JP7417333B1 - リチウム含有複合酸化物製造用部材およびその製造方法ならびにリチウム含有複合酸化物製造用焼成炉 - Google Patents

リチウム含有複合酸化物製造用部材およびその製造方法ならびにリチウム含有複合酸化物製造用焼成炉 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウム含有複合酸化物の合成反応に対して優れた耐腐食性を得ることができ、しかも昇温・降温の温度追従性および温度の均一性に優れた、匣鉢などの各種の容器や関連部材などを含むリチウム含有複合酸化物製造用部材およびその製造方法を提供する。【解決手段】リチウム含有複合酸化物製造用部材(10)は、金属または合金からなる基材(11)と、基材(11)の少なくともリチウム含有複合酸化物の原料の粉体が接触する表面に設けられた、少なくともアルミニウムおよびニッケルとレニウムおよびコバルトのうちの少なくとも一種の金属とを含有し、Al濃度の最大値が60原子%以上100原子%未満であるコーティング皮膜(12)とを有する。基材(11)はニッケル、ニッケル基合金、鉄基合金等である。【選択図】図1B

Description

この発明は、リチウム含有複合酸化物製造用部材およびその製造方法ならびにリチウム含有複合酸化物製造用焼成炉に関し、例えば、リチウムイオン二次電池の正極活物質の製造に適用して好適なものである。
リチウムイオン二次電池の正極活物質には、リチウム含有複合酸化物(例えば、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、等のリチウム遷移金属複合酸化物)が使用されている。この正極活物質は原料粉末を容器に入れて焼成することによって製造されている。
正極活物質を焼成するための容器にはセラミックス製匣鉢が広く使用されている(例えば、特許文献1~3参照)。このセラミックス製匣鉢に原料粉末が投入され、焼成炉に入れられて加熱されることにより焼成が行われる。
焼成炉の炉内雰囲気は粉末の種類に応じて様々であるが、加熱手段としては抵抗加熱ヒータが広く用いられている。抵抗加熱ヒータは炉の天井等に設置され、匣鉢および原料粉末を輻射加熱する。また炉内雰囲気も加熱されるため、炉内で対流加熱も行われる。
セラミックス製匣鉢内の粉体層の厚さは50~100mm程度とするのが普通であり、加熱は主としてその表層部から行われる。セラミックス製匣鉢の熱伝導率は小さく、しかも、これらの粉体もまた熱伝導率はあまり大きくない。このため、セラミックス製匣鉢内の表層部の粉体は昇温し易いが内部の粉体は昇温が遅くなり、昇温工程において不可避的に温度差が発生する。表層部の粉体は比較的長時間にわたり最高温度に保持されるのに対して、内部の粉体は最高温度に保持される時間が短くなるため、固相反応の進行状況にバラツキが生ずる。
正極活物質の焼成を行おうとする場合、セラミックス製のルツボ、匣鉢などの容器を用いる場合、ルツボまたは匣鉢は、熱衝撃性が低いため、繰り返し使用することによりルツボまたは匣鉢が劣化して破損するという問題がある。
また、例えば、水酸化リチウムとニッケル複合酸化物を原料として用いたリチウムニッケル複合酸化物の合成において、水酸化リチウムとニッケル複合酸化物との反応は、450℃付近から開始する。セラミック製匣鉢の底部へ十分な酸素拡散が行われない場合、未反応の溶融した水酸化リチウムが残留することがある。残留した水酸化リチウムは、例えば、炭酸ガスと反応して炭酸リチウム(Li2 CO3 )が生じる。炭酸リチウムが生成された場合、電池の使用時において高温時にこの炭酸リチウム起因のガスが発生して、電池を膨張させる問題に発展することがある。
また、リチウムニッケル複合酸化物の合成反応においては、さらに昇温して650℃に到達した時点で、未反応の水酸化リチウムとニッケル複合酸化物が存在し、かつ、酸素が不足している場合は、例えばLi2 Ni8 10のような異相を生成する副反応が起こり、生成したリチウムニッケル複合酸化物結晶中に、電池反応時にリチウムイオンの移動を妨げるこれら異相が生じ、電池性能の劣化を招くことがある。
優れた電池特性を有する正極活物質を得ることを目的として、これまで、リチウム金属複合酸化物の焼成による合成条件について、多数の提案がなされている
リチウム含有複合酸化物の合成反応において、匣鉢内部の昇温・降温の温度追従性および温度の均一性に優れた、金属・合金製の匣鉢と関連の部材が望ましいが、耐腐食性に劣ることから、現在、実用に供されていない。
このような背景の下、最近、少なくともリチウム正極材の粉体と接触する表面が、アルミニウムの含有量が1重量%以上10重量%以下のニッケル基合金により形成された匣鉢が提案されている(特許文献4参照)。
特許第3552210号明細書 特開2003-165767号公報 特開2015-218098号公報 特許第7090784号明細書
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献4で提案された匣鉢では、ニッケル基合金のアルミニウムの含有量が1重量%以上10重量%以下と低いことから、使用時に保護的なアルミナが形成されないため耐腐食性が劣り、ニッケル基合金に含まれるCrが酸化されてしまい、ひいてはリチウムイオン二次電池の充放電特性に悪影響が生じるという欠点がある。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、リチウム含有複合酸化物の合成反応に対して優れた耐腐食性を得ることができ、しかも昇温・降温の温度追従性および温度の均一性に優れた、匣鉢などの各種の容器や関連部材などを含むリチウム含有複合酸化物製造用部材およびその製造方法を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、リチウム含有複合酸化物の原料の粉体の焼成を行う際に優れた耐腐食性を得ることができ、しかも昇温・降温の温度追従性および温度の均一性に優れたリチウム含有複合酸化物製造用焼成炉を提供することである。
上記課題を解決するために、この発明は、
金属または合金からなる基材と、
上記基材の少なくともリチウム(Li)含有複合酸化物の原料の粉体が接触する表面に設けられた、少なくともアルミニウム(Al)およびニッケル(Ni)とレニウム(Re)およびコバルト(Co)のうちの少なくとも一種の金属とを含有し、Al濃度の最大値が60原子%以上100原子%未満であるコーティング皮膜と、
を有するリチウム含有複合酸化物製造用部材である。
基材を構成する金属または合金は、Li含有複合酸化物の原料の粉体の焼成温度に加熱しても機械的強度が失われることがない限り特に限定されず、必要に応じて選ばれるが、例えば、Ni、Ni基合金、鉄(Fe)基合金、等である。このうち、Ni基合金は、例えば、MA47P(Ni-2Cr-4Al-1.5Si-0.5Mn)、インコネル、ハステロイ、Alloy-X、等である。また、Fe基合金は、例えば、ステンレス鋼(SUS304、SUS310、等)である。基材の形状はLi含有複合酸化物製造用部材の用途に応じて選ばれる。Li含有複合酸化物製造用部材が匣鉢、等の容器である場合には例えば碗状の形状を有し、当該容器の内面にコーティング皮膜が設けられる。Li含有複合酸化物製造用部材が管である場合には円管、角管状、等であり、当該管の外面および内面にコーティング皮膜が設けられる。Li含有複合酸化物製造用部材が棒である場合には角棒、丸棒、等であり、当該棒の外面にコーティング皮膜が設けられる。
コーティング皮膜のAl濃度の最大値が60原子%以上100原子%未満であることにより、Li含有複合酸化物製造用部材の表面に長期間に亘って保護的アルミナ(Al2 3 )を維持し続けることができ、耐腐食性を得ることができる。コーティング皮膜のAl濃度の最大値は、好適には、70原子%以上100原子%未満である。コーティング皮膜のAl濃度の最大値は、典型的には、81原子%以下である。コーティング皮膜は、必要に応じて、さらにタングステン(W)、モリブデン(Mo)およびニオブ(Nb)からなる群より選ばれた少なくとも一種の金属を含有する。コーティング皮膜には不可避的に混入する他の金属が含有されることもある。
コーティング皮膜は単層または複数の層からなる。コーティング皮膜中では、Al、Ni、ReおよびCoは、例えば、Ni-AlのNiの一部がRe、Coで置換されたNi(Re、Co)-Al、Ni-AlのNiの一部がReで置換されたNi(Re)-Al、Co-AlのCoの一部がNi、Reで置換されたCo(Ni、Re)-Al、Co-AlのCoの一部がNiで置換されたCo(Ni)-Al、Ni-Al、Re-Al、Co-Al等の各種合金として存在する。コーティング皮膜中にはAl、Ni、ReおよびCo以外の金属が含まれる場合もあり、この場合、これらの合金にはこれらの金属の一種または二種類以上が含まれることがある。コーティング皮膜が複数の層からなる場合、典型的には、各層にはこれらの合金の一種が含まれる。
また、この発明は、
金属または合金からなる基材上に少なくともニッケル(Ni)とレニウム(Re)およびコバルト(Co)のうちの少なくとも一種の金属とを含有する原料皮膜を形成する工程と、
上記原料皮膜を形成した上記基材に対してアルミニウム(Al)拡散処理を行うことにより少なくともアルミニウム(Al)およびニッケル(Ni)とレニウム(Re)およびコバルト(Co)のうちの少なくとも一方の金属とを含有し、アルミニウム(Al)濃度の最大値が60原子%以上100原子%未満であるコーティング皮膜を形成する工程と、
を有するリチウム含有複合酸化物製造用部材の製造方法である。
原料皮膜は、NiとReおよびCoのうちの少なくとも一種の金属とに加えて、W、MoおよびNbからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属を含有することもあり、場合によってはAlを含有することもある。必要に応じて、原料皮膜の形成を複数回に分けて行ってもよい。この場合、最終的に得られる原料皮膜全体としてNiとReおよびCoのうちの少なくとも一種の金属とを含有すればよく、各原料皮膜がそれらの全てを含有しなくてもよい。原料皮膜を形成する方法は特に限定されず、必要に応じて選択されるが、例えば、めっき法(電気めっき法)、溶射法、電子ビーム真空蒸着法、等が用いられる。
Al拡散処理は、例えば、原料皮膜を形成した基材を、Alを含む粉末(例えば、Al粉末、等)とNH4 Cl粉末とAl2 3 粉末とを含む混合粉末に埋没させ、不活性ガス雰囲気、好適にはアルゴン(Ar)+3vol%水素(H2 )雰囲気中において950℃以上1150℃以下の温度で1時間以上10時間以下加熱することにより行う。
必要に応じて、原料皮膜を形成した後、Al拡散処理を行う前に、原料皮膜を形成した基材の熱処理が行われる。この熱処理により原料皮膜を構成する金属が拡散し、均質化される。この熱処理の温度および時間は必要に応じて選ばれるが、温度は例えば950℃以上1150℃以下、時間は例えば30分以上20時間以下、典型的には1時間以上10時間以下である。この熱処理は好適には上記と同様な不活性ガス雰囲気中で行われる。この熱処理は、典型的には、原料皮膜を形成した基材を例えばCr粉末またはAl粉末とAl2 3 粉末との混合粉末に埋没させ、上記と同様な不活性ガス雰囲気中で加熱することにより行う。原料皮膜の形成を複数回に分けて行う場合、例えば、1回目の原料皮膜の形成後に熱処理を行い、その後に2回目の原料皮膜の形成を行って目的とする原料皮膜を形成するようにしてもよい。また、必要に応じて、1回目の原料皮膜の形成後にCr拡散処理を行い、その後に2回目の原料皮膜の形成を行って目的とする原料皮膜を形成するようにしてもよい。Cr拡散処理は、例えば、原料皮膜を形成した基材を、NiおよびCrを含む粉末とNH4 Cl粉末とAl2 3 粉末とを含む混合粉末に埋没させ、上記と同様な不活性ガス雰囲気中において950℃以上1150℃以下の温度で1時間以上10時間以下加熱することにより行う。
この発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、上記のLi含有複合酸化物製造用部材の発明に関連して説明したことが成立する。
また、この発明は、
金属または合金からなる基材と、
上記基材の少なくともリチウム(Li)含有複合酸化物の原料の粉体の焼成時に発生する物質が接触する表面に設けられた、少なくともアルミニウム(Al)およびニッケル(Ni)とレニウム(Re)およびコバルト(Co)のうちの少なくとも一種の金属とを含有し、アルミニウム(Al)濃度の最大値が60原子%以上100原子%未満であるコーティング皮膜と、
を有するリチウム含有複合酸化物製造用焼成炉である。
基材には焼成炉内の各種構造部材で用いられるあらゆる基材が含まれ、例えば、天井を含む炉壁、支柱、構造材、等が含まれる。この発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、上記のLi含有複合酸化物製造用部材の発明に関連して説明したことが成立する。
この発明によれば、金属または合金からなる基材の少なくともリチウム含有複合酸化物の原料の粉体が接触する表面に、少なくともAlおよびNiとReおよびCoのうちの少なくとも一種の金属とを含有し、Al濃度の最大値が60原子%以上100原子%未満であるコーティング皮膜が設けられていることにより、リチウム含有複合酸化物の原料の粉体の焼成を行う際に優れた耐腐食性を得ることができ、しかも基材が熱伝導性に優れた金属または合金からなり、コーティング皮膜も同様に熱伝導性に優れた合金からなるため焼成を行う際に粉体の昇温・降温の温度追従性および温度の均一性に優れた各種のリチウム含有複合酸化物製造用部材を実現することができる。また、金属または合金からなる基材の少なくともリチウム含有複合酸化物の原料の粉体の焼成時に発生する物質が接触する表面に、少なくともAlおよびNiとReおよびCoのうちの少なくとも一種の金属とを含有し、Al濃度の最大値が60原子%以上100原子%未満であるコーティング皮膜が設けられていることにより、リチウム含有複合酸化物の原料の粉体の焼成を行う際に優れた耐腐食性を得ることができ、しかも焼成を行う際に昇温・降温の温度追従性および温度の均一性に優れたリチウム含有複合酸化物製造用焼成炉を実現することができる。
