JP2014003971A - 茶葉由来のタンパク質分解物の製造方法 - Google Patents

茶葉由来のタンパク質分解物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014003971A
JP2014003971A JP2013082645A JP2013082645A JP2014003971A JP 2014003971 A JP2014003971 A JP 2014003971A JP 2013082645 A JP2013082645 A JP 2013082645A JP 2013082645 A JP2013082645 A JP 2013082645A JP 2014003971 A JP2014003971 A JP 2014003971A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
degradation product
protein degradation
tea
minutes
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013082645A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5645994B2 (ja
Inventor
Yasuji Kobayashi
泰次 小林
Sachiko Torida
祥子 鳥田
Hiroshi Hojo
寛 北條
Fumio Nanjo
文雄 南条
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Norin Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Norin Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Norin Co Ltd filed Critical Mitsui Norin Co Ltd
Priority to JP2013082645A priority Critical patent/JP5645994B2/ja
Publication of JP2014003971A publication Critical patent/JP2014003971A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5645994B2 publication Critical patent/JP5645994B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Tea And Coffee (AREA)
  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)

Abstract

【課題】茶葉あるいは茶殻を水乃至温水で抽出して得られる抽出残渣(茶殻)から調製方法が複雑でなく、食用として扱いやすく、優れた血圧降下作用が期待されるアンジオテンシン変換酵素阻害活性ペプチドを多く含有するタンパク質分解物を提供する。
【解決手段】茶葉あるいは茶殻をアルカリ水溶液で抽出し、得られた抽出液に酸を加えてpH2から5にすることによりタンパク質画分を沈降させる工程及び、得られたタンパク質画分をタンパク質分解酵素で分解し酵素反応を停止した後に、酵素反応液をpH2から5にすることで未反応タンパク質を沈降させ、酸性水溶液可溶のペプチド画分と未反応タンパク質画分とを分離する工程を順次行う。また、タンパク質分解酵素での分解工程では、中性エンドペプチダーゼ、酸性エキソペプチダーゼを作用させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、茶葉由来のタンパク質分解物の製造方法、該製造方法で得られるタンパク質分解物、該タンパク質分解物を含有する食品素材及び飲食品、並びに該タンパク分解物を有効成分として含有する血圧降下剤及びアンジオテンシン変換酵素阻害剤に関する。
高血圧症は生活習慣病の中で発症率の高い疾患の1つで、厚生労働省の平成20年患者調査によれば約798万人もの人が高血圧症の治療を受けている。
ほとんどの高血圧症は明確に原因が特定できない本態性高血圧で、遺伝的な因子や生活習慣などの環境因子、例えば塩分の過剰摂取・肥満・過度の飲酒・喫煙・精神的ストレスなどが複雑に影響を及ぼしあって関与しているため、高血圧の原因となっている因子を特定することが難しい。そのため、本態性高血圧を治療する有効な方法は、降圧剤での血圧降下となっている。
本態性高血圧の原因として考えられている因子の1つにレニン・アンジオテンシン系が挙げられる。レニン・アンジオテンシン系では、肝臓から分泌されるアンジオテンシノーゲンがレニンによりアンジオテンシンIに変換される。アンジオテンシンIはアンジオテンシン変換酵素(以下、ACE)により血管収縮作用を有するアンジオテンシンIIに変換され、血圧が上昇する。また、ACEは血管拡張による血圧降下作用を示すブラジキニンも分解するため、ブラジキニンの血圧降下作用がなくなり、その結果血圧が上昇する。従って、ACEを抑制することにより血圧の上昇を抑制することが可能となる。強力なACE阻害活性物質のカプトプリルやエナラプリル等は現在ACE阻害薬として高血圧症の治療に広く用いられている。
一方、最近では食品素材タンパク質の酵素分解物であるペプチドにACE阻害活性のあることが報告されている。これらは軽度の高血圧者が手軽に血圧の上昇を抑制するための食品として特定保健用食品に利用されている。例えば、イワシ筋肉のペプシン分解物(特許文献1)、かつお節のサーモライシン分解物(特許文献2)、ゴマ蛋白のサーモライシン分解物(特許文献3)等多数の報告がなされている。
茶葉にはタンパク質が24〜30%と豊富に含まれているが、全タンパク質の80%以上が不溶性タンパク質であるため、茶葉の浸出液を飲用する一般的な形態では、栄養源としては利用されておらず、国内の緑茶飲料製造時に生じる2万2千トンに上る抽出残渣はそのほとんどが未利用資源として廃棄されている。一方、抹茶は茶葉をそのまま摂取できる形態であるため、茶葉の不溶性タンパク質を摂取できる形態である。そこで、茶葉の不溶性タンパク質の機能性探索を目的とし、抹茶から尿素を用いて不溶性タンパク質を抽出し、得られた尿素可溶性タンパク質をプロテアーゼで分解した分解物からACE阻害活性ペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)を単離している(非特許文献1)。また、摂取した茶葉の不溶性タンパク質が消化管内のプロテアーゼによって分解されることを期待し、上記と同様に尿素可溶性タンパク質を消化管内のプロテアーゼで分解してオピオイドペプチドが得られることを見出している(特許文献4、非特許文献1)。
特許第4053686号公報 特開平11−225715号公報 特許第4369986号公報 特許第4424805号公報
平成11年度「第2回宇治茶健康フォーラム・市民公開講演会」講演要旨集p55-p67
以上のとおり、いくつかの食品素材から機能性ペプチドが得られることが見出され、飲食品等の形態で利用されている。しかしながら、茶を原料として機能性ペプチドを得ることができる非特許文献1においては、抹茶から尿素により茶葉タンパク質を可溶化していることから食品素材や食品添加剤として使用することはできず、また尿素を完全に除いた場合可溶化したタンパク質が再び不溶化するなど大量生産には不向きな方法である。また、上記非特許文献の目的は、摂取した茶葉タンパク質から消化管内のプロテアーゼによって派生することが期待できるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害活性ペプチドが、どのようなアミノ酸配列であるのかを確認することであり、茶葉タンパク質からACE阻害活性ペプチドを効率よく生産させる方法については全く検討されていない。
したがって、本発明の目的は、茶葉に含まれているタンパク質を効率よくしかも簡便に抽出・精製でき、且つ該茶葉タンパク質からACE阻害活性及び血圧降下作用を有する食品分野でも使用できるペプチド含量の高いタンパク質分解物を得る製造方法を提供することにある。これに加え、食品分野でも幅広く利用できるよう、呈味性(旨味、コク)、溶解性及び色調に優れたタンパク質分解物を提供することにある。すなわち、優れた高血圧予防効果、血圧降下作用並びにACE阻害活性作用が期待され、尚且つ食用として扱いやすい茶葉由来のタンパク質分解物の製造方法及び該タンパク質分解物を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、茶葉をアルカリ水溶液で抽出して得られるタンパク質画分に中性エンドペプチダーゼ及び酸性エキソペプチダーゼを作用させて調製したタンパク質分解物がACE阻害活性ペプチドを多く含有するばかりか、呈味性、溶解性、および色調に優れたものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1記載の本発明は、以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法を提供するものである。
(a)茶葉をアルカリ水溶液で抽出し、抽出残渣を取り除き抽出液を得る工程
(b)抽出液のpHを2から5にすることにより凝集したタンパク質画分を回収する工程
(c)タンパク質画分を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤及び酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し反応液を得る工程
(d)反応液のpHを2から5に調整して不溶性画分を除去し可溶性画分としてタンパク質分解物を回収する工程

請求項2記載の本発明は、以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法を提供するものである。
(a)茶葉をアルカリ水溶液で抽出し、抽出残渣を取り除き抽出液を得る工程
(b)抽出液のpHを2から5にすることにより凝集したタンパク質画分を回収する工程
(e)タンパク質画分を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し反応液を得る工程
(d)反応液のpHを2から5に調整して不溶性画分を除去し可溶性画分としてタンパク質分解物を回収する工程
(f)タンパク質分解物を、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解する工程

請求項3記載の本発明は、以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法を提供するものである。
(a)茶葉をアルカリ水溶液で抽出し、抽出残渣を取り除き抽出液を得る工程
(b)抽出液のpHを2から5にすることにより凝集したタンパク質画分を回収する工程
(c)タンパク質画分を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤及び酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し反応液を得る工程
(g)反応液を限外ろ過膜で処理して透過液としてタンパク質分解物を回収する工程

請求項4記載の本発明は、以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法を提供するものである。
(a)茶葉をアルカリ水溶液で抽出し、抽出残渣を取り除き抽出液を得る工程
(b)抽出液のpHを2から5にすることにより凝集したタンパク質画分を回収する工程
(e)タンパク質画分を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し反応液を得る工程
(g)反応液を限外ろ過膜で処理して透過液としてタンパク質分解物を回収する工程
(f)タンパク質分解物を、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解する工程

請求項5記載の本発明は、さらに、回収したタンパク質分解物を限外ろ過膜を用いて処理して透過液としてタンパク分解物を得ることを特徴とする請求項1乃至2記載のタンパク質分解物の製造方法を提供するものである。

請求項6記載の本発明は、アミノ酸を乾燥固形中に1重量%以上含有する請求項1乃至5記載の製造方法により得られるタンパク質分解物である。ここでアミノ酸とはアスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、セリン(Ser)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、テアニン(Thea)、γ-アミノ酪酸(GABA)の10種類を示す。また、本請求項の重量%は、これら10種類のアミノ酸の合計含有量である。

