JP2013163836A - 溶融塩電析法によるY層を内部含有したNiアルミナイドのコーティング技術 - Google Patents

溶融塩電析法によるY層を内部含有したNiアルミナイドのコーティング技術 Download PDF

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Abstract

【課題】熱サイクル条件下でのAl酸化物被膜の耐剥離性をさらに高めることが可能な、Niアルミナイド被覆方法を提供する。
【解決手段】金属基材を用意する工程と、金属基材表面に溶融塩電析によってイットリウムを電析させるY電析工程と、イットリウムを電析させた表面にニッケルを電析させるNi電析工程と、ニッケルを電析させた表面に溶融塩電析によってアルミニウムを電析させるAl電析工程と、を上記順に有し、Al電析工程後において、被覆表面からイットリウム含有層までの深さが15μm以上となる、金属材料のNiアルミナイド被覆方法とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、高温環境下で使用される耐熱合金に、Niアルミナイドをコーティングして耐酸化性を付与する技術に関する。
熱エネルギーを機械エネルギーに変換する装置、例えばジェットエンジンや産業用ガスタービン等においては、省エネルギー等の観点から熱効率の向上が求められている。例えばガスタービンによる発電と蒸気タービンによる発電とを組み合わせたコンバインドサイクル発電においては、燃料電池を凌いで熱効率59%を達成するまでになっている。こうしたガスタービン等において熱効率を向上させるには高温ガス温度が高いほど有利であり、タービン等を従来の温度条件より高温(例えばガスタービンの入口温度にして1500℃等)で稼働させることが行われている。こうした装置を構成する材料には、使用される高温条件で変形しない高温強度と、使用される環境下で例えばOやNO等の酸化性ガスに曝されても酸化劣化しない耐酸化性とを兼ね備えることが求められる。これら2つの性能を両立するため、現在の材料技術においては、高温強度を主眼においた材料設計(例えば、Ni基合金やCo基合金等の耐熱合金)とし、耐酸化性はコーティング(被覆)によって付与することが一般的である。
耐酸化性コーティングにおいては、アルミニウムを含有する合金(例えばNi−Al(ニッケルアルミナイド)系合金やNi−Al−Cr系合金等。)をコーティング材として用い、酸化的条件下で表面に安定なAlの酸化物被膜を形成させることが一般的である。しかしながら、Al等の酸化物は比較的熱膨張率が小さく、Ni−Al合金等の金属材料は比較的熱膨張率が大きいため、温度が変化すると両者の界面に熱応力が発生する。ジェットエンジンや産業用ガスタービン等、運転と停止とを繰り返す装置においては、タービン装置等の材料は高温環境(例えば約1000℃)と低温環境(例えば室温)とを交互に繰り返して経験する。こうした熱サイクル条件下においては、Al酸化物被膜が冷却の際に発生する熱応力(圧縮応力)に耐え切れずに剥離することが問題となる。
Niアルミナイド被覆におけるAl酸化物被膜の耐剥離性を向上させるために、Oと反応しやすいHf等の活性金属をコーティング材料に添加することが試みられている。こうした活性金属の添加により、Alが被覆表面から被覆内部へ向けて成長し、釘付け効果によってAl酸化物被膜の耐剥離性が向上することが知られている(非特許文献1)。
「溶融塩電析法による活性金属を含むNiアルミナイドのコーティング」,高温学会誌,Vol.37,229−234(2011).
しかし、近年におけるガスタービン装置等の温度条件は、熱効率向上を希求してより過酷になる一方である。そのため、熱サイクル条件下でのAl酸化物被膜の耐剥離性をさらに向上させることが必要である。
そこで本発明は、熱サイクル条件下でのAl酸化物被膜の耐剥離性をさらに高めることが可能な、Niアルミナイド被覆方法を提供することを課題とする。また、Niアルミナイド被覆金属材料、及び、Al被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料を提供する。
本発明者らは検討の結果、溶融塩電析により形成したNiアルミナイド被覆層において、イットリウムを一定以上の深さに含有させることにより、Niアルミナイド被覆の熱サイクル特性を大幅に改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
第1の本発明は、
金属基材を用意する工程と、
金属基材表面に溶融塩電析によってイットリウムを電析させる、Y電析工程と、
イットリウムを電析させた表面にニッケルを電析させる、Ni電析工程と、
ニッケルを電析させた表面に溶融塩電析によってアルミニウムを電析させる、Al電析工程と、を上記順に有し、
該Al電析工程後において、被覆表面からイットリウム含有層までの深さが15μm以上となる、
金属材料のNiアルミナイド被覆方法である。
ここで、本発明において、「イットリウム含有層」とは、エネルギー分散型X線分光法(EDS)によって試料の断面を被覆表面から深さ方向に元素分析した際に、イットリウムが検出される深さ範囲によって特定される層である。そして「被覆表面からイットリウム含有層までの深さ」とは、イットリウム含有層の深さ方向の両端面のうち、被覆表面に近い方の端面の、被覆表面からの深さを意味する。
第2の本発明は、
金属基材を用意する工程と、
金属基材表面にニッケルを電析させる、第1のNi電析工程と、
第1のNi電析工程においてニッケルを電析させた表面に溶融塩電析によってイットリウムを電析させる、Y電析工程と、
Y電析工程においてイットリウムを電析させた表面にニッケルを電析させる、第2のNi電析工程と、
第2のNi電析工程においてニッケルを電析させた表面に溶融塩電析によってアルミニウムを電析させる、Al電析工程と、を上記順に有し、
Al電析工程後において、被覆表面からイットリウム含有層までの深さが15μm以上となる、
金属材料のNiアルミナイド被覆方法である。
第1及び第2の本発明においては、上記Al電析工程後において、被覆表面からイットリウム含有層までの深さが90μm以下であることが好ましい。
第1及び第2の本発明においては、イットリウムの電析及びアルミニウムの電析を定電位法により行うことが好ましい。かかる態様においては、Y電析工程において、Ag/AgCl参照電極に対するカソード電位を−2.4V以上−2.1V以下に保持し、Al電析工程において、Ag/AgCl参照電極に対するカソード電位を−1.6V以上−1.25V以下に保持することが好ましい。
第3の本発明は、金属基材と、電析によって前記金属基材表面に形成されたニッケルアルミナイド被覆層とを有し、
