JP4157072B2 - 情報記録媒体用原盤作成方法、情報記録媒体用の原盤照射装置及び情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

情報記録媒体用原盤作成方法、情報記録媒体用の原盤照射装置及び情報記録媒体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4157072B2
JP4157072B2 JP2004115840A JP2004115840A JP4157072B2 JP 4157072 B2 JP4157072 B2 JP 4157072B2 JP 2004115840 A JP2004115840 A JP 2004115840A JP 2004115840 A JP2004115840 A JP 2004115840A JP 4157072 B2 JP4157072 B2 JP 4157072B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
master
electron beam
recording medium
information recording
divided
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004115840A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005302132A (ja
Inventor
禅 近
寿紀 杉山
寛 井戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Maxell Energy Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Energy Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Maxell Energy Ltd filed Critical Hitachi Maxell Energy Ltd
Priority to JP2004115840A priority Critical patent/JP4157072B2/ja
Priority to TW094109429A priority patent/TW200535992A/zh
Priority to CN200510063539.2A priority patent/CN1681012A/zh
Publication of JP2005302132A publication Critical patent/JP2005302132A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4157072B2 publication Critical patent/JP4157072B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Description

本発明は、情報記録媒体用原盤作成方法等に関し、より詳しくは、記録位置精度が向上した電子線照射による情報記録媒体用原盤作成方法等に関する。
近年、記録される情報量の増加に伴い、必要とされる情報記録媒体の記録容量及び記録密度、更に記録した情報のアクセス速度の上昇が必須となっている。このため光ディスク基板のピットの大きさやグルーブの幅は年々微細化し、トラックピッチも狭小化している。通常、光ディスク基板にあらかじめ形成されるピットやグルーブなどの微細構造はレーザ光を用いたリソグラフィー法で作成される。このため、形成可能なピットやグルーブの最小サイズは、光源より出射されたレーザ光の波長と集光レンズの開口数(NA)に依存する。露光装置のレンズNAが0.9と既に限界に近づいていることから、従来のレーザ光を用いた原盤露光装置は、レーザ光の短波長化により、微細化のトレンドに対応してきた。具体的には、DVDでは、例えば波長351nmのクリプトンレーザを用いているのに対し、BluRay Discでは、例えばアルゴンレーザの発振線の第2高調波を用いた波長257nm又は244nmのレーザ光等が使用される。
光ディスクと同様にリソグラフィー法により微細構造を形成する半導体製造プロセスでは、例えば、波長193nmのアルゴンフルオライドエキシマレーザ光等の更に波長の短いレーザ光が適用されている。しかし、このようなパルスレーザ光源では個々のパルス光の強度にばらつきがあり、例えばピットサイズの均一性が損なわれることから、半導体製造プロセスで採用される面露光方式ではなく、直描方式である光ディスク製造の工程には適していない。これに対し、アルゴンレーザの発振線の第2高調波を用いた遠紫外線レーザよりも更に短波長且つ、連続発振が可能な、更に微細なピットやグルーブを作成可能とするレーザ光源の見通しが立っていない。このため、更に記録密度を向上させたディスクの製造には、電子線描画装置が適用される可能性が高く、開発が続けられている。
ところで、従来、光ディスク用原盤に螺旋状の記録トラックを作成するには、大きく分けて露光ビームの光量及び線速を一定に保ち、半径位置によって原盤の回転数及びスライダーの移動速度を連続的に変化させるCLV(Constant Linear Velocity)方式と、原盤の回転数とスライダーの移動速度を一定に保ち、半径位置によって露光ビームの光量を連続的に変化させるCAV(Constant Angular Velocity)方式の2種類がある。通常、記録容量を重要視する再生専用媒体や一回のみ記録可能な追記媒体はCLV方式を、アクセス速度を重要視するコンピューター用途の媒体はCAV方式を用いて作成される。例えば、光磁気ディスクに見られるようにアドレスを正確に所定の位置に局在化させることにより、アクセス時間の短縮が可能となる。即ち、ディスク上の所定の位置に正確に記録するためには、半径方向の駆動制御と回転制御が容易なCAV方式が必須となる。
更に、近年では、記録密度の飛躍的な向上を目的として僅少にピットの記録位置を変調する多値記録方式や複数のピット列によりマークを形成する二次元記録も提案されており、光ディスク原盤における記録位置精度の向上は必須である。
一方、電子線描画装置で使用される電子線には、従来のレーザ光を用いた原盤露光装置に実装されている音響光学(AO)素子のようなビームの透過率を任意に制御する素子が存在しないことから、開口部を通過する電子数(電流値)を変調することにより電子線照射量の制御を行う。しかしながら、例えば、原盤の回転数を固定し、原盤の半径20mmから60mmまでの範囲に、螺旋状の記録トラックを形成する場合には、最内周と最外周とでは、電流値を3倍程度変化させる必要がある。
また、電子線の基板からの後方散乱や基板のチャージアップ量の制御が困難である、電子銃より放出される電流値を変更すると電子線の軸が変動する、等の問題点があり、原盤の回転数を固定し、半径位置に応じて電流値を変化させるCAV照射方式は容易ではなく、安定的な光ディスク原盤の製造には、大きな障害となる。
図10は、CLV方式における光ディスク用原盤の半径位置と回転数との関係を説明する図である。図10の横軸は光ディスク用原盤の半径位置であり、縦軸は回転数である。曲線Aは、CLV方式における光ディスク用原盤の目標とする理想の回転数の推移を表し、半径位置が大きい(外周)ほうが回転数が小さいことを示す。図10に示すように、CLV方式では、微視的には、光ディスク用原盤の回転数を一定に保ちながら、非常に短い時間間隔(回転数更新の間隔C)で回転数を階段状に変化(誤差B)するようにディジタル制御が行われている。一方で、回転の慣性力により瞬時に原盤の回転数が変更されることはなく、通常、原盤の回転は曲線Aとディジタル制御により出力される階段状の指令値を小刻みに往復する形で行われる。
回転数更新の間隔Cは、制御装置との通信速度または応答速度、制御装置の回転数を表現するビット分解能の制約を受ける。このため、もし、回転数を表記するビット数が不足してある程度誤差が累積しないと曲線Aとの差が検出できない場合や、制御装置における演算が他の出力回路との通信のため制約を受ける場合、又は、情報の入出力の通信が失敗する等のために回転数の更新が間引かれてしまうような場合には、大きな回転制御誤差(誤差D)が生じる。
また、CLV駆動は、内周と外周とでは回転数が異なることから、回転数の大きい内周側では、外周と比べて、回転速度を決めるパルスの周波数更新間隔が疎になってしまう。このため内周では、所定の記録すべき位置と実際に電子線が照射される位置との位置ずれが更に生じやすい。これに対して、内周の速度を低減すると、ディスク全体の照射時間が著しく延びるため、高密度化されたディスクの製造には適応できない。更に、照射時間が延びることにより、電子線の出力変動の影響が大きくなるため、原盤作成時にあらかじめ記録する情報量が飛躍的に増大した高密度光ディスク原盤を安定的に製造するには、大きな障害となる。