請求項7記載の本発明は、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpで表されるジペプチドの合計が乾燥固形中に0.1重量%以上含有する請求項6記載のタンパク質分解物である。
請求項8記載の本発明は、請求項6乃至7記載のタンパク質分解物を含有する食品素材或いは食品添加剤である。
請求項9記載の本発明は、請求項6乃至7記載のタンパク質分解物を含有する飲食品である。
請求項10記載の本発明は、請求項8記載の食品素材或いは食品添加剤を含有する飲食品である。
請求項11記載の本発明は、粉末状或いは液体状の清涼飲料である請求項9乃至10の飲食品である。
請求項12記載の本発明は、請求項6乃至7記載のタンパク質分解物を有効成分として含有する血圧降下剤である。
請求項13記載の本発明は、請求項6乃至7記載のタンパク質分解物を有効成分として含有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤である。
本発明によれば、茶葉に大量に含まれる水不溶性タンパク質を容易に抽出できるばかりか、抽出液からのタンパク質画分の回収も簡便である。また、得られた該タンパク質画分を特定のタンパク質分解酵素で分解することにより、従来よりもACE阻害活性及び血圧降下作用を有するペプチドを多量に含有するタンパク質分解物が効率よく得られるため、茶葉から工業的に安価かつ大量に生産可能である。しかも該タンパク分解物の製造には食品製造で使用可能な食品添加剤だけを使用しているため安全性にも優れたタンパク質分解物を得ることができる。更に、本発明で得られる茶葉由来のタンパク質分解物は、呈味性(うま味、コク味)、溶解性及び色調に優れているという特徴を有するため、幅広く食品分野に利用できうるものである。また、本発明の製造方法では、茶飲料の抽出製造工程で生じる茶殻を利用することができるため、製造コストの抑制や未利用資源の有効利用も可能である。
ラットへのタンパク質分解物投与による生体内での血圧降下作用確認試験結果 ラットへのタンパク質分解物の低濃度投与による生体内での血圧降下作用確認試験結果
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用される茶葉としては、チャノキ(Camellia sinensis)を原料としたものであれば良く、その加工度、加工方法は問わず、生茶葉や緑茶、白茶、烏龍茶、紅茶、ジャスミン茶として加工された茶葉をそのまま利用できるほか、茶飲料の製造工程で生じる抽出残渣(茶殻)を原料とすることができるが、未利用資源の有効活用という観点からして、茶殻を原料とすることが好ましい。
茶葉からタンパク質を抽出する方法としては、茶葉をそのまま利用できるが、まず前処理として茶葉を温水で抽出後、抽出残渣を1乃至3回熱湯で洗浄し残存するポリフェノール類を除去した茶殻を調製することが望ましい。茶葉もしくは茶殻をアルカリ水溶液に浸漬させた後、遠心分離又は珪藻土等の濾過助剤を用いて濾過することで不溶物を除去し、アルカリ水溶液に可溶性のタンパク質を含む抽出液を得る。
茶葉もしくは茶殻からタンパク質を抽出する際のアルカリ水溶液の濃度は、タンパク質の抽出が可能である濃度であれば特に限定されるものではないが、茶葉からのタンパク質の抽出効率をよくするためには、アルカリ水溶液の濃度は、0.01M以上1M以下が適しているが、より好ましくは0.02M以上0.5M以下、さらに好ましくは0.05M以上0.2M以下の濃度が適している。タンパク質抽出におけるアルカリ水溶液量は、茶葉あるいは茶殻100 gに対して0.5L(5倍量)以上10L(100倍量)以下が適しているが、抽出後の中和反応とタンパク質抽出効率を鑑みれば、茶葉あるいは茶殻100gに対して1L(10倍量)以上5L(50倍量)以下が好ましく、1.5L(15倍量)以上3L(30倍量)以下がより好ましい。また、茶葉あるいは茶殻をアルカリ水溶液とよく混和した状態の抽出初期時のpHが7.5以上14.0以下が適しているが、pHが8.5以上13.0以下が好ましく、pHが9.5以上12.0以下が好ましい。
タンパク質抽出時の温度は40℃以上であれば、茶葉あるいは茶殻からタンパク質を抽出できるが、好ましくは50℃以上95℃以下、より好ましくは60℃以上90℃以下、さらに好ましくは75℃以上85℃以下の条件が適している。
タンパク質抽出に要する時間は30分から24時間程度であるが、製造コストとタンパク質抽出効率を鑑みれば、1時間以上10時間以下が好ましく、2時間以上5時間以下がより好ましい。
アルカリ水溶液は、食品製造に使用できるものであれば特に限定されるものではないが、食品用途で用いられるものとして、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどを例示することができるが、茶葉からのタンパク質の抽出効率から水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の強アルカリを使用することが好ましい。また、これらのアルカリを2種以上混合して用いることも可能である。なお、アルカリ水溶液には必要に応じて種々の添加剤を加えることができ、例えばアスコルビン酸、ソルビン酸やそれらの塩を挙げることができる。
得られた抽出液は酸を用いてpHを2.0以上5.0以下、好ましくは2.5以上4.5以下、より好ましくは3.0以上4.0以下に調整し抽出液中のタンパク質を凝集沈殿(等電点沈殿)させる。この時に使用する酸は、pH2.0以上5.0以下に調整できうるものであれば特に限定されないが、飲食物への利用を考慮すれば、塩酸、硫酸、酢酸、リン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸等を例示することができるが、凝集沈殿の効率や製造後の除去のしやすさを考えると、塩酸、硫酸、酢酸を使用することが好ましい。続いて、この凝集沈殿物を遠心分離や濾過により回収する。この沈殿物の回収に先立ち、30から120分間静置して沈殿を熟成させてから、上記と同様の方法で沈殿物を回収しても良い。
続いて、回収した沈殿物を中性エンドペプチダーゼおよび酸性エキソペプチダーゼにより分解させる。これらの酵素分解の順番は特に限定されないが、タンパク質の分解効率の面から、中性エンドペプチダーゼ処理したのち、酸性エキソペプチダーゼ処理するのが好ましい。酸性エキソペプチダーゼ処理を最初に行うと、本酵素の至適pHが酸性領域であるため回収したタンパク質の沈殿物が十分には溶解せず、分散・懸濁した状態となるため分解率が低下する恐れがある。一方、中性エンドペプチダーゼ処理を最初に行うと、本酵素の至適pHが中性領域にあるため、この領域にpHを調整することにより回収したタンパク質の沈殿物が溶解しやすく、酵素反応の効率が向上する。なお、タンパク質をより均一に溶解或いは懸濁させるには、回収した沈殿物を水で湿潤させた後、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを加えたり、加熱・加温処理等を行うことが好ましい。
本発明に使用可能なプロテアーゼとしては、微生物、植物、動物由来の酵素ならいずれも使用することができるが、安全性や価格を考慮すれば市販の食品用プロテアーゼを用いることが好ましい。なお、本発明における「プロテアーゼ」または「タンパク質分解酵素」とは「エンドペプチダーゼ」と「エキソペプチダーゼ」の総称である。さらに、エキソペプチダーゼはアミノペプチダーゼとカルボキシペプチダーゼに分類される。また、プロテアーゼの至適反応pHによって、それぞれ酸性、中性、アルカリという用語を各酵素に付けることがあり、例えば「酸性エキソペプチダーゼ」、「中性アミノペプチダーゼ」、「アルカリエンドペプチダーゼ」のように記載することもある。
プロテアーゼ処理の際、茶葉タンパク質溶液のタンパク質濃度は特に限定されるものではないが、0.2重量%から20重量%、好ましくは0.5重量%から10重量%、より好ましくは0.8重量%から5重量%が適当である。0.2重量%未満でも茶葉タンパク質のプロテアーゼ分解に支障はないが、茶葉タンパク質分解物の製造コストを上昇させる要因になる。また、茶葉タンパク質濃度が20重量%より大きくなると、タンパク質の不溶化が起こったり、添加する酵素量が多量になったりする。
プロテアーゼの添加量も特に限定されないが、通常タンパク質1gあたり、50から10,000ユニットの割合で用いるとよく、好ましくはタンパク質1gあたり100から5,000ユニットの割合で、より好ましくはタンパク質1gあたり200から2,000ユニットの割合で用いるのが適当である{カゼイン(Hammarsten処方)を基質として30℃、10分間の反応で1分間に1μgのチロシンに相当する非蛋白性のフォリン試液呈色物質の増加をもたらす酵素量を1ユニットとする}。
プロテアーゼ処理による加水分解の程度は、プロテアーゼ処理した後の反応液のpHを2〜5に調整して不溶物を除去したタンパク質分解物や上記反応液を限外濾過膜で処理して透過液として得られるタンパク質分解物の回収率で、通常10重量%から70重量%、より好ましくは15重量%から65重量%、さらに好ましくは20重量%から60重量%程度になるまで行われる。タンパク質分解酵素をタンパク質に作用させる時間は、使用するプロテアーゼ製剤中のタンパク質分解酵素の酵素活性や酵素反応時の添加量によって異なるが、通常30分から24時間、好ましくは1時間から8時間、より好ましくは1.5時間から4時間程度が適している。
まず、茶葉由来のタンパク質の中性エンドペプチダーゼによる分解について説明する。中性エンドペプチダーゼ同士が互いに悪影響を及ぼさない場合は、複数種を併用してもよい。複数のエンドペプチダーゼを使用する場合は、複数の酵素製剤を同時に作用させて加水分解を行っても、または1種類ずつ逐次に用いて加水分解を行ってもよい。
中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(至適pHが5.0以上9.0以下)としては、スミチームLP、スミチームFL-G、スミチームCP、スミチームFP-G、スミチームMP(新日本化学工業株式会社)、ブロメラインF、プロテアーゼP「アマノ」3SD、パパインW-40、サモアーゼPC10F、サモアーゼC100、サモアーゼC160、プロチンSD-NY10(プロチンSD-PC10F)(天野エンザイム株式会社)を例示することができる。
中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で酵素分解を行う場合、含有されるエンドペプチダーゼが安定的に作用できるpHであれば問題なく酵素分解が可能であるが、酵素分解を行うタンパク質により最適pHが変化することを考慮に入れると、反応pHを好ましくは至適pH±1.5の範囲で、より好ましくは至適pH±1.0の範囲で、さらに好ましくは至適pH±0.5の範囲で酵素分解を行うとよい。例えばサモアーゼPC10Fによる酵素分解の場合、至適pHが7.0付近であるが、茶葉タンパク質を酵素分解できるpHは5.5以上8.5以下であり、得られるタンパク質分解物の収量を増加させるためには、反応pHを好ましくは6.0以上8.0以下の範囲で、さらに好ましくは反応pHを6.5以上7.5以下の範囲に設定すればよい。
また、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で酵素分解を行う反応温度は、酵素製剤に含有されるエンドペプチダーゼが安定的に作用できる温度であれば酵素分解が可能であるが、エンドペプチダーゼの至適温度であることが望ましい。しかしながら、酵素反応中の雑菌汚染などのリスクを回避するためには50℃以上で酵素分解を行うことが好ましい。例えばサモアーゼPC10Fの場合、70℃以下の温度で安定であり、至適温度が65℃付近である。茶葉タンパク質を酵素分解できる温度は30℃以上70℃以下であり、好ましくは50℃以上68℃以下、より好ましくは55℃以上65℃以下の条件が適している。
次に酸性エキソペプチダーゼによる酵素分解について説明する。酸性エキソペプチダーゼ同士が互いに悪影響を及ぼさない場合は、複数種を併用してもよい。複数のエキソペプチダーゼを使用する場合は、複数の酵素製剤を同時に作用させて加水分解を行っても、または1種類ずつ逐次に用いて加水分解を行ってもよい。
酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(至適pHが2.0以上5.0未満)としては、スミチームLP、スミチームFP-G、スミチームACP-G(新日本化学工業株式会社)を例示することができる。
酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で酵素分解を行う場合、含有されるエキソペプチダーゼが安定的に作用できるpHであれば酵素分解が可能であるが、酵素分解を行うタンパク質により最適pHが変化することを考慮に入れると、反応pHを好ましくは至適pH±1.5の範囲で、より好ましくは至適pH±1.0の範囲で、さらに好ましくは至適pH±0.5の範囲で酵素分解を行うとよい。例えばスミチームACP-Gによる酵素分解の場合、至適pHが4.5付近であるが、茶葉タンパク質を酵素分解できるpHは3.0以上6.0以下であり、得られるタンパク質分解物の収量を増加させるためには、反応pHを好ましくは反応pHを3.5以上5.5以下の範囲で、さらに好ましくは反応pHを4.0以上5.0以下の範囲に設定すればよい。
また、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で酵素分解を行う反応温度であるが、酵素製剤に含有されるエキソペプチダーゼが安定的に作用できる温度であれば酵素分解が可能であるが、エキソペプチダーゼの至適温度であることが望ましい。しかしながら、酵素反応中の雑菌汚染などのリスクを回避するためには50℃以上で酵素分解を行うことが好ましい。例えばスミチームACP-Gの場合、70℃以下の温度で安定であり、至適温度が50℃付近である。酵素分解できる温度は30℃以上70℃以下であり、より好ましくは40℃以上60℃以下が好ましく、より好ましくは50℃以上55℃以下の条件が適している。
次に中性エンドペプチダーゼと酸性エキソペプチダーゼの双方を同時に用いる酵素分解について説明する。