この発明の第1の実施の形態によるLi含有複合酸化物製造用容器を示す平面図である。 この発明の第1の実施の形態によるLi含有複合酸化物製造用容器を示す断面図である。 この発明の第1の実施の形態によるLi含有複合酸化物製造用容器の使用方法を説明するための平面図である。 この発明の第1の実施の形態によるLi含有複合酸化物製造用容器の使用方法を説明するための断面図である。 この発明の第2の実施の形態によるLi含有複合酸化物製造用管を示す平面図である。 この発明の第2の実施の形態によるLi含有複合酸化物製造用管を示す断面図である。 この発明の第2の実施の形態によるLi含有複合酸化物製造用管の使用方法を説明するための断面図である。 この発明の第3の実施の形態によるLi含有複合酸化物製造用棒を示す平面図である。 この発明の第3の実施の形態によるLi含有複合酸化物製造用棒を示す断面図である。 この発明の第3の実施の形態によるLi含有複合酸化物製造用棒の使用方法を説明するための断面図である。 実施例1のNi基材のAl拡散処理後の断面組織を示す図面代用写真である。 図7Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例1のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に20時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図8Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 図8Aに示すNi基材の一部を拡大して示す図面代用写真である。 図9Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例1のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に40時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図10Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 図10Aに示すNi基材の一部を拡大して示す図面代用写真である。 図11Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例1のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に80時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図12Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例1のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に100時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図13Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例1のNi基材のコーティング皮膜のAl濃度および厚さと溶融Li2 CO3 中の浸漬時間との関係を示す略線図である。 実施例1のNi基材のコーティング皮膜の各元素の濃度と溶融Li2 CO3 中の浸漬時間との関係を示す略線図である。 実施例2のNi基材のAl拡散処理後の断面組織を示す図面代用写真である。 図16Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例2のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に20時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図17Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 図17Aに示すNi基材の一部を拡大して示す図面代用写真である。 図18Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例2のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に40時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図19Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例2のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に80時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図20Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例2のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に100時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図21Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例2のNi基材のコーティング皮膜のAl濃度および厚さと溶融Li2 CO3 中の浸漬時間との関係を示す略線図である。 実施例2のNi基材のコーティング皮膜の各元素の濃度と溶融Li2 CO3 中の浸漬時間との関係を示す略線図である。 実施例3のNi基材のAl拡散処理後の断面組織を示す図面代用写真である。 図24Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例3のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に20時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図25Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 図25Aに示すNi基材の一部を拡大して示す図面代用写真である。 図26Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例4のNi基材のAl拡散処理後の断面組織を示す図面代用写真である。 図27Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例4のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に20時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図28Aに示すNi基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例5のSUS304基材のAl拡散処理後の断面組織を示す図面代用写真である。 図29Aに示すSUS304基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例5のSUS304基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に40時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図30Aに示すSUS304基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 図30Aに示すSUS304基材の一部を拡大して示す図面代用写真である。 図31Aに示すSUS304基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例6のSUS304基材のAl拡散処理後の断面組織を示す図面代用写真である。 図32Aに示すSUS304基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例6のSUS304基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に20時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図33Aに示すSUS304基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 図33Aに示すSUS304基材の一部を拡大して示す図面代用写真である。 図34Aに示すSUS304基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例7のSUS310基材のAl拡散処理後の断面組織を示す図面代用写真である。 図35Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例7のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に20時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図36Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 図36Aに示すSUS310基材の一部を拡大して示す図面代用写真である。 図37Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例8のSUS310基材のAl拡散処理後の断面組織を示す図面代用写真である。 図38Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例8のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に20時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図39Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例9のSUS310基材のAl拡散処理後の断面組織を示す図面代用写真である。 図40Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例9のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に20時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図41Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 図41Aに示すSUS310基材の一部を拡大して示す図面代用写真である。 実施例10のSUS310基材のAl拡散処理後の断面組織を示す図面代用写真である。 図43Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例10のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に20時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図44Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 図44Aに示すSUS310基材の一部を拡大して示す図面代用写真である。 実施例11のSUS310基材のAl拡散処理後の断面組織を示す図面代用写真である。 図46Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例11のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に20時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図47Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 図47Aに示すSUS310基材の一部を拡大して示す図面代用写真である。 図48Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例12のSUS310基材のAl拡散処理後の断面組織を示す図面代用写真である。 図49Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例12のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に20時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図50Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 図50Aに示すSUS310基材の一部を拡大して示す図面代用写真である。 図51Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例13のSUS310基材のAl拡散処理後の断面組織を示す図面代用写真である。 