JP2003262983A - 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー及びその製造方法

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JP2003262983A JP2002063601A JP2002063601A JP2003262983A JP 2003262983 A JP2003262983 A JP 2003262983A JP 2002063601 A JP2002063601 A JP 2002063601A JP 2002063601 A JP2002063601 A JP 2002063601A JP 2003262983 A JP2003262983 A JP 2003262983A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速複写における低温定着性を達成すると同
時に優れた帯電安定性、耐ブロッキング性およびクリー
ニング性を有する静電荷現像用トナーを提供する。 【解決手段】 静電荷現像用トナーを、結着樹脂と着色
剤とを少なくとも含有し、前記着色剤が少なくともスチ
レンユニットを有するスチレンユニット含有炭化水素ワ
ックスで表面処理されたものであり、前記スチレンユニ
ット含有炭化水素ワックスのDSCによって測定される
最大吸熱ピーク温度Tscが70〜100℃である構成
とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
記録法、静電印刷法及びトナージェット法などの画像形
成方法に用いられるトナーおよびその製造方法に関し、
特にオイルレス熱ロール定着に適したトナー及びその製
造方法に好適に利用できるものである。
【0002】
【従来の技術】静電荷像現像トナーは、結着樹脂、着色
剤、必要に応じ離型剤、帯電制御剤等を混合、溶融混練
し、冷却固化後、粉砕、分級して得られる。さらに必要
に応じて、流動性付与剤、帯電制御剤、クリーニング助
剤、転写助剤などをトナー表面に付着・固着させ、篩分
により粗大粉を除去して製造される。トナーは、着色
剤、離型剤などの成分が結着樹脂中に均一にかつ細かく
分散していることが必要であり、近年のフルカラー化、
高画質化の要請において、さらに重要性を増している。
【0003】着色剤が結着樹脂中に偏在する分散不良
や、着色剤が結着樹脂中に均一に分散しているが分散単
位が大きい状態等が生ずると、組成偏在の粒子がトナー
に混在するため環境差による帯電性能が大きく違うこと
が生じる。また、帯電量分布がブロード化することで、
逆極性化を招くこともある。さらに、着色剤がトナー内
部に留まらず遊離を起こして表面に存在すると、トナー
の粉体流動性が著しく低下し、転写不良等を引き起こす
原因ともなる。
【0004】そこで、顔料分散を高める方法として、例
えば顔料の水性ペーストと樹脂とを混練して水性相の顔
料を樹脂相に移行させ、しかる後に水を除去することに
よる顔料樹脂組成物(マスターバッチ)の製造方法(フ
ラッシング法)や、特開平2−175770号公報、特
開平5−34978号公報、また顔料と特定の樹脂との
組み合わせによる特開平7−261459号公報に開示
された方法が挙げられる。さらに、分散助剤としての水
を添加し加圧下又は常圧で、顔料と樹脂とを加熱混練
し、しかる後に水を除去する製造方法として特開平6−
148937号公報に開示された技術なども提案されて
いる。しかし、これらの方法は着色剤の分散のみには非
常に有効な手段ではあるが、離型剤の高分散化の要求に
対するマスターバッチとしては対応できるものではなか
った。
【0005】一方、離型剤に関しては、従来より定着ロ
ーラー表面にトナーを付着させない目的で、離型性の優
れたシリコーンゴムやフッ素系樹脂などで該定着ローラ
ーを形成し、さらにその表面にオフセットにシリコーン
オイル、フッ素オイル等の離型性の高い液体の薄膜でロ
ーラー表面を被覆することが行われている。しかしなが
ら、この方法はトナーのオフセットを防止する点では極
めて有効であるが、オフセット防止用液体を供給するた
めの装置が必要なため、定着装置が複雑になること等の
問題点を有している。また、OHPにおいては紙と異な
りオイル吸収能力が低い為、オイルによるベタベタ感が
避けられなかった。
【0006】そこで、シリコーンオイルの供給装置など
を用いず、代わりにトナー中から加熱時のオフセット防
止液体を供給しようという考えから、低分子量ポリエチ
レン、低分子量ポリプロピレン等の離型剤を、結着樹脂
などと共に一括して溶融混練することによりトナー中に
含有させる方法が提案されている。
【0007】しかし、特開平1−109359号公報、
特開平3−168649号公報、特開平8−10152
6号公報、特開平8−220808号公報等に開示され
ている離型剤のトナーへの添加方法では、変性のないポ
リオレフィンやパラフィンを離型剤として用いた場合に
非常に分散が悪いという問題があった。また酸変性など
の変性種やエステルワックスなどを用いることにより分
散を若干良化させたものもあるが、ワックスの分散性制
御が十分はなかった。
【0008】また、結着樹脂がポリエステル樹脂を含む
場合、概して離型剤が殆ど溶解しない為分散しにくく、
ポリエステル樹脂中に比較的大きな離型剤のドメインが
形成され、粉砕時にこのドメイン部分でトナーが粉砕さ
れることによりトナー表面に離型剤が露出または遊離し
やすい。すなわちトナーとしての帯電付与能力を低下さ
せ、画像濃度の低下を引き起こしたり、感光体表面を汚
染しスジなどの画像欠落を引き起こす。また環境差にお
ける帯電性能が大きく異なったり、耐久安定性に欠ける
ものとなる。そして離型剤が遊離している場合、トナー
の耐オフセット性が十分でなく粉体流動性や保存安定性
に悪影響を及ぼしてしまう。
【0009】さらに、出力の高速化と消費電力の関係か
ら高速における低温定着性能がトナーに求められてお
り、低温から離型性能を発現させるために、低融点の離
型剤及び低軟化温度結着樹脂の使いこなしが望まれてい
る。しかし、結着樹脂の低軟化温度化は、ブロッキング
性能の低下や、高速連続複写における外添剤の打ち込み
によるトナーの帯電変化による画像濃度変動を生じた
り、流動性悪化の原因となっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
解決すべくなされたものであり、高速複写における低温
定着性を達成すると同時に優れた帯電安定性、耐ブロッ
キング性およびクリーニング性を有し、優れた画像形成
を行うことができる静電荷現像用トナーを提供すること
を課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、トナー表面に各種材料をバランスよく存在させる
ことにより上記課題を解決することを見出し、本発明を
完成させた。
【0012】すなわち、本発明は以下の通りである。
【0013】(1)結着樹脂と着色剤とを少なくとも含
有し、前記着色剤が少なくともスチレンユニットを有す
るスチレンユニット含有炭化水素ワックスで表面処理さ
れたものであり、前記スチレンユニット含有炭化水素ワ
ックスのDSCによって測定される最大吸熱ピーク温度
Tscが70〜100℃であることを特徴とする静電荷
像現像用トナー。
【0014】(2)芳香族カルボン酸誘導体の金属化合
物をさらに含有することを特徴とする(1)の静電荷像
現像用トナー。
【0015】(3)前記芳香族カルボン酸誘導体の金属
化合物が、芳香族カルボン酸誘導体のアルミニウム錯化
合物であることを特徴とする(2)の静電荷像現像用ト
ナー。
【0016】(4)前記スチレンユニット含有炭化水素
ワックスは、炭化水素ワックス100質量部をスチレン
系モノマー5〜100質量部で処理することにより得ら
れることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの静電
荷像現像用トナー。
【0017】(5)前記スチレンユニット含有炭化水素
ワックスは、パラフィン系ワックスを処理することによ
り得られることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか
の静電荷像現像用トナー。
【0018】(6)前記トナーのテトラヒドロフラン可
溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより
測定される分子量分布における質量平均分布量(Mw)
と数平均分布量(Mn)の比(Mw/Mn)が100〜
2000であることを特徴とする(1)〜(5)のいず
れかの静電荷像現像用トナー。
【0019】(7)前記結着樹脂が(a)ポリエステル
系樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系共重合
体ユニットとを有するハイブリッド樹脂、(c)ハイブ
リッド樹脂とビニル系共重合体との混合物、(d)ポリ
エステル系樹脂とビニル系共重合体との混合物、または
(e)ハイブリッド樹脂とポリエステル系樹脂との混合
物から選択される樹脂であることを特徴とする(1)〜
(6)のいずれかの静電荷像現像用トナー。
【0020】(8)(1)〜(7)のいずれかの静電荷
像現像用トナーの製造方法であって、少なくともスチレ
ンユニット含有炭化水素ワックスと着色剤とを溶融混合
して溶融混合物Aを得る第1工程と、前記溶融混合物A
と結着樹脂とを溶融混合して溶融混合物Bを得る第2工
程と、前記溶融混合物Bと少なくとも結着樹脂とを溶融
混合する第3工程とを含むことを特徴とする静電荷像現
像用トナーの製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明者らはこれまでに帯電の環
境安定性に優れ、高速複写においても十分な摩擦帯電性
を有して耐久安定性に優れる静電荷現像用トナー、そし
て着色剤分散や透明性に優れ、且つ高速定着においても
離型効果が高く定着ローラーにシリコーンオイル塗布の
必要のないトナーに関して検討したが、従来の手法では
同時に満たすものはなかった。
【0022】本発明者らは、静電荷現像用トナーに含有
される着色剤を、少なくともスチレンユニットを有し、
特定の物性を有する炭化水素ワックスで表面処理するこ
とにより、上記課題を達成することを見出した。すなわ
ち、本発明の静電荷用トナー(以下、単に「トナー」と
表記することがある)は、結着樹脂と着色剤とを少なく
とも含有し、着色剤が少なくともスチレンユニットを有
するスチレンユニット含有炭化水素ワックスで表面処理
されたものであり、このスチレンユニット含有炭化水素
ワックスのDSCによって測定される最大吸熱ピーク温
度Tscが70〜100℃であることを特徴とする。
【0023】通常、軟化点が70〜100℃である炭化
水素ワックスは低分子量であり、低溶融粘度である。そ
れゆえに優れた離型性を示す。しかし非常に軟質である
ため、トナーに含有される結着樹脂と炭化水素ワックス
との界面接着力が弱く、トナーから炭化水素ワックスが
脱離しやすい。その脱離した炭化水素ワックスがクリー
ニングブレードや感光体に融着し、現像性やクリーニン
グ性を悪化させていた。また、自己凝集性や付着力が高
く、トナーの流動性が悪くなる。そのため、帯電の立ち
上がり速度の低下や帯電不良によるカブリ、現像器のス
リーブ汚染、2成分現像ではキャリア汚染等の問題も生
じていた。
【0024】そこで、本発明者らは炭化水素ワックスを
結着樹脂成分と相溶し易いように処理することにより、
界面接着力を向上させ、脱離を防ぐことを考えた。そし
て鋭意検討の結果、結着樹脂との相溶性、トナー中に含
有させたときの分散性、流動性、現像性や定着性に対し
て、少なくともスチレンユニットを有する炭化水素ワッ
クスを使用することが最も効果的な方法であることを見
出した。この効果について詳細は定かではないが、おそ
らく次のような理由であると考えられる。
【0025】本発明のスチレンユニットを有するスチレ
ンユニット含有炭化水素ワックス(以下、処理前の炭化
水素ワックスに対して「処理ワックス」と表記すること
がある)は、詳細は後述するが、具体的には炭化水素ワ
ックスをスチレンユニットを有する化合物を用いて処理
することにより得ることができる。本発明で用いられる
処理ワックスは、上記変性によりスチレン系モノマーを
主とするコポリマーが形成された部分と、結着樹脂との
分子構造が似ているため、互いの相溶性が高くなり、ワ
ックスのトナーからの脱離が起こりにくくなっていると
考えられる。これにより、クリーニングブレードや感光
体へのワックスの融着、帯電不良などがなくなり、カブ
リのない優れた現像性、クリーニング性を保持すること
ができる。
【0026】特に今回の検討においては、トナー樹脂成
分が、ポリエステル単体よりもビニル系ユニットを有す