一方、オープンループで行うアナログ制御の場合は、回転速度を指示する基準クロックに対し、原盤の回転速度を検出するロータリーエンコーダの出力との比較により、所定のランプ波形を用意するため、このような問題は生じにくいが、回転速度の変化量に応じて細かくゲインの設定を変更する必要があり、通常、このような管理が容易ではないため、スピンドル及びスライダー制御のような単一方向に駆動する例では、クローズドループで行うディジタル制御が現行の主流である。このため、CLV方式では、必ずしも理想の回転制御が行われない。従って、露光位置を極めて高い精度で実現するためには、原盤の回転数とスライダーの移動速度を一定に保つCAV方式が好ましいと考えられており、例えば、CAV方式において電子線の単位面積あたりの照射量を一定にする露光方法の報告がなされている(特許文献1参照)。
特開2000−011464号公報
しかし、特許文献1に記載されているように、CAV方式において電子線の単位面積あたりの照射量を一定にする方法では、回転速度が異なる内周と外周とでは、電子銃より放出される電流値を大きく変化させる必要があり、電子線の軸の変動が避けられないという問題がある。
また、特許文献1に記載されているように、電子線をパルス変調し、パルスのデューティ比により、電子線の照射量を制御する手法は、通常、電子線のブランキングには、偏向量を確保する目的で応答速度の速い静電偏向ではなく、電磁偏向が採用されており、過渡的に開口部を通過する電子数が変化してしまい、このため形成されるグルーブの幅の均一性が不足するという問題点がある。即ち、この問題を解決するためには回転数を低く抑える必要があり、ディスク全体の照射時間が著しく延びるため、高密度化されたディスクの製造には適応できない。静電偏向によるブランキングを採用した場合にも、変調を行うためには、電子線の偏向量を大きくする必要があり、即ち、ブランキングに用いられる偏向電極の容量が増加し、変調速度に制約が生じてしまう。
本発明は、このように、電子線描画装置により情報記録媒体用の原盤を露光する際に浮き彫りになった技術的な課題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、記録位置精度が向上した電子線照射による情報記録媒体用原盤作成方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、記録位置精度が向上した電子線照射が可能な情報記録媒体用の原盤照射装置を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、記録位置精度が向上した高密度な情報記録媒体の製造方法を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、記録位置精度が向上した高密度な情報記録媒体を提供することにある。
かかる課題を解決すべく、本発明においては、電子線照射により極性変化が生じる電子線感応レジスト薄膜を有する原盤に、電子線を照射する電子線照射手段と、原盤を保持して回転させる駆動手段と、電子線照射手段と原盤との水平方向の相対位置を変動させる変動手段と、を備えた原盤照射装置を用いて電子線を照射し、螺旋状又は同心円状のトラックを形成する情報記録媒体用原盤作成方法において、電子線を照射する領域を半径方向に同心円状に分割された複数の記録領域に区分し、原盤の電子線を照射する領域の単位時間当たりの電子線照射量を一定に保ち、区分された各記録領域における原盤の回転数が一定となるように制御することを特徴とする情報記録媒体用原盤作成方法が提案される。
このような構成を採用することにより、電子銃より放出される電流値が一定となるため電子線の軸の変動が抑えられ、また、回転速度を固定するため回転誤差の少ない回転制御が行われ、電子線を照射する情報の高い記録位置精度を保つことが可能となる。
本発明において、電子線を照射する領域を半径方向に同心円状に分割された複数の記録領域は、所定の装置において情報の記録又は再生が可能な領域を指し、通常、原盤の内周側に設けられるバーコードに代表されるような原盤の管理情報を記録した領域等は該当しない。
また、原盤に所定の情報をあらかじめ記録するべくピットを形成するには、通常、ブランキングにより電子線を遮断する方法がとられるが、このような制御を伴い、原盤に照射される単位時間当たりの電子線照射量が変化する場合も、電子線の遮断が行われていないタイミングにおいて、原盤に照射される単位時間当たりの電子線照射量が一定となる情報記録媒体用原盤作成方法は、本発明の範囲内である。
また、本発明において、区分された記録領域の境界部において、外周の区分された記録領域から内周の区分された記録領域に向かって、段階的に回転数が増加するように制御することを特徴とすれば、単位面積あたりの電子線照射量の内外周差を低減し、更に原盤の電子線の照射面積を大きくすることが可能となる。
また、区分された記録領域の境界部において、内周の区分された記録領域から外周の区分された記録領域に向かって、段階的に回転数が減少するように制御することにより、同様の効果が得ることが可能となるが、このような情報記録媒体用原盤作成方法は、本発明の範囲内である。
更に、外周側の記録領域ほど回転数が上昇する構成を採用することにより、従来のCAV方式と比較して、電子線の照射時間が減少し、安定的な情報記録媒体の製造が可能となる。
更に、本発明においては、回転する原盤の区分された記録領域における線速の最大値と線速の最小値との比が、1.3以下となるように制御することが好ましく、更に、回転する原盤の区分された各記録領域間における平均線速の最大値と平均線速の最小値との比が、1.1以下となるように制御することが好ましい。
回転する原盤の各記録領域内における線速と、各記録領域間における平均線速及び記録領域の幅とが、上述した範囲内にあることにより、各記録領域内における電子線の照射により極性変化が生じた電子線感応レジスト薄膜を有する原盤に、所定の現像処理を行うことにより形成されるグルーブ溝の溝幅の変動を、許容できる範囲内に調整することが可能である。尚、電子線を照射する面積が少なく、電子線を照射する全ての領域において、回転する原盤の回転数を一定とし、線速の最大値と線速の最小値との比が、1.3以下となるように制御することが可能な場合には、半径方向に同心円状に区分された記録領域の数を1とすることができる。
更に、原盤の内周側に設けられた区分された記録領域の幅は、原盤の外周側に設けられた区分された記録領域の幅より小さいことが好ましく、回転線速の変化量の大きい原盤の内周側に設けられた記録領域における、単位面積あたりの電子線の照射量の内外周差を更に低減することが可能となる。即ち、回転線速の変化量の大きい原盤の内周側に設けられた記録領域においても、所定の現像処理を行うことにより形成されたグルーブ溝の溝幅の内外周差を更に低減することが可能となる。
また、本発明によれば、電子線をトラックに対してほぼ垂直な方向に振動させる電子線偏向手段を更に備えた原盤照射装置を用いて電子線を照射し、螺旋状又は同心円状のトラックを形成する情報記録媒体用原盤作成方法において、区分された各記録領域における電子線の偏向量を内周から外周に向けて増加するように制御することを特徴とする情報記録媒体用原盤作成方法が提案される。
このような構成を採用することにより、電子線の照射による情報の高い記録位置精度を保ち、電子線を照射した領域に所定の現像処理を行うことにより形成されるグルーブ溝の溝幅の内外周差を、更に低減することが可能となる。
更に、各半径位置rにおける線速をV(r)、線速V(r)において電子線の偏向を行わずに、所定の現像処理を行うことにより形成されるグルーブ溝の幅をW(r)、回転と同時に電子線の偏向を行うことにより形成するグルーブ溝の幅をWmaxとした場合に、各半径位置rにおける電子線の偏向量がWmax−W(r)となるように制御することが好ましく、区分された各記録領域におけるグルーブ幅を均一にすることができる。
更に、電子線の偏向の周波数がV(r)/W(r)以上となるように、電子線をトラック方向に対しほぼ垂直に偏向させることが好ましく、所定の現像処理を行うことにより形成されたグルーブ溝の蛇行を抑えることが可能となる。
次に、本発明は、電子線照射により極性変化が生じる電子線感応レジスト薄膜を有する原盤に、単位時間当たり一定量の電子線を照射する電子線照射手段と、原盤を保持して回転させる駆動手段と、電子線照射手段と原盤との水平方向の相対位置を変動させる変動手段と、電子線を照射する領域を半径方向に同心円状に分割された複数の記録領域に区分し、区分された各記録領域における単位時間当たりの電子線照射量を一定に保ち、区分された各記録領域における原盤の回転数が一定となるように制御する制御手段と、を備える情報記録媒体用の原盤照射装置として把握される。
このような構成を採用することにより、電子銃より放出される電流値が一定となるため、電子線の軸の変動が抑えられ、また、回転速度を固定するため回転誤差の少ない回転制御が行われ、電子線の照射による情報の高い記録位置精度を保つことが可能となる。
また、本発明は、区分された記録領域の境界部において、外周の区分された記録領域から内周の区分された記録領域に向かって、段階的に原盤の回転数が増加するように制御する制御手段を有することを特徴とすれば、単位面積あたりの電子線照射量の内外周差を低減し、更に原盤の電子線の照射面積を大きくすることが可能となる。
また、本発明が適用される情報記録媒体用の原盤照射装置において、区分された記録領域の境界部における回転速度の変更は、10回転以内に行われることが好ましく、記録再生に関与しない回転数の変更が行われている過渡的な遷移領域のトラックを少なくすることで、記録容量の減少を防ぐことが可能となる。