図52Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例13のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に20時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図53Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 図53Aに示すSUS310基材の一部を拡大して示す図面代用写真である。 図54Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例14のSUS310基材のAl拡散処理後の断面組織を示す図面代用写真である。 図55Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例14のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に20時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図56Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 図56Aに示すSUS310基材の一部を拡大して示す図面代用写真である。 図57Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例15のSUS310基材のAl拡散処理後の断面組織を示す図面代用写真である。 図58Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例15のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に20時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図59Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例15のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に60時間浸漬した後の断面組織を示す図面代用写真である。 図60Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 図60Aに示すSUS310基材の一部を拡大して示す図面代用写真である。 図61Aに示すSUS310基材の断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。
以下、発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」という。)について説明する。
〈第1の実施の形態〉
[Li含有複合酸化物製造用容器]
図1Aおよび図1Bは第1の実施の形態によるLi含有複合酸化物製造用容器10(以下、必要に応じて「容器10」という)を示し、図1Aは平面図、図1Bは断面図(縦断面図)である。この容器10は、リチウムイオン二次電池の正極活物質に用いられるリチウム含有複合酸化物の原料の粉体の焼成を行うのに用いられる。図1Aおよび図1Bに示すように、この容器10は、金属または合金からなり、底面が平坦な碗状の基材11の内面全体にコーティング皮膜12が設けられている。基材11の平坦な底面と内側面との境界部は丸みが付いており、これを反映してコーティング皮膜12にも同じ位置に丸みが付いている。こうすることで、容器10に入れられるリチウム含有複合酸化物の原料の粉体を場所によらず均一に加熱して焼成を行うことができる。コーティング皮膜12は、少なくともAlおよびNiとReおよびCoのうちの少なくとも一種の金属とを含有し、Al濃度の最大値は60原子%以上、好適には70原子%以上、典型的には81原子%以下である。コーティング皮膜12は、上述のように、Ni(Re,Co)-Al等の各種の合金により構成されている。必要に応じて、コーティング皮膜12を容器10の内面だけでなく、外面に設けてもよい。あるいは、容器10の内面にだけコーティング皮膜12を設け、外面には例えばAl濃度が20原子%以上のAl含有合金からなるコーティング皮膜を設けてもよい。
基材10は必要に応じて選ばれ、例えば、既に挙げたものの中から選ばれるが、具体的には、例えば、Ni、Ni基合金、Fe基合金、等からなるものである。Ni基合金は、例えばAlloy-X等である。Fe基合金は各種のステンレス鋼、例えばSUS304、SUS310、等である。
[Li含有複合酸化物製造用容器の使用方法]
図2Aおよび図2Bに示すように、容器10内にLi含有複合酸化物の原料の粉体20を充填した後、図示省略した焼成炉内に入れ、図示省略した加熱手段により高温に加熱して焼成を行う。こうして、目的とするLi含有複合酸化物が製造される。
[Li含有複合酸化物製造用容器の製造方法]
この容器10の製造方法について説明する。
(1)製造方法1
まず、めっき法、溶射法、電子ビーム真空蒸着法、等により基材11の内面に少なくともNiとReおよびCoのうちの少なくとも一種の金属とを含有する原料皮膜を形成する。原料皮膜は、必要に応じて、複数回、例えば二回に分けて行ってもよい。この場合、複数層の原料皮膜全体が少なくともNiとReおよびCoのうちの少なくとも一種の金属とを含有すればよい。
次に、こうして原料皮膜を形成した基材11に対してAl拡散処理(Alパック)を行うことにより、図1Aおよび図1Bに示すように、基材11の内表面にコーティング皮膜12が形成される。こうして、容器10が製造される。Al拡散処理は上述の方法により行う。
(2)製造方法2
まず、製造方法1と同様に、基材11の内面に少なくともNiとReおよびCoのうちの少なくとも一種の金属とを含有する原料皮膜を形成する。原料皮膜は、必要に応じて、複数回、例えば二回に分けて行ってもよい。この場合、複数層の原料皮膜全体が少なくともNiとReおよびCoのうちの少なくとも一種の金属とを含有すればよい。
次に、こうして原料皮膜を形成した基材11に対して熱処理を行うことにより原料皮膜を均質化する。熱処理は上述の方法により行う。
次に、こうして熱処理を行った基材11に対してAl拡散処理を行うことにより、基材11の内面にコーティング皮膜12を形成する。こうして、容器10が製造される。
(3)製造方法3
まず、製造方法1と同様に、基材11の内面に少なくともNiとReおよびCoのうちの少なくとも一種の金属とを含有する一層目の原料皮膜を形成する。
次に、こうして一層目の原料皮膜を形成した基材11に対して熱処理を行うことにより原料皮膜を均質化する。熱処理は上述の方法により行う。
次に、こうして熱処理を行った一層目の原料皮膜上に二層目の原料皮膜を形成する。
この後、こうして二層目の原料皮膜を形成した基材11に対してAl拡散処理を行うことにより、基材11の内面にコーティング皮膜12を形成する。こうして、容器10が製造される。
(4)製造方法4
まず、製造方法1と同様に、基材11の内面に少なくともNiとReおよびCoのうちの少なくとも一種の金属とを含有する一層目の原料皮膜を形成する。
次に、こうして一層目の原料皮膜を形成した基材11に対してCr拡散処理(Crパック)を行う。Cr拡散処理は上述の方法により行う。
次に、こうしてCr拡散処理を行った一層目の原料皮膜上に二層目の原料皮膜を形成する。
この後、こうして二層目の原料皮膜を形成した基材11に対してAl拡散処理を行うことにより、基材11の内面にコーティング皮膜12を形成する。こうして、容器10が製造される。
以上のように、第1の実施の形態によれば、Ni、Ni基合金、Fe基合金、等の金属または合金からなる基材11の内面全体に、少なくともAlおよびNiとReおよびCoのうちの少なくとも一種の金属とを含有し、Al濃度の最大値が60原子%以上のコーティング皮膜12を設けることによりLi含有複合酸化物製造用容器10が構成されている。このため、リチウム含有複合酸化物の原料の粉体の焼成を行う際に優れた耐腐食性を得ることができ、しかも基材11が熱伝導性に優れた金属または合金からなり、コーティング皮膜12も同様に熱伝導性に優れた合金からなるため焼成を行う際に粉体の昇温・降温の温度追従性および温度の均一性に優れたリチウム含有複合酸化物製造用容器12を実現することができる。
〈第2の実施の形態〉
[Li含有複合酸化物製造用管]
図3Aおよび図3Bは第2の実施の形態によるLi含有複合酸化物製造用管30(以下、必要に応じて「管30」という)を示し、図3Aは平面図、図3Bは断面図(縦断面図)である。この管30は、第1の実施の形態による容器10とともに用いられる関連部材である。図3Aおよび図3Bに示すように、この管10では、金属または合金からなる円管状の基材31の外面および内面全体に加えて下端面にコーティング皮膜32が設けられている。コーティング皮膜32はコーティング皮膜12と同様である。基材31も形状を除いて基材10と同様である。
[Li含有複合酸化物製造用管の使用方法]
図4に示すように、容器10内にLi含有複合酸化物の原料の粉体20が投入され、この粉体20の内部に管30が挿入された状態で焼成が行われ、目的とするLi含有複合酸化物が製造される。この場合、焼成時の反応副産物として発生する二酸化炭素(CO2 )が管30を通して容器10の外部に効率的に排出される。
[Li含有複合酸化物製造用管の製造方法]
この管30の製造方法は、基本的には容器10の製造方法と同様である。
第2の実施の形態によれば、リチウム含有複合酸化物の原料の粉体の焼成を行う際に優れた耐腐食性を得ることができ、しかも焼成を行う際に粉体の昇温・降温の温度追従性および温度の均一性に優れたリチウム含有複合酸化物製造用管30を実現することができる。
〈第3の実施の形態〉
[Li含有複合酸化物製造用棒]
図5Aおよび図5Bは第3の実施の形態によるLi含有複合酸化物製造用棒40(以下、必要に応じて「棒40」という)を示し、図5Aは平面図、図5Bは断面図(縦断面図)である。この棒40は、第1の実施の形態による容器10とともに用いられる関連部材である。図5Aおよび図5Bに示すように、この棒40では、金属または合金からなる丸棒状の基材41の外面全体にコーティング皮膜42が設けられている。コーティング皮膜42はコーティング皮膜12と同様である。基材41も形状を除いて基材11と同様である。
[Li含有複合酸化物製造用管の使用方法]
図6に示すように、容器10内にLi含有複合酸化物の原料の粉体20が投入され、この粉体20の内部に棒40が挿入された状態で焼成が行われ、目的とするLi含有複合酸化物が製造される。一般的には、棒40に加えて管30も粉体20に挿入されて使用される。
第3の実施の形態によれば、リチウム含有複合酸化物の原料の粉体の焼成を行う際に優れた耐腐食性を得ることができ、しかも焼成を行う際に粉体の昇温・降温の温度追従性および温度の均一性に優れたリチウム含有複合酸化物製造用棒40を実現することができる。
実施例について説明する。
以下の実施例1~15では次の三種類の基材を用いた。各基材の公称組成(質量%)を示す。
(1)Ni基材
(2)SUS304基材
(3)SUS310基材
各基材の公称組成(質量%)は次の通りである。
(1)Ni基材
C Si Mn Cr Ni Fe Cu Al
0.02以下 0.35以下 0.35以下 none 99以上 0.40以下 0.25以下 none
(2)SUS304基材
C Si Mn Cr Ni Fe Cu Al
0.08以下 1.5 以下 2.0 以下 24.00-26.00 19.00-22.00 残 none none
(3)SUS310基材
C Si Mn Cr Ni Fe Cu Al
0.08以下 1.0 以下 2.0 以下 18.00-20.00 8.00-10.50 残 none none
(実施例1)
Ni基材を用い、製造方法2によりコーティング皮膜を形成した。
まず、Ni基材の表面を平滑研磨し、脱脂を行った後、その表面にめっき法によりNiストライク膜、Re(Ni)膜およびCoを20質量%含有するCo含有Re(Ni)膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは電流密度0.5A/cm2 で1分行い、めっき液の組成は0.1原子%Co、99.9原子%Niであった。Re(Ni)膜のめっきは電流密度60mA/cm2 で60分行い、めっき液の組成は0.2原子%Co、59.2原子%Ni、40.3原子%Reであった。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度60mA/cm2 で90分行い、めっき液の組成は10.5原子%Co、60.7原子%Ni、28.5原子%Reであった。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したNi基材に対して熱処理を行った。熱処理は、めっき皮膜を形成したNi基材を10gのCr粉末と100gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1100℃で2時間加熱することにより行った。
次に、こうして熱処理を行ったNi基材に対してAl拡散処理を行った。Al拡散処理は、熱処理を行ったNi基材を8gのAl粉末と2gのNH4 Cl粉末と100gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1100℃で2時間加熱することにより行った。
Al拡散処理後のNi基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定をSEM-EDX装置(走査型電子顕微鏡-エネルギー分散分光装置)で行った。図7Aおよび図7Bにそれぞれ断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図7Aに示す写真の分析線LG4に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図7Aおよび図7Bより、Ni基材上にNi(Re,Co)-Alからなるコーティング皮膜が形成されていることが分かる。このコーティング皮膜のAl濃度の最大値は約77原子%であり、Ni基材側の部分を除き厚さ方向の大半の部分でAl濃度が60原子%以上となっている。このような高いAl濃度が得られるのはコーティング皮膜がRe、Coを含有することによる。このコーティング皮膜のNi基材側の部分にはReが濃化しており、この部分は拡散バリア層となる。
Al拡散処理後のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に浸漬する試験を行った。浸漬時間は20時間、40時間、80時間、100時間の四水準とした。
20時間浸漬試験後のNi基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図8Aおよび図8Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図8Aに示す写真の分析線LG4に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図8Aおよび図8Bより、Ni(Re,Co)-Alからなるコーティング皮膜が維持されており、Al濃度の最大値は50原子%以上であり、Ni基材側の部分を除き厚さ方向の大半の部分でAl濃度が40原子%以上となっていることが分かる。拡散バリア層のReが一層凝集して高Re濃度となっていることが分かる。拡散バリア層のAl濃度は低下している。コーティング皮膜全体としてNi濃度がCo濃度よりも高い。図9Aおよび図9Bはそれぞれ、図8Aに示す断面組織の一部(表面側の部分)を拡大した断面SEM写真および各元素の濃度分布(図9Aに示す写真の分析線LG4に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図9Aおよび図9Bより、Ni(Re,Co)-Al層の表面にAl2 3 からなる酸化物が密着して形成されていることが分かる。酸化物の最表面には(Ni、CoAl)酸化物が認められる。
40時間浸漬試験後のNi基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図10Aおよび図10Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図10Aに示す写真の分析線LG1に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図10Aおよび図10Bより、20時間浸漬試験を行ったNi基材と比較して、コーティング皮膜には顕著な変化は見られない。コーティング皮膜のAl濃度の最大値は40原子%以上であり、Ni基材側の部分を除き厚さ方向の大半の部分でAl濃度が40原子%以上となっている。図11Aおよび図11Bはそれぞれ、図10Aに示す断面組織の一部(表面側の部分)を拡大した断面SEM写真および各元素の濃度分布(図11Aに示す写真の分析線LG2に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図11Aおよび図11Bより、Ni(Re,Co)-Al層の表面にAl2 3 からなる酸化物が密着して形成されていることが分かる。酸化物の最表面には(Al、Ni、Co)酸化物が認められる。
80時間浸漬試験後のNi基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図12Aおよび図12Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図12Aに示す写真の分析線LG2に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図12Aおよび図12Bより、Al濃度の最大値は40原子%以上である。Ni(Re、Co)-Al層の表面にAl2 3 からなる酸化物が密着して形成されている。酸化物の最表面には(Al、Ni、Co)酸化物が認められる。
100時間浸漬試験後のNi基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図13Aおよび図13Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図13Aに示す写真の分析線LG4に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図13Aおよび図13Bより、Ni(Re、Co)-Al層の表面にAl2 3 からなる酸化物が密着して形成されていることが分かる。コーティング皮膜のAl濃度の最大値は40原子%以上である。酸化物の最表面には(Al、Ni、Co)酸化物が認められる。コーティング皮膜の拡散バリア層は維持されている。
以上の浸漬試験の結果から、Ni基材上にNi(Re,Co)-Alからなり、Al濃度の最大値が60原子%以上のコーティング皮膜を形成することにより、溶融Li2 CO3 に対して優れた耐腐食性を実現することができることが分かる。
図14は、溶融Li2 CO3 中の浸漬時間に対するコーティング皮膜中のAl濃度(最大値)およびコーティング皮膜の厚さの変化を示す。図14に示すように、コーティング皮膜中のAl濃度およびコーティング皮膜の厚さとも、浸漬開始から20時間経過までに急速に減少するが、その後の減少は緩やかとなり、100時間経過後でもAl濃度(最大値)は約40原子%以上である。図15は、溶融Li2 CO3 中の浸漬時間に対するコーティング皮膜中のAl濃度(最大値)およびCo、Ni、Reの濃度(最大値)の変化を示したものである。図15に示すように、Niは、浸漬開始から20時間経過までに急速に増加するが、その後の増加は緩やかとなる。
(実施例2)
Ni基材を用い、製造方法1によりコーティング皮膜を形成した。
まず、Ni基材の表面を平滑研磨し、脱脂を行った後、その表面にめっき法によりNiストライク膜およびCoを20質量%含有するCo含有Re(Ni)膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきの条件およびめっき液の組成は実施例1と同様とした。Co含有Re(Ni)膜のめっきの条件およびめっき液の組成は実施例1と同様とした。続いて、めっき法によりNiストライク膜およびCoを20質量%含有するCo含有Re(Ni)膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは上記と同様に行った。Co含有Re(Ni)膜のめっきの条件およびめっき液の組成は実施例1と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したNi基材に対して熱処理を行った。熱処理は実施例1と同様の条件で行った。
次に、こうして熱処理を行ったNi基材に対してAl拡散処理を行った。Al拡散処理は実施例1と同様の条件で行った。
Al拡散処理後のNi基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図16Aおよび図16Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図16Aに示す写真の分析線LG5に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図16Aおよび図16Bより、Ni基材上にNi(Re,Co)-Alからなるコーティング皮膜が形成されていることが分かる。このコーティング皮膜のAl濃度の最大値は約77原子%であり、Ni基材側の部分を除き厚さ方向の大半の部分でAl濃度が60原子%以上となっている。
Al拡散処理後のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に浸漬する試験を行った。浸漬時間は20時間、40時間、80時間、100時間の四水準とした。
20時間浸漬試験後のNi基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図17Aおよび図17Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図17Aに示す写真の分析線LG2に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図17Aおよび図17Bより、コーティング皮膜のAl濃度の最大値は40原子%以上であることが分かる。図18Aおよび図18Bはそれぞれ、図17Aに示す断面組織の一部を拡大した断面SEM写真および各元素の濃度分布(図18Aに示す写真の分析線LG5に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図18Aおよび図18Bより、Ni(Re,Co)-Al層の表面にAl2 3 からなる酸化物が密着して形成されていることが分かる。酸化物の最表面には(Al、Ni、Co)酸化物が認められる。
40時間浸漬試験後のNi基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図19Aおよび図19Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図19Aに示す写真の分析線LG3に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図19Aおよび図19Bより、コーティング皮膜のAl濃度の最大値は40原子%以上であることが分かる。
80時間浸漬試験後のNi基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図20Aおよび図20Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図20Aに示す写真の分析線LG3に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図20Aおよび図20Bより、コーティング皮膜のAl濃度の最大値は依然として40原子%以上であることが分かる。Ni(Re,Co)-Al層の表面にAl2 3 からなる酸化物が密着して形成されている。酸化物の最表面には(Al,Ni,Co)酸化物が認められる。
100時間浸漬試験後のNi基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図21Aおよび図21Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図21Aに示す写真の分析線LG6に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図21Aおよび図21Bより、コーティング皮膜のAl濃度の最大値は依然として40原子%以上であることが分かる。Ni(Re,Co)-Al層の表面にAl2 3 からなる酸化物が密着して形成されている。酸化物の最表面には(Al,Ni,Co)酸化物が認められる。
以上の浸漬試験の結果から、Ni基材上にNi(Re,Co)-Alからなり、Al濃度の最大値が60原子%以上のコーティング皮膜を形成することにより、溶融Li2 CO3 に対して優れた耐腐食性を実現することができることが分かる。
図22は、溶融Li2 CO3 中の浸漬時間に対するコーティング皮膜中のAl濃度(最大値)およびコーティング皮膜の厚さの変化を示す。図22に示すように、コーティング皮膜中のAl濃度およびコーティング皮膜の厚さとも、浸漬開始から20時間経過までに急速に減少するが、その後の減少は緩やかとなり、100時間経過後でもAl濃度(最大値)は約40原子%と高い。図23は、溶融Li2 CO3 中の浸漬時間に対するコーティング皮膜中のAl濃度(最大値)およびCo、Ni、Reの濃度(最大値)の変化を示す。図23に示すように、Niは、浸漬開始から20時間経過までに急速に増加するが、その後の増加は緩やかとなる。
(実施例3)
Ni基材を用い、製造方法2によりコーティング皮膜を形成した。
まず、Ni基材の表面を平滑研磨し、脱脂を行った後、その表面にめっき法によりNiストライク膜およびCoを50質量%含むCo含有Re(Ni)膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきの条件およびめっき液の組成は実施例1と同様とした。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度60mA/cm2 で60分行い、めっき液の組成は85.5原子%Co、3.2原子%Ni、11.2原子%Reであった。続いて、めっき法によりNiストライク膜およびCoを20質量%含むCo含有Re(Ni)膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは上記と同様に行った。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度60mA/cm2 で90分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したNi基材に対して熱処理を行った。熱処理は実施例1と同様の条件で行った。
次に、こうして熱処理を行ったNi基材に対してAl拡散処理を行った。Al拡散処理は実施例1と同様の条件で行った。