該ニッケルアルミナイド被覆層が、Ni−Al−Y合金層と、該Ni−Al−Y合金層の表層側に接するNi−Al合金層とを有し、
上記Ni−Al−Y合金層が、被覆最外表面から15μm以上の深さにある、
Niアルミナイド被覆金属材料である。
本発明において、「Ni−Al系合金」ではなく単に「Ni−Al合金」と表記した場合には、EDS分析においてイットリウムが検出されないNi−Al合金を意味するものとする。
第3の本発明に係るNiアルミナイド被覆金属材料は、好ましくは、金属基材が第1又は第2の本発明のNiアルミナイド被覆方法によって被覆されてなるような構成を有する。
第4の本発明は、第3の本発明に係るNiアルミナイド被覆金属材料が、被覆最外表面にAl酸化物被膜層を有する、Al被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料である。
第4の本発明においては、Al酸化物被膜層が、Alがニッケルアルミナイド被覆層の深さ方向に他の部分より突出して成長してなる、当該Al酸化物被膜層と連続したAl突出成長部を複数有することが好ましい。かかる態様においては、Al突出成長部の突端部の、被覆最外表面からの深さが、15μm以上50μm以下であることが好ましい。
第1及び第2の本発明に係る金属材料のNiアルミナイド被覆方法によれば、Alを溶融塩電析させた後の被覆表面からイットリウム含有層までの深さが15μm以上となっているので、熱サイクル条件下におけるAl酸化物被膜の耐剥離性をより高めることが可能な、金属材料のNiアルミナイド被覆方法を提供することができる。
第3の本発明に係るNiアルミナイド被覆金属材料によれば、Ni−Al−Y合金層が被覆最外表面から15μm以上の深さにあるので、熱サイクル条件下におけるAl酸化物被膜の耐剥離性をより高めた、Niアルミナイド被覆金属材料を提供することが可能となる。
第4の本発明に係るAl被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料によれば、第3の本発明のNiアルミナイド被覆金属材料が被覆最外表面にAl酸化物被膜層を有してなるので、熱サイクル条件下におけるAl酸化物被膜の耐剥離性をより高めた、Al被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料を提供することが可能となる。
第1の本発明の金属材料のNiアルミナイド被覆方法S100を説明するフローチャートである。 本発明において使用できる溶融塩電析装置の一例を模式的に説明する図である。 本発明における溶融塩電析で使用可能な参照電極の一例を模式的に説明する図である。 YF(3.5mol%)含有NaCl−KCl混合溶融塩電析浴(750℃)中で測定したニッケル作用極のAg/AgCl参照電極に対するカソード分極曲線を示すグラフである。 AlF(0〜5mol%)含有NaCl−KCl混合溶融塩電析浴(750℃)中で測定したニッケル作用極のAg/AgCl参照電極に対するカソード分極曲線を示すグラフである。 Al電析工程S104における金属元素の相互拡散を模式的に説明する図である。 Niアルミナイド被覆方法S100によって形成され得るNiアルミナイド被覆の典型的な層構成例を模式的に説明する図である。 第2の本発明の金属材料のNiアルミナイド被覆方法S200を説明するフローチャートである。 Niアルミナイド被覆方法S200によって形成され得るNiアルミナイド被覆の典型的な層構成例を模式的に説明する図である。 第3の本発明の一実施形態に係るNiアルミナイド被覆金属材料100の層構成を模式的に説明する図である。 (A)第4の本発明の一実施形態に係るAl被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料200の層構成を模式的に説明する図である。(B)第4の本発明の他の実施形態に係るAl被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料200’の層構成を模式的に説明する図である。 実施例1及び2の試料について、断面SEM像及び組成分布のライン分析結果を示す図である。 実施例3及び比較例1の試料について、断面SEM像及び組成分布のライン分析結果を示す図である。 比較例4の試料について、断面SEM像及び組成分布のライン分析結果を示す図である。 実施例1〜3及び比較例1の試料について、Niアルミナイド被覆表面からY含有層までの深さを、第1のNi電析工程の電析時間に対してプロットしたグラフである。 (A)実施例1〜3及び比較例1〜3の試料についてサイクル酸化試験の結果を示すグラフである。(B)比較例4の試料についてサイクル酸化試験の結果を示すグラフである。 実施例1〜3及び比較例1の試料について、サイクル酸化試験後の断面SEM像を示す図である。 (A)比較例4の試料の、サイクル酸化試験後の断面SEM像である。(B)(C):(A)中の酸化物被膜の部分拡大像である。
本発明の上記した作用および利得は、以下に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図では、符号を一部省略することがある。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明がこれらの形態に限定されるものではない。また、特に断らない限り、数値範囲について「A〜B」という表記は「A以上B以下」を意味するものとする。かかる表記において数値Bのみに単位を付した場合には、当該単位が数値Aにも適用されるものとする。
<1.金属材料のNiアルミナイド被覆方法(第1の本発明)>
第1の本発明に係る金属材料のNiアルミナイド被覆方法について説明する。図1は、第1の本発明の金属材料のNiアルミナイド被覆方法S100(以下、「Niアルミナイド被覆方法S100」あるいは単に「S100」と略記することがある。)を説明するフローチャートである。図1に示すように、Niアルミナイド被覆方法S100は、金属基材準備工程S101と、Y電析工程S102と、Ni電析工程S103と、Al電析工程S104と、をこの順に有する。以下、各工程について説明する。
(金属基材準備工程S101)
金属基材準備工程S101(以下、単に「S101」と略記することがある。)は、Niアルミナイド被覆を施すべき金属基材を準備する工程である。本発明における金属基材としては、後述する溶融塩電析が行われる温度で溶融しない金属材料、すなわち溶融塩電析の電析温度(例えば750℃等。)を超える融点を有する金属材料を採用することができる。ただし、耐熱性金属材料に耐酸化コーティングを付与するという本発明本来の目的からは、例えば、Ni−Cr(10原子%)−Al(8原子%)合金(Ni−10Cr−8Al)等のNi基合金、ステンレス鋼等のFe基合金、Nb等の高融点金属といった各種の耐熱性金属材料が好ましく採用される。
なおS101においては、次の工程で円滑に電析を行うために、必要に応じて金属基材の表面を研磨してもよい。
(Y電析工程S102)
Y電析工程S102(以下、単に「S102」と略記することがある。)は、金属基材表面に溶融塩電析によってイットリウム(Y)を電析させる工程である。イットリウムはその電析電位が水の還元による水素発生の電位よりも卑な金属であるため、水溶液中から電析させることができない。しかし溶融塩浴中からならば、イットリウムを電析させることができる。S102における溶融塩電析浴としては、NaCl(融点800℃)、KCl(融点776℃)等、Y電析時の分極電位条件(例えばカソードがAg/AgCl参照電極に対して−2.2V等。)において陽イオンが電解反応に関与しない塩を採用でき、これらの塩の混合物(例えばNaCl−KCl混合塩(混合モル比1:1):融点660℃)も好ましく採用することができる。電析温度は溶融塩電析浴の融点以上の適当な温度(NaCl−KCl混合溶融塩電析浴の場合には例えば660℃〜900℃等。)とすることができる。
S102においては、公知の溶融塩電析装置を用いることができる。図2は、本発明において使用できる溶融塩電析装置の一例を模式的に説明する図である。図2に示す溶融塩電析装置においては、炉(加熱装置)に囲まれArガス等の不活性ガス雰囲気で満たされた石英管等の耐熱容器に溶融塩が保持されており、該溶融塩に接して、あるいは該溶融塩中に、作用電極、参照電極、対向電極、及び熱電対温度計が保持されている。作用電極、参照電極、及び対向電極はポテンシオスタット(不図示)に接続され、電位の制御が可能とされている。なおS102では金属基材が作用電極となる。参照電極としては、溶融塩電解反応に使用可能な公知の参照電極を使用できる。図3は、本発明における溶融塩電析で使用可能な参照電極の一例を模式的に説明する図である。図3に示す参照電極においては、NaCl−KCl混合溶融塩中にAgClを含有させた溶融塩浴をセラミック製のさや管に収め、該溶融塩浴に銀ロッドを浸漬することにより、Ag/AgCl参照電極を構成している。なお、対向電極(アノード)としては、例えば管状黒鉛等を好ましく用いることができる。
イットリウムは例えば三フッ化イットリウム(YF)等の塩として電析浴に含有させることができる。電析浴中のイットリウム含有量は例えば0.5mol%〜5.0mol%の範囲を好ましく採用できる(例えば3.5mol%等。)。ここで電析浴中のイットリウム含有量がA mol%であるとは、電析浴中の全陽イオン中のイットリウムイオン(Y3+)のモル比がA%であることを意味する。
水溶液中での電析反応では定電流法による電析が一般的であるが、溶融塩電析法において定電流法を採用することは必ずしも容易でないため、本発明における溶融塩電析では定電位法を採用することが好ましい。図4は、YF(3.5mol%)含有NaCl−KCl混合溶融塩電析浴(750℃)中で測定したニッケル作用極のAg/AgCl参照電極に対するカソード分極曲線(実線)である。なお図4中、点線によるプロットはYF無添加のNaCl−KCl混合溶融塩電析浴中で測定した測定結果を表す。このようなカソード分極曲線を測定することによって、適切な電析カソード電位を決定できる。電析所要時間の短縮と電力効率向上とを両立させる観点から、カソード電位を負に掃引したときにカソード電流密度の絶対値が下に凸の増加から直線的な増加に転じる電位以上の電位が電析カソード電位として好ましい。また、カソード電位が−2.4Vを下回ると電離イオン種のNaおよびKイオンの還元反応が起こるので、Yの電析電位は−2.4V以上に設定するのが好ましい。図4のカソード分極曲線からは、−2.4V〜−2.1Vの範囲(対Ag/AgCl参照電極。例えば−2.2V等。)のカソード電位が好ましいといえる。
S102におけるイットリウムの電析時間は、熱サイクル条件下でのAl被膜の耐剥離性(耐サイクル酸化性能)をより高める観点から、例えばYF(3.5mol%)含有NaCl−KCl混合溶融塩電析浴(750℃)中においてカソード電位を−2.2V(対Ag/AgCl参照電極)に保持した場合には、0.08ks〜0.24ks(ただし1ks=1000秒。)(Al電析工程S104後のY含有層厚さにして概ね6μm〜17μmに対応する。)が好ましく、0.10ks〜0.21ks(Al電析工程S104後のY含有層厚さにして概ね7μm〜15μmに対応する。)がより好ましく、0.12ks〜0.18ks(Al電析工程S104後のY含有層厚さにして概ね7.5μm〜13μmに対応する。)が特に好ましい。本発明においては、イットリウムを用いることにより、このように比較的広い範囲のY電析量(Y電析時間)について良好な耐サイクル酸化性能を発揮させることが可能になる。
(Ni電析工程S103)
Ni電析工程S103(以下、単に「S103」と略記することがある。)は、S102においてイットリウムを電析させた表面にニッケルを電析させる工程である。ニッケルは水溶液中から電析させることが好ましい。水溶液電析法によるNiの電析には公知の電析浴を使用可能であり、好ましい電析浴としては例えばワット浴を挙げることができる。ワット浴での電析温度は30℃〜60℃の範囲を好ましく採用できる(例えば50℃等。)。S103での水溶液中からのNi電析は定電流制御で行うことが好ましく、印加電流密度は10mA/cm〜30mA/cmの範囲を好ましく採用できる(例えば20mA/cm等。)。S103における単位表面積あたりのNi電析量は、通常10mg/cm〜60mg/cmであり、好ましくは15mg/cm〜40mg/cmである。例えば単位表面積当たりのNi電析量を18.2mg/cmとする場合には、例えば印加電流密度を20mA/cmに保持する定電流制御を行って電析時間を総計3.0ks等とすればよい。
(Al電析工程S104)
Al電析工程S104(以下、単に「S104」と略記することがある。)は、S103においてニッケルを電析させた表面に溶融塩電析によってアルミニウムを電析させる工程である。アルミニウムも上記イットリウムと同様に、水溶液中からの電析が困難であるが、溶融塩浴中からであればアルミニウムを電析させることができる。S104における溶融塩電析は、イットリウム塩の代わりにアルミニウム塩を電析浴に含有させ、カソード電位及び電析時間を変更するほかは、S102について上述したものと同様の電析条件(例えばNaCl−KCl混合溶融塩浴、浴温度750℃等。)で行うことができる。なお、対向電極(アノード)としては、例えば管状黒鉛や黒鉛棒等を好ましく用いることができる。
アルミニウムは例えば三フッ化アルミニウム(AlF)等の塩として電析浴に含有させることができる。図5は、AlF(0〜5mol%)含有NaCl−KCl混合溶融塩電析浴(750℃)中で測定したニッケル作用極のAg/AgCl参照電極に対するカソード分極曲線である。図5のカソード分極曲線から、電析浴中のアルミニウム含有量は例えば1mol%〜5mol%の範囲(例えば3.5mol%等。)を好ましく採用でき、カソード電位としては−1.6V以上−1.25V以下の範囲(対Ag/AgCl参照電極。例えば−1.4V等。)を好ましく採用できることが判る。ここで電析浴中のアルミニウム含有量がA mol%であるとは、電析浴中の全陽イオン中のアルミニウムイオン(Al3+)のモル比がA%であることを意味する。
S104におけるアルミニウムの好ましい電析時間は、S103で電析させたニッケルの量に対応して定まる。例えばS103で単位表面積当たりのNi電析量を18.2mg/cmとし、S104でAlF(3.5mol%)含有NaCl−KCl混合溶融塩電析浴(750℃)中においてカソード電位を−1.4Vに保持する定電位制御で電析を行う場合において好ましいAl電析時間としては、1.8ks〜5.4ksの範囲(例えば3.6ks等。)を例示することができる。
溶融塩電析は660℃以上といった高温(例えば750℃等。)で行うので、S104においては、アルミニウムが電析されると同時にAl、Ni、及びYの相互拡散(合金化)が進行する。図6は、S104における金属元素の相互拡散を模式的に説明する図である。図6に示すように、作用極表面にアルミニウムが電析される反応と同時に、S103で形成したNi層のニッケルと還元析出するアルミニウムとの相互拡散が進行する。さらに、S102で形成したY層のイットリウムと、S103で電析されたニッケル及びS104で電析され内部へと拡散してきたアルミニウムとの相互拡散も進行する。よってS101からS104までを経ることにより、イットリウムを含有するNiアルミナイド被覆層を金属基材表面に形成することができる。
(Niアルミナイド被覆)
図7(A)(B)及び(C)は、Niアルミナイド被覆方法S100によって形成され得るNiアルミナイド被覆の典型的な層構成例を模式的に説明する図である。図7(A)〜(C)のいずれの層構成においても、S104においてAlが電析すると同時にAl及びNiが被覆の深さ方向に拡散したことにより、被覆の表面にNi−Al合金層が形成されている。加えて、S104においてYが被覆の深さ方向に拡散したことにより、該Ni−Al合金層の下層に、少なくともNi−Al−Y合金層を含むY含有層が形成されている。該Y含有層はNiアルミナイド被覆の外表面から15μm以上の深さに形成されている。
図7(A)及び(B)は、Niアルミナイド被覆の最も表層側に、概ねNiAlの組成を有する、Al濃度が相対的に低いNi−Al合金層が形成され、当該Ni−Al合金層と金属基材との間に、イットリウムを含有するイットリウム含有層(Y含有層)が形成されている層構成を示す。図7(A)の層構成においては、Y含有層が、金属基材表面に形成されたNi−Y合金層と、該Ni−Y合金層と上記Ni−Al合金層との間に形成されたNi−Al−Y合金層とを有する。他方、図7(B)の層構成においては、図7(A)の形態と比較してS104におけるAlの拡散がさらに進行したことにより、Y含有層がその全ての深さにおいてAlを含有し、Ni−Al−Y合金層となっている。
図7(C)の層構成は、図7(B)の層構成における上記Al濃度が相対的に低いNi−Al合金層(以下、「第1のNi−Al合金層」ということがある。)の表層側に、概ねNiAlの組成を有する、Al濃度が相対的に高いNi−Al合金層(以下、「第2のNi−Al合金層」ということがある。)がさらに形成された形態とみなすことができる。かかる第2のNi−Al合金層は、S104においてAlの電析と同時にAlとNiとの相互拡散が進行するところ、該相互拡散が一定程度進行したことによって、Alが電析する作用極の表面近傍において、第1のNi−Al合金層(組成NiAl)を形成するにはNiに対してAlが過剰となったことにより生成すると考えることができる。
図7(A)〜(C)のいずれの層構成のNiアルミナイド被覆によっても、熱サイクル条件下におけるAl酸化物被膜の耐剥離性を高めることが可能である。
上記したように、Niアルミナイド被覆方法S100によって形成されるNiアルミナイド被覆においては、被覆表面からY含有層までの深さが15μm以上となるようにS102、S103、及びS104の各工程を実施する。かかる要件は、上述した好ましい電析条件の範囲内で各工程を実施することによって充足することができる。ただし、第1の本発明の金属材料のNiアルミナイド被覆方法は当該形態に限定されるものではない。必ずしも上述した好ましい電析条件の範囲内にない場合であっても、例えばイットリウムの電析量に対するニッケル及びアルミニウムの電析量を適宜調整することにより、当該要件を充足することも可能である。
<2.金属材料のNiアルミナイド被覆方法(第2の本発明)>
第2の本発明に係る金属材料のNiアルミナイド被覆方法について説明する。図8は、第2の本発明の金属材料のNiアルミナイド被覆方法S200(以下、「Niアルミナイド被覆方法S200」あるいは単に「S200」と略記することがある。)を説明するフローチャートである。図8に示すように、Niアルミナイド被覆方法S200は、金属基材準備工程S201と、第1のNi電析工程S202と、Y電析工程S203と、第2のNi電析工程S204と、Al電析工程S205と、をこの順に有する。
(金属基材準備工程S201)
金属基材準備工程S201(以下、単に「S201」ということがある。)は、第1の本発明について上述した金属基材準備工程S101と同様の工程である。
(第1のNi電析工程S202)
第1のNi電析工程S202(以下、単に「S202」ということがある。)は、S201で準備した金属基材の表面にニッケルを電析させる工程である。ニッケルの電析は、Ni電析量の点を除いて、第1の本発明について上述したNi電析工程S103と同様に行うことができる。なおNi電析量は、定電流制御であれば電流密度及び電析時間から一義的に定まる。S202におけるNi電析量は、後述する第2のNi電析工程S204におけるNi電析量との合計が、所望のNi電析量(例えば10mg/cm〜60mg/cm等。)となるように決定する。
(Y電析工程S203)
Y電析工程S203(以下、単に「S203」ということがある。)は、S202でニッケルを電析させた表面に溶融塩電析によってイットリウムを電析させる工程である。イットリウムの電析は、第1の本発明について上述したY電析工程S102と同様に行うことができる。ただし、上述のように溶融塩電析は高温で行われることから、イットリウムの電析反応と同時に、電析したイットリウムとS202で既に電析させたニッケルとの相互拡散が進行し得る。
(第2のNi電析工程S204)
第2のNi電析工程S204(以下、単に「S204」ということがある。)は、S203でイットリウムを電析させた表面にニッケルを電析させる工程である。ニッケルの電析はS202と同様に行うことができ、上述のように、S202でのNi電析量とS204でのNi電析量との合計(以下、「総Ni電析量」ということがある。)が、所望のNi電析量(例えば10mg/cm〜60mg/cm等。)となるように、Ni電析量(定電流制御であれば電流密度及び電析時間)を調整する。
(Al電析工程S205)
Al電析工程S205(以下、単に「S205」ということがある。)は、S204でニッケルを電析させた表面に溶融塩電析によってアルミニウムを電析させる工程である。S205は、第1の本発明について上述したAl電析工程S104と同様に行うことができる。Alの電析と同時に拡散が進行する点についても同様である。
(Niアルミナイド被覆)
図9(A)及び(B)は、Niアルミナイド被覆方法S200によって形成され得るNiアルミナイド被覆の典型的な層構成例を模式的に説明する図である。図9(A)(B)のいずれの層構成においても、S205においてAlが電析すると同時にAl及びNiが被覆の深さ方向に拡散したことにより、被覆の表面にNi−Al合金層が形成されている。加えて、S205においてYが被覆の深さ方向に拡散したことにより、少なくともNi−Al−Y合金層を含むY含有層が形成されている。該Y含有層はNiアルミナイド被覆の外表面から15μm以上の深さに形成されている。
図9(A)に示す層構成は、第1の本発明のNiアルミナイド被覆方法S100によって形成され得るとして上述した図7(C)の層構成と同様の形態である。
図9(B)に示す層構成は、図9(A)の形態において、金属基材とNi−Al−Y合金層との間にさらにNi−Al合金層が形成された形態とみなすことができる。図9(B)の層構成は、S202におけるNi電析量のS204におけるNi電析量に対する比が一定以上の値に達した場合等に発現する。
図9(A)(B)のいずれの層構成のNiアルミナイド被覆によっても、熱サイクル条件下におけるAl酸化物被膜の耐剥離性を高めることが可能である。
Niアルミナイド被覆方法S200においては、同一の総Ni電析量の枠内であれば、他の条件が同一である限りにおいて、S202におけるNi電析量とS204におけるNi電析量との比が、S200によって最終的に形成されるNiアルミナイド被覆における被覆表面からY含有層までの深さに、概ね線形に反映される。例えば、S203においてYF(3.5mol%)含有NaCl−KCl混合溶融塩電析浴(750℃)中、カソード電位を−2.2V(対Ag/AgCl参照電極)に保持する定電位制御を行ってイットリウムの電析時間を0.18ksとし;S202及びS204でのニッケルの電析をワット浴(50℃)中、印加電流密度を20mA/cmに保持する定電流制御で行い、総Ni電析量を18.2mg/cm(電析時間にして合計3.0ksに対応)とし;S205においてAlF(3.5mol%)含有NaCl−KCl混合溶融塩電析浴(750℃)中、カソード電位を−1.4V(対Ag/AgCl参照電極)に保持する定電位制御を行ってAl電析時間を3.6ksとする場合に、完成したNiアルミナイド被覆の被覆表面からイットリウム含有層までの深さを15μm以上とするには、第2のNi電析工程S204でのNi電析時間を2.1ks(Ni電析量にして12.7mg/cmに対応)以上とすればよい。
なお、上記第1及び第2の本発明に係る金属材料のNiアルミナイド被覆方法においては、被覆を構成する金属を電析によって析出させることから、従来の真空プラズマ溶射法よりも緻密なNiアルミナイド被覆層が得られるので、溶射法で形成した被覆層のように溶射膜の微細な空孔からOが入り込んで被覆層内部から酸化が進行する事態を抑制できる。また、真空が不要であるため大面積材料へのコーティングが可能となる。従来の真空プラズマ溶射法より設備コスト及びランニングコストを低減することも可能となる。
また、Y、Ni、及びAlの3種の金属元素を別個に段階的に電析させるので、共電析させる場合に比べてYのNiアルミナイド層内部への含有が容易である。さらには、電析浴組成等の電析条件の管理が容易であり、したがってNiアルミナイド被覆を再現性よく形成することが容易になる。
<3.Niアルミナイド被覆金属材料>
第3の本発明に係るNiアルミナイド被覆金属材料について説明する。図10は、第3の本発明の一実施形態に係るNiアルミナイド被覆金属材料100の層構成を模式的に説明する図である。図10に示すように、Niアルミナイド被覆金属材料100は、金属基材10と、金属基材10の表面上に電析によって形成されたニッケルアルミナイド被覆層20とを有する。ニッケルアルミナイド被覆層20は、Ni−Al−Y合金層25と、該Ni−Al−Y合金層25の表層側に接するNi−Al合金層27とを有する。そして、NI−Al−Y合金層25は、ニッケルアルミナイド被覆層20の被覆最外表面20aから15μm以上の深さにある。
(金属基材10)
金属基材10としては、第1及び第2の本発明について上述した各種の金属基材(例えばNi−10Cr−8Al等。)を使用可能である。
(ニッケルアルミナイド被覆層20)
ニッケルアルミナイド被覆層20は、電析によって金属基材10の表面上に形成された層であり、上述した第1又は第2の本発明に係る金属材料のNiアルミナイド被覆方法によって特に好適に形成することができる。上記のようにイットリウムの溶融塩電析、ニッケルの好ましくは水溶液中からの電析、及びアルミニウムの溶融塩電析を順に行うことにより、Ni−Al−Y合金層25及びNi−Al合金層27が形成される。上述したように、Y、Ni、Alの3成分の電析量及び電析時間を適宜調整することにより、NI−Al−Y合金層25の、被覆最外表面20aからの深さを15μm以上とできる。
(Ni−Al−Y合金層25/Ni−Al合金層27)
Ni−Al合金層27の一形態としては、第1の本発明について図7(A)及び(B)に図示したように、その被覆深さ方向の全体にわたって概ねNiAlの組成を有している形態を例示できる。また、Ni−Al合金層27の他の形態としては、第1の本発明について図7(C)に、また第2の本発明について図9(A)及び(B)に図示したように、概ねNiAlの組成を有する層と、その表層側に接して形成された概ねNiAlの組成を有する層とを含む形態を例示できる。
Ni−Al−Y合金層25の被覆最外表面20aからの深さは15μm以上であり、より好ましくは20μm以上である。また、通常90μm以下であり、好ましくは60μm以下である。Ni−Al−Y合金層25の被覆最外表面20aからの深さを上記下限値以上とすることにより、酸化的条件下において、被覆の最外表面に生じるAl酸化物被膜から連続して、Alが被覆の深さ方向に向けて他の部分より突出して成長してなるAl突出成長部(後述)が多数形成されるので、良好な釘づけ効果が発揮され、熱サイクル条件下におけるAl酸化物被膜の耐剥離性を高めることが可能になる。また、Ni−Al−Y合金層25の被覆最外表面20aからの深さを上記上限値以下とすることにより、熱サイクル条件下においてAl突出成長部をより早期に形成することができるので、熱サイクル初期におけるAl酸化物被膜の剥落を抑制することが容易になる。
なお、本発明に関する上記説明では、Ni−Al−Y合金層25が金属基材10に接して形成されている形態のNiアルミナイド被覆金属材料100を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば第1の本発明について図7(A)に図示したように、Ni−Al−Y合金層と金属基材との間にNi−Y合金層が形成されている形態のNiアルミナイド被覆金属材料とすることも可能である。また、例えば第2の本発明について図9(B)に図示したように、Ni−Al−Y合金層と金属基材との間にさらにNi−Al合金層が形成されている形態のNiアルミナイド被覆金属材料とすることも可能である。
<4.Al被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料>
第4の本発明に係るAl被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料について説明する。図11(A)は、第4の本発明の一実施形態に係るAl被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料200の層構成を模式的に説明する図である。また、図11(B)は、第4の本発明の他の実施形態に係るAl被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料200’の層構成を模式的に説明する図である。
図11(A)に示すように、Al被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料200(以下、単に「200」と略記することがある。)は、金属基材110と、その表面上に形成されたNi−Al−Y合金層125と、その表層側に接して形成されたNi−Al合金層127とを有し、最外表面にさらにAl酸化物被膜層130を有している。Al被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料200は、上記第3の本発明に係るNiアルミナイド被覆金属材料100が酸化的条件下に置かれたことにより形成されたものであり、金属基材110は上記金属基材10に、Ni−Al−Y合金層125は上記Ni−Al−Y合金層25に、Ni−Al合金層127は上記Ni−Al合金層27に対応している。
図11(B)に示すAl被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料200’(以下、単に「200’」と略記することがある。)は、図11(A)に示す200が加熱とともに酸化的条件下にさらに置かれることにより形成される。200’におけるAl酸化物被膜層130’は、上記200におけるAl酸化物被膜層130に対応している。Al酸化物被膜層130’は、当該Al酸化物被膜層130’と連続した、Al突出成長部130’a、130’a、…(以下、単に「Al突出成長部130’a」ということがある。)を有している。Al突出成長部130’aは、Al酸化物被膜130’から連続して、被覆の深さ方向に向けてAlが他の部分より突出して成長してなる部位であり、Ni−Al合金層127に食い込むように形成されている。このようにAl突出成長部130’a、130’a、…が形成されることにより、釘づけ効果が発揮されるので、熱サイクル条件下におけるAl酸化物被膜130’の耐剥離性を高めることができる。
Al突出成長部130’aの突端部の被覆最外表面からの深さ(図11(B)中のD。以下、「Al突出成長深さ」ということがある。)は、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、特に好ましくは15μm以上である。また、通常50μm以下である。上記下限値以上の深さまでAl突出成長部130’aが成長することにより、一層良好な釘づけ効果が発揮される。
第1、第2、及び第3の本発明において、Ni−Al−Y合金層の被覆表面からの深さが深いほど、第4の本発明においてAl突出成長深さが深くなる傾向にある。したがって、Niアルミナイド被覆を形成する際にNi−Al−Y合金層の被覆表面からの深さを調整することにより、被覆した金属材料が酸化的条件下に置かれた際のAl突出成長深さを制御することが可能である。
なお、Al突出成長部の形成メカニズムについて、本発明者らは次のように推定している。図11(A)の状態からさらに加熱を受けると、Ni−Al−Y合金層125からNi−Al合金層127へ、Ni−Al合金の結晶粒界を通ってイットリウムが拡散する。さらに、酸化的雰囲気下では、Al被膜130からNi−Al合金層127へ酸素が拡散する。そしてNi−Al合金層127中において、Ni−Al−Y合金層125から拡散してきたイットリウムとAl被膜130から拡散してきた酸素とが結合し、Ni−Al合金の結晶粒界において微小なY酸化物相が発生する。この微小なY酸化物相を核として、これを取り囲むようにAlが成長する。このようなY酸化物相の発生とAl成長のサイクルが繰り返されることにより、Ni−Al合金の結晶粒界に沿って明確な楔形状のAl突出成長部130’a、130’a、…が形成されると考えられる。
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳述する。ただし本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
第1の本発明に係る金属材料のNiアルミナイド被覆方法により、第3の本発明に係るNiアルミナイド被覆金属材料を作製した実施例である。
(金属基材準備工程)
金属基材としては、アーク溶解法により作製したNi−Cr(10原子%)−Al(8原子%)合金を使用した。
(Y電析工程)
当モル組成のNaCl−KCl混合塩中にYF(関東化学社製)を3.5mol%添加した溶融塩浴(浴温度750℃)中において、上記Ni−Cr−Al合金試料を作用極(カソード)とし、管状黒鉛を対向電極(アノード)として、Ar雰囲気下、カソード分極電位を−2.2V(対Ag/AgCl参照電極(0.1))に保持する定電位制御により、合金上にYを溶融塩電析させた。Y電析時間は0.18ksとした。
(Ni電析工程)
ワット浴(浴温50℃)中、上記Yを電析させた試料を作用極(カソード)とし、ニッケル板を対向電極(アノード)として、カソード電流密度を20mA/cmに保持する定電流制御により、試料表面にNiを電析させた。Ni電析時間は3.0ksとした。なお、ワット浴の組成は、硫酸ニッケル(NiSO)33質量%、塩化ニッケル(NiCl)4.5質量%、ホウ酸4.0質量%、残部を水とした。
(Al電析工程)
当モル組成のNaCl−KCl混合塩中にAlF(関東化学社製)を3.5mol%添加した溶融塩浴(浴温度750℃)中において、上記Ni電析後の試料を作用極(カソード)とし、管状黒鉛を対向電極(アノード)として、Ar雰囲気下、カソード分極電位を−1.4V(対Ag/AgCl参照電極(0.1))に保持する定電位制御により、合金上にAlを溶融塩電析させた。Al電析時間は3.6ksとした。
<実施例2>
第2の本発明に係る金属材料のNiアルミナイド被覆方法により、第3の本発明に係るNiアルミナイド被覆金属材料を作製した実施例である。金属基材は実施例1と同様のものを使用した。
(第1のNi電析工程)
実施例1のNi電析と同様にして、金属基材表面にNiを電析させた。電析時間は0.9ksとした。
(Y電析工程)
実施例1のY電析工程と同様にして、Niを電析させた試料表面にYを溶融塩電析させた。電析時間も実施例1と同じく0.18ksとした。
(第2のNi電析工程)
実施例1のNi電析と同様にして、Y電析後の試料表面にNiを電析させた。電析時間は2.1ksとした。
(Al電析工程)
実施例1のAl電析工程と同様にして、Niを電析させた試料表面にAlを溶融塩電析させた。電析時間も実施例1と同じく3.6ksとした。
<実施例3>
第1のNi電析工程及び第2のNi電析工程における電析時間をそれぞれ1.8ks及び1.2ksに変更した以外は、実施例2と同様にして、Niアルミナイド被覆金属材料を作製した。
<比較例1>
第1のNi電析工程及び第2のNi電析工程における電析時間をそれぞれ2.7ks及び0.3ksに変更した以外は、実施例2と同様にして、Niアルミナイド被覆金属材料を作製した。
<比較例2>
Y電析工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、Niアルミナイド被覆金属材料を作製した。
<比較例3>
実施例1で用いたNi−10Cr−8Al合金基材に何の被覆処理も行わなかった比較例である。
<比較例4>
イットリウムに替えてハフニウム(Hf)を電析させた比較例である。実施例1のY電析工程において、YFの代わりにHfFを溶融塩浴に含有させ、−1.7V(対Ag/AgCl参照電極)の定電位電解(電析時間:3.6ks)とした以外は実施例1と同様にして、Niアルミナイド被覆金属材料を作製した。
<評価方法>
(断面観察及び被覆深さ方向の組成分布)
実施例1〜3、比較例1及び4で作製したNiアルミナイド被覆試料について、それぞれ次のようにして断面を観察し、また被覆深さ方向の組成分布を分析した。
試料を自動精密切断機で深さ方向に切断し、断面を研磨紙により研磨処理したサンプルについて、走査電子顕微鏡(SEM)(日本電子社製JXA−8230、加速電圧15kV、反射電子検出)で観察した。さらに、エネルギー分散X線分光(EDS)により被覆深さ方向にライン分析を行い、組成分布を算出した。
(サイクル酸化試験)
サイクル酸化試験は大気中で行った。室温の試料を電気炉中で0.18ksかけて1150℃まで昇温し、当該温度で3.6ksの間保持し、その後試料を電気炉から取り出すことにより0.03ksかけて室温まで急冷した。これを1サイクルとし、最長60サイクルまで試験を行った。1サイクル毎に試料の質量を測定し、初期質量からの単位表面積あたりの質量増加を算出した。
(サイクル酸化試験後の断面観察)
実施例1〜3、比較例1及び4の試料について、サイクル酸化試験後の試料について断面をSEM観察した。SEM観察は上記のサイクル酸化試験前の断面観察と同様に行った。
<評価結果>
(断面観察及び被覆深さ方向の組成分布)
実施例1〜3、比較例1及び4で作製したNiアルミナイド被覆試料について、断面SEM像及び組成分布のライン分析結果を図12〜14に示す。実施例1の試料ではY含有層が被覆表面から50〜62μmの深さに分布しており、比較例1の試料ではY含有層が被覆表面から5〜45μmの深さに分布していることがわかる。
実施例1〜3及び比較例1の試料について、Niアルミナイド被覆表面からY含有層までの深さを、第1のNi電析工程の電析時間に対してプロットしたグラフを図15に示す。なお実施例1の「第1のNi電析工程の電析時間」は0としている。実施例1〜3及び比較例1のいずれの試料においても総Ni電析時間は3.0ksであるところ、第1のNi電析工程でのNi電析時間を長くするほどY含有層の深さは浅くなることが判る。特に、Y電析工程でNiとYとの相互拡散が進行しうる実施例2〜3及び比較例1の試料に関しては相関係数R=0.993であり、概ね線型である。
これら断面観察及び深さ方向の組成分布の分析から、Yの電析前のNi電析量を変更することにより、Niアルミナイド被覆のY含有深さを調整できることが示された。
(サイクル酸化試験)
実施例1〜3及び比較例1〜3の試料についてサイクル酸化試験を行った結果を図16(A)に、また、比較例4の試料についての結果を図16(B)に、それぞれ示す。このグラフで初期質量からの質量増分が増すときは、酸化物が生成ないしは成長したことを意味する。一方、初期質量からの質量増分が減少するときは、酸化物が剥落したことを意味する。したがって、初期質量からの質量増分が減少を始めるサイクル数によって、その試料の耐サイクル酸化性能を定量的に評価できる。
何の被覆処理も行わなかった比較例3の試料は、4サイクル目以降、質量が減少する一方であった。すなわち酸化物被膜が生成しては熱応力で剥落することを繰り返しており、Ni−10原子%Cr−8原子%Al耐熱合金自体は耐酸化性能が低いことを反映している。
イットリウムを含有しないNiアルミナイド被覆を形成した比較例2の試料は、初期質量からの質量増分が12サイクルで減少に転じた。
被覆表面からY含有層までの深さが5μmと浅かった(図15参照)比較例1の試料は、初期質量からの質量増分が21サイクルで減少に転じた。
イットリウムの代わりにハフニウムを含有させた比較例4の試料は、Hf含有層の深さは15μm以上であった(図14参照)にもかかわらず、初期質量からの質量増分が30サイクルで減少に転じた。
これに対し、被覆表面からY含有層までの深さが15μm以上であった(図15参照)実施例1〜3の試料においては、本試験における最大測定回数である60サイクル目に至っても、初期質量からの質量増分が減少に転じることなく維持されており、耐サイクル酸化性能が著しく向上していた。言い換えれば、Al酸化物被膜の剥離が極めて効果的に抑制されていた。
これらサイクル酸化試験の結果から、本発明によれば、熱サイクル条件下におけるAl酸化物被膜の耐剥離性をより高めることが可能な、金属材料のNiアルミナイド被覆方法を提供できることが示された。
(サイクル酸化試験後の断面観察)
実施例1〜3及び比較例1の試料について、サイクル酸化試験後の断面SEM像を図17に示す。また、比較例4の試料について、サイクル酸化試験後の断面SEM像を図18(A)(B)及び(C)に示す。なお図18(B)及び(C)は、図18(A)中の酸化物被膜の部分拡大像である。
実施例1〜3の試料においては、最表層のAl酸化物被膜と連続した、明確な楔状のAl突出成長部が多数形成されていた。またその突端部の被覆表層からの深さと、Y含有層の深さとの間には正の相関が認められた。
他方、Y含有層が浅かった比較例1の試料においては、被覆表層に沿ったAl被膜が認められるのみであり、Al突出成長部は観察されなかった。
また、YでなくHfを含有させた比較例4の試料においては、Alが合金被覆層内部に入り込んで成長した部位が認められたものの、被覆深さ方向にAlが成長している部分と成長していない部分との別が明確でなく、実施例1〜3におけるような明確なAl突出成長部の形成は認められなかった。このことは、YはNi−Al合金の結晶粒界を拡散する性質を有するのに対して、HfはNi−Al合金の結晶粒内を拡散する性質を有することに起因すると考えられる。
これらサイクル酸化試験後の断面SEM像から、本発明によって形成したNiアルミナイド被覆においては、酸化的環境下で最表層のAl酸化物被膜と連続した明確なAl突出成長部が形成され、該突出成長部が高い釘づけ効果を発揮することにより、Al酸化物被膜の耐剥離性を高めることが理解される。
100 Niアルミナイド被覆金属材料
10、110 金属基材
20 ニッケルアルミナイド被覆層
25、125 Ni−Al−Y合金層
27、127 Ni−Al合金層
200、200’ Al被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料
130、130’ Al酸化物被膜
130’a Al突出成長部

Claims (10)

  1. 金属基材を用意する工程と、
    前記金属基材表面に溶融塩電析によってイットリウムを電析させる、Y電析工程と、
    イットリウムを電析させた表面にニッケルを電析させる、Ni電析工程と、
    ニッケルを電析させた表面に溶融塩電析によってアルミニウムを電析させる、Al電析工程と
    を上記順に有し、
    前記Al電析工程後において、被覆表面からイットリウム含有層までの深さが15μm以上となる、
    金属材料のNiアルミナイド被覆方法。
  2. 金属基材を用意する工程と、
    前記金属基材表面にニッケルを電析させる、第1のNi電析工程と、
    前記第1のNi電析工程においてニッケルを電析させた表面に溶融塩電析によってイットリウムを電析させる、Y電析工程と、
    前記Y電析工程においてイットリウムを電析させた表面にニッケルを電析させる、第2のNi電析工程と、
    前記第2のNi電析工程においてニッケルを電析させた表面に溶融塩電析によってアルミニウムを電析させる、Al電析工程と
    を上記順に有し、
    前記Al電析工程後において、被覆表面からイットリウム含有層までの深さが15μm以上となる、
    金属材料のNiアルミナイド被覆方法。
  3. 前記Al電析工程後において、被覆表面からイットリウム含有層までの深さが90μm以下となる、
    請求項1又は2に記載の金属材料のNiアルミナイド被覆方法。
  4. 前記イットリウムの電析及び前記アルミニウムの電析を定電位法により行う、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属材料のNiアルミナイド被覆方法。
  5. 前記Y電析工程において、Ag/AgCl参照電極に対するカソード電位を−2.4V以上−2.1V以下に保持し、
    前記Al電析工程において、Ag/AgCl参照電極に対するカソード電位を−1.6V以上−1.25V以下に保持する、
    請求項4に記載の金属材料のNiアルミナイド被覆方法。
  6. 金属基材と、電析によって前記金属基材表面上に形成されたニッケルアルミナイド被覆層とを有し、
    前記ニッケルアルミナイド被覆層が、Ni−Al−Y合金層と、該Ni−Al−Y合金層の表層側に接するNi−Al合金層とを有し、
    前記Ni−Al−Y合金層が、被覆最外表面から15μm以上の深さにある、
    Niアルミナイド被覆金属材料。
  7. 前記金属基材が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属材料のNiアルミナイド被覆方法によって被覆されてなる、
    請求項6に記載のNiアルミナイド被覆金属材料。
  8. 請求項6又は7に記載のNiアルミナイド被覆金属材料が、被覆最外表面にAl酸化物被膜層を有する、
    Al被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料。
  9. 前記Al酸化物被膜層が、Alが前記ニッケルアルミナイド被覆層の深さ方向に他の部分より突出して成長してなる、前記Al酸化物被膜層と連続したAl突出成長部を複数有する、
    請求項8に記載のAl被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料。
  10. 前記Al突出成長部の突端部の、被覆最外表面からの深さが、15μm以上50μm以下である、
    請求項9に記載のAl被膜形成Niアルミナイド被覆金属材料。
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CN108866394A (zh) * 2018-07-20 2018-11-23 中国科学院金属研究所 一种高温抗氧化腐蚀涂层合金和涂层

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