る共重合体であるハイブリッド樹脂、ポリエステルとハ
イブリッド樹脂成分との混合物、ポリエステルとビニル
系共重合体等、トナー樹脂にビニル系の樹脂成分が含有
されているほうがワックスの分散性、現像性の点で非常
に効果的である。
【0027】また本発明のトナーにおいてはワックスが
トナー表面に析出する量も少なくなっているため、トナ
ーの自己凝集や付着性を抑え、流動性を向上させること
ができる。ゆえに、帯電の立ち上がり速度が速くなり、
現像器のスリーブ汚染、2成分現像ではキャリア汚染等
もなくなった。
【0028】以下、本発明で使用される処理ワックスに
ついて説明する。
【0029】本発明のトナーに用いられる処理ワックス
は、DSCによって測定される最大吸熱ピーク温度Ts
cが70〜100℃であることを特徴とする。このTs
cは好ましくは70〜90℃であり、より好ましくは7
5〜90℃である。上述の低融点のワックスは分子鎖が
比較的小さいため分子のモビリティに優れ、着色剤表面
の微小な凹凸やポーラス部までにも吸着しやすく、着色
剤同士の凝集の界面にまで入り込み、着色剤の凝集を緩
和させることができるためである。Tscが70℃以下
のワックスは分散に対する効果は大きいものの、高温放
置によってはトナー中から染み出してトナー表面に溶け
出してしまい、耐ブロッキング性能が大幅に悪くなる。
逆にTscが100℃以上のワックスは分子鎖が大き
く、どうしても微小な凹凸やポーラス部にまで吸着浸透
が十分出来ないため、低い分散性しか得られないのだと
考えられる。
【0030】本発明で用いられる処理ワックスはスチレ
ンユニットを有している。本発明において「スチレンユ
ニット」とは、スチレンまたはその誘導体に由来する部
分を示す。
【0031】スチレンユニットとなりうるスチレン系モ
ノマーとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、イソプロペニルトルエン、p−メ
チルスチレン、p−メトキシスチレン、m−メチルスチ
レン等が挙げられる。
【0032】本発明で用いられるスチレンユニットを有
する炭化水素ワックスは、具体的には炭化水素ワックス
を上述したようなスチレン系モノマーのうち1種または
2種以上を用いて処理することにより得られる。
【0033】上記(処理前の)炭化水素ワックスとして
は次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分
子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、
パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸
化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス
の酸化物;脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合
物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸
エステルワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワ
ックス;及び脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステル
を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
また、ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アル
コールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加する
ことによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエ
ステル化合物などが挙げられる。
【0034】特に好ましく用いられるワックスとして
は、分子鎖が短く且つ立体障害が少なくモビリティに優
れる、パラフィンワックス等のパラフィン系ワックスで
ある。
【0035】上述したように、本発明で用いられるスチ
レンユニットを有する炭化水素ワックスは、上記スチレ
ンユニットとなりうるスチレン系モノマーを用いて炭化
水素ワックスを処理することにより得ることができる。
処理方法として、具体的には例えば、放射線を利用する
方法、ラジカル触媒を用いる方法等を利用することがで
きるが、ラジカル触媒を用いる方法が好ましい。
【0036】ラジカル触媒としては、有機ペルオキシ
ド、有機ペルエステル、例えばベンゾイルペルオキシ
ド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオ
キシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘ
キシン−3,1,4−ビス(tert−ブチルペルオキ
シイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、
tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−
3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチル
ペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエ
ート、tert−ブチルペルフェニルアセテート、te
rt−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペ
ル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピバ
レート、クミルペルピバレートおよびtert−ブチル
ペルジエチルアセテート;その他アゾ化合物、例えばア
ゾビスイソブチルニトリル、ジメチルアゾイソブチレー
トなどがある。これらの中ではジクミルペルオキシド、
ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン
−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチ
ルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブ
チルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキ
ルペルオキシドが好ましい。
【0037】本発明で用いられる処理ワックスは(処理
前の)炭化水素ワックス100質量部に対して、処理に
用いられるスチレン系モノマーの総計が5〜100質量
部であることが好ましい。より好ましくは5〜95質量
部である。上記モノマーの総計が5質量部以下であると
本発明におけるスチレンユニットを有する炭化水素ワッ
クスとしての効果が得られにくく、クリーニングブレー
ドや感光体のワックス融着や帯電の立ち上がり速度の低
下や帯電不良、スリーブ、キャリア汚染等に対して不利
になる。一方モノマーの総計が100質量部以上である
と、ワックスの定着時のワックスしみ出し速度が低下
し、定着性の点で不利になる。
【0038】本発明で用いられる処理ワックスのトナー
への添加量としては、結着樹脂に対する含有量が2.5
〜10質量部、好ましくは3〜8質量部使用するのが良
い。2.5質量部より少ないと着色剤の表面を覆いきれ
ず、着色剤の分散性に劣り、10質量部を超えるとトナ
ー中でのワックス量が多すぎるので、透明性や帯電特性
が劣ってしまうためである。
【0039】本発明のトナーに含有される結着樹脂とし
ては、従来よりトナーに用いられる任意の公知の樹脂を
用いることができ、特に限定されないが、(a)ポリエ
ステル系樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系
共重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂、(c)
上記ハイブリッド樹脂とビニル系共重合体との混合物、
(d)ポリエステル系樹脂とビニル系共重合体との混合
物、または(e)上記ハイブリッド樹脂とポリエステル
系樹脂との混合物のいずれかから選択される樹脂が好ま
しい。
【0040】結着樹脂としてポリエステル系樹脂を用い
る場合は、アルコール成分とカルボン酸、もしくはカル
ボン酸無水物、カルボン酸エステル等の酸成分とが原料
モノマーとして使用できる。
【0041】具体的にアルコール成分としては、2価以
上のアルコールであれば特に限定はないが、2価アルコ
ール成分としては、例えばポリオキシプロピレン(2,
2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチ
レン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−ポリ
オキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)
−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等
のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−
プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5
−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,
4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール
A、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0042】3価以上のアルコール成分としては、例え
ばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロー
ル、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペ
ンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,
2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリ
オール、グリセロール、2−メチルプロパントリオー
ル、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリ
メチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,
5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げられる。
【0043】酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸
及びテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類又はその無
水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライ
ン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素
数6〜12のアルキル基で置換されたこはく酸もしくは
その無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸等
の不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられ
る。
【0044】それらの中でも、特に、下記一般式で代表
されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価
以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アル
キルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマ
ル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフ
タル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分
として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、静電
荷像現像用トナーとして、良好な帯電特性を有するので
好ましい。
【0045】
【化1】 (式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x,y
はそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は
2〜10である)
【0046】本発明のトナーに用いられる結着樹脂にお
けるビニル系共重合体を生成するためのビニル系モノマ
ーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;
o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチル
スチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレ
ン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、
p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチ
レン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレ
ン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレ
ン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、
m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロ
スチレン等のスチレン及びその誘導体;エチレン、プロ
ピレン、ブチレン、イソブチレン等のスチレン不飽和モ
ノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ポ
リエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、
フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステ
ル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリ
ル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリ
ル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタ
クリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリ
ル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミ
ノエチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステ
ル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブ
チル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、
アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリ
ル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル
等のアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビ
ニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビ
ニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシル
ケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン
類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N
−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビ
ニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、
メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸も
しくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0047】また、マレイン酸、シトラコン酸、イタコ
ン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の
不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水
物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の
不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステ
ル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチ
ルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステ
ル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸
ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステ
ル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル
酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエス
テル等の不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマ
レイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和二塩基酸エステ
ル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸
等のα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無
水物等のα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸
と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケ
ニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無
水物及びこれらのモノエステル等のカルボキシル基を有
するモノマーが挙げられる。
【0048】さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメ
タクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メ
チルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メ
チルヘキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有するモノ
マーが挙げられる。
【0049】本発明で用いられるビニル系共重合体を製
造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、
2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾ
ビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2'−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)、2,2'−アゾビス(−2メチルブチロニ
トリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレー
ト、1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニ
トリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニト
リル、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペ
ンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−
メトキシバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メ
チル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイ
ド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノ
ンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2
−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハ
イドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイ
ド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパー
オキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチ
ルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、
α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)
ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパ
ーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイル
パーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイル
パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリ
オイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジ
カーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカ
ーボネート、ジ−N−プロピルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、
ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、
ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカー
ボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキ
サイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチル
パーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオ
デカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサ
ノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチ
ルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソ
プロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソ
フタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネー
ト、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、
ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレー
ト,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられ
る。
【0050】また、本発明のトナーにおいて、ポリエス
テルユニットとビニル系共重合体ユニットを有している
ハイブリッド樹脂を結着樹脂として用いる場合、さらに
良好なワックス分散性と、低温定着性,耐オフセット性
の向上が期待できる。本発明に用いられる「ハイブリッ
ド樹脂成分」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエス
テルユニットが化学的に結合された樹脂を意味し、具体
的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エ
ステル等のカルボン酸エステル基を有するモノマーを重
合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応に
よって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合
体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体とした
グラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成
するものである。「ハイブリッド樹脂」とは上記ハイブ
リッド樹脂成分を含有する樹脂を表す。以下にハイブリ
ッド樹脂について説明する。
【0051】まず、本発明において「ビニル系重合ユニ
ット」とは、ビニル系共重合体に由来する部分を示し、
「ポリエステルユニット」とは、ポリエステルに由来す
る部分を示す。
【0052】本発明における結着樹脂としてのハイブリ
ッド樹脂を得る方法としては、先に挙げたビニル系共重
合体及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノ
マー成分を含むポリマーが存在しているところで、どち
らか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることに
より得る方法が好ましい。
【0053】本発明では、ビニル系共重合体及び/又は
ポリエステル樹脂中に、両樹脂成分と反応し得るモノマ
ー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂を構成
するモノマーのうちビニル系共重合体と反応し得るもの
としては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン
酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物
などが挙げられる。ビニル系共重合体を構成するモノマ
ーのうちポリエステル樹脂と反応し得るものとしては、
カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アク
リル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0054】本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニ
ル系共重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架
橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場
合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として
例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げ
られ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類と
して例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,
3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタ
ンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオール
ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレ
ート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上
の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの
が挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれた
ジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレン
グリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジ
アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレー
ト、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、
ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプ
ロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物の
アクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げら
れ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジア
クリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン
(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリ
レート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレー
トに代えたものが挙げられる。
【0055】多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、トリメチロールエタントリア
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリ
ゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレー
トをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレ
ート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0056】本発明のトナーに用いられるハイブリッド
樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の
(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
【0057】(1)ビニル系共重合体、ポリエステル樹
脂及びハイブリッド樹脂成分をそれぞれ製造後にブレン
ドする方法。ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)
に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。
尚、ハイブリッド樹脂成分としては、ビニル系共重合体
とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に
溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加
し、加熱することによりエステル交換反応を行って合成
されるエステル化合物を用いることができる。
【0058】(2)ビニル系共重合体ユニット製造後
に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリ
ッド樹脂成分を製造する方法。ハイブリッド樹脂成分は
ビニル系共重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノ
マーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコー
ル、カルボン酸)及び/またはポリエステル樹脂との反
応により製造される。この場合も、適宜有機溶剤を使用
することができる。
【0059】(3)ポリエステルユニット製造後に、こ
れの存在下にビニル系共重合体ユニット及びハイブリッ
ド樹脂成分を製造する方法。ハイブリッド樹脂成分はポ
リエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマ
ーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニ
ル系共重合体ユニットとの反応により製造される。
【0060】(4)ビニル系共重合体ユニット及びポリ
エステルユニット製造後に、これらの重合体ユニット存
在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノ
マー(アルコール、カルボン酸)を添加することにより
ハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合も適宜、
有機溶剤を使用することができる。
【0061】(5)ハイブリッド樹脂成分を製造後、ビ
ニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(ア
ルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は
縮重合反応を行うことによりビニル系重合体ユニット及
びポリエステルユニットが製造される。この場合、ハイ
ブリッド樹脂成分は上記(2)〜(4)の製造方法によ
り製造されるものを使用することもでき、必要に応じて
公知の製造方法により製造されたものを使用することも
できる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができ
る。
【0062】(6)ビニル系モノマー及びポリエステル
モノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加
重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系
重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッ
ド樹脂成分が製造される。さらに、適宜有機溶剤を使用
することができる。
【0063】上記(1)〜(6)の製造方法において、
ビニル系共重合体ユニット及び/またはポリエステルユ
ニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユ
ニットを使用することができる。
【0064】なお、本発明のトナーに含有される結着樹
脂として、ポリエステル樹脂と上記ハイブリッド樹脂に
加えてビニル系共重合体の混合物を使用しても良い。
【0065】本発明のトナーはTHF(テトラヒドロフ
ラン)可溶分(樹脂成分)のGPC(ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィ)により測定される分子量分布に
おいてメインピークを分子量3,000〜40,000
の領域に有していることが良く、質量平均分子量と数平
均分子量の比(Mw/Mn)が100〜2000である
ことが好ましい。メインピークが分子量3,000未満
の領域にある場合は、トナーの耐ホットオフセット性が
不十分である。一方、メインピークが分子量40,00
0超の領域にある場合は、トナーの低温定着性が損なわ
れ、高速定着への対応が難しくなり、カラートナーで用
いる場合には光沢性が低下する点であまり好ましくな
い。また、Mw/Mnが100未満である場合には広い
定着温度幅を得ることが難しくなり、2000以上の場
合は低定着性が失われ、高速定着への対応が難しくなる
ので好ましくない。なお、上記Mw/Mnは、200〜
1800であることがより好ましい。
【0066】本発明のトナーに含有される結着樹脂のガ
ラス転移温度は40〜90℃であることが好ましく、よ
り好ましくは45〜85℃である。また、結着樹脂の酸
価は1〜40mgKOH/gであることが好ましい。
【0067】本発明のトナーは、その帯電性をさらに安
定化させる為に必要に応じて荷電制御剤を用いることが
できる。荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当たり
0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部使用
するのが好ましい。今日、当該技術分野で知られている
荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。例えば
有機金属錯体、キレート化合物が有効である。また、モ
ノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸、金属錯
体、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体が挙げられる。他
には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及び
ポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、
ビスフェノールのフェノール誘導体類が挙げられる。特
に適しているものは芳香族カルボン酸誘導体の金属化合
物である。
【0068】上記したような有機金属化合物を形成する
金属としては、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Pb2+、Fe
2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+、Al3+、C
3+、Fe3+、Zr4+が挙げられる。このうち、Al3+
が好ましい。本発明においては、有機金属化合物として
ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物
を用いることが好ましい。
【0069】また、本発明のトナーの表面荷電制御剤量
は表面芳香族カルボン酸量定量から判断でき、0.05
〜8g/kgであることが好ましい。トナーの表面荷電
制御剤量が0.05g/kg以下の場合、トリボ付与能
が低下し飛び散り、飛散等の弊害が見られることがあ
る。逆にトナーの表面荷電制御剤量が8g/kg以上に
なるとトリボ付与は良化し初期画像は安定するものの、
耐久的な使用下におけるトリボ分布がブロードになる傾
向が見られ、耐久安定性に問題が生じることがある。
【0070】また、本発明のトナーに含有される着色剤
としては公知の顔料または染料を用いることができ、特
に限定されないが、顔料の種類としては例えば次の様な
ものが挙げられる。マゼンタ用着色顔料としては、C.
I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、
8、9、10、11、12、13、14、15、16、
17、18、19、21、22、23、30、31、3
2、37、38、39、40、41、48、49、5
0、52、53、54、55、57、58、60、6
3、64、68、81、83、88、90、112、1
22、123、163、202、206、207、20
9、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バ
ットレッド1,2,10,13,15,23,29,3
5等が挙げられる。
【0071】かかる顔料を単独で使用しても構わない
が、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方が
フルカラー画像の画質の点からより好ましい。マゼンタ
用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,
8,23,24,25,27,30,49,81,8
2,83,84,100,109,121、C.I.デ
ィスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット
8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバ
イオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド
1,2,9,12,13,14,15,17,18,2
2,23,24,27,29,32,34,35,3
6,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイ
オレット1,3,7,10,14,15,21,25,
26,27,28等の塩基性染料が挙げられる。
【0072】その他の着色顔料として、シアン用着色顔
料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,
16,17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッ
ドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメ
チル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等であ
る。
【0073】イエロー用着色顔料としては、C.I.ピ
グメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,
11,12,13,14,15,16,17,23,6
5,73,83,147,155,180、C.I.バ
ットイエロー1,3,20等が挙げられる。
【0074】尚、着色剤の使用量は結着樹脂100質量
部に対して0.1〜60質量部であることが好ましく、
0.5〜50質量部であることがより好ましい。
【0075】本発明に用いられる黒色着色剤としてはカ
ーボンブラック、磁性体、及び上記に示すイエロー/マ
ゼンタ/シアン着色剤を用いて黒色に調色されたものが
利用できる。
【0076】本発明の静電荷現像用トナーの製造方法
は、少なくともワックスと着色剤とを溶融混合して溶
融混合物Aを得る第1工程と、で得られた溶融混合
物Aと結着樹脂とを溶融混合して溶融混合物Bを得る第
2工程、及びで得られた溶融混合物Bと少なくとも
結着樹脂とを溶融混合する第3工程を含むことを特徴と
する。このような本発明の製造方法は、静電荷像現像用
トナーの表面に各種材料をバランスよく存在させること
ができる。以下、本発明のトナーの製造方法について説
明する。
【0077】第1工程においては、少なくともワックス
と着色剤をヘンシェルミキサー、ボールミル、またはニ
ーダー等の混合機により充分混合したり、または混合な
しでバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、スクリュ
ー型押出式連続混練機などの熱混練機により溶融混合す
る工程である。この際、混練物の温度(T1)が、Ts
c(DSCによって測定されるワックスの最大吸熱ピー
ク温度)−10℃<T1<Tsc+50℃の温度になる
ようにすることが重要である。Tsc−10℃≧T1で
は充分にワックスのモビリティが生かされないため、着
色剤の分散が悪くなり、またT1≧Tsc+50℃であ
ると、ワックスの粘度が下がりすぎるため、混練におけ
るシェアが低くなり、結果着色剤の分散が劣ることがあ
る。
【0078】また第1工程において溶融混合される材料
全量のうちワックスと着色剤の比率が70質量%以上を
占めることも分散性の向上の点において有効である。つ
まりワックスを着色剤に選択的に吸着させることが重要
であり、ワックスと着色剤の比率を上記範囲とすること
によりワックスと着色剤との接触比率を高めることがで
きるためである。
【0079】第2工程においては、第1工程で得られた
溶融混合物Aとしての着色物をハンマーミルやパワーミ
ル等の解砕機などで粉砕した後、結着樹脂とともに第1
工程と同様に混合または溶融混合を行う工程である。ま
た粉砕を行わず、溶融混練物に直接結着樹脂を投入し、
溶融混練を行ってもよい。この際混練物の温度(T2)
が、Tmを結着樹脂の融点とした場合に、Tsc+10
℃<T2<Tm+60℃となることも重要となる。
【0080】さらに、第3工程においては、第2工程で
得られた溶融混合物Bとしての着色物をハンマーミルや
パワーミル等の解砕機などで粉砕した後、結着樹脂およ
び必要に応じて荷電制御剤等の他の添加剤とともに上記
第1および第2工程と同様に溶融混合を行う工程であ
る。この場合も粉砕を行わず、溶融混練物に直接結着樹
脂を投入し、溶融混練を行ってもよい。
【0081】本発明においては、この第2工程における
混練物の温度を上記範囲とすることにより、第1工程に
おいて一度着色剤の表面に物理吸着したワックスを大き
く遊離、または再凝集するのを防ぐことに有効であると
本発明者らは考えている。つまり工程が進む毎に徐々に
温度を上げていくことにより、前工程で得られた着色物
の物理形状を大きくは壊さないようにしているのであ
る。上記第1工程では少なくとも着色剤の周りにワック
スを存在させた着色物(溶融混合物A)、第2工程では
その周りに結着樹脂を存在させた着色物(溶融混合物
B)となり、そして後述する第3工程では、第2工程で
得られた着色物の表面にさらに結着樹脂及び荷電制御剤
などを存在させることにより、帯電など諸物性を制御で
きるトナーとなりうる着色物に至ると考えられる。よっ
て、単に工程順に温度を上げていくだけでいいものでは
なく、その上限の温度も管理が必要である。つまり、T
2≧Tm+60℃となると結着樹脂の粘性が高まりワッ
クスを大きく遊離させてしまう。
【0082】重要なのはこれら第1工程および第2工程
でおける温度関係であり、これがトナー表面に各種材料
をバランスよく存在させるための不可欠な要素となって
いる。つまり、本発明のトナーの製造方法の各工程にお
ける処理温度をTsc+10℃<T2<Tm+60とす
ることが、ワックスと着色物を徐々に結着樹脂の表面層
に押し出し、トナーとして最適な存在バランスを実現で
きる要因の一つであると考えている。
【0083】また、第2工程で用いられる結着樹脂の使
用量は、第1工程で得られた着色物に対して25〜20
0質量部、好ましくは25〜150質量部添加すること
が好ましい。上記使用量が25質量部以下だと第1工程
で得られた着色物に対して少なすぎるため取り込めきれ
ない。また上記使用量が200質量部以上だと第3工程
における結着樹脂が少なくなり、その結果荷電制御剤な
どがトナー表面に均一に存在しにくくなる。
【0084】本発明のトナーにおいては、前記溶融混練
物Bは結着樹脂100質量部に対して、好ましくは2〜
15質量部、より好ましくは2.5〜12質量部、さら
に好ましくは3〜10質量部含有されていることが良
い。
【0085】溶融混練物Bの含有量が2質量部より少な
い場合には、トナーの着色力が低下してしまい、いくら
顔料の分散性を向上しても高画像濃度の高品位画像が得
られ難い。また、15質量部より多い場合には、トナー
の透明性が低下してしまうため、OHTシートの透明性
が低下してしまう。加えて、人間の肌色に代表される様
な中間色の再現性も低下してしまう。更にはトナーの帯
電性も不安定になり低温低湿環境下でのカブリ、高温高
湿環境下でのトナー飛散といった問題も引き起こす。
【0086】本発明のトナーは、上記第1〜3工程を経
た後に、粉砕・分級後、流動化剤などをヘンシェルミキ
サー等の混合機で混合させることにより、トナーの流動
性を向上して用いることができる。
【0087】負帯電性流動化剤としては、トナーとなる
着色剤含有樹脂粒子に添加することにより、流動性が添
加前後を比較すると増加し得るものであれば、どのよう
なものでも使用可能である。例えば、フッ化ビニリデン
微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素
系樹脂粉末、酸化チタン微粉末、アルミナ微粉末、湿式
製法シリカ、乾式製法シリカ等の微粉末シリカ、それら
をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリ
コーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ等が
ある。
【0088】乾式製法シリカは、例えば珪素ハロゲン化
合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわ
ゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるもの
で、従来公知の技術によって製造されるものである。例
えば、四塩化珪素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化
反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なも
のである。
【0089】
【化2】SiCl2+2H2+O2 → SiO2+4HCl また、この製造工程において、例えば塩化アルミニウム
又は塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロ
ゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属
酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらも
包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.0
