JPH09104987A - 耐熱部材およびその製造方法 - Google Patents

耐熱部材およびその製造方法

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JPH09104987A
JPH09104987A JP25864095A JP25864095A JPH09104987A JP H09104987 A JPH09104987 A JP H09104987A JP 25864095 A JP25864095 A JP 25864095A JP 25864095 A JP25864095 A JP 25864095A JP H09104987 A JPH09104987 A JP H09104987A
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layer
phase
diffusion barrier
metal
alloy
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JP25864095A
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English (en)
Inventor
Seiichi Suenaga
誠一 末永
Kazuhiro Yasuda
一浩 安田
Kunihiko Wada
国彦 和田
Hirotaka Inagaki
浩貴 稲垣
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長時間にわたって基材/金属コーティング層
間の元素移動を十分に抑制することを可能にした上で、
各層間の密着性を高めて界面剥離を抑制する。 【解決手段】 Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも
1種を主成分とする合金からなる基材1の表面に、拡散
バリヤ層を介して M-Cr-Al-Y合金層(M=Ni,Co,Fe)を被覆
形成した耐熱部材である。拡散バリア層は、Ti、Zr、H
f、 V、TaおよびNbから選ばれる少なくとも 1種の金属
を主成分とし、酸素および窒素から選ばれる少なくとも
1種が固溶した金属層を有する。あるいは、Ni、Coおよ
びFeから選ばれる少なくとも 1種の元素を主成分とする
マトリックス相中に、 Ma (A1-x Bx1-a 相(M= Ni,C
o,Fe、A= Al,Ti,Nb,Ta、B= Cr,Mo,W,Hf,Re,Y, 0.3≦ a
≦ 0.8、 0≦ x< 0.5)が析出した材料からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばガスタービ
ンの動・静翼の構成材料のように、高温環境下で長時間
の高温強度、耐酸化性、耐食性が要求される材料に好適
な耐熱部材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】発電用やエンジン用のガスタービンに代
表される高温機器の高効率化を目指した機器使用温度の
高温化に伴って、機器構成部品に使用される材料には、
一層高レベルの特性、例えば高温強度、高温耐食・耐酸
化性等が要求されている。このため、高強度のNi基やCo
基の超合金基材の表面に、M-Cr-Al-Y(M=Ni,Co,Fe等)合
金等からなる耐食・耐酸化金属コーティングを施す技術
が開発され、ガスタービンの動・静翼等においては必須
の技術として既に広く適用されている。また、さらなる
高温化の流れの中で、耐食・耐酸化金属コーティング層
の表面に熱伝導率の低いセラミックス層をコーティング
し、内側の金属材料を保護する遮熱コーティング技術も
実用化されつつある。
【0003】ところで、従来の金属コーティングの材料
開発は、本来の目的である耐食性と耐酸化性の観点から
主として行われてきたため、Ni基やCo基の合金基材と M
-Cr-Al-Y合金からなる金属コーティング層との材料組成
は著しく異なり、その結果として長時間のガスタービン
等の運転下において、直接接する基材/金属コーティン
グ層界面で元素移動が生じてしまう。この元素移動によ
って、金属コーティング層からAlやCr等の保護性酸化物
層形成元素が枯渇し、金属コーティング層の耐食・耐酸
化性が低下したり、あるいは基材内部での異種相の生成
により高温強度が低下する等の問題を招いている。
【0004】上述したような基材/金属コーティング層
界面での元素移動に伴う問題を解決するために、基材と
金属コーティング層との間に元素拡散を抑制する拡散バ
リア層を形成することが検討されている。従来、このよ
うな拡散バリア層として、内部での元素の拡散係数の小
さいAlやTiを主成分とする酸化物層、窒化物層、酸窒化
物層等をCVD法等の成膜方法を用いて形成することが
試みられているが、拡散バリア層と基材との界面や拡散
バリア層と金属コーティング層との界面における密着性
が悪く、これら界面で剥離が起りやすいという問題が生
じている。この界面での剥離は耐熱部材の寿命低下要因
となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、金属
コーティングを適用した耐熱部材、またさらに遮熱コー
ティングを施した耐熱部材においては、基材/金属コー
ティング層界面での元素移動に伴う問題を解決するため
に、拡散バリア層を形成することが試みられているが、
従来の酸化物、窒化物、酸窒化物等を直接被覆形成した
拡散バリア層は基材や金属コーティング層との密着性が
悪く、これらの界面から剥離が生じて部材寿命を低下さ
せるという問題を有していた。
【0006】このようなことから、従来の耐熱被覆部材
においては、基材/金属コーティング層界面での元素移
動に伴う劣化を十分に抑制することを可能にすると共
に、拡散バリア層自体の密着性を高めることが課題とさ
れていた。
【0007】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、長時間にわたって基材/金属コーテ
ィング層間の元素移動を十分に抑制することを可能にす
ると共に、各層間の密着性を高めて界面剥離を抑制し、
長寿命化を達成した耐熱部材を提供することを目的とし
ている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明における第1の耐
熱部材は、請求項1に記載したように、Ni、CoおよびFe
から選ばれる少なくとも 1種の元素を主成分とする合金
からなる基材と、前記基材表面に拡散バリア層を介して
被覆形成された M-Cr-Al-Y合金層(ただし、 MはNi、Co
およびFeから選ばれる少なくとも 1種の元素を示す。以
下同じ)とを具備する耐熱部材において、前記拡散バリ
ア層はTi、Zr、Hf、 V、TaおよびNbから選ばれる少なく
とも 1種の金属を主成分とし、酸素および窒素から選ば
れる少なくとも 1種が固溶した金属層を有すること、あ
るいは請求項2に記載したように、前記拡散バリア層は
Ti、Zr、Hf、 V、TaおよびNbから選ばれる少なくとも 1
種の元素とNi、CoおよびFeから選ばれる少なくとも 1種
の元素との合金を主成分とし、酸素および窒素から選ば
れる少なくとも 1種が固溶した金属層を有することを特
徴としている。
【0009】本発明における第2の耐熱部材は、請求項
3に記載したように、Ni、CoおよびFeから選ばれる少な
くとも 1種の元素を主成分とする合金からなる基材と、
前記基材表面に拡散バリア層を介して被覆形成された M
-Cr-Al-Y合金層とを具備する耐熱部材において、前記拡
散バリア層は、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも
1種の元素を主成分とするマトリックス相中に、 Ma (A
1-x Bx 1-a 相(ただし、 MはNi、CoおよびFeから選
ばれる少なくとも 1種の元素を、 AはAl、Ti、Nbおよび
Taから選ばれる少なくとも 1種の元素を、 BはCr、Mo、
W、Hf、Reおよび Yから選ばれる少なくとも 1種の元素