中性エンドペプチダーゼと酸性エキソペプチダーゼの各酵素反応条件は上記の通りであるが、中性エンドペプチダーゼ活性と酸性エキソペプチダーゼ活性の双方を有する酵素製剤あるいは、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤を併用する場合、双方のペプチダーゼ活性が安定して作用できるpHであれば、茶葉タンパク質を分解物することが出来るが、好ましくは反応pHを4.0以上7.0以下、より好ましくは反応pHを4.5以上6.8以下で、さらに好ましくは反応pHを5.0以上6.5以下に設定することが適している。例えば、中性エンドペプチダーゼ活性と酸性エキソペプチダーゼ活性の双方を有する酵素製剤であるスミチームLPの場合、茶葉タンパク質を分解するのに適している反応pHは5.5以上6.5以下である。
また、中性エンドペプチダーゼ活性と酸性エキソペプチダーゼ活性の双方を有する酵素製剤あるいは、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤を併用する場合の反応温度は、酵素製剤に含有される双方のペプチダーゼが安定的に作用できる温度であれば酵素分解が可能であるが、双方のペプチダーゼの至適温度付近であることが望ましい。しかしながら、酵素反応中の雑菌汚染などのリスクを回避するためには50℃以上で酵素分解を行うことが好ましい。例えばスミチームLPの場合、60℃以下の温度で安定であり、至適温度が50℃付近である。酵素分解できる温度は30℃以上60℃以下であり、より好ましくは40℃以上58℃以下が好ましく、より好ましくは50℃以上55℃以下の条件が適している。
茶葉タンパク質の分解には、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(例えば、サモアーゼPC10F、スミチームCP)と酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(例えば、スミチームACP-G、スミチームFP-G)を組み合わせればよいが、特に好ましいのは中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤でタンパク質を分解し、タンパク質をある程度の大きさのペプチド断片にした後に、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で加水分解を行う組み合わせである。
酵素反応液から目的とするタンパク質分解物を得るには、pHを2.0以上5.0以下、好ましくは2.5以上4.5以下、より好ましくは3.0以上4.0以下に調整して、未分解のタンパク質を等電点沈澱処理した後、遠心分離や珪藻土等の濾過助剤を用いた濾過をすることにより、タンパク質分解物溶液を得ることができる。また、上記のpH調整に先だって、タンパク質分解酵素を加熱失活させることも可能である。加熱失活の温度は80℃以上100℃以下、好ましくは90℃以上95℃以下、加熱失活の時間は10分以上30分以下、好ましくは15分以上25分以下である。
また、酵素反応液から目的とするタンパク質分解物を得るために、未分解のタンパク質および使用されたタンパク質分解酵素を除去する別の方法としては、酵素反応液をそのまま限外濾過膜を用いて膜処理し、未分解のタンパク質および使用されたタンパク質分解酵素を除去し、透過液としてタンパク質分解物溶液を得る方法である。限外濾過膜を利用する場合は血圧降下作用を有するペプチドを透過させることができるものであれば何でもよいが、好ましくは分画分子量1,000以上100,000以下、より好ましくは分画分子量2,500以上50,000以下、さらに好ましくは分画分子量3,000以上5,000以下が適している。酵素反応液からタンパク質分解物溶液を得るためには、上記分画分子量の限外濾過膜を1種用いて限外濾過膜処理を行えば十分であるが、より溶解性と色調に優れたタンパク質分解物を得るために、例えば初めに分画分子量10,000以上100,000以下の限外濾過膜処理を行い、透過液をさらに分画分子量1,000以上10,000未満の限外濾過膜処理を行う等、2種以上の限外濾過膜を用いてもよい。
限外濾過膜の分画分子量を100,000より大きくした場合、透過液に未分解のタンパク質が多く含まれるため、得られるタンパク質分解物の溶解性が悪くなる可能性があり、限外濾過膜の分画分子量が1,000未満の場合、透過液としてのタンパク質分解物中のACE阻害活性ペプチド含有量が低下することが考えられるため、限外濾過膜として好ましくない。
得られたタンパク質分解物にはNaClなどの無機塩が含まれているが、電気透析やイオン交換樹脂、ナノ濾過膜を用いて無機塩を除去することができる。また、酵素反応液を等電点沈澱処理した後に得られるタンパク質分解物に含まれる色素は澄明な清涼飲料等の飲食品に違和感を与える可能性があるため、限外濾過膜や活性炭を用いて色素を減少させ、添加した清涼飲料等の飲食品から違和感を除去することもできる。限外濾過膜を利用する場合は血圧降下作用を有するペプチドを透過させることができるものであれば何でもよいが、好ましくは分画分子量1,000以上10,000以下、より好ましくは分画分子量2,000以上8,000以下、さらに好ましくは分画分子量2,500以上5,000以下が適している。また、上記分画分子量の限外濾過膜を1種用いて限外濾過膜処理を行えば目的とするタンパク質分解物を十分製造することができるが、より溶解性と色調に優れたタンパク質分解物を得るために、例えば初めに分画分子量5,000以上10,000以下の限外濾過膜処理を行い、透過液をさらに分画分子量1,000以上5,000未満の限外濾過膜処理を行う等、2種以上の限外濾過膜を用いてもよい。
さらに得られたタンパク質分解物の香味上の問題、異臭等に関しては活性炭処理等の手段を行って改善することも可能である。
本発明のタンパク質分解物中には、グルタミン酸やアスパラギン酸等のアミノ酸が豊富に含まれるため、血圧降下作用に加えて添加した飲食品へアミノ酸由来のコクとうま味を付与することも可能である。タンパク質分解物中に含まれるアミノ酸含有量は、タンパク質分解物の乾燥固形分に対し1重量%以上であればコクとうま味の増強効果が期待できるが、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上、いっそう好ましくは10重量%以上であることが良い。また、タンパク質分解物中のアミノ酸含有量が60重量%より多くなった場合、添加する食品へ必要以上のうま味やコクが加わり、食品の風味に違和感や嫌悪感を与える可能性があり、タンパク質分解物中に含まれるACE阻害活性ペプチドの含有量の低下が懸念されるため、アミノ酸含有量は乾燥固形分当たり60重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下、いっそう好ましくは30重量%以下である。
尚、本明細書中で記載している“アミノ酸含有量”のアミノ酸類はタンパク質分解物中のアスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、セリン(Ser)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、テアニン(Thea)、γ-アミノ酪酸(GABA)の10種類であり、“アミノ酸含有量”はタンパク質分解物乾燥固形中に含まれる上記10種類のアミノ酸の合計含有量である。
また、本発明のタンパク質分解物は、強力なACE阻害活性ペプチドIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpを乾燥固形中に合計で0.1重量%以上含有しているため、優れた血圧降下作用が期待できる。また、上記ジペプチド以外にも、強力なACE阻害活性ジペプチドとして知られているVal-Tyr、Ala-Trp、Leu-Trp、Leu-Tyrも乾燥固形中に合計で0.05重量%以上含有している。
尚、本明細書中で、Tyrはチロシン、Alaはアラニン、Leuはロイシン、Valはバリン、Ileはイソロイシン、Trpはトリプトファンを意味し、その他のアミノ酸残基を表す各記号もアミノ酸化学における慣用の表示法に基づくものである。
さらに、得られたタンパク質分解物溶液をそのままスプレードライや凍結乾燥等の方法により乾燥し、粉末化することもできるが、より好ましい方法としては、得られたタンパク質分解物溶液に、澱粉、化工澱粉、デキストリン、環状デキストリン、還元水飴、水飴、難消化性デキストリン、オリゴ糖、α化澱粉・アラビアガム等の粉末化基材を添加溶解後、スプレードライ、凍結乾燥等の方法により乾燥することにより、タンパク質分解物を粉末化し、食品素材或いは食品添加剤とすることもできる。
上記粉末化基材はタンパク質分解物と混合された状態で粉末化できうる量であればいくらでも含有させてもよいが、食品素材或いは食品添加剤の乾燥固形分中における粉末化基材の重量%(固形分質量比率)は5から95%の範囲での含有が好ましく、粉末化基材の含有量が増すことにより、タンパク質分解物が有している呈味性の損失や、飲食物への添加量が増加してしまうことを考慮すると、粉末化基材は固形分質量比率10%から70%の範囲で、好ましくは12%から50%の範囲で、より好ましくは15%から30%の範囲で含有させることが適している。また、タンパク質分解物溶液を減圧濃縮、膜濃縮を用いて調製した液体状のタンパク質分解物エキスを食品素材或いは食品添加剤とすることもできる。
本発明のタンパク質分解物は呈味性(旨味、コク)、溶解性及び色調に優れているため、飲料、農水産加工品、乳製品、菓子、調味料、フリーズドライ食品、レトルト食品等の食品や健康食品に含有させることができる。食品としては特に制限はされないが、具体的に対象となる食品としては、以下のものが挙げられる。
茶系飲料、コーヒー飲料、炭酸飲料、果実飲料、果実酒類、野菜飲料、清涼飲料、乳飲料類、乳酸菌飲料類、ドリンク剤類、スポーツドリンク、豆乳などの飲料類;アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓、ヨーグルト、プリン、ゼリーなどのデザート類;饅頭、羊羹、キャラメル、キャンディー、錠菓、スナック、クラッカー、ビスケット、クッキー、パイ、チョコレート、チューインガムなどの菓子類;和風スープ、洋風スープ、中華スープ、味噌汁などのスープ類;パン類;ジャム類;マヨネーズ、ドレッシングなどの調味料類;レトルトカレー等のレトルト食品などを挙げることができる。尚、本発明のタンパク質分解物を飲食品に含有させる場合、添加量としては飲食品1食あたり10mgから2,000mg、好ましくは50mgから1,000mg、より好ましくは100mgから800mg、さらに好ましくは200mgから600mgが適当である。
本発明の食品素材あるいは食品添加剤は、タンパク質分解物の呈味性、優れた溶解性及び優れた色調といった特徴をそのまま有しているため、上記タンパク質分解物と同様に、飲料、農水産加工品、乳製品、菓子、調味料、フリーズドライ食品、レトルト食品等の食品や健康食品に含有させることができる。
本発明のタンパク質分解物或いは該タンパク質分解物を含有する食品素材或いは食品添加剤は優れた溶解性をもつ固形粉末あるいは液体状エキスであることから、粉末清涼飲料或いは液体清涼飲料(以下、清涼飲料)に添加することも可能である。また、本発明のタンパク質分解物或いは食品素材は呈味性に優れていることから、清涼飲料にコクとうま味を付与することが出来る。さらに、色調が優れていることから、澄明な清涼飲料に添加しても、清涼飲料に違和感を与えることはない。清涼飲料としては特に制限はされないが、具体的に対象となる清涼飲料としては、以下のものが挙げられる。
緑茶飲料、紅茶飲料、烏龍茶飲料、麦茶飲料、はと麦茶飲料、甜茶飲料、プーアル茶飲料、ジャスミン茶飲料、抹茶飲料、ブレンド茶飲料、杜仲茶飲料、玄米茶飲料、マテ茶飲料等の茶系飲料類;スポーツ飲料類;コーヒー、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料等のコーヒー飲料類;トマトジュース、ニンジンジュース、野菜ジュース、野菜果汁ミックスジュース等の野菜飲料類;コーラ炭酸飲料、透明炭酸飲料、果汁入り炭酸飲料、果実着色炭酸飲料、乳類入り炭酸飲料、栄養ドリンク炭酸飲料等の炭酸飲料類;天然果汁、果汁飲料、果肉飲料、果汁入り混合飲料等の果実飲料類などを挙げることができる。
このようにして得られたタンパク質分解物は強力なACE阻害活性ペプチドIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpを多量に含有しており、経口摂取によっても強い血圧降下作用を示すことから、有用な血圧降下剤としても用いることができる。さらに、水への溶解性が良く、熱に対しても比較的安定であることから、各種飲食物の形態および医薬品製剤のいずれにも適用することができる。
各種飲食物の形態であれば、上記タンパク質分解物と同様に、飲料、農水産加工品、乳製品、菓子、調味料、フリーズドライ食品、レトルト食品等の食品や健康食品に含有させることができる。また、医薬品製剤の形態であれば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、シロップ等の経口投与剤が好ましい。
本発明のタンパク質分解物は強力なACE阻害活性ペプチドIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpを多量に含有しているため、極めて有用なACE阻害剤として用いることができる。
なお、本発明における「タンパク質分解物」、「ペプチダーゼ処理物」、「ペプチド混合物」もしくは「分解物」とは、タンパク質を加水分解して得られるペプチドを含有する混合物を意味し、その中に、低分子量タンパク質、アミノ酸、糖類、もしくは無機塩等を含有してもよい。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
タンパク質分解酵素活性の測定方法、本実施例において調製されたタンパク質分解物のACE阻害活性の測定方法、およびタンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量分析方法は以下の通りである。
<アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害活性試験法>
本発明におけるACE阻害活性(IC50)は、以下の方法に従って測定した。
緩衝液:150mM HEPES、450mM NaCl(pH 8.3)
酵素:ウサギ肺由来ACE(Sigma)
1mg/mL 牛血清アルブミン水溶液に溶解し、濃度を100mU/mLに調整。
基質:Benzoyl−Gly−His−Leu・H2O(ペプチド研究所)
上記緩衝液に溶解し、濃度を6 mMに調整する。