Al拡散処理後のNi基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図24Aおよび図24Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図24Aに示す写真の分析線LG6に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図24Aおよび図24Bより、Ni基材上にCo(Ni、Re)-Alからなるコーティング皮膜が形成されていることが分かる。このコーティング皮膜のAl濃度の最大値は約76原子%であり、Ni基材側の部分を除き厚さ方向の大半の部分でAl濃度が60原子%以上となっている。このような高いAl濃度が得られるのにはCo(Ni、Re)-Alに含有されるCoが寄与している。
Al拡散処理後のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に浸漬する試験を行った。浸漬時間は20時間とした。
20時間浸漬試験後のNi基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図25Aおよび図25Bにそれぞれ断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図25Aに示す写真の分析線に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図25Aおよび図25Bより、Ni基材上にCo(Ni、Re)-Al層およびNi(Co、Re)-Al層が順次形成されてコーティング皮膜が形成されていることが分かる。このコーティング皮膜のAl濃度の最大値は60原子%以上である。図26Aおよび図26Bはそれぞれ、図25Aに示す断面組織の一部(表面側の部分)を拡大した断面SEM写真および各元素の濃度分布(図26Aに示す写真の分析線LG5に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図26Aおよび図26Bより、Ni(Re、Co)-Al層の表面にAl2 3 からなる酸化物が密着して形成されていることが分かる。酸化物の最表面には(Al,Ni,Co)酸化物が認められる。
以上の浸漬試験の結果から、Ni基材上にNi(Re,Co)-Alからなり、Al濃度の最大値が60原子%以上のコーティング皮膜を形成することにより、溶融Li2 CO3 に対して優れた耐腐食性を実現することができることが分かる。
(実施例4)
Ni基材を用い、製造方法3によりコーティング皮膜を形成した。
まず、Ni基材の表面を平滑研磨し、脱脂を行った後、その表面にめっき法によりNiストライク膜およびCoを20質量%含有するCo含有Re(Ni)膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは電流密度0.5A/cm2 で3分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度60mA/cm2 で120分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したNi基材に対して熱処理を行った。熱処理は、めっき皮膜を形成したNi基材を2gのAl粉末と100gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1100℃で1.5時間加熱することにより行った。
次に、再びめっき法によりNiストライク膜およびCoを20質量%含むCo含有Re(Ni)膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは上記と同様に行った。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度60mA/cm2 で75分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。
次に、こうして二層目のめっき皮膜を形成したNi基材に対してAl拡散処理を行った。Al拡散処理は、二層目のめっき皮膜を形成したNi基材を7gのAl粉末と2gのNH4 Cl粉末と100gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1100℃で1.5時間加熱することにより行った。
Al拡散処理後のNi基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図27Aおよび図27Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図27Aに示す写真の分析線LG3に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図27Aおよび図27Bより、Ni基材上にCo、Ni、Re層、Re-Al層およびCo、Ni-Al層からなるコーティング皮膜が形成されていることが分かる。このコーティング皮膜のAl濃度の最大値は約64原子%である。
Al拡散処理後のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に浸漬する試験を行った。浸漬時間は20時間とした。
20時間浸漬試験後のNi基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図28Aおよび図28Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図28Aに示す写真の分析線LG2に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図28Aおよび図28Bより、コーティング皮膜のAl濃度の最大値は約55原子%であり、Ni基材側の部分を除き厚さ方向の大半の部分でAl濃度が40原子%以上となっていることが分かる。Co、Ni-Al層の表面にAl2 3 からなる酸化物が密着して形成されている。
以上の浸漬試験の結果から、Ni基材上にCo、Ni、Re層、Re-Al層およびCo、Ni-Al層からなり、Al濃度の最大値が60原子%以上のコーティング皮膜を形成することにより、溶融Li2 CO3 に対して優れた耐腐食性を実現することができることが分かる。
(実施例5)
SUS304基材を用い、製造方法1によりコーティング皮膜を形成した。
まず、SUS304基材の表面を平滑研磨し、脱脂を行った後、その表面にめっき法によりNiストライク膜、Coを20質量%含有するCo含有Re(Ni)膜およびCo膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは実施例1と同様の条件で行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で60分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Co膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で20分行い、めっき液の組成は99.1原子%Co、0.5原子%Niであった。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS304基材に対してAl拡散処理を行った。Al拡散処理は、めっき皮膜を形成したSUS304基材を7gのAl粉末と2gのNH4 Cl粉末と90gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1000℃で6時間加熱することにより行った。
Al拡散処理後のSUS304基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図29Aおよび図29Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図29Aに示す写真の分析線LG3に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図29Aおよび図29Bより、SUS304基材上に(Co,Ni,Re)-Al層およびCo-Al層からなるコーティング皮膜が形成されていることが分かる。このコーティング皮膜のAl濃度の最大値は約76原子%であり、SUS304基材側の部分を除き厚さ方向の大半の部分でAl濃度が60原子%以上となっている。
Al拡散処理後のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に浸漬する試験を行った。浸漬時間は40時間とした。
40時間浸漬試験後のSUS304基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図30Aおよび図30Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図30Aに示す写真の分析線LG2に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図30Aおよび図30Bより、40時間浸漬後も、コーティング皮膜のAl濃度は50原子%前後を維持していることが分かる。最外層のCo-Al層の内部に保護的Al2 3 が形成されている。SUS304基材中のFeが外層付近にまで拡散している。図31Aおよび図31Bはそれぞれ、図30Aに示す断面組織の一部(表面側の部分)を拡大した断面SEM写真および各元素の濃度分布(図31Aに示す写真の分析線LG3に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図31Aおよび図31Bより、Co-Al層のAl濃度は30原子%前後に減少していることが分かる。コーティング皮膜の最上層にAl2 3 からなる酸化物が密着して形成されている。
以上の浸漬試験の結果から、SUS304基材上に(Co,Ni,Re)-Al層およびCo-Al層からなり、Al濃度の最大値が60原子%以上のコーティング皮膜を形成することにより、溶融Li2 CO3 に対して優れた耐腐食性を実現することができることが分かる。
(実施例6)
実施例6は第1の実施の形態に対応するものである。
SUS304基材を用い、製造方法1によりコーティング皮膜を形成した。
まず、SUS304基材の表面を平滑研磨し、脱脂を行った後、その表面にめっき法によりNiストライク膜、ワット浴によるNi膜、Coを20質量%含有するCo含有Re(Ni)膜およびCo膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは実施例1と同様の条件で行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。ワット浴によるNi膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で10分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で90分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Co膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で60分行い、めっき液の組成は実施例5と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS304基材に対してAl拡散処理を行った。Al拡散処理は、めっき皮膜を形成したSUS304基材を8gのAl粉末と2gのNH4 Cl粉末と90gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1000℃で4時間加熱することにより行った。
Al拡散処理後のSUS304基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図32Aおよび図32Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図32Aに示す写真の分析線LG1に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図32Aおよび図32Bより、SUS304基材上にCo、Ni、Re-Al層およびCo-Al層からなるコーティング皮膜が形成されていることが分かる。このコーティング皮膜のAl濃度の最大値は約77原子%であり、SUS304基材側の部分を除き厚さ方向の大半の部分でAl濃度が60原子%以上となっている。
Al拡散処理後のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に浸漬する試験を行った。浸漬時間は20時間とした。
20時間浸漬試験後のSUS304基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図33Aおよび図33Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図33Aに示す写真の分析線LG4に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図33Aおよび図33Bより、20時間浸漬後も、コーティング皮膜のAl濃度の最大値は60原子%以上を維持しており、SUS304基材側の部分を除き厚さ方向の大半の部分でAl濃度が40原子%以上となっていることが分かる。図34Aおよび図34Bはそれぞれ、図33Aに示す断面組織の一部(表面側の部分)を拡大した断面SEM写真および各元素の濃度分布(図34Aに示す写真の分析線LG7に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図34図および図34Bより、Co-Al層の表面に緻密な保護的Al2 3 が形成されていることが分かる。