を示し、 aおよび xは 0.3≦ a≦ 0.8、0≦ x< 0.5で
ある)が析出した材料からなり、かつ前記 Ma (A1-x B
x 1-a相の析出量(体積率)が前記基材中の析出相の
体積率より多いことを特徴としている。
【0010】本発明の耐熱部材は、請求項4に記載した
ように、さらに前記 M-Cr-Al-Y合金層表面に被覆形成さ
れたセラミックス層を有していてもよい。
【0011】また、本発明の耐熱部材の製造方法は、請
求項5に記載したように、Ni、CoおよびFeから選ばれる
少なくとも 1種の元素を主成分とする合金からなる基材
表面に、Ti、Zr、Hf、 V、TaおよびNbから選ばれる少な
くとも 1種の元素を含有する金属層を、酸素分圧または
窒素分圧が 0.1〜 1×104 Paの雰囲気中で成膜する工程
と、前記金属層上に M-Cr-Al-Y合金層を 1×104 Pa以下
の減圧雰囲気中で成膜する工程とを有することを特徴と
している。
【0012】本発明の第1の耐熱部材においては、拡散
バリア層がTi、Zr、Hf、 V、TaおよびNbから選ばれる少
なくとも 1種の金属、あるいはこれらとNi、CoおよびFe
から選ばれる少なくとも 1種の元素との合金を主成分と
する金属層を有している。Ti、Zr、Hf、 V、Ta、Nb等の
金属や、これらとNi、Co、Fe等との合金は、酸素や窒素
を多く固溶することができ、この酸素や窒素を多く固溶
する金属層はその内部でのAl等の元素の拡散係数が小さ
いことから、基材と M-Cr-Al-Y合金層との拡散バリア層
として機能する。また、上記金属層に熱処理を施した
り、あるいは実使用時に金属層が熱を受けることによっ
て、金属層に固溶する酸素や窒素と M-Cr-Al-Y合金層中
のAl等とが反応し、金属層と M-Cr-Al-Y合金層との界面
にAl等の酸化物や窒化物が生成する。これらAl等の酸化
物や窒化物はその内部での元素の拡散係数が小さいこと
から、より一層拡散バリア層としての機能が向上する。
【0013】そして、拡散バリア層として機能する金属
層は、本質的に金属的物性を有する層であるため、基材
や M-Cr-Al-Y合金層に対して優れた密着性を示し、また
界面にAl等の酸化物や窒化物を生成しても、これらは界
面での反応生成物であるため、金属層と M-Cr-Al-Y合金
層との密着性を低下させるようなことはない。従って、
拡散バリア層界面からの剥離等を有効に防止することが
できる。
【0014】これらによって、耐熱部材を長時間高温環
境に晒されるような条件下で使用したとしても、上記拡
散バリア層により基材の高温強度の低下や M-Cr-Al-Y合
金層の耐食・耐酸化性の低下等が防止できると共に、拡
散バリア層を介在させたことに伴う剥離等が防止できる
ことから、耐熱部材を長期間安定に使用することが可能
となる。
【0015】また、本発明の耐熱部材の製造方法によれ
ば、上述した第1の耐熱部材を安定してかつ再現性よく
作製することができる。
【0016】本発明の第2の耐熱部材においては、拡散
バリア層にNi、CoおよびFeから選ばれる少なくとも 1種
の元素を主成分とするマトリックス相中に Ma (A1-x B
x 1-a 相が析出した材料を用いており、この拡散バリ
ア層はマトリックス相と析出物相( Ma (A1-x Bx
1-a 相)との界面での拡散抑止効果により元素の移動距
離を長くすることができるため、基材と M-Cr-Al-Y合金
層間での元素移動を抑制することが可能となる。また、
拡散バリア層は金属マトリックス相を有しているため、
基材や M-Cr-Al-Y合金層に対して優れた密着性を示す。
従って、耐熱部材を長時間高温環境に晒されるような条
件下で使用したとしても、基材の高温強度の低下や M-C
r-Al-Y合金層の耐食・耐酸化性の低下等が防止できると
共に、拡散バリア層を介在させたことに伴う剥離等が防
止できることから、耐熱部材を長期間安定に使用するこ
とが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0018】図1は、本発明の第1の耐熱部材の実施形
態を示す断面図である。同図において、1は金属基材で
あり、この金属基材1としてはNi、CoおよびFeから選ば
れる少なくとも 1種の元素を主成分とする耐熱合金が用
いられ、使用用途等に応じて各種公知の耐熱合金を適宜
選択して使用することができる。実用上は、 IN738、IN
738LC、 IN939、Mar-M247、RENE80、CM-247、CMSX-2、C
MSX-4等のNi基超合金や、 FSX-414、Mar-M509等のCo基
超合金を用いることが有効である。
【0019】上記金属基材1上には、拡散バリア層とし
て機能する金属層2が形成されており、この金属層2を
介して M-Cr-Al-Y合金層3が耐食・耐酸化金属コーティ
ング層として被覆形成されている。これらによって耐熱
部材4が構成されている。
【0020】拡散バリア層として形成する金属層2は、
Ti、Zr、Hf、 V、TaおよびNbから選ばれる少なくとも 1
種の金属、あるいはTi、Zr、Hf、 V、TaおよびNbから選
ばれる少なくとも 1種の元素とNi、CoおよびFeから選ば
れる少なくとも 1種の元素との合金を主成分とし、これ
らに酸素および窒素から選ばれる少なくとも 1種が固溶
した層からなるものである。
【0021】ここで、Ti、Zr、Hf、 V、Ta、Nb等の金属
や、これらとNi、Co、Fe等との合金は、酸素や窒素を多
く固溶することができる。このような酸素や窒素を多く
固溶する金属層2は、Al等の元素の拡散係数が小さいこ
とから、金属基材1と M-Cr-Al-Y合金層3との拡散バリ
ア層として機能する。
【0022】このように、酸素や窒素を多く固溶した金
属層2自体も拡散バリア層として機能するが、金属層2
成膜後に熱処理を施したり、あるいは熱処理を施さなく
とも実使用時に金属層2が熱を受けることによって、上
記金属層2に固溶する酸素または窒素と M-Cr-Al-Y合金
層3中のAl等とが反応し、図2に示すようように、金属
層2と M-Cr-Al-Y合金層3との界面にAl等の酸化物また
は窒化物(Al2 O 3 、AlN)5が生成する。これらAl2 O
3 や AlN(5)等の物質は、その物質中の元素の拡散係
数が小さく、拡散バリア層として有効に利用することが
できる すなわち、上述した金属や合金からなる金属層2は、酸
素や窒素を多く固溶することができる。−方、耐食・耐
酸化性に優れた M-Cr-Al-Y合金は、−般に合金中のAl元
素の活量が高く、酸化雰囲気中ではAl2 O 3 、窒化雰囲
気中では AlNを生成し易い。従って、酸素や窒素を多く
固溶する金属層2と M-Cr-Al-Y合金層3とが接した状態
で、熱処理あるいは実使用時の熱を受けると、金属層2
中の酸素または窒素と M-Cr-Al-Y合金層3中のAl等とが
反応して、Al等の酸化物または窒化物5が界面に生成す
る。
【0023】これらAl等の酸化物または窒化物5は、そ
の内部での拡散係数が小さく、拡散バリア層として有効
に機能することから、耐熱部材4を長時間高温環境に晒
されるような条件下で使用したとしても、金属基材1と
M-Cr-Al-Y合金層3との間の元素移動を抑制することが
できる。その結果として、金属基材1の高温強度の低下
や M-Cr-Al-Y合金層3の耐食・耐酸化性の低下等が防止
でき、耐熱部材4を長期間安定に使用することが可能と
なる。
【0024】そして、上述した拡散バリア層として機能
する金属層2(Al等の酸化物または窒化物5を含む)が
従来の拡散バリア層、すなわちAl2 O 3 等からなるセラ
ミックス層を直接形成したものと大きく異なる点は、拡
散バリア層として機能する金属層2は本質的に金属的物
性を有する層(メタリックな層)であり、金属基材1と
は金属/金属結合を形成するため、極めて良好な密着性
を示す。また、金属層2と M-Cr-Al-Y合金層3との界面
に、Al等の酸化物または窒化物5を形成したとしても、
これらは金属層2と M-Cr-Al-Y合金層3との界面におけ