本発明物質を含む水溶液70μLをeppendorf社の protein LoBind tube (1.5 mL)に入れ、基質溶液200μLを加えて十分に攪拌後、37℃、5分間インキュベートした。酵素溶液30μLを添加して、37℃、30分間反応後、1M酢酸ナトリウムバッファー(pH4.0)を200μL加えて反応を停止させた。反応停止後、8,000×gで遠心分離を行い、上清をHPLC分析に供し、ACEにより加水分解されたBenzoyl-Gly量を定量した(A)。ここで、1M酢酸ナトリウムバッファー(pH 4.0)200μLを加えた後に、酵素を添加したもののBenzoyl-Gly量をblank(B)、阻害物質水溶液の代わりに水を加え、ACE反応させたもののBenzoyl-Gly量をcontrol(C)とし、それぞれのBenzoyl-Gly量を下記式に代入して阻害率を算出した。

阻害率(%)={1−(A−B)/(C−B)}×100
また、阻害剤の濃度を段階的に調製し、それぞれの阻害率を導き、終濃度を横軸、阻害率を縦軸として、各結果をプロットし、得られる曲線が50%の阻害率を通過する点の終濃度をIC50値とした。
<高速液体クロマトグラフィー(HPLC)条件>
カラム:Capcell pak MGII(I.D.3.0×100mm,粒子径3μm,資生堂)
ガードカラム:Guard cartridge Capcell pak C18 MGII S-3(I.D.3.0×10mm,資生堂)
カラム温度:40℃
検出:PDA 210-400nm(解析波長228nm)
移動相:水:アセトニトリル:リン酸=800:200:0.5+500mg/L硫酸ナトリウム
流速:0.56mL/分
インジェクション量:10μL
<タンパク質分解酵素活性測定法(カゼイン-フォリン法)>
基質液は、和光純薬製カゼイン(Hammerstein処方)の0.6%緩衝溶液を用いた。基質液2mLに酵素溶液0.4mLを添加し、30℃、10分間反応させた。次いで、440mMトリクロロ酢酸水溶液2mLを加えることで反応を停止させた後、反応液を0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、酸可溶性分解物の量をフォリン法により測定した。1分間に1μgチロシンに相当するフォリン試液呈色物質の増加をもたらす酵素量を1ユニットとした(以下、特に断りのない限り、プロテアーゼ活性のユニットとは本法で測定されたユニット数をさす)。
<液体クロマトグラフィー 電界噴霧エレクトロスプレーイオン化法 質量分析法(LC-ESI-MS)によるジペプチドの定量分析>
タンパク質分解物を25〜50mg秤量して水に溶解させた後に50mLに定容し、0.45μm PTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、ジペプチド定量測定試料とした。測定試料はODSカラムを用いてHPLCで分離し、三連四重極型質量分析装置(ABI社製、API3200)のMRMモードで検出、定量した。

<HPLC条件>
カラム:Capcell pak MG (I.D.2.0×100mm,粒子径3μm,資生堂)
カラム温度:40℃
移動相:(A)水:アセトニトリル:ギ酸=98:2:0.1
(B)水:アセトニトリル:ギ酸=45:55:0.1
流速:0.2mL/分
サンプル注入量:10μL
勾配:0〜4分:0%移動相(B) 4〜22分:0〜35%移動相(B) 22〜24.5分:35%移動相(B)

<MS条件>
ionization:ESI
scan type:MRM
polarity:positive
ion source:Turbo
spray
curtain gas:25
collision gas:3
ion spray voltage:5500
temperature: 550℃
ion source gas1: 70
ion source gas2: 40
実施例1:茶タンパク質分解物の調製
<茶葉タンパク質の調製>
緑茶(ゆたかみどり種、鹿児島産、2番茶)100gを60℃の熱水(2000g)で抽出した後、抽出残渣をさらに90℃の熱水(2,000g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.1M水酸化ナトリウム水溶液(1.4L)に浸漬し、80℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。 次に、遠心分離 (15,000×g、60分間)により不溶物を除去後、2M塩酸によりpHを3.5に調整し等電点沈澱させ、遠心分離 (15,000×g、60分間)を行うことによりタンパク質20gを得た。

<茶葉タンパク質分解物の調製>
得られたタンパク質のうち、100mgを水で湿潤後、50mM水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶解させた後、2M塩酸を加えて下記表1に示すpHに調整し、水で20mLに定容した。次に表1に記載した種々のタンパク質分解酵素100ユニットを37℃で4時間作用させて、タンパク質を分解した。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加熱して酵素を失活させた。その後、0.2M水酸化ナトリウム水溶液または0.6M塩酸を用いてpHを3.5に調整し、沈澱した未分解のタンパク質およびタンパク質分解酵素を、遠心分離(3,300×g、30分間)により除去し上清を回収した。その上清について電気透析装置(マイクロアシライザーS1、カートリッジAC110-10、旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行ない、各タンパク質分解酵素の分解物を得た。

また、これらのタンパク質分解物についてACE阻害活性を測定した(表1)。
表1の結果より、種々のプロテアーゼの作用によって得られたいずれの茶葉タンパク質分解物もACE阻害活性を有することが確認された。
実施例2:茶葉タンパク質のプロテアーゼ分解物の製造とACE阻害活性ペプチドの同定

<茶葉タンパク質のプロテアーゼ分解物の製造>
実施例1<茶葉タンパク質の調製>で得られた茶タンパク質5gを570mLの15mM NaOH水溶液に溶解させ、1M塩酸でpH7に調整し、スミチームCP(100,000ユニット)を加え、37℃で90分反応させた。沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止させ、室温まで冷却し、1M塩酸を加えpH4に調整した後、生成した沈殿を遠心分離(10,000×g,30分間)に供し、上清と沈殿に分離した。上清は回収し、濃縮することよりスミチームCP分解物溶液を得た。
<プロテアーゼ分解物中のACE阻害活性ペプチドの同定>
スミチームCP分解物溶液に炭酸水素ナトリウムを加え、pHを6.5に調整し、30%メタノールになるよう、メタノールを加え、以下に記載した条件でゲル濾過に供した。分画はサンプル導入を0分として、80-122分、122-132分、132-193分、193-220分、220-280分に溶出する5つのフラクションに分画した。各フラクションについて濃縮乾固を行い、ACE阻害活性を測定した結果、ACE阻害活性は193-220分で溶出する画分が最も高かった。

<ゲル濾過条件>
カラム:Sephadex G-15(I.D.40×440mm,GE healthcare)
検出:210nm
移動相:水:メタノール=7:3
流速:2mL/分
次に193-220分に溶出するACE阻害活性の主画分をアセトニトリル:水 = 1:9に溶解させ、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行った後、以下に記載の条件で分取HPLCに供した。0-5.5分、5.5-10分、10-15.5分、15.5-17.8分、17.8-21.5分、21.5-24.5分、24.5-30分に溶出する画分に分け、濃縮・乾固し、得られた各画分についてACE阻害活性試験を行ったところ、10-15.5分(A-1)と15.5-17.8分(A-2)のフラクションに強いACE阻害活性が認められた。

<分取HPLC条件>
カラム:SunFire C18 OBD(I.D.19×250mm,粒子径5μm,Waters)
カラム温度:40℃
検出波長: 220nm
移動相:(A)水:トリフルオロ酢酸=100:0.05
(B)アセトニトリル:トリフルオロ酢酸=100:0.05
流速:8.5mL/分
勾配:0〜5分:10%移動相(B) 5〜25分:10〜75%移動相(B) 25〜40分:75%移動相(B)

更にA-1とA-2のフラクションをアセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸=10:90:0.05に溶解し、合一後0.45μm PTFE(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)フィルター濾過を行い、以下に記載の条件で分取HPLCに供した。3.5-13分、13-15.2分、15.2-16.6分(B-1)、16.6-18分、18-20.2分(B-2)、20.2-23.2分(B-3)、23.2-25.7分(B-4)、25.7-28分(B-5)、28-29分、29-31分、31-40分に溶出するフラクションに分画し、濃縮・乾固後、各フラクションについてACE阻害活性試験を行った。

<分取HPLC条件>
カラム:SunFire C18 OBD (I.D.19×250mm,粒子径5μm,Waters)
カラム温度:40℃
検出波長: 220nm
移動相:(A)水:トリフルオロ酢酸=100:0.05
(B)アセトニトリル:トリフルオロ酢酸=100:0.05
流速:8.5mL/分
勾配:0〜5分:10%移動相(B) 5〜25分:10〜40%移動相(B) 25〜40分:40%移動相(B)

ACE阻害活性が強かったB-1をアセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸=10:90:0.05に溶解させ、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行った後、以下に記載の条件で分取HPLCに供した。34-36分、36-38分、38-43分に溶出するフラクションに分画し、濃縮・乾固後、各画分についてACE阻害活性試験を行った。一本のピークとして溶出された36-38分のフラクションが最もACE阻害活性が強かったため、LC-ESI-MS分析および市販標品との比較を行ったところ、36-38分のフラクションはIle-Tyrと決定した。

<分取HPLC条件>
カラム:SunFire C18 OBD(I.D.19×250mm,粒子径5μm,Waters)
カラム温度:40℃
検出波長: 220nm
移動相:(A)水:トリフルオロ酢酸=100:0.1
(B)アセトニトリル:トリフルオロ酢酸=100:0.1
流速:8.5 mL/分
勾配:0〜5分:5%移動相(B) 5〜50分:5〜15%移動相(B) 50〜60分:15%移動相(B)

フラクションB-1の次にACE阻害活性が強かったB-4とB-5をアセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸=10:90:0.05 に溶解後合一し、0.45μm PTFE フィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行った後、以下に記載の条件で分取HPLCに供した。41-42分(C-1)、42-44分、44-47分、47-48分、48-52分、52-53分(C-2)、53-55分、55-60分のフラクションに分画し、濃縮・乾固後、各フラクションについてACE 阻害活性試験を行ったところ、C-1とC-2に強力なACE阻害活性が認められた。

<分取HPLC 条件>
カラム:SunFire C18 OBD(I.D.19×250mm,粒子径5μm,Waters)
カラム温度:40℃
検出波長: 220nm
移動相:(A)水:トリフルオロ酢酸=100:0.1
(B)アセトニトリル:トリフルオロ酢酸=100:0.1
流速:8.5 mL/分
勾配:0〜5分:10%移動相(B) 5〜55分:10〜20%移動相(B) 55〜65分:20%移動相(B)

ACE阻害活性が認められたフラクションC-1とC-2に関して、LC-ESI-MS分析および市販標品との比較を行った。その結果、C-1に含まれる主成分はVal-Trpであることがわかり、C-2に含まれる主成分はIle-Trpであることが判明した。

以上の結果から、本プロテアーゼ分解物中に含まれるACE阻害活性ペプチドは、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpが主成分であることが確認できた。Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-TrpのACE阻害活性を表2に記す。
実施例3:茶葉タンパク質のプロテアーゼ分解物中に含まれるACE阻害活性ジペプチドの定量
表1記載の茶葉タンパク質分解物を水に溶解させ1mg/mLに調整し、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行った後、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量した(表3)。
表3の結果より、種々のプロテアーゼ酵素製剤の作用によって得られた茶葉タンパク質分解物はACE阻害活性ペプチドIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpを含有することが確認された。特に、酸性カルボキシペプチダーゼと中性エンドペプチダーゼの双方を含有しているスミチームLPを作用させて得られた茶葉タンパク質分解物はIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpを最も多く含有することが確認された。
実施例4:中性エンドペプチダーゼ分解物の各プロテアーゼ処理物中に含まれるACE阻害活性ジペプチドの定量
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
実施例1<茶葉タンパク質の調製>で得られた茶タンパク質5gを570mLの15mM NaOH水溶液に溶解させ、1M塩酸(HCl)でpH7に調整し、スミチームCP(100,000ユニット)を加え、37℃で120分反応させた。沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止させ、室温まで冷却し、1M塩酸を加えpH4に調整した後、生成した沈殿を遠心分離(10,000×g, 30分間)に供し、上清と沈殿に分離した。上清を回収し濃縮した後、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、茶葉タンパク質のスミチームCP分解物を得た。得られた分解物を水に溶解後、5mg/mLに調整し、その6mLずつを50mL遠沈管に分注し、0.2M NaOH水溶液または0.6M塩酸を用いて表4に示す各酵素の反応pHに調整した。その後、表4に記載の種々のタンパク質分解酵素30ユニットを添加し、37℃で4時間作用させて、スミチームCP分解物をさらに分解した。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、0.2M NaOH水溶液または0.6M塩酸でpHを7.0に調整し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥しスミチームCP分解物の各プロテアーゼ処理物をそれぞれ約30mg得た。