以上の浸漬試験の結果から、SUS304基材上にCo、Ni、Re-Al層およびCo-Al層からなるコーティング皮膜からなり、Al濃度の最大値が60原子%以上のコーティング皮膜を形成することにより、溶融Li2 CO3 に対して優れた耐腐食性を実現することができることが分かる。
(実施例7)
SUS310基材を用い、製造方法3によりコーティング皮膜を形成した。
まず、SUS310基材の表面を平滑研磨し、脱脂を行った後、その表面にめっき法によりNiストライク膜およびCoを20質量%含有するCo含有Re(Ni)膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは実施例1と同様と条件で行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で60分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS310基材に対して熱処理を行った。熱処理は、めっき皮膜を形成したSUS310基材を2gのAl粉末と100gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1100℃で2時間加熱することにより行った。
次に、こうして熱処理を行ったSUS310基材上に再び、めっき法によりNiストライク膜およびCoを20質量%含有するCo含有Re(Ni)膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは電流密度0.5A/cm2 で3分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度60mA/cm2 で60分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS310基材に対してAl拡散処理を行った。Al拡散処理は、熱処理を行ったSUS310基材を10gのAl粉末と2gのNH4 Cl粉末と100gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1100℃で2時間加熱することにより行った。
Al拡散処理後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図35Aおよび図35Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図35Aに示す写真の分析線LG2に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図35Aおよび図35Bより、SUS310基材上にCo、Re、Fe、Cr、Ni層およびCo(Ni、Re)-Al層からなるコーティング皮膜が形成されていることが分かる。このコーティング皮膜のAl濃度の最大値は約67原子%である。
Al拡散処理後のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に浸漬する試験を行った。浸漬時間は20時間とした。
20時間浸漬試験後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図36Aおよび図36Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図36Aに示す写真の分析線LG1に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図36Aおよび図36Bより、20時間浸漬後も、コーティング皮膜のAl濃度の最大値は60原子%前後であり、Co(Ni、Re)-Al層の厚さ方向の大半の部分でAl濃度が40原子%以上となっていることが分かる。図37Aおよび図37Bはそれぞれ、図36Aに示す断面組織の一部(表面側の部分)を拡大した断面SEM写真および各元素の濃度分布(図37Aに示す写真の分析線LG1に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図37Aおよび図37Bより、Co(Ni、Re)-Al層の表面に緻密な保護的Al2 3 が形成されていることが分かる。
以上の浸漬試験の結果から、SUS310基材上にCo、Re、Fe、Cr、Ni層およびCo(Ni、Re)-Al層からなり、Al濃度の最大値が60原子%以上のコーティング皮膜を形成することにより、溶融Li2 CO3 に対して優れた耐腐食性を実現することができることが分かる。
(実施例8)
SUS310基材を用い、製造方法3によりコーティング皮膜を形成した。
まず、SUS310基材の表面を平滑研磨し、脱脂を行った後、その表面にめっき法によりNiストライク膜およびCoを20質量%含有するCo含有Re(Ni)膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは電流密度0.5A/cm2 で3分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度60mA/cm2 で120分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS310基材に対して熱処理を行った。熱処理は、めっき皮膜を形成したSUS310基材を2gのAl粉末と100gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1100℃で1.5時間加熱することにより行った。
次に、こうして熱処理を行ったSUS310基材上に再び、めっき法によりNiストライク膜およびCoを20質量%含有するCo含有Re(Ni)膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは電流密度0.5A/cm2 で3分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度60mA/cm2 で75分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS310基材に対してAl拡散処理を行った。Al拡散処理は、熱処理を行ったSUS310基材を7gのAl粉末と2gのNH4 Cl粉末と100gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1100℃で1.5時間加熱することにより行った。
Al拡散処理後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図38Aおよび図38Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図38Aに示す写真の分析線LG1に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図38Aおよび図38Bより、SUS310基材上にCo、Re、Fe、Cr、Ni層およびCo、Ni、Re-Al層からなるコーティング皮膜が形成されていることが分かる。コーティング皮膜のAl濃度の最大値は約64原子%である。
Al拡散処理後のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に浸漬する試験を行った。浸漬時間は20時間とした。
20時間浸漬試験後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図39Aおよび図39Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図39Aに示す写真の分析線LG1に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図39Aおよび図39Bより、20時間浸漬後でも、コーティング皮膜のAl濃度の最大値は約66原子%であることが分かる。コーティング皮膜の最外層のCo、Ni、Re-Al層のみが腐食している。最外層のCo、Ni、Re-Al層の表面に保護的Al2 3 が密着して形成されている。
以上の浸漬試験の結果から、SUS310基材上にCo、Re、Fe、Cr、Ni層およびCo、Ni、Re-Al層からなり、Al濃度の最大値が60原子%以上のコーティング皮膜を形成することにより、溶融Li2 CO3 に対して優れた耐腐食性を実現することができることが分かる。
(実施例9)
SUS310基材を用い、製造方法4によりコーティング皮膜が形成した。
まず、SUS310基材の表面を平滑研磨し、脱脂を行った後、その表面にめっき法によりNiストライク膜およびRe(Ni)膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは電流密度0.5A/cm2 で3分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Re(Ni)膜のめっきは電流密度60mA/cm2 で90分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS310基材に対してCr拡散処理(Crパック)を行った。Cr拡散処理は、めっき皮膜を形成したSUS310基材を5gの(Ni+Cr)粉末と2gのNH4 Cl粉末と100gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1100℃で2時間加熱することにより行った。
次に、こうしてCr拡散処理を行ったSUS310基材上に再び、めっき法によりNiストライク膜およびRe(Ni)膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは電流密度0.5A/cm2 で1分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Re(Ni)膜のめっきは電流密度60mA/cm2 で90分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS310基材に対してAl拡散処理を行った。Al拡散処理は、めっき皮膜を形成したSUS310基材を7gのAl粉末と2gのNH4 Cl粉末と100gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1100℃で2時間加熱することにより行った。
Al拡散処理後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図40Aおよび図40Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図40Aに示す写真の分析線LG2に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図40Aおよび図40Bより、SUS310基材上にNi、Re、Fe,Cr層およびNi、Re-Al層からなるコーティング皮膜が形成されていることが分かる。コーティング皮膜のAl濃度の最大値は約67原子%である。
Al拡散処理後のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に浸漬する試験を行った。浸漬時間は6時間とした。
6時間浸漬試験後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図41Aおよび図41Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図41Aに示す写真の分析線LG3に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図42は、図41Aに示す断面組織の一部(表面側の部分)を拡大した断面SEM写真を示す。図41Aおよび図41Bならびに図42より、6時間浸漬後でも、コーティング皮膜のAl濃度の最大値は約70原子%であることが分かる。最外層のNi、Re-Al層のみが腐食している。最外層のNi、Re-Al層の表面に保護的Al2 3 が密着して形成されている。
以上の浸漬試験の結果から、SUS310基材上にNi、Re、Fe,Cr層およびNi、Re-Al層からなり、Al濃度の最大値が60原子%以上のコーティング皮膜を形成することにより、溶融Li2 CO3 に対して優れた耐腐食性を実現することができることが分かる。
(実施例10)
SUS310基材を用い、製造方法4によりコーティング皮膜を形成した。
まず、SUS310基材の表面を平滑研磨し、脱脂を行った後、その表面にめっき法によりNiストライク膜およびCoを20質量%含有するCo含有Re(Ni)膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは電流密度0.5A/cm2 で3分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度60mA/cm2 で90分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS310基材に対してCr拡散処理(Crパック)を行った。Cr拡散処理は、めっき皮膜を形成したSUS310基材を5gの(Ni+Cr)粉末と2gのNH4 Cl粉末と100gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1100℃で2時間加熱することにより行った。
次に、こうしてCr拡散処理を行ったSUS310基材上に再び、めっき法によりNiストライク膜およびRe(Ni)膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは電流密度0.5A/cm2 で1分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Re(Ni)膜のめっきは電流密度60mA/cm2 で90分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS310基材に対してAl拡散処理を行った。Al拡散処理は実施例8と同様に行った。
Al拡散処理後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図43Aおよび図43Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図43Aに示す写真の分析線LG4に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図43Aおよび図43Bより、SUS310基材上にCo、Re、Fe、Cr、層およびNi、Re-Al層からなるコーティング皮膜が形成されていることが分かる。コーティング皮膜のAl濃度の最大値は約65原子%である。
Al拡散処理後のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に浸漬する試験を行った。浸漬時間は6時間とした。
6時間浸漬試験後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図44Aおよび図44Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図44Aに示す写真の分析線LG5に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図45は、図44Aに示す断面組織の一部(表面側の部分)を拡大した断面SEM写真を示す。図44Aおよび図44Bならびに図45より、6時間浸漬後でも、コーティング皮膜のAl濃度の最大値は約66原子%であることが分かる。最外層のNi、Re-Al層のみが腐食している。最外層のNi、Re-Al層の表面に保護的Al2 3 が密着して形成されている。
以上の浸漬試験の結果から、SUS310基材上にCo、Re、Fe、Cr、層およびNi、Re-Al層からなり、Al濃度の最大値が60原子%以上のコーティング皮膜を形成することにより、溶融Li2 CO3 に対して優れた耐腐食性を実現することができることが分かる。
(実施例11)
SUS310基材を用い、製造方法3によりコーティング皮膜を形成した。
まず、SUS310基材の表面を平滑研磨し、脱脂を行った後、その表面にめっき法によりNiストライク膜、ワット浴によるNi膜、Coを20質量%含有するCo含有Re(Ni)膜およびCo膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは実施例1と同様に行った。ワット浴によるNi膜のめっきは実施例6と同様に行った。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で30分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Co膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で30分行い、めっき液の組成は実施例5と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS310基材に対して熱処理を行った。熱処理は、めっき皮膜を形成したSUS310基材を10gのCr粉末と90gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1000℃で4時間加熱することにより行った。
次に、こうして熱処理を行ったSUS310基材上に再び、めっき法によりNiストライク膜、ワット浴によるNi膜、Coを20質量%含有するCo含有Re(Ni)膜およびCo膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは実施例1と同様に行った。ワット浴によるNi膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で10分行い、めっき液の組成は0.1原子%Co、99.9原子%Niとした。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で60分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Co膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で20分行い、めっき液の組成は実施例5と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS310基材に対してAl拡散処理を行った。Al拡散処理は、めっき皮膜を形成したSUS310基材を8gのAl粉末と2gのNH4 Cl粉末と90gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1000℃で4時間加熱することにより行った。
Al拡散処理後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図46Aおよび図46Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図46Aに示す写真の分析線LG3に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図46Aおよび図46Bより、SUS310基材上にCo、Ni、Re-Al層およびCo-Al層からなるコーティング皮膜が形成されていることが分かる。このコーティング皮膜のAl濃度の最大値は80原子%であり、SUS310基材側の部分を除き厚さ方向の大半の部分でAl濃度が60原子%以上となっている。
Al拡散処理後のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に浸漬する試験を行った。浸漬時間は20時間とした。
20時間浸漬試験後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図47Aおよび図47Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図47Aに示す写真の分析線LG2に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図47Aおよび図47Bより、20時間浸漬後も、コーティング皮膜のAl濃度の最大値は約78原子%であり、全体としてAl濃度が40原子%以上となっていることが分かる。図48Aおよび図48Bはそれぞれ、図47Aに示す断面組織の一部(表面側の部分)を拡大した断面SEM写真および各元素の濃度分布(図48Aに示す写真の分析線LG6に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図48Aおよび図48Bより、Co(Ni)-Al層の表面に緻密な保護的Al2 3 が密着して形成されていることが分かる。
以上の浸漬試験の結果から、SUS310基材上にCo、Ni、Re-Al層およびCo-Al層からなり、Al濃度の最大値が60原子%以上のコーティング皮膜を形成することにより、溶融Li2 CO3 に対して優れた耐腐食性を実現することができることが分かる。
(実施例12)
SUS310基材を用い、製造方法3によりコーティング皮膜を形成した。
まず、SUS310基材の表面を平滑研磨し、脱脂を行った後、その表面にめっき法によりNiストライク膜、ワット浴によるNi膜、Coを20質量%含有するCo含有Re(Ni)膜およびCo膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは実施例1と同様に行った。ワット浴によるNi膜のめっきは実施例11と同様に行った。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で30分行い、めっき液の組成は10.5原子%Co、60.7原子%Ni、28.5原子%Reであった。Co膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で30分行い、めっき液の組成は実施例5と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS310基材に対して熱処理を行った。熱処理は、実施例10と同様に行った。
次に、こうして熱処理を行ったSUS310基材上に再び、めっき法によりNiストライク膜、ワット浴によるNi膜、Coを20質量%含有するCo含有Re(Ni)膜およびCo膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは実施例1と同様に行った。ワット浴によるNi膜のめっきは実施例11と同様に行った。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で60分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Co膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で20分行い、めっき液の組成は実施例5と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS310基材に対してAl拡散処理を行った。Al拡散処理は実施例10と同様に行った。
Al拡散処理後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図49Aおよび図49Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図49Aに示す写真の分析線LG4に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図49Aおよび図49Bより、SUS310基材上にCo、Re、Ni-Al層およびCo(Ni)-Al層からなるコーティング皮膜が形成されていることが分かる。このコーティング皮膜のAl濃度の最大値は約78原子%であり、SUS310基材側の部分を除き厚さ方向の大半の部分でAl濃度が60原子%以上となっている。
Al拡散処理後のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に浸漬する試験を行った。浸漬時間は20時間とした。
20時間浸漬試験後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図50Aおよび図50Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図50Aに示す写真の分析線LG1に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図50Aおよび図50Bより、20時間浸漬後でも、コーティング皮膜のAl濃度の最大値は約75原子%であり、全体としてAl濃度が40原子%以上となっていることが分かる。図51Aおよび図51Bはそれぞれ、図50Aに示す断面組織の一部(表面側の部分)を拡大した断面SEM写真および各元素の濃度分布(図51Aに示す写真の分析線LG5に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図51Aおよび図51Bより、Co(Ni)-Al層の表面に緻密な保護的Al2 3 が密着して形成されていることが分かる。
以上の浸漬試験の結果から、SUS310基材上にCo、Re、Ni-Al層およびCo(Ni)-Al層からなり、Al濃度の最大値が60原子%以上のコーティング皮膜を形成することにより、溶融Li2 CO3 に対して優れた耐腐食性を実現することができることが分かる。
(実施例13)
SUS310基材を用い、製造方法1により耐熱金属部材を作製した。
まず、SUS310基材の表面を平滑研磨し、脱脂を行った後、その表面にめっき法によりNiストライク膜、Ni膜およびCo膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは実施例1と同様に行った。Ni膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で30分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。Co膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で60分行い、めっき液の組成は実施例5と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS310基材に対してAl拡散処理を行った。Al拡散処理は、めっき皮膜を形成したSUS310基材を7gのAl粉末と2gのNH4 Cl粉末と90gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1000℃で6時間加熱することにより行った。
Al拡散処理後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図52Aおよび図52Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図52Aに示す写真の分析線LG2に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図52Aおよび図52Bより、SUS310基材上にFe、Ni、Co-Al層およびCo-Al層からなるコーティング皮膜が形成されていることが分かる。このコーティング皮膜のAl濃度の最大値は約64原子%である。
Al拡散処理後のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に浸漬する試験を行った。浸漬時間は20時間とした。
20時間浸漬試験後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図53Aおよび図53Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図53Aに示す写真の分析線LG4に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図53Aおよび図53Bより、20時間浸漬後でも、コーティング皮膜のAl濃度の最大値は約60原子%であり、SUS310基材側の部分を除き全体としてAl濃度が40原子%以上となっていることが分かる。図54Aおよび図54Bはそれぞれ、図53Aに示す断面組織の一部(表面側の部分)を拡大した断面SEM写真および各元素の濃度分布(図54Aに示す写真の分析線LG5に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図54Aおよび図54Bより、最外層のCo-Al層の表面に緻密な保護的Al2 3 が密着して形成されていることが分かる。
以上の浸漬試験の結果から、SUS310基材上にFe、Ni、Co-Al層およびCo-Al層からなり、Al濃度の最大値が60原子%以上のコーティング皮膜を形成することにより、溶融Li2 CO3 に対して優れた耐腐食性を実現することができることが分かる。
(実施例14)
SUS310基材を用い、製造方法2によりコーティング皮膜を形成した。
まず、SUS310基材の表面を平滑研磨し、脱脂を行った後、その表面にめっき法によりNiストライク膜、Ni膜およびCo膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは実施例1と同様に行った。Ni膜のめっきは実施例13と同様に行った。Co膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で60分行い、めっき液の組成は実施例5と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS310基材に対してAl拡散処理を行った。Al拡散処理は実施例12と同様に行った。
Al拡散処理後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図55Aおよび図55Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図55Aに示す写真の分析線LG3に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図55Aおよび図55Bより、SUS310基材上にNi、Fe、Cr-Al層、Ni-Al層およびCo-Al層からなるコーティング皮膜が形成されていることが分かる。このコーティング皮膜のAl濃度の最大値は約75原子%である。
Al拡散処理後のNi基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に浸漬する試験を行った。浸漬時間は20時間とした。
20時間浸漬試験後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図56Aおよび図56Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図56Aに示す写真の分析線LG6に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図56Aおよび図56Bより、20時間浸漬後でも、コーティング皮膜のAl濃度はSUS310基材側の部分を除き大半の部分で40原子%以上となっていることが分かる。図57Aおよび図57Bはそれぞれ、図56Aに示す断面組織の一部(表面側の部分)を拡大した断面SEM写真および各元素の濃度分布(図57Aに示す写真の分析線LG7に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図57Aおよび図57Bより、Co-Al層の表面に緻密な保護的Al2 3 が密着して形成されていることが分かる。
以上の浸漬試験の結果から、SUS310基材上にNi、Fe、Cr-Al層、Ni-Al層およびCo-Al層からなり、Al濃度の最大値が60原子%以上のコーティング皮膜を形成することにより、溶融Li2 CO3 に対して優れた耐腐食性を実現することができることが分かる。
(実施例15)
SUS310基材を用い、製造方法1によりコーティング皮膜を形成した。
まず、SUS310基材の表面を平滑研磨し、脱脂を行った後、その表面にめっき法によりNiストライク膜、(Co+W)膜およびCoを20質量%含有するCo含有Re(Ni)膜を順に形成した。Niストライク膜のめっきは実施例1と同様に行った。(Co+W)膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で60分行い、めっき液の組成は90.3原子%Co、1.7原子%Ni、7.7原子%Wとした。Co含有Re(Ni)膜のめっきは電流密度40mA/cm2 で30分行い、めっき液の組成は実施例1と同様とした。
次に、こうしてめっき皮膜を形成したSUS310基材に対してAl拡散処理を行った。Al拡散処理は、めっき皮膜を形成したSUS310基材を7gのAl粉末と2gのNH4 Cl粉末と90gのAl2 3 粉末との混合粉末中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1000℃で4時間加熱することにより行った。
Al拡散処理後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図58Aおよび図58Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図58Aに示す写真の分析線LGに沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図58Aおよび図58Bより、SUS310基材上にCo、Ni、Fe-Al層およびCo、Re-Al層からなるコーティング皮膜が形成されていることが分かる。このコーティング皮膜のAl濃度の最大値は約79原子%であり、厚さ方向の大半の部分でAl濃度は60原子%以上である。
Al拡散処理後のSUS310基材を空気中で950℃の溶融Li2 CO3 中に浸漬する試験を行った。浸漬時間は20時間、60時間の二水準とした。
20時間浸漬試験後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図59Aおよび図59Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図59Aに示す写真の分析線に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図59Aおよび図59Bより、20時間浸漬後でも、コーティング皮膜のAl濃度の最大値は約77原子%であり、全体としてAl濃度が40原子%以上となっていることが分かる。最外層のCo-Re-Al層の表面に保護的Al2 3 が密着して形成されている。
60時間浸漬試験後のSUS310基材/皮膜施工面の一部を切断し、その断面組織観察および各元素の濃度分布の測定を行った。図60Aおよび図60Bにそれぞれ断面SEM写真および各元素の濃度分布(図60Aに示す写真の分析線LG4に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図60Aおよび図60Bより、60時間浸漬後でも、コーティング皮膜のAl濃度の最大値は約50原子%であり、SUS310基材側の部分を除きかなりの部分でAl濃度は40原子%以上となっていることが分かる。図61Aおよび図61Bはそれぞれ、図60Aに示す断面組織の一部(表面側の部分)を拡大した断面SEM写真および各元素の濃度分布(図61Aに示す写真の分析線LG4に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図61Aおよび図61Bより、Co(Ni)-Al層の表面に緻密な保護的Al2 3 が密着して形成されていることが分かる。
以上の浸漬試験の結果から、SUS310基材上にCo、Ni、Fe-Al層およびCo、Re-Al層からなり、Al濃度の最大値が60原子%以上のコーティング皮膜を形成することにより、溶融Li2 CO3 に対して優れた耐腐食性を実現することができることが分かる。
以上、この発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
10…容器、11…基材、12…コーティング皮膜、20…粉体、30…管、31…基材、32…コーティング皮膜、40…棒、41…基材、42…コーティング皮膜

Claims (12)

  1. 金属または合金からなる基材と、
    上記基材の少なくともリチウム含有複合酸化物の原料の粉体が接触する表面に設けられた、少なくともアルミニウムおよびニッケルとレニウムおよびコバルトのうちの少なくとも一種の金属とを含有し、アルミニウム濃度の最大値が60原子%以上81原子%以下であり、上記少なくとも一種の金属の少なくとも一部はニッケル-アルミニウム合金のニッケルの一部が当該金属で置換された合金またはコバルト-アルミニウム合金のコバルトの一部がニッケルおよびレニウムのうちの少なくともニッケルで置換された合金として存在するコーティング皮膜と、
    を有するリチウム含有複合酸化物製造用部材。
  2. 上記コーティング皮膜はさらにタングステン、モリブデンおよびニオブからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属を含有する請求項1記載のリチウム含有複合酸化物製造用部材。
  3. 上記少なくとも一種の金属は上記コーティング皮膜の厚さ方向の全体にわたって存在する請求項1記載のリチウム含有複合酸化物製造用部材。
  4. 上記基材はニッケル、ニッケル基合金または鉄基合金からなる請求項1記載のリチウム含有複合酸化物製造用部材。
  5. 上記リチウム含有複合酸化物製造用部材は容器であり、当該容器の内面に上記コーティング皮膜が設けられている請求項1記載のリチウム含有複合酸化物製造用部材。
  6. 上記リチウム含有複合酸化物製造用部材は管であり、当該管の外面および内面に上記コーティング皮膜が設けられている請求項1記載のリチウム含有複合酸化物製造用部材。
  7. 上記リチウム含有複合酸化物製造用部材は棒であり、当該棒の外面に上記コーティング皮膜が設けられている請求項1記載のリチウム含有複合酸化物製造用部材。
  8. 金属または合金からなる基材上に少なくともニッケルとレニウムおよびコバルトのうちの少なくとも一種の金属とを含有する原料皮膜を形成する工程と、
    上記原料皮膜を形成した上記基材に対してアルミニウム拡散処理を行うことにより、上記基材の少なくともリチウム含有複合酸化物の原料の粉体と接触する表面に、少なくともアルミニウムおよびニッケルとレニウムおよびコバルトのうちの少なくとも一種の金属とを含有し、アルミニウム濃度の最大値が60原子%以上81原子%以下であり、上記少なくとも一種の金属の少なくとも一部はニッケル-アルミニウム合金のニッケルの一部が当該金属で置換された合金またはコバルト-アルミニウム合金のコバルトの一部がニッケルおよびレニウムのうちの少なくともニッケルで置換された合金として存在するコーティング皮膜を形成する工程と、
    を有するリチウム含有複合酸化物製造用部材の製造方法。
  9. 上記原料皮膜はニッケル、レニウムおよびコバルトを含有する請求項8記載のリチウム含有複合酸化物製造用部材の製造方法。
  10. 上記原料皮膜はさらにタングステン、モリブデンおよびニオブからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属を含有する請求項8または9記載のリチウム含有複合酸化物製造用部材の製造方法。
  11. 金属または合金からなる基材と、
    上記基材の少なくともリチウム含有複合酸化物の原料の粉体の焼成時に発生する物質と接触する側の表面に設けられた、少なくともアルミニウムおよびニッケルとレニウムおよびコバルトのうちの少なくとも一種の金属とを含有し、アルミニウム濃度の最大値が60原子%以上81原子%以下であり、上記少なくとも一種の金属の少なくとも一部はニッケル-アルミニウム合金のニッケルの一部が当該金属で置換された合金またはコバルト-アルミニウム合金のコバルトの一部がニッケルおよびレニウムのうちの少なくともニッケルで置換された合金として存在するコーティング皮膜と、
    を有するリチウム含有複合酸化物製造用焼成炉。
  12. 金属または合金からなる基材と、
    上記基材の少なくともリチウム含有複合酸化物の原料の粉体が接触する表面に設けられた、少なくともアルミニウムおよびニッケルとレニウムおよびコバルトのうちの少なくとも一種の金属とを含有し、アルミニウム濃度の最大値が60原子%以上81原子%以下であり、上記少なくとも一種の金属の少なくとも一部はニッケル-アルミニウム合金のニッケルの一部が当該金属で置換された合金またはコバルト-アルミニウム合金のコバルトの一部がニッケルおよびレニウムのうちの少なくともニッケルで置換された合金として存在するコーティング皮膜と、
    を有するリチウム含有複合酸化物製造用部材
    を炉内に有するリチウム含有複合酸化物製造用焼成炉。
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