また、本発明が適用される情報記録媒体用の原盤照射装置においては、原盤照射装置は原盤回転制御を行うとともに回転する原盤の角度情報を出力する回転角度情報出力手段を備えることが好ましく、電子線で記録する信号発生手段との再同期を実施し、半径方向に同心円状に複数に区分された記録領域の境界の半径位置付近において生じる、回転数変更に起因する回転誤差を補正することが可能となる。更に、半径方向に同心円状に複数に区分された複数の記録領域間における、情報の記録位置精度を向上することが可能となる。
本発明が適用される情報記録媒体用の原盤照射装置においては、電子線の偏向量を制御する偏向制御手段を、更に備えることが好ましく、半径方向に区分された記録領域における内周から外周に向けて、トラック方向に対してほぼ垂直な方向に偏向させる電子線の偏向量を増加するように電子線の偏向量を制御し、形成されるグルーブ幅の内外周差を、更に低減することが可能となる。更に、電子線の偏向制御手段には、応答速度の速い静電偏向を採用することが好ましく、所定の現像処理を行うことにより形成されるグルーブ溝の蛇行を抑えることが可能となる。
また、本発明が適用される情報記録媒体用の原盤照射装置には、ブランキングにより電子線の遮断を可能とする電子線の変調制御手段を更に備えることが好ましい。
一方、本発明は、所定の螺旋状又は同心円状のトラックを有する情報記録媒体の製造方法であって、所定の溝を有する情報記録媒体用原盤を形成する原盤形成工程と、形成された情報記録媒体用原盤の溝の形状が転写された金属鋳型を形成する鋳型形成工程とを有し、原盤形成工程が、電子線照射手段と、原盤との水平方向の相対位置を変動させる変動手段と、駆動手段により回転する原盤表面の電子線感応レジスト薄膜に電子線照射手段により電子線を照射し、変動手段により電子線照射手段と原盤との水平方向の相対位置を変動し、電子線照射手段により電子線を照射する際に、電子線を照射する領域を半径方向に同心円状に分割された複数の記録領域に区分し、原盤の電子線を照射する領域の単位時間当たりの電子線照射量を一定に保ち、原盤の回転数が一定となるように電子線を照射することを特徴とする情報記録媒体の製造方法として把握される。
更に、本発明によれば、基板上に螺旋状又は同心円状の記録用トラックが形成された情報記録媒体であって、基板上に所定の幅で同心円状に区分された複数の記録領域と、区分された各記録領域の境界部に設けられ、基板の半径方向の幅が10トラック以下の遷移領域と、を有することを特徴とする情報記録媒体が提供される。
本発明が適用される情報記録媒体における遷移領域を10トラック以下とし、記録再生に関与しないトラックを少なくすることにより、記録容量の減少を防ぐことが可能となる。遷移領域又は遷移領域の近傍には、再同期を可能とする再同期制御マークを更に備えることが好ましく、原盤に電子線を照射し、半径方向に同心円状に複数に区分された記録領域を形成する際に生じる、記録領域の境界の半径位置付近における回転数変更に起因する回転誤差を補正することが可能となる。
本発明が適用される情報記録媒体においては、基板上に所定の幅で同心円状に区分された各記録領域の外周側の半径位置と内周側の半径位置の比が1.3以下であることが好ましい。
更に、本発明が適用される情報記録媒体においては、情報記録媒体が有する基板の内周側に設けられた区分された記録領域の幅は、基板の外周側に設けられた区分された記録領域の幅より小さいことが好ましい。
かくして、本発明によれば、記録位置精度が向上した電子線照射による情報記録媒体用原盤作成方法が提供される。
以下、図面に基づき、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について詳述する。
図1は、本実施の形態が適用される原盤照射装置を説明する図である。図1に示される原盤照射装置100は、電子線照射手段としての電子光学系を収納する鏡塔10と、原盤保持回転手段を備えた試料室20とから構成されている。鏡塔10及び試料室20は、適当な真空装置(図示せず)により真空状態に保たれている。電子光学系は、鏡塔10の内部に取り付けられ、所定の印加電圧(例えば、50kV)により電子線19を放射する熱電子放出型の電子銃11と、放射された電子線19を絞るコンデンサレンズ12と、ビーム変調器18により変調された信号源17の信号により、コンデンサレンズ12により絞られた電子線19の変調を行うブランキング電極13と、ブランキング電極13により偏向された電子線19を遮るアパーチャ14と、電子線19の振幅を制御器26の信号に基づき偏向させる偏向電極15と、電子線19を微小なビーム径に絞り、原盤21上に照射する対物レンズ16と、を備えている。
試料室20中には、原盤21を保持して回転する駆動手段である回転台22と、原盤21を水平方向に移動させ、電子線19と原盤21との水平方向の相対位置を変動させる変動手段としての移動台23とが備えられ、回転台22及び移動台23は、リードスクリュー24を介して、ACサーボモーター25の動力が伝達されている。
図1に示すように、電子銃11から放射された電子線19はコンデンサレンズ12により集束される。ブランキング電極13は、信号源17の信号がビーム変調器18により変調された電場により電子線19の進行方向を偏向し、電子線19のアパーチャ14の通過量を変調する。アパーチャ14を通過した電子線19は、偏向電極15により偏向制御されたのち、対物レンズ16により再度集束された後、原盤21の表面に照射される。
偏向電極15は、制御器26の振幅制御信号による高周波振動の振幅を制御し、これにより、電子線19の偏向量が制御される。制御器26は、原盤21に照射される電子線19の原盤21上の位置と、その位置における原盤21の回転数の情報とに基づく演算を行い、電子線19の偏向量を制御する。
また、制御器26は、原盤21に照射される電子線19と原盤21との水平方向の相対位置に基づく回転数制御信号により、ACサーボモーター25を制御し、原盤21の回転数を制御する原盤回転制御手段としても機能する。
次に、原盤21について説明する。図2は、原盤の記録領域を説明する図である。図2(a)は、半径方向に均等に区分された複数の記録領域を示し、図2(b)は、異なる幅を有する複数の記録領域を示す。
図2(a)に示すように、原盤21aは、半径方向に、所定の幅で均等に分割された複数の記録領域(記録領域1a〜記録領域3a)を有している。分割された各記録領域の幅は、特に限定されないが、通常、0.2〜5.0mm、好ましくは、0.5〜5.0mmの範囲である。
半径方向に均等に分割された各記録領域(記録領域1a〜記録領域3a)の半径方向の幅は、通常、次のように決められる。即ち、各記録領域ごとに一定の回転数で原盤が回転する場合、半径方向に均等に分割された各記録領域内における最も内周側における線速度と最も外周側における線速度との比(各記録領域の最外周における線速度/各記録領域の最内周における線速度)が、通常、1.3以下、好ましくは、1.2以下の範囲になるように、各記録領域の幅が予め設定される。このように各記録領域の幅を設定することにより、半径方向に均等に分割された各記録領域内における単位面積あたりの電子線照射量の内外周差を更に低減できる。即ち、所定の現像処理を行うことにより形成された各記録領域内におけるグルーブ溝の溝幅の内外周差を低減することが可能となる。
図2(b)に示すように、原盤21bは、半径方向に、所定の幅で分割された複数の記録領域(記録領域1b〜記録領域3b)を有している。複数の記録領域(記録領域1b〜記録領域3b)の幅は、原盤21bの半径方向に内周側から外周側に向けて大きくなるように設定されている。
このように、原盤21bの半径方向に同心円状に分割された複数の記録領域(記録領域1b〜記録領域3b)の幅を、外周側と比べて内周側に設けた記録領域の幅を狭くすることにより、線速度の変化が大きい内周側の記録領域内における最も内周側における線速度と最も外周側における線速度との比(各記録領域の最外周における線速度/各記録領域の最内周における線速度)を更に低減することができ、その結果、線速度の変化が大きい内周側の領域内における単位面積あたりの電子線照射量の内外周差を更に低減できる。即ち、所定の現像処理を行うことにより形成された内周側の記録領域内におけるグルーブ溝の溝幅の内外周差を更に低減することが可能となる。
また、半径方向に同心円状に分割された各記録領域の回転数は、各記録領域間における平均線速度の最大値と最小値との比(各記録領域ごとの平均線速の最大値/各記録領域ごとの平均線速の最小値)が、通常、1.1以下、好ましくは、1.05以下の範囲になるように、各記録領域の幅が予め設定されることが好ましい。このように各記録領域の回転数を設定することにより、各記録領域ごとの単位面積あたりの電子線照射量の差を低減できる。即ち、所定の現像処理を行うことにより形成された各記録領域ごとのグルーブ溝の溝幅の変動を低減することが可能となる。また、半径方向に同心円状に分割された各記録領域の回転数が一定に保たれることにより、回転誤差の少ない回転制御が行われ、電子線の照射による情報の高い記録位置精度を保つことが可能となる。
更に、原盤21a及び原盤21bの回転数は、区分された記録領域の境界部において、外周の区分された記録領域から内周の区分された記録領域に向かって、段階的に回転数が増加するように制御することが好ましい。外周側の記録領域ほど回転数が上昇する構成を採用することにより、従来のCAV方式と比較して、電子線の照射時間が減少し、安定的な情報記録媒体の製造が可能となる。