01〜2μmの範囲内であることが望ましく、特に好ま
しくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉
体を使用するのが良い。
【0090】本発明に用いられる珪素ハロゲン化合物の
蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体として
は、例えば以下の様な商品名で市販されているものがあ
る。
【0091】AEROSIL(日本アエロジル社) ・130、200、300、380、TT600、MO
X170、MOX80、COK84 Ca−O−SiL(CABOT Co.社) ・M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5 Wacker HDK N 20 (WACKER−CHEMIE GMBH社) ・V15、N20E、T30、T40 D−C Fine Silica(ダウコーニングC
o.社) Fransol(Fransil社) さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生
成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉
体を用いることがより好ましい。このような処理シリカ
微粉体はメタノール疎水化度が30〜80の範囲の値を
示すようにシリカ微粉体を処理したものであることが特
に好ましい。
【0092】疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応
あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処
理する方法が挙げられる。好ましい方法としては、ケイ
素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ
微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法である。
【0093】そのような有機ケイ素化合物の例は、ヘキ
サメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルク
ロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジク
ロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチル
クロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジ
ルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロル
シラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロ
ルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロ
ルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチ
ルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレー
ト、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキ
シシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエ
トキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジ
ビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニル
テトラメチルジシロキサンおよび1分子当たり2から1
2個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれ
ぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチル
ポリシロキサン等がある。これらは1種あるいは2種以
上の混合物で用いられる。
【0094】本発明に用いられる流動化剤として、前述
した乾式法シリカを、アミノ基を有するカップリング剤
或いは、シリコーンオイルで処理したものを本発明の目
的を達成するために必要に応じて用いてもかまわない。
本発明に用いられる流動化剤は、BET法で測定した窒
素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは
50m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー
100質量部に対して流動化剤0.01〜8質量部、好
ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
【0095】本発明のトナーはトナーのみからなる一成
分系現像剤として用いても良いし、磁性キャリアと混合
して二成分系現像剤として用いても良い。本発明のトナ
ーを二成分系現像剤に用いる場合の磁性キャリアとして
は、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜
鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属粒
子、それらの合金粒子、酸化物粒子及びフェライトなど
が使用できる。
【0096】磁性キャリアの粒子表面を樹脂で被覆した
被覆キャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加す
る現像法において特に好ましい。被覆方法としては、樹
脂等の被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁させて調製し
た塗布液を磁性キャリアコア粒子表面に付着させる方
法、磁性キャリアコア粒子と被覆材とを粉体で混合する
方法等、従来公知の方法が適用できる。
【0097】磁性キャリアコア粒子表面への被覆材料と
しては、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン
系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチ
ラール、アミノアクリレート樹脂が挙げられる。これら
は単独或いは複数で用いる。
【0098】上記被覆材料の処理量は、キャリアコア粒
子に対し0.1〜30質量%(好ましくは0.5〜20
質量%)が好ましい。これらキャリアの平均粒径は10
〜100μm、好ましくは20〜70μmであることが
好ましい。
【0099】本発明のトナーと磁性キャリアとを混合し
て二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像
剤中のトナー濃度として2〜15質量%、好ましくは4
〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナ
ー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、1
5質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい。
【0100】本発明における測定法について以下に説明
する。
【0101】1)トナーの摩擦帯電量の測定方法 図1は摩擦帯電量を測定する装置の斜視図である。底に
500メッシュのスクリーン53を有する金属製の測定
容器52に、複写機またはプリンターの現像スリーブ上
から採取した二成分現像剤を約0.5〜1.5g入れ金
属製のフタ54をする。この時の測定容器52全体の質
量を秤りW1(g)とする。次に吸引機51(測定容器
52と接する部分は少なくとも絶縁体)の吸引口57か
ら吸引を行い、風量調節弁56を調整して真空計55の
圧力を2.5×105Paとする。この状態で充分、好
ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。この
時の電位計59の電位をV(ボルト)とする。ここで5
8はコンデンサーであり容量をC(mF)とする。ま
た、吸引後の測定容器52全体の質量を秤りW2(g)
とする。この試料の摩擦帯電量(mC/kg)は下式よ
り算出される。但し、測定条件は23℃,相対湿度60
%とする。
【0102】
【数1】試料の摩擦帯電量(mC/kg) = C×V/
(W1−W2) 2)ワックス及びトナーの最大吸熱ピークの測定 示差熱分析測定装置(DSC測定装置)、DSC−7
(パーキンエルマー社製)を用いて測定する。測定試料
は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量す
る。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空
のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間
で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行
う。この昇温過程で、温度30〜160℃の範囲におけ
るメインピークの吸熱ピークが得られる。吸熱ピークと
は言うまでもなくその中で極大の値を示す温度のことで
ある。
【0103】3)GPC測定によるトナーの分子量分布 トナーの樹脂成分におけるGPCによる分子量分布は、
下記の通り、トナーをTHF溶媒に溶解させて得られた
THF可溶成分を用いてGPCにより測定する。
【0104】すなわち、トナーをTHF中に入れ、数時
間放置した後十分に振とうしTHFと良く混ぜ(トナー
の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置す
る。このときTHF中への放置時間が24時間以上とな
るようにする。その後、サンプル処理フィルタ(ポアサ
イズ0.45〜0.5μm、例えば、マイショリディス
クH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25C
R ゲルマンサイエンスジャパン社製などが利用でき
る)を通過させたものを、GPCの試料とする。このと
き試料濃度を樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるよ
うに調整する。
【0105】上記の方法で調製された試料のGPCの測
定は、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化さ
せ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロ
フラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度
として0.05〜0.6質量%に調整したトナーのTH
F試料溶液を約50〜200μl注入して測定する。試
料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布
を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された
検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)と
の関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン
試料としては、例えば東ソー社製或いはPressur
e Chemical Co.製の分子量が6×1
2、2.1×103、4×103、1.75×104
5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.
6×105、2×106、4.48×10 6のものを用
い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用
いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器
を用いる。
【0106】カラムとしては、103〜2×106の分子
量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンジ
ェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和
電工社製のShodex GPC KF−801,80
2,803,804,805,806,807の組み合
わせや、Waters社製のμ−styragel50
0、103、104、105の組み合わせを挙げること
ができる。