る反応生成物であるため、金属層2と M-Cr-Al-Y合金層
3の結合状態を高める方向に作用し、密着性を低下させ
るようなことはない。従って、拡散バリア層の存在が耐
熱部材4の各層間の密着性を低下させるようなことはな
く、拡散バリア層との界面からの剥離等は防止すること
ができる。これによって、耐熱部材4の長寿命化が達成
される。
【0025】上述した酸素や窒素を固溶する金属層2に
おける酸素含有量または窒素含有量は、特に限定される
ものではないが、少なくとも金属層2自体が金属的な物
性を維持し得るような酸素含有量または窒素含有量でな
ければならない。このような点からは、金属層2の構成
元素によっても異なるが、金属層2の酸素含有量または
窒素含有量は 40at%以下であることが好ましい。金属層
2中の酸素量または窒素量が 40at%を超えると、金属層
2中に酸化物や窒化物が生成し、金属層2本来の金属的
特性が低下するおそれがある。また、金属層2と M-Cr-
Al-Y合金層3との界面に過剰なAl等の酸化物または窒化
物5が生成し、界面剥離等が生じるおそれがある。一
方、金属層2中の酸素量または窒素量があまり少ない
と、金属層2自体の拡散バリア層としての機能が低下す
ると共に、界面でのAl等の酸化物または窒化物5の生成
量が不十分となる。このような点からは、金属層2の酸
素含有量または窒素含有量は5at%以上であることが好ま
しい。
【0026】また、酸素や窒素を固溶する金属層2の厚
さは特に限定されるものではないが、良好な拡散バリア
効果を安定に得るために 5μm 以上とすることが好まし
く、また金属層2自体の剥離等を防止する上で50μm 以
下とすることが好ましい。
【0027】金属層2は、Ti、Zr、Hf、 V、TaおよびNb
から選ばれる少なくとも 1種の金属層に、酸素および窒
素から選ばれる少なくとも 1種を固溶させることによっ
て、上述したように基本的な拡散バリア層としての機能
を得ることができるが、金属基材1側からの元素移動を
抑制すると共に、金属基材1との密着性等を高めるため
には、Ti、Zr、Hf、 V、TaおよびNbから選ばれる少なく
とも 1種の元素とNi、CoおよびFeから選ばれる少なくと
も 1種の元素との合金層とすることが好ましい。これら
Ni、Co、Feの含有量は、金属層2中の酸素や窒素の固溶
量に悪影響を及ぼさないように50at% 以下とすることが
好ましい。また、金属基材1側からの元素移動を安定し
て抑制するためには10at% 以上含有させることが好まし
い。
【0028】上述したような酸素や窒素を固溶する金属
層2は、例えば以下のようにして形成することができ
る。
【0029】すなわち、金属基材1の表面に、Ti、Zr、
Hf、 V、TaおよびNbから選ばれる少なくとも 1種の元素
を含有する金属層を、酸素分圧または窒素分圧が 0.1〜
1×104 Paの雰囲気中で成膜する。ここで、成膜方法と
しては、減圧プラズマ溶射等のプラズマ溶射法、ΕB−
PVD法、マグネトロンスパッタリング法、CVD法等
を適用することができる。
【0030】ここで、プラズマ溶射法は、成膜速度が速
く、厚膜を形成する方法として優れている。特に減圧プ
ラズマ溶射法は、緻密な層を成膜することができると共
に、過剰な酸化反応等を抑制することができるため、し
ばしば金属層の成膜に用いられる。例えば、このような
減圧プラズマ溶射法を適用すると共に、溶射雰囲気中の
酸素分圧または窒素分圧を 0.1〜 1×104 Paの範囲とし
て、Ti、Zr、Hf、 V、TaおよびNbから選ばれる少なくと
も 1種の単体金属層、あるいはTi、Zr、Hf、 V、Taおよ
びNbから選ばれる少なくとも 1種の元素とNi、Coおよび
Feから選ばれる少なくとも 1種の元素との合金層を成膜
すると、溶射プロセス中に雰囲気内に微量に存在する酸
素や窒素が単体金属層や合金層中に固溶して、酸素や窒
素を固溶する金属層2を得ることができる。なお、プラ
ズマ溶射法以外の成膜法を適用する場合においても同様
である。
【0031】金属層2形成時の酸素分圧または窒素分圧
が 0.1Pa未満であると、金属層2中に十分に酸素や窒素
を固溶させることができず、上述した拡散バリア効果が
低下するおそれがあり、一方 1×104 Paを超えると金属
層2自体の酸化や窒化が起こり、金属層2の金属的な物
性が劣化して金属層2の密着性が低下する。
【0032】酸素や窒素を固溶する金属層2の形成方法
は、上述した酸素や窒素を微量含む雰囲気中での成膜に
限らず、成膜原料に酸素や窒素を適量含有する物質を使
うことによっても、上述したような酸素または窒素を固
溶する金属層2を形成することができる。
【0033】上記したような方法で酸素や窒素を固溶す
る金属層2を形成した後、M-Cr -Al-Y合金層3を 1×10
4 Pa以下の減圧雰囲気中で成膜する。この M-Cr-Al-Y合
金層3の形成にも、減圧プラズマ溶射法、ΕB−PVD
法、マグネトロンスパッタリング法、CVD法等を適用
することができる。 M-Cr-Al-Y合金層3を成膜する際の
雰囲気が 1×104 Paを超えると、成膜時に金属層2表面
で酸化等が起こり、 M-Cr-Al-Y合金層3の密着性が低下
する。また、 M-Cr-Al-Y合金層3を成膜した後に、この
M-Cr-Al-Y合金層3と金属層2との界面に予めAl等の酸
化物または窒化物5を形成しておく場合には、例えば窒
素やアルゴン等の不活性雰囲気中や減圧雰囲気中にて、
1000〜 1500K程度の温度で熱処理を施す。
【0034】上述した M-Cr-Al-Y合金層3は、金属基材
1の耐食・耐酸化性コーティングとして機能を得る上
で、一般的には 0.1〜20重量% のAl、10〜35重量% のC
r、 0.1〜 5重量% の Yを含み、残部がNi、CoおよびFe
から選ばれる少なくとも 1種のM元素から実質的になる
組成の合金が用いられる。また、用途によっては M-Cr-
Al-Y合金に、Ti、Nb、Hf、Zr、Taおよび Wから選ばれる
少なくとも 1種の添加元素を 5重量% 以下の範囲で微量
添加することも可能である。
【0035】金属基材1表面を酸素や窒素を固溶する金
属層2を介して M-Cr-Al-Y合金層3で被覆した部材4
を、そのまま耐熱部材として用いてもよいが、使用用途
によっては図3に示すように、さらに M-Cr-Al-Y合金層
3上にセラミックス層6を遮熱コーティング層として被
覆形成し、このような構成の部材7を耐熱部材として用
いることもできる。
【0036】上記セラミックス層6には、Si3 N 4 、 S
iC、Al2 O 3 、 ZrO2 、 TiN、 AlN、サイアロン等の種
々のセラミックス材料を使用することができるが、熱伝
導率の低さや熱膨張係数の大きさ等から ZrO2 が好適で
ある。また、 ZrO2 の相変態を抑止する安定化剤として
は Y2 O 3 が最も好ましく、特に Y2 O 3 を 8重量%程
度含む部分安定化 ZrO2 が総合的に最も優れた特性を示
す。なお、セラミックス層6は、Alパック法等のAl化処
理を施すことによって形成したAl2 O 3 層等であっても
よい。
【0037】次に、本発明の第2の耐熱部材の実施形態
について、図4および図5を参照して述べる。図4は本
発明の第2の耐熱部材の一実施形態を示す断面図であ
り、11は前述した実施形態と同様な材料からなる金属
基材である。この金属基材11上には、拡散バリア層1
2が形成されており、この拡散バリア層12を介して、
前述した実施形態と同様な M-Cr-Al-Y合金層13が被覆
形成されている。これらによって耐熱部材14が構成さ
れている。
【0038】上記した拡散バリア層12は、Ni、Coおよ
びFeから選ばれる少なくとも 1種の元素を主成分とする
マトリックス相中に、 Ma (A1-x Bx 1-a 相(MはNi、
CoおよびFeから選ばれる少なくとも 1種の元素を、 Aは
Al、Ti、NbおよびTaから選ばれる少なくとも 1種の元素
を、 BはCr、Mo、 W、Hf、Reおよび Yから選ばれる少な
くとも 1種の元素を示し、 aおよび xは 0.3≦ a≦ 0.