尚、原盤21a及び原盤21bの、分割された各記録領域(記録領域1a〜記録領域3a、記録領域1b〜記録領域3b)の境界部には、各記録領域ごとの回転数が変化することに対応するため、再び信号の同期を整える遷移領域(図示せず)が、通常、10トラック程度設けられている。各記録領域間では、回転数の変更は、通常、10回転以内又は10msec以内のいずれか短い時間間隔で行われることが好ましい。
本実施の形態が適用される原盤照射装置100のように、原盤21の回転数を一定に保ちながら電子線19を照射する場合、通常、電子線感応レジスト薄膜に照射される電子線19の、単位面積当たりの照射量は一定にならない。このため、各記録領域ごとに形成される記録トラックの溝幅が、各記録領域の最も内周側と最も外周側とでは変化してしまう。
しかし、このように記録トラックの溝幅が変動する場合にも、これらを和信号により正規化することにより信号強度を補正することは、ある程度可能である。従って、原盤21の半径方向に同心円状に分割される複数の記録領域の幅と原盤21の回転数が適正になるように、予め設定することにより、各記録領域内におけるグルーブ溝の溝幅の変動を、許容できる範囲内に調整することが可能である。これにより、原盤21全体のC/N比(キャリアレベル/ノイズレベル)を許容値以内に保った情報記録媒体用原盤の製造が可能になる。
図3は、トラックとほぼ垂直な方向に電子線を偏向させる様子を説明する図である。図3は原盤21の半径方向に同心円状に分割された複数の記録領域の中の1つである領域1において、内周側に設けられたトラックa(トラックa、トラックa+1、トラックa+2・・・)、中周部分に設けられたトラックb(トラックb、トラックb+1、トラックb+2・・・)、外周側に設けられたトラックc(トラックc、トラックc+1、トラックc+2・・・)の、それぞれのトラックに照射される電子線の高周波振動が示されている。
図3中、横軸は原盤21のトラック方向を表し、縦軸は原盤21の半径方向を示している。図3に示すように、トラックとほぼ垂直な方向に電子線19を高周波振動させる機能を用いて、原盤21に照射される電子線19の照射面積を実効的に拡大し、所定の現像処理を行うことにより、各記録領域に形成されるグルーブ溝の溝幅を増加させることが可能となる。
更に、原盤21の半径方向に所定の幅で分割された複数の記録領域に照射される電子線19の偏向量が、各記録領域ごとに、原盤21の内周側から外周側に向けて増加させることが好ましい。即ち、図3に示すように、内周側のトラックa(トラックa、トラックa+1、トラックa+2・・・)では、外周側と比較して、線速度が遅く、単位面積当たりの電子線照射量の大きいので、電子線19の偏向量を少なくし、一方、外周側のトラックc(トラックc、トラックc+1、トラックc+2・・・)では、線速度が速く、単位面積当たりの電子線照射量が少ないので、電子線19の偏向量が大きくなるように制御することが好ましい。
即ち、このように、本実施の形態において、原盤21のトラックとほぼ垂直な方向に電子線19を偏向させる手法によれば、通常、原盤21の所定の半径位置における線速の連続的な変化に応じた単位面積当たりの電子線照射量の変化に起因して、各記録領域内部の溝幅の内外周差が生じる問題を、電子線19の偏向量を制御することにより、各記録領域ごとにおける回転数を一定に保ちながら、原盤21上に形成される均一なトラックの溝幅を実現することができる。
このように、原盤21の半径方向の位置情報と、各記録領域の回転速度の情報とにより、所定のウォブル偏向を付与し、各記録領域における電子線19の照射面積を拡大し、形成されるグルーブ溝の溝幅の内外周差を低減することが可能となる。
ここで、原盤21の各半径位置rにおける電子線19の偏向量は、各半径位置rにおける線速をV(r)、線速V(r)において電子線19の偏向を行わずに、所定の現像処理を行うことにより形成されるグルーブ溝の幅をW(r)、回転と同時に電子線の偏向を行うことにより形成するグルーブ溝の幅をWmaxとした場合に、Wmax−W(r)となるように制御することが更に好ましい。また、電子線19の偏向の周波数がV(r)/W(r)以上となるように、電子線19をトラック方向に対しほぼ垂直に偏向させることが好ましい。
このように、偏向電極15による電子線19の高周波ウォブリングにおけるウォブル量の制御と組み合わせることにより、原盤21の所定の記録領域内において、線速の連続的な変化に応じた単位面積当たりの電子線照射量が変化することに起因する記録トラックの溝幅の変動が相殺され、原盤21の各記録領域の回転数を一定に保ちながら、記録トラックの溝幅を均一に保つことが可能になる。即ち、電子線19が照射される原盤21の位置情報と、電子線19が照射される原盤21上の位置における回転数の情報とに基づく演算により、電子線19の偏向量が設定され、各記録領域内部の記録トラックの溝幅の変動が更に低減され、原盤21全体のC/N比(キャリアレベル/ノイズレベル)を低減した情報記録媒体用原盤の製造が可能になる。
次に、原盤21の構成について説明する。原盤21は、適当な基板上にの電子線感応レジストをスピンコートした後、加熱処理によって余剰の溶剤を除去し、電子線感応レジスト薄膜が形成されている。
原盤21の基板としては、例えば、シリコンウェハ、石英ガラス、ソーダガラス、表面に導電層を形成した石英ガラス、表面に導電層を形成したソーダガラス等が挙げられる。これらの中でも、シリコンウェハが、チャージアップが少なく好適である。
電子線感応レジストは、通常、酸発生剤とバインダー樹脂とを、塩基性化合物を溶解させて塩基性に調整された溶剤で希釈して用いられる。
酸発生剤としては、電子線の照射により化学構造が変化し、酸性物質を生成するものであれば特に限定されないが、例えば、トリフェニルスルフォニウムトリフレート、トリフェニルスルフォニルノナフレート、ビスフェニルヨードニウムトリフレート、ビスフェニルヨードニウムノナフレート、ビスフェニルp−メトキシフェニルノナフレート、ビスフェニルp−メチルフェニルノナフレート等のオニウム塩類;1,8−ナフタルイミジルメタンスルフォネート、1,8−ナフタルイミジルトリフレート、1,8−ナフタルイミジルトシレート、ベンゾイントシレート等のスルフォン酸エステル類;ビス(フェニルスルフォニル)ジアゾメタン、ビス(p−クロロフェニルスルフォニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルフォニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン類等が挙げられる。これらの中でも、トリフェニルスルフォニウムトリフレート等のオニウム塩が、高感度を実現でき好適である。酸発生剤の具体例を以下に示す。
Figure 0004157072
バインダー樹脂としては、電子線を照射することにより酸発生剤が化学変化を起こし生成した酸性物質により、室温又は加熱状況下で極性変化を起こすものであれば特に限定されないが、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸イソプロピル、アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;ポリヒドロキシスチレン誘導体等が挙げられる。これらの中でも、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)が極性変化による現像速度の変化が大きく好適である。また、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の分子量分布を狭くすることで、電子線照射領域における現像残差を軽減でき好適である。
溶剤は、酸発生剤およびバインダー樹脂を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、プロピレングリコール−2−モノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PE)等のセルソルブ類;2−ヘプタノン(HP)、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類;乳酸エチル(EL)、酢酸ブチル(BA)等のエステル類;更に、これらの混合溶媒等が、スピンコート後の電子線感応レジスト薄膜の膜厚均一性を向上でき好適である。中でも、プロピレングリコール−2−モノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と乳酸エチル(EL)との混合溶媒が特に好ましい。更に、塩基性化合物を溶解して塩基性に調整することにより、現像後のグルーブ溝の溝幅の均一性が向上する。
塩基性化合物としては、電子線の照射することにより酸発生剤が化学変化を起こし生成した酸性物質と中和反応を起こし得るものであれば特に限定されないが、例えば、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチルチメタン)(BisTris)、トリイソプロパノールアミン(TIPA)等の、スピンコート後の熱処理により蒸散の生じない不揮発性塩基化合物が好ましい。この中でも、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチルチメタン)(BisTris)が現像後の電子線感応レジストの側壁角が急峻であり、好適である。塩基性化合物の具体例を以下に示す。
