明 細 書 耐酸化性合金皮膜、 耐酸化性合金皮膜の製造方法および耐熱性金属 部材 技術分野
この発明は、 耐酸化性合金皮膜、 耐酸化性合金皮膜の製造方法およ び耐熱性金属部材に関し、 各種の高温装置部材に適用して好適なもの である。 背景技術
ジヱッ トエンジン、 ガスタービン、 燃焼炉、 化学プラント、 石油化 学施設、 自動車、 製鉄所などに使用されている装置あるいは部材にお いては、 高温 ·腐食環境下で稼動する場合、 酸化 ·腐食による損耗が 進行して装置の機能を低下させるとともに、 部材および装置の破壊を 誘引する。 このため、 高温 ·腐食環境下で使用される装置 ·部材の表 面には、 通常、 耐酸化 ·腐食性皮膜が形成されていることが多い。 耐酸化性合金皮膜としては、 現在、 多くの種類の皮膜が使用されて いるが、 その成膜法は拡散コーティングとォ一バレイコーティングと に大別される。 拡散コーティングはパックセメンテーシヨンとも呼ば れ、 A l、 C r、 S iなどを基材表面に拡散浸透させる方法である。 オーバレイコ一ティングは、 M C r A l Y ( M = N i、 C o、 F e ) ゃニッゲルアルミナイ ドなどの合金粒子を溶射法や電子ビーム蒸着法 によって基材表面に堆積 (ォ一バレイ) させて形成する方法である。 · 拡散コーティングについて、 少し詳しく説明する。 なお、 基材表面 に A 1 を拡散浸透させる場合はアルミナイジング、 C rを拡散浸透さ
せる場合はクロマイジング、 S i を拡散浸透させる場合はシリコナイ ジングと呼ばれることもあるが、 以下においては、 これらを総称して 拡散コ一ティングという。
すなわち、 拡散コーティングは、 基材表面に A 1、 C r、 S iなど を拡散浸透させて、 基材表面層をこれらの元素に富んだ合金層に変成 する方法を総称する。 この拡散コーティングは、 鉄鋼材料はじめステ ンレス鋼、 N i基耐熱合金、 C 0基耐熱合金などに対して行われ、 タ 一ビン、 ボイラー、 焼却炉、 石油精製装置、 自動車用部材はじめ高温 の腐食環境下で使用される多くの材料に適用されている (例えば、 金 属防食技術便覧 p p . 4 2 4〜4 4 7、 昭和 4 7年、 新日本印刷株 式会社 (文献 1 ) 参照) 。
A 1の拡散コーティングには、 商業名として、 カロライジングまた はカロラィズ、 7リティールンクなどがある (例えば、 金属表面技術 便覧 昭和 4 1年 p p . 1 3 8 0〜 1 3 9 6、 日刊工業新聞社 (文 献 2 ) 参照) '。
カロライジングでは、 A 1粉末に少量の NH4 C 1 を加えた混合物 と金属基材とを回転レトルト中に入れ、 中性雰囲気において、 8 5 0 〜 9 5 0 °Cで 4〜 6時間加熱する。 さらに、 レトルトから金属基材を 取り出した後、 8 0 0〜 1 0 0 0 °Cで 1 2〜 4 8時間加熱して、 A 1 の拡散処理を施すこともある。 - ァリティールンクは、 拡散浸透処理剤と被処理物とを炉内に充填し、 9 0 0 °C以上の温度に加熱して被処理物に A 1 を拡散浸透させる、 い わゆるパック法である (例えば、 金属便覧 平成 2年 p p . 9 2 2 〜 9 2 3、 丸善株式会社 (表 1 3. 3 0 ) (文献 3 ) および金属表面 '技術便覧 昭和 4 1年 p . 1 3 9 0、 日刊工業新聞社 (表 1 7. 6 6 ) (文献 4 ) 参照) 。 拡散浸透処理剤としては、 例えば、 F e A l
(A 1源) を 6 0重量0 /0、 NH4 C 1 (触媒化合物) を 5重量0 /0、 A 1 2 03 を 2 5重量0 /0、 M g C 1 を 5重量0 /0、 Mg F 2 を 5重量% 含むものが使用される。 さらに、 F e— 5 0 A 1合金の粉末 (A 1源) と NH4 C 1 (触媒化合物) の混合物とを拡散浸透処理剤として使用 する方法もあり、 簡便 .低コストであることから広く利用されている。 触媒化合物としては、 NH4 C 1の代わりに、 NH4 F、 N a F、 N a C 1、 N a Iなどを使用することもできる (例えば、 B.K.Gupta an d L.L.Seigle; THE EFFECT ON THE KINETICS OF PACK ALUMINIZATION OF VARYING THE ACTIVATOR, Thin Solid Fi lms, 73 (1980) , 365-371 (文献 5 ) 参照) 。
これらの A 1拡散コ一ティングでは、 上記のようにして形成される 耐酸化性合金皮膜に含まれる A 1 を選択的に酸化することにより保護 的酸化物スケール (A 1 2' 03 スケール) を形成して、 高温腐食環境 から基材を保護している。 従って、 耐酸化性合金皮膜には、 保護的 A 1 0 スケールを選択的に形成するに足る充分な量の A 1が添加さ れており、 通常、 耐酸化性合金皮膜に含まれる A 1の濃度は基材のそ れよりもかなり高い値に設計されている。
しかしながら、 上記の方法により形成される耐酸化性合金皮膜は、 高温の腐食環境下では、 以下のような現象が現れる。
( 1 ) 高温で使用中に、 耐酸化性合金皮膜に含まれる A 1の選択酸化 により A l 2 03 スケールが形成されることから、 耐酸化性合金皮膜 の表面側に A 1濃度が低下した A 1欠乏層が形成される。 一方、 耐酸 化性合金皮膜と基材との間の相互拡散が進行し、 耐酸化性合金皮膜に 含まれる A 1が基材側へ拡散し、 基材に含まれる合金元素は耐酸化性 '合金皮膜側へ拡散し、 耐酸化性合金皮膜の組成および構造が変化し、 その耐酸化性能が低下する。 このような A 1欠乏層の形成および相互
拡散のいずれも、 保護的 A 1 2 03 スケールの形成能を喪失させるた め、 もはや、 耐酸化性合金皮膜としては機能しない。
( 2 ) 基材との相互拡散は、 耐酸化性合金皮膜の元素、 濃度、 組織を 変化させると同時に、 基材の機械的特性を低下させる。 特に、 基材が N i基超合金である場合には、 topological ly close-packed phase (TC P) が形成されて、 機械的特性 (クリープ、 疲労) を著しく低 下させることが知られている (例えば、 Y. Aoki, M. Arai, M. Hosoy a, S. Masaki, Y. Koizumi, T. Kobayashi, En ine Rotor Appl icati on, Status and Perspective, Report of the 123 r d Committee on Heat Resisting Materials and Alloys, Japan Society for Proraoti on of Science, 43, No.3 (2002), 257-264 (文献 6 ) 参照) 。
上述のように、 耐酸化性合金皮膜に含まれる A 1の選択的酸化によ つて形成された保護的 A 1· 2 03 スケールの防食作用によって、 基材 は高温腐食環境から保護される。 しかしながら、 耐酸化性合金皮膜が 形成された基材に機械的荷重が付加されて基材の変形 (高温における クリープ、 疲労現象を含む) が生じる時、 および加熱 ·冷却時に発生 する熱応力が重畳される時、 保護的 A 1 2 03 スケールに亀裂が生じ、 剥離などに至る。
このように保護的 A 1 2 0 スケールに亀裂や剥離が生じると、 耐 酸化性合金皮膜に形成された A 1欠乏層が高温腐食環境に直接曝され ることになる。 この時、 この A 1欠乏層の表面には保護的酸化物であ る A l 2 0 のほかに、 N i A l 2 0 、 N i 〇、 N i C r 2 04 な どの非保護的酸化物が形成される。 このため、 この A 1欠乏層の表面 に形成された酸化物は、 もはや保護的酸化物スケールとしては機能せ ず、 耐酸化性合金皮膜の劣化を招来し、 ひいては基材の破壊をも誘発 する。
従って、 耐酸化性合金皮膜への保護的酸化物スケールの密着性を確 保し、 この保護的酸化物スケールの剥離を防止することは、 極めて重 要である。
これまで、 保護的酸化物スケールと耐酸化性合金皮膜との密着性を 改善するための方策が長年に亘つて探索されてきた。
現在、 希土類元素やランタノィ ド (ランタニド) などに属する元素、 例えば、 H f 、 Z r、 Y、 L a、 C e、 T i などの活性元素を耐酸化 性合金皮膜に適量添加すると保護的酸化物スケールの密着性の改善に 有効であることが広く知られている。 これらの活性元素は、 オーバレ イコーティングの M C r A 1 Y合金粉末に見られるように、 原料の合 金粉末に前もって添加されていることが多い (例えば、 腐食 ' 防食ハ ンドブック p p . 4 6 6〜 4 7 0、 平成 1 2年 丸善株式会社 (文 献 7 ) 参照) 。 '
拡散コーティングにより、 A 1 を含む耐酸化性合金皮膜に Yまたは H f を添加する方法として以下の方法が提案されている (例えば、 米 国特許第 3 9 9 6 0 2 1号明細書 (文献 8 ) および米国特許第 5 0 0 0 7 8 2号明細書 (文献 9 ) 参照) 。 文献 8では、 F e、 C oおよび N iからなる群より選ばれた一種の金属と、 0 . 1〜 1 0重量%の11 f とを含み、 残りが A 1であるパック剤 (拡散浸透処理剤) を用いた 耐酸化性合金皮膜の形成方法が開示されており、 この耐酸化性合金皮 膜は以下に示すパックコーティングにより形成された。 パック剤とし て、 下記のパック A、 Bを用いる。
〈パック A〉
A 1源 ( 2 0〜 4 8 ) 重量%A 1— ( 5 0〜 7 0 ) 重量0 /6 T i - ( 0 . 5〜 9 ) 重量0 /o C合金/パック剤全体の 4 重量%
触媒化合物 0. 2重量%NH4 F
H f 源 H f : 0、 0. 2、 0. 3 5、 2. 0、 3重量% (粉 末)
(H f C 1 4 、 H f F 4 でもよい) イナ一トフイラ一 (Inert filler) /残 A 1 2 〇3
〈パック B >
A 1源 F e— ( 5 1〜 6 1 ) 重量%A 1 F e 2 A 1 5 +
F e A 1 3 /パック剤全体の 4重量% 触媒化合物 0. 2重量%NH4 F
H f 源 H f : 0、 0. 2、 0. 3 5、 2. 0、 3重量0/。 (粉 末)
イナ一トフィラ一 /残 A 1 2 03
パック Aおよびパック Bとも、 加熱温度は 1 0 3 8〜 1 0 6 6 °C、 時間は 4時間、 雰囲気は水素である。
この加熱処理の結果、 アルミナイジング層が形成され、 このアルミ ナイジング層の内部および表面に存在する H f の濃度は 0 · 1〜 1 0 重量%である。
サイクル酸化試験を 1 1 5 0°C—室温で行った結果、 H f 無添加に 比較して、 いずれも 2倍以上改善した。
〈実施例〉 .