【0107】4)トナー粒度分布の測定 本発明において、トナーの平均粒径及び粒度分布はコー
ルターカウンターTA−II型(コールター社製)を用い
て行うが、コールターマルチサイザー(コールター社
製)を用いることも可能である。電解液は1級塩化ナト
リウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例え
ば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフ
ィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、
前記電解液100〜150ml中に分散剤として界面活
性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を
0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加え
る。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分
間分散処理を行い、前記測定装置によりアパーチャーと
して100μmアパーチャーを用いて、粒径が2.00
μm以上のトナーの体積および個数を測定して体積分布
と個数分布とを算出した。これより本発明に係る体積分
布から求めた質量基準の質量平均粒径(D4)(各チャ
ンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求め
た。
【0108】チャンネルとしては、2.00〜2.52
μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μ
m;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μ
m;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μ
m;10.08〜12.70μm;12.70〜16.
00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜
25.40μm;25.40〜32.00μm;32.
00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
【0109】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるも
のではない。
【0110】〈ハイブリッド樹脂の製造例1〉ビニル系
共重合体として、スチレン2.0mol、2−エチルヘ
キシルアクリレート0.21mol、フマル酸0.14
mol、α−メチルスチレンの2量体0.03mol、
ジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに
入れた。また、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.0m
ol、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.0mol、テ
レフタル酸3.0mol、無水トリメリット酸1.9m
ol、フマル酸5.0mol及び酸化ジブチル錫0.2
gをガラス製4lの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹
拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントル
ヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換
した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で
撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系樹脂の単量
体、架橋剤及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。次
いで200℃に昇温を行い、4時間反応させてハイブリ
ッド樹脂(1)を得た。GPCによる分子量測定の結果
を表1に示す。
【0111】〈ハイブリッド樹脂の製造例2〉ハイブリ
ッド樹脂の製造例1において、スチレンの使用量を3.
8molとし、α−メチルスチレンの2量体の使用量を
0.08molとし、ジクミルパーオキサイドの使用量
を0.1molとした以外は上記製造例1と同様の方法
を用いて、ハイブリッド樹脂(2)を得た。GPCによ
る分子量測定の結果を表1に示す。
【0112】〈ハイブリッド樹脂の製造例3〉ハイブリ
ッド樹脂の製造例1において、フマル酸5.0molに
代えてマレイン酸4.5molとイタコン酸3.0mo
lを使用すること、およびジクミルパーオキサイド0.
05molに代えてイソブチルパーオキサイド0.1m
olを使用すること以外は上記製造例1と同様の方法を
用いて、ハイブリッド樹脂(3)を得た。GPCによる
分子量測定の結果を表1に示す。
【0113】〈ハイブリッド樹脂の製造例4〉ハイブリ
ッド樹脂の製造例1において、テレフタル酸3.0mo
l、無水トリメリット酸2.0mol、の替わりに無水
トリメリット酸5.2molにしてハイブリッド樹脂製
造例1と同様に反応させ、ハイブリッド樹脂(4)を得
た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0114】〈ポリエステル樹脂の製造例1〉ポリオキ
シプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン3.6mol、ポリオキシエチレ
ン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン1.6mol、テレフタル酸1.7mo
l、無水トリメリット酸1.4mol、フマル酸2.4
mol及び酸化ジブチル錫0.12gをガラス製4リッ
トルの4つ口フラスコに入れ、温度計,撹拌棒,コンデ
ンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内に
おいた。窒素雰囲気下で、215℃で5時間反応させ、
ポリエステル樹脂(5)を得た。GPCによる分子量測
定の結果を表1に示す。
【0115】〈ポリエステル樹脂の製造例2〉ポリオキ
シプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン1.6mol、ポリオキシエチレ
ン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン3.3mol、テレフタル酸1.6mo
l、無水トリメリット酸0.3mol、フマル酸3.2
molのモノマー構成で、上記ポリエステル樹脂の製造
例1と同様に反応させ、ポリエステル樹脂(6)を得
た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0116】〈ビニル系樹脂の製造例〉スチレン2.2
mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.23mo
l、ジクミルパーオキサイド0.08mol、酸化ジブ
チル錫3.2gを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下
式コンデンサーおよびチッソ導入管を装備した3リット
ルの4つ口フラスコに入れ、マントルヒーター中で、窒
素雰囲気にて225℃の温度で攪拌しつつ反応させ、ビ
ニル系樹脂(7)を得た。GPCによる分子量測定の結
果を表1に示す。
【0117】
【表1】
【0118】〈処理ワックスの製造例1〉スチレンモノ
マー520gに反応開始剤としてジクミルパーオキサイ
ド80gを添加した後、加熱溶融したパラフィンワック
スA(表3参照)3280g中に攪拌しながら滴下し、
4時間反応させ、スチレンユニット含有炭化水素ワック
スである処理ワックス1を得た。この処理ワックス1の
組成および軟化点を表2に示す。
【0119】〈処理ワックスの製造例2〜7〉スチレン
ユニット含有炭化水素ワックスの製造例1において、パ
ラフィンワックスAの代わりに表2に示すパラフィンワ
ックスを用いた以外は上記製造例1と同様の方法を用い
て処理ワックス2〜7を得た。処理ワックス2〜7の組
成およびDSCによる最大吸熱ピーク温度を表2に示
す。なお、表2において用いたワックスの種類を表3に
示す。各処理ワックス2〜7の組成およびDSCによる
最大吸熱ピーク温度を表2に示す。
【0120】
【表2】
【0121】
【表3】
【0122】〈実施例1〉以下の方法でトナー1および
現像剤1を調製した。
【0123】 (第1工程) ・処理ワックス(1) 50質量部 ・シアン顔料 50質量部 (Pigment Blue15:3、BET比表面積
=72m2/g)上記の原材料をニーダー型ミキサーに
仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させた。材料自体
の温度を100℃として30分間加熱溶融混練させて第
1工程を終了した後、冷却し、簡便に粉砕して混練物を
得た。
【0124】 (第2工程) ・上記第1工程で得られた混練物 100質量部 ・ハイブリッド樹脂(1) 100質量部 上記の原材料をニーダー型ミキサーに仕込み、混合しな
がら非加圧下で昇温させた。材料自体の温度を110℃
として15分間加熱溶融混練させて第2工程を終了した
後、冷却し、粉砕して混練物を得た。
【0125】 (第3工程) ・上記第2工程で得られた混練物 20.0質量部 ・ハイブリッド樹脂(1) 90.0質量部 ・ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物(荷電制御剤) 4.0質量部 上記の処方でヘンシェルミキサーにより十分に予備混合
を行い、二軸押出し混練機を用いて材料温度を130℃
として溶融混練し、冷却した。冷却後ハンマーミルを用
いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェッ
ト方式による微粉砕機で20μm以下の粒径に微粉砕し
た。さらに得られた微粉砕物を分級して、粒度分布にお
ける重量平均径が7.0μmになるように選択してシア
ン粒子(分級品)を得た。
【0126】流動性向上及び帯電特性付与を目的とし
て、i−C49Si(OCH33を23質量部で処理し
た疎水性酸化アルミニウム(BET比表面積170m2
/g)1.0質量部を、上記シアン粒子100質量部に
合わせてトナー1とした。トナー1の質量平均径は7.
0μmであった。
【0127】さらに、トナー1と、シリコーン樹脂で表
面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(平均粒径45
μm)とを、トナー濃度が7質量%になるように混合
し、二成分系現像剤1とした。トナーの組成および物性
を表4に示す。
【0128】また、以下の様にしてトナー1及び現像剤
1の評価を行った。
【0129】(帯電安定性の評価方法)カラー複写機C
LC−1130(キヤノン製)の定着ユニットのオイル
塗布機構を取り外した改造機に上記現像剤1を用い、単
色モード、常温低湿環境下(23℃/5%)で画像面積
比率7%のオリジナル原稿を用いて1万枚の耐刷試験を
行った。
【0130】帯電安定性については、常温低湿環境下の
1万枚耐刷試験後の画像を以下の評価基準に基づいて評
価した。
【0131】A:色再現性も優れ、耐久カブリも1%以
下と良好。(良) B:耐久カブリ2%程度で、実用上問題ない。(可) C:耐久カブリ3%以上で帯電安定性に問題。(不可) (定着特性の評価方法)定着温度領域はカラー複写機C
LC−1130(キヤノン製)のオイル塗布機構を取り
外し、さらに定着温度を自由に設定できるように改造し
て定着試験を行った。このときの画像面積比率は25%
であり、単位面積当たりのトナー載り量は0.7mg/
cm2に設定した。
【0132】定着開始温度とオフセット開始温度の測定
は以下のように行った。定着器の設定温度を120〜2
10℃までの温度範囲で5℃おきに温度調節して、各々
の温度で定着画像を出力した。得られた定着画像を4.
9kPa(50g/cm2)の荷重をかけたシルボン紙
で摺擦し、摺擦前後の濃度低下率が10%以下となる定
着温度を定着開始温度とした。また定着開始温度から更
に設定温度を上げていき、目視で高温オフセットの発生
した温度をオフセット開始温度とした。
【0133】(透明性の評価方法)OHTシート上にト
ナーが0.7〜0.75mg/cm2になるよう調整し
た状態で定着させて得られた出力画像を用い、透明性を
評価した。以下に透明性の指標である透過率の測定方法
を述べる。透過率の測定は、分光光度計UV2200