Figure 0004157072
また、溶剤にはスピンコートにより形成する電子線感応レジスト薄膜の膜厚の均一性を向上するべく、界面活性剤を微量添加することが好ましい。界面活性剤には、フッ素を含有するものがスピンコート時にストライエーションの発生を抑制する効果が大きく好適である。
次に、原盤照射装置100を用いて電子線照射された原盤21から情報記録媒体用原盤を調製する方法について説明する。
電子線照射により、電子線感応レジスト薄膜に所定の潜像を形成した原盤21をホットプレートで下面より加熱し、電子線感応レジスト薄膜の電子線19を照射した領域の極性を変化させる。続いて、極性変化の生じた電子線照射領域をアルカリ現像液で溶解し、レジストパターンを得る。
現像液は極性変化の生じた電子線感応レジスト薄膜を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、水酸化カリウム(KOH)水溶液、燐酸緩衝液、およびこれらの混合物等が好ましく、この中でも、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液が、現像後の電子線感応レジストの側壁角が急峻であり、好適である。
このように作成した電子線感応レジストパターンの表面に、導電膜を形成した後、ニッケル電気めっきを行い、ニッケルめっき層を電子線感応レジストパターンを転写した情報記録媒体用原盤から剥離することによって、情報記録媒体用スタンパが得られる。
尚、本実施の形態では、目的とするビーム径が得られるように電子線19の加速電圧を増加させる必要があるが、一般に、加速電圧の向上とは反対に、電子線感応レジストの感度は低下する。このような電子線感応レジストの感度の低下は、原盤21上に形成する電子線感応レジスト薄膜の膜厚を増加することにより向上させることができるが、原盤21上に形成されるグルーブ溝の深さと感度が充分に確保される電子線感応レジストの膜厚とを必ず同一にすることは困難である。このため、この原盤21上に電子線感応レジスト薄膜で形成したレジストパターンをエッチングマスクとし、反応性イオンエッチング等のエッチングの手法を用いて、電子線感応レジスト薄膜で形成したグルーブ溝の形状を原盤21に転写することが好ましい。
反応性イオンエッチングに用いる気体は、電子線感応レジストのエッチング速度に対する原盤21のエッチング速度、即ちエッチング選択比が1.0以上であれば特に限定されないが、例えば、CHF、C等の炭化フッ素ガスがエッチング選択比が大きく好適であり、この中でも、Cはエッチング速度の面内均一性が良好となり特に好適である。
続いて、原盤21表面に残った電子線感応レジストを除去し、光情報記録媒体用原盤が完成する。電子線感応レジストの除去方法は、原盤21に転写した形状を劣化させないものであれば特に限定されない。具体的には、酸素プラズマアッシング、有機溶剤による溶解、アルカリ水溶液による溶解等などを用いることが出来る。中でも、原盤にシリコンウェハを用いた場合は、シリコンウェハの化学エッチングの起こらない酸素プラズマアッシングが好適である。
このように作成した電子線感応レジストパターンを転写した情報記録媒体用原盤の表面に、導電膜を形成した後、ニッケル電気めっきを行い、ニッケルめっき層を電子線感応レジストパターンを転写した情報記録媒体用原盤から剥離することによって、情報記録媒体用スタンパが得られる。
情報記録媒体は、通常、このように作成した光情報記録媒体用スタンパを使用し、例えば、ポリカーボネート樹脂等の射出成型を行うことにより、電子線感応レジストパターンが転写された記録トラックが表面に形成された基板を得た後、この基板上に記録層等の所定の各層を積層して調製される。
本実施の形態が適用される原盤照射装置100により製造された情報記録媒体用原盤を用いて作成された情報記録媒体は、前述したように、電子線感応レジストパターンが転写された螺旋状又は同心円状の記録トラックが形成された基板上に、所定の幅で同心円状に区分された複数の記録領域を有し、区分されたこれらの各記録領域の境界部には、基板の半径方向の幅が10トラック以下の遷移領域が設けられている。
遷移領域又は遷移領域の近傍には、同期を可能とする再同期制御マークを更に備えることが好ましく、原盤21に電子線19を照射し、半径方向に同心円状に複数に区分された記録領域を形成する際に生じる、記録領域の境界の半径位置付近における回転数変更に起因する回転誤差を補正することが可能となる。
情報記録媒体が有する基板の内周側に設けられた区分された記録領域の幅は、基板の外周側に設けられた区分された記録領域の幅より小さいことが好ましい。各記録領域の幅は、基板の内周側に設けられた区分された記録領域の幅は、基板の外周側に設けられた区分された記録領域の幅より小さいことが好ましい。また、基板上に所定の幅で同心円状に区分された各記録領域の外周側の半径位置と内周側の半径位置の比が1.3以下であることが好ましい。
このように、本実施の形態によれば、原盤21の電子線19を照射する領域の単位時間当たりの電子線照射量を一定に保つことにより、電子線19の軸の変動が抑えられ、更に、回転速度を固定することにより、回転誤差の少ない回転制御が行われ、電子線19の照射による情報の高い記録位置精度を保つことが可能となる。
また、記録位置精度を向上させることにより、隣接トラック間でのクロストークやウォブルの位相干渉を制御した高密度記録媒体の製造が可能となる。更に、ディスクの所定の角度に集中して、制御信号およびアドレス情報を記録することが可能となり、アクセス速度の速い大容量情報記録媒体の製造が可能となる。
更に、原盤21を半径方向に同心円状に分割された複数の記録領域に区分し、外周側の記録領域ほど回転数が上昇する構成を採用することにより、従来のCAV方式と比較して、電子線19の照射時間が減少し、安定的な情報記録媒体の製造が可能となる。
以下、実施例に基づき本実施の形態を更に詳細に説明する。尚、本実施の形態は実施例に限定されない。
(1)情報記録媒体用原盤の調製
(電子線感応レジスト薄膜)
トリフェニルスルフォニウムトリフレートを200mg、数平均分子量に対する重量平均分子量の比率が1.2以下の分子量分散の少ないポリメタクリル酸メチル10gをプロピレングリコール−2−モノメチルエーテルアセテートと乳酸エチルの混合溶媒54gに溶解した溶液1を5.40gと、(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチルチメタン)0.79gを計量し、乳酸エチル100gに溶解した溶液2を0.22gと、界面活性剤として住友3M社製のFC−430を2g計量し、プロピレングリコール−2−モノメチルエーテルアセテート100gで希釈した溶液3を0.029gとを互いに混合し、電子線感応レジストを調製した。この電子線感応レジストをシリコンウェハにスピンコートし、ホットプレートで110℃で2分間加熱することにより、シリコンウェハ上に膜厚80nmの電子線感応レジスト薄膜が形成された原盤を得た。
(原盤照射)
電子線照射装置により、加速電圧50kV、集束半角9mrad、ビーム電流225nAの条件で、単位時間当たりの電子線照射量が一定になるように、前述したシリコンウェハ上に形成された電子線感応レジスト薄膜に下記のレイアウトで潜像を形成した。
即ち、後述する表1〜表4に示すように、原盤の半径方向に所定の幅を有する同心円状に区分された複数の記録領域を予め設定し、各記録領域ごとに所定の一定の回転数で原盤を回転し、各記録領域において一定の電子線照射量により、情報記録媒体の所定の溝幅を有するトラックに対応する部分の電子線照射を行った。回転数は、表1〜表4に示すように、各記録領域ごとに段階的に変化させた。各記録領域の原盤の半径方向の所定の幅は、表1及び表4においては、5mmであり、表2及び表3においては、原盤の外周方向に向けて増大させた。また、表3及び表4に示した露光条件において、高周波ウォブリングにより電子線照射を行い、情報記録媒体のトラックの溝幅が一定になるような操作を行った。尚、各記録領域の境界部分には、領域毎で変化する回転数により変動する信号の同期を整えるための遷移領域(幅10トラック程度)を設けた。
次に、電子線照射が完了したシリコンウェハをホットプレートにより下面を加熱し、電子線感応レジスト薄膜の電子線が照射された領域の極性を変化させた。これを現像液(東京応化工業株式会社製:NMD−3の希釈溶液)で現像し、極性変化した領域を溶解することによって、シリコンウェハ上に形成したレジストパターンを得た。続いて、電子線感応レジストパターンをエッチングマスクとして、Cガスを用いた反応性イオンエッチングにより電子線感応レジストパターンを原盤に転写した。更に、酸素プラズマアッシングにより、残った電子線感応レジストを除去することによって、シリコンウェハ製の光情報記録媒体用原盤を得た。
(2)情報記録媒体の調製
(ポリカーボネート基板)
前述したシリコンウェハ製の光情報記録媒体用原盤にスパッタリング法にてニッケル導電皮膜を形成したのち、電気めっきにより平均290μmのニッケル皮膜を形成した。これから、シリコンウェハとニッケル皮膜を剥離し、光情報記録媒体用スタンパを得た。更にポリカーボネート樹脂の射出成型により、電子線感応レジストパターンが表面に形成されたポリカーボネート基板を得た。
(情報記録媒体の層構造)
