JP4157073B2 - 原盤露光方法及び情報記録ディスク - Google Patents

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Description

本発明は、原盤露光方法及び情報記録ディスクに関し、より詳細には、露光ビームを情報記録ディスク用原盤の径方向に蛇行させながらウォブルパターンを露光する原盤露光方法及びその原盤露光方法で作製された原盤を用いて製造された情報記録ディスクに関する。
光ディスクの分野では、情報の高密度化に伴い光ディスクに形成される記録マークのピッチを高めると同時にトラックピッチを狭めることが求められている。しかしながら、情報の高密度化に伴い、記録マークから得られる再生信号の再生ビームのスポット径に対する影響が大きくなる。例えば、再生ビームのスポット径が最短記録マーク長以上の大きさになるような領域では、所定の記録マークを再生すると、トラック方向に隣接する記録マークの情報の一部も干渉して再生される(符号間干渉)。その結果、再生信号の品質が劣化するなどの問題が生じる。符号間干渉を発生させないためには、再生ビームのスポットサイズと記録マークのサイズとの関係を、所定の再生ビームのスポットサイズにおいて、記録マークの大きさに対する再生信号の振幅が直線的に変化(以下、再生信号の直線性ともいう)する領域に止めることが望ましい。
また、一般に、光ディスクを大量に生産する際には、スタンパを用いた射出成形により基板に所定のパターン(溝、ピットあるいは記録情報などの物理的なパターン)を形成する。スタンパは、ガラス原盤に感光レジストを塗布したのち、集光レーザ装置(カッティング装置)等で露光し、その後、現像・メッキ等の手段を通じて作製される。その際、スタンパ表面にはカッティング装置で露光された所定のパターンに対応する凹凸(ピットや連続溝など)が形成される。このようなマスタリングプロセスの際に、情報の記録マークの携帯情報をピットや連続溝、あるいは、ピット列を蛇行させたパターンとして記録することができる。この場合、蛇行パターンによる情報記録は溝と一体的に形成することができるため、光ディスクのセキュリティに関する副次情報が蛇行パターンにより記録される場合がある。さらに、光ディスクに追記するための情報(アドレス情報等)を原盤露光時に蛇行パターンにより記録することもできる。このようなマスタリングプロセスにおけるカッティング装置の露光はクリーン度の高い温湿度を管理した環境で精密に行われるが、集光レーザ(露光ビーム)の収束光径以下のマーク(蛇行パターン)を形成しても再生信号の記録マーク長に対する直線性を確保することが難しく、集光レーザの収束光径により記録密度が決定される。
特開2002−237039号公報 特開平9−288824号公報
ところで、近年、蛇行パターンにより情報を記録するフォーマットにおいて高密度記録化が要求されている。以下に、蛇行パターンを高密度記録する際の問題点について説明する。
原盤上に所定の蛇行パターンを露光する際、蛇行パターンに含まれる蛇行周期が一定であれば、図1に示すように、単一露光ビーム10の偏向動作を同じ周期で繰り返して(図1中の矢印11)蛇行パターン13が露光されるので、マスタリングプロセスで実際に形成された蛇行パターン13の軌跡は全て一様となる。ただし、図1中の蛇行周期Tは情報記録時のクロック周期などの所定の情報記録マーク単位とする。
なお、蛇行パターン13を露光ビーム10で露光する際、露光ビーム10を駆動する偏向駆動信号は、図1(a)に示すように、所定の蛇行周期Tで矩形波形状に切り替えられる。しかしながら、実際に、露光ビーム10により露光される蛇行パターンの軌跡は、偏向器の動作速度と偏向器を偏向駆動するためのドライバの動作速度との制限から、図1(b)に示すように、偏向駆動信号と同様の矩形状のパターンでなくなる。それゆえ、図1(b)に示すように、マスタリングプロセスで実際に形成される蛇行パターン13の偏向量が最大となる領域のトラック方向の長さは偏向駆動信号の偏向量が最大となる領域の長さ(蛇行周期T)より短くなる。なお、以下では、蛇行パターンの最大偏向量の1/2以上の領域長さを実効的な記録マーク長さという。実効的な記録マーク長もまた、図1(b)に示すように、偏向駆動信号の偏向量が最大となる領域の長さ(蛇行周期T)より短くなる。偏向駆動信号を忠実に動作する偏向器と偏向ドライバとを用い、且つ、点としてみなせるような露光ビームを用いた場合には偏向駆動信号に対応した理想的な蛇行パターンを実現できるが、実際には、露光ビームは有限の広がりを有し、且つ、偏向器にも動作速度に限界があるため、図1(b)のように、偏向駆動信号波形とは異なる蛇行パターン13が形成される。
また、このような蛇行パターン13が形成された原盤からスタンパを作製し、スタンパを用いて射出成形により基板上に蛇行パターン13に対応するウォブル溝を形成すると、基板上には原盤上に形成された蛇行パターンと同様のウォブル溝が形成される。それゆえ、以下の説明では、適宜図1(b)の蛇行パターンを基板上に形成されるウォブル溝のパターンとして説明する。その場合には蛇行パターン13をウォブル溝13という。なお、後述する図2〜図4の説明においても同様に、適宜蛇行パターンを基板上に形成されるウォブル溝のパターンとして説明する。
図1に示すような蛇行パターンで光ディスク上に形成されたウォブル溝13に再生光100を図1中の矢印12の方向に走査してウォブル溝13からの再生信号を検出すると、図1(c)に示すように、振幅一定の再生信号が得られる。
一方、図2に示すように、所定のトラックの蛇行パターン内に複数の蛇行周期が含まれる場合、偏向駆動信号の蛇行周期の実効的な記録マークの長さに対する線形性が崩れてしまう。具体的には、図2に示すように、蛇行周期2Tで露光された領域の実効的な記録マーク長さが、蛇行周期Tで露光された領域の実効的な記録マーク長さの2倍以上となる。すなわち、偏向駆動信号の蛇行周期が異なると、蛇行周期の違い以上に実効的な記録マーク長さに差が生じる。この原因は、主に情報の高密度記録化に伴い蛇行パターンの蛇行周期が短くなると、露光ビームの偏向動作時間が記録マーク(蛇行パターン)の形成に必要な露光時間に対して十分な時間でなくなるためである。それゆえ、蛇行周期が小さくなるほど実効的な記録マーク長さが短くなり、再生光スポット内に占める情報再生に寄与する偏向領域(記録マーク領域)の面積も小さくなる。その結果、蛇行周期が短くなるほど蛇行パターンで形成された記録マーク領域からの再生信号も小さくなる。それゆえ、所定のトラックの蛇行パターン内に複数の蛇行周期が含まれる場合には蛇行周期により再生信号の振幅値に差が生じるという問題が生じる。例えば、図2(b)に示すように、所定のトラックのウォブル溝内に複数の蛇行周期(T及び2T)のウォブルパターンが含まれる場合、図2(c)に示すように、最短蛇行周期Tの領域から得られる再生信号が、蛇行周期2Tの領域から得られる再生信号より振幅が小さくなる。すなわち、蛇行周期の変化に対する再生信号の直線性(一様性)が劣化してしまう。
また、情報の高密度記録化に伴い蛇行パターンの蛇行周期が短くなると、再生光の径が有限の大きさを持つために、再生光の径より蛇行周期が短いような場合には、符号間干渉が起こり易くなり、蛇行周期に対する再生信号の直線性が確保できなくなるという問題が生じる。例えば、図2に示すように、複数の蛇行周期(T及び2T)を有する蛇行パターンから形成されたウォブル溝23上を再生光100で矢印12の方向に走査してウォブルパターンの再生信号を検出すると、再生光100が蛇行周期2Tの記録マーク領域B上に存在する場合は、再生光100内にはほとんど蛇行周期2Tの情報しか含まれないが、蛇行周期Tの記録マーク領域A上に再生光100がある場合には、再生光100内にトラック方向に隣接する記録マークの一部(ウォブルパターンの傾斜部等)が含まれてしまう。それゆえ、ウォブル溝23内の蛇行周期Tの記録マーク領域Aの情報を再生すると、再生すべき記録マーク領域Aの情報だけでなくトラック方向に隣接する記録マーク領域の情報の一部も一緒に再生することになる。すなわち、図2に示すようなウォブルパターンでは、蛇行周期Tの記録マーク領域の情報を再生する際に、符号間干渉が起こり易くなり、蛇行周期Tの記録マーク領域から得られる再生信号の振幅は、図2(c)に示すように、蛇行周期2Tの記録マーク領域から得られる再生信号の振幅より小さくなる。上述のような符号間干渉は情報の高密度記録化に伴い、蛇行周期が短くなるほど起こり易くなる。
実際に、蛇行パターンに情報を記録する際には、種々の蛇行周期で偏向されて記録される。それゆえ、上述したような蛇行周期に対する実効的な記録マーク長さの線形性の崩れや符号間干渉による再生信号の直線性の劣化は、再生信号の分解能を限定することになる。また、蛇行パターンからの再生信号が小さくなれば信号対雑音比(S/N)も小さくなり、蛇行パターンで形成された記録マークに対するジッタ特性も劣化して再生エラー率が増大する。それゆえ、情報の高記録密度化に伴い発生する蛇行周期の変化に対する再生信号の直線性のずれを補正するための蛇行パターンの補正手段が求められている。特に、線記録方向(トラック方向)の蛇行周期の減少及び径方向のトラックピッチ縮減に対する有効な蛇行パターンの補正手段が要求されている。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的はウォブル溝の蛇行パターンに情報が記録される光ディスクの原盤露光方法において、情報の高記録密度化に伴い発生する再生信号の直線性の劣化を補正して高密度記録に最適な原盤露光方法を提供することである。
本発明の第1の態様に従えば、露光ビームを原盤の径方向に蛇行させながら蛇行パターンを露光する原盤露光方法において、該蛇行パターンの蛇行周期に応じて、該露光ビームの径方向の蛇行量を変化させることを特徴とする原盤露光方法が提供される。
本発明の第1の態様に従う原盤露光方法では、上記蛇行パターンが複数の蛇行周期を含み、該複数の蛇行周期が所定の情報記録マーク単位の整数倍であることが好ましい。ここで、所定の情報記録マーク単位とは、情報を符号化して記録する際の記録マークの長さを決めるための基準単位のことをいう。一般に、媒体上に記録される記録マークの長さは記録クロックの整数倍に設定されるので、所定の情報記録マーク単位もまた記録クロックの整数倍であることが好ましい。
従来、原盤露光装置(カッティング装置)の光学系では、できる限り露光ビームの径を小さくするように工夫されているが、再生時に用いられる再生光のビーム径は、一般に原盤露光装置で用いられる露光ビームの径より大きい。それゆえ、上述のように、情報の高密度化に伴いウォブル溝の蛇行周期が小さくなると、蛇行周期の変化に対する再生信号の直線性が確保できなくなる。
一般に情報が高密度化される領域において記録マークに対する再生信号の直線性を確保するということは、再生信号のジッタを改善することと同じである。それゆえ、再生信号の直線性の劣化は再生信号のジッタにより評価できる。再生信号のジッタは、記録マークの大きさを補償することによりある程度改善されることが知られている。記録マークの大きさを補償して原盤露光する方法としては、ピットの大きさを補償してピットパターンを露光する方法、すなわち、露光ビームの露光量を変化させることによりピットの大きさを補償する方法が知られている。しかしながら、この方法は、蛇行パターンにより情報が記録された記録マークに適用することはできない。蛇行パターンによる記録は連続溝やピット列を蛇行させてその蛇行パターンに情報を割り当てるものであるため、例えば溝を形成する際に露光量を補正しても蛇行パターンの大きさ(蛇行周期など)を改善することはできない。また、蛇行パターンの長さは溝として連続しているものであるので、蛇行パターンの長さもまた露光量では調整できない。
そこで、本発明の第1の態様に従う原盤露光方法では、原盤上に露光ビームを照射して所定の蛇行パターンを形成する際に、蛇行パターンの蛇行周期に応じて、露光ビームの原盤の径方向の蛇行量を変化させることにより、上述のような蛇行周期の変化に対する再生信号の直線性の劣化を補正する。
本発明の第1の態様に従う原盤露光方法の一例を図3に示した。本発明の第1の態様に従う原盤露光方法では、図3(a)に示すように、蛇行周期Tの蛇行パターンを露光する際の単一露光ビーム10の蛇行量a2及びb2を、蛇行周期2Tの蛇行パターンを露光する際の蛇行量a1及びb1より大きくする。なお、図3の例では、蛇行周期2Tの蛇行パターンを露光する際の蛇行量a1及びb1は図2で示した従来例と同じとする。この結果、マスタリングプロセスにより実際に原盤上に形成される蛇行パターン33は、図3(b)に示すように、蛇行周期Tの領域の蛇行量が蛇行周期2Tの領域の蛇行量より大きくなる。
図3(b)に示すような蛇行パターンが形成された原盤から作製された光ディスク上のウォブル溝33に図2の例と同様のスポットサイズを有する再生光100を照射して再生信号を検出すると、蛇行周期2Tの記録マーク領域Bの蛇行量は図2の従来例と同じであるので、蛇行周期2Tの記録マーク領域Bからの再生信号は図2と同じ振幅の再生信号が検出される。
一方、蛇行周期Tの記録マーク領域Aでは、図2の従来例より蛇行量が大きくなっているので、再生光100内に占める情報再生に寄与する偏向領域(再生すべき記録マーク領域)の面積が大きくなるとともに、トラック方向に隣接する記録マーク領域との径方向の距離も広がるので、再生光100内に占める隣接記録マーク領域の面積も小さくなる。すなわち、蛇行周期Tの記録マーク領域の蛇行量を大きくすることにより、再生光内に占める再生すべき記録マーク領域の面積が増え且つ符号間干渉の影響も小さくなる。その結果、本発明では蛇行周期Tの記録マーク領域から得られる再生信号の振幅の劣化が抑制され、蛇行周期Tの記録マーク領域から得られる再生信号の振幅が図2の従来例で得られる再生信号の振幅より大きくなる。それゆえ、図3の例では、原盤露光時に蛇行周期Tの蛇行パターンを露光する際の露光ビームの蛇行量を適宜調整することにより、図3(c)に示すように、蛇行周期に関係無く振幅一定の再生信号を得ることができる。すなわち、本発明の第1の態様に従う原盤露光方法では、上述のような情報の高記録密度化に伴い発生する蛇行周期の変化に対する再生信号の直線性の劣化を改善することができる。
本発明の第2の態様に従えば、露光ビームを原盤の径方向に蛇行させながら蛇行パターンを露光する原盤露光方法において、所定トラックの蛇行パターンを露光ビームで露光する際に、該所定トラックに隣接するトラックの蛇行パターンに応じて、該露光ビームの径方向の蛇行量を変化させることを特徴とする原盤露光方法が提供される。
本発明の第2の態様に従う原盤露光方法では、上記所定トラックの蛇行パターンと上記所定トラックに隣接するトラックの蛇行パターンとの間の位相関係に応じて、上記所定トラックの蛇行パターンを露光する際の露光ビームの蛇行量を変化させることが好ましい。
本発明第2の態様に従う原盤露光方法は、蛇行パターンがトラック毎に異なる場合に発生する再生信号の変動を補正する原盤露光方法である。その一例を図4に示した。
図4に示す例では、図4(b)に示すように、蛇行パターン43とそれに隣接するトラックの蛇行パターン44のパターンが異なる場合を示した。図4(b)に示すように、蛇行パターン43が蛇行周期T一定のパターンであり、蛇行パターン43に隣接するトラックの蛇行パターン44は蛇行周期T及び2Tのパターンを含んだパターンである。隣接するトラック間で蛇行パターンが異なると、図4(b)に示すように、蛇行パターン43に形成された記録マーク領域と、それとトラック方向に隣接する蛇行パターン44に形成された記録マーク領域との位相関係(径方向の記録マーク間の距離)がトラック内の位置により異なる。具体的には、図4(b)に示すように、隣接トラックの記録マーク領域と同位相であり隣接トラックの記録マークとの径方向の距離がトラックピッチと同じである領域(図4(b)中の蛇行パターン43内の領域X)、隣接トラックの記録マークとの距離がトラックピッチより広くなる領域(図4(b)中の蛇行パターン43内の領域Y)、そして、隣接トラックの記録マークとの距離がトラックピッチより狭くなる領域(図4(b)中の蛇行パターン43内の領域Z)が発生する。
通常、原盤露光時に用いる露光ビームはガウシャンビーム波形をしているので、蛇行パターンを露光する際には実効径(例えば、図4中のビーム10で示した範囲)より外側の領域も露光されるので蛇行パターン間(トラック間)もある程度露光される。その露光量(以下、クロス露光量ともいう)は径方向の記録マーク(蛇行パターンで形成された記録マーク)間の距離により異なる。それゆえ、情報の高記録密度化に伴いトラックピッチが狭くなると、実際に形成される蛇行パターンに与えるクロス露光量の影響が大きくなる。例えば、図4中の領域Z’のように径方向の記録マーク間の距離が近い領域ではクロス露光量は増え、逆に、図4中の領域Y’のように径方向の記録マーク間の距離が遠い領域ではクロス露光量は減る。従って、蛇行パターン44を露光した後、同じ蛇行量の露光ビームで蛇行パターン43を露光すると、図4中の領域Y’及びZ’のような領域におけるクロス露光量が意図した露光量でなくなり、蛇行パターン43内の領域Y及びZでは所望の蛇行パターン(図4中の点線40)が得られなくなる。