(島津製作所社製)を使用し、OHTシート単独の透過
率を100%とし、マゼンタトナーの場合:650n
m、シアントナーの場合:500nm、イエロートナー
の場合:600nmにおける最大吸収波長に於ける透過
率を測定した。
【0134】A:色むらがなく、透過率が50%以上
(良) B:色むらが殆どなく、透過率が40〜50%以内
(可) C:色むらがあり、透過率が30%以下(不可) (耐ブロッキング性の評価方法)トナー1の保存安定性
としての耐ブロッキング性を以下の方法により評価し
た。トナーを50℃のオーブン内にて2週間放置した後
に該トナーの目視による凝集性のレベルより判定した。
【0135】A:凝集体が全く見られなく流動性が非常
に良い(良) B:若干の凝集体は見られるがすぐにほぐれる(可) C:現像剤攪拌装置では凝集体が十分にほぐれない(不
可) 以上の評価の結果、表5に示すように、トナー1および
現像剤1は1万枚の耐久後でも初期と画像濃度の変動も
小さく、カブリのないオリジナルを忠実に再現するシア
ン画像が得られた。複写機内での搬送、現像剤濃度検知
も良好で安定した画像濃度が得られた。定着温度設定1
70℃における1万枚の繰り返し複写でも定着ローラー
へのオフセットはまったく生じなかった。なお、定着ロ
ーラーへのオフセットの発生状況は、繰り返し複写後の
定着ローラーの表面を目視で観察することにより行っ
た。また、ブロッキング特性、透明性も優れていた。
【0136】〈実施例2〜5〉実施例1において、樹脂
1の代わりに樹脂2、3、5、7を用いた以外は実施例
1と同様の方法によりトナー2〜5を得た。各トナー2
〜5の組成および物性を表4に示す。
【0137】各トナー2〜5を用いて実施例1と同様に
現像剤2〜5を作製した。得られた現像剤2〜5につい
て実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表5に示
す。表5に示すように耐ブロッキング特性、透明性に若
干差はあるもの実施例1とほぼ同等の良好な結果が得ら
れた。
【0138】〈実施例6〉実施例1において、処理ワッ
クス(1)の代わりに処理ワックス(2)を用いた以外
は実施例1と同様の方法を用いてトナー6を得た。トナ
ー6の組成および物性を表4に示す。このトナー6を用
いて実施例1と同様に現像剤6を作製し、実施例1と同
様の評価を行った。評価結果を表5に示す。本実施例で
は実施例1に比べて若干透明性が劣り、カブリが見られ
たが実用レベル内であった。
【0139】〈実施例7〉実施例1において、処理ワッ
クス(1)の代わりに処理ワックス(3)を用いた以外
は実施例1と同様の方法を用いてトナー7を得た。トナ
ー7の組成および物性を表4に示す。このトナー7を用
いて実施例1と同様に現像剤7を作製し、実施例1と同
様の評価を行った。評価結果を表5に示す。本実施例で
は若干透明性、定着性能が劣るものの実用レベル内であ
った。
【0140】〈実施例8〉実施例1において、荷電制御
剤にジ−tert−ブチルサリチル酸の亜鉛化合物を用
いた以外は実施例1と同様の方法を用いてトナー8を得
た。トナー8の組成および物性を表4に示す。このトナ
ー8を用いて実施例1と同様に現像剤8を作製し、実施
例1と同様の評価を行った。評価結果を表5に示す。帯
電の環境差はやや悪化するもの実用上問題となるレベル
ではなかった。実施例1と同様に耐久試験したところ、
ほぼ同様の結果が得られた。
【0141】〈実施例9〜11〉実施例1において、着
色剤としてシアン顔料の代わりにピグメントイエロー1
80、ピグメントレッド57:1、カーボンブラックを
用いた以外は実施例1と同様の方法を用いてトナー9〜
11を得た。得られたトナー9〜11の組成および物性
を表4に示す。各トナー9〜11を用いて実施例1と同
様に現像剤9〜11を作製し、各現像剤について実施例
1と同様の評価を行った。評価結果を表5に示す。この
表5に示すように、実施例1とほぼ同様の良好な結果が
得られた。
【0142】〈実施例12〉実施例1において、ハイブ
リッド樹脂(1)の代わりにハイブリッド樹脂(4)を
用いた以外は実施例1と同様の方法を用いてトナー12
を得た。トナー12の組成および物性を表4に示す。こ
のトナー12を用いて実施例1と同様に現像剤12を作
製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表5
に示す。トナー12はMw/Mnが大きいため硬く、O
HTの透過性、低温定着性ともに悪化したが、実用範囲
内であった。
【0143】〈実施例13〉実施例1において、ハイブ
リッド樹脂(1)の代わりにハイブリッド樹脂(6)を
用いた以外は実施例1と同様の方法を用いてトナー13
を得た。トナー13の組成および物性を表4に示す。こ
のトナー13を用いて実施例1と同様に現像剤13を作
製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表5
に示す。トナー13はMw/Mnの小さな樹脂からな
り、耐高温オフセット性に悪化がみられたが、実用範囲
内であった。
【0144】〈比較例1〉実施例1において、処理ワッ
クス(1)の代わりに処理ワックス(4)を用いた以外
は実施例1と同様の方法を用いてトナー14を得た。ト
ナー14の組成および物性を表4に示す。このトナー1
4を用いて実施例1と同様に現像剤14を作製し、実施
例1と同様の評価を行った。評価結果を表5に示す。表
5に示すように、特にブロッキング特性において実施例
1と比べかなり劣る点が見られ、実用レベルではなかっ
た。
【0145】〈比較例2〉実施例1において、処理ワッ
クス(1)の代わりに処理ワックス(5)を用いた以外
は実施例1と同様の方法を用いてトナー15を得た。ト
ナー15の組成および物性を表4に示す。このトナー1
5を用いて実施例1と同様に現像剤15を作製し、実施
例1と同様の評価を行った。評価結果を表5に示す。表
5に示すように、特に定着性能において実施例1と比べ
かなり劣る点が見られ、実用レベルではなかった。
【0146】〈実施例14〉実施例1において、処理ワ
ックス(1)の代わりに処理ワックス(6)を用いた以
外は実施例1と同様の方法を用いてトナー16を得た。
トナー16の組成および物性を表4に示す。このトナー
16を用いて実施例1と同様に現像剤16を作製し、実
施例1と同様の評価を行った。評価結果を表5に示す。
表5に示すように、トナー中の処理ワックスが脱離した
ためか各評価において悪化がみられたが、実用範囲内で
あった。
【0147】〈実施例15〉実施例1において、処理ワ
ックス(1)の代わりに処理ワックス(7)を用いた以
外は実施例1と同様の方法を用いてトナー17を得た。
トナー17の組成および物性を表4に示す。このトナー
17を用いて実施例1と同様に現像剤17を作製し、実
施例1と同様の評価を行った。評価結果を表5に示す。
表5に示すように、処理ワックスの離型性悪化のため定
着温度幅が狭まったが、実用範囲内であった。
【0148】〈比較例3〉実施例1において、処理ワッ
クス(1)の代わりに未処理のワックスAを用いた以外
は実施例1と同様の方法を用いて18を得た。トナー1
8の組成および物性を表4に示す。このトナー18を用
いて実施例1と同様に現像剤18を作製し、実施例1と
同様の評価を行った。評価結果を表5に示す。表5に示
すように、ワックスが脱離している為か、ブロッキング
/帯電安定性ともに悪化し、実用レベルではなかった。
【0149】〈実施例16〉実施例1において、トナー
の製造の際に第2工程を外した以外は実施例1と同様の
方法を用いてトナー19を得た。トナー19の組成およ
び物性を表4に示す。このトナー19を用いて実施例1
と同様に現像剤19を作製し、実施例1と同様の評価を
行った。評価結果を表5に示す。表5に示すように、透
明性、ブロッキング特性、帯電性において他の実施例に
比べ劣っていたが、実用範囲内であった。
【0150】
【表4】
【0151】
【表5】
【0152】
【発明の効果】本発明によれば、トナー中の着色剤とワ
ックスの分散性を向上させ、高速複写の低温定着と帯電
安定性に優れ、耐ブロッキングに優れた静電荷像現像用
トナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】摩擦帯電量を測定する装置の斜視図
【符号の説明】 51 吸引機 52 測定容器 53 スクリーン 54 フタ 55 真空系 56 風量調整弁 57 吸引口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 9/097 G03G 9/08 331 321 (72)発明者 飯田 育 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 井田 哲也 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 菅原 庸好 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA01 AA08 AB02 AB04 CA04 CA06 CA08 CA14 CA25 DA02 EA03 EA06

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結着樹脂と着色剤とを少なくとも含有
    し、 前記着色剤が少なくともスチレンユニットを有するスチ
    レンユニット含有炭化水素ワックスで表面処理されたも
    のであり、 前記スチレンユニット含有炭化水素ワックスのDSCに
    よって測定される最大吸熱ピーク温度Tscが70〜1
    00℃であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 【請求項2】 芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物を
    さらに含有することを特徴とする請求項1記載の静電荷
    像現像用トナー。
  3. 【請求項3】 前記芳香族カルボン酸誘導体の金属化合
    物が、芳香族カルボン酸誘導体のアルミニウム錯化合物
    であることを特徴とする請求項2記載の静電荷像現像用
    トナー。
  4. 【請求項4】 前記スチレンユニット含有炭化水素ワッ
    クスは、炭化水素ワックス100質量部をスチレン系モ
    ノマー5〜100質量部で処理することにより得られる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の
    静電荷像現像用トナー。
  5. 【請求項5】 前記スチレンユニット含有炭化水素ワッ
    クスは、パラフィン系ワックスを処理することにより得
    られることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に
    記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 【請求項6】 前記トナーのテトラヒドロフラン可溶分
    のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定
    される分子量分布における質量平均分布量(Mw)と数
    平均分布量(Mn)の比(Mw/Mn)が100〜20
    00であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一
    項に記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 【請求項7】 前記結着樹脂が(a)ポリエステル系樹
    脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系共重合体ユ
    ニットとを有するハイブリッド樹脂、(c)ハイブリッ
    ド樹脂とビニル系共重合体との混合物、(d)ポリエス
    テル系樹脂とビニル系共重合体との混合物、または
    (e)ハイブリッド樹脂とポリエステル系樹脂との混合
    物から選択される樹脂であることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか一項に記載の静
    電荷像現像用トナーの製造方法であって、 少なくともスチレンユニット含有炭化水素ワックスと着
    色剤とを溶融混合して溶融混合物Aを得る第1工程と、 前記溶融混合物Aと結着樹脂とを溶融混合して溶融混合
    物Bを得る第2工程と、 前記溶融混合物Bと少なくとも結着樹脂とを溶融混合す
    る第3工程とを含むことを特徴とする静電荷像現像用ト
    ナーの製造方法。
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