図4は、実施例で使用する情報記録媒体を説明する図である。図4に示す情報記録媒体400は、膜面入射型磁区拡大媒体の模式的な構造を有し、透明基板41上に、ヒートシンク層42と、記録層43と、常磁性層44と、トリガ層45と、再生層46及びエンハンス層47と、が順次積層され、最外層として保護コート層48が形成されている。
透明基板41は、前述した情報記録媒体用原盤から調製したスタンパを用い、射出成形法により成形したポリカーボネート基板である。ヒートシンク層42は、記録再生時に媒体の熱的感度を調整する層であり、Al合金ターゲットを用いたスパッタ装置により、膜厚を40nmに調製した。記録層43は、情報が磁化情報として記録される層であり、室温からキュリー温度まで遷移金属優勢の垂直磁化を有するTbFeCoを用いて構成した。記録層43は、Tb、Fe、Coの単体ターゲットを同時スパッタし、補償温度が約25℃、キュリー温度が250℃となる膜組成を有し、膜厚は60nmとした。
常磁性層44は、Gdを用いて構成され、記録層43とトリガ層45との静磁気的結合力を調整する層である。トリガ層45は、遷移金属優勢のTbFeを用いて構成した。トリガ層45は、Tb、Feの単体ターゲットを同時スパッタし、補償温度が室温以下となる膜組成を有し、膜厚は10nmとした。再生層46は記録層43から転写された磁区が拡大される層であり、室温からキュリー温度まで希土類金属優勢の垂直磁化膜GdFeCoを用いて構成した。再生層46の成膜は、Gd、Fe、Coの単体組成ターゲットを同時スパッタし、各ターゲットへの投入電力の比を制御することにより膜組成を調整した。再生層46は垂直磁化膜であり、キュリー温度が約260℃、補償温度はキュリー温度以上となるように、膜組成を調節し、膜厚を30nmとした。エンハンス層47は、層内で再生用光ビームを多重干渉させ、検出されるカー回転角を実効的に増加させるための層であり、SiNを用いて構成した。エンハンス層47の成膜は、ターゲット材料としてSiを用いAr及び窒素雰囲気中で成膜を行い、膜厚を35nmとした。保護コート層48は、エンハンス層47上にアクリル系の紫外線硬化型樹脂組成物を塗布し、その後、紫外線照射により硬化させ、膜厚15μmで形成した。
(3)ビットエラーレートの測定
前述した方法により調製された情報記録媒体400に形成されたトラックの溝幅について、下記の手順によりビットエラーレート(トータルの総ビット数に対するエラーの発生したビット数)を測定した。
図5は、ビットエラーレートの測定装置を説明する図である。ここでは、波長405nmのレーザと開口率が0.85の対物レンズとを有する光磁気ディスクドライブを用いた。尚、サーボ回路及び光学系等は省略した。図5に示したビットエラーレート測定装置500は、光磁気信号57を出力するドライブ光ヘッド51と、擬似ランダムパターン信号53と擬似ランダムパターン信号53に同期したレーザパルス信号54とを、それぞれ出力するビットエラーアナライザ52と、擬似ランダムパターン信号53を変調磁界に変換するコイルドライバ55と、レーザパルス信号54を変調レーザパルスに変換するレーザドライバ56と、ドライブ光ヘッド51から出力される光磁気信号57を処理するバンドパスフィルタ58とイコライザ59とを備えている。
次に、ビットエラーレート測定装置500の記録動作について説明する。先ず、ビットエラーアナライザ52から、擬似ランダムパターン信号53と、擬似ランダムパターン信号53と適切に同期したレーザパルス信号54とが出力される。これらの信号は、コイルドライバ55とレーザドライバ56とにより、それぞれ変調磁界と変調レーザパルスとに変換され、情報記録媒体に磁界とレーザとが作用することにより、ビットエラーアナライザ52から出力された擬似ランダムデータが媒体に磁区として記録される。ここでは磁界の大きさを300Oe、レーザパワーを8mWとし光パルス磁界変調方式を用いた。
次に、このビットエラーレート測定装置500の再生動作について説明する。先ず、磁区拡大動作が適切に起きるように1.5mW〜2mWの再生パワーを投入する。ドライブ光ヘッド51から出力された光磁気信号57は、バンドパスフィルタ58及びイコライザ59とにより、記録された擬似ランダムパターン信号53のエラーがなるべく少なくなるように制御される。ビットエラーアナライザ52は、光磁気信号57のAD変換を行い、且つこのAD変換後の再生信号と記録とに用いた擬似ランダムパターン信号53との比較を行う。これにより記録に用いた擬似ランダムパターン信号53のビットエラーレートを測定する。
(実施例1)
表1に示すように、前述した原盤の電子線照射方法により、半径方向に幅5mmの同心円状に区分された記録領域が8個設けられ、各記録領域において、表1に示した回転数にて原盤を回転し、電子線照射を行うことにより形成した情報記録媒体について、ビットエラーレートを測定した。
図6は、実施例1の情報記録媒体を得るための原盤の電子線照射条件を説明する図である。図6において、横軸は、シリコンウェハ上に電子線感応レジスト薄膜が形成された原盤の半径(図中左側が内周)であり、縦軸は、半径方向にそれぞれ幅5mmに区分された記録領域における回転数及び線速度である。
表1に示すように、回転数は各記録領域ごとに一定であり、原盤の外周側から内周側に向けて段階的に増加するように設定した。各記録領域における平均線速は1.767(記録領域4)〜1.814(記録領域2)であり、平均線速の最大値と最小値との比は1.03であり、ほぼ一定になるように設定した。また、半径方向に均等に分割された各記録領域において、最も内周側における線速度と最も外周側における線速度との比(各記録領域の最外周における線速度/各記録領域の最内周における線速度)は、1.09(記録領域8)〜1.25(記録領域1)である。更に表1には、各記録領域における内周側のトラックや外周側のトラックを含む複数の任意のトラックを測定したビットエラーレートの算術平均値が示されている。
尚、表1中、内周半径は、各記録領域における最内周の半径(単位:mm)であり、外周半径は、各記録領域における最外周の半径(単位:mm)であり、回転数は、各区分領域における一定の回転数(単位:rpm)であり、内周線速は、各記録領域における最内周の線速度(単位:m/sec)であり、外周線速は、各記録領域における最外周の線速度(単位:m/sec)であり、平均線速は、半径方向に均等に分割された各記録領域内における最も内周側における線速度と最も外周側における線速度の算術平均線速度(単位:m/sec)である。尚、後述する表2〜表4においても同様である。
Figure 0004157072
表1に示す結果から、各記録領域における線速度は、内周側から外周側に向けてわずかに大きくなり、内周部のビットエラーレートは、外周部よりも相対的に高いものの、情報記録媒体の全領域で低く抑えられていることが分かる。
(実施例2)
表2に示すように、前述した原盤照射方法により、各記録領域内における最も内周側における線速度と最も外周側における線速度との比(各記録領域の最外周における線速度/各記録領域の最内周における線速度)が所定の範囲に収まるように11個の記録領域が設けられ、各記録領域において、表2に示した回転数の回転において、電子線照射を行うことにより形成した情報記録媒体について、ビットエラーレートを測定した。各記録領域の半径方向の幅は、内周側が外周側部と比較して狭く設定されている。
図7は、実施例2の情報記録媒体を得るための原盤の電子線照射条件を説明する図である。図7において、横軸は、シリコンウェハ上に電子線感応レジスト薄膜が形成された原盤の半径(図中左側が内周)であり、縦軸は、半径方向にそれぞれ所定の幅に区分された記録領域における回転数及び線速度である。
表2に示すように、回転数は各記録領域ごとに一定であり、原盤の内周側から外周側に向けて減少するように設定された。各記録領域における平均線速は1.769(記録領域9)〜1.825(記録領域1)であり、平均線速の最大値と最小値との比は1.03であり、ほぼ一定になるように設定されている。また、半径方向に所定の幅に分割された各記録領域において、最も内周側における線速度と最も外周側における線速度との比(各記録領域の最外周における線速度/各記録領域の最内周における線速度)は、1.10(記録領域1)〜1.11(記録領域6等)である。ビットエラーレートの測定結果を表2に示す。
Figure 0004157072
表2に示した結果から、各区分領域の半径方向の幅が、内周側が外周側部と比較して狭く、半径方向に向けて幅が増大するように設定することにより、回転数の変化の大きい内周側の記録領域のビットエラーレートが低く抑えられた結果、情報記録媒体の全領域にわたって、ビットエラーレートが更に低減することが分かる。
(実施例3)
表3に示すように、前述した原盤照射方法により、各記録領域内における最も内周側における線速度と最も外周側における線速度との比(各記録領域の最外周における線速度/各記録領域の最内周における線速度)が所定の範囲に収まるように11個の記録領域が設けられ、各記録領域において、表3に示した回転数の回転において、電子線照射を行うことにより形成した情報記録媒体について、ビットエラーレートを測定した。各記録領域の半径方向の幅は、内周側が外周側部と比較して狭く設定されている。
本実施例では、各記録領域における電子線の高周波振動の振幅(ウォブル周波数:47.9MHz)を、内周から外周に向けて偏向量を20nmずつ連続的に増加させ、原盤全面でのグループ溝幅がほぼ一定になるように保たれている。