基材 R e n e 8 0
パック剤 A U (A l T i C 4 0重量0 /0)
H f 源 ( 0. 3 5重量%111"粉末)
触媒化合物 ( 0. 2重量%NH4 F ) イナ一トフイラ一 (残 A し 〇3 ) 温度 1 0 3 8 ~ 1 0 6 6 °C 時間 4時間
雰囲気 水素
結果 コーティング層の組成: N i— 2 0重量0 /oC r - 2 0 重量%A 1一 5重量%H f
文献 9には、 N i基または C 0基超合金の表面に Yを含有するアル ミナィズド層を形成する方法が開示されている。 この文献 9には、 N i基または C 0基超合金の表面に、 5〜3 5重量%ZA 1一 Y— X合 金 (X=S i、 C Γ、 C o、 N i、 T i、 Hf またはそれらの合金) 、 1〜2 0重量%/活性化剤、 残りは高温で Yによって還元されない材 料からなるパック剤を用いてコーティング層を形成すること、 5〜 3 5重量%/A 1— Y— S i合金、 1〜2 0重量%/C o I 2 、 残りが Y 2 03 からなるパック剤を用いてコーティング層を形成すること、 5〜 1 0重量%/Α 1 - Υ- S i合金、 5〜 1 0重量%/C o I 2 、 残りが Y2 03 からなるパック剤を用いてコーティング層を形成する こと、 5重量0 /ο/Α 1 - Υ- S i合金、 5重量%/C 0 I 2 、 残りが Y2 〇3 からなるパック剤を用いてコーティング層を形成すること、 A 1 - Υ- S i合金の組成として ( 2〜 2 0 ) 重量%Y、 ( 6〜 5 0 ) 重量0 /6S i、 残りが A 1からなるパック剤を用いること、 が記載され ている。
イナ一トフィラーについては次のように記載されている。 すなわち、 イナ一トフイラ一は Yによって還元されてはいけない。 さもなくば、 基材への Yの拡散は殆ど、 または全く生じないのである。 A l 2 〇3 は、 通常のコ一ティングに使用されているイナ一トフィラーであるが、 Yによって還元されるので、 もしも使用されるとより安定な Y2 03 が形成するのである。 従って、 文献 9では、 A 1 0 ではなく、 Y2 03 を使用したのはその理由による。
上述のように、 A 1、 C r、 S iなどの拡散浸透処理は、 簡便 ·低
コストの拡散コーティング皮膜の形成法として、 現在、 広く利用され ている。 例えば、 A 1の拡散コ一ティ ングは、 通常、 A 1源としての 純 A 1または A 1含有合金、 触媒化合物としての NH4 C 1およびィ ナ一トフイラ一 (焼結防止剤) としての A l 2 03 の混合粉末からな るパック剤に被コーティング金属基材を埋設し、 高温で加熱処理する ことによつて ί亍ゎれる。
一方、 保護的酸化物スケールとコーティング層 (耐酸化性合金皮膜) との密着性を改善するための金属、 例えば、 H f 、 Z r、 Y、 L a、 C eなどは、 前もって合金基体中に含有させるか、 または、 パックセ メンテーシヨ ンによって、 アルミナイジングと同時に添加する方法が 提案されている (文献 8、 9および特開平 8— 1 1 2 5 3 2号公報 (文献 1 0 ) 参照) 。
すなわち、 文献 1 0では、 拡散浸透処理剤として C r粉 6 5重量%、 A 1粉 5重量%、 F e Nb合金粉 2重量%、 N i Y合金粉 3重量%、 NH4 C 1粉 2重量0 /0、 残 A 12 03 粉を用い、 C r 6重量0 /0、 A 1 9重量0 /0、 Nb O . 2重量0 /o、 Y 0. 1重量0 /0を含むコ一ティング層 が得られたとされている。
文献 9では、 拡散浸透処理剤として 5〜 3 5重量%Α 1 _丫ー 合 金 (X=S i、 C r、 C o、 N i、 T i、 H f またはそれらの合金) 、 1〜2 0重量%活性化剤, 残は高温で Yによって還元されない材料、 例えば、 Υ 2 03 を用い、 2 0〜3 5重量%Α 1、 0. 2〜2重量% Υを含むコーティングを N i基超合金および C 0基超合金に形成する ことができるとされている。 なお、 A l 2 03 は効果が得られないの で使用しないどされている。
' 文献 8では、 拡散浸透処理材として 4 0重量%A 1 T i C粉末、 0.
3 5重量0 /oH f 粉末、 0. 2重量0 /oNH4 F粉末、 残 A 12 03 を用
い、 温度 1 0 3 8〜 1 0 6 6 °Cで 4時間、 水素雰囲気中で拡散浸透処 理を行い、 N i — 2 0重量%C r— 2 0重量%A 1 一 5重量%H f が 得られ、 コーティング層の内部および表面に存在する H f 濃度は 0 . 1〜 1 0重量%H f である。
拡散コーティングにより形成される耐酸化性合金皮膜の表面に保護 的 A 1 2 0 3 スケールを形成し、 さらに、 Aし 0 3 スケールと耐酸 化性合金皮膜との密着性を長期間に亘つて効果的に維持するためには、 耐酸化性合金皮膜に含まれる A 1濃度と活性金属の種類、 濃度および 分布とを精密に制御することが望ましいことは、 よく知られている。
しかしながら、 文献 1〜 1 0に開示されている従来の耐酸化性合金 皮膜の形成方法では、 A 1濃度と活性金属の濃度およびそれらの分布 とを制御することが難しい、 という問題がある。
耐酸化性合金皮膜の厚きは、 通常、 基材の厚さに比べて非常に薄く、 従って耐酸化性合金皮膜に含まれる A 1および活性金属の量もまた限 定されるこどになる。 すなわち、 耐酸化性合金皮膜には、 各金属の濃 度のみならず量もまた大変重要なことが理解される。
例えば、 A 1および活性金属の濃度を最適組成に設定すると、 酸化 によって A 1および活性金属が消耗してしまい、 長時間の酸化では、 もはや、 耐酸化性合金皮膜は保護的酸化物スケールの形成および酸化 物スケールとの密着性を維持することはできず、 一方、 過剰に添加す ると、 初期に急激な酸化が進行して非保護的酸化物スケールを形成す る、 という問題が生じる。
従って、 耐酸化性合金皮膜の内部に、 活性金属の溜めを作り、 酸化 によって表面から活性金属が消耗される分、 随時、 内部から補給する ' ことが望まれる。 しかしながら、 現在、 このような理想的な耐酸化性 合金皮膜は何ら提案されていない。
そこで、 この発明が解決しょうとする課題は、 内部に活性金属の溜 めを形成することができ、 高温 '腐食環境下で耐酸化性能を長期間に 直って維持することができる耐酸化性合金皮膜、 そのような耐酸化性 合金皮膜を簡便なプロセスにより低コスト ·高生産性で製造すること ができる製造方法およびこの耐酸化性合金皮膜を適用した耐熱性金属 部材を提供することである。
この発明が解決しょうとする他の課題は、 二種類以上の活性金属の 同時添加が可能な耐酸化性合金皮膜、 そのような耐酸化性合金皮膜を 簡便なプロセスにより低コスト ·高生産性で製造することができる製 造方法およびこの耐酸化性合金皮膜を適用した耐熱性金属部材を提供 することである。
上記課題は、 本明細書の以下の記述によって明らかとなるであろう。 発明の開示
本発明者ら'は、 上述の欠点を解消し、 理想的な耐酸化性合金皮膜を 実現することを目的として、 実験および理論の両面から広範な研究を 行った。 その結果、 従来の拡散コ一ティングとは本質的に異なる機構 による、 新規な原理に基づく耐酸化性合金皮膜の形成方法を見出した。 これについて以下に詳しく説明する。
従来の拡散コーティング、 例えばアルミナイジングでは、 拡散浸透 処理剤として、 A 1 または A 1含有合金、 活性金属またはそれを含む 合金、 触媒化合物としての N H 4 C l、 イナ一トフイラ一としての A 1 0 または Y 2 0 からなるものが使用されている。 この際、 ィ ナートフイラ一としての A l 2 0 または Υ 2 0 は、 パック剤の焼 '結防止などのために添加されており、 反応に関与しない。
この従来の拡散コ一ティングでは、 以下のような形成機構が提案さ
れている。 例えば、 NH4 C 1を触媒化合物として用いた場合、 まず、 NH4 C 1 -NH3 +HC 1の反応により生成した H C 1が A 1源 (例えば、 Α,Ι粉) および活性金属源 (例えば、 H f 粉) と反応して、 2A 1 + 6 HC 1 = 2A 1 C 13 + 3 H2 、 H f + 4 HC l =H f C 14 + 2 H2 の反応式に従って A 1 C 1 a および H f C 14 を生成し、 これらの A 1 C 13 および H f C 14 がガス体として移動し、 基材表 面で A Iおよび H f を析出し、 これらの A 1および H f が基材に拡散 して、 H f を含むアルミナィズド層が形成される。
一方、 本発明者らは、 例えば、 A l 2 03 +H f +NH4 C Iの混 合粉末を拡散浸透処理剤として用い、 その中に金属基材を埋設し、 ァ ルゴンガス雰囲気において高温で加熱することにより、 基材表面に H f を含むアルミナイズド層を形成することができる有効な拡散コーテ ィング法を見出した。 この方法では、 A 12 〇3 粉末は、 焼結防止剤 としてだけでなく、 アルミナイズド層を形成する A 1源として作用し ている点で、 '従来の拡散コ一ティングと本質的に異なる。
この新規な拡散コーティングでは、 以下のような形成機構が提案さ れる。 すなわち、 NH4 C 1 =NH3 +HC 1の反応により生成した HC 1が H f と反応し、 Hf + 4 HC l =H f C し + 2 H2 の反応 式に従って H f C 14 を生成し、 この H f C 14 は A 12 03 と反応 して H f 〇2 および A 1 C 13 を生成す.る。 すなわち、 3 H f C 14 + 2 A 12 03 = 3 H f 02 + 4 A 1 C 13 である。 これらの H f C 14 および A 1 C 13 はガス体として移動し、 最終的に基材表面で H f を含むアルミナイズド層を形成する。
さらに、 この新規な拡散コーティングで特徴的なことは、 アルミナ 'ィズド層を構成する、 例えばァー N i相、 ァ ' 一 N i 3 A 1相、 β— N i A 1相、 δ— N i 2 A 13 相などの各種ニッケルアルミナイ ド相
にそれぞれ特有の濃度の活性金属、 例えば、 H f を含有させることが できることである。 すなわち、 上述のように、 コ一ティング層の表面 から、 H f は酸化消耗するが、 この新規な拡散コーティングによるァ ルミナイズド層では、 H f はァ, -N i 3 A 1相に多量に含有するこ とができるので、 このァ' -N i 3 A 1相の H f が表面に拡散 ·補給 される。 つまり、 γ, -Ν i 3 A 1が H f の溜としての役割を果たし、 優れた保護的 A 12 03 スケールの密着性を長期間に亘つて維持する ことができる。
上記の形成機構から容易に推定されるように、 NH4 C 1の代わり に、 HC 1含有雰囲気、 例えば、 H2 +HC 1混合ガスを使用するこ ともできるし、 他のハロゲン化合物、 例えば、 NH4 F、 N a C 1、 N a Fなどを使用することもできる。
また、 A 12 03 の代わりに、 他の金属酸化物を使用することもで きる。
この発明は、 本発明者らが独自に行った以上の実験および理論の両 面からの研究に基づいて鋭意検討を行った結果、 案出されたものであ る。
すなわち、 第 1の発明は、
金属基材の表面に耐酸化性合金皮膜を形成するようにした耐酸化性 合金皮膜の製造方法であって、 .