<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>
これらの分解物を水に溶解させ1mg/mLに調整した後に、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量した(表4)。
これらの結果から、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤であるスミチームCPの茶葉タンパク質分解物に酸性エキソペプチダーゼ(酸性カルボキシペプチダーゼ)活性を有する酵素製剤{スミチームACP-G(表4 No.4)、スミチームFP-G(pH4)(No.5)、スミチームLP(No.7)}を作用させるとACE阻害ペプチドIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpが増加することが分かった。また、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤であるスミチームCPの茶葉タンパク質分解物に中性プロテアーゼ活性を有する酵素製剤(表4 No.9,11,12,13,14,15,16)、もしくはアルカリプロテアーゼ活性を有する酵素製剤(表4 No.17)を作用させてもACE阻害活性ペプチドIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpがあまり増加しないことが分かった。さらにスミチームCPの茶葉タンパク質分解物に中性アミノペプチダーゼであるロイシンアミノペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(表4 No.8,10)を作用させた場合には、逆にACE阻害活性ペプチドIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpが減少し、好ましくない結果となった。
実施例5:中性エンドペプチダーゼ分解物を酸性エキソペプチダーゼで処理したタンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
実施例1<茶葉タンパク質の調製>で得られた茶タンパク質5gを0.5M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で加熱溶解させ、1M塩酸(HCl)でpH6.8に調整し、水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を5000ユニット添加し、60℃で5時間酵素分解した。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加熱し酵素反応を停止させた。その後、0.6M塩酸で酵素反応液のpHを3.5に調整し、沈澱した未分解のタンパク質およびタンパク質分解酵素を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清は0.2M水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、中性エンドペプチダーゼ(サモアーゼPC10F)分解物1.9gを得た。この分解物100mgを水に溶解後、5mg/mLに調整し、0.2M水酸化ナトリウム水溶液または0.6M塩酸を用いてpH4に調整した。その後、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する製剤(スミチームACP-G、スミチームFP-G(pH4)、スミチームLP)各100ユニットを上記中性エンドペプチダーゼ分解物に添加し37℃で4時間作用させて、サモアーゼPC10F分解物をさらに分解した。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、0.2M水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.0に調整し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行った結果、サモアーゼPC10F分解物についての各酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤の処理物をそれぞれ100mg得た。

<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>
これらの分解物を水に溶解(1mg/mL)後、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、3種類のACE阻害活性ペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量した(表5)。
これらの結果から、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤であるサモアーゼPC10Fの茶葉タンパク質分解物に酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤を作用させるとACE阻害ジペプチドの合計が1.2倍から2.2倍に増加することが確認された。特に、茶葉タンパク質のサモアーゼPC10F分解物をさらにスミチームACP-Gで酵素分解した時に、ACE阻害活性ペプチドIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpが最も多く生成することが明らかになった。
実施例6:緑茶葉からの茶タンパク質分解物の調製
<茶葉タンパク質の調製>
緑茶(ゆたかみどり種、鹿児島産、2番茶)200gを65℃の熱水(4000g)で抽出した後、抽出残渣をさらに95℃の熱水(4000g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.125M 水酸化ナトリウム水溶液2.8 Lに浸漬し、80℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。 抽出液を室温まで冷却した後、抽出液を1M塩酸によりpH7に調整し、珪藻土を420g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより不溶物を除去した。得られた濾液を2M塩酸によりpH3.5に調整してタンパク質を等電点沈澱させ、遠心分離 (4,500×g、60分間)で沈殿を回収後、凍結乾燥することにより、茶葉タンパク質28.7gを得た。

<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られたタンパク質のうち、5gを0.5M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で加熱溶解させ、1 M塩酸でpH7に調整した。このタンパク質水溶液に水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を5000ユニット添加し、60℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、1 M塩酸でpHを3.5に調整し未分解のタンパク質を沈殿させた。この沈殿物を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清を0.1M NaOH水溶液でpH4.5に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2000ユニット加え、50℃で4時間作用させた。反応終了後、0.2M NaOH水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。反応液は室温に戻し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物1.8gを得た。

<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>
また、この茶葉タンパク質分解物について、水に溶解させ0.6mg/mLに調整した後に、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)についてLC-ESI-MSによる定量分析を行った(表6)。
<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの同定>
実施例2<プロテアーゼ分解物中のACE阻害活性ペプチドの同定>と同様の手法により、本実施例で得られたタンパク質分解物についてACE阻害活性を指標に、ゲル濾過で溶出される活性画分について、HPLCによる精製操作を4回繰り返し、上記ACE阻害活性ジペプチド以外のACE阻害活性ペプチドの探索を行った。その結果、本実施例で得られたタンパク質分解物はACE阻害活性を有することが知られている既知のジペプチドVal-Tyr、Ala-Trp、Leu-TyrおよびLeu-Trpを含有していることが見出された。そこで、本実施例のタンパク質分解物について、水に溶解させ0.6mg/mLに調整した後に0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、Val-Tyr、Ala-Trp、Leu-TyrおよびLeu-TrpをLC-ESI-MSで定量した(表7)。
また、実施例5および実施例6のタンパク質分解物のACE阻害活性試験を行った(表8)。なお、参考として、標品であるVal-Tyr、Ala-Trp、Leu-Tyr、Leu-Trp(いずれもBachem社製)のACE阻害活性を測定し、IC50を求めた。表8から明らかなように、茶由来タンパク質分解物のACE阻害活性が認められた。
さらに、実施例3のタンパク質分解物中の、Ala-TrpとVal-TyrをLC-ESI-MSで定量した(表9)。
実施例7:緑茶葉からの茶タンパク質分解物の調製
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
実施例6<茶葉タンパク質の調製>で得られた茶葉タンパク質のうち、5gを0.5M水酸化ナトリウム水溶液で加熱溶解させ、1M塩酸でpH7.2に調整し、水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を5000ユニット添加し、60℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加熱後、pHを0.1M塩酸でpH4に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2000ユニット加え、50℃で4時間作用させた。反応終了後、0.2M水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止させた。
得られた酵素反応液を限外濾過遠心チューブ(Millipore社,Amicon Ultra-15 Centrifugal Filter Devices,MWCO;50,000)で3,500×gで15分遠心を行い、透過液を回収した。得られた透過液について、更に限外濾過遠心チューブ(CORNING社,Spin-X UF20, MWCO:10,000)で3,500×gで30分遠心を行い、透過液を回収した。この透過液を、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥し、タンパク質分解物(1.26 g)を得た。

<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>
また、得られた分解物を水に溶解させ1 mg/mLに調整した後に、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、7種類のACE阻害活性ペプチド(Ala-Trp、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp、Val-Tyr、Leu-Trp、Leu-Tyr)をLC-ESI-MSで定量した(表10)。
実施例8:三重産緑茶葉(1番茶、2番茶、秋冬番茶、春番茶)からの茶葉タンパク質の抽出およびその中性エンドペプチダーゼ分解物の酸性エキソペプチダーゼ処理物の調製
<茶葉タンパク質の調製>
国産緑茶葉(1番茶、2番茶、秋冬番茶、春番茶、三重産)各10gを300mL(30倍量)の温水(60℃)で5分間抽出した後、抽出残渣をさらに300mLの熱水(90℃)で10分間、二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.2M水酸化ナトリウム水溶液140mLに浸漬し、80℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。 アルカリ抽出液を1M 塩酸を用いてpH6に調整し、遠心分離 (4,500×g、60分間)により不溶物を除去後、0.5M塩酸によりpHを3.5に調整し等電点沈澱させ、遠心分離 (4,500×g、120分間)で沈殿を回収後、凍結乾燥して茶葉タンパク質を得た(表11)。
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の調製>
得られたタンパク質のうち、500mgを水で湿潤後、50mM水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶解させた後、2M塩酸を加えてpH7.1に調整し、水で80mLに定容した後に、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を500ユニット加え、37℃で4時間作用させて、タンパク質を分解した。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加熱後、0.1M塩酸でpHを3.5に調整し、沈澱した未分解のタンパク質およびタンパク質分解酵素を、遠心分離(3,000×g、60分間)により除去し上清を回収した。得られた上清を0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH4に調整し、酸性エキソペプチダーゼを有する酵素製剤(スミチームACP-G)を200ユニット加え、37℃で4時間作用させた。反応終了後、0.2M水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間加熱した。反応液を室温に戻し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、茶葉タンパク質分解物を得た。

<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>
この茶葉タンパク質分解物について、水に溶解させ1mg/mLに調整した後に0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量分析した(表12)。
その結果、茶葉の摘採時期に関わらず、いずれの緑茶から調製したタンパク質をプロテアーゼで分解したタンパク質分解物はACE阻害ジペプチドIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpを多量に含有することが分かった。
実施例9:紅茶葉(ディンブラ、ウバ)および烏龍茶葉(色種)からの茶葉タンパク質の抽出およびその中性エンドペプチダーゼ分解物の酸性エキソペプチダーゼ処理物の調製
<茶葉タンパク質の調製>
紅茶葉(ディンブラ、ウバ)および烏龍茶葉(色種)10gを300mL(30倍量)の熱水(90℃)で5分間抽出した後、抽出残渣をさらに300mL(30倍量)の熱水(90℃)で10分間、二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を0.15M水酸化カリウム水溶液140 mL中に浸漬し、80℃で3時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。 アルカリ抽出液を1M 塩酸を用いてpH6に調整し、遠心分離 (4,500×g、60分間)により不溶物を除去後、0.5M塩酸によりpHを3に調製し等電点沈澱させ、遠心分離 (4,500×g、120分間)を行うことにより茶葉タンパク質を得た(表13)。
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られたタンパク質のうち、500mgを水で湿潤後、500mM水酸化カリウム(KOH)水溶液を加えて溶解させた後、2M塩酸を加えてpH7に調整し、水で80mLに定容した。その後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を500ユニット加え、37℃で4時間作用させて、タンパク質を分解した。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加温後、0.1M塩酸でpHを3.5に調整し、沈澱した未分解のタンパク質およびタンパク質分解酵素を、遠心分離(3,000×g、60分間)により除去し上清を回収した。得られた上清を0.1M KOH水溶液でpH4に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を200ユニット加え、37℃で4時間作用させた。反応終了後、0.1M KOH水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間加熱した。反応液は室温に戻し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、茶葉タンパク質分解物を得た。

<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>
これらの茶葉タンパク質分解物について、水に溶解させ1mg/mLに調整した後に0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量した(表14)。
その結果、茶葉の加工度、加工方法に関わらず、いずれの紅茶葉、烏龍茶葉からもACE阻害ペプチドIle-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpを多量に含むタンパク質分解物が得られることが確認できた。
比較例1:抹茶尿素可溶タンパク質のサーモリシン分解物の調製
<尿素可溶タンパク質の調製>
抹茶(商品名:あすかの、三井農林株式会社製)5gを7M尿素水溶液500mL(尿素210 g/500mL)に分散溶解させ、10分間かき混ぜた後に50mLの遠沈管に分注し、3,500×gで20分間遠心分離し、上清を回収した。得られた上清を透析膜に入れ、透析により尿素を除去した。透析膜内のタンパク質を回収後、凍結乾燥を行い、抹茶尿素可溶タンパク質を460mg得た。

<尿素可溶タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られた抹茶尿素可溶タンパク質50mgを水50mLに分散溶解させた後、サーモリシン(Sigma-Aldrich)1250ユニットを加え37℃で5時間作用させて、タンパク質を分解した。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加熱後、不溶物を遠心分離(3,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清はマイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後凍結乾燥を行い、抹茶尿素可溶タンパク質のサーモリシン分解物を55mg得た。

<タンパク質分解物中のACE阻害活性ジペプチドの定量>
また、この分解物について、水に溶解させ1mg/mLに調整した後に、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量分析した(表15)。
試験例1:水への溶解性の評価
実施例6、8および9の<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物および比較例1の<尿素可溶タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物を純水に1mg/mL,10mg/mLになるように添加、混合し、分散溶解性を目視で確認した。判定は不溶物の存在がないを○、濁りが生じ、不均一な溶液を×とした(表16)。
表16の結果から、本発明の方法で調製した実施例6、8および9のタンパク質分解物は、純水に対して1mg/mLと10mg/mLの添加濃度において際立って高い澄明性をもった溶液となり、不溶物の存在がないことも確認された。一方、比較例1のタンパク質分解物は1mg/mLの濃度においても溶解性が悪く、不溶物が目視でも十分に確認できた。
試験例2:タンパク質分解物の官能評価
実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物および比較例1<尿素可溶タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物そのものに関して、専門パネリスト5名で官能評価を実施し、評価結果の採点を行った。
採点方法は各分解物に対して、5点:食品として味に全く問題なし、4点:食品としてやや味が気になるが商品として問題なし、3点:食品として味が気になるが商品として問題なし、2点:食品として味に問題があり商品として不向き、1点:食品として味に著しく問題あり、の評価点をつけ、平均値を算出した(表17)。
表17の結果から、本発明の方法で調製された実施例6のタンパク質分解物は、比較例1のタンパク質分解物に比べて味が濃く、うま味があることが確認された。
実施例10:緑茶飲料
緑茶30gを70℃のイオン交換水900gで5分間抽出し、続いて濾紙(No.2、アドバンテック社製)で濾過することにより茶葉を除去して、800gの緑茶抽出液(pH6、Brix1.1°、タンニン濃度70mg/100mL)を得た。この緑茶抽出液を30 ℃ 以下まで冷却し、飲用濃度(タンニン濃度60mg/100mL)となるようにイオン交換水で希釈し、L−アスコルビン酸(30mg/100mL)と実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物(100mg/100mL)を添加した。これに炭酸水素ナトリウムを溶解してpH6に調整した緑茶調合液を得た。これを容器に充填し、レトルト殺菌処理(121℃
、7分間)を行って、タンパク質分解物を含有する緑茶飲料を得た。
比較例2:抹茶尿素可溶タンパク質のサーモリシン分解物含有緑茶飲料
添加するタンパク質分解物を比較例1<尿素可溶タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物とする以外は実施例10と同様の操作を行い、比較例2となる緑茶飲料を得た。また、タンパク質分解物を添加しない参照品も同様に調製した。
試験例3:緑茶飲料への溶解性の評価
実施例10で調製した緑茶飲料、比較例2で調製した緑茶飲料および参照品に関しての溶解状態を分光光度計によりOD 660nmにおける透過率(T%)を測定することで調べた(表18)。
表18の結果から、実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物は、緑茶飲料においても1mg/mL(100mg/100mL)の濃度において高い澄明性をもった溶液となった。一方、比較例1<尿素可溶タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物は緑茶飲料においても1mg/mLの濃度で溶解性が悪いことがわかった。
試験例4:官能評価
実施例10で調製した緑茶飲料、比較例2で調製した緑茶飲料および参照品に関して、専門パネリスト5名で官能評価を実施し、評価結果の採点を行った。
採点方法は各緑茶飲料に対して、5点:参照品より優れている、4点:参照品と同等、3点:参照品より劣るが商品として問題なし、2点:参照品よりかなり劣り商品として不向き、1点:参照品より著しく劣る、の評価点をつけ、平均値を算出した(表19)。
表19の結果から、実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物は、比較例1<尿素可溶タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物で感じられるような味覚への違和感が全くなく、逆に緑茶飲料のコクとうま味を増強することが示唆された。
試験例5:実施例6および比較例1のタンパク質分解物のアミノ酸定量
実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>および比較例1<尿素可溶タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物をそれぞれ10mg秤量して水に溶解させ、内部標準物質のβ-アラニン水溶液(250mg/L)を0.2mL添加した後に10mLに定容し0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、アミノ酸測定試料とした。定量するアミノ酸はアスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、セリン(Ser)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、テアニン(Thea)、γ-アミノ酪酸(GABA)の10種とした。測定はオルトフタルアルデヒドを用いて誘導体化{0.05M 四ホウ酸ナトリウム溶液1.0mLに2−メルカプトエタノール(和光純薬、生化学用)10μL、オルトフタルアルデヒドのエタノール溶液120μLを加えて反応}したのち、ODSカラムを用いてHPLCで分離、蛍光検出器で検出、定量した(表20)。

<HPLC 分析条件>
カラム:Develosil ODS-UG-3 4.6×75mm(野村化学株式会社)
カラム温度:40℃
蛍光検出:励起波長340nm、蛍光波長455nm
移動相:(A)5mM クエン酸カリウム緩衝液(pH6):アセトニトリル=19:1
(B)5mM クエン酸カリウム緩衝液(pH6):アセトニトリル=3:7
流速:1mL/min
勾配:0min:5%移動相(B),0〜2.5min:5〜12%移動相(B),2.5〜19min:12%〜20%移動相(B)
以上の結果から、本発明の方法で調製した実施例6のタンパク質分解物には、比較例1で調製したタンパク質分解物よりも多量のアミノ酸を含有しており、特にアスパラギン酸とグルタミン酸が豊富に含まれていることが確認できた。従って、本発明のタンパク質分解物は飲食品に利用した場合、血圧降下作用を期待できるだけでなく、アミノ酸由来のコクとうま味を付与できることが分かった。
試験例6:スミチームLPによるタンパク質分解物のアミノ酸定量
実施例3<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したスミチームLPのタンパク質分解物を10mg秤量して水に溶解させ、内部標準物質のβ-アラニン水溶液(250mg/L)を0.2mL 添加した後に10mLに定容し0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、アミノ酸測定試料とし、試験例5と同様の方法でスミチームLPによるタンパク質分解物中のアミノ酸含有量を定量した(表21)。
実施例11:中性エンドペプチダーゼ分解物の酸性エキソペプチダーゼ処理物の限外濾過
実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物2.0gを400mLの水に溶解させた。この溶液を限外濾過遠心チューブ(CORNING社, Spin-X UF 20, MWCO:10,000)に入れ3,500×gで30分遠心した。得られた透過液を凍結乾燥し、実施例11の透過層1(1.46g)を得た。同様に、実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物2.0 gを400mLの水に溶解させ、限外濾過遠心チューブ(Millipore社, Amicon Ultra-15 Centrifugal Filter Devices,MWCO;3,000)を用いて3,500×gで15分遠心した。得られた透過液を凍結乾燥し、実施例11の透過層2(1.35g)を得た。
試験例7:タンパク質分解物とその限外濾過透過層の水溶液での色差
実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物(限外濾過前)、実施例11の透過層1および透過層2をそれぞれ10mg/mLの水溶液に調製し、水をコントロールとし、色差計(日本電色 SE2000 セル厚 10mm)を用いて限外濾過前と限外濾過後の色差を測定した。その結果、限外濾過前の分解物と比較して、透過層1は明度(L値)が増し、赤み(a値)が減少した。また、透過層2では透過層1よりもさらに明度(L値)が増し、赤み(a値)と黄み(b値)もさらに減少した(表22)。
尚、色差(ΔE)は、明度の差(ΔL)、赤みの差(Δa)および黄みの差(Δb)を下記式に代入し計算した。

ΔE={(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)2}1/2
試験例8:タンパク質分解物とその限外濾過透過層のACE阻害活性ペプチド含有率
実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物(限外濾過前)、実施例11の透過層1および透過層2について、水に溶解させ1mg/mLに調整した後に、0.45μmPTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC-25HP)濾過を行い、7種類のACE阻害活性ジペプチド(Ala-Trp、Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp、Val-Tyr、Leu-Trp、Leu-Tyr)をLC-ESI-MSで定量した(表23)。その結果、限外濾過前と比較して、透過層1はほぼ同様のACE阻害活性ジペプチド含有率であったが、透過層2は限外濾過前と比較してACE阻害活性ジペプチドの含有率が増加した。以上のことから、茶葉タンパク質分解物を限外濾過して得られた透過層は、限外濾過前と同等以上のACE阻害活性ジペプチドを含有していることが確認できた。
試験例9:中性エンドペプチダーゼ分解物の酸性エキソペプチダーゼ処理物の限外濾過物を添加した緑茶飲料の色差
添加するタンパク質分解物を実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物(限外濾過前)、透過層1および透過層2のタンパク質分解物とする以外は実施例9と同様の操作を行い、緑茶飲料をそれぞれ得た。また、タンパク質分解物を添加しない参照品も同様に調製した。得られた緑茶飲料について、参照品をコントロールとし、色差計(日本電色株式会社 SE2000 セル厚10mm)を用いて限外濾過前、透過層1および透過層2の色差を測定した。その結果、参照品と限外濾過前の分解物を添加した緑茶飲料の色差(ΔE)が9.5であったのに対し、透過層1を添加した緑茶飲料と透過層2を加えた緑茶飲料の色差はそれぞれ5.3と4.6であった(表24)。
色差(ΔE)の許容差設定事例(出典:齋藤 進 編著、食品色彩の科学、幸書房、1997年、p185)は一般に表25のようになっており、参照品と限外濾過前の分解物を添加した緑茶飲料の色差値ではC級許容差であったのに対し、参照品と透過層1または透過層2を添加した緑茶飲料の色差値ではB級許容差となった。このことから限外濾過を行うことにより、許容差のレベルが良くなることが確認できた。
製造例1
<茶葉タンパク質の調製>
緑茶(ゆたかみどり種、鹿児島産、2番茶)200gを65℃の熱水(4000g)で抽出した後、抽出残渣をさらに95℃の熱水(4000g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.15M 水酸化カリウム水溶液2.1 Lに浸漬し、85℃で2時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。 抽出液を室温まで冷却した後、抽出液を1M塩酸によりpH7に調整し、珪藻土を420g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2 、アドバンテック社製) で濾過することにより不溶物を除去した。得られた濾液を1M塩酸によりpH4に調整してタンパク質を等電点沈澱させ、遠心分離 (5,000×g、60分間)で沈殿を回収後、凍結乾燥することにより、茶葉タンパク質32gを得た。

<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られた茶葉タンパク質25gを0.6M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で加熱溶解させ、0.5M塩酸でpH7.5に調整した。このタンパク質水溶液に水を加えて液量を1000mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を12500ユニット添加し、50℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、0.5M塩酸でpHを3.5に調整し未分解のタンパク質を沈殿させた。この沈殿物を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清を0.1M NaOH水溶液でpH4.5に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を10000ユニット加え、50℃で4時間作用させた。反応終了後、0.1M NaOH水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。反応液は室温に戻し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物9gを得た。
製造例2
<茶葉タンパク質の調製>
使用するアルカリを0.25M水酸化ナトリウム水溶液とする以外は製造例1<茶葉タンパク質の調製>と同様の操作を行い、緑茶(ゆたかみどり種、鹿児島産、2番茶)200gから茶葉タンパク質30gを得た。

<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られた茶葉タンパク質5gを0.6M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で加熱溶解させ、0.5M塩酸でpH6.5に調整した。このタンパク質水溶液に水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を3000ユニット添加し、55℃で1時間酵素分解を行った。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、0.5M塩酸でpHを3.5に調整し未分解のタンパク質を沈殿させた。この沈殿物を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清を0.1M NaOH水溶液でpH4.5に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2500ユニット加え、55℃で3時間作用させた。反応終了後、0.1M NaOH水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。反応液は室温に戻し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物1.2gを得た。
製造例3
<茶葉タンパク質の調製>
烏龍茶葉(色種)200gを90℃の熱水(4000g)で抽出した後、抽出残渣をさらに95℃の熱水(4000g)で二回洗浄し、茶殻を調製した。得られた茶殻を、0.15M水酸化カリウム水溶液2.1Lに浸漬し、85℃で1時間攪拌して、茶葉タンパク質を溶解抽出した。
抽出液を室温まで冷却した後、抽出液を1M塩酸によりpH7に調整し、珪藻土を420g加えてよく攪拌し、濾紙(No.2、アドバンテック社製)で濾過することにより不溶物を除去した。得られた濾液を1M塩酸によりpH2に調整してタンパク質を等電点沈澱させ、遠心分離 (5,000×g、60分間)で沈殿を回収後、凍結乾燥することにより、茶葉タンパク質35gを得た。

<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られた茶葉タンパク質5gを0.5M水酸化カリウム水溶液で加熱溶解させ、0.5M塩酸でpH6.5に調整した。このタンパク質水溶液に水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を5000ユニット添加し、65℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、0.5M塩酸でpHを2に調整し未分解のタンパク質を沈殿させた。この沈殿物を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清を0.1M水酸化カリウム水溶液でpH4.0に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2500ユニット加え、45℃で2時間作用させた。反応終了後、0.1M水酸化カリウム水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。反応液は室温に戻し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物2.1gを得た。
製造例4
<茶葉タンパク質の調製>
使用するアルカリを0.05M水酸化ナトリウム水溶液とする以外は製造例3<茶葉タンパク質の調製>と同様の操作を行い、烏龍茶(色種)200gから茶葉タンパク質34gを得た。

<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
製造例3<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>と同様の操作を行い、茶葉タンパク質5gから酵素反応液を調製した。得られた酵素反応液を限外濾過遠心チューブ(CORNING社,Spin-X UF 20,MWCO:5,000)で3,500×gで30分遠心を行い、透過液を回収した。この透過液を、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥し、タンパク質分解物1.1gを得た。
製造例5
<茶葉タンパク質の調製>
使用する茶葉を紅茶葉(ディンブラ)とする以外は製造例3<茶葉タンパク質の調製>と同様の操作を行い、紅茶葉(ディンブラ)200gから茶葉タンパク質29gを得た。

<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られた茶葉タンパク質のうち、5gを1M水酸化ナトリウム水溶液で加熱溶解させ、0.2M塩酸でpH7.5に調整し、水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を4000ユニット添加し、60℃で3時間酵素分解を行った。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加熱後、pHを0.1M塩酸でpH4.0に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2000ユニット加え、50℃で3時間作用させた。反応終了後、0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止させた。
得られた酵素反応液を限外濾過遠心チューブ(CORNING社, Spin-X UF 20, MWCO:10,000)で3,500×gで30分遠心を行い、透過液を回収した。この透過液を、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥し、タンパク質分解物1.0gを得た。
製造例6 烏龍茶飲料
烏龍茶(色種)30gを70℃のイオン交換水900gで5分間抽出し、続いて濾紙(No.2、アドバンテック社製)で濾過することにより茶葉を除去して、820gの烏龍茶抽出液(pH5.5、Brix 0.9 °、タンニン濃度250mg/100mL)を得た。この烏龍茶抽出液を30℃ 以下まで冷却し、飲用濃度(タンニン濃度50mg/100mL)となるようにイオン交換水で希釈し、L-アスコルビン酸と製造例4<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物を飲用濃度100mg/100mLとなるよう添加した。これに炭酸水素ナトリウムを溶解してpH6に調製した烏龍茶調合液を得た。これを容器に充填し、レトルト殺菌処理(121℃、7分間) を行って、烏龍茶飲料を得た。
製造例7 紅茶飲料
紅茶(ディンブラ)30gを70℃のイオン交換水900gで5分間抽出し、続いて濾紙(No.2、アドバンテック社製)で濾過することにより茶葉を除去して、780gの紅茶抽出液(pH5.0、Brix 1.0 °、タンニン濃度300mg/100mL)を得た。この紅茶抽出液を30℃ 以下まで冷却し、飲用濃度(タンニン濃度60mg/100mL)となるようにイオン交換水で希釈し、L-アスコルビン酸と製造例5<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物をを飲用濃度100mg/100mLとなるよう添加した。これに炭酸水素ナトリウムを溶解してpH6に調製した紅茶調合液を得た。殺菌方法はUHT殺菌(135℃、30秒)を行い、PETボトルに充填し、紅茶飲料を得た。
製造例8
<茶葉タンパク質の調製>
使用するアルカリを0.3M水酸化ナトリウム水溶液とする以外は製造例1<茶葉タンパク質の調製>と同様の操作を行い、緑茶(ゆたかみどり種、鹿児島産、2番茶)200gから茶葉タンパク質31gを得た。

<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られた茶葉タンパク質5gを0.6M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で加熱溶解させ、0.5M塩酸でpH7.2に調整した。このタンパク質水溶液に水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を3000ユニット添加し、55℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、1M塩酸でpH4.5に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2500ユニット加え、55℃で4時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。得られた酵素反応液のpHを0.5M塩酸で3.5に調整し未分解のタンパク質を沈殿させた。この沈殿物を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清のpHを0.5M水酸化ナトリウム水溶液で7.0に調整し、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物2.4gを得た。
この分解物を水に溶解させ1mg/mLに調整した後に、PTFEフィルター濾過を行い、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量分析した結果、Ile-Trp、Ile-Tyr、およびVal-Trpは、分解物の乾燥固形分に合計で0.286重量%含まれていた。また、このタンパク質分解物を10mg秤量して水に溶解させ、内部標準物質のβ-アラニン水溶液(250mg/L)を0.2mL添加した後に10mLに定容しPTFEフィルター濾過を行い、アミノ酸測定試料とし、試験例5と同様の方法でタンパク質分解物中のアミノ酸含有量を定量した結果、アミノ酸が合計で4.5重量%含まれていた。
製造例9
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
製造例8で調製した茶葉タンパク質5gを0.3M水酸化カリウム水溶液で加熱溶解させ、0.2M塩酸でpH7.5に調整し、水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を4500ユニット添加し、65℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を、沸騰水浴中で20分間加熱後、酵素反応液を限外濾過遠心チューブ(CORNING社,Spin-X UF 20,MWCO:10,000)で3,500×gで30分遠心を行い、透過液を回収した。この透過液のpHを0.1M塩酸でpH3.8に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を2000ユニット加え、50℃で4時間作用させた。反応終了後、pHを0.3M水酸化カリウム水溶液で7.0に調整し、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止させた。得られた酵素反応液はマイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥し、タンパク質分解物1.8gを得た。
この分解物を水に溶解させ1mg/mLに調整した後に、PTFEフィルター濾過を行い、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量分析した結果、Ile-Trp、Ile-TyrおよびVal-Trpは、分解物の乾燥固形分中に合計で0.224重量%含まれていた。また、このタンパク質分解物を10mg秤量して水に溶解させ、内部標準物質のβ-アラニン水溶液(250mg/L)を0.2mL添加した後に10mLに定容しPTFEフィルター濾過を行い、アミノ酸測定試料とし、試験例5と同様の方法でタンパク質分解物中のアミノ酸含有量を定量した結果、アミノ酸が分解物の乾燥固形分中に合計で3.2重量%含まれていた。
製造例10
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
製造例3<茶葉タンパク質の調製>で製造した茶葉タンパク質5gを0.2M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で加熱溶解させ、0.2M塩酸でpH6.8に調整した。このタンパク質水溶液に水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を3500ユニット添加し、65℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、0.2M塩酸でpH4.0に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を3000ユニット加え、50℃で4時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。得られた酵素反応液のpHを0.2M塩酸で2.5に調整し未分解のタンパク質を沈殿させた。この沈殿物を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清のpHを0.5M水酸化ナトリウム水溶液で7.0に調整した後に、限外濾過遠心チューブ(Millipore社,Amicon Ultra-15 Centrifugal Filter Devices,MWCO;3,000)を用いて3,500×gで15分間遠心した。得られた透過液を、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物1.5gを得た。
この分解物を水に溶解させ1mg/mLに調整した後に、PTFEフィルター濾過を行い、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量分析した結果、Ile-Trp、Ile-TyrおよびVal-Trpは、分解物の乾燥固形分に合計で0.271重量%含まれていた。また、このタンパク質分解物を10mg秤量して水に溶解させ、内部標準物質のβ-アラニン水溶液(250mg/L)を0.2mL添加した後に10mLに定容しPTFEフィルター濾過を行い、アミノ酸測定試料とし、試験例5と同様の方法でタンパク質分解物中のアミノ酸含有量を定量した結果、アミノ酸が合計で3.0重量%含まれていた。
製造例11
<茶葉タンパク質の調製>
タンパク質を等電点沈殿させるpHを4.9とする以外は製造例1<茶葉タンパク質の調製>と同様の操作を行い、緑茶(ゆたかみどり種、鹿児島産、2番茶)200gから茶葉タンパク質26gを得た。
<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>
得られた茶葉タンパク質5gを0.2M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で加熱溶解させ、0.2M塩酸でpH6.5に調整した。このタンパク質水溶液に水を加えて液量を200mLにした後、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(サモアーゼPC10F)を3500ユニット添加し、65℃で4時間酵素分解を行った。この酵素反応液を沸騰水浴中で20分間加熱後、0.2M塩酸でpH4.0に調整し、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤(スミチームACP-G)を3000ユニット加え、50℃で4時間作用させた。反応終了後、沸騰水浴中で20分間煮沸し、酵素反応を停止した。得られた酵素反応液のpHを0.2M塩酸で5.0に調整し未分解のタンパク質を沈殿させた。この沈殿物を、遠心分離(4,500×g、30分間)により除去し上清を回収した。得られた上清のpHを0.5M水酸化ナトリウム水溶液で7.0に調整した後に、限外濾過遠心チューブ(Millipore社,Amicon Ultra-15 Centrifugal Filter Devices,MWCO;3,000)を用いて3,500×gで15分間遠心した。得られた透過液を、マイクロアシライザーS1(旭化成)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、タンパク質分解物1.3gを得た。
この分解物を水に溶解させ1mg/mLに調整した後に、PTFEフィルター濾過を行い、3種類のACE阻害活性ジペプチド(Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trp)をLC-ESI-MSで定量分析した結果、Ile-Trp、Ile-TyrおよびVal-Trpは、分解物の乾燥固形分に合計で0.221重量%含まれていた。また、このタンパク質分解物を10mg秤量して水に溶解させ、内部標準物質のβ-アラニン水溶液(250mg/L)を0.2mL添加した後に10mLに定容しPTFEフィルター濾過を行い、アミノ酸測定試料とし、試験例5と同様の方法でタンパク質分解物中のアミノ酸含有量を定量した結果、アミノ酸が合計で2.3重量%含まれていた。
処方例1:錠剤
以下の配合になるように各原料を混合した。なお、タンパク質分解物は実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物を使用した。
1.タンパク質分解物 35.0重量%
2.結晶セルロース 30.0重量%
3.乳糖 20.0重量%
4.澱粉分解物 10.0重量%
5.グリセリン脂肪酸エステル 5.0重量%

混合して得られた粉末を打錠成型することによりタンパク質分解物を含有する錠剤を得た。
処方例2:粉末緑茶飲料
以下の配合になるように各原料を混合し、タンパク質分解物を含有する粉末緑茶飲料を調製した。なお、タンパク質分解物は製造例1<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物を使用した。
1.デキストリン 60.0重量%
2.緑茶エキスパウダー 26.0重量%
3.タンパク質分解物 10.0重量%
4.ビタミンC 4.0重量%
処方例3:食品素材
以下の配合になるように各原料を混合し、タンパク質分解物を含有する食品素材を調製した。なお、タンパク質分解物は製造例1<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物を使用した。
1.タンパク質分解物 80.0重量%
2.デキストリン 15.0重量%
3.シクロデキストリン 5.0重量%
処方例4:グミ
以下の配合になるように各原料を混合し、タンパク質分解物を含有するグミを調製した。なお、タンパク質分解物は実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物を使用した。

1.還元水あめ 40.0重量%
2.グラニュー糖 20.0重量%
3.ブドウ糖 20.0重量%
4.ゼラチン 5.0重量%
5.水 9.6重量%
6.オレンジ果汁 4.0重量%
7.オレンジフレーバー 0.4重量%
8.タンパク質分解物 1.0重量%
試験例10:ラットへのタンパク質分解物投与による血圧降下作用
11週齢の雄性高血圧自然発症ラット(SHR)は日本SLC株式会社より購入し、温度22±1℃、湿度60%、12時間の明暗サイクルで管理した室内で飼育した。飼育期間中、通常固形食(5L37ローデントダイエット, 日本SLC)および水道水を自由摂取させた。試験には予備飼育と血圧測定の馴化を1週間行ったSHR(平均体重270g)を用いた。
SHRは1群7匹となるよう2群に分けた。コントロール群には滅菌した生理食塩水を6.7 mL/kg (1匹あたり約2 mL)、試料投与群には、実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物を生理食塩水で1.5mg/mLに調整した溶液を6.7 mL/kg(タンパク質分解物投与量:10mg/kg)、0.75mg/mLに調製した溶液を6.7 mL/kg(タンパク質分解物投与量:5mg/kg)となるようそれぞれゾンデで強制経口投与した。
非観血式血圧測定装置(BP-98AL, Softron社製)を用い、投与前及び経口投与3時間後及び6時間後の収縮期血圧を測定した。収縮期血圧は4回測定し、その平均値を測定値として記録した。統計処理はSPSS(ver19, IBM)を用い、Welchのt検定により同時間経過後の実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物を投与した群{投与群(10mg/kg)、投与群(5mg/kg)}とタンパク質分解物を投与しない群(非投与群)とを比較した(図1)。
結果、実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物の投与群(10mg/kg, 5mg/kg)のSHRは非投与群のSHRに比べて、タンパク質分解物の投与3時間後及び6時間後において有意な血圧降下作用を示した。
試験例11:ラットへのタンパク質分解物の低濃度投与による血圧降下作用
ラットへの実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物投与量を1mg/kg、2.5mg/kgとする以外は試験例9と同様の操作を行い、SHRへの降圧効果を確認した。その結果、実施例6<茶葉タンパク質からのタンパク質分解物の製造>で調製したタンパク質分解物の投与群(1mg/kg,2.5mg/kg)のSHRは、非投与群のSHRに比べて、タンパク質分解物投与3時間後及び6時間後において有意な血圧降下作用を示した(図2)。
以上の結果から、本発明の方法で得られたタンパク質分解物は非常に低濃度の投与量でも、雄性高血圧自然発症ラットに対して血圧降下作用を示すことが分かった。
本発明により、茶葉中のタンパク質から血圧降下剤として有用なタンパク質分解物を提供することができ、抽出残渣である茶殻を利用することができることから、未利用資源の有効活用ともなる。また本発明のタンパク質分解物は、安全性が高く、水への溶解性が良いことから、本発明のペプチドを有効成分として食品や飲料中に含有させることにより、血圧降下作用を有する食品や飲料として加工することも可能である。

Claims (13)

  1. 以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法。
    (a)茶葉をアルカリ水溶液で抽出し、抽出残渣を取り除き抽出液を得る工程
    (b)抽出液のpHを2から5にすることにより凝集したタンパク質画分を回収する工程
    (c)タンパク質画分を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤及び酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し反応液を得る工程
    (d)反応液のpHを2から5に調整して不溶性画分を除去し可溶性画分としてタンパク質分解物を回収する工程
  2. 以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法。
    (a)茶葉をアルカリ水溶液で抽出し、抽出残渣を取り除き抽出液を得る工程
    (b)抽出液のpHを2から5にすることにより凝集したタンパク質画分を回収する工程
    (e)タンパク質画分を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し反応液を得る工程
    (d)反応液のpHを2から5に調整して不溶性画分を除去し可溶性画分としてタンパク質分解物を回収する工程
    (f)タンパク質分解物を、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解する工程
  3. 以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法。
    (a)茶葉をアルカリ水溶液で抽出し、抽出残渣を取り除き抽出液を得る工程
    (b)抽出液のpHを2から5にすることにより凝集したタンパク質画分を回収する工程
    (c)タンパク質画分を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤及び酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し反応液を得る工程
    (g)反応液を限外ろ過膜で処理して透過液としてタンパク質分解物を回収する工程
  4. 以下の工程を順次行うことを特徴とするタンパク質分解物の製造方法。
    (a)茶葉をアルカリ水溶液で抽出し、抽出残渣を取り除き抽出液を得る工程
    (b)抽出液のpHを2から5にすることにより凝集したタンパク質画分を回収する工程
    (e)タンパク質画分を、中性エンドペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解し反応液を得る工程
    (g)反応液を限外ろ過膜で処理して透過液としてタンパク質分解物を回収する工程
    (f)タンパク質分解物を、酸性エキソペプチダーゼ活性を有する酵素製剤で分解する工程
  5. さらに、回収したタンパク質分解物を限外ろ過膜を用いて処理して透過液としてタンパク分解物を得ることを特徴とする請求項1乃至2記載のタンパク質分解物の製造方法。
  6. アミノ酸が乾燥固形中に1重量%以上含有される請求項1乃至5記載の製造方法により得られるタンパク質分解物。
  7. Ile-Trp、Ile-Tyr、Val-Trpで表されるジペプチドの合計が乾燥固形中に0.1重量%以上含有する請求項6記載のタンパク質分解物。
  8. 請求項6乃至7記載のタンパク質分解物を含有する食品素材或いは食品添加剤。
  9. 請求項6乃至7記載のタンパク質分解物を含有する飲食品。
  10. 請求項8記載の食品素材或いは食品添加剤を含有する飲食品。
  11. 粉末状或いは液体状の清涼飲料である請求項9乃至10の飲食品。
  12. 請求項6乃至7記載のタンパク質分解物を有効成分として含有する血圧降下剤。
  13. 請求項6乃至7記載のタンパク質分解物を有効成分として含有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
JP2013082645A 2012-06-01 2013-04-11 茶葉由来のタンパク質分解物の製造方法 Active JP5645994B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013082645A JP5645994B2 (ja) 2012-06-01 2013-04-11 茶葉由来のタンパク質分解物の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012126253 2012-06-01
JP2012126253 2012-06-01
JP2013082645A JP5645994B2 (ja) 2012-06-01 2013-04-11 茶葉由来のタンパク質分解物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014003971A true JP2014003971A (ja) 2014-01-16
JP5645994B2 JP5645994B2 (ja) 2014-12-24

Family

ID=50102344

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013082645A Active JP5645994B2 (ja) 2012-06-01 2013-04-11 茶葉由来のタンパク質分解物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5645994B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015100276A (ja) * 2013-11-21 2015-06-04 三井農林株式会社 茶葉由来のタンパク質分解物の製造方法
JP2016108269A (ja) * 2014-12-05 2016-06-20 株式会社佐藤園 茶由来シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤
JPWO2015194070A1 (ja) * 2014-06-20 2017-04-20 サントリーホールディングス株式会社 環状ジペプチド高含有組成物
JP2019170382A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 太陽化学株式会社 色調を抑えた茶ペプチド組成物及びその製造方法
CN117191962A (zh) * 2023-03-20 2023-12-08 广东技术师范大学 一种茶叶的发酵时间检测方法和装置

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107446980B (zh) * 2017-09-26 2021-03-19 成都中医药大学 一种沙棘叶多肽及其制备方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04349893A (ja) * 1991-05-29 1992-12-04 Nisshin Flour Milling Co Ltd ペプチド混合物の製造方法
JP2005053812A (ja) * 2003-08-01 2005-03-03 Maruzen Pharmaceut Co Ltd アンジオテンシンi変換酵素阻害剤及びその製造方法、並びに機能性食品
WO2006070828A1 (ja) * 2004-12-28 2006-07-06 Suntory Limited エクストルーダ加工による茶葉加工品
JP2010520274A (ja) * 2007-03-06 2010-06-10 フリーズランド ブランズ ビー.ブイ. ホエーからのace抑制ペプチド及び同物を提供する方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04349893A (ja) * 1991-05-29 1992-12-04 Nisshin Flour Milling Co Ltd ペプチド混合物の製造方法
JP2005053812A (ja) * 2003-08-01 2005-03-03 Maruzen Pharmaceut Co Ltd アンジオテンシンi変換酵素阻害剤及びその製造方法、並びに機能性食品
WO2006070828A1 (ja) * 2004-12-28 2006-07-06 Suntory Limited エクストルーダ加工による茶葉加工品
JP2010520274A (ja) * 2007-03-06 2010-06-10 フリーズランド ブランズ ビー.ブイ. ホエーからのace抑制ペプチド及び同物を提供する方法

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6014038808; 京都府立茶業研究所試験研究成績書 平成15年度 概要集 , 2004, 223-07,1-2 *
JPN6014038809; 日本栄養・食料学会大会講演要旨集 Vol.66th, 2012, p.110 *
JPN6014038810; 日本薬学会年会要旨集 Vol.128th, No.4, 2008, p.199 *

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015100276A (ja) * 2013-11-21 2015-06-04 三井農林株式会社 茶葉由来のタンパク質分解物の製造方法
JPWO2015194070A1 (ja) * 2014-06-20 2017-04-20 サントリーホールディングス株式会社 環状ジペプチド高含有組成物
JP2016108269A (ja) * 2014-12-05 2016-06-20 株式会社佐藤園 茶由来シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤
JP2019170382A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 太陽化学株式会社 色調を抑えた茶ペプチド組成物及びその製造方法
CN117191962A (zh) * 2023-03-20 2023-12-08 广东技术师范大学 一种茶叶的发酵时间检测方法和装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5645994B2 (ja) 2014-12-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5646035B1 (ja) 茶葉由来のタンパク質分解物の製造方法
US11382911B2 (en) Plant extract containing diketopiperazine and method for producing same
JP5645994B2 (ja) 茶葉由来のタンパク質分解物の製造方法
EP1938832B1 (en) Angiotensin-converting enzyme inhibitory peptides
JP5770411B2 (ja) グリコマクロペプチド由来の血圧降下ペプチド
JP2011102327A (ja) アンジオテンシン変換酵素阻害活性又は血圧降下作用を有する剤及びその製造法
US20090131331A1 (en) Novel Nutraceutical Compositions
JP2013040111A (ja) ジペプチジルペプチダーゼ−iv阻害剤及びその製造方法
US20120189611A1 (en) Dipeptidyl peptidase-4 inhibitor
US20100190723A1 (en) Preventive or therapeutic composition for liver disease
JP2001112470A (ja) アンギオテンシン変換酵素阻害剤
JP6369951B2 (ja) ジペプチジルペプチダーゼ−iv阻害剤
WO2013133032A1 (ja) ジペプチジルペプチダーゼ-iv阻害剤
JP2008247888A (ja) 米麹を用いた降圧組成物
JP4934369B2 (ja) 血圧低下作用を有するペプチド
JP5130829B2 (ja) クレアチンホスホキナーゼ分泌抑制組成物
JP2000106826A (ja) クロレラペプチド含有組成物
JP6826726B2 (ja) 糖取り込み促進用経口組成物
JP5717433B2 (ja) 胆汁酸吸着用組成物
WO2019151137A1 (ja) 脳機能を改善するための食品組成物
WO2007119590A1 (ja) 小麦由来の血圧低下用組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140122

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20140520

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140905

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20140905

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140911

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141031

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141104

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5645994

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250