図8は、実施例3の情報記録媒体を得るための原盤の電子線照射条件を説明する図である。図8において、横軸は、シリコンウェハ上に電子線感応レジスト薄膜が形成された原盤の半径(図中左側が内周)であり、縦軸は、半径方向に所定の幅に区分された記録領域における回転数、線速度及び高周波ウォブル振幅の偏向量である。
表3に示すように、回転数は各記録領域ごとに一定であり、原盤の内周側から外周側に向けて減少するように設定された。各記録領域における平均線速は1.787(記録領域5)〜1.825(記録領域1)であり、平均線速の最大値と最小値との比は1.02であり、ほぼ一定になるように設定されている。また、半径方向に所定の幅に分割された各記録領域において、最も内周側における線速度と最も外周側における線速度との比(各記録領域の最外周における線速度/各記録領域の最内周における線速度)は、1.10(記録領域1〜記録領域11)である。ビットエラーレートの測定結果を表3に示す。
Figure 0004157072
表3に示す結果から、各記録領域の半径方向の幅が、内周側が外周側部と比較して狭く、半径方向に向けて幅が増大するように設定し、各記録領域における電子線の高周波振動の振幅を、内周から外周に向けて偏向量を20nm増加させることにより、情報記録媒体の全領域にわたって、ビットエラーレートが更に低減することが分かる。
(実施例4)
表4に示すように、前述した原盤照射方法により、半径方向に幅5mmの同心円状に区分された記録領域が8個設けられ、各記録領域において、表4に示した回転数の回転において、電子線照射を行うことにより形成した情報記録媒体について、ビットエラーレートを測定した。本実施例では、各記録領域における電子線の高周波振動の振幅(ウォブル周波数:47.9MHz)を、内周から外周に向けて連続的に偏向量を増加させて、原盤全面でのグループ溝幅がほぼ一定になるように保たれている。
図9は、実施例4の情報記録媒体を得るための原盤の電子線照射条件を説明する図である。図9において、横軸は、シリコンウェハ上に電子線感応レジスト薄膜が形成された原盤の半径(図中左側が内周)であり、縦軸は、半径方向にそれぞれ幅5mmに区分された記録領域における回転数、線速度及び偏向量である。
表4に示すように、回転数は各記録領域ごとに一定であり、原盤の内周側から外周側に向けて減少するように設定された。各記録領域における平均線速は1.979(記録領域1)〜1.865(記録領域6)であり、平均線速の最大値と最小値との比は1.06であり、ほぼ一定になるように設定されている。また、半径方向に均等に分割された各記録領域において、最も内周側における線速度と最も外周側における線速度との比(各記録領域の最外周における線速度/各記録領域の最内周における線速度)は、1.25(記録領域1)〜1.09(記録領域8)である。ビットエラーレートの測定結果を表4に示す。
Figure 0004157072
表4に示す結果から、各記録領域における電子線の高周波振動の振幅を、内周から外周に向けて偏向量が増大するように設定することにより、情報記録媒体の全領域にわたって、ビットエラーレートが更に低減することが分かる。
このように、本実施の形態が適用される情報記録媒体用の原盤製造方法によれば、電子線の軸の変動が抑制され、高い情報の記録位置精度を保つことが可能であり、更に、電子線の偏向量の制御と組み合わせることにより、情報記録媒体の全面において、ビットエラーレートが低減を図ることが可能である。
原盤照射装置を説明する図である。 原盤の記録領域を説明する図である。図2(a)は、半径方向に均等に区分された複数の記録領域を示し、図2(b)は、異なる幅を有する複数の記録領域を示す。 トラックとほぼ垂直な方向に電子線を偏向させる様子を説明する図である。 実施例で使用する情報記録媒体を説明する図である。 ビットエラーレートの測定装置を説明する図である。 実施例1の情報記録媒体を得るための原盤の電子線照射条件を説明する図である。 実施例2の情報記録媒体を得るための原盤の電子線照射条件を説明する図である。 実施例3の情報記録媒体を得るための原盤の電子線照射条件を説明する図である。 実施例4の情報記録媒体を得るための原盤の電子線照射条件を説明する図である。 CLV方式における光ディスク用原盤の半径位置と回転数との関係を説明する図である。
符号の説明
10…鏡塔、11…電子銃、12…コンデンサレンズ、13…ブランキング電極、14…アパーチャ、15…偏向電極、16…対物レンズ、17…信号源、18…ビーム変調器、19…電子線、20…試料室、21,21a,21b…原盤、22…回転台、23…移動台、24…リードスクリュー、25…ACサーボモーター、26…制御器、41…透明基板、42…ヒートシンク層、43…記録層、44…常磁性層、45…トリガ層、46…再生層、47…エンハンス層、48…保護コート層、51…ドライブ光ヘッド、52…ビットエラーアナライザ、53…擬似ランダムパターン信号、54…レーザパルス信号、55…コイルドライバ、56…レーザドライバ、57…光磁気信号、58…バンドパスフィルタ、59…イコライザ、100…原盤照射装置、400…情報記録媒体、500…ビットエラーレート測定装置

Claims (12)

  1. 電子線照射により極性変化が生じる電子線感応レジスト薄膜を有する原盤に、電子線を照射する電子線照射手段と、原盤を保持して回転させる駆動手段と、電子線照射手段と原盤との水平方向の相対位置を変動させる変動手段と、を備えた原盤照射装置を用いて電子線を照射し、螺旋状又は同心円状のトラックを形成する情報記録媒体用原盤作成方法において、
    前記電子線を照射する領域を半径方向に同心円状に分割された複数の記録領域に区分し、
    前記原盤の電子線を照射する領域の単位時間当たりの電子線照射量を一定に保ち、
    区分された各前記記録領域における前記原盤の回転数が一定となり、且つ、回転する当該原盤の当該記録領域における線速の最大値と線速の最小値との比が、1.3以下となるように制御することを特徴とする情報記録媒体用原盤作成方法。
  2. 区分された前記記録領域の境界部において、外周の区分された前記記録領域から内周の区分された前記記録領域に向かって、段階的に回転数が増加するように制御することを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体用原盤作成方法。
  3. 回転する前記原盤の区分された各前記記録領域間における平均線速の最大値と平均線速の最小値との比が、1.1以下となるように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録媒体用原盤作成方法。
  4. 前記原盤の内周側に設けられた区分された前記記録領域の幅が、前記原盤の外周側に設けられた区分された前記記録領域の幅より小さいことを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の情報記録媒体用原盤作成方法。
  5. 電子線を前記トラックに対してほぼ垂直な方向に振動させる電子線偏向手段を更に備えた原盤照射装置を用いて電子線を照射し、区分された各前記記録領域における前記電子線の偏向量を内周から外周に向けて増加するように制御することを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の情報記録媒体用原盤作成方法。
  6. 電子線照射により極性変化が生じる電子線感応レジスト薄膜を有する原盤に、単位時間当たり一定量の電子線を照射する電子線照射手段と、
    前記原盤を保持して回転させる駆動手段と、
    前記電子線照射手段と前記原盤との水平方向の相対位置を変動させる変動手段と、
    前記原盤の電子線が照射される領域を半径方向に同心円状に分割された複数の記録領域に区分し、区分された各前記記録領域における単位時間当たりの電子線照射量を一定に保ち、区分された各当該記録領域における前記原盤の回転数が一定となるように制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、区分された前記記録領域における回転する前記原盤の線速の最大値と線速の最小値との比が、1.3以下となるように制御する
    ことを特徴とする情報記録媒体用の原盤照射装置。
  7. 区分された前記記録領域の境界部において、外周の区分された前記記録領域から内周の区分された前記記録領域に向かって、段階的に前記原盤の回転数が増加するように制御する制御手段をさらに有することを特徴とする請求項記載の情報記録媒体用の原盤照射装置。
  8. 区分された前記記録領域の境界部における前記原盤の回転数の変更を、10回転以内に行うことを特徴とする請求項6又は7記載の情報記録媒体用の原盤照射装置。
  9. 前記原盤の回転制御を行うとともに回転する当該原盤の角度情報を出力する回転角度情報出力手段を更に備えることを特徴とする請求項6乃至8いずれか1項記載の情報記録媒体用の原盤照射装置。
  10. 前記電子線の偏向量を制御する偏向制御手段を更に備えることを特徴とする請求項6乃至9いずれか1項記載の情報記録媒体用の原盤照射装置。
  11. 電子線の前記偏向制御手段に、静電偏向を採用することを特徴とする請求項10記載の情報記録媒体用の原盤照射装置。