上述のような意図しない蛇行パターン(不図示)で形成されたウォブル溝から再生信号を検出すると、図4中の蛇行パターン43内の領域Zのように隣接トラックの記録マークとの距離が近い領域から得られる再生信号は、図4中の蛇行パターン43内の領域Xの領域から得られる再生信号より大きくなり、図4中の蛇行パターン43内の領域Yのように隣接トラックの記録マークとの距離が遠い領域から得られる再生信号は、図4中の蛇行パターン43内の領域Xの領域から得られる再生信号より小さくなるため、再生信号の振幅がトラック方向で一様でなくなる。これは、クロス露光量に違いによりトラック方向の溝幅が部分的に異なるためである。
本発明の第2の態様に従う原盤露光方法では、上記問題を解決するために、所定のトラックの蛇行パターンを露光する際に、隣接トラックの蛇行パターンの状態(位相等)に応じて偏向器を駆動する変調信号の偏向レベル、すなわち、露光ビームの蛇行量を変化させる。この際、隣接トラックのウォブル溝の蛇行パターンに関係無く、所定のウォブル溝から得られる再生信号の振幅が一定となるように露光ビームの蛇行量を調整する。
本発明の第2の態様に従う原盤露光方法を図4の例で具体的に説明すると、図4(b)中の蛇行パターン43内の領域Xのように隣接トラックと同位相であるような領域では、偏向駆動信号の偏向量(露光ビームの蛇行量)を特別に補正する必要はないが、図4(b)中の蛇行パターン43内の領域Zのように隣接トラックの記録マークとの距離が近くなる領域では、領域Zにおける露光ビーム10の蛇行量a3を領域Xにおける蛇行量a1より小さくして径方向の記録マーク間(領域Z’)のクロス露光量分を調整する。図4(b)中の蛇行パターン43内の領域Zではクロス露光量が大きいので露光ビーム10の蛇行量を小さくしても十分な再生信号が得られ、所望の再生信号に必要な蛇行量の蛇行パターン43が形成される。この際、蛇行パターン43内の領域Zから得られる再生信号の振幅が蛇行パターン43内の領域Xから得られる再生信号の振幅と同じになるように、領域Zにおける露光ビーム10の蛇行量a3を適宜調整する。
一方、図4(b)中の蛇行パターン43内の領域Yのように径方向に隣接するトラックの記録マークとの距離が遠くなる領域では、露光ビーム10の蛇行量b3を蛇行パターン43内の領域Xにおける蛇行量b1より大きくして、情報再生に寄与する偏向領域(記録マーク領域)の面積を増大させることにより、領域Yから得られる再生信号の振幅を調整する。ただし、この際、蛇行パターン43内の領域Yから得られる再生信号の振幅が蛇行パターン43内の領域Xから得られる再生信号の振幅と同じレベルになるように、露光ビーム10の蛇行量b3を適宜調整する。上述のような本発明の第2の態様に従う原盤露光方法を用いることにより、情報の高密度記録化に伴い互いに隣接するトラックの蛇行パターン間の位相関係により発生する再生信号の直線性の劣化を補正することが可能になる。なお、上述の例では、所定トラックの一方の側に隣接するトラックの蛇行パターンを考慮して、所定トラックの蛇行量を調節する方法を説明したが、本発明はこれに限定されない。所定トラックの蛇行パターンを露光する際に、所定トラックの蛇行パターンと所定トラックの両側に隣接するトラックの蛇行パターンとの位相関係を考慮して所定トラックの蛇行パターンの偏向量を調節しても良い。
本発明の第3の態様に従えば、本発明の第1または第2の態様に従う原盤露光方法で作製された原盤を用いて情報記録ディスクを製造する方法が提供される。
本発明の第4の態様に従えば、複数の蛇行周期を有するウォブル溝が形成された情報記録ディスクにおいて、該ウォブル溝の径方向の蛇行量が、該ウォブル溝の該蛇行周期に応じて異なることを特徴とする情報記録ディスクが提供される。
本発明の第4の態様に従う情報記録ディスクでは、上記複数の蛇行周期のうち最短蛇行周期で形成されたウォブル溝領域の径方向の蛇行量が最も大きいことが好ましい。
本発明の第4の態様に従う情報記録ディスクには、図3(b)に示すような蛇行パターンでウォブル溝が形成されており、ウォブル溝から得られる再生信号の振幅が蛇行周期に関係無く一定になるように、各記録マーク領域の蛇行周期に応じて蛇行量が調節されている。また、本発明の第4の態様に従う光ディスクでは、最短蛇行周期の記録マーク領域(図3(b)中では蛇行周期Tの領域)の蛇行量が最も大きくなる。
本発明の第5の態様に従えば、複数の蛇行周期を有するウォブル溝が形成された情報記録ディスクにおいて、所定トラックのウォブル溝のパターンと該所定トラックに隣接するトラックのウォブル溝のパターンとの間の位相関係に応じて、該所定トラックのウォブル溝の径方向の蛇行量が変化していることを特徴とする情報記録ディスクが提供される。
本発明の第5の態様に従う情報記録ディスクには、図4(b)に示すような蛇行パターンでウォブル溝が形成されており、図4(b)中のウォブル溝43のように、隣接するトラックのウォブル溝44のパターンとの位相関係を考慮して、ウォブル溝43から得られる再生信号の振幅が均一になるようにウォブル溝43内の各記録マーク領域の蛇行量が適宜調節されている。
なお、本発明における情報記録ディスクとは、蛇行パターンにより情報を記録するフォーマットを有するディスクのことであり、そのようなディスクであれば本発明は適用可能であり同様の効果が得られる。本発明の情報記録ディスクとしては、例えば、再生専用光ディスク、追記型光ディスク、相変化型光ディスク、光磁気ディスク、ハイブリッド(光アシスト)記録可能なディスク等がある。
本発明の第1の態様に従う原盤露光方法によれば、所定のウォブル溝に対応した蛇行パターンを露光する際に、蛇行パターンの蛇行周期に応じて露光ビームの径方向の蛇行量を変化させて露光する。その際、露光ビームの蛇行量を蛇行周期に応じて適宜調整することにより、蛇行パターンにより形成されたウォブル溝から得られる再生信号の振幅を蛇行周期に関係無く一定にすることができる。それゆえ、本発明の第1の態様に従う原盤露光方法を用いることにより、情報記録ディスクのトラック方向の情報記録密度を高めても、蛇行周期の変化に対する再生信号の直線性が優れた情報記録ディスクが得られる。
本発明の第2の態様に従う原盤露光方法によれば、所定のウォブル溝に対応した蛇行パターンを露光する際に、隣接するトラックの蛇行パターンに応じて、所定トラックの露光ビームの蛇行量を変化させて露光する。その際、露光ビームの蛇行量を適宜調整することにより、所定トラックの蛇行パターンにより形成されたウォブル溝から得られる再生信号の振幅を隣接するトラックの蛇行パターンに関係無く一定にすることができる。それゆえ、本発明の第2の態様に従う原盤露光方法を用いることにより、情報の高密度化に伴い情報記録ディスクのトラックピッチを狭くしても、再生信号の直線性が優れた情報記録ディスクが得られる。
以下に、本発明の原盤露光方法について実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、以下の実施例では光ディスクの原盤露光方法について説明する。
実施例1の原盤露光方法を図3に示した。図3(a)は、単一露光ビームを偏向する際の偏向駆動信号の変化を示した図であり、図3(b)は、この例で形成した蛇行パターンの概略図であり、図3(c)は、この例で形成された光ディスク上のウォブル溝から得られる再生信号を示した図である。この例では、図3(b)に示すように、各トラック内に蛇行周期T及び2Tの蛇行周期を含む蛇行パターン33を形成し、トラックの径方向には同じ蛇行周期の記録マーク(蛇行パターンにより記録された記録マーク)が並ぶように蛇行パターン33を形成した。なお、この例では、蛇行周期Tを情報記録時のクロック周期とした。蛇行パターン33は次のようにして形成した。
まず、用意した原盤(ガラス原盤等)に感光レジストを塗布した後、原盤をカッティング装置に装着して、図3(b)に示すような所定の蛇行パターンを露光した。この際、図3(b)に示すように、単一露光ビーム10を図3(b)中の矢印11の方向に蛇行させながら蛇行パターン33を形成した。
また、蛇行パターン33を露光する際、蛇行パターン33内の蛇行周期Tの領域における偏向駆動信号の偏向量a2及びb2を、図3(a)に示すように、蛇行周期2Tの領域における偏向駆動信号の偏向量a1及びb1より大きくした。なお、この例では、図2の従来例と比較するために、蛇行周期2Tの領域における偏向駆動信号の偏向量a1及びb1は、図2の従来例で示した蛇行周期2Tの領域における偏向駆動信号の偏光量と同じにした。ただし、この例では、後述するように、蛇行周期Tの記録マーク領域から得られる再生信号の振幅と蛇行周期2Tの記録マーク領域から得られる再生信号の振幅とが同じようなるように、予め原盤露光前に、蛇行周期Tの領域における偏向駆動信号の偏向量a2及びb2と、蛇行周期2Tの領域における偏向駆動信号の偏向量a1及びb1との差δa(=a2−a1)及びδb(=b2−b1)を調整した。
次に、露光終了後、現像処理を行い、原盤上に図3(b)に示すような蛇行パターンで形成された凹凸を形成した。この際、原盤上に実際に形成された蛇行パターンは、図3(b)に示すように、蛇行周期Tの記録マーク領域(例えば、図3(b)中の領域A)の蛇行量が、蛇行周期2Tの記録マーク領域(例えば、図3(b)中の領域B)の蛇行量より大きくなる。
次いで、蛇行パターンが形成された原盤に対して、従来と同様の方法でメッキ等のプロセスを施してスタンパを作製した。そして、作製されたスタンパを用いて射出成形により、光ディスクの基板上に、図3(b)に示したような蛇行パターンに対応するウォブル溝を形成した。
なお、図3中の蛇行周期Tの領域における偏向駆動信号の偏向量a2及びb2と、蛇行周期2Tの領域における偏向駆動信号の偏向量a1及びb1との差δa(=a2−a1)及びδb(=b2−b1)の具体的な設定方法は次の通りである。
まず、蛇行周期T及び2Tの蛇行パターンを偏向駆動信号の偏向量を変化させて露光した。次いで、種々の偏向量で露光した蛇行周期T及び2Tの蛇行パターンを実際にディスクの再生時に用いるヘッドで再生し、偏向駆動信号の偏向量に対する再生信号の出力レベルの変化を測定した。通常、蛇行パターンから得られる再生信号の出力レベルは蛇行周期に関係なく偏向駆動信号の偏向量の増加とともに直線的に増大するが、その特性の傾きは蛇行周期により異なる。また、偏向駆動信号の偏向量に対する再生信号の出力レベルの特性は、偏向駆動信号の極性、すなわち、偏向方向(図3上では上下方向)により異なることがあるので、この例では偏向方向別に偏向駆動信号の偏向量に対する再生信号の出力レベルの特性を測定した。すなわち、この例では、蛇行周期T及び2Tの蛇行パターンにおいてそれぞれ偏向方向別に偏向駆動信号の偏向量に対する再生信号の出力レベルの特性を測定した。
次いで、上記測定で得られた各特性から、所望の再生信号レベルに対応する偏向駆動信号の偏向量をそれぞれ求めた。この際、蛇行周期Tの蛇行パターンにおける偏向方向別の偏向駆動信号の偏向量に対する再生信号の出力レベルの特性からは偏向駆動信号の偏向量a2及びb2が得られ、蛇行周期2Tの蛇行パターンにおける偏向方向別の偏向駆動信号の偏向量に対する再生信号の出力レベルの特性からは偏向駆動信号の偏向量a1及びb1が得られる。こうして得られた、所望の再生信号レベルに対応する蛇行周期Tの偏向駆動信号の偏向量a2及びb2と、蛇行周期2Tの偏向駆動信号の偏向量a1及びb1とから偏向駆動信号の偏向量の差δa(=a2−a1)及びδb(=b2−b1)を求めた。
上述のような露光方法で形成されたウォブル溝33上に図2と同様のスポットサイズを有する再生光100を照射して、ウォブル溝33の蛇行パターンにより形成された記録マークを再生した。その結果を図3(c)に示した。この例では、蛇行周期2Tの記録マーク領域(例えば、図3(b)中の領域B)の蛇行量は図2の従来例と同様であるので、その領域から得られる再生信号の振幅もまた、図2(c)に示した再生信号の振幅と同じであった。一方、蛇行周期Tの記録マーク領域(例えば、図3(b)中の領域A)から得られる再生信号の振幅は、図3(c)に示すように、蛇行周期2Tの記録マーク領域から得られる再生信号の振幅と同じになった。
これは次のような原因によるものである。蛇行周期Tの記録マーク領域では蛇行量を大きくしたので、蛇行周期Tの記録マーク領域が径方向に広がり、再生光100内に占める再生すべき記録マーク領域の面積が増加する。さらに、蛇行周期Tの記録マーク領域では、トラック方向に隣接する記録マークと間の径方向の距離が広がるので、再生光のスポット100内に含まれる隣接する記録マーク領域の面積も小さくなる。すなわち、符号間干渉を抑制することができる。これらの効果により、蛇行周期Tの記録マーク領域から得られる再生信号の劣化が抑制される。
この例では、上述のように、予め蛇行周期Tの記録マーク領域から得られる再生信号の振幅と蛇行周期2Tの記録マーク領域から得られる再生信号の振幅とが同じようなるように、蛇行周期Tの領域における偏向駆動信号の偏向量a2及びb2と、蛇行周期2Tの領域における偏向駆動信号の偏向量a1及びb1との差δa(=a2−a1)及びδb(=b2−b1)を調整して露光したので、図3(c)に示すように、蛇行周期に関係無く一定振幅の再生信号が得られた。
上述のような原盤露光方法を用いることにより、蛇行周期に関係無く一定振幅の再生信号が得られるので、蛇行パターンの高密度記録化に伴い発生する蛇行周期に対する再生信号の直線性の劣化を補正することができる。
実施例2の原盤露光方法を図4に示した。図4(a)は、露光ビームを偏向する際の偏向駆動信号の変化を示した図であり、図4(b)は、この例で形成した蛇行パターンの概略図であり、図4(c)は、この例で形成したウォブル溝43から得られる再生信号を示した図である。この例では、図4(b)に示すように、蛇行パターン43は蛇行周期T一定で形成し、その蛇行パターン43に隣接する蛇行パターン44はトラック方向に蛇行周期T及び2Tの蛇行周期を含むパターンで形成した。なお、この例では、蛇行周期Tは情報記録時のクロック周期とした。
図4(b)中の蛇行パターン43及びそれに隣接する蛇行パターン44に示すように隣接するトラック間の蛇行パターンが異なると、図4(b)に示すように、蛇行パターン43とそれに隣接する蛇行パターン44との間の位相関係(径方向の記録マーク間距離)がトラック内の場所により異なる。具体的には、図4(b)中の蛇行パターン43内の領域Xのように蛇行パターン44と同位相であり、径方向の記録マーク間距離がトラックピッチと同じである領域、図4(b)中の蛇行パターン43内の領域Yのように隣接トラックの記録マークとの径方向の距離がトラックピッチより広くなる領域、そして、図4(b)中の蛇行パターン43内の領域Zのように隣接トラックの記録マークとの径方向の距離がトラックピッチより狭くなる領域が発生する。
図4に示すような蛇行パターンを露光する際には、上述したように、径方向に隣接するトラックの記録マーク(蛇行パターン)間の領域(図4中の領域X’、Y’及びZ’)のクロス露光量は径方向の記録マーク間の距離により異なる。例えば、図4中の領域Z’のように径方向の記録マーク間の距離が近い領域ではクロス露光量は増え、逆に、図4中の領域Y’のように径方向の記録マーク間との距離が遠い領域ではクロス露光量は減る。従って、図4中の蛇行パターン43内の領域Y及びZの領域を露光する際に、図4中の蛇行パターン43内の領域Xを露光する際と同様の偏向駆動信号の偏光量a1及びb1で露光すると、所望の蛇行パターン43が得られなくなる。その結果、意図しない蛇行パターンで形成されたウォブル溝からの再生信号を検出すると、再生信号の振幅もトラック方向で一様でなくなる。
この例の原盤露光方法では、上記問題を解決するために、例えば、図4(b)中の蛇行パターン43を露光する際に、隣接トラックの蛇行パターン44の状態(位相等)に応じて偏向器を駆動する変調信号の偏向レベルを変化させた。具体的には、次のようにして、図4(b)に示すような蛇行パターン43を形成した。
まず、実施例1と同様に、用意した原盤(ガラス原盤等)に感光レジストを塗布した後、原盤をカッティング装置に装着して、所定の蛇行パターンを露光した。この際、図4(b)に示すように、単一露光ビーム10を図4(b)中の矢印11の方向に蛇行させながら蛇行パターンを形成した。
また、蛇行パターン43を露光する際には、図4(b)中の蛇行パターン43内の領域Zのように隣接トラックの記録マークとの距離が近い領域では、露光ビーム10の偏向量a3を蛇行パターン43内の領域Xにおける偏向量a1より小さくして露光した。蛇行パターン43内の領域Zにおける偏向駆動信号の偏向量a3と、蛇行パターン43内の領域Xにおける偏向駆動信号の偏向量a1との差δa’(=a1−a3)を調整することにより、領域Zにおける記録マーク間のクロス露光量を調整して所望の蛇行パターン43(図4(b)中の破線41のパターン)を形成した。なお、図4中の蛇行パターン43内の領域Zのように隣接トラックの記録マークとの距離が近い領域ではクロス露光量が大きいので露光ビームの蛇行量を小さくしても十分な再生信号が得られ、所望の再生信号に必要な蛇行量を有する蛇行パターンが形成される。ただし、この際、後述するように、予め蛇行パターン43内の領域Zから得られる再生信号の振幅が蛇行パターン43内の領域Xから得られる再生信号の振幅と同じになるように、領域Zにおける偏向駆動信号の偏向量a3と領域Xにおける偏向駆動信号の偏向量a1との差δa’(=a1−a3)を調整した。また、この例では、図4(b)中の蛇行パターン43内の領域Xのように隣接トラックと同位相であるような領域では、偏向駆動信号の偏向量を補正せず、図2の従来例に示した蛇行周期Tのおける偏向駆動信号の偏向量と同じ偏向量で露光した。
一方、図4(b)中の蛇行パターン43内の領域Yのように隣接トラックの記録マークとの距離が遠くなる領域では、露光ビーム10の偏向量b3を蛇行パターン43内の領域Xにおける露光ビーム10の偏向量b1より大きくした。これにより、再生光内に占める再生すべき記録マーク領域の面積を増大させて、蛇行パターン43内の領域Yから得られる再生信号の振幅を調整した。ただし、この際、後述するように、予め蛇行パターン43内の領域Yから得られる再生信号の振幅と蛇行パターン43内の領域Xから得られる再生信号の振幅が同じレベルになるように、領域Yにおける露光ビーム10の偏向量b3と領域Xにおける露光ビーム10の偏向量b1との差δb’(=b3−b1)を調整した。
次に、露光終了後、現像処理を行い、原盤上に図4(b)に示すような蛇行パターンで形成された凹凸を形成した。この際、実際に形成された蛇行パターン43は、図4(b)中の破線41で表わされたパターンとなる。蛇行パターン43内の領域Yのように隣接トラックの記録マークとの距離が遠くなる領域では、露光ビームの偏向量を蛇行パターン43内の領域Xより大きくしたので、領域Yに実際に形成される蛇行パターンの蛇行量は領域Xより大きくなり、蛇行パターン43内の領域Zのように隣接トラックの記録マークとの距離が近くなる領域では、露光ビームの偏向量を蛇行パターン43内の領域Xより小さくしたので、領域Zに実際に形成される蛇行パターンの蛇行量は領域Xより小さくなった。
次いで、図4(b)に示すような蛇行パターンが形成された原盤に対して、従来と同様の方法でメッキ等のプロセスを施してスタンパを作製した。そして、作製されたスタンパを用いて射出成形により、光ディスクの基板上に、図4(b)に示すような蛇行パターンに対応するウォブル溝を形成した。
なお、図4中の領域Zにおける偏向駆動信号の偏向量a3と領域Xにおける偏向駆動信号の偏向量a1との差δa’(=a1−a3)及び領域Yにおける露光ビーム10の偏向量b3と領域Xにおける露光ビーム10の偏向量b1との差δb’(=b3−b1)の具体的な設定方法は次の通りである。
まず、図4(b)中の領域Xのように隣接トラックの記録マークとの距離が所定の間隔となるような状況、図4(b)中の領域Yのように隣接トラックの記録マークとの距離が遠くなるような状況、及び、図4(b)中の領域Zのように隣接トラックの記録マークとの距離が近くなるような状況を設定し、各状況下において蛇行周期Tの蛇行パターンの偏向駆動信号の偏向量を変化させて露光した。次いで、種々の偏向量で露光した蛇行パターンを実際にディスクの再生時に用いるヘッドで再生し、偏向駆動信号の偏向量に対する再生信号の出力レベルの変化を測定した。この際、領域Xのような位相状態に対しては偏向方向別に偏向駆動信号の偏向量に対する再生信号の出力レベルの特性を測定した。一方、領域Yのような位相状態に対しては、隣接トラックの記録マークと離れる方向(図4(b)中では下方向)の偏向駆動信号の偏向量に対する再生信号の出力レベルの特性を測定し、領域Zのような位相状態に対しては、隣接トラックの記録マークと近づく方向(図4(b)中では上方向)の偏向駆動信号の偏向量に対する再生信号の出力レベルの特性を測定した。
次いで、上記測定で得られた各特性から、所望の再生信号レベルに対応する偏向駆動信号の偏向量をそれぞれ求めた。この際、領域Xの位相状態における偏向方向別の偏向駆動信号の偏向量に対する再生信号の出力レベルの特性からは、所望の再生信号レベルに対応する偏向駆動信号の偏向量a1及びb1が得られる。一方、領域Z及びYの位相状態における偏向駆動信号の偏向量に対する再生信号の出力レベルの特性からは、所望の再生信号レベルに対応する偏向駆動信号の偏向量a3及びb3がそれぞれ得られる。こうして得られた所望の再生信号レベルに対応する偏向駆動信号の偏向量a1、b1、a3及びb3から偏向駆動信号の偏向量の差δa(=a1−a3)及びδb(=b3−b1)を求めた。
上述のような露光方法を用いて形成された光ディスクのウォブル溝43上に図2の従来例と同様のスポットサイズを有する再生光(不図示)を照射して再生信号を検出した。その結果を図4(c)に示した。図4(c)の結果から明らかなように、ウォブル溝43から得られた再生信号の振幅は、ウォブル溝43と隣接するトラックのウォブル溝44との位相関係に関係無く一定となった。
上記実施例1では、蛇行周期Tの蛇行パターンを形成する際の単一露光ビームの偏向量a2及びb2を、蛇行周期2Tの蛇行パターンを形成する際の偏向量a1及びb1より大きくする例を説明したが、本発明はこれに限定されない。逆に、蛇行周期2Tの蛇行パターンを形成する際の単一露光ビームの偏向量a1及びb1を、蛇行周期Tの蛇行パターンを形成する際の偏向量a2及びb2より小さくしても良い。そのような場合にも、蛇行周期2Tの蛇行パターンを形成する際の単一露光ビームの偏光量a1及びb1を適宜調整することにより、蛇行周期に関係無く振幅一定の再生信号を得ることができる。
上記実施例1及び2では、図2に示した従来例と比較するために、露光ビームの偏向駆動信号の偏光量a1及びb1は一定として説明したが、本発明はこれに限定されない。所望の再生信号を得るために偏向駆動信号の偏光量a1〜a3及びb1〜b3をそれぞれ適宜調整しても良い。
上記実施例1では、情報の高密度化に伴いトラック方向の記録マークピッチが狭くなった時に発生する再生信号の直線性に劣化を補正するための原盤露光方法を説明し、上記実施例2では、情報の高密度化に伴いトラックピッチが狭くなった時に発生する再生信号の直線性に劣化を補正するための原盤露光方法を説明した。本発明の原盤露光方法では、上記実施例1と実施例2を組合わせて原盤露光を行っても良い。その場合には、情報の高密度化に伴いトラック方向の記録マークピッチ及びトラックピッチを同時に狭くしても再生信号の直線性に劣化を補正することができる。
上記実施例1及び2では、光ディスクの原盤露光方法について説明したが本発明はこれに限定されず、蛇行パターンにより情報を記録するフォーマットを有するディスクであれば適用可能であり同様の効果が得られる。例えば、蛇行パターンにより情報を記録するフォーマットを有する光磁気ディスク、ハイブリッド(光アシスト)記録可能なディスク、色素記録媒体、相変化媒体、パターンドメディア等についても本発明の原盤露光方法は適用可能である。
上記実施例1で示した原盤露光方法では、蛇行パターンの蛇行周期に応じて、露光ビームの蛇行量を変化させるので、ウォブル溝からの再生信号の振幅を蛇行周期に関係無く一定にすることができる。それゆえ、光ディスクのトラック方向の情報記録密度を高めても、蛇行周期に対する再生信号の直線性が優れた光ディスクが得られる。
また、上記実施例2で示した原盤露光方法では、所定のトラックの蛇行パターンを露光する際に、隣接するトラックの蛇行パターンに応じて、所定トラックの露光ビームの蛇行量を変化させて蛇行パターンの形状を調整するので、所定トラックの蛇行パターンに対応するウォブル溝からの再生信号の振幅を隣接トラックの蛇行パターンに関係無く一定にすることができる。それゆえ、光ディスクのトラックピッチを狭くしても、再生信号の直線性が優れた光ディスクが得られる。
すなわち、本発明の原盤露光方法は、蛇行パターンに情報を記録するフォーマットの光ディスクに対して高密度記録化を図る場合の原盤露光方法として最適である。また、本発明の原盤露光方法で形成された原盤を用いて光ディスクを製造することにより、より高記録密度の光ディスクを製造することができる。
図1は、単一蛇行周期の蛇行パターンを形成する際の原盤露光方法を示した図であり、図1(a)は原盤露光時の偏向駆動信号の変化を示した図であり、図1(b)は蛇行パターンの概略図であり、図1(c)は基板上に形成されたウォブル溝から得られる再生信号の変化図である。 図2は、複数の蛇行周期を含む蛇行パターンを形成する際の原盤露光方法を示した図であり、図2(a)は原盤露光時の偏向駆動信号の変化を示した図であり、図2(b)は蛇行パターンの概略図であり、図2(c)は基板上に形成されたウォブル溝から得られる再生信号の変化図である。 図3は、実施例1の原盤露光方法を示した図であり、図3(a)は原盤露光時の偏向駆動信号の変化を示した図であり、図3(b)は蛇行パターンの概略図であり、図3(c)は基板上に形成されたウォブル溝から得られる再生信号の変化図である。 図4は、実施例2の原盤露光方法を示した図であり、図4(a)は原盤露光時の偏向駆動信号の変化を示した図であり、図4(b)は蛇行パターンの概略図であり、図4(c)は基板上に形成されたウォブル溝から得られる再生信号の変化図である。
符号の説明
10 露光ビーム
13,23,33,43,44 蛇行パターン
100 再生光

Claims (7)

  1. 露光ビームを原盤の径方向に蛇行させながら蛇行パターンを露光する原盤露光方法において、
    該原盤から作製された情報記録ディスクの該蛇行パターンを再生したときの異なる蛇行周期の再生信号振幅が蛇行周期に係らず一様となるように、該蛇行パターンの蛇行周期に応じて、蛇行周期が短い領域での蛇行量を蛇行周期が長い領域での蛇行量より大きくするように、該露光ビームの径方向の蛇行量を変化させることを特徴とする原盤露光方法。
  2. 露光ビームを原盤の径方向に蛇行させながら蛇行パターンを露光する原盤露光方法において、
    該原盤から作製された情報記録ディスクの該蛇行パターンを再生したときの異なる蛇行周期の再生信号振幅が蛇行周期に係らず一様となるように、所定トラックの蛇行パターンを露光ビームで露光する際に、該所定トラックに隣接するトラックの蛇行パターンに応じて、隣接トラックとの距離が近くなる領域では蛇行量を小さくし且つ該距離が遠くなる領域では蛇行量を大きくするように、該露光ビームの径方向の蛇行量を変化させることを特徴とする原盤露光方法。
  3. 上記所定トラックの蛇行パターンと上記所定トラックに隣接するトラックの記録マークとの距離に応じて、上記所定トラックの蛇行パターンを露光する際の露光ビームの蛇行量を変化させることを特徴とする請求項2に記載の原盤露光方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の原盤露光方法で作製された原盤を用いて情報記録ディスクを製造する方法。
  5. 複数の蛇行周期を有するウォブル溝が形成された情報記録ディスクにおいて、
    該蛇行パターンを再生したときの異なる蛇行周期の再生信号振幅が蛇行周期に係らず一様となるように、該ウォブル溝の径方向の蛇行量が、該ウォブル溝の該蛇行周期に応じて、蛇行周期が短い領域での蛇行量を蛇行周期が長い領域での蛇行量より大きくするように異なることを特徴とする情報記録ディスク。
  6. 上記複数の蛇行周期のうち最短蛇行周期で形成されたウォブル溝領域の径方向の蛇行量が最も大きいことを特徴とする請求項5に記載の情報記録ディスク。
  7. 複数の蛇行周期を有するウォブル溝が形成された情報記録ディスクにおいて、
    パターンを再生したときの異なる蛇行周期の再生信号振幅が蛇行周期に係らず一様となるように、所定トラックのウォブル溝のパターンと該所定トラックに隣接するトラックのウォブル溝のパターンとの距離に応じて、隣接トラックとの距離が近くなる領域では蛇行量を小さくし且つ該距離が遠くなる領域では蛇行量を大きくするように、該所定トラックのウォブル溝の径方向の蛇行量が変化していることを特徴とする情報記録ディスク。
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