JP2004076099A - 耐高温酸化性皮膜被覆部材とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐熱合金製基材の表面に、Alの含有量が3〜24mass%である下記MCrAlXからなる耐高温酸化性合金皮膜が設け、その合金皮膜の上には、Al2O3層を介し、Cr2O3皮膜またはCr2O3皮膜とCr皮膜が積層形成させる。
記
M:Co、Cr、NiおよびFeのうちから選ばれる1種または2種以上
X:Y、Hf、Ta、Cs、Ce、La、Th、W、Si、Pt、MnおよびBのうちから選ばれる1種または2種以上
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱合金製基材の表面に耐高温酸化性皮膜を被覆してなる部材とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガスタービンの熱効率向上のため、作動ガス温度の高温化を目指した研究が盛んに行なわれている。そして、現在では、タービン入口温度は、1500℃を超えるまでに高温化が進んでいる。
【0003】
このようなガスタービンの高温化技術は、高温の燃焼ガスに直接曝されるタービン翼部材用材料の進歩と翼の冷却技術の開発によるところが大きく、現在も重要な研究課題となっている。とくに、タービン動翼は、運転時の遠心力によるクリープやタービンの起動、停止による熱疲労、機械的振動による高サイクル疲労、さらには燃焼ガス中に含まれる海塩粒子、硫黄およびバナジウムなどの不純物により腐食作用を受ける。そのため、ガスタービンの高温化技術の研究は、翼部材用材料の研究が中心となっている。
【0004】
また、タービン静翼は、動翼の前面に配設され、燃焼ガスの案内弁的な働きをしている。そのため、タービン静翼は、動翼に比較して一段と高い温度に曝される環境下にあり、動翼と同じように高い熱応力や熱衝撃を受けやすく、また高温酸化や高温腐食を受けやすい状態にある。
【0005】
そのため、タービン動静翼には、高温強度特性に優れたNi基合金およびCo基超合金が使用され、これらの合金は、高温化された現在のガスタービンにおいて、重要な構成材料の地位を占めている。
【0006】
しかしながら、これらのNi基合金およびCo基超合金類は、高温での強度を重視しているため、強度向上に対する貢献度の低いAl、CrおよびSiなどの高温酸化性に優れた金属成分の含有が低く抑えられてしまい、現在の高温化したガスタービンの構成材料として十分な耐高温酸化特性が得られないという欠点があった。そのため、従来より、動静翼の表面には、高温酸化性に優れた皮膜を形成させる種々の方法が検討され、現在までに多数のコーティング材およびその製造方法が提案されている。
【0007】
例えば、特許第600,213号公報および特許第829,784号公報において、動静翼の表面にCr拡散浸透法を用いて高Cr濃度層を形成し、耐高温酸化性を向上させる技術が開示されている。しかし、これらの技術は、開発の対象としたガスタービンの運転温度が低く、現在のガスタービンの運転環境下(1500℃以上)で使用した場合には、翼表面に形成されたCr層が蒸気圧の高いCrO3となって揮散してしまい、優れた耐高温酸化性は期待できない。
【0008】
また、MCrAlX合金と呼ばれる耐高温酸化性に優れる皮膜が、電子ビーム蒸着法や溶射法によってガスタービンの動静翼および燃焼器内筒(尾筒含む)などの高温被覆部に施工され、現在の高温化されたガスタービンはもとより、ジェットエンジン部材等にも幅広く利用されている。ここで、Mは、Ni、CoあるいはFeの単独あるいは、これら複数の元素からなる合金であり、Xは、Y、Hf、Se、Ce、La、Th、Pt、BおよびSiなどの元素を示す。
【0009】
こうしたMCrAlX合金については、使用目的に応じて種々の化学組成のものが多数提案されており、これらの合金に関する先行技術は、特開昭50−158531号公報、特開昭50−29436号公報、特開昭51−10131号公報、特開昭51−30530号公報、特開昭51−94413号公報、特開昭52−3522号公報、特開昭52−33842号公報、特開昭52−66836号公報、特開昭52−88226号公報、特開昭52−117826号公報、特開昭53−33931号公報、特開昭53−85829号公報、特開昭53−112234号公報、特開昭54−16325号公報、特開昭54−66342号公報、特開昭55−113871号公報、特開昭55−115941号公報、特開昭55−161041号公報、特開昭56−62956号公報、特開昭56−108850号公報、特開昭56−119766号公報、特開昭57−155338号公報、特開昭57−177952号公報、特開昭57−185955号公報、特開昭58−37145号公報、特開昭58−37146号公報、特開昭58−141355号公報、特開昭59−1654号公報、特開昭59−6352号公報、特開昭59−89745号公報、特開昭59−118847号公報および特開昭60−141842号公報などに開示されている。
【0010】
以上の各公報に記載のMCrAlX合金の化学組成は、概ね次のような範囲内にある。
【0011】
これらのMCrAlX合金皮膜は、大気プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法および爆発溶射法などによって成膜されている。しかしながら、MCrAlX合金の成膜に際し、あまり多量のAlを含有させると、成膜後の熱処理時またはガスタービンの運転環境下において、非常に脆弱なNi3(Al,Ti,Nb,Ta)相が多量に析出してしまい、強い衝撃を受けると皮膜に亀裂が発生したり、局部的に剥離するなどの問題が生じてしまう。そのため、市販のMCrAlX合金の多くは、Al含有量を必要最小限に抑制しようとする傾向があり、それ故に、現在の高温化されたガスタービン用の皮膜としては、十分な耐高温酸化性を提供できていないのが実情である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、市販のMCrAlX合金を、耐高温酸化性皮膜として溶射した場合、次に示すような問題点がある。
(1) MCrAlX合金溶射皮膜を、大気中もしくはガスタービン実機のような化石燃料の燃焼ガス雰囲気中に曝すと、皮膜表面にAl2O3と共に、耐高温酸化性に劣るNiO、Cr2O3およびCoO2などの複合酸化物層が形成され、Al2O3のもつ優れた耐高温酸化性を発揮することができない。
(2) Al2O3層のみからなる酸化膜を形成させるには、MCrAlX合金を溶射後、酸素分圧の低い真空炉もしくは不活性ガス雰囲気炉中で加熱する必要があるが、この工程には特定の熱処理装置を必要とし、また、部材の寸法も前記装置内に収容できる程度のものに限定される。
(3) (2)による皮膜形成方法は、減圧プラズマ溶射法または高速フレーム溶射法に限定され、汎用性の高い大気プラズマ溶射法は、皮膜中の酸素含有量が多くなることから適用することができない。
(4) 以上の結果、現行の技術では、MCrAlX合金溶射皮膜の優れた耐高温酸化性を十分に発揮できず、高温ガスタービン用被覆としての寿命が短いという欠点がある。
【0013】
そこで、本発明は、MCrAlX合金溶射皮膜の抱える上記課題を解決し、MCrAlX合金からなる耐高温酸化性合金の溶射皮膜の表面に、緻密で密着性に富み、かつ保護性に優れたAl2O3のみからなる層を積極的に生成させることにより、MCrAlX合金溶射皮膜の優れた耐高温酸化性を十分に発揮できる皮膜被覆部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記目的の実現に向けて鋭意研究した結果、以下の要旨構成にかかる本発明に想到した。即ち、本発明は、耐熱合金製基材の表面に、Alの含有量が3〜24mass%である下記MCrAlXからなる耐高温酸化性合金皮膜が設けられ、その合金皮膜の上には、Al2O3層を介し、Cr2O3皮膜または金属Crを含むCr2O3皮膜が積層形成されてなることを特徴とする耐高温酸化性皮膜被覆部材である。
記
M:Co、Cr、NiおよびFeのうちから選ばれる1種または2種以上
X:Y、Hf、Ta、Cs、Ce、La、Th、W、Si、Pt、MnおよびBのうちから選ばれる1種または2種以上
【0015】
なお、本発明においては、耐熱合金製基材の表面に形成した前記耐高温酸化性合金皮膜は、溶射法もしくは電子ビーム蒸着法によって、30〜800μm厚に成膜されたものであること、および前記耐高温酸化性合金皮膜の上に形成した前記Al2O3層は、2〜30μmの厚みを有することが好ましい。
【0016】
また、本発明は、耐熱合金製基材の表面に、溶射法もしくは電子ビーム蒸着法によって、Alの含有量が3〜24mass%である下記MCrAlXからなる耐高温酸化性合金皮膜を形成し、次いで、含Cr水溶液を塗布または噴霧するか、該水溶液中に浸漬して付着させた後、500〜1500Kで1〜30時間加熱することにより、前記高温酸化性合金皮膜表面にAl2O3層ならびにCr2O3皮膜または金属Crを含むCr2O3皮膜を積層形成することを特徴とする耐高温酸化性皮膜被覆部材の製造方法である。
記
M:Co、Cr、NiおよびFeのうちから選ばれる1種または2種以上の合金
X:Y、Hf、Ta、Cs、Ce、La、Th、W、Si、Pt、MnおよびBのうちから選ばれる1種または2種以上
【0017】
なお、前記Al2O3層は、前記Cr含有水溶液が付着した耐高温酸化性合金皮膜を、500〜800Kで10〜60分加熱して、前記耐高温酸化性合金皮膜の表面に一旦、金属Crを含むCr2O3皮膜を形成した後、さらに950〜1500Kで1〜30時間加熱することにより、前記Cr2O3皮膜と耐高温酸化性合金皮膜中のAlとを反応させて形成すること、および前記含Cr水溶液が、クロム酸、クロム酸アンモニウムおよび重クロム酸アンモニウムのうちのいずれか1種以上の水溶液であることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
まず、耐熱合金製基材、例えばNi基合金、Co基合金、耐熱鋼および耐熱性セラミック焼結体などの基材表面に形成するMCrAlX合金溶射皮膜の高温特性について説明する。
一般に、MCrAlX合金溶射皮膜は、これを加熱すると、この合金を構成する金属がそれぞれの酸化物を生成し、これが皮膜表面に膜状となって存在するようになる。MCrAlX合金の構成金属のうち、M=CoおよびNi、X=Yとした場合の1273Kにおける酸化物の酸素平衡解離圧(atm)は表1に示したとおりである。
【0019】
【表1】
【0020】
上記のように、MCrAlX合金の構成金属のうちYの酸化に必要な酸素の平衡解離圧が最も小さく、1.0×10− 41atmの酸素分圧下で、平衡論的には酸化物(Y2O3)が形成される。しかし、MCrAlX合金中に含まれるY含有量は、一般に1mass%以下と非常に少なく、たとえ、合金中に含まれるすべてのYが酸化物を生成したとしても、溶射皮膜の表面全体を覆うことはできない。また、そもそもYの添加の目的は、保護性酸化膜であるAl2O3の密着性を向上させることにあり、Y2O3そのものが高温環境下において耐高温酸化特性を発揮させるものではない。
【0021】
また、その他の合金構成成分も、酸化に必要な酸素の平衡解離圧が、それぞれAl:1.3×10− 35atm、Cr:2.5×10− 22atm、Co:1.6×10− 12atm、Ni:1.7×10− 10atmと小さく、大気中のような酸素分圧の高い環境下では、すべての合金元素が酸化物を生成できる条件下に置かれている。そのため、MCrAlX合金溶射皮膜の表面には、Al2O3のみならずCoO、NiOおよびCr2O3などからなる複合酸化物が生成され、これらの酸化物の存在が、高温環境下におけるAl2O3による耐高温酸化特性および保護性を低下させる要因となっている。
【0022】
そこで、本発明では、前述のMCrAlX合金溶射皮膜の高温特性を勘案し、次に示すような処理を行なうことによって、緻密で密着性に富み、かつ保護性に優れたAl2O3のみからなる層を、MCrAlX合金皮膜表面に積極的に生成させることを考えた。以下に、その方法について具体的に説明する。
【0023】
▲1▼ まず、基材の表面に積層形成したMCrAlX合金溶射皮膜の表面に、クロム酸CrO3、クロム酸アンモニウム(NH4)2CrO4および重クロム酸アンモニウム(NH4)2Cr2O7などの含クロム水溶液を、単独または混合して塗布し、前記MCrAlX金属溶射皮膜の表面に金属Crの層およびCr2O3の層を形成させる。なお、本発明においては、前記水溶液を噴霧または浸漬させることにより、MCrAlX合金溶射皮膜の表面に付着させてもよい。
【0024】
▲2▼ 次に、▲1▼の処理を終えたMCrAlX合金溶射皮膜を、電気炉中で500〜800K×10〜60分加熱し、該皮膜表面に結晶性または非結晶性の酸化クロム(Cr2O3)を生成させる。この段階で、溶射皮膜上にある前記金属Crの層もまた、その大半は酸化クロム(Cr2O3)に変わる。これは、前記クロム酸、クロム酸アンモニウムおよび重クロム酸アンモニウムの含クロム水溶液が、500〜800Kに加熱されるとそれぞれ分解し、いずれも下記の化学反応式に従って、最終的にはCr2O3を生成する反応を利用したものである。
CrO3 → 1/2Cr2O3+3/4O2
(NH4)2CrO4 → 1/2Cr2O3+2NH3+H2O+3/4O2
(NH4)2Cr2O7 → Cr2O3+2NH3+H2O+3/2O2
【0025】
▲3▼ 必要に応じ、前記▲1▼および▲2▼の操作を複数回繰返し、溶射皮膜の表面に生成するCr2O3膜厚を増加させる。なお、Cr2O3膜厚は、0.2〜10μmとすることが好ましい。これは、Cr2O3皮膜の膜厚が0.2μmより薄い場合には、効果が十分に得られず、また10μmより厚い場合には、その処理に要する時間が多くなり、経済的に不利となり好ましくないためである。なお、この▲1▼〜▲3▼の処理を経て、加熱雰囲気によってはCr2O3皮膜だけでなく金属Crが生成するが、これについては後述する。
【0026】
▲4▼ ▲3▼の処理を終えたMCrAlX合金溶射皮膜を、大気、真空、不活性ガス、化石燃料の燃焼ガスおよび水蒸気などの環境下で950〜1500K×1〜30時間加熱する。この加熱処理により、MCrAlX合金溶射皮膜の表面で、▲3▼の処理によって生成したCr2O3と溶射皮膜中のAlが選択的に反応し、下記化学式にしたがい、Al2O3のみからなる厚い層が、MCrAlX合金溶射皮膜上に均一に形成される。
Cr2O3+2Al → Al2O3+2Cr
【0027】
上記反応は、CrとAlの酸素との化学的親和力(平衡解離圧)の違いを利用したものであり、Crよりも酸素との化学的親和力の大きい(平衡解離圧が小さい)Alが、Cr2O3から酸素を奪うことにより、Al2O3層が形成されるのである。また、MCrAlX合金中には、Alの他、CoやNiなども含まれているが、これらの元素はCrよりも酸素との化学的親和力が小さいため(平衡解離圧が大きい)、Cr2O3から酸素を奪うことができず、結果的にはAl2O3のみからなる酸化層が形成されることになる。
【0028】
なお、上記の反応において、本発明では、Al2O3層を生成させるのに▲2▼+▲3▼の処理を一連の処理として、例えば500〜1500Kで1〜30時間の加熱によって実現させる方法であってもよい。
【0029】
上記Al2O3層の層厚は、2〜30μmとすることが好ましい。これは、Al2O3層厚が、2μmより薄い場合には、緻密性に欠け、優れた耐高温環境性を発揮できないためであり、また30μmより厚い場合には、その皮膜形成に長時間を要し、作業効率が著しく低下するからである。
【0030】
図1は、以上の▲1▼〜▲4▼の工程にしたがい、Al2O3層が形成される過程を模式的に示したものである。Ni基超合金基材1上に形成されたMCrAlX合金皮膜2中のAlと、該皮膜上に形成したCr2O3皮膜3が、950〜1500K×1〜30時間の加熱によって選択的に反応し、MCrAlX合金皮膜2上にAl2O3層4が新しく形成される。そして、Al2O3層4上にAlの還元反応によって生成するCr皮膜層が形成されるが、Cr皮膜層は、大気中での加熱により直ちに酸化され、再びCr2O3となるため、最終的には、基材1から順にMCrAlX合金皮膜2、Al2O3層4およびCr2O3皮膜3が形成されることになる。
【0031】
ただし、950〜1500K×1〜30時間の加熱を真空中や不活性ガス中で行うと、Alによって還元されたCr皮膜は、そのままAl2O3層上に残存することになるため、このような環境で生成される皮膜は、Al2O3層とCr2O3皮膜もしくは金属Crを含むCr2O3皮膜とから構成される。なお、このCr皮膜は、ガスタービン実機環境下では、直ちに酸化されてCr2O3となるため、最終的には上記(0030段落)と同様な挙動と皮膜構成となる。
【0032】
さきに述べたように、Cr2O3皮膜は、1300K以上の高温下でCrO3となって揮散消耗する特性があるが、本発明にかかる部材では、Cr2O3皮膜の直下に保護性に優れたAl2O3層が均一に形成されているため、たとえCr2O3皮膜が揮散消耗しても、MCrAlX合金溶射皮膜の耐高温酸化性を維持することができる。
【0033】
以上のように、本発明にかかる方法は、MCrAlX合金溶射皮膜中のAlとその表面に形成したCr2O3膜との化学反応を利用しているため、加熱時の雰囲気は、大気中はもとより、真空中、Arなどの不活性ガス中、化石燃料の燃焼ガス中および水蒸気中などでも、保護性に優れたAl2O3層を生成することができ、加熱雰囲気条件の自由度が非常に高いという特徴がある。
【0034】
また、MCrAlX合金からなる耐高温酸化性合金皮膜を成膜させる方法としては、減圧プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法、大気プラズマ溶射法および爆発溶射法など、いずれの溶射法を利用してもよい。当然のことながら、電子ビーム熱源を用いたPVD法(EB−PVD)を好適に利用することができるので、この耐高温酸化性合金皮膜であるMCrAlX合金皮膜の形成方法については、とくに規定するものではない。
【0035】
なお、MCrAlX合金の皮膜厚さは、30〜800μmの範囲内とすることが好ましい。これは、膜厚が30μm未満では、MCrAlX合金皮膜としての作用機構、すなわち長期間にわたって基材全体を高温から守る性能が不十分であり、一方、800μmを超える厚膜を形成しても、格別に有効な耐高温環境性が期待できず、逆に成膜に長時間を要し、生産性が低下してコストアップとなるため好ましくない。
【0036】
本発明にかかる製造方法においては、MCrAlX合金皮膜中のAl含有量が重要であり、MCrAlX合金中のAl含有量は3mass%以上、24mass%未満とすることが好ましい。これは、Al含有量が3mass%未満の場合、MCrAlX合金皮膜表面にAl2O3層が形成されるものの、その層厚は薄く、また緻密性に欠けるため、十分な保護性を発揮することができないためである。一方、Al含有量が24mass%を超える場合、緻密で耐高温酸化性に優れたAl2O3層を形成することができるものの、MCrAlX合金皮膜自体が脆く、僅かな衝撃を受けることによって皮膜に亀裂が発生したり、局部的に脱落し、実用化が困難なためである。
【0037】
また、MCrAlX合金は、MがCo、Cr、NiおよびFeのうちから選ばれる1種または2種以上、およびXがY、Hf、Ta、Cs、Ce、La、Th、W、Si、Pt、MnおよびBのうちから選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。なお、M成分は、高温使用環境下において優れた機械的強度を発揮し、X成分は、MCrAlX合金全体の機械的強度や保護性酸化皮膜の皮壊を抑制する働きをする。
【0038】
また、本発明にかかる製造方法おいて用いる含クロム水溶液は、クロム酸、クロム酸アンモニウムおよび重クロム酸アンモニウムのうちのいずれか1種以上の水溶液であることが好ましい。これは、これらの薬剤がいずれも、800K以下の比較的低い温度で分解し、MCrAlX溶射皮膜上にCr2O3のみからなる皮膜を生成するためである。また、これらの水溶液は、MCrAlX溶射皮膜特有の比較的粗い表面はもとより、皮膜中の小さな気孔中にも侵入してCr2O3膜を生成するため、Al2O3層の形成範囲が非常に広く、また確実に行なえる点に特徴がある。
【0039】
【実施例】
<実施例1>
この実施例では、Al含有量の異なるMCrAlX合金を基材上に溶射して皮膜形成した後、高温で加熱し、MCrAlX合金溶射皮膜中のAl含有量、加熱雰囲気および該皮膜上のCr2O3膜の有無が、Al2O3層の形成に与える影響について調査した。
【0040】
表1に示すMCrAlX溶射材料を使用し、Ni基超合金試験片基材(直径13mm×長さ60mm)の表面に、減圧プラズマ溶射法によって、300μm厚の耐高温酸化性合金の皮膜を形成した。なお、Ni基超合金基材の組成も併せて表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
次に、上記試験片を30wt%CrO3水溶液へ浸漬し、その後、750K×20分乾燥する操作を5回繰返して耐高温酸化性合金の溶射皮膜(アンダーコート)上に、Cr2O3膜(オーバーコート)を形成した。
【0043】
Cr2O3膜が形成された上記試験片を、さらに大気中とArガス雰囲気中で1400K×9時間加熱した後、切断し、光学顕微鏡によってAl2O3膜の生成の有無およびその状態を観察した。なお、比較例としては、30wt%CrO3水溶液への浸漬操作を行なわない(Cr2O3膜の形成を行なわない)場合の試験片を用いた。
【0044】
試験結果を表3に示す。この結果から、大気中で加熱処理(1400K×9時間)を行なった場合、MCrAlX合金皮膜中のAl含有量が3mass%未満のもの(No.1〜4)では、Cr2O3膜の生成の有無に関係なく、緻密なAl2O3層の生成は認められなかった。一方、Al含有量が3mass%以上の皮膜(No.5〜16)では、Cr2O3膜がなくても緻密なAl2O3層が形成されたが、No.6試験片のようにAl2O3層の生成が不連続で、ときには全く生成されていない箇所も認められた。
【0045】
【表3】
【0046】
一方、Arガス雰囲気のように、酸素分圧が極めて小さい条件で加熱処理を行なった場合では、Cr2O3膜がないケース(No.2、4、6、8、10、12、14、16)には、たとえ皮膜中に多量にAlが含まれていてもAl2O3層の生成は、全く認められなかった。これに対し、皮膜中のAl含有量が少ないケース(No.1および3)を除き、Cr2O3膜のある皮膜(No.5、7、9、11、13、15、17)においては、大気下加熱時と同様に緻密なAl2O3層が形成された。
【0047】
<実施例2>
この実施例では、実施例1の加熱試験に供したNo.5〜16の試験片を用いて熱衝撃試験を実施し、Cr2O3膜およびAl2O3層の形成が、皮膜の耐熱衝撃性に与える影響について調査した。なお、熱衝撃試験は、1400K×15分加熱した後、25℃水中へ投入して冷却する操作を5回繰返すことにより行なった。
【0048】
試験結果を表4に示す。この結果から、MCrAlX合金中のAl含有量が24mass%未満の場合(No.5〜12)には、熱衝撃によって皮膜に亀裂が発生することはなかったが、24mass%以上の場合(No.13〜16)では、Cr2O3膜およびAl2O3層の生成の有無に関係なく、大きな亀裂が発生した。この原因としては、MCrAlX合金皮膜中のAl含有量の多い場合、硬くて脆い金属間化合物(Ni3Al)が過剰に生成し、その結果、延性が著しく低下してしまったことが考えられる。ただし、このような脆弱な皮膜であっても、使用環境が静的な場合には、Al2O3層により、耐高温酸化性は十分に期待できるものと思われる。
【0049】
【表4】
【0050】
<実施例3>
この実施例では、表1の組成から成るNi基超合金の試験片基材(寸法:50mm×50mm×5mm)の全面に、高速フレーム溶射法によってAl含有量が、3、12および24mass%の3種類のMCrAlX合金皮膜を500μm厚に形成した後、実施例1と同じ方法によりCr2O3膜を生成させ、さらに電気炉中(大気中 1473K×500時間)にて高温酸化試験を行い、試験前後の重量測定値から、皮膜の耐高温性を評価する実験を行なった。
【0051】
なお、比較用の皮膜としては、MCrAlX合金皮膜上にCr2O3膜を形成させないものの他、50mass%Ni−Cr合金、80mass%Ni−Cr合金およびSUS316を高速フレーム溶射法により、試験片上に500μm厚に皮膜形成したものを用いた。
【0052】
試験結果を表5に示す。この結果から、MCrAlX合金皮膜であっても、本発明にかかる表面処理を施さない皮膜(No.2、4、6)では、高温酸化試験による重量損失量が多く(180〜245mg)、また、その他の比較例(No.7、8、9)では、さらに大きな重量損失(1900〜3500mg)が認められ、Al2O3層を生成しない溶射皮膜の耐高温酸化性が低いことがわかった。
【0053】
これに対し、本発明にかかる処理を施した皮膜(No.1、3、5)では、いずれも重量損失量が少なく(70〜82mg)、緻密で保護性に優れたAl2O3層の生成による効果が顕著であることがわかった。
【0054】
【表5】
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、ガスタービンの高温被爆部材の耐高温酸化性皮膜として汎用されているMCrAlX合金皮膜の表面に、化学的処理によってCr2O3膜を生成させた後、この皮膜を高温で加熱することによって、MCrAl合金皮膜と、Cr2O3膜の境界面に保護性に優れたAl2O3層を優先的に形成することができる。
【0056】
本発明にかかる上述した処理を実施し、MCrAl合金皮膜表面にAl2O3層を形成することにより、耐高温酸化性に優れた皮膜を提供することが可能になり、ガスタービンの高温被爆部材の焼損事故を低減することができると共に、さらなるガスタービンの高温化にも貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる製造方法により、MCrAlX合金皮膜表面にAl2O3層が形成される過程を示した模式図である。
【符号の説明】
1 Ni基超合金基材
2 MCrAlX合金皮膜
3 Cr2O3皮膜
4 Al2O3層
Claims (6)
- 耐熱合金製基材の表面に、Alの含有量が3〜24mass%である下記MCrAlXからなる耐高温酸化性合金皮膜が設けられ、その合金皮膜の上には、Al2O3層を介し、Cr2O3皮膜または金属Crを含むCr2O3皮膜が積層形成されてなることを特徴とする耐高温酸化性皮膜被覆部材。
記
M:Co、Cr、NiおよびFeのうちから選ばれる1種または2種以上
X:Y、Hf、Ta、Cs、Ce、La、Th、W、Si、Pt、MnおよびBのうちから選ばれる1種または2種以上 - 耐熱合金製基材の表面に形成した前記耐高温酸化性合金皮膜は、溶射法もしくは電子ビーム蒸着法によって、30〜800μm厚に成膜されたものであることを特徴とする請求項1に記載の耐高温酸化性皮膜被覆部材。
- 前記耐高温酸化性合金皮膜の上に形成した前記Al2O3層は、2〜30μmの厚みを有することを特徴とする請求項1に記載の耐高温酸化性皮膜被覆部材。
- 耐熱合金製基材の表面に、溶射法もしくは電子ビーム蒸着法によって、Alの含有量が3〜24mass%である下記MCrAlXからなる耐高温酸化性合金皮膜を形成し、次いで、含Cr水溶液を塗布または噴霧するか、該水溶液中に浸漬して付着させた後、500〜1500Kで1〜30時間加熱することにより、前記高温酸化性合金皮膜表面にAl2O3層ならびにCr2O3皮膜または金属Crを含むCr2O3皮膜を積層形成することを特徴とする耐高温酸化性皮膜被覆部材の製造方法。
記
M:Co、Cr、NiおよびFeのうちから選ばれる1種または2種以上の合金
X:Y、Hf、Ta、Cs、Ce、La、Th、、W、Si、Pt、MnおよびBのうちから選ばれる1種または2種以上 - 前記Al2O3層は、前記Cr含有水溶液が付着した耐高温酸化性合金皮膜を、500〜800Kで10〜60分加熱して、前記耐高温酸化性合金皮膜の表面に一旦、金属Crを含むCr2O3皮膜を形成した後、さらに950〜1500Kで1〜30時間加熱することにより、前記Cr2O3皮膜と耐高温酸化性合金皮膜中のAlとを反応させて形成することを特徴とする請求項4に記載の耐高温酸化性皮膜被覆部材の製造方法。
- 前記含Cr水溶液が、クロム酸、クロム酸アンモニウムおよび重クロム酸アンモニウムのうちのいずれか1種以上の水溶液であることを特徴とする請求項4または5に記載の耐高温酸化性皮膜被覆部材の製造方法。
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