水溶液で抽出し、抽出残渣を取り除き抽出液を得る工程
(b)抽出液のpHを2から5にすることにより凝集したタンパク質画分を回収する工程
(c)タンパク質画分を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤及び酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し反応液を得る工程
(d)反応液のpHを2から5に調整して不溶性画分を除去し可溶性画分としてタンパク質分解物を回収する工程 - 以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法。
(a)茶葉をアルカリ水溶液で抽出し、抽出残渣を取り除き抽出液を得る工程
(b)抽出液のpHを2から5にすることにより凝集したタンパク質画分を回収する工程
(e)タンパク質画分を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し反応液を得る工程
(d)反応液のpHを2から5に調整して不溶性画分を除去し可溶性画分としてタンパク質分解物を回収する工程
(f)タンパク質分解物を、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解する工程 - 以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法。
(a)茶葉をアルカリ水溶液で抽出し、抽出残渣を取り除き抽出液を得る工程
(b)抽出液のpHを2から5にすることにより凝集したタンパク質画分を回収する工程
(c)タンパク質画分を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤及び酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し反応液を得る工程
(g)反応液を限外ろ過膜で処理して透過液としてタンパク質分解物を回収する工程 - 以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法。
(a)茶葉をアルカリ水溶液で抽出し、抽出残渣を取り除き抽出液を得る工程
(b)抽出液のpHを2から5にすることにより凝集したタンパク質画分を回収する工程
(e)タンパク質画分を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し反応液を得る工程
(g)反応液を限外ろ過膜で処理して透過液としてタンパク質分解物を回収する工程
(f)タンパク質分解物を、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解する工程 - さらに、回収したタンパク質分解物を限外ろ過膜を用いて処理して透過液としてタンパク分解物を得ることを特徴とする請求項1乃至2記載のタンパク質分解物の製造方法。
- アミノ酸が乾燥固形中に1重量%以上含有される請求項1乃至5記載の製造方法により得られるタンパク質分解物。
- Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpで表されるジペプチドの合計が乾燥固形中に0.1重量%以上含有する請求項6記載のタンパク質分解物。
- 請求項6乃至7記載のタンパク質分解物を含有する食品素材或いは食品添加剤。
- 請求項6乃至7記載のタンパク質分解物を含有する飲食品。
- 請求項8記載の食品素材或いは食品添加剤を含有する飲食品。
- 粉末状或いは液体状の清涼飲料である請求項9乃至10の飲食品。
- 請求項6乃至7記載のタンパク質分解物を有効成分として含有する血圧降下剤。
- 請求項6乃至7記載のタンパク質分解物を有効成分として含有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
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