  12. 所定の螺旋状又は同心円状のトラックを有する情報記録媒体の製造方法であって、
    所定の溝を有する情報記録媒体用原盤を形成する原盤形成工程と、形成された前記情報記録媒体用原盤の溝の形状が転写された金属鋳型を形成する鋳型形成工程と、を有し、
    前記原盤形成工程が、電子線照射手段と、原盤との水平方向の相対位置を変動させる変動手段と、前記原盤を回転させる駆動手段とを備える所定の電子線照射装置において、
    前記駆動手段により回転する前記原盤の表面の電子線感応レジスト薄膜に前記電子線照射手段により電子線を照射し、前記変動手段により前記電子線照射手段と前記原盤との水平方向の相対位置を変動し、前記電子線照射手段により電子線を照射する際に、前記原盤の前記電子線が照射される領域を半径方向に同心円状に分割された複数の記録領域に区分し、前記原盤の電子線が照射される領域の単位時間当たりの電子線照射量を一定に保ち、分割された前記記録領域において回転する前記原盤の前記回転数が一定、且つ、回転する当該原盤の線速の最大値と線速の最小値との比が、1.3以下となるように制御しつつ電子線を照射することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
JP2004115840A 2004-04-09 2004-04-09 情報記録媒体用原盤作成方法、情報記録媒体用の原盤照射装置及び情報記録媒体の製造方法 Expired - Fee Related JP4157072B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004115840A JP4157072B2 (ja) 2004-04-09 2004-04-09 情報記録媒体用原盤作成方法、情報記録媒体用の原盤照射装置及び情報記録媒体の製造方法
TW094109429A TW200535992A (en) 2004-04-09 2005-03-25 Method for creating original disk for information recording medium, device for irradiating original disk for information recording medium, method for manufacturing information recording medium and information recording medium
CN200510063539.2A CN1681012A (zh) 2004-04-09 2005-04-08 信息记录媒体及其制造方法、其原盘制作方法及照射装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004115840A JP4157072B2 (ja) 2004-04-09 2004-04-09 情報記録媒体用原盤作成方法、情報記録媒体用の原盤照射装置及び情報記録媒体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005302132A JP2005302132A (ja) 2005-10-27
JP4157072B2 true JP4157072B2 (ja) 2008-09-24

Family

ID=35067570

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004115840A Expired - Fee Related JP4157072B2 (ja) 2004-04-09 2004-04-09 情報記録媒体用原盤作成方法、情報記録媒体用の原盤照射装置及び情報記録媒体の製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP4157072B2 (ja)
CN (1) CN1681012A (ja)
TW (1) TW200535992A (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006070555A1 (ja) * 2004-12-28 2006-07-06 Pioneer Corporation ビーム記録方法及び装置
TW200809854A (en) * 2006-03-15 2008-02-16 Pioneer Corp Recording device, recording control signal generation device, transfer type manufacturing method, and transfer type and magnetic disks
JP2009059458A (ja) * 2007-09-04 2009-03-19 Ricoh Co Ltd ディスク原盤製造装置
JP6255717B2 (ja) * 2012-06-08 2018-01-10 住友化学株式会社 レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
TW200535992A (en) 2005-11-01
CN1681012A (zh) 2005-10-12
JP2005302132A (ja) 2005-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4491512B2 (ja) 形成方法、形成装置及び製造方法
JP2001101716A (ja) 光記録媒体,光記録媒体用原盤の製造方法およびカッティング装置
JP4157072B2 (ja) 情報記録媒体用原盤作成方法、情報記録媒体用の原盤照射装置及び情報記録媒体の製造方法
US7782744B2 (en) Systems and methods for forming a master disk utilizing variation in an applied signal power for forming uniform pits
JP2001250280A (ja) 記録媒体、記録媒体の製造方法、記録媒体製造用原盤の製造方法、記録媒体の製造装置、および記録媒体製造用原盤の製造装置
JP2002140840A (ja) 光ディスク及びその原盤製造装置
JP4333576B2 (ja) 光ディスク原盤およびその製造方法並びに光ディスクスタンパの製造方法
JP2004227706A (ja) 電子ビーム露光方法およびその露光装置、ならびに光ディスク原盤の製造方法および情報記録媒体
JP4481982B2 (ja) 情報記録方法、および情報記録装置
US6657934B2 (en) Information recording apparatus and method therefor
JP2003022534A (ja) 光記録媒体作製用原盤の製造方法
JP2006277831A (ja) 情報記録媒体用原盤作成方法及び情報記録媒体用スタンパ
JP2003338258A (ja) 電子線描画装置及びピット描画方法
JP2006099876A (ja) 光情報記録媒体用原盤の製造方法、光情報記録媒体用スタンパ及び光情報記録媒体
JP2005203052A (ja) 光ディスクスタンパの作製方法、光ディスクスタンパおよび光ディスク
JPS6029952A (ja) 電子ビーム記録装置
JP2003331480A (ja) 光記録媒体作製用原盤の製造方法及び光記録媒体作製用スタンパーの製造方法
JPH11283283A (ja) 記録媒体製造用原盤の製造方法、記録媒体製造用原盤、記録媒体用基板及び記録媒体
JPH11288530A (ja) 電子ビームを用いたパターン描画方法
JP2001202663A (ja) 光学記録媒体作製用原盤の製造方法、光学記録媒体、および光学記録媒体作製用原盤製造装置
JP2004280999A (ja) 光ディスク用スタンパー原盤およびスタンパーの各製造方法
JP2003006942A (ja) 光記録媒体作製用原盤及びその製造方法
JP2003248981A (ja) 微小往復振動偏向を加えたビームによる情報記録方法
JP2006338828A (ja) 光記録媒体、光ディスク原盤およびその製造方法
JP2006185529A (ja) 光ディスク原盤露光装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061117

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070601

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080408

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080603

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080708

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080710

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110718

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees