JP2003253472A5 - - Google Patents

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【書類名】明細書
【発明の名称】耐高温酸化性に優れたNi合金耐熱材料
【特許請求の範囲】
【請求項1】 Al拡散処理したNi合金基材であって、αCr相からなる内層並びにβ
相(Ni−Al−Cr)およびγ’相(NiAl(Cr))からなる外層の複層構造を
もつ表面層が基材表面に形成されており、外層のAl濃度が20原子%以上であることを
特徴とする耐高温酸化性に優れたNi合金耐熱材料。
【請求項2】 Ni合金基材はその表面にCr含有層を形成したものからなることを特徴
とする請求項1記載のNi合金耐熱材料。
【請求項3】 Cr含有層はCr含有量20原子%以上のNi−Cr基合金からなること
を特徴とする請求項2記載のNi合金耐熱材料。
【請求項4】 Cr含有層上にNi層またはNi−Al層が形成されていることを特徴と
する請求項2または3記載のNi合金耐熱材料。
【請求項5】 Ni合金基材は、Ni基耐熱合金、Ni基超合金からなることを特徴とす
る請求項1記載のNi合金耐熱材料。
【請求項6】 Ni合金基材は、Cr含有量20原子%以上のNi−Cr基合金からなる
ことを特徴とする請求項1記載のNi合金耐熱材料。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、過酷な高温雰囲気においても優れた耐酸化性を奏し、ガスタービン、ターボ
チャージャー、ジエットエンジン、排ガス系部材等として好適なNi合金耐熱材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】
ターボチャージャー、ジエットエンジン、ガスタービン等の高温雰囲気に曝される構造
材料には、TiAl金属間化合物,チタン合金などの耐熱性Ti合金、Ni基、Nb基、
Ir基、Re基などの超合金、炭素材料、各種金属間化合物が使用されている。なかでも
、Ni基合金や、主としてCrを含むNi−Cr2元系合金やその他の元素を含むNi−
Cr多元系合金のようなNi−Cr基合金は、高温における強度と耐クリープ性を活用し
、ガスタービン、ジエットエンジン、化学プラント等に使用されている。
【0003】
耐熱材料が曝される高温雰囲気は、酸素、水蒸気などの酸化性、腐食性成分を含むこと
がある。腐食性の高温雰囲気に耐熱材料が曝されると、雰囲気中の腐食性成分との反応に
よって酸化や高温腐食が進行しやすい。雰囲気中から耐熱材料に浸透したO,N,S,C
l,H,C等によって耐熱材料表面に内部腐食が発生し、材料強度が低下する場合もある

【0004】
高温酸化や高温腐食は、環境遮断能に優れた保護皮膜によって耐熱材料の表面を被覆す
ることにより防止できる。代表的な保護皮膜にAl23 があり、酸化性雰囲気中で耐熱
材料の母材から表層にAlを拡散する方法、CVD、溶射、反応性スパッタリング等によ
ってAl23 層を耐熱材料表面に形成する方法が採用されている。Al23 皮膜は、
雰囲気中の酸化性成分と耐熱材料の金属成分との反応を抑制し、耐熱材料の有する本来の
優れた高温特性を持続させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
耐熱材料の母材からAlを表層に拡散させてAl23 皮膜を形成する場合、耐熱材料
表面のAlが皮膜形成に消費されるため、Al23 皮膜の直下の耐熱材料表層にAl濃
度が低下した層(Al欠乏層)が生成する。
【0006】
Al欠乏層は、Al23 被覆の形成に必要なAlソースとして働かない。そのため、
耐熱材料表面のAl23 皮膜に亀裂、剥離等の欠陥が生じると、十分な量のAlが母材
から供給されず、欠陥部を起点にする腐食、酸化が急速に進展して表面全体に広がる。
【0007】
Al23 皮膜の環境遮断能を長期に亘って維持するために、Al欠乏層の生成に起因
する耐熱材料の表層のAl濃度低下を考慮し、耐熱材料のAl含有量を予め高く設定する
ことが考えられる。
【0008】
しかし、Al含有量の増加に伴い耐熱材料が脆化し、鍛造、成形加工等が困難になる。
耐熱材料の種類によっては、Al含有量を増加させると高温強度が低下するものもある。
【0009】
Ni基合金では、ZrO2 トップコート、MCrAlYのアンダーコートからなる複層
の遮熱性皮膜を設けることにより、耐熱材料を高温腐食から保護することも検討されてい
る。しかし、ZrO2皮膜は酸素を容易に透過させる性質を呈し、アンダーコートの表面
が酸化されやすい。トップコート/アンダーコートの界面に生成する酸化物はAl23
を主成分にするが、界面酸化物が厚く成長するとZrO2 トップコートが剥離して遮熱性
皮膜の機能が損なわれる。また、アンダーコートのAlが基材に拡散すると、遮熱性皮膜
の環境遮断能が劣化する。
【0010】
基材へのAl拡散は、高温強度に有効なγ+γ´相を破壊し、強度を著しく低下させる
TCP相(topological closed packed phase) を生成させやすくする上でも有害である

【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、Ni合金基材の表面に拡散障壁層としてαCr相の内層を介在させ、か
つAl濃度の高い外層を形成することにより、使用条件下でダメージを受けたAl23
皮膜の欠陥部を自己修復するのに必要な高Al濃度を外層で確保し、長期間に亘って基材
Ni合金の有する本来の優れた高温特性を持続させることができることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明は、Al拡散処理したNi合金基材であって、αCr相からなる内層
及びβ相(Ni−Al−Cr)およびγ’相(NiAl(Cr))からなる外層の複層
構造をもつ表面層が基材表面に形成されており、外層のAl濃度が20原子%以上である
ことを特徴とする耐高温酸化性に優れたNi合金耐熱材料である。
また、本発明は、Ni合金基材はその表面にCr含有層を形成したものからなることを
特徴とする上記のNi合金耐熱材料である。
【0013】
また、本発明は、Cr含有層はCr含有量20原子%以上のNi−Cr基合金からなる
ことを特徴とする上記のNi合金耐熱材料である。
また、本発明は 、Cr含有層上にNi層またはNi−Al層が形成されていることを
特徴とする上記のNi合金耐熱材料である。
また、本発明は、Ni合金基材は、Ni基耐熱合金、Ni基超合金からなることを特徴
とする上記のNi合金耐熱材料である。
また、本発明は、Ni合金基材は、Cr含有量20原子%以上のNi−Cr基合金から
なることを特徴とする上記のNi合金耐熱材料である。
【0014】
【作用】
本発明のNi合金耐熱材料は、Ni合金からなる基材表面に複層構造の表面層が形成さ
れている。Cr含有Ni合金基材または表面にCr含有層を形成したNi合金基材にAl
を拡散処理した直後の表面層は、外側がNiAl(+NiAl)で、内はCr,
Niと基材中のその他の合金成分を含む高Al濃度の合金相から構される(図参照)
これを高温で加熱すると、外は、β相(Ni−Al−Cr)、さらにγ' 相(Ni
l(Cr))に変化し、このとき、内層としてαCr相が形成・維持されて複層構造の表
面層が形成されることになる。一方、外が、さらにγ相(Ni(Cr,Al))まで変
化すると、αCr相が消滅する。このことは、図1のNi−Cr−Al系の状態図とも一
致する。
【0015】
内層と外層からなる複層構造の表面層の内層は、拡散障壁層として機能するαCr相か
らなる。αCr相は、主としてCrを含むNi−Cr2元系合金やその他の元素を含むN
i−Cr多元系合金のようなCrを含有するNi−Cr基合金基材またはCr含有層を形
成したNi合金基材、または、Cr含有層上にさらにNi層またはNi−Cr層を形成
したNi合金基材をAl拡散処理することによってAl濃度の高い外層を形成すると同時
に形成される。
【0016】
Al拡散処理は、次の二段階で行うことが望ましい。先ず、高活量のAl拡散処理を7
50〜800℃の比較的低温で行う。この処理で、外層にNiAl(+NiAl
が、外層と基材の間には、Cr,Ni,Alからなる中間層が形成している。なお、中間
層には、基材に含まれている元素が含まれる場合もある。続いて、850℃以上の高温で
熱処理を行うことが望ましい。この処理によって、内層にαCr相が、外層には、β相(
Ni−Al−Cr)が形成する。なお、αCr相からなる内層とβ相からなる外層の形成
は、高温で自然に進行する過程であることから、高温で使用される場合には、加熱処理を
省くこともできる。
【0017】
本発明のNi合金耐熱材料の複層構造では、その後の熱処理または高温で稼動中に、N
iAl(+NiAl)がβ相に変化し、中間層は不安定であることからαCr相か
らなる内層に変化する。このαCr相からなる層が拡散バリヤーとして機能する。αCr
相は低Al固溶度で拡散係数が小さい。
【0018】
高温で液相Alと共存する化合物は、Ni−Al系でNiAl3 、Cr−Al系ではC
5 Al8であることがNi−Cr−Al三元状態図(図1)から理解できる。NiAl3
は、拡散の関係でNi2 Al3が主体となることもある。したがって、Ni(めっき)層
にAlを拡散させると、Ni層の表面からγNi(Al)→γ´Ni3 Al→βNiAl
→Ni2Al3 →NiAl3 の順に変化する。
【0019】
Al拡散処理されたNi合金を750℃以上の高温に加熱する。加熱雰囲気は、不活性
ガス、大気中などいずれでも良い。750℃以上の温度に加熱すると、Alは基材側に拡
散し、Niは外層側に拡散する。Crも外層側に一部、拡散する。一般に、Crの拡散は
AlとNiの拡散に比較して遅いので、Niの外層側への拡散とAlの内層側への拡散が
生じる。すなわち、外層は、NiAl(+NiAl)相からCrを固溶したβ相(
Ni−Al−Cr)へ変化する。一方、基材の表面から内部にAlは拡散浸透し、基材表
面のAl濃度は、γ-Ni(Cr)相のAlの飽和濃度に達している。
【0020】
β相(Ni−Al−Cr)のCr濃度が飽和濃度(約10原子%)以上になると、Cr
はα−Cr相として析出することになる。すなわち、Ni−Cr−Al系の状態図で、β
相(Ni−Al−Cr)は、α−Cr相とタイラインを結び、さらに、αCrはγ相(N
i(Cr、Al))とタイラインを結んでいる。すなわち、β相とγ相の間には、必然的
に、αCr相が存在しなければならない。
【0021】
内層、外層が形成されたNi合金耐熱材料では、各元素が表層部の厚み方向に沿って図
に示すような濃度分布をもつ。基材側には内層生成以前のAl拡散が検出されるが、内
層のAl濃度は極めて低くなっている。高温の酸化性雰囲気にNi合金耐熱材料を長時間
保持した場合、基材から外層へNiが拡散するので、基材表面にCrが濃化し、αCr相
からなる内層の厚さが増大する。
【0022】
よって、内層が低Al濃度に、外層が25原子%以上のAl濃度に維持される。図
濃度分布は、内層のαCr相が拡散障壁層となって外層への基材成分の拡散や外層から基
材へのAl拡散が抑制されている結果である。さらに、時間が経過すると、外層がβ相か
らγ’相に変化し、さらにはγ相へと変化する。このγ’相からγ相への変化の過程で、
αCr相は消滅するものと推定される。
【0023】
外層は、拡散障壁として働く内層により、基材成分で希釈されることなく高Al濃度に
維持される。そのため、保護作用のあるAl23皮膜に対するAl供給源として機能し
、使用条件下でAl23 皮膜がダメージを受けた場合にあってもAl23 が生成され
、皮膜欠陥部が自己補修される。因みに、保護作用のあるAl23 皮膜を自己修復する
ために必要な基材表層の臨界Al濃度は、Ni−Al合金では約20原子%、Ni−Cr
−Al合金では約10原子%となり、基材の合金の種類によって変わるが、拡散障壁層と
して機能する内層により外層のAl濃度は十分に臨界Al濃度以上に維持される。
【0024】
このようにして、表面層が形成されたNi合金耐熱材料は、高温腐食や異常酸化が抑制
され、Ni基耐熱合金、Ni基超合金の有する本来の優れた高温特性を持続する。また、
高出力化を狙って動作温度が上昇する傾向にあるガスタービン、ジェットエンジン等の高
温用部材としての要求特性が十分に満足される。
【0025】
【発明の実施の形態】
基材に使用されるNi合金耐熱材料としては、Ni基耐熱合金、Ni基超合金、電熱線
素材等に用いられるNi−20原子%Cr合金、その他のNi−Cr基合金等がある。拡
散障壁層として有効な内層を形成する上では、少なくとも基材表層部のCr含有量を20
原子%以上に高めておくことが好ましい。ただし、αCr相の寿命は温度と時間に依存し
、高Cr合金ほど高温、長時間に亘って、αCr相を形成・維持できるので、1000℃
以上の高温の使用部材では、35原子%以上に高めることが好ましい。
【0026】
基材としては、Cr含有量20原子%以上のNi−Cr基合金を使用するか、または、
予め、Cr含有層をNi合金の表面に形成することにより、基材表層部のCr濃度を20
原子%以上、好ましくは35原子%以上に維持できる。Cr含有層の形成には、パックセ
メンテーション、電気めっき、溶射、PVD、CVD、スパッタリング等が採用される。
【0027】
なお、Cr以外の合金元素を含有する多元系Ni−Cr基合金、例えば、Ni−4Cr
−1W合金の結果では、皮膜の構造はNi−40Cr合金と同じであるが、WがαCr相
に固溶(1100℃の加熱では3原子%)する。その結果、αCr相に固溶するAl濃度
はNi−40Crに対する0.3原子%AlからNi−4Cr−1W合金では0.1原子
%Alに低下し、Alの拡散能をより低下させることになると推定される。
【0028】
パックセメンテーションでは、基材にCrが浸透したCr含有層が形成される。電気め
っき,溶射,PVD,CVD,スパッタリング等でCr含有層を形成する場合、引き続く
熱処理でCr含有層から基材にCrを拡散させておくことが好ましい。
【0029】
表層部のCr濃度を高くした場合、電気めっき,溶射,PVD,CVD.スパッタリン
グ等でその上にNi層を形成することが好ましい。Ni層に代えてNi−Cr層を形成す
れば、基材表面にCr含有層を設ける工程を省略できる。また、Ni−Al層を形成すれ
ば、後続するAl拡散処理におけるAl層の形成も省略可能である。Ni層,Ni−Cr
層,Ni−Al層等は、必要とする厚みの外層を形成するためNi付着量100〜200
g/m2の割合で設けることが好ましい。
【0030】
次いで、Al粉末、NHCl粉末、Al粉末を重量比で15:2:83の混合
粉末に試料を埋没させる方法、あるいはAlまたはNi−Alめっき皮膜を形成して熱処
理する方法により、Al活量が高い条件下でAl拡散処理する。Al拡散処理には、Al
パックセメンテーション,溶融塩浴又は非水めっき浴を用いた電気めっきや、PVD,C
VD,スパッタリング等で形成したAl層を熱処理する方法等が採用される。
【0031】
Alパックセメンテーションでは、Al,NH4 Cl,Al23 の混合粉末にNi合
金を埋没させ、真空,不活性ガス,水素等の非酸化性雰囲気中で800〜1000℃に1
〜10時間加熱すると、Ni層またはNi−Cr層にAlが浸透する。溶融塩浴や非水め
っき浴を用いた電気めっきやPVD,CVD,スパッタリング等で形成したAl層を同様
な条件下で熱処理すると、Al層からNi層またはNi−Cr層にAlが拡散する。
【0032】
Al拡散処理されたNi合金を850℃以上の高温酸化性雰囲気に保持すると、Alが
基材側へ拡散するとともに、基材からNiが外層に拡散して、外層のNiAl(+Ni
Al)相はβ相(Ni−Al−Cr)に変化する。同時に、αCr相が内層として形
成する。内層が形成した後では、外層から基材へのAlの拡散が抑えられ、外層のAl濃
度は20原子%以上に保たれる。αCr相の内層は外層との間で均質層を形成することな
く拡散障壁としての機能を維持する。
【0033】
内層の厚さについては、特に制限はないが、拡散障壁の能力はその厚さの2乗に比例す
るので、厚いほど有利である。また、αCr相からなる内層を連続層とするには3μm以
上の厚みが必要である。外層は、保護作用のあるにAl濃度25原子%以上とし、厚みは
、厚いほど良いが、20μm以上にすることが好ましい。Al濃度及び厚みは、Al拡散
処理によって調整される。
【0034】
【実施例】
実施例1
40原子%のCrを含むNi−Cr合金を基材に使用した。NiSOを1.25mo
l/l、NiClを0.19mol/l、HBOを0.65mol/lのNiめっき
水溶液にNi−Cr合金を浸漬し、電流密度5.5mA/cm2で3.5時間電気めっき
することにより、膜厚18〜20μmのNi層をNi−Cr合金の表面に形成した。次い
で、Al:NH4 Cl:Al23 =15:2::83(質量比)の混合粉末にNi−C
r合金を埋没させ、不活性ガス(アルゴン)雰囲気中で800℃に2時間加熱するAl拡
散処理を施した。
【0035】
Al拡散処理された基材表層部に含まれる元素の厚み方向の濃度分布を測定した。図2
の測定結果に見られるように、Crは基材表面から表層部表面に向けて順次低濃度化し、
NiはAl拡散層の途中まで基材側から順次高濃度化した後で表層部表面に向けて一定濃
度になっていた。Alは、Al拡散層の表面側よりも内部側で濃度が高くなっていた。
【0036】
Al拡散処理されたNi−Cr合金を大気中で1100℃に16時間加熱することによ
り、基材側から各元素の濃度分布が図3のように変わっていた。図3を図2と対比するこ
とから明らかなように、高温加熱処理後にAlの厚み方向の濃度分布に不連続部分が生じ
ており、Cr濃度の高い領域ではAlがほとんど含まれていなかった。
【0037】
不連続なAlの厚み方向の濃度分布は、Al拡散処理されたNi−Cr合金の表層部断
面を顕微鏡観察することによって理解される。すなわち、300倍の視野で観察した組織
写真(図4)では、基材2と外層1との間に内層3が形成されており、基材2/内層3/
外層1の境界も明瞭であった。内層3は、平均厚みが20μmで、EPMAによる分析結
果からαCr相からなることが判った。外層1は、平均厚みが80μm、Al濃度が約3
7原子%で、β相(Ni−Al−Cr)からなっていた。
【0038】
αCr相の内層3が形成されたNi−Cr合金は、更に高温長時間加熱しても各元素の
厚み方向の濃度分布に実質的な変化が生じない。例えば、同じ条件下で169時間加熱し
た後の厚み方向の濃度分布をみると、Alの厚み方向の濃度分布(図5)に依然として不
連続部があり、不連続部にαCr相の内層3が観察された(図6)。外層1のAl濃度は
約30原子%であり、保護作用のあるAl23皮膜形成用のAlソースとして十分な濃度
が確保されていた。
【0039】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のNi合金耐熱材料は、αCr相の内層並びにβ相(N
i−Al−Cr)およびγ’相(NiAl(Cr))の外層の複層構造をもつ表面層を
Ni合金の表面に形成している。基材から外層への基材成分の拡散や外層から基材へのA
l拡散を防止する拡散障壁層として内層が機能するため、基材成分の拡散で外層が希釈さ
れることなく、保護作用のあるAl23 皮膜の形成に必要なAl濃度が外層に確保され
る。そのため、使用条件下でAl23 皮膜がダメージを受けた場合にあっても、外層か
ら補給されるAlによって皮膜欠陥部が自己修復される。
【0040】
したがって、高温腐食や異常酸化が抑制され、Ni合金の有する本来の優れた高温特性
が長期間にわたって維持され、ガスタービン,ジェツトエンジン,排ガス部材等の高温用
途に適した材料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ni−Cr−Al三元状態図である。
【図2】実施例1において、Al拡散処理した直後におけるNi合金耐熱材料の表層部に
おける各元素の厚み方向の濃度分布を示したグラフである。
【図3】実施例1において、大気中で1100℃、16時間加熱後のNi合金耐熱材料の
表層部における各元素の厚み方向の濃度分布を示したグラフである。
【図4】実施例1において、αCr相の内層が形成された表層部断面の図面代用顕微鏡組
織写真である。
【図5】実施例1において、大気中で1100℃、169時間加熱後のNi合金耐熱材料
の表層部における各元素の厚み方向の濃度分布を示したグラフである。
【図6】実施例1において、大気中で1100℃、169時間加熱後のNi合金耐熱材料
の表層部断面にαCr相の内層が観察される図面代用顕微鏡組織写真である。
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