JP2003248983A - 情報記録方法及び情報記録装置並びに記録媒体 - Google Patents

情報記録方法及び情報記録装置並びに記録媒体

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JP2003248983A JP2002050766A JP2002050766A JP2003248983A JP 2003248983 A JP2003248983 A JP 2003248983A JP 2002050766 A JP2002050766 A JP 2002050766A JP 2002050766 A JP2002050766 A JP 2002050766A JP 2003248983 A JP2003248983 A JP 2003248983A
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Kenji Kamimura
健二 上村
Hiroyoshi Kaneda
弘喜 金田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ピット長の短い記録ピットからでも良好な読取
信号波形を得ることができる記録媒体を製造する為の原
盤製造用の情報記録方法及び情報記録装置、並びにその
記録媒体を提供することを目的とする。 【解決手段】基板上に形成されたレジスト層に、記録ピ
ットに対応したパルス信号に応じて露光ビームを照射す
るにあたり、照射すべき露光ビームの照射期間を上記パ
ルス信号のパルス幅に応じて調整しつつ、かかるパルス
信号に応じて上記露光ビームをトラックに沿った方向に
偏向する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子ビーム、レー
ザビーム等の露光ビームを用いた情報記録装置に関し、
特に、再生専用光ディスク、光磁気ディスク、相変化型
光ディスク、磁気ディスク等の記録媒体の原盤を製造す
る製造装置に用いられる情報記録装置、その情報記録方
法及び原盤から複製される光ディスク、磁気ディスク等
の記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】データの記録可能な光学式記録媒体とし
て、追記型のDVD−R(Digital Versatile Disc-Rec
ordable)や、書換可能型のDVD−RW(Digital Ver
satileDisc-ReWritable)など光ディスクがある。これ
ら光ディスクにおいては、ディスクの回転制御に用いら
れるウォブリング信号等の回転制御情報やデータ記録時
の位置検索などに必要なアドレス情報等の信号は、原盤
製造時において凹又は凸部であるトラック(グルーブト
ラック又はランドトラック)に予め記録される。
【0003】上記の如き光ディスクを製造するにあた
り、先ず、トラックに沿った所定の凹凸パターンを原盤
に記録し、この原盤からディスクスタンパを形成する。
そして、該ディスクスタンパを用いて合成樹脂などを加
熱プレス加工または射出成形し、該パターンが原盤から
転写された記録面上を金属蒸着処理した後、透光性基板
などを形成する。該パターンの原盤への記録は、情報記
録装置によってなされる。情報記録装置は、原盤の記録
面を回転させつつ、レーザ光ビームを照射するヘッダを
適宜半径方向に送ることにより、レーザ光ビームの照射
スポットがほぼ等間隔のピッチで螺旋状又は同心円状の
トラック軌跡を描くように制御する。更に、その軌跡上
において、記録原盤の回転速度及び情報内容に応じてレ
ーザ光をオン/オフさせることにより原盤上に記録ピッ
トを記録していた。
【0004】ところが、このようなレーザ光ビームを用
いた原盤のトラックカッティングすなわちマスタリング
では、レーザ光ビームのスポット径、波長及び対物レン
ズの開口数NAによって記録分解能が制限される為、よ
り高密度化された記録媒体の製造が困難であった。そこ