8、 0≦ x< 0.5である)が析出した材料からなるもの
である。
【0039】この拡散バリア層12は、従来の拡散バリ
ア層とは異なり、マトリックス相と析出相( Ma (A1-x
Bx 1-a 相)との界面での拡散抑止効果により元素の
移動距離を長くすることによって、金属基材11と M-C
r-Al-Y合金層13間での元素移動を抑制するものであ
る。 Ma (A1-x Bx 1-a 相の aの値が上記範囲外であ
ると、安定な析出相が得られない。このような拡散バリ
ア層12を金属基材11と M-Cr-Al-Y合金層13間に介
在させることによって、耐熱部材14を長時間高温環境
に晒されるような条件下で使用しても、金属基材11と
M-Cr -Al-Y合金層13との間の元素移動を抑制すること
ができる。従って、金属基材11の高温強度の低下やM-
Cr -Al-Y合金層13の耐食・耐酸化性の低下等が防止で
き、耐熱部材14の長寿命化が図れる。
【0040】上述したような拡散バリア効果を得るため
に、拡散バリア層12中におけるMa (A1-x Bx 1-a
相の析出量(体積率)は、金属基材11中の析出相の体
積率より多いことが必要となる。なぜならば、拡散バリ
ア層12中の析出相の体積率が金属基材11中のそれよ
り低いと、マトリックス相中を拡散する元素の経路が短
くなり、金属基材1以上の拡散抵抗を持てなくなるた
め、拡散バリア層12としての機能が得られないためで
ある。通常、例えば金属基材11がNi基合金からなる場
合、50〜60体積% のNi3 Al相等の析出物を含んでおり、
このことから考えて拡散バリア層12は50体積% 以上の
析出相を含むことが好ましい。また、体積率が100%に近
いと金属間化合物相特有の脆性的な機械的性質が顕在化
するため、析出相の体積率は 90%以下とすることが好ま
しい。
【0041】そして、上述した拡散バリア層12は、金
属相をマトリックスとしているため、金属基材1とは金
属/金属結合を形成して極めて良好な密着性を示し、ま
た従来の酸化物、窒化物、酸窒化物等の単層からなる拡
散バリア層のような脆さもない。従って、上述した拡散
バリア効果に加えて、拡散バリア層12を介在させたこ
とに伴う剥離等が防止できることから、耐熱部材14を
長期間安定に使用することが可能となる。
【0042】拡散バリア層12のマトリックス相として
は、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも 1種の元素
を主成分とし、これに生成する Ma (A1-x Bx 1-a
に応じた元素、すなわちAl、Ti、NbおよびTaから選ばれ
る少なくとも 1種の元素、また必要に応じてCr、Mo、
W、Hf、Reおよび Yから選ばれる少なくとも 1種の元素
が固溶した固溶体が用いられる。これら固溶元素の量
は、 Ma (A1-x Bx 1-a相の析出量に応じて適宜設定
される。このように、拡散バリア層12のマトリックス
相は、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも 1種の元
素を主成分とする固溶体であればよいが、金属基材1と
の整合性、金属基材1での異種相の生成を防止する観点
から、金属基材1がNi基合金であればNiを主成分とし、
またCo基合金であればCoを主成分とすることが好まし
い。
【0043】また、析出相は、Ni、CoおよびFeから選ば
れる少なくとも 1種の元素(M元素)とAl、Ti、Nbおよび
Taから選ばれる少なくとも 1種の元素(A元素)とを所定
の比率で含むものであればよいが、例えばNiを主成分と
するマトリックス相を用いる場合にはNi0.75(Al,Ti,Nb)
0.25(Ni3 (Al,Ti,Nb))、Ni0.5 Al0.5 (NiAl)、Ni0.25
Al0.75(NiAl3 )等の金属間化合物相、またCoを主成分
とするマトリックス相を用いる場合にはCo0.5 Al0.5 (C
oAl)等の金属間化合物相が、熱的・化学的安定性等の点
から好ましい。また、析出相の安定性を高めたり、マト
リックス相との整合性を乱して元素拡散に対する抵抗性
を向上させるために、Cr、Mo、 W、Hf、Reおよび Yから
選ばれる少なくとも 1種の元素(B元素)で、 A元素の一
部を置換することができる。ただし、 B元素量は A元素
量を超えないようにする。
【0044】ところで、 M-Cr-Al-Y合金層13は、一般
に M元素がNiの場合にはNiAl相のようなβ相、また M元
素がCoの場合にもCoAl相のようなβ相を主として含んで
いる。従って、拡散バリア層12中の析出相がβ相の場
合には、その体積率を M-Cr-Al-Y合金層13中の体積率
より多くすることが好ましい。これによって、 M-Cr-Al
-Y合金層13からのAl等の移動をより一層効果的に抑制
することができる。一方、金属基材1はNi3 Al相等の
γ′相を主として含んでいることから、拡散バリア層1
2中の析出相をγ′相とすることも効果的である。すな
わち、拡散バリア層12の析出物組成を金属基材11に
近付けることによって、 M-Cr-Al-Y合金層13からのAl
等の移動を効果的に抑制することができる。
【0045】上述した拡散バリア層12の厚さは、特に
限定されるものではないが、良好な拡散バリア効果を安
定に得るために 1μm 以上とすることが好ましく、また
拡散バリア層12自体の剥離等を防止する上で 200μm
以下とすることが好ましい。また、拡散バリア層12の
形成方法には、プラズマ溶射法、HVOF法、PVD
法、CVD法等の各種成膜プロセスを適用することがで
き、特に成膜速度や材料選択の幅が広いこと等からプラ
ズマ溶射法が有効である。プラズマ溶射法の中でも、減
圧雰囲気中で溶射プロセスを行う減圧プラズマ溶射法
(VPS法)が好ましく、これによってプロセス時の酸
化が抑制できると共に、緻密な被覆層を形成することが
できる。 M-Cr-Al-Y合金層13の形成方法についても同
様である。金属基材11表面を拡散バリア層12を介し
て M-Cr-Al-Y合金層13で被覆した部材14を、そのま
ま耐熱部材として用いてもよいが、前述した実施形態と
同様に、使用用途によっては図5に示すように、さらに
M-Cr-Al-Y合金層13上にセラミックス層15を遮熱コ
ーティング層として被覆形成し、このような構成の部材
16を耐熱部材として用いることもできる。セラミック
ス層15の構成は前述した実施形態と同様とすることが
好ましい。
【0046】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0047】実施例1 Ni基超合金CM-247からなる丸棒材料の表面に、約 100Pa
の減圧大気中で減圧プラズマ溶射法により厚さ10μm の
Ti層を成膜した。この際の溶射雰囲気中の酸素分圧は約
25Paである。次いで、同一チャンバ内で厚さ 150μm の
NiCoCrAlY層(Ni-23%Co-17%Cr-12%Al-0.5%Y(重量%))を
成膜した。上記Ti層中の酸素量を測定したところ 33at%
あった。
【0048】このようにして得た耐熱部材にAr雰囲気炉
中で 1273Kで1000時間の熱処理を施した。この熱処理後
の試料に、 1173Kで250MPaの応力下でクリープ試験を行
ったところ、 100時間保持しても破断は見られなかっ
た。また、この試料を切断して断面観察を行ったとこ
ろ、基材側からTi層、Al2 O 3 層、 NiCoCrAlY層の順に
存在していた。
【0049】また、本発明との比較例として、Ni基超合
金CM-247からなる丸棒材料の表面に減圧プラズマ溶射法
により直接同組成の NiCoCrAlY層を成膜した試料に、上
記実施例1と同一条件で熱処理を施した。この熱処理後
の試料のクリープ試験を同一条件下で行ったところ、80
時間経過した時点で破断した。この試料を切断して断面
観察を行ったところ、界面近傍の基材内では強化相
(γ′相)の消失が認められ、さらにCr-Wからなる脆弱
な生成相が観察された。
【0050】実施例2 Ni基超合金IN738 からなる丸棒材料の表面に、約10Paの
減圧大気中で減圧プラズマ溶射法により厚さ15μm のTi
-50at%Ni層を成膜した。この際の溶射雰囲気中の酸素分
圧は約 2Paである。次いで、同一チャンバ内で厚さ 100
μm のCoNiCrAlY 層(Co-32%Ni-21%Cr-8%Al-0.5%Y(重量
%))を成膜した。上記Ti-50at%Ni層中の酸素量を測定し
たところ 15at%あった。
【0051】このようにして得た耐熱部材に実施例1と
同一条件で熱処理を施した後、1123K で300MPaの応力下
でクリープ試験を行ったところ、 100時間保持しても破
断は見られなかった。また、この試料を切断して断面観
察を行ったところ、基材側から Ti-Ni-O層、Al2 O
3 層、 CoNiCrAlY層の順に存在していた。
【0052】また、本発明との比較例として、Ni基超合
金IN738 からなる丸棒材料の表面に、減圧プラズマ溶射
法により直接同組成の CoNiCrAlY層を成膜した試料に、
上記実施例2と同一条件で熱処理を施した。この熱処理
後の試料のクリープ試験を同一条件下で行ったところ、
60時間経過の後に破断した。この試料を切断して断面観
察を行ったところ、界面近傍の基材内では強化相(γ′
相)の消失が認められ、さらにCr-Wからなる脆弱な生成
相が観察された。
【0053】実施例3 Ni基超合金CM-247からなる丸棒材料の表面に、約1000Pa
の減圧大気中で減圧プラズマ溶射法により厚さ15μm の
Ta-50at%Ni層を成膜した。この際の溶射雰囲気中の酸素
分圧は約 200Paである。次いで、同一チャンバ内で厚さ
120μm のCoNiCrAlY層(実施例2と同組成)を成膜し
た。上記Ta-50at%Ni層中の酸素量を測定したところ 10a
t%あった。
【0054】このようにして得た耐熱部材に実施例1と
同一条件で熱処理を施した後、1173K で250MPaの応力下
でクリープ試験を行ったところ、 100時間保持しても破
断は見られなかった。また、この試料を切断して断面観
察を行ったところ、基材側から Ta-Ni層、Al2 O 3 層、
CoNiCrAlY層の順に存在していた。
【0055】また、本発明との比較例として、Ni基超合
金CM-247からなる丸棒材料の表面に、減圧プラズマ溶射
法により直接同組成の CoNiCrAlY層を成膜した試料に、
上記実施例3と同一条件で熱処理を施した。この熱処理
後の試料のクリープ試験を同一条件下で行ったところ、
85時間経過の後に破断した。この試料を切断して断面観
察を行ったところ、界面近傍の基材内では強化相(γ′
相)の消失が認められた。
【0056】実施例4 Co基超合金FSX-414 からなる丸棒材料の表面に、約50Pa
の減圧大気中で減圧プラズマ溶射法により厚さ15μm の
Nb-50at%Co層を成膜した。この際の溶射雰囲気中の酸素
分圧は約 5Paである。次いで、同一チャンバ内で厚さ 1
00μm のCoNiCrAlY 層(実施例2と同組成)を成膜し
た。上記Nb-50at%Co層中の酸素量を測定したところ5at%
あった。
【0057】このようにして得た耐熱部材に実施例1と
同一条件で熱処理を施した後、1023K で200MPaの応力下
でクリープ試験を行ったところ、 100時間保持しても破
断は見られなかった。また、この試料を切断して断面観
察を行ったところ、基材側から Nb-Co層、Al2 O3 層、
CoNiCrAlY層の順に存在していた。
【0058】また、本発明との比較例として、Co基超合
金FSX-414 からなる丸棒材料の表面に、減圧プラズマ溶
射法により直接同組成の CoNiCrAlY層を成膜した試料
に、上記実施例4と同一条件で熱処理を施した。この熱
処理後の試料のクリープ試験を同一条件下で行ったとこ
ろ、50時間経過の後に破断した。この試料を切断して断
面観察を行ったところ、界面近傍の基材内では強化相
(γ′相)の消失が認められた。
【0059】実施例5 Ni基超合金CM-247からなる丸棒材料の表面に、約 1Paの
酸素雰囲気中でEB−PVD法により厚さ 5μm の Zr-
Nb層を成膜した。次いで、同一チャンバ内で厚さ 130μ
m の NiCoCrAlY層(実施例1と同組成)を成膜して、金
属被覆層を形成した。さらにその上に、EB−PVD法
で Y2 O 3 安定化 ZrO2 層を 200μm の厚さで形成し
た。上記 Zr-Nb層中の酸素量を測定したところ 20at%で
あった。
【0060】このようにして得た耐熱部材に実施例1と
同一条件で熱処理を施した後、1173K で250MPaの応力下
でクリープ試験を行ったところ、 100時間保持しても破
断は見られなかった。また、この試料を切断して断面観
察を行ったところ、基材側から Zr-Nb層、Al2 O3 層、
NiCoCrAlY層の順に存在していた。
【0061】また、本発明との比較例として、Ni基超合
金CM-247からなる丸棒材料の表面に、EB−PVD法に
より直接同組成の NiCoCrAlY層を成膜し、さらにその上
に Y2 O3 安定化 ZrO2 層を形成した試料に、上記実施
例5と同一条件で熱処理を施した。この熱処理後の試料
のクリープ試験を同一条件下で行ったところ、90時間経
過の後に破断した。この試料を切断して断面観察を行っ
たところ、界面近傍の基材内では強化相(γ′相)の消
失が認められ、さらにCr-Wからなる脆弱な生成相が観察
された。
【0062】実施例6 Ni基超合金CM-247からなる丸棒材料の表面に、約 1Paの
酸素雰囲気中でEB−PVD法により厚さ 8μm の Ti-
Nb層を成膜した。次いで、同一チャンバ内で厚さ80μm
の NiCoCrAlY層(実施例1と同組成)を成膜して、金属
被覆層を形成した。さらにその上に、EB−PVD法で
Y2 O 3 安定化 ZrO2 層を 250μm の厚さで形成した。
上記 Ti-Nb層中の酸素量を測定したところ 10at%であっ
た。
【0063】このようにして得た耐熱部材に実施例1と
同一条件で熱処理を施した後、1173K で250MPaの応力下
でクリープ試験を行ったところ、 100時間保持しても破
断は見られなかった。また、この試料を切断して断面観
察を行ったところ、基材側から Ti-Nb-O層、 NiCoCrAlY
層の順に存在していた。
【0064】また、本発明との比較例として、Ni基超合
金CM-247からなる丸棒材料の表面に、EB−PVD法に
より直接同組成の NiCoCrAlY層を成膜し、さらにその上
に Y2 O3 安定化 ZrO2 層を形成した試料に、上記実施
例6と同一条件で熱処理を施した。この熱処理後の試料
のクリープ試験を同一条件下で行ったところ、90時間経
過の後に破断した。この試料を切断して断面観察を行っ
たところ、界面近傍の基材内では強化相(γ′相)の消
失が認められ、さらにCr-Wからなる脆弱な生成相が観察
された。
【0065】実施例7 Ni基超合金CM-247からなる丸棒材料の表面に、約10Paの
減圧大気中で減圧プラズマ溶射法により厚さ20μm のNb
-30at%Ni層を成膜した。この際の溶射雰囲気中の酸素分
圧は約 4Paである。次いで、同一チャンバ内で厚さ 100
μm のNiCoCrAlY 層(実施例1と同組成)を成膜した。
上記Nb-30at%Ni層中の酸素量を測定したところ5at%あっ
た。
【0066】このようにして得た耐熱部材に実施例1と
同一条件で熱処理を施した後、1123K で300MPaの応力下
でクリープ試験を行ったところ、 100時間保持しても破
断は見られなかった。また、この試料を切断して断面観
察を行ったところ、基材側から Nb-Ni-O層、Al2 O
3 層、 NiCoCrAlY層の順に存在していた。
【0067】また、本発明との比較例として、Ni基超合
金CM-247からなる丸棒材料の表面に、EB−PVD法に
より厚さ 2μm のAl2 O 3 層を成膜し、さらに実施例7
と同組成の NiCoCrAlY層を成膜した試料に、上記実施例
7と同一条件で熱処理を施した。この熱処理後の試料の
クリープ試験を同一条件下で行ったところ、80時間経過
の後に破断した。この試料を切断して断面観察を行った
ところ、Al2 O 3 層と基材との界面およびAl2 O 3 層と
NiCoCrAlY層との界面から剥離が生じており、この剥離
が破断の原因となっていることが分かった。
【0068】実施例8 Ni基超合金IN738 からなる基材を20×20× 3mmの寸法に
加工し、その表面にNi-10%Co-17%Al合金(重量%)を溶射
原料として用いて、減圧プラズマ溶射法で厚さ50μm の
拡散バリア層を形成した。次いで、この拡散バリア層上
に厚さ 150μmの NiCoCrAlY層(Ni-23%Co-17%Cr-12%Al-
0.5%Y(重量%))を、減圧プラズマ溶射法によって被覆形
成した。上記拡散バリア層は、体積率 71%のNi3 Al相を
有していた。また、基材中のNi3 Al相の体積率は 52%で
あった。
【0069】また、本発明との比較例として、上記実施
例8と同寸法に加工したNi基超合金IN738 からなる基材
表面に、上記実施例8と同組成の NiCoCrAlY層を厚さ 2
00μm で直接被覆形成した。
【0070】これらの各試料を 1173K× 5000hの大気中
酸化試験に暴露した。試験後、各試料の断面をSEMで
観察した結果、比較例の試料では表面から36μm の厚さ
で酸化物層が成長していたが、実施例8による試料では
13μm 程度であった。また、NiCoCrAlY層の組織を観察
したところ、十分なAl濃度がある初期状態ではいずれも
Niを主成分とするマトリックス相にNiAl相が析出した構
成であったが、熱処理後には、比較例の試料では熱処理
によりAlが基材側に拡散した結果、NiAl相は完全に消失
していた。−方、実施例8の試料では、 NiCoCrAlY層の
表面近傍では酸化物の生成によってAlが消費され、NiAl
相は消失していたが、表面から23μm 以上の内部は初期
と同様に、NiとNiAl相とから構成されており、本発明に
よる拡散バリア層が十分な拡散抑制効果を有することが
分かった。さらに、基材での異種相の厚さを測定したと
ころ、比較例の試料では 127μm であったのに対して、
実施例8の試料では23μm となっており、基材の強度低
下の抑止にも本発明による拡散バリア層が有効に寄与す
ることが分かった。
【0071】実施例9 Ni基超合金IN738 からなる基材を20×20× 3mmの寸法に
加工し、その表面にNi-10%Co-17%Al合金(重量%)を溶射
原料として用いて、減圧プラズマ溶射法で厚さ20μm の
拡散バリア層を形成した。次いでこの拡散バリア層上に
厚さ 100μm のNiCoCrAlY層(実施例8と同組成)を、
減圧プラズマ溶射法によって被覆形成した。さらに最表
面に ZrO2 -8wt%Y2 O 3 を 200μm 被覆形成した。基材
中のNi3Al相の体積率は 55%であり、拡散バリア層のNi
3 Al相の体積率は 74%であった。また、本発明との比較
例として、上記実施例9と同寸法に加工したNi基超合金
IN738 からなる基材表面に、上記実施例9と同組成の N
iCoCrAlY層を厚さ 100μm で直接被覆形成し、さらに最
表面に ZrO2 -8wt%Y2 O 3 を 200μm 被覆形成した。
【0072】これらの試料を 1173K× 5000hの大気中酸
化試験に暴露した。試験後、各試料の断面をSEΜで観
察した結果、比較例の試料では NiCoCrAlY層内部にセラ
ミックス層との界面から28μm の厚さで酸化物層が成長
していたが、実施例9の試料では 9μm 程度であった。
また、 NiCoCrAlY層の組織を観察したところ、十分なAl
濃度がある初期状態ではいずれもNiを主成分とするマト
リックス相にNiAl相が析出した構成であったが、熱処理
後には、比較例の試料ではAlが基材に拡散した結果、Ni
Al相は完全に消失していた。−方、実施例9の試料で
は、セラミックス層/NiCoCrAlY層の界面近傍では酸化物
の生成によりAlが消費され、NiAl相は消失していたが、
界面から13μm 以上内部では初期と同様に、NiとNiAl相
とから構成されており、本発明の拡散バリア層が十分な
拡散抑制効果を有することが分かった。さらに、基材で
の異種相の厚さを測定したところ、比較例では 108μm
であったが、実施例9では16μm となっており、基材の
強度低下の抑止にも本発明の拡散バリア層が有効に寄与
することが分かった。
【0073】実施例10 単結晶Ni基超合金CMSX-2からなる基材を20×20× 3mmの
寸法に加工し、その表面にNi-15%Al-17%Cr合金(重量%)
を溶射原料として用いて、減圧プラズマ溶射法で厚さ20
μm の拡散バリア層を形成した。次いで、 CoNiCrAlY層
(Co-32%Ni-21%Cr-8%Al-0.5%Y(重量%))を厚さ80μm で
被覆形成した。この試料に 1323K×16h+ 1123K×48h
の熱処理を施した。断面のSEΜ観察の結果、各被覆層
ともγ相(Ni固溶体)をマトリックスとして、β相(Ni
Al相)が析出していたが、このβ相の体積率は CoNiCrA
lY層では44% 、拡散バリア層では 69%であった。また基
材はγ相とγ′相(Ni3 Al相)から構成され、γ′相の
体積率は 52%であった。
【0074】また、本発明との比較例として、中間にNi
-Al-Cr層を形成しない以外は同一プロセスで試料を作製
した。この試料の各部における相構成は、 CoNiCrAlY層
がγ相マトリックス中に体積率 46%のβ相を有し、基材
はγ相中に体積率 56%のγ′相を有していた。
【0075】これら各試料を 1173K×5000h の静止大気
中酸化試験に供した。試験後、各試料の断面観察を行っ
た結果、比較例の試料では被覆層からβ相が完全に消失
し、表面酸化層も表面から37μm の厚さまで成長してい
た。これに対して、実施例10の試料では、 CoNiCrAlY
層内のβ相は拡散バリア層との界面から14μm までは消
失していたが、それ以外の部位では残存し、表面酸化物
層の厚さは 5μm 程度に抑制されていた。以上の結果か
ら、本発明の拡散バリア層が耐酸化性を長時間持続させ
る効果を有することが明かである。
【0076】実施例11 Ni基超合金IN-738LCからなる基材の表面に、その表面に
Ni-14%Al合金(重量%)を溶射原料として用いて、減圧プ
ラズマ溶射法で厚さ20μm の拡散バリア層を形成した。
次いで、 NiCoCrAlY層(実施例8と同一組成)を厚さ 1
20μm で被覆形成した。また、本発明との比較例とし
て、拡散バリア層を形成しない以外は同一構成の試料を
作製した。その後、これらの試料に 1393K×2h+ 1123K
×24h の熱処理を施した。
【0077】熱処理後、各試料の断面のSEM観察を行
い、各部位の相構成を調べた。その結果、実施例および
比較例共に基材はγ+γ′相からなり、γ′相の体積率
は実施例が 42%、比較例が 44%であった。また、 NiCoC
rAlY層はいずれの試料ともγ+β相から構成され、β相
の体積率は実施例が 51%、比較例が 49%であった。実施
例における拡散バリア層は、γ相をマトリックスとし、
体積率 73%のγ′相が析出した構成になっていた。
【0078】これら実施例および比較例による各試料を
1173K× 5000hの大気中酸化試験に供した。試験後、各
試料の断面をSEΜ観察した結果、比較例では NiCoCrA
lY層中のβ相は基材界面から 100μm まで完全に消失
し、また残部の体積率も 11%以下となっていた。この被
覆層の耐酸化性はAlの消失によって著しく低下し、表面
から12μm の厚さまで表面酸化膜が成長していた。これ
に対して、実施例による試料では、拡散バリア層から14
μm の厚さまではβ相が消失していたが、残部はβ相が
46%以上存在してしており、これらの耐酸化効果によっ
て表面酸化物層は3μm までしか成長していなかった。
以上の結果から、本発明の拡散防止層が耐酸化性の長時
間維持に効果を有することが分かった。
【0079】実施例12 Co基超合金FSX-414 からなる基材の表面に、Co-17%Cr-2
4%Al合金(重量%)を溶射原料として用いて、減圧プラズ
マ溶射法で厚さ23μm の拡散バリア層を形成した。次い
で、 CoNiCrAlY層(実施例10と同一組成)を厚さ 130
μm で被覆形成した。また、本発明との比較例として、
拡散バリア層を形成しない以外は同一構成の試料を作製
した。その後、これらの試料に 1423K×4h+1198K ×10
h +813K× 24hの熱処理を施した。これら各試料の断面
組織をSEΜにより観察して各層の構成を調べた結果、
CoNiCrAlY層は実施例および比較例共にγ相(Co固溶
体)マトリックスとβ相(CoAl相)とから構成され、β
相の体積率は実施例では 47%、比較例では 43%であっ
た。また、拡散バリア層もγ相とβ相とからなり、β相
の体積率は 72%であった。
【0080】これらの各試料を 1173K×5000h の静止大
気中酸化試験に供した結果、比較例の試料では CoNiCrA
lY層内のβ相が完全に消失し、表面酸化物層は25μm ま
で成長していた。−方、実施例の試料では CoNiCrAlY層
のβ相は拡散バリア層界面から17μm まで消失していた
が、残部は 38%以上存在しており、また表面酸化物層は
7μm までしか成長していなかった。
【0081】実施例13 単結晶Ni基超合金CMSX-2からなる基材の表面に、Ni-13%
Al合金(重量%)を溶射原料として用いて、減圧プラズマ
溶射法で厚さ23μm の拡散バリア層を形成した。次いで
NiCoCrAlY層(実施例8と同一組成)を厚さ 120μm で
被覆形成した。さらに、この表面に ZrO2 -8wt%Y2 O 3
層を大気プラズマ溶射法で厚さ 230μm被覆形成した。
また本発明との比較例として、拡散バリア層を形成しな
い以外は同一構成の試料(ただし、 NiCoCrAlY層を厚さ
は 130μm 、 ZrO2 -8wt%Y2 O 3層の厚さは 240μm と
した)を作製した。これら各試料の断面のSEΜ観察の
結果、 NiCoCrAlY層はγ相(Ni固溶体)とβ相(NiAl
相)とからなり、β相の体積率は実施例では 53%、比較
例では 50%であった。また基材はγ相とγ′相(Ni3Al
相)とからなり、γ′相の体積率は実施例では 61%、比
較例では 59%であった。拡散バリア層はγ相とγ′相か
ら構成され、γ′相の体積率は 87%であった。これら各
試料を 1173K×5000h の静止大気中酸化試験に供した。
試験後、断面のSEM観察を行った結果、比較例では N
iCoCrAlY層中のβ相が基材界面から90μm まで完全に消
失し、 ZrO2 層との界面から14μm の厚さまで酸化物層
が形成していた。これに対して実施例の試料では、 NiC
oCrAlY層内のβ相は拡散防止層界面から17μm までしか
消失せず、残部も19% 以上の体積率でβ相が残ってい
た。また ZrO2 層との界面側の酸化物層の厚さも 3μm
程度で、耐酸化性が格段に改善されていた。
【0082】実施例14 単結晶Ni基超合金CMSX-2からなる基材の表面に、 Ni-17
%Ti-5%Al合金(重量%)を溶射原料として用いて、減圧プ
ラズマ溶射法で厚さ25μm の拡散バリア層を形成した。
次いで、 NiCoCrAlY層(実施例8と同一組成)を厚さ 1
30μm で被覆形成した。さらに、その表面に ZrO2 -8wt
%Y2 O 3 層を大気プラズマ溶射法で厚さ210μm 被覆形
成した。また、本発明との比較例として、拡散バリア層
を形成しない以外は同一構成の試料を作製した。これら
各試料に 1323K×16h + 1123K×48h の熱処理を施した
後、断面のSEΜ観察を行った結果、基材はγ相(Ni固
溶体)とγ′相(Ni3 Al)からなり、γ′相の体積率は
実施例では 55%、比較例では 54%であった。また、 NiC
oCrAlY層はγ相とβ相とからなり、β相の体積率は実施
例では 43%、比較例では 46%であった。さらに、拡散バ
リア層はγ相とη相(Ni3 Ti相)からなり、η相の体積
率は 74%であった。
【0083】これらの各試料を 1173K×5000h の静止大
気中酸化試験に供した。試験後、断面のSEM観察を行
った結果、比較例の試料では NiCoCrAlY層中のβ相は完
全に消失し、 ZrO2 層との界面に19μm の酸化物層が形
成していたのに対し、実施例の試料では NiCoCrAlY層中
のβ相は拡散バリア層界面から13μm までは消失してい
たが、それ以外の部位では 12%以上残存しており、さら
に ZrO2 層との界面側の酸化物層の厚さも 4μm 程度で
あった。以上の結果から、本発明が耐酸化性の維持に効
果を有することが明らかとなった。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の耐熱部材
によれば、耐食・耐酸化性を長時間維持し、かつ基材の
高温強度の低下が抑制できると共に、各層間の剥離等も
防止できることから、耐熱部材の信頼性と寿命を格段に
向上させることが可能となる。従って、例えばガスター
ビン翼のように熱応力と酸化、さらには腐食が重畳して
作用するような環境下であっても、優れた耐食・耐酸化
性ならびに高温強度を長時間にわたって維持することが
可能な耐熱部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の耐熱部材の一実施形態を示す
断面図である。
【図2】 図1に示す耐熱部材の熱処理語の状態または
実使用状態を示す断面図である。
【図3】 図1に示す耐熱部材にセラミックス層を被覆
形成した状態を示す断面図である。
【図4】 本発明の第2の耐熱部材の一実施形態を示す
断面図である。
【図5】 図4に示す耐熱部材にセラミックス層を被覆
形成した状態を示す断面図である。
【符号の説明】 1、11……金属基材 2……酸素や窒素を固溶する金属層 3、13…… M-Cr-Al-Y合金層 4、7、14、16……耐熱部材 5……Al等の酸化物または窒化物 12……拡散バリア層 15……セラミックス層
フロントページの続き (72)発明者 稲垣 浩貴 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも
    1種の元素を主成分とする合金からなる基材と、前記基
    材表面に拡散バリア層を介して被覆形成された M-Cr-Al
    -Y合金層(ただし、 MはNi、CoおよびFeから選ばれる少
    なくとも 1種の元素を示す)とを具備する耐熱部材にお
    いて、 前記拡散バリア層は、Ti、Zr、Hf、 V、TaおよびNbから
    選ばれる少なくとも 1種の金属を主成分とし、酸素およ
    び窒素から選ばれる少なくとも 1種が固溶した金属層を
    有することを特徴とする耐熱部材。
  2. 【請求項2】 Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも
    1種の元素を主成分とする合金からなる基材と、前記基
    材表面に拡散バリア層を介して被覆形成された M-Cr-Al
    -Y合金層(ただし、 MはNi、CoおよびFeから選ばれる少
    なくとも 1種の元素を示す)とを具備する耐熱部材にお
    いて、 前記拡散バリア層は、Ti、Zr、Hf、 V、TaおよびNbから
    選ばれる少なくとも 1種の元素とNi、CoおよびFeから選
    ばれる少なくとも 1種の元素との合金を主成分とし、酸
    素および窒素から選ばれる少なくとも 1種が固溶した金
    属層を有することを特徴とする耐熱部材。
  3. 【請求項3】 Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも
    1種の元素を主成分とする合金からなる基材と、前記基
    材表面に拡散バリア層を介して被覆形成された M-Cr-Al
    -Y合金層(ただし、 MはNi、CoおよびFeから選ばれる少
    なくとも 1種の元素を示す)とを具備する耐熱部材にお
    いて、 前記拡散バリア層は、Ni、CoおよびFeから選ばれる少な
    くとも 1種の元素を主成分とするマトリックス相中に、
    Ma (A1-x Bx 1-a 相(ただし、 MはNi、CoおよびFe
    から選ばれる少なくとも 1種の元素を、 AはAl、Ti、Nb
    およびTaから選ばれる少なくとも 1種の元素を、 BはC
    r、Mo、 W、Hf、Reおよび Yから選ばれる少なくとも 1
    種の元素を示し、 aおよび xは 0.3≦ a≦ 0.8、 0≦ x
    < 0.5である)が析出した材料からなり、かつ前記 Ma
    (A1-x Bx 1-a )相の析出量(体積率)が前記基材中
    の析出相の体積率より多いことを特徴とする耐熱部材。
  4. 【請求項4】 請求項1、請求項2または請求項3記載
    の耐熱部材において、さらに、前記 M-Cr-Al-Y合金層表
    面に被覆形成されたセラミックス層を有することを特徴
    とする耐熱部材。
  5. 【請求項5】 Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも
    1種の元素を主成分とする合金からなる基材表面に、T
    i、Zr、Hf、 V、TaおよびNbから選ばれる少なくとも 1
    種の元素を含有する金属層を、酸素分圧または窒素分圧
    が 0.1〜 1×104 Paの雰囲気中で成膜する工程と、 前記金属層上に、 M-Cr-Al-Y合金層(ただし、 MはNi、
    CoおよびFeから選ばれる少なくとも 1種の元素を示す)
    を、 1×104 Pa以下の減圧雰囲気中で成膜する工程とを
    有することを特徴とする耐熱部材の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7257352B2 (en) 2002-08-20 2007-08-14 Fuji Xerox Co., Ltd. Image forming device and image forming method
JP2019100207A (ja) * 2017-11-29 2019-06-24 株式会社デンソー 燃料噴射弁
CN113699485A (zh) * 2021-08-26 2021-11-26 沈阳理工大学 一种高熵氧化物扩散障薄膜及其制备工艺和应用

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