前記金属基材を金属酸化物と活性金属と触媒化合物とを含む拡散浸 透処理剤に埋設して加熱処理を行うことにより前記金属酸化物を構成 する金属と前記活性金属とを含む前記耐酸化性合金皮膜を形成するよ うにしたことを特徴とするものである。
· 第 2の発明は、
金属基材の表面に形成される耐酸化性合金皮膜であって、
前記金属基材を金属酸化物と活性金属と触媒化合物とを含む拡散浸 透処理剤に埋設して加熱処理を行うことにより前記金属酸化物を構成 する金属と前記活性金属とを含んで形成されることを特徴とするもの である。
第 3の発明は、
金属基材の表面に耐酸化性合金皮膜を有する耐熱性金属部材であつ て、
前記耐酸化性合金皮膜は、 前記金属基材を金属酸化物と活性金属と 触媒化合物とを含む拡散浸透処理剤に埋設して加熱処理を行うことに より前記金属酸化物を構成する金属と前記活性金属とを含んで形成さ れることを特徴とするものである。
第 1〜第 3の発明において、 金属酸化物は、 保護的酸化物スケール を形成することができる金属の酸化物であり、 例えば、 A 1、 C rお よび S iからなる群より選ばれた少なく とも一種の金属を含む酸化物 を含み、 好適には、 A 12 0 、 C r 0 および S i 02 からなる 群より選ばれた少なく とも一種の酸化物を含むが、 これに限定される ものではない。 活性金属は、 例えば、 H f 、 Z r、 Y、 T i、 L a、 C e、 M gおよび C aからなる群より選ばれた少なく とも一種の金属 を含むが、 これに限定されるものではない。 活性金属は、 金属酸化物 を構成する金属のうちの少なく とも一種の金属をさらに含むこともあ る。 触媒化合物は、 例えば、 ハロゲン化合物、 例えば、 NH4 C 1、 NH4 F、 HC 1、 Na C lおよび NaFからなる群より選ばれた少 なく とも一種の化合物を含むが、 これに限定されるものではない。 拡 散浸透処理剤には、 必要に応じて、 拡散浸透を阻害しない限り、 金属 '酸化物、 活性金属および触媒化合物以外の物質を含ませてもよい。 拡 散浸透処理剤は、 一つの典型的な例では、 H f 、 Z r、 Y、 T iおよ
び Mgからなる群より選ばれた少なく とも一種の金属を 8 9重量%未 満、 NH4 C 1を 1〜 1 0重量0 /0含み、 残りが A 12 03 である。
ここで、 活性金属の定義について説明する。
まず、 一例として、 金属酸化物が A 12 03 (金属 : A 1、 酸素: 0) 、 活性金属が H f 、 その酸化物が Hf 02 、 触媒化合物がハロゲ ン化合物、 例えば NH4 C 1である場合を考える。 この場合、 以下の ような形成機構が提案される。
NH4 C 1は高温で熱分解する。 すなわち、
NH4 C 1 =NH3 +H C 1 ( 1 ) この HC 1は H f と反応し、 H f C 14 および H2 を生成する。 す なわち、
' H f + 4 HC l =Hf C l 4 + 2 H2 ( 2 ) この H f C 14 の一部は A 12 03 と反応し、 H f 02 および A 1 C 13 を生成する。 すなわち
3 H f C r4 + 2 A 12 03 = 3 H f 02 + 4A 1 C 13 ( 3 )
( 2 ) 式で生成した残りの H f C 14 と ( 3 ) 式で生成した A 1 C 13 とはガス体として移動し、 金属基材の表面で、 以下の反応によつ て、 H f と A 1 とを析出する。
H f C l 4 + 2 H2 = 4 HC 1 +H f (4) 2A 1 C 13 + 3 H2 = 6 H.C 1 + 2A 1 ( 5 ) なお、 (4) 式および ( 5) 式の H2 は ( 2) 式の反応で生成した ものである。
·( 4 ) 式および ( 5 ) 式で生成した H f および A 1は金属基材を構 成する金属と合金化して合金皮膜を形成する。
ここで、 H f および A 1が金属基材を構成する金属と合金化するこ とによって、 ( 4 ) 式および ( 5 ) 式は右側へ進行する。 すなわち、
08 050655 合金化することが重要である。 さもなければ、 逆反応を起こして、 元 に戻ってしまう。 上記の例では、 H f を含むアルミナィズド層が形成 される。
( 1 ) 式で生成した H C 1 は ( 2 ) 式の反応で消費されるが、 ( 4 ) 式と ( 5 ) 式では H C 1が生成される。 すなわち、 N H 4 C 1の量は 反応の前後で変化しない。 これが、 N H 4 C 1 を触媒化合物と呼ぶ所 以である。
金属酸化物を構成する金属 (上記の反応においては A 1 ) が金属基 材の表面に合金皮膜を形成することができるかどうかの判断は、 ( 3 ) 式で与えられる反応が右側に進行できるかどうかによつて決定される。
この判断を熱力学に基づいて表現すると、 ( 3 ) 式の反応に対する ギプスめ生成自由エネルギー変化が負であること、 となる。
すでに述べたように、 従来の A 1拡散浸透処理、 パック処理では、 A 1 0 3 は反応に関与せずに、 焼結防止剤 (イナ一トフイラ一) と して添加されている。 A 1 の供給源としては、 A 1粉末または A 1含 有合金を使用している。
これに対し、 上述の ( 1 ) 〜 ( 5 ) 式の反応で示される例では、 H f は触媒化合物であるハロゲン化合物との反応を経由して A 1 0 3 と反応し、 その結果として、 A 1 2 0 の A 1 がハロゲン化物として ガス体で金属基材側に拡散して、 合金皮膜を形成する。 この反応で、 H f を活性金属と呼ぶ。 それは、 通常、 A l 2 0 3 は非常に安定で、 反応には関与しないものとして考えられてきた訳であるが、 その安定 な A 1 2 0 を H f (上記の例では、 H f C 1 4 ) が A 1 C 1 3 に変 ィ匕させるということから、 活性金属と呼ぶことにしたものである。 従 つて、 この活性金属の定義は一義的なものではなく、 A l 2 0 との 反応において、 ( 3 ) 式で例示したように、 反応が熱力学的に右側に
T JP2008/050655 進行する場合、 活性金属であると定義する。
より一般的には、 触媒化合物としてハロゲン化合物を用いる場合、 耐酸化性合金皮膜の形成機構として以下のものが提案される。
ハ口ゲン化合物は高温で熱分解し、 その分解生成物が活性金属と反 応し、 この活性金属のハロゲン化物などを生成する。 このハロゲン化 物の一部は金属酸化物と反応し、 活性金属の酸化物と金属酸化物を構 成する金属のハロゲン化物とを生成する。 この活性金属の酸化物と金 属酸化物を構成する金属のハロゲン化物とを生成する反応においては、 ギプスの生成自由エネルギー変化が負である。 こうして生成された活 性金属の酸化物と金属酸化物を構成する金属のハロゲン化物とはガス 体として移動し、 金属基材の表面で分解されて活性金属と金属酸化物 を構成する金属とが析出する。 これらの金属は金属基材を構成する金 属と合金化し、 耐酸化性合金皮膜が形成される。
加熱処理は、 一般的には、 触媒化合物の熱分解温度または昇華温度 以上で金属基材の融点よりも低い温度で行う。 この加熱処理の温度の 下限は、 触媒化合物として、 例えば、 N H 4 C 1や N H 4 Fを用いる 場合はその熱分解温度約 4 0 0 °Cが目安となり、 触媒化合物として、 例えば、 N a C 1や N a Fを用いる場合はこれらの昇華が顕著になる 温度 8 0 0 °Cが目安になる。 この加熱処理の温度は、 例えば、 金属基 材として N i基超合金を用いる場合は 6 .0 0 °C以上、 実用的には 7 0 o °c以上である。 ごく薄い耐酸化性合金皮膜を形成する場合は、 より 低温で行うのが望ましい。 加熱処理は、 典型的には、 不活性ガスまた は水素ガスの雰囲気において 7 0 0〜 1 3 4 0 °Cの温度で 1分〜 2 5 時間行う。
· 金属基材は、 特に限定されず、 用途や機能などに応じて要求される 特性を満たすものが適宜選ばれるが、 単体金属、 例えば N iや、 各種
の合金、 具体的には、 N i基合金、 N i基耐熱合金、 N i基超合金、 N i基単結晶超合金、 F e基耐熱合金、 C 0基耐熱合金などが用いら しる σ
第 1の発明による耐酸化性合金皮膜および第 2の発明による耐酸化 性合金皮膜の製造方法は、 従来の拡散コーティングにより製造される 耐酸化性合金皮膜を代替して、 各種の部材、 機器、 装置などに適用す ることができる。
第 3の発明による耐熱性金属部材は、 特に限定されないが、 例えば、 ジヱッ トエンジンまたはガスタービンの部材、 動翼または静翼、 燃焼 器、 燃料噴射ノズル、 燃焼炉、 熱交換パイプ、 熱電対の鞘、 電気炉、 化学プラント、 石油化学施設、 自動車、 エンジン廻り、 ターボチヤ一 ジャー (耐熱合金、 T i A 1系合金) 、 消音器マフラー、 触媒担体、 製鉄所、 ボイラの熱交換部材または燃焼ノズル、 自動車用マフラー、 ターボチャージヤーローターなどが挙げられる。 図面の簡単な説明
第 1図は、 この発明の実施例 1の結果を示す略線図である。
第 図は、 この発明の実施例 2の結果を示す略線図である。
第 3図は、 この発明の実施例 3の結果を示す略線図である。
第 4図は、 この発明の実施例 4の結果を示す略線図である。
第 5図は、 この発明の実施例 5の結果を示す略線図である。
第 6図は、 この発明の実施例 6の結果を示す略線図である。
第 7図は、 この発明の実施例 7の結果を示す略線図である。
第 8図 Aおよび第 8図 Bは、 この発明の実施例 8の結果を示す走査 ■型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 9図 Aおよび第 9図 Bは、 この発明の実施例 9の結果を示す走査
型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 1 0図 Aおよび第 1 0図 Bは、 この発明の実施例 1 0の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真およぴ略線図である。
第 1 1図 Aおよび第 1 1図 Bは、 この発明の実施例 1 1の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 1 2図 Aおよび第 1 2図 Bは、 この発明の実施例 1 1の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 1 3図 Aおよび第 1 3図 Bは、 この発明の実施例 1 2の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 1 4図 Aおよび第 1 4図 Bは、 この発明の実施例 1 1の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 1 5図 Aおよび第 1 5図 Bは、 この発明の実施例 1 2の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 1 6図 Aおよび第 1 6図 Bは、 この発明の実施例 1 3の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 1 7図 Aおよび第 1 7図 Bは、 この発明の実施例 1 3の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 1 8図 Aおよび第 1 8図 Bは、 この発明の実施例 1 3の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真およぴ略線図である。
第 1 9図 Aおよび第 1 9図 Bは、 この発明の実施例 1 4の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 2 0図 Aおよび第 2 0図 Bは、 この発明の実施例 1 4の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 2 1図 Aおよび第 2 1図 Bは、 この発明の実施例 1 5の結果を示 'す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 2 2図 Aおよび第 2図 Bは、 この発明の実施例 1 5の結果を示
す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 2 3図 Aおよび第 2 3図 Bは、 この発明の実施例 1 6の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 2 4図 Aおよび第 2 4図 Bは、 この発明の実施例 1 7の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 2 5図 Aおよび第 2 5図 Bは、 この発明の実施例 1 9の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 2 6図 Aおよび第 2 6図 Bは、 この発明の実施例 2 0の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 2 7図 Aおよび第 2 7図 Bは、 この発明の実施例 2 1の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 2 8図 Aおよび第 2 8図 Bは、 この発明の実施例 2 2の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真およぴ略線図である。
第 2 9図 Aおよび第 2 9図 Bは、 この発明の実施例 2 3の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 3 0図 Aおよび第 3 0図 Bは、 この発明の実施例 2 4の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 3 1図 Aおよび第 3 1図 Bは、 この発明の実施例 2 5の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 3 2図 Aおよび第 3 2図 Bは、 この発明の実施例 2 6の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 3 3図 Aおよび第 3 3図 Bは、 この発明の実施例 2 7の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 3 4図 Aおよび第 3 4図 Bは、 この発明の実施例 2 8の結果を示 'す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 3 5図 Aおよび第 3 5図 Bは、 この発明の実施例 2 9の結果を示
す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 3 6図 Aおよび第 3 6図 Bは、 この発明の実施例 3 0の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真およぴ略線図である。
第 3 7図 Aおよび第 3 7図 Bは、 この発明の実施例 3 1の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第 3 8図 Aおよび第 3 8図 Bは、 この発明の実施例 3 2の結果を示 す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 この発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。 この一実施形態による耐酸化性合金皮膜は次のようにして製造され る。
まず、 表面に耐酸化性合金皮膜を形成しょうとする金属基材を金属 酸化物と活性金属と触媒化合物とを含む拡散浸透処理剤に埋設する。 具体的には、 例えば、 形成すべき耐酸化性合金皮膜に応じて秤量され た粉末状の金属酸化物と活性金属と触媒化合物とを均一に混合して拡 散浸透処理剤を作製し、 所定の容器、 例えば坩堝内に金属基材とこの 拡散浸透処理剤とを入れた後、 坩堝に蓋をする。
次に、 この坩堝を所定の反応容器内に入れ、 例えば不活性ガス (ァ ルゴン (A r ) ガスなどの希ガスや窒素ガスなど) または水素ガスの 雰囲気中において、 所定の温度、 例えば触媒化合物の熱分解温度また は昇華温度以上の温度で金属基材の融点よりも低い温度に加熱して加 熱処理を行う。 この加熱処理によって、 金属酸化物がこの金属酸化物 を構成する金属の蒸気源となってこの金属はハロゲン化合物として蒸 '発するとともに、 活性金属もハロゲン化合物として蒸発し、 これらの 金属が金属基材の表面に析出し、 この金属基材を構成する金属と合金
化することで、 金属酸化物を構成する金属と活性金属と金属基材を構 成する金属とを含む耐酸化性合金皮膜が形成される。
• 金属基材は、 例えば、 N i、 N i基合金、 N i基耐熱合金、 N i基 超合金、 N i基単結晶超合金、 耐熱鋼、 F e基耐熱合金、 C o基耐熱 合金などである。 金属酸化物は、 例えば、 A l 2 03 、 C r 2 〇3 お よび S i 02 からなる群より選ばれた少なく とも一種の酸化物である。 活性金属は、 例えば、 Hf 、 Z r、 Y、 T i、 L a、 C e、 Mgおよ び C aからなる群より選ばれた少なく とも一種の金属である。 触媒化 合物は、 例えば、 ハロゲン化合物、 具体的には NH4 C 1、 NH4 F、 HC 1、 N a C 1および N a Fからなる群より選ばれた少なく とも一 種の化合物である。
金属基材として N iを用いる場合、 得られる耐酸化性合金皮膜は、 例えば、 ァー N i相とァ, ' _ N i 3 A 1相と 一 N i A 1相と δ— N i 2 A 13 相とからなる群より選ばれた少なく とも一相から構成され ており、 ァ一 N i相は 0. 0 0 5原子%く (H f + Z r +Y + T i + Mg) く 1原子%と 5原子%<A 1 < 1 5原子0 /0とを含み、 ァ, 一 N i 3 A 1相は 0. 00 5原子%く (H f +Z r +Y + T i +Mg) く 1 0原子0 /0と 1 6原子0/ o< A 1 < 2 7原子0 /0とを含み、 iS— N i A 1 相は 0. 0 0 5原子%< (H f + Z r +Y + T i +Mg) < 3 0原子 %と 3 0原子0 /0く A 1く 5 8原子%とを含み、 5— N i 2 A 13 相は 0. 0 0 5原子%< (Hf + Z r +Y + T i +Mg) < 3原子%と 5 9原子0/ 0<A 1く 6 2原子%とを含む。 なお、 (H f + Z r + Y + T i +M g ) は、 H f 、 Z r、 Y、 T iおよび M gからなる群より選ば れた一種または二種以上の金属の合計を意味する。 ここで、 上記の ' (H f + Z r + Y + T i +M g ) の濃度の下限値 0. 0 0 5原子0 /0は 微小部元素分析装置 (EPMA; Electron-Probe Micro Analyzer)の
P2008/050655 検出限界である。 金属基材が N i基合金、 N i基耐熱合金、 N ί基超 合金、 N i基単結晶超合金、 耐熱鋼、 F e基耐熱合金、 C 0基耐熱合 金、 などの N iおよび C rを含む合金である場合、 典型的には、 r _ N i相は 0. 1〜 4 5原子%C r、 7 ' -N i 3 A 1相は 0. 1〜 7 原子%C r、 iS— N i A l相は 0. 1〜 1 0原子%C r、 5— N i 2 A 13 相は 0. 1〜 5原子%C rを、 さらに含む。 さらに、 これらの ァー N i相、 ァ, -N i 3 A 1相、 S— N i A 1相および δ _N i 2 A 13 相は、 金属基材および環境からの元素の移行によって、 V、 N b、 W、 Mo、 Ta、 P t、 I r、 Ru、 C o、 F e、 Mnおよび S iからなる群より選ばれた少なく とも一種の元素を 0. 0 1〜 1 5原 子0 /0さらに含むこともある。
この一実施形態によれば、 拡散浸透処理により、 保護的酸化物スケ ールを形成することができる金属としての A 1、 C rおよび S iから なる群より選ばれた少なく とも一種の金属と、 この保護的酸化物スケ —ルの密着性を改善する活性金属としての Hf 、 Z r、 丫、 T i、 L a、 C e、 M gおよび C aからなる群より選ばれた少なく とも一種の 金属とを含む耐酸化性合金皮膜を簡便なプロセスにより低コストかつ 高生産性で製造することができる。 また、 これらの活性金属は耐酸化 性合金皮膜を構成する特定の相に添加することができる。 この場合、 保護的酸化物スケールを形成することができる金属は金属酸化物から 供給されるため、 この金属の供給源としてこの金属の単体または合金 を使用する必要がない。 例えば、 A 1拡散コーティングにより耐酸化 性合金皮膜を製造する場合、 従来のパックセメンテーション法のよう に、 A 1または A 1含有合金を A 1源として使用する必要はない。 この一実施形態による耐酸化性合金皮膜は、 各種の金属基材の表面 に直接形成することもできるし、 金属基材の表面に金属のめっきゃォ
55 一バレコィコ一ティングなどを施した後にその表面に形成することも できる。 例えば、 A 1拡散コーティングによる A 1を含む耐酸化性合 金皮膜は、 各種の金属基材の表面に直接形成することもできるし、 そ の金属基材の表面に N iめっき、 N i— A 1系あるいは N i C o C r A 1 Y系のオーバレイコーティングを施した後にその表面に形成する こともできる。 この場合もまた、 耐酸化性合金皮膜を構成する相、 例 えば N iを含む金属基材ゃこの金属基材の表面に N iめつきを施す場 合には上記のァー N i相、 ァ, 一 N i 3 A 1相、 j8 _N i A 1相、 δ -N i 2 A 13 相などに上記の特有の活性金属を含ませることができ る。
また、 この一実施形態によれば、 二種類以上の活性金属を複合含有 させたパック剤と金属酸化物と触媒化合物とを含む拡散浸透処理剤を 用いることにより、 これらの活性金属がそれぞれ単独の場合には困難 であった同時添加が可能となる。 例えば、 H f および Z rの両者を複 合含有させた'(H f + Z r ) パック剤 (A 12 03 と NH4 C 1 とを 含む) を用いると、 Z r単独のパック剤 (A 12 03 と NH4 C 1 と を含む) ではアルミナィズド層に Z rを添加することは難しいが、 Z rと Hf とを同時に添加することが可能となる。
また、 この一実施形態によれば、 触媒化合物として N a C 1を含有 させたパック剤と活性金属と金属酸化物とを含む拡散浸透処理剤を用 いることにより、 高温 (例えば、 1 2 0 0〜 1 3 0 0 °C ) での浸透処 理が可能となる。 例えば、 NH4 C 1を触媒化合物とするパック剤で は、 高温では NH4 C 1の分解 (NH4 C 1→NH3 +HC 1 ) が急 速に進行するため、 浸透処理量を適正に制御することが困難であるが、 N a C 1は高温で.昇華してガス体として移動し、 低昇華圧であること から、 浸透処理がゆつく りと進行するため、 容易に浸透量を制御する
ことができる、 という特徴を有する。
また、 例えば、 N i、 N i基合金、 N i基超合金、 N i基単結晶超 合金などからなる金属基材にこの一実施形態による拡散コ一ティ ング を適用すると、 N i— C r一 A 1系のァー N i相、 r, 一 N i 3 A 1 相、 8 _ N i A 1相および δ _ N i 2 A 1 3 相が形成されるが、 これ らの各相に含まれる H f の濃度を上述の濃度範囲に制御することがで きる。
また、 上記の各種のニッケルアルミナイ ド相を耐酸化性合金皮膜の 特定の位置に形成することによって、 例えば、 耐酸化性合金皮膜の内 層にァ ' - N i 3 A 1相、 外層に 一 N i A 1相を形成することによ つて、 内層のァ, - N i 3 A 1相は H f のリザバ一として作用する。 この一実施形態による耐酸化性合金皮膜は、 耐高温酸化性および耐 高温腐食性に優れ、 かつ、'耐酸化性合金皮膜に対する密着性に優れた 保護的酸化物スケールを形成することができることによって、 長期間 に亘つて耐酸化性合金皮膜の耐酸化性能を維持することができる。 この効果を一例に則して具体的に説明すると次のとおりである。 例えば、 N i基超合金からなる金属基材の表面にこの一実施形態に よる方法により A 1および H f の同時拡散浸透処理を施して耐酸化性 合金皮膜を形成すると、 N i基超合金を構成するァ相およびァ ' 相に 含まれる H f 、 さらに、 新しく形成した拡散層を構成するァー N i相、 τ ' - Ν i 3 A 1相、 一 N i A l相および 5—N i 2 A 1 3 相の各 相に含まれる H f の濃度をそれぞれ上述の濃度範囲に制御することが できる。
そして、 こう して耐酸化性合金皮膜が形成された金属基材を高温の '酸化性および腐食性環境下に置く と、 H f は酸化により耐酸化性合金 皮膜から消耗するが、 H f はリザバ一として機能するァ, - N i 3 A
1相から iS— N i A 1相またはァ一 N i相に継続的に供給されるため、 H f の効果、 すなわち A 1の酸化により形成される保護的 A 12 03 スケールの耐酸化性合金皮膜に対する密着性の向上の効果を長時間に 亘つて維持することができ、 この保護的 A 12 03 スケールが耐酸化 性合金皮膜から剥離するのを防止することができる。
この一実施形態による耐酸化性合金皮膜を金属基材の表面に設ける ことにより、 優れた耐熱性金属部材を得ることができる。 この耐熱性 金属部材は、 例えば、 この耐酸化性合金皮膜を形成したジュッ トェン ジンおよびガスタービンの部材、 動翼および静翼、 燃焼器およびボイ ラの熱交換部材、 燃焼ノズル、 自動車の排ガス浄化マフラー、 ターボ チャージャ一ローターなどである。
実施例について説明する。
以下の実施例で用いる拡散浸透処理剤 (パック剤) の作製方法およ び耐酸化性合金皮膜の製造プロセスの詳細を以下に示す。
パック剤は以下のようにして作製した。
試薬級の NH4 C 1粉末、 A 12 03 粉末、 H f金属粉末 (純度 9 8重量0 /0、 不純物として Z r 2重量%含有する。 ) を所定量秤量して、 乳鉢で攪拌混合した。 これらの粉末の配合割合は、 H f は ( 0. 0 1 〜 1 0 ) 重量0 /0、 NH4 C 1は ( 1〜 1 0) 重量0 /0、 残りが A 12 03 である。
A 12 03 の代わりに C r 2 〇3 、 S i〇2 などを用いる場合も同 様にしてパック剤を作製することができる。
H f の代わりに Z r、 Y、 T i、 Mg、 C aなどを用いる場合も同 様にしてパック剤を作製することができる。
' NH4 C 1の代わりに NaC l、 H4 F、 HC 1、 NaFなどを 用いる場合も同様にしてパック剤を作製することができる。
08050655 アルミナ坩堝に金属基材 (試験片) と上述のようにして作製された パック剤とを充填し、 上部にアルミナ製の蓋を載せた。
こう して金属基材とパック剤とを充填したアルミナ坩堝を横型反応 管内に揷入し、 室温でまず真空に排気後、 A rガスを導入する操作を 数回繰り返し、 その後 A rガス雰囲気で所定の温度まで加熱した。 カロ 熱速度は 1 0°C/分である。 冷却は炉冷である。 加熱時の雰囲気は A rガスとし、 温度は 7 0 0〜 1 3 4 0 ° (:、 時間は 1分〜 2 5時間とし た。
こう して加熱処理を行った試料の分析を行った。 エレメ ントアナラ ィザ一による試料の表層の濃度分析によると、 X線の浸透深さから、 濃度は表面から 5〜 1 0 深さの平均値であると考えられる。
第 1の例によるパック剤の基本組成は、 活性金属: 5重量%、 NH4 C 1 : 5重量0 /6、 残: A Γ 2 03 である。 パック剤として、 H f パッ ク、 Z rパック、 Yパック、 T iパック、 (H f + Z r ) パックおよ び (H f + T) パックを用いた。
第 2の例によるパック剤の基本組成は、 活性金属 : 5重量%、 ΝΗ4 C 1 : 5重量0 /0、 残: C r 2 03 である。 パック剤として、 H f (C
Γ 2 〇 3 ) パックを用いた。
第 3の例によるパック剤の基本組成は、 活性金属: 5重量%、 NH4 C 1 : 5重量0 /6、 残: S i 02 である。 パック剤として、 H f ( S i 02 ) パックを用いた。
金属基材としては N i、 N i基耐熱合金 (ハステロイ— X、 ハステ ロイ—C ( 「ハステロイ」 は登録商標) 、 I NCONEL— 6 2 5 ( 「 I N C◦ N E L」 は登録商標) ) 、 F e基合金 (ステンレス鋼、 SUS 3 04 ) 、 N i基超合金 R e n e ' 8 0 ( 「Re n e」 は登録 商標) ) および N i基単結晶超合金 (CMSX— 4 ( 「CMSX」 は
TJP2008/050655 登録商標) 、 TMS— 8 2 + ( 「TM S」 は登録商標) ) を使用した。 ハステロィー X、 ハステロィー ( 、 I NC ONE L- 6 2 5 , S U S 3 0 4、 R e n e ' 8 0、 CMS X— 4および TM S— 8 2十の組成 は下記の表 1に示すとおりである。
表 1 ハステロ ハステロ I NC ONEし S U S R e n e CMS X TM S ィ -X ィー C 一 6 2 5 3 0 4 8 0 一 4 - 8 + 組成 (原子%)
元素
A 1 0. 8 7 6. 3 5 1 2. 5 9 1 2. 2
N i 4 8. 0 2 6 0. 6 1 5 9. 1 6 6 8. 6 1 5 8. 6 1 6 3. 7 6 6 6. 0 2
C r 2 3. 5 1 1 8. 0 0 2 4. 3 3 1 9. 0 0 1 5. 3 6 7. 5 8 5. 8 5
C o 0. 9 9 2, 6 5 9. 2 0 9. 2 6 8. 2
W 0. 1 6 1. 1 9 1. 2 4 1. 9 8 2. 9 4
F e 1 9. 8 1 5. 5 9 5. 2 7 6 8. 6 1
T i 0, 4 9 5. 9 6 1. 2 7 0. 65
M o 5. 4 6 1 0. 1 2 5. 5 2 2. 8 8 0. 3 8 1. 2 3
Mn 0. 5 3 1. 1 4 0. 5 4 1. 5 0
Nb 2. 2 8
C 0. 4 9 0. 1 0 0. 4 9 0. 3 7 0. 8 1
S i 1. 0 4 0. 1 8 1. 0 5 1, 1 7
T a 2. 1 8 2. 0 6
R e 0. 9 8 0. 8
Z r 0. 0 2
B 0. 0 8
H f 0. 0 3 4 0. 0 3 5
〈実施例 1〉
金属基材として N i板、 活性金属として H f を用い、 加熱時間を 1 時間とし、 加熱温度依存性を調べた。
結果を第 1図に示す。
第 1図から分かるように、 重量増加 AWは 7 0 0 °Cの 0. 2 mg/ c m2 から 1 2 0 0 °Cの 8 mg/ c m2 に、 A 1濃度 C A1は 7 0 0 °C の 3 4原子0 /0から 1 2 0 0 °Cの 5 8原子0 /0に、 H f 濃度 CHfは 7 0 0 °Cの 0. 0 7原子%から 1 0 0 0 °Cの 1 . 3原子%に増大した。
なお、 1 2 0 0 °Cでは表面は溶解している可能性が高く、 CHfの値 は除外した。
〈実施例 2〉
金属基材として N i板、 活性金属として H f を用い、 加熱処理の条 件を 1 0 0 0 ° (:、 1時間とし、 H f 含有量依存性を調べた。
結果を第 2図に示す。
第 2図から分かるように、 A 1濃度 CA1は H f 含有量が 0. 1重量 %H f のときの 0. 1原子%以下から 5重量%H f の約 4 7原子%に 増大し、 1 0重量0 /oH f では 5 4原子0 /0になる。
H f 濃度 CHfは H f 含有量が 0. 1重量0 /0H f の 0. 2原子0 /0から 徐々に増大し、 1 0重量%H f の約 4. 6原子%になる。
〈実施例 3 > - 金属基材として N i板、 活性金属として Z rまたは Y (各 5重量%) を用い、 加熱時間を 1時間とし、 加熱温度依存性を調べた。
結果を第 3図に示す。
第 3図から分かるように、 Z rパックでは、 Z r濃度 CZr (Z r ) 'は温度の上昇とともに、 7 0 0 °(:の 0. 2 2原子%から 1 0 0 0 °Cの 1 . 5原子0 /0に増大する。 しかし、 A 1濃度 CA1 (Z r ) は 0. 0 1
〜 0. 1原子0 /0と無視できる量である。 Yパックでは、 Y濃度 CY (Y) は 8 0 0〜 1 0 0 0 °Cの間で、 0. 3〜 0. 4原子%の範囲に ある。 しかし、 A 1濃度 C A1 ( Y) は、 8 0 0 °Cの 3 0原子%から 1 0 0 0 °Cの 5 5原子%に増大する。
以上の結果から、 Z rと Yとは逆の結果となる。
〈実施例 4〉
金属基材として N i板、 活性金属として H f 、 Z rまたは Y (各 5 重量%) を用い、 加熱温度を 8 0 0 °Cとし、 加熱時間依存性 ( 1〜 2 5時間) を調べた。
結果を第 4図に示す。
第 4図から分かるように、 H f パックでは、 重量増加 (AW: H f ) は、 1時間の 1 mg/ c m2 から 2 5時間の約 4 m g/ cm2 に、 時 間の平方根に比例して増大する。 Yパックでは、 重量増加 (AW : Y) は、 1時間の 0. 2 mg/ c m2 から 2 5時間の約 3. 3 mg/cm2 に、 時間の平方根に比例して増大する。 Z rパックでは、 重量増加 (△W : Z r ) は、 1時間の 0. 1 mg/c m2 から 2 5時間の 0. 2 m g / c m2 まで、 殆ど増加しない。
H f および Z rの複合添加 ( 5重量%H f + 5重量%Z r ) を行う (H f + Z r ) パックでは、 重量増加 (AW: H f + Z r ) は、 9時 間の 1. 7 mg / c m2 から 2 5時間の 2. 9 mg/cm2 まで、 増 大する。 H f パックに比較して、 全体の重量増加は少ない。
〈実施例 5 >
金属基材として N i板、 活性金属として H f 、 Z rまたは Y (各 5 重量%) を用い、 加熱温度を 8 0 0 °Cとし、 加熱時間依存性 ( 1〜 2 '5時間) を調べた。
結果を第 5図に示す。
第 5図から分かるように、 H f パックでは、 A 1濃度 CA1 (H f ) は、 1時間の 4 2原子%から 2 5時間の約 6 3原子0 /0に増大する。 Y パックでは、 A 1濃度 CA1 (Y) は、 1時間の 3 0原子%から 9時間 の約 5 4原子%に増大し、 1 5時間で若干低下するが、 ほぼ一定とな る。 Z rパックでは、 A 1濃度 CA1 (Z r ) は、 1時間では検出限界 であるが、 9時間で約 7原子0 /0が同定され、 2 5時間では再び無視で きる量に低下した。 H f および Z rの複合添加 ( 5重量0 /oH f + 5重 量0 /oZ r ) を行う (H f + Z r ) パックでは、 A 1濃度 CAI (H f + Z r ) は、 9時間では約 5 3原子%であり、 .2 5時間では 5 7原子% である。 H f 単独添加に比較して、 A 1濃度は若干低いが、 ほぼ同じ である。
〈実施例 6 >
金属基材として N i板、 '活性金属として H f 、 Z rまたは Y (各 5 重量%) を用い、 加熱温度を 8 0 0 °Cとし、 加熱時間依存性 ( 1〜 2 5時間) を調べた。
結果を第 6図に示す。
第 6図から分かるように、 H f パックでは、 H f 濃度 CHfは、 1時 間の 0. 2 8原子%から 2 5時間の 0. 3 6原子%まで、 ほぼ一定で ある。 Yパッ クでは、 Y濃度 CY は、 1時間の 0. 4原子%から 9時 間の 0. 8 6原子0 /0に増大し、 2 5時間では約 0. 4原子0 /0に低下し た。 Z rパックでは、 2 濃度( は、 1時間では 0. 6原子%であ るが、 9時間で 0. 4 5原子%に低下した後、 2 5時間では 0. 8原 子0 /0に増大している。 H f および Z rの複合添加 ( 5重量%H f + 5 重量0 /oZ r ) を行う (H f +Z r ) パックでは、 H f 濃度 CHf (H f '+ Z r ) は、 9〜 2 5時間の間、 0. 1 5原子%で一定であり、 Z r 濃度 CZr (H f + Z r ) は、 9時間の 0. 3原子%から 2 5時間の 0.
7原子0 /0に増大する。 H f (単独) パックまたは Z r (単独) パック に比較して、 いずれも若干低下する。
〈実施例 7〉
金属基材として N i板上に厚さ 3 O wmN iめっきをしたもの、 活 性金属として (H f + Z r ) パックを用い、 A 1粉末の添加量を 0. 4 5 g (パック剤全体の質量は 2 3 g ) とし、 加熱処理の条件を 8 0 0°C、 9時間とし、 H f 含有量依存性 ( 0. 0 1〜 5重量%) を調べ た。
結果を第 7図に示す。
第 7図から分かるように、 重量増加 AWは、 Hf含有量が 0. 1重 量%のとき 7. 6 mg/c m2 となり、 H f含有量の増大とともに低 下し、 2重量%H f では約 3mg/cm2 となり、 その後、 5重量% H f までほぼ一定である。 A 1濃度 CA1は、 上記重量増加の H f含有 量依存性と類似しており、 H f 含有量が 0. 1重量%のとき 5 3原子 %となり、 H f含有量の増大とともに低下し、 2重量%Hf では約 4 5原子%となり、 その後、 5重量%H f までほぼ一定である。 H f濃 度 CHfは、 Hf 含有量が 0. 1重量%および 1重量%のとき検出限界 であるが、 H f 含有量の増大とともに増大し、 5重量%Hf では 2. 1原子0 /0となった。
H f (単独) パックとの比較 ( 5重量0 /oH f での結果)
H f濃度は、 H f パックでは 0. 4原子%であるのに対して、 (H f + Z r ) パックでは 2. 1原子0 /0に著しく増大する。 A 1濃度は、 H f (単独) パックでは 54原子0 /0であるのに対して、 (H f + Z r ) パックで 4 6原子%に低下する。 この結果は、 Hf と Z rの複合添加 'によって、 Hf単独パックとは異なる濃度に A 1濃度と Hf濃度とを 制御できることを意味しており、 大変重要な結果である。
〈実施例 8〉
金属基材として N i板、 活性金属として H f を用い、 加熱処理の条 件を 1 0 0 0 ° (:、 1時間、 A r雰囲気とした。
得られた試料の断面写真 (走査型電子顕微鏡写真、 以下同様) を第 8図 Aに、 E P M A分析の結果を第 8図 Bに示す。
第 8図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は約 4 2原 子0 /0であり、 深さ約 1 0 mで 3 6原子06となり、 そこで A 1濃度は 2 8原子0 /0に低下した後、 1 5 w mのところで 2 0原子%となり、 1 3原子0 /0から徐々に内部に向かって A 1濃度は低下している。 全体の 深さは 1 8 ( mである。
試料は表面から、 A 1プア一 iS _ N i A 1相、 Ύ, 一 N i 3 A 1相、 r - N ί ( A 1 ) 相、 となっている。 なお、 iS— N i A 1相の A 1濃 度範囲は 5 0原子0 /0を挟んで存在することから、 5 0原子%以下を A 1プア一 S— N i A 1相、 5 0原子0 /0以上を A 1 リッチ iS— N i A 1 相と表記する'。
H f 濃度については、 表面濃度は 1 8原子%であり、 約 5 の深 さに徐々に低下し、 0 . 3原子%になった後、 8〜 1 2 Li mの深さで 再び増加し、 H f 濃度は 0 . 8〜 1 . 7原子%を示す。
試料の外側の H f は、 第 8図 Aで明るく見えるところに存在し、 A 1 一 N i — H f 化合物を形成している。 試料の内側の H f は、 第 8図 Aで少し明るく見えるところ (矢印) で、 A 1プア一 一 N i A 1相 から 7, 一 N i 3 A 1相のところに対応する。
〈実施例 9 >
金属基材とじて N i板、 活性金属として H f を用い、 加熱処理の条 件を 8 0 0 °C、 9時間、 A r雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第 9図 Aに、 E P M A分析の結果を第 9
TJP2008/050655 図 Bに示す。
第 9図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は約 5 0原 子0 /0であり、 深さ約 4 で 3 0〜2 8原子0 /0となり、 その後徐々に 低下し、 深さ 1 1 zmのところで 2 0原子%となった後、 急激に低下 する。
試料は表面から、 A 1プア一 一 N i A 1相、 Ύ, 一 N i 3 A 1相、 r -N i (A 1 ) 相、 となっている。
Hf濃度については、 表面濃度は約 7 mの深さまでは検出限界で あるが、 7〜 9 の深さで増加し、 H f濃度は約 1. 6原子%を示 す。
試料の内側の Hf は、 第 9図 Aで少し明るく見えるところ (矢印) で、 ァ '' 一 N i 3 A 1相の内部に対応する。
Z r濃度については、 H f と同様の分布を示すが、 矢印で示した部 分で約 0. 1原子0 /oZ rを示す。 なお、 Z rは H f に含まれる不純物 で 2重量%含まれている。
〈実施例 1 0〉
金属基材として N i板上に厚さ 3 0 mN iめっきをしたもの、 活 性金属として (H f +A 1 ) パックを用い、 加熱処理の条件を 1 0 0 0°C、 1時間、 A r雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第 1 0図 Aに、 EPMA分析の結果を第 1 0図 Bに示す。
第 1 0図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は約 5 8 原子0 /0であり、 深さ約 6 mで 5 0原子0 /0となり、 そこで A 1濃度は 2 5原子0 /0に低下した後、 1 6 mのところで 2 2原子%となり、 1 ' 2原子0 /0から徐々に N i内部に向かって A 1濃度は低下している。 全 体の深さは 1 8 ( mである。
試料は表面から、 A 1 リッチ i3— N i A 1相、 A 1プア一 iS— N i A l相、 了, 一 N i 3 A l相、 ァー N i (A 1 ) 相、 となっている。
H f濃度については、 表面濃度は 1 3原子%を有し、 約 1 mの深 さに徐々に低下し、 0. 1原子0 /0以下になった後、 8〜 1 2 imの深 さで再び増加し、 H f濃度は約 5原子%を示す。
試料の外側の H f は、 第 1 0図 Aで明るく見えるところに存在し、 A 1 -N i一 H f 化合物を形成している。 試料の内側の H f は、 第 1 0図 Aで少し明るく見えるところ (矢印) で、 A 1プア一 一 N i A 1相に隣接したァ, _N i 3 A I相の中に存在する。
Z r濃度については、 H f と同様の分布を示すが、 矢印で示した部 分で約 0. 2原子0 /0を示す。 なお、 Z rは H f に含まれる不純物で 2 重量%含まれている。
〈実施例 1 1〉
金属基材として N i板上に厚さ 3 0 mN iめっきをしたもの、 活 性金属として · (H f + A 1 ) パックを用い、 加熱処理の条件を 8 0 0 t:、 9時間、 A r雰囲気とした。
H f 含有量が 1重量%の場合の試料の断面写真を第 1 1図 Aに、 E ? 人分析の結果を第 1 1図 Bに示す。 また、 H f 含有量が 0. 2重 量0 /0の場合の試料の断面写真を第 1 2図 Aに、 EPMA分析の結果を 第 1 2図 Bに示す。 .
第 1 1図 Bおよび第 1 2図 Bから分かるように、 A 1濃度について は、 表面は約 6 0原子0 /0であり、 深さ約 2 0〃mで 5 0原子%となり、 そこで A 1濃度は 2 8原子0 /0に低下した後、 3 1 のところで 2 2 原子0 /0となり、 8原子%A 1から徐々に N i内部に向かって A 1濃度 は低下している。 全体の深さは 3 8 である。
試料は表面から、 δ— N i 2 A 13 相、 A 1 リッチ iS— N i A 1相、
A 1プア一 _N i A 1相、 ァ, -N i 3 A 1相、 ァ _N i (A 1 ) 相、 となっている。
Hf濃度については、 コーティング層全体に亘つて、 検出限界以下 である。
高 A 1濃度の <5— N i 2 A 13 相および A 1 リッチ )8— N i A 1相 が形成されると、 H f の侵入は困難になる。 この事実は非常に重要な 結果である。
〈実施例 1 2 >
金属基材として N i板、 活性金属として H f を用い、 加熱処理の条 件を 8 0 0 °C、 1、 9、 2 5時間、 A r雰囲気とした。
H f ( 5重量0 /0) パックを用い、 N i板を 8 0 0 °Cで 1時間熱処理 した場合の試料の断面写真を第 1 3図 Aに、 EPMA分析の結果を第 1 3図 Bに示す。 また、 H f ( 5重量%) パックを用い、 N i板を 8 0 0°Cで 9時間熱処理した場合の試料の断面写真を第 1 4図 Aに、 E PMA分析の結果を第 1 4図 Bに示す。 また、 H f ( 5重量0 /0) パッ クを用い、 N i板を 8 0 0 °Cで 2 5時間熱処理した場合の試料の断面 写真を第 1 5図 Aに、 EPMA分析の結果を第 1 5図 Bに示す。
これらの試料のコ一ティング層の厚さは、 熱処理時間が 1時間の試 料では 8 m、 9時間の試料では 1 2 wm、 2 5時間の試料では 1 9 mである。 コーティング層の外側は A 1プア一 ー N i A 1相、 内 側はァ, -N i 3 A 1相とァー N i (A 1 ) 相である。 A 1濃度につ いては、 表面は約 5 0原子%であり、 約 3 0原子%に低下した後、 徐 々に低下し、 2 2原子0 /0となり、 その後 A 1濃度は低下している。 試料の表面から、 A 1プア一 iS— N i A 1相、 ァ, -N i 3 A 1相 で、 ァー N i (A 1 ) 相の厚さは非常に薄い。
H f は、 コーティ ング層の γ ' -Ν i 3 A 1の内部 (矢印) に存在
し、 その濃度は熱処理時間 1時間では 0. 8原子%、 9時間では 1. 6原子%、 2 5時間では 0. 9原子%である。
Z r濃度については、 H f と同様の分布を示すが、 矢印で示した部 分で約 0. 1原子%を示す。 なお、 Z rは H f に含まれる不純物で 2 重量%含まれている。
H f と Z rはァ' -N i 3 A 1相の内部に存在することは非常に重 要な結果である。
〈実施例 1 3 >
金属基材として N i板、 活性金属として Z rを用い、 加熱処理の条 件を 8 0 0 °C、 1、 9、 2 5時間、 A r雰囲気とした。
Z r ( 5重量%) パックを用い、 N i板を 8 0 0 °Cで 1時間熱処理 した場合の試料の断面写真を第 1 6図 Aに、 E PMA分析の結果を第 1 6図 Bに示す。 また、 Z r ( 5重量%) パックを用い、 N i板を 8 0 0°Cで 9時間熱処理した場合の試料の断面写真を第 1 7図 Aに、 E PMA分析の結果を第 1 7図 Bに示す。 また、 Z r ( 5重量0 /0) ゾ、。ッ クを用い、 N i板を 8 0 0 °Cで 2 5時間熱処理した場合の試料の断面 写真を第 1 8図 Aに、 E PMA分析の結果を第 1 8図 Bに示す。
これらの試料のコーティング層の厚さはいずれの熱処理時間におい ても薄く、 コーティング層の A 1濃度と Z r濃度も低い。
Z rパックでは、 アルミナイ ドコーティングは可能であるが、 よい 結果は得られない。
〈実施例 1 4 >
金属基材として N i板、 活性金属として (H f + Z r ) パックを用 い、 加熱処理の条件を 8 0 0 °C、 9、 2 5時間、 A r雰囲気とした。
(H f + Z r ) パック ( 5重量%H f + 5重量%Z r ) を用い、 N i板を 8 0 0 °Cで 9時間熱処理した場合の試料の断面写真を第 1 9図
Aに、 EPMA分析の結果を第 1 9図 Bに示す。 また、 (H f + Z r ) パック ( 5重量%H f + 5重量%Z r ) を用い、 N i板を 8 0 0。Cで 2 5時間熱処理した場合の試料の断面写真を第 2 0図 Aに、 EPMA 分析の結果を第 2 0図 Bに示す。
第 1 9図 Bおよび第 2 0図 Bから分かるように、 A 1濃度について は、 表面の約 5 0原子%から 2 8原子%になり、 その後ほぼ一定を保 持した後、 再び急激に低下する。
試料の表面から、 A 1プア一 S— N i A 1相、 ァ, -N i 3 A 1相、 r -N i (A 1 ) 相となっている。
Z r濃度については、 9時間では、 ァ, 一 N i 3 A 1相の内部 (矢 印) に Z rは濃化し、 2. 5原子%となり、 2 5時間では、 Z rは表 ' 面と内部 (矢印) にそれぞれ濃縮し表面の Z r濃度は約 3. 2原子% であり、 内部の Z r濃度は 2. 2原子%となっている。 Hf濃度につ いては、 H f は Z rと同じ挙動をとるが、 内部の矢印における H f濃 度は 0. 4原子%である。
Z r (単独) パックでは、 Z rの添加は困難であり、 一方、 H f (単独) パックでは、 H f は添加された。 H f + Z rの複合パックで は、 しかしながら、 H f よりも Z rが添加された。 これは非常に重要 な結果である。
〈実施例 1 5〉 - 金属基材として N i板、 活性金属として Yを用い、 加熱処理の条件 を 8 0 0 °C、 9、 2 5時間、 A r雰囲気とした。
Y ( 5重量%) パックを用い、 N i板を 8 0 0 °Cで 9時間熱処理し た場合の試料の断面写真を第 2 1図 Aに、 EPMA分析の結果を第 2 ' 1図 Bに示す。 また、 Y ( 5重量%) パックを用い、 N i板を 8 0 0 °Cで 2 5時間熱処理した場合の試料の断面写真を第 2 2図 Aに、 EP
MA分析の結果を第 2 2図 Bに示す。
これらの試料のコ一ティング層の厚さは熱処理時間が長くなるほど 厚くなり、 9時間の 9 · 5 mから 2 5時間の 1 8〃mに成長する。 表面の A 1濃度は、 熱処理時間が長くなるほど高くなり、 9時間の 4 2原子%から 2 5時間の約 5 2原子%に増大する。
熱処理時間が 9時間の試料では、 表面から、 A lプァ一 ーN i A 1相、 ァ, -N i 3 A 1相、 ァー N i (A 1 ) 相となっている。
熱処理時間が 2 5時間の試料では、 表面から、 A 1 リッチ 一 N i A 1相、 A 1プア一 _N i A 1相、 , -N i 3 A 1相、 ァー N i (A 1 ) 相となっている。
Y濃度については、 第 2 1図 Bの矢印で示すように、 ァ ' -N i 3 A 1相の内部に 0. 0 6原子0 /0の濃度が観察される。 しかし、 第 2 2 図 Bに示したように、 表面に A 1 リッチ i3— N i A 1相が形成される とき、 コーティング層全体に亘つて、 Y濃度は検出限界であった。 〈実施例 1 6〉
金属基材として N i板、 活性金属として (H f + Y) パックを用い、 加熱処理の条件を 8 0 0 °C、 9時間、 A r雰囲気とした。
(H f + Y) パック ( 5重量%H f + 5重量%Y) を用い、 N i板 を 8 0 0 °Cで 9時間熱処理した場合の試料の断面写真を第 2 3図 Aに、 E PMA分析の結果を第 2 3図 Bに示す。
第 2 3図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 3 0〜2 0原 子%であり、 コーティング層の主体はァ, -N i a A 1であった。
H f濃度については、 ァ' -N i 3 A 1の内部 (矢印) に 6原子0 /0 であった。
' ァ, 一 N i 3 A 1内部 (矢印) の Hf と同じ場所に 0. 1 2原子% Yと 0. 1原子%Z rとが含まれている。 なお、 ∑ 1«は1"1 粉末に不
5 純物として 2重量%含まれている。
Yは Y (単独) パックではコーティング層に添加することは困難で あつたが、 H f + Yの複合パックでは Yは添加された。 これは非常に 重要な結果である。
〈実施例 1 7 >
金属基材として N i板、 パック剤として T i + NH4 C 1 + A 1 03 を用い、 加熱処理の条件を 1 0 0 0 °C、 1時間、 A r雰囲気とし た。
得られた試料の断面写真を第 1 4図 Aに、 E P MA分析の結果を第 2 4図 Bに示す。
第 1 4図 Bから分かるように、 コーティング層は N i 2 A 1 T i と T i を含有するァ, -N i A 1相とァー N i (A 1 ) 相とで構成さ れている。 '
この場合には以下のような形成機構が提案される。
すなわち、 NH4 C 1 =NH3 +HC 1の反応により生成した HC 1が T i と反応し、 T i + 4 HC l =T i C し + 2 H2 の反応式に 従って T i C 1 4 を生成する。 この T i C 1 4 は A 1 2 03 と反応し、 T i 〇2 および A 1 C 1 3 を生成する。 すなわち、 3 T i C l 4 + 2 A 1 03 = 3 T i 0 4 A 1 C 1 である。 これらの T i C l 4 および A 1 C 1 3 はガス体として移動し、 金属基材の表面で T i と A 1 とを析出し、 T i を含むアルミナイズド層を形成する。
〈実施例 1 8 >
金属基材として N i板、 パック剤として、 表 2および表 3に示すよ うに、 活性金属として H f 、 T i、 Z r、 Υのいずれか 1つと酸化物 'として C r 2 〇3 または S i 〇2 、 活性化剤として NH4 C 1 を用い、 加熱処理の条件を 1 0 0 0 °C、 1時間、 A r雰囲気とした。
得られた試料の表面をエレメントアナライザーで測定した N i、 A l、 C r、 S i、 Hf 、 Z r、 Y、 T iの分析の結果を表 2および表 3にまとめて示す。
表 2 章暈変化 エレメント結果 (at. %)
dトo<
mg
/cm2 Ni Al Cr Hf Zr Y Ti o u
1 1. 77 77. 62 0. 27 21. 78 0. 23 0. 1 1 ― 一
^^ ^ ^^^
2 2. 21 61. 43 2. 07 36. 12 一 ― ― 0. 24
Zr 5wt. %
3 NH4 C 1 5wt. % 1. 77 68. 56 ― 31. 35 ― 0. 09 ― Cr2 Os 9 Owt. %
4 1. 77 82. 34 ― 17. 0 一 ― 0. 25 ―
50655 表 から分かるように、 H f (C r 2 03 ) ノ、。 ックでは、 C r濃度 は 2 1. 7 8原子%であり、 H f濃度は 0. 2 3原子%である。 T i (C r 2 03 ) ノ、。ックでは、 C r濃度は 3 6. 1 2原子0 /0であり、 T i濃度は 0. 2 4原子%である。 Z r ( C r 2 03 ) ノ、 °ックでは、 C r濃度は 3 3 5原子0 /0であり、 Z r濃度は 0. 0 9原子0 /0である。
Y (C r 2 03 ) ノ、 ° ックでは、 C r濃度は 1 7. 4 0原子06であり、 Y濃度は 0. 2 5原子%である。
この場合には以下のような形成機構が提案される。
すなわち、 NH4 C 1 =NH3 +HC 1の反応により生成した HC 1が活性金属 (M = H f 、 T i、 Z r ) と反応し、 Μ+ 4 HC 1 =Μ C 14 + 2 Η2 の反応式に従って MC 14 を生成する。 この MC 14 は C r 2— 03 と反応し、 M02 および C r C 13 を生成する。 すなわ ち、 3 MC し + 2 C r 2' 03 = 3 MO 2 + 4 C r C 13 である。 こ れらの MC 14 および C r C 13 はガス体として移動し、 金属基材の 表面で Mと C rとを析出し、 Mを含むクロマイズド層を形成する。 な お、 活性金属が Yのとき、 Yは Y 2 03 と YC 13 を形成することを 除く と、 上記の形成機構が適用できる。
表 3から分かるように、 Hf (S i 02 ) パックでは、 S i濃度は 7 3. 3 7原子0 /0であり、 Hf濃度は 3. 1 7原子0 /0である。 T i ( S i〇 z ) パックでは、 S i濃度は 64. 2 3原子%であり、 T i 濃度は 1 2. 7 4原子%である。 Z r (S i 02 ) パックでは、 S i 濃度は 6 7. 3 5原子%であり、 Z r濃度は 6. 4 2原子0 /0である。
Y ( S i〇 2 ) ゾ、°ックでは、 S i濃度は 6 5. 1 3原子%であり、 Y 濃度は 8. 4 1原子%である。
' この場合には以下のような形成機構が提案される。
すなわち、 NH4 C 1 =NH3 +HC 1の反応により生成した HC
1が活性金属 (M = H f 、 T i、 Z r ) と反応し、 M+ 4 H C 1 =M C 1 4 + 2 H2 の反応式に従って M C 1 4 を生成する。 この M C 1 4 は S i 02 と反応し、 M 02 および S i C 1 4 を生成する。 すなわち、 M C 1 4 + S i 02 =MO 2 + S i C 1 4 である。 これらの M C 1 4 および S i C 1 4 はガス体として移動し、 金属基材の表面で Mと A 1 とを析出し、 Mを含むシリコナイズド層を形成する。 なお、 活性金属 が Yのとき、 Yは Y 2 03 と Y C 1 3 を形成することを除く と、 上記 の形成機構が適用できる。
〈実施例 1 9 >
金属基材として C M S X— 4の板、 活性金属として H f を用い、 カロ 熱処理の条件を 1 0 0 0 °C、 1時間、 A r雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第 2 5図 Aに、 E P MA分析の結果を第 2 5図 Bに示す。 '
第 2 5図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は約 5 2 原子%であり、 深さ約 5 mで 3 0原子%となり、 そこで A 1濃度は 1 8原子0 /0に低下した後、 徐々に内部に向かって A 1濃度は低下して いる。
H f 濃度については、 表面は約 2 9原子%であり、 深さ約 2 で 1 3原子%に低下した後、 徐々に低下する。
Z r濃度は、 表面濃度は 3 . 3原子%であり、 内部に向かって、 H f の濃度とほぼ類似の分布を示す。 なお、 検出された Z rは H f 粉末 に不純物として 2重量%含まれている。
コーティング層については、 多元系で複雑であることから、 現在、 不明な点が残されているが、 A 1 —H f — N i化合物、 A 1 プア一 β 一 N i A I相、 ァ, — N i 3 A 1相およびそれらの混合相から構成さ れていると考えられる。
〈実施例 2 0 >
金属基材として CMSX— 4の板上に厚さ 3 0 mN iめっきをし たもの、 活性金属として H f を用い、 加熱処理の条件を 1 0 0 0° (:、 1時間、 A r雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第 2 6図 Aに、 EPMA分析の結果を第 2 6図 Bに示す。
第 2 6図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は 4 6原 子0 /0であり、 深さ約 8 で 2 4原子0 /0となり、 そこで A 1濃度は 1 8原子%に低下した後、 1 2 mのところで 3 5原子%となり、 その 後 2 5原子0 /0に低下した後、 徐々に内部に向かって A 1濃度は低下し ている。
試料は表面から、 A 1プア一 iS— N i A 1相、 ァ, -N i 3 A 1相、 となっている。 '
H f 濃度については、 A 1プア一 iS— N i A 1相では検出限界であ るが、 ァ ' 一 N i 3 A 1相 (矢印) では約 0. 9原子0 /0が存在してい る。 このコ一ティング層の内部に H f が存在する事実は非常に重要な 結果である。
〈実施例 2 1 >
金属基材として TM S— 8 2十の板、 活性金属として H f を用い、 加熱処理の条件を 1 0 0 0 °C、 1時間、 A r雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第 2 7図 Aに、 EPMA分析の結果を第 2 7図 Bに示す。
第 2 7図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は約 5 4 原子0 /0であり、 深さ約 3. 5 で 3 5原子%に低下した後、 徐々に '内部に向かって A 1濃度は低下している。 全体の深さは 5 λίπιである。
Hf濃度については、 表面は約 2 8原子0 /6であり、 深さ約 3 mで
2. 5原子%となり、 5 のところで検出限界以下になる。
Z r濃度は、 表面濃度は 2. 5原子%であり、 内部に向かって、 H f の濃度とほぼ類似の分布を示す。 なお、 検出された Z rは H f 粉末 に不純物として 2重量%含まれている。
コーティング層については、 多元系で複雑であることから、 現在、 不明な点が残されているが、 A 1 — H f _N i化合物、 A 1プア一 β - N i A 1相およびそれらの混合相から構成されていると考えられる。 〈実施例 2 2 >
金属基材として TM S— 8 2十の板上に厚さ 3 0 imN iめっきを したもの、 活性金属として H f を用い、 加熱処理の条件を 1 0 0 O t 、 1時間、 A r雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第 2 8図 Aに、 E PMA分析の結果を第 2 8図 Bに示す。
第 2 8図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は 4 8原 子%であり、 深さ約 6 mで 3 5原子%となり、 そこで A 1濃度は 2 7原子0 /0に低下した後、 1 1 のところで 2 0原子0 /6となり、 その 後急激に A 1濃度は低下している。 コーティング層の厚さは約 1 3 mでめる。
試料は表面から、 A 1プア一) 8— N i A 1相、 ァ, -N i A 1相、 となっている。 .
H f 濃度については、 A 1プア一 一 N i A 1相では検出限界であ るが、 ァ ' -N i A 1相 (矢印) では 1. 2原子%H f が存在する。 このコーティング層の内部に H f が存在する事実は非常に重要な結果 である。
' 〈実施例 2 3 >
金属基材として R e n e ' 8 0の板、 活性金属として H f を用い、
加熱処理の条件を 1 0 0 0 °C、 1時間、 A r雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第 2 9図 Aに、 E PMA分析の結果を第
2 9図 Bに示す。
第 2 9図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は約 3 7 原子%であり、 深さ約 4. 5 mで 3 0原子%に低下し、 その後徐々 に内部に向かって A 1濃度は低下している。 全体の深さは約 9 mで ある。
H f 濃度については、 表面は約 1 4原子%であり、 深さ約 3 で 9原子%となり、 そこで H f 濃度は約 1原子.%に低下した後、 検出限 界まで低下した。
Z r濃度は、 表面濃度は 1. 7原子%であり、 内部に向かって、 H f の濃度とほぼ類似の分布を示す。 なお、 検出された Z rは H f 粉末 に不純物として 2重量%含まれている。
コーティング層については、 多元系で複雑であることから、 現在、 不明な点が残されているが、 H f を含有する A 1プア一 一 N i A 1 相、 Ύ , -N i 3 A 1相およびそれらの混合相から構成されていると 考えられる。
〈実施例 2 4 >
金属基材として R e n e, 8 0の板上に厚さ 3 0 zmN iめっきを したもの、 活性金属として H f を用い、 加熱処理の条件を 1 0 0 0 ° (:、 1時間、 A r雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第 3 0図 Aに、 E PMA分析の結果を第
3 0図 Bに示す。
第 3 0図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は 2 1原 '子0 /0であり、 深さ約 9 で 1 8原子%に低下した後、 急激に A 1濃 度は低下している。 コ一ティング層の厚さは約 1 l mである。
2008/050655 試料は表面から、 ァ, 一 N i 3 A 1相となっている。
H f 濃度については、 コーティング層表面から 6 mの深さに亘っ て 0. 2〜 0. 3原子%であり、 その後、 H f 濃度は検出限界である。 〈実施例 2 5〉
金属基材としてハステロィー Xの板、 活性金属として H f を用い、 加熱処理の条件を 1 0 0 0 °C、 1時間、 A r雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第 3 1図 Aに、 E PMA分析の結果を第 3 1図 Bに示す。
第 3 1図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は約 5 0 原子0 /0であり、 深さ約 4 で 4 0原子0 /0となり、 そこで A I濃度は 2 5原子0 /0に低下した後、 5 mのところで 8原子%となり、 その後 徐々に内部に向かって A 1濃度は低下している。 全体の深さは 8 m である。 '
H f 濃度については、 表面は約 1 8原子%であり、 深さ約 4 umで 5原子0 /0となり、 そこで H f 濃度は 1 0原子%に増加した後、 5〃m のところで急激に低下する。
Z r濃度は、 表面濃度は 3. 5原子%であり、 内部に向かって、 H f の濃度とほぼ類似の分布を示す。 なお、 検出された Z rは H f 粉末 に不純物として 2重量%含まれている。
コーティング層については、 多元系で複雑であることから、 現在、 不明な点が残されているが、 A 1—H f — N i化合物、 A Iプア一 β 一 N i A l相、 ァ, 一 N i 3 A 1相およびそれらの混合相から構成さ れていると考えられる。
高濃度の H f 含有アルミナイ ド層が形成されることは大変重要な結 '果である。
〈実施例 2 6 >
008/050655 金属基材としてハステロィ一Xの板上に厚さ 3 0 imN iめっきを したもの、 活性金属として H f を用い、 加熱処理の条件を 1 0 0 0 ° (:、 1時間、 A r雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第 3 2図 Aに、 E PMA分析の結果を第 3 図 Bに示す。
第 3 2図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は 5 0原 子0 /0であり、 深さ約 9 mで 3 8原子0 /0となり、 そこで A 1濃度は 2 7原子%に低下した後、 1 1 のところで 1 0原子0 /0となり、 その 後徐々に内部に向かって A 1濃度は低下している。
試料は表面から、 A 1プア一 3— N i A 1相、 ァ, — N i 3 A 1相、 となっている。
H f 濃度については、 A 1プア一) 8— N i A 1相内では検出限界で あるが、 γ, -Ν i 3 A H (矢印) では約 1 · 6原子0 /oH f が存在 している。 この事実は非常に重要な結果である。
〈実施例 2 7 )
金属基材としてハステロィー Cの板、 活性金属として H f を用い、 加熱処理の条件を 1 0 0 0 °C、 1時間、 A r雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第 3 3図 Aに、 E PMA分析の結果を第 3 3図 Bに示す。
第 3 3図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は約 4 0 原子0 /0であり、 深さ約 6 mで 3 0原子0 /0となり、 そこで A 1濃度は 1 3原子0 /0に低下した後、 徐々に内部に向かって A 1濃度は低下して いる。 全体の深さは 1 3 wmである。
H f 濃度については、 表面は約 1 0原子%であり、 深さ約 6 mで ' 8原子0 /0となり、 そこで H f 濃度は 0. 8〜 1 . 8原子%に増加した 後、 1 3 のところで急激に低下する。
0655
Z r濃度は、 表面濃度は 0. 8原子%であり、 内部に向かって、 H f の濃度とほぼ類似の分布を示す。 なお、 検出された Z rは H f粉末 に不純物として 2重量0 /0含まれている。
コーティング層については、 多元系で複雑であることから、 現在、 不明な点が残されているが、 H f を含有する A 1プア一 3— N i A 1 相、 ァー N i (A 1 ) 相およびそれらの混合相から構成されていると 考えられる。
高濃度の H f含有アルミナイ ド層が形成されることは大変重要な結 果である。
〈実施例 2 8 >
金属基材としてハステロイ一 Cの板上に厚さ 3 O wmN iめっきを したもの、 活性金属として H f を用い、 加熱処理の条件を 1 0 0 0 °C、 1時間、 A r雰囲気としだ。
得られた試料の断面写真を第 3 4図 Aに、 EPMA分析の結果を第 3 4図 Bに示す。
第 3 4図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は 3 0〜 3 7原子%であり、 深さ約 7 で 2 4原子0 /6となり、 そこで A 1濃 度は 1 8原子0 /0に低下した後、 1 2 のところで 1 0原子0 /0となり、 その後徐々に内部に向かって A 1濃度は低下している。 コーティング 層の厚さは約 1 3 mである。 - 試料は表面から、 A 1プア一 iS— N i A 1相、 ァ, -N i 3 A 1相、 r -N i (A 1 ) 相、 となっている。
H f濃度については、 A 1プア一 一 N i A 1相では 1. 3原子% を示した後直ぐに検出限界以下となるが、 ァ' 一 N i 3 A 1相 (矢印) 'では約 1. 7原子0 /oHf が存在している。 この事実は非常に重要な結 果である。
〈実施例 2 9 >
金属基材として I NC ONE L— 6 2 5の板、 活性金属として H f を用い、 加熱処理の条件を 1 0 0 0 ° (:、 1時間、 A r雰囲気とした。 得られた試料の断面写真を第 3 5図 Aに、 E PMA分析の結果を第 3 5図 Bに示す。
第 3 5図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は約 3 8 〜 3 5原子%であり、 深さ約 4. 5 mで 1 0原子0 /0に低下した後、 徐々に内部に向かって A 1濃度は低下している。 全体の深さは 1 0 u mである。
H f 濃度については、 表面は約 1 0原子%であり、 深さ約 4. 5 mで 8原子%となり、 そこで H f 濃度は 0. 6原子0 /0になり、 1 0 mのところで検出限界以下になる。
Z r濃度は、 表面濃度は 0. 8原子%であり、 内部に向かって、 H f の濃度とほぼ類似の分布を示す。 なお、 検出された Z rは H f 粉末 に不純物として 2重量%含まれている。
コーティング層については、 多元系で複雑であることから、 現在、 不明な点が残されているが、 H f を含有する A 1プア一^一 N i A 1 相、 ァー N i (A 1 ) 相およびそれらの混合相から構成されていると 考えられる。
高濃度の H f 含有アルミナイ ド層が形成されることは大変重要な結 果である。
〈実施例 3 0 >
金属基材として I NC ONE L— 6 2 5の板上に厚さ 3 0 mN i めっきをしたもの、 活性金属として H f を用い、 加熱処理の条件を 1 0 0 0 °C . 1時間、 Ar雰囲気とした。 得られた試料の断面写真を 第 3 6図 Aに、 E PMA分析の結果を第 3 6図 Bに示す。
JP2008/050655 第 3 6図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は 5 0原 子%であり、 深さ約 4 mで 3 9原子0 /0となり、 そこで A 1濃度は 2 8原子0 /6に低下した後、 1 1 のところで 1 0原子%となり、 その 後急激に A 1濃度は低下している。 コーティング層の厚さは約 1 1 mである。
試料は表面から、 A 1プア一 jS— N i A 1·相、 ァ, - N i A 1相、 r - N i ( A 1 ) 相、 となっている。
H f 濃度については、 A 1プア一 yS — N i A 1相では検出限界以下 であるが、 , - N i A 1相 (矢印) では約 1 . 5原子%H f が存 在している。 この事実は非常に重要な結果である。
〈実施例 3 1 >
金属基材として S U S 3 0 4の板、 活性金属として H f を用い、 カロ 熱処理の条件を 1 0 0 0 ° ( 、 1時間、 A r雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第 3 7図 Aに、 E P M A分析の結果を第 3 7図 Bに示す。
第 3 7図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は約 4 7 原子0 /0であり、 深さ約 8 で 3 2原子%に低下し、 その後 8原子0 /0 に急減した後、 徐々に内部に向かって A 1濃度は低下している。 全体 の深さは 1 5 u mである。
H f 濃度については、 表面は 8 〜 1 6原子%であり、 深さ約 4 m で 0 . 6原子%から 0 . 2原子%に低下した後、 2 . 3原子%に増大 した後、 再び、 検出限界まで低下した。
Z r濃度は、 表面濃度は 1 . 2原子%であり、 内部に向かって、 H f の濃度とほぼ類似の分布を示す。 なお、 検出された Z rは H f 粉末 'に不純物として 2重量%含まれている。
コーティング層については、 多元系で複雑であることから、 現在、
P 漏 008/050655 不明な点が残されているが、 H f を含有する A 1プア一 j8— N i A 1 相、 F e ( C r , A 1 ) 相およびそれらの混合相から構成されている と考えられる。
高濃度の H f 含有アルミナイ ド層が形成されることは大変重要な結 果である。
〈実施例 3 2 >
金属基材として S U S 3 04の板上に厚さ 3 0 mN iめっきをし たもの、 活性金属として H f を用い、 加熱処理の条件を 1 0 0 0 ° (:、 1時間、 A r雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第 3 8図 Aに、 EPMA分析の結果を第 3 8図 Bに示す。
第 3 8図 Bから分かるように、 A 1濃度については、 表面は 4 0原 子%であり、 深さ約 6 mで 1 2原子%に低下した後、 2 2 のと ころで 7原子0 /0となり、 その後急激に A 1濃度は低下している。 コ一 ティング層の厚さは約 2 4 mである。
試料は表面から、 A 1プア一 一 N i A 1相、 F e (C r, A 1 ) 相となっている。
H f濃度については、 A 1プア一 S— N i A 1相の表面側では 1 6 〜8原子%H f であるが、 4 / m以下では、 検出限界以下である。 こ の A 1プア一 iS— N i A 1相と F e (C r, A 1 ) 相との間 (矢印) に、 H f濃度は最大 2. 2原子0 /0を示し、 F e (C r, A 1 ) 相では 検出限界となつている。
高濃度の H f がアルミナイ ド層の内部に形成されることは大変重要 な結果である。
' 〈実施例 3 3 >
金属基材として N i板、 パック剤として表 4および表 5に示すよう
08050655 に、 活性金属として Mg、 C a、 T i、 Y、 Ζ Γ、 Η f のいずれか一 つ、 金属酸化物として A 12 ◦ 3 、 触媒化合物として N a C 1 を含む ものを用い、 加熱処理の条件を 1 2 0 0 ° (:、 2時間、 真空雰囲気とし た。
得られた試料の表面をエレメントアナライザーで測定した N i、 A l、 M g、 C a、 T i、 Y、 Z r、 H f の分析の結果を表 4および表 5にまとめて示す。
表 4
表 4から分かるように、 Mgパックでは、 A 1濃度は 4 9. 0 0原 子%であり、 M g濃度は 1 4. 0 4原子%でぁる。 この場合には以下 のような形成機構が提案される。 すなわち、 NaC lは 8 0 3 °Cで溶 融し、 1 2 0 0 °Cでは N a C 1の一部はガス体として移動し、 活性金 属 M gと反応して、 2 NaC l +Mg = 2 Na+Mg C l
2 の反応式 に従って Mg C 1
2 を生成する。 この Mg C l
2 は A l
2 03 と反応 し、 3 Mg C l
2 + A 1
2 03 = 3 Mg O+ 2A l C l
3 を生成する。 これらの M g C 1
2 および A 1 C 1
3 はガス体として移動し、 N i金 属の表面で M gと A 1 とを析出し、 M gを含むアルミナイズド層を形 成する。
C aパックでは、 A 1濃度は 5 7. 4 2原子%であり、 C a濃度は 3. 1 7原子%である。 この活性金属が C aのとき、 じ 3はじ &〇と C a C 12 とを形成するごとを除く と上記の形成機構が適用できる。
T iパックでは、 A 1濃度は 5 3. 2 0原子%であり、 T i濃度は 1. 1 6原子0 /0である。 この場合には以下のような形成機構が提案さ れる。 すなわち、 N a C 1は 8 0 3 °Cで溶融し、 1 2 0 0 tでは N a C 1の一部はガス体として移動し、 活性金属 T i と反応して、 4 N a C l +T i = a + T i C l 4 の反応式に従って T i C 14 を生成す る。 この T i C l 4 は A l 2 03 と反応し、 3 T i C 14 + 2 A 12 03 = 3 T i 02 + 4A 1 C 13 を生成する。 これらの T i C 14 お よび A 1 C 13 はガス体として移動し、 N i金属の表面で T i と A 1 とを析出し、 T iを含むアルミナイズド層を形成する。
表 5から分かるように、 Yパックでは、 A 1濃度は 5 7. 5 7原子 %であり、 Y濃度は 0. 3 9原子%である。 この場合には以下のよう な形成機構が提案される。 すなわち、 NaC 1は 8 0 3 °Cで溶融し、 1 2 0 0 °Cでは NaC 1の一部はガス体として移動し、 活性金属 Yと
P T/JP2008/050655 反応して、 3 NaC l +Y= 3 Na + YC l 3 の反応式に従って YC 13 を生成する。 この YC 13 は A 12 03 と反応し、 2 YC 13 + A 1 z O z =Y2 03 + 2 A 1 C 13 を生成する。 これらの YC 13 および A 1 C 13 はガス体として移動し、 N i金属の表面で Yと A I とを析出し、 Yを含むアルミナイズド層を形成する。
Z rパックでは、 A 1濃度は.4 3. 9 1原子%であり、 Z r濃度は 0. 9 9原子%である。 この活性金属が Z rのとき、 Z rは Z r〇2 と Z r C l 4 とを形成することを除く と上記の形成機構が適用できる。
H f パックでは、 A 1濃度は 4 7. 1 3原子0 /0であり、 H f濃度は 0. 4 3原子%である。 この活性金属が H f のとき、 H f は H f 〇 2 と H f C 14 とを形成することを除く と上記の形成機構が適用できる。 〈実施例 3 4 >
金属基材として N i板、'パック剤として表 6に示すように、 活性金 属として H f 、 金属酸化物として A 12 03 、 触媒化合物として N a C 1を含むものを用い、 加熱処理の条件を 1 3 0 0 °C、 2時間、 真空 雰囲気とした。
得られた試料の表面をエレメントアナライザ一で測定した N i、 A 1、 H f の分析の結果を表 6にまとめて示す。 表 6
5 表 6から分かるように、 H f パックでは.、 A 1濃度は 6 5. 4 2原 子%であり、 H f 濃度は 0. 9 9原子%である。 この場合には以下の ような形成機構が提案される。 すなわち、 N a C 1は 8 0 3 °Cで溶融 し、 1 3 0 0°Cでは N a C 1の一部はガス体として移動し、 活性金属 H f と反応して、 4 N a C l +H f = 4 N a + H f C l
4 の反応式に 従って Mg C し を生成する。 この H f C l
4 は A l
2 0
3 と反応し、 3 H f C 1 + 2 A 1 〇
3 = 3 H f 0
2 + 4 A 1 C 1
3 を生成する。 これらの H f C 1
4 および A 1 C 1
3 はガス体として移動し、 N i金 属の表面で H f と A 1 とを析出し、 H f を含.むアルミナイズド層を形 成する。
以上、 この発明の実施形態および実施例について具体的に説明した が、 この発明は、 上述の実施形態および実施例に限定されるものでは なく、 この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、 拡散浸透処理剤に含ませる金属酸化物としては R e 02 を 用いることも可能であり、 この場合には活性金属として A 1、 C r、 H f などを用いる。
例えば、 金属酸化物として R e 02 、 活性金属として A 1、 触媒化 合物として HC 1 を用いた場合には、 上述の ( 2 ) 式および ( 3 ) 式 に対応する反応は次のようになり、 A 1および R eを同時に拡散浸透 させることが可能である。 -
2 A 1 + 6 HC 1 = 2 A 1 C 1 3 + 3 H2
3 R e 0 + 4 A 1 C 1 = 2 A 1 2 03 + 3 R Θ C 1 4 また、 金属酸化物として R e 02 、 活性金属として C r、 触媒化合 物として HC 1 を用いた場合には、 上述の ( 2 ) 式および ( 3 ) 式に '対応する反応は次のようになり、 C rおよび R eを同時に拡散浸透さ せることが可能である。