で、レーザ光よりもスポット径が小さく、記録分解能の
向上を図ることが可能な電子ビーム露光を用いた原盤の
カッティングが検討されている。電子ビーム露光を用い
た原盤カッティングでは、原盤上に電子ビーム用のレジ
スト層を形成し、記録変調の施された情報データに応じ
てレジスタ層に電子ビームを照射する。この際、電子ビ
ームの照射された箇所に、記録ピットに対応した形状を
有する潜像が形成される。次に、潜像の形成された部分
のみを上記レジスト層から削除することによりマスクパ
ターンを作成する。そして、このマスクパターンを用い
ることにより記録ピットに対応した凸形状又は凹形状の
記録ピット列の形成されたスタンパを作成し、かかるス
タンパにより光ディスクを製造するのである。
【0005】しかしながら、電子ビーム露光によって形
成された潜像の形状は、形成させるべき記録ピットの長
さが短い場合には、長い場合に比してそのピット幅(マ
ーク幅)が狭くなってしまう。従って、電子ビーム露光
によって作成されたスタンパを用いて製造された光ディ
スクからは、良好な読取信号波形が得られないという問
題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した点
に鑑みてなされたものであり、ピット長の短い記録ピッ
トからでも良好な読取信号波形を得ることができる記録
媒体を製造する為の原盤製造用の情報記録方法及び情報
記録装置、並びにその記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による情報記録方
法は、記録ピットに対応したパルス信号に応じて基板上
に形成されたレジスト層に露光ビームを照射することに
より前記記録ピットに対応した潜像をトラックに沿って
前記レジスト層に記録する情報記録方法であって、前記
パルス信号のパルス幅に応じて前記露光ビームの照射期
間を調整する照射期間調整行程と、前記パルス信号に応
じて前記露光ビームを前記トラックに沿った方向におい
て偏向させる偏向行程と、を有する。
【0008】又、本発明による情報記録装置は、原盤上
に形成されたレジスト層の表面に露光ビームを照射する
ことにより記録ピットに対応した潜像をトラックに沿っ
て前記レジスト層に形成させる情報記録装置であって、
前記原盤を回転駆動する回転駆動部と、前記記録ピット
に対応したパルス信号のパルス幅が短いほど大なるオフ
セット期間を前記パルス幅に加算して得た期間に亘り前
記露光ビームを前記レジスト層の表面に照射する露光ビ
ーム射出部と、前記パルス信号のパルス幅に応じた偏向
量にて前記露光ビームを前記トラックに沿った方向に偏
向するビーム偏向部と、を有する。
【0009】又、本発明による記録媒体は、トラックに
沿って所定の記録ピット列が形成された原盤に基づいて
複製された基板と前記基板上に形成された記録層とを有
する記録媒体であって、レジスト層が形成されている前
記原盤を回転させると共に前記記録ピットに対応したパ
ルス信号のパルス幅に応じた偏向量にて露光ビームを前
記トラックに沿った方向に偏向させつつ前記レジスト層
上に照射することにより前記記録ピット列に対応した潜
像を前記レジスト層に形成させる情報記録行程と、前記
レジスト層に形成された前記潜像を現像して前記レジス
ト層に記録マークを形成する現像行程と、前記記録マー
クの形成された前記レジスト層を転写することにより前
記所定の記録ピット列が形成されたスタンパを製造する
転写行程と、を経て複製されたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照
しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態の
情報記録装置である電子ビームレコーダ10の概略ブロ
ック図である。電子ビームレコーダ10は、原盤15を
回転及び並進駆動する駆動機構などが真空雰囲気中で動
作するようにそれらを収納する真空チャンバ11、電子
ビームを射出する電子ビームカラム部40、並びにこれ
ら真空チャンバ11及び電子ビームカラム部40を制御
する各種モジュール(後述する)から構成される。
【0011】真空チャンバ11には真空ポンプ28が接
続されており、これによってチャンバ内を排気すること
によりチャンバ内部が所定圧力の真空雰囲気となるよう
に設定されている。真空チャンバ11は、エアーダンパ
などの防振台(図示せず)を介してフロアに設置され、
外部からの振動の伝達が抑制されている。原盤15には
例えばシリコン基板が用いられ、その主面上に電子ビー
ム用のレジスト層が設けられている。原盤15は、スピ
ンドルモータ17によって回転駆動するターンテーブル
16上に載置される。スピンドルモータ17は真空対応
エアースピンドル構造の防磁モータを含む。スピンドル
モータ17は、スライダにより直線状に移動できる送り
ステージ(以下、単にステージという)18に載置され
ている。ステージ18は、DCモータによってネジ送り
する送り機構19に結合され、スピンドルモータ17及
びターンテーブル16を原盤15の主面と平行な水平方
向面内に移動する。半径センサ20は、レーザ光をステ
ージ18に照射した際の反射光に基づいてステージ18
の位置を表す測長データを生成し、これを送り回転制御
回路30に供給する。送り回転制御部30は、スピンド
ルモータ17のエンコーダからの出力に基づいて、その
回転のフィードバックサーボ制御を実施する。更に、送
り回転制御部30は、半径センサ20から供給された上
記測長データに基づいて送り機構19を駆動してステー
ジ18の速度のフィードバックサーボ制御をなす。この
際、送り回転制御部30は、コントローラ25から供給
される所定のトラックピッチ情報、及び上記測長データ
に基づき、スピンドルモータ17の回転数と送り機構1
9の送り距離とが一定となるように制御する。又、送り
回転制御部30は、上記測長データに基づく原盤の位置
データをコントローラ25に供給する。コントローラ2
5は、最終的に光ディスクに記録すべき情報データを担
う記録ピットに対応した記録変調信号MSを生成し、こ
れを送り回転制御部30から供給された原盤の位置デー
タと共にビーム変調回路52に供給する。さらに、コン
トローラ25は、上記位置データ及び記録変調信号MS
に同期させた電子ビーム偏向信号をビーム偏向回路55
に供給する。この際、コントローラ25及び送り回転制
御部30は、ステージ18が原盤15の1回転毎に所定
トラックピッチずつ進むように送り機構19を制御す
る。
【0012】又、真空チャンバ11における電子ビーム
カラム部40近傍の内壁には、原盤15の主面の高さを
光学的に検出する為のレーザ光源22及び光検出器23
が設けられている。レーザ光源22は、原盤15の表面
にレーザ光を照射する。光検出器23は、この原盤15
の表面からの反射光を光電変換して得られた受光信号を
高さ測定回路24に供給する。高さ測定回路24は、上
記受光信号に基づいて原盤15の主面の高さを測定し、
その高さを表す高さデータをフォーカス制御回路56に
供給する。
【0013】電子ビームカラム部40内には、上方か
ら、電子銃41、収束レンズ42、ブランキング電極4
3、オンオフ制御アパーチャ44、ビーム偏向電極4
5、フォーカス調整レンズ46、及び対物レンズ47が
配置されている。電子銃41は、加速高圧電源51が生
成した数10KeVの高電圧により加速された電子ビー
ムを射出する。収束レンズ42は、射出された電子ビー
ムを収束し、これをブランキング電極43、アパーチャ
44、ビーム偏向電極45、フォーカス調整レンズ4
6、対物レンズ47及び電子ビーム射出口49を介して
原盤15のレジスト層の表面に照射する。
【0014】この際、フォーカス制御回路56は、上記
高さ測定回路24にて測定して得られた高さデータに基
づいて、原盤15のレジスト層の表面に電子ビームの焦
点を合焦させるべく上記フォーカス調整レンズ46を駆
動する。かかるフォーカス調整により、レジスト層の表
面上に電子ビームのビームスポットが形成される。ビー
ム偏向電極45は、互いに直交する対向配置された電極
からなり、アパーチャ44を介して供給された電子ビー
ムを図2に示す如き原盤15の表面におけるトラック方
向X、及びディスク半径方向Yの2方向に独立して偏向
可能に設けられている。ビーム偏向電極45の2軸電極
は、それぞれビーム偏向回路55からのトラック方向偏
向信号X(t)及びディスク半径方向偏向信号Y(t)
により制御され、電子ビームをそれぞれの軸方向に偏向
させる。尚、ビーム偏向回路55は、コントローラ25
から供給された記録変調信号MS、及び後述するビーム
変調回路52から供給されたブランキング信号BLに基
づいて上記トラック方向偏向信号X(t)を生成する。
更に、ビーム偏向回路55は、ビームスポットを原盤1
5の1回転ごとに1トラックピッチずつディスク半径方
向に移動させるべきディスク半径方向偏向信号Y(t)
を生成する。これによりビーム偏向電極45は、上記デ
ィスク半径方向偏向信号Y(t)に応じて電子ビームを
ディスク半径方向に偏向する。更に、ビーム偏向電極4
5は、トラック方向偏向信号X(t)に応じた分だけ電
子ビームをトラック方向Xに偏向する。
【0015】又、上記ブランキング電極43は、ビーム
変調回路52から供給されたブランキング信号BLに応
じて電子ビームのビーム軸を偏向させる。これにより、
電子ビームがアパーチャ44を通過してビーム偏向電極
45、フォーカス調整レンズ46及び対物レンズ47に
導出される場合(以下、ビームオン状態と称する)と、ア
パーチャ44で通過が阻止される場合(以下、ビームオ
フ状態と称する)とが生じる。この際、ビーム変調回路
52は、コントローラ25から供給された記録変調信号
MSに応じて上記ブランキング信号BLを生成するもの
である。又、記録変調信号MSとは、光ディスクに記録
すべき情報データに所定の記録変調処理を施して得られ
た信号である。従って、光ディスクに記録すべき情報デ
ータに応じて、交互に上述した如きビームオン状態及び
ビームオフ状態となり、ビームオン状態にある期間に限
り原盤15のレジスト層の表面に電子ビームが照射され
るのである。これにより、スピンドルモータ17によっ
て回転される原盤15のレジスト層の表面上には、図3
に示す如く、電子ビームの照射された箇所のみに記録ピ
ットに対応した潜像SZの系列が螺旋状に形成される。
【0016】ここで、前述した如く電子ビームを原盤1
5のレジスト層の表面に照射するにあたり、本発明によ
る電子ビームレコーダ10においては、図4に示す如き
電子ビーム偏向制御を実施する。先ず、ビーム変調回路
52は、記録変調信号MS中において論理レベル1の期
間、つまり、光ディスク上に記録すべき記録ピットのピ
ット長に対応した期間が比較的長い場合には、この期間
と同一の期間だけ論理レベル1を維持するブランキング
信号BLを生成する。一方、記録変調信号MS中におい
て論理レベル1の期間が短い場合には、ビーム変調回路
52は、この期間を前後に所定期間だけ延ばしたものを
ブランキング信号BLとして生成する。例えば、図4に
示すように、ビーム変調回路52は、論理レベル1の期
間が最大となるパルス幅TMAXの記録変調信号MSが供
給されている期間中は、このパルス幅TMAXと同一期間
だけ論理レベル1を維持するブランキング信号BLを生
成する。一方、論理レベル1の期間が最小となるパルス
幅TMINの記録変調信号MSが供給された場合には、ビ
ーム変調回路52は、以下の如きブランキング信号BL
を生成する。つまり、ビーム変調回路52は、図4に示
す如く、パルス幅TMINの記録変調信号MSのフロント
エッジタイミングを所定のオフセット期間OF1だけ早
め、リアエッジタイミングをオフセット期間OF1だけ
遅らせることにより論理レベル1となる期間を広げたブ
ランキング信号BLを生成するのである。又、上記パル
ス幅TMI Nより大でありパルス幅TMAXよりも小なるパル
ス幅TMIDの記録変調信号MSが供給された場合には、
ビーム変調回路52は、以下の如きブランキング信号B
Lを生成する。つまり、ビーム変調回路52は、図4に
示す如く、パルス幅TMIDの記録変調信号MSのフロン
トエッジタイミングを所定のオフセット期間OF2(OF
1>OF2)だけ早め、リアエッジタイミングをオフセッ
ト期間OF2だけ遅らせることにより論理レベル1とな
る期間を広げたブランキング信号BLを生成するのであ
る。
【0017】この際、上記ブランキング信号BLが論理
レベル1である期間中に限り、ブランキング電極43
は、収束レンズ42から供給された電子ビームをアパー
チャ44を通過せしめるように電子ビームを偏向する。
つまり、この間、ビームオン状態となって原盤15のレ
ジスト層表面上に電子ビームが照射されるのである。す
なわち、上記ブランキング信号BLが論理レベル1であ
る期間が、原盤15のレジスト層に電子ビームが照射さ
れる照射期間となるのである。
【0018】一方、ビーム偏向回路55は、上記ブラン
キング信号BLが論理レベル1である期間中に限り、正
電圧から負電圧(又は負電圧から正電圧)に徐々にレベル
が推移するトラック方向偏向信号X(t)を生成する。こ
の際、ビーム偏向回路55は、論理レベル1の期間の長
い記録変調信号MSが供給されている場合には、電圧推
移幅、つまり振幅が小なるトラック方向偏向信号X(t)
を生成する。一方、論理レベル1の期間の短い記録変調
信号MSが供給されている場合には、ビーム偏向回路5
5は、振幅が大なるトラック方向偏向信号X(t)を生成
する。つまり、ビーム偏向回路55は、記録変調信号M
Sにおいて論理レベル1の期間が短いほど大なる振幅で
正電圧から負電圧(又は負電圧から正電圧)へと徐々にレ
ベルが推移するトラック方向偏向信号X(t)を生成する
のである。例えば、図4において、論理レベル1の期間
が最大となるパルス幅TMAXの記録変調信号MSが供給
されている期間中は、ビーム偏向回路55は、振幅"
0"、つまり0レベル一定のトラック方向偏向信号X
(t)を生成する。一方、図4に示す如く、論理レベル1
の期間が最小となるパルス幅TMINの記録変調信号MS
が供給されている場合には、ビーム偏向回路55は、ブ
ランキング信号BLが論理レベル1である期間中に亘
り、正電圧V1から負電圧(−V1)へと電圧が推移する
トラック方向偏向信号X(t)を生成する。又、上記パル
ス幅TMINより大でありパルス幅TMAXよりも小なるパル
ス幅TMIDの記録変調信号MSが供給された場合には、
ビーム偏向回路55は、ブランキング信号BLが論理レ
ベル1である期間中に亘り正電圧V2から負電圧(−V
2)へと電圧推移するトラック方向偏向信号X(t)を生
成する。尚、V1はV2よりも高電圧である。
【0019】上述した如き電子ビーム偏向制御によれ
ば、例えば、図4に示す如き論理レベル1の期間が最大
となるパルス幅TMAXの記録変調信号MSが供給された
場合には、その期間中(時点t11〜時点t15)に亘り
電子ビームが原盤15のレジスト層表面に照射される。
この間、図4に示すようにトラック方向偏向信号X(t)
の信号レベルは"0"である為、図5(a)に示す如く、時
点t11〜時点t15に亘り、電子ビームカラム部40
の電子ビーム射出口49からは、原盤15の表面に対し
て垂直に電子ビームが照射される。この間(時点t11
〜t15)、原盤15はスピンドルモータ17によって
回転しているので、原盤15のレジスト層上に形成され
るビームスポットの位置はスピンドルモータ17の回転
方向とは反対方向、すなわち記録進行方向に移動して行
く。よって、図4及び図5(a)中において斜線分にて示
す如く、上記パルス幅TMAXと同一長を有する潜像SZ
1が原盤15のレジスト層上に形成される。
【0020】一方、図4に示す如き論理レベル1の期間
が最小となるパルス幅TMINの記録変調信号MSが供給
された場合には、かかる期間とその前後のオフセットオ
フセット期間OF1を含む期間中(時点t1〜時点t5)
に亘り電子ビームが原盤15のレジスト層表面に照射さ
れる。この時点t1〜t5の期間中においてトラック方
向偏向信号X(t)の信号レベルは、図4に示す如く、正
電圧V1から負電圧(−V1)へと徐々に推移する。例え
ば、図4に示すように、時点t1ではトラック方向偏向
信号X(t)の信号レベルは正電圧V1、時点t2では正
電圧(V1/2)、時点t3では電圧"0"、時点t4では
負電圧(−V1/2)、時点t5では負電圧(−V1)とな
る。この際、ビーム偏向電極45は、上記トラック方向
偏向信号X(t)の信号レベルに応じた分だけ電子ビーム
をトラック方向Xに偏向する。よって、上記時点t1で
は、正電圧V1に応じた角度θ1だけトラック方向Xに
偏向された電子ビームが電子ビームカラム部40の電子
ビーム射出口49から原盤15のレジスト層表面に向け
て照射される。すなわち、時点t1では、図5(b)に示
す如くトラックに沿った方向Xにおける記録進行方向側
に角度θ1だけ偏向された電子ビームが原盤15のレジ
スト層表面に向けて照射されるのである。又、時点t2
では、正電圧(V1/2)に応じた角度θ2だけトラック
方向Xに偏向された電子ビームが電子ビームカラム部4
0の電子ビーム射出口49から原盤15のレジスト層表
面に向けて照射される。すなわち、時点t2では、図5
(b)に示す如くトラックに沿った方向Xにおける記録進
行方向側に角度θ2だけ偏向された電子ビームが原盤1
5のレジスト層表面に向けて照射されるのである。尚、
角度θ2は角度θ1よりも小である。又、時点t3で
は、図5(b)に示す如く、電圧"0"に応じた角度、すな
わち、レジスト層の表面に対して垂直に電子ビームが照
射される。又、時点t4では、負電圧(−V1/2)に応
じた角度(−θ2)だけトラック方向Xに偏向された電子
ビームが電子ビームカラム部40の電子ビーム射出口4
9から原盤15のレジスト層表面に向けて照射される。
すなわち、時点t4では、図5(b)に示す如くトラック
に沿った方向Xにおける記録進行方向とは反対方向に角
度θ2だけ偏向された電子ビームが原盤15のレジスト
層表面に向けて照射されるのである。又、時点t5で
は、負電圧(−V1/2)に応じた角度(−θ1)だけトラ
ック方向Xに偏向された電子ビームが電子ビームカラム
部40の電子ビーム射出口49から原盤15のレジスト
層表面に向けて照射される。すなわち、時点t5では、
図5(b)に示す如くトラックに沿った方向Xにおける記
録進行方向とは反対方向に角度θ1だけ偏向された電子
ビームが原盤15のレジスト層表面に向けて照射される
のである。
【0021】この間(時点t1〜t5)、原盤15のレジ
スト層上に形成されるビームスポットの位置はスピンド
ルモータ17の回転方向とは反対方向、すなわち記録進
行方向に移動して行く。これにより、時点t1〜時点t
5の期間に亘り、上記パルス幅TMINと同一長の領域内
に電子ビームが照射され、このパルス幅TMINと同一長
を有する潜像SZ2が原盤15のレジスト層上に形成さ
れる。
【0022】この際、図5(b)に示す如き電子ビームの
偏向制御では、電子ビームの照射期間内において、先
ず、電子ビームをトラックに沿った記録進行方向に偏向
し、徐々に偏向量を低下させて電子ビームを記録進行方
向とは反対方向に徐々に偏向させて行く。これにより、
電子ビームスポットがレジスト層の表面をトレースする
際の相対的な移動速度が低下するので、図5(a)の場合
に比して単位面積あたりの電子ビームの露光時間が増大
する。よって、かかる電子ビームの偏向制御によれば、
ピット長の短い記録ピットに対応した潜像の幅をピット
長の長い記録ピットに対応した潜像の幅と同一幅にする
ことが可能となる。
【0023】図6は、上述した如き電子ビーム露光によ
ってレジスト層に潜像を記録してからスタンパが製造さ
れるまでの概略製造フローを示す図である。先ず、情報
記録行程S1では、上述した如き電子ビーム露光によ
り、原盤15のレジスト層に潜像を形成させる。すなわ
ち、情報記録行程S1では、レジスト層が形成されてい
る原盤15を回転させつつ、記録変調信号MSに応じて
レジスト層の表面に電子ビームを照射する。この際、図
4及び図5に示すように、露光ビームを、記録変調信号
MSのパルス幅に応じた偏向量にてトラックに沿った方
向に偏向させつつ上記レジスト層に照射する。これによ
り、記録ピット列に対応した潜像をレジスト層に形成さ
せる。
【0024】次の現像行程S2では、レジスト層に形成
されている潜像を現像する。これにより、上記潜像の箇
所にこの潜像と同一形態の記録マークが形成される。次
の転写行程S3では、現像行程S2によって記録マーク
の形成されたレジスト層を転写することにより、記録ピ
ットの形成されたスタンパを製造する。従って、かかる
スタンパを用いて複製された光ディスク上にはピット長
に関わらず、そのピット幅が均一な良好な形態を有する
記録ピットが形成されることになる。
【0025】尚、上記実施例においては、ビーム偏向回
路55は、記録変調信号MS及びブランキング信号BL
に応じて図4に示す如き波形のトラック方向偏向信号X
(t)を生成するようにしているが、その波形形態は図4
に示されるものに限定されるものではない。例えば、ビ
ーム偏向回路55は、記録変調信号MS及びブランキン
グ信号BLに応じて図7に示す如き波形のトラック方向
偏向信号X(t)を生成し、これをビーム偏向電極45に
供給する。かかるトラック方向偏向信号X(t)では、立
ち下がり開始部DS及び立ち上がり開始部USでのレベ
ル推移を急峻にしている。これにより、潜像SZのエッ
ジ部EGに対する電子ビームの照射時間が図4に示すト
ラック方向偏向信号X(t)を用いた場合に比して長くな
り、このエッジ部EGでの潜像の幅をより大にすること
が可能となる。従って、図7に示すトラック方向偏向信
号X(t)に基づく電子ビーム露光によって作成されたス
タンパを用いて製造された光ディスク上には、より良好
なエッジ形態を有する記録ピットが形成されることにな
る。
【0026】
【発明の効果】上記したことから明らかなように、本発
明によれば、ピット長の短い記録ピットからでも良好な
読取信号波形を得ることができる光ディスクを複製する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子ビームレコーダを示す概略ブ
ロック図。
【図2】原盤15の表面上におけるトラック方向X及び
ディスク半径方向Yを示す図である。
【図3】原盤15のレジスト層に形成された潜像SZの
一例を示す図である。
【図4】記録変調信号MSに基づいて生成されるブラン
キング信号BL及びトラック方向偏向信号X(t)の一例
を示す図である。
【図5】原盤15のレジスト層への記録の様子を示す概
略断面図である。
【図6】スタンパが製造されるまでの概略製造フローを
示す図である。
【図7】トラック方向偏向信号X(t)の他の一例を示す
図である。
【符号の説明】
10 電子ビームレコーダ 15 原盤 17 スピンドルモータ 25 コントローラ 40 電子ビームカラム部 45 ビーム偏向電極 46 フォーカス調整レンズ 52 ビーム変調回路 55 ビーム偏向回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 曽根 正己 山梨県甲府市大里町465番地 パイオニア 株式会社内 (72)発明者 上村 健二 山梨県甲府市大里町465番地 パイオニア 株式会社内 (72)発明者 金田 弘喜 山梨県甲府市大里町465番地 パイオニア 株式会社内 (72)発明者 栗山 和巳 山梨県甲府市大里町465番地 パイオニア 株式会社内 Fターム(参考) 5D090 AA01 BB01 CC01 EE01 KK05 KK17 5D121 BB21 BB38

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】記録ピットに対応したパルス信号に応じて
    基板上に形成されたレジスト層に露光ビームを照射する
    ことにより前記記録ピットに対応した潜像をトラックに
    沿って前記レジスト層に記録する情報記録方法であっ
    て、 前記パルス信号のパルス幅に応じて前記露光ビームの照
    射期間を調整する照射期間調整行程と、 前記パルス信号に応じて前記露光ビームを前記トラック
    に沿った方向において偏向させる偏向行程と、を有する
    ことを特徴とする情報記録方法。
  2. 【請求項2】前記照射期間調整行程は、前記パルス幅が
    短いほど大なるオフセット期間を前記パルス幅に加算し
    て得た期間を前記露光ビームの前記照射期間とする行程
    を含むことを特徴とする請求項1記載の情報記録方法。
  3. 【請求項3】前記偏向行程は、前記パルス信号のパルス
    幅が短い場合には前記照射期間内において前記露光ビー
    ムを前記トラックに沿った方向において偏向させること
    により前記露光ビームによって前記レジスト層の表面に
    形成されたビームスポット及び前記レジスト層間の相対
    移動速度を低下させる行程を含むことを特徴とする請求
    項1記載の情報記録方法。
  4. 【請求項4】前記偏向行程は、前記照射期間内において
    前記露光ビームを前記トラックに沿った方向における記
    録進行方向側に偏向した後、徐々に偏向量を低下させて
    前記露光ビームを徐々に前記記録進行方向とは反対方向
    に偏向させる行程を含むことを特徴とする請求項1記載
    の情報記録方法。
  5. 【請求項5】前記偏向行程は、前記パルス信号のパルス
    幅に応じて前記露光ビームを偏向する偏向量を調整する
    行程を含むことを特徴とする請求項1又は4記載の情報
    記録方法。
  6. 【請求項6】前記偏向行程は、前記露光ビームを前記ト
    ラックに沿った方向において偏向させることにより前記
    露光ビームの照射開始時点及び/又は照射終了時点では
    その中間時点に比して前記露光ビームによって前記レジ
    スト層の表面に形成されたビームスポット及び前記レジ
    スト層の表面間の相対移動速度を低下させる行程を含む
    ことを特徴とする請求項1記載の情報記録方法。
  7. 【請求項7】原盤上に形成されたレジスト層の表面に露
    光ビームを照射することにより記録ピットに対応した潜
    像をトラックに沿って前記レジスト層に形成させる情報
    記録装置であって、 前記原盤を回転駆動する回転駆動部と、 前記記録ピットに対応したパルス信号のパルス幅が短い
    ほど大なるオフセット期間を前記パルス幅に加算して得
    た期間に亘り前記露光ビームを前記レジスト層の表面に
    照射する露光ビーム射出部と、 前記パルス信号のパルス幅に応じた偏向量にて前記露光
    ビームを前記トラックに沿った方向において偏向させる
    ビーム偏向部と、を有することを特徴とする情報記録装
    置。
  8. 【請求項8】トラックに沿って所定の記録ピット列が形
    成された原盤に基づいて複製された基板と前記基板上に
    形成された記録層とを有する記録媒体であって、 レジスト層が形成されている前記原盤を回転させると共
    に前記記録ピットに対応したパルス信号のパルス幅に応
    じた偏向量にて露光ビームを前記トラックに沿った方向
    に偏向させつつ前記レジスト層上に照射することにより
    前記記録ピット列に対応した潜像を前記レジスト層に形
    成させる情報記録行程と、 前記レジスト層に形成された前記潜像を現像して前記レ
    ジスト層に記録マークを形成する現像行程と、 前記記録マークの形成された前記レジスト層を転写する
    ことにより前記所定の記録ピット列が形成されたスタン
    パを製造する転写行程と、を経て複製されたことを特徴
    とする記録媒体。
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