JP2009059458A - ディスク原盤製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステージ移動において速度変動やディスク原盤製造装置内外で発生する振動等でステージが理想的な移動が出来ない場合でも、電子ビーム照射軌跡で作られる同心円トラックの開始点と終点にはズレがなく、且つ同心円トラック間隔に変動がないディスク原盤製造装置を提供する。
【解決手段】ディスク原盤製造装置10は、移動ステージ16の位置を検出するリニアエンコーダ18と、ターンテーブル14の回転角度を検出するロータリエンコーダ18と、ターンテーブル14の1回転を検出する原点検出手段と、ターンテーブル14の1回転の中での所定回転角度ごとのステージ移動量を求めるステージ移動量算出手段21と、前記所定回転角度ごとにステージ移動量算出手段21で求められたステージ移動量分を電子ビーム偏向電極35における電子ビームEBの偏向に反映させてディスク原盤12への照射位置を調整する電子ビーム照射位置調整手段22と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、同心円のピット又は溝を持つディスク原盤を作製するディスク原盤製造装置に関するものである。
従来のディスク原盤製造装置では、ディスク原盤を回転操作しつつ、ディスク原盤が搭載されたステージを内周側から外周側に向かって一定のピッチで移動させ、ディスク原盤に同心円の露光を行う方法で、ディスク原盤に照射される電子ビームをディスク原盤が1周する期間を1周期とした鋸歯状波形に従って偏向させることが行なわれていた。この鋸歯状波形の振幅はディスク原盤が1周する間にディスク原盤が移動する距離すなわちトラックピッチに相当したものとなっている。
例えば、特許文献1における同心円描画方法は、ディスク原盤製造装置(電子ビーム露光装置)の移動ステージとターンテーブル(回転ステージ)は、ターンテーブルに搭載されたディスク原盤が1回転当たり所定のトラックピッチだけ移動できるような制御が行われ、同時に、電子ビーム偏向部には、電子ビームスポットを露光開始位置からステージ移動方向と同一方向へ1回転当たり所定トラックピッチだけ逐次移動させ、1回転目のトラックピッチの露光停止位置で次の露光開始位置へ周期的に戻し、そこから同様に逐次移動させる鋸歯状波形の指令が加えられるものであり、これにより、このディスク原盤製造装置において、電子ビームが照射された部分の軌跡はディスク原盤上において同心円となるものであった。
また、特許文献2における同心円露光方法では、ディスク原盤製造装置(カッティングマシン)において、ディスク原盤を回転操作しつつ、ディスク原盤の内周側から外周側に向かって一定のピッチで光学ヘッド部を送り操作して、ディスク原盤に対する露光を行い、そして、光路制御回路は、対物レンズに入射されるレーザ光束の光路をディスク原盤が1周する期間を1周期とした鋸歯状波形に従って移動操作する。また、この鋸歯状波形の振幅は光ディスク原盤が1周する間に光学ヘッド部が送り操作される距離、すなわち、トラックピッチに相当したものとなっている。これにより、このディスク原盤製造装置において、レーザ光束が照射された部分の軌跡はディスク原盤上において同心円となるものであった。
特開2002−367241号公報 特開2002−032936号公報
しかしながら、従来のディスク原盤製造装置のステージ移動には速度変動があり、また、ディスク原盤製造装置内外で発生する振動でステージは理想的な移動が出来なかった。故にディスク原盤1回転中のステージ移動はリニアな変化とはならず、ディスク原盤1回転後のステージ移動量も変化していた。従って、ディスク原盤製造装置において電子ビームの偏向部に、ステージが理想的に移動すると仮定した従来技術のような鋸歯状波形を加えた場合、ディスク原盤1回転毎の電子ビーム照射軌跡で作られる同心円の開始点と終点にはズレが発生してしまった。又、電子ビーム照射軌跡のトラック間隔も一定にならない問題が発生した。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、ステージ移動において速度変動やディスク原盤製造装置内外で発生する振動等でステージが理想的な移動が出来ない場合でも、電子ビーム照射軌跡で作られる同心円トラックの開始点と終点にはズレがなく、且つ同心円トラック間隔に変動がないディスク原盤製造装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。
(1) 潜像形成ビーム源と、潜像形成ビームを偏向させる偏向手段と、ディスク原盤材を保持して回転するターンテーブルと、該ターンテーブルを搭載し一直線上を移動する移動ステージとを備え、前記ターンテーブルと移動ステージを駆動するとともに前記潜像形成ビームを偏向させながら前記ディスク原盤材に潜像形成ビームを照射して該ディスク原盤に対して同心円状にパターン形成するディスク原盤製造装置において、前記移動ステージの位置を検出するステージ位置検出手段と、前記ターンテーブルの回転角度を検出する回転角度検出手段と、前記ターンテーブルの1回転を検出する原点検出手段と、前記ターンテーブル1回転の中での所定回転角度ごとのステージ移動量を求めるステージ移動量算出手段と、前記所定回転角度ごとに該ステージ移動量算出手段で求められたステージ移動量分を前記偏向手段における潜像形成ビームの偏向に反映させて前記ディスク原盤への照射位置を調整する潜像形成ビーム照射位置調整手段と、を有することを特徴とするディスク原盤製造装置。
(2) 前記ステージ移動量算出手段は、前記ステージ位置検出手段で検出された移動ステージの位置データを蓄積する第1蓄積手段と、前記原点検出手段の原点信号発生時に第1蓄積手段の蓄積値からターンテーブル1回転のステージ移動基準値を減算し、得られた値を第1蓄積手段における蓄積値として更新する蓄積値更新手段と、前記回転角度検出手段の所定回転角度信号の発生時に前記第1蓄積手段の蓄積値をDA(デジタル・アナログ)変換してステージ移動量を求めるDA変換手段と、を有することを特徴とする前記(1)に記載のディスク原盤製造装置。
(3) 前記ステージ移動量算出手段は、前記ステージ位置検出手段で検出された移動ステージの位置データを蓄積する第2蓄積手段と、前記原点検出手段の原点信号発生時に該第2蓄積手段の蓄積値を保存する保存手段と、前記原点検出手段の原点信号発生時に前記第2蓄積手段の蓄積値をゼロクリアするゼロクリア手段と、を備え、前記ターンテーブル1回転のステージ移動基準値は、前記保存手段で保存されている所定数の蓄積値を平均して求められるステージ移動平均値であることを特徴とする前記(2)に記載のディスク原盤製造装置。
(4) 前記DA変換手段は、前記第1蓄積手段の蓄積値をDA変換してステージ移動量を求める第1DA変換手段と、前記第1蓄積手段の蓄積値をDA変換してステージ移動量を求める第2DA変換手段と、を有し、前記原点検出手段の原点信号発生時に、第1DA変換手段と第2DA変換手段の出力を交互に切り替えて使用することを特徴とする前記(2)に記載のディスク原盤製造装置。
(5) 前記ステージ移動量算出手段は、前記ステージ位置検出手段で検出された移動ステージの位置データを蓄積する蓄積手段と、前記原点検出手段の原点信号発生時に該蓄積手段の蓄積値をゼロクリアするゼロクリア手段と、前記回転角度検出手段の所定回転角度信号の発生時に前記蓄積手段の蓄積値をDA変換してステージ移動量を求めるDA変換手段と、を有することを特徴とする前記(1)に記載のディスク原盤製造装置。
本発明によれば、以下の効果が得られる。
すなわち、請求項1、2の発明によれば、ステージ移動量算出手段で求められるターンテーブル1回転における所定回転角度ごとのステージ移動量により、潜像形成ビーム(例えば電子ビーム)の照射位置を調整しているので、ターンテーブル1回転毎の潜像形成ビーム(電子ビーム)照射軌跡のトラック間隔に変化がなく,且つトラックの開始点と終点にズレがない同心円とすることができる。
請求項3の発明によれば、ステージ移動量算出手段におけるターンテーブル1回転のステージ移動基準値をターンテーブル1回転毎のステージ移動平均値としているので、ステージ移動の誤差があっても、ターンテーブル1回転毎の潜像形成ビーム(電子ビーム)照射軌跡のトラック間隔に変化がなく,且つトラックの開始点と終点にズレがない同心円とすることができる。
請求項4の発明によれば、ステージ移動量算出手段においては、ステージ移動量が出力される2つのDA変換信号をアナログスイッチで高速に切り替えることにしたので、ターンテーブル1回転毎の潜像形成ビーム(電子ビーム)照射軌跡方向のトラック開始点と終点のズレ発生を抑えることが出来る。
請求項5の発明によれば、ステージ移動量算出手段で求められるターンテーブル1回転毎に所定回転角度ごとのステージ移動量により潜像形成ビームの照射位置を調整しているので、ターンテーブル1回転毎の潜像形成ビーム(電子ビーム)照射軌跡のトラック開始点と終点にズレがない同心円とすることができる。
以下に、本発明に係るディスク原盤製造装置の構成について説明する。
図1は、本発明に係るディスク原盤製造装置の構成を示す断面図である。
図1に示すように、ディスク原盤製造装置10は、真空チャンバー11内に、ディスク原盤12を保持し、モータ13により回転するターンテーブル14と、ターンテーブル14を搭載し、移動モータ15によるボールネジ15aの回転によってターンテーブル14とともに一直線上(図中左右方向)を移動する移動ステージ16とを備える。これにより、ターンテーブル14は回転しながら図中左右方向に移動することができる。また、モータ13の回転軸に装着され、ターンテーブル14の回転角度を検出するターンテーブル回転角度検出手段及び原点検出手段であるロータリエンコーダ17と、移動ステージ16と非接触に配置され移動ステージ16の位置を検出するステージ位置検出手段であるリニアエンコーダ18とを備えている。
また、ディスク原盤製造装置10は、ロータリエンコーダ17の検出信号とリニアエンコーダ18の検出信号を用いて、ターンテーブル14が1回転する中での所定回転角度ごとの移動ステージ16のステージ移動量Dsを求めるステージ移動量算出手段21と、前記所定回転角度ごとにステージ移動量算出手段21で求められたステージ移動量Ds分を後述する電子ビーム射出ヘッド30の偏向手段における潜像形成ビーム(電子ビーム)の偏向に反映させてディスク原盤12への照射位置を調整する潜像形成ビーム照射位置調整手段である電子ビーム照射位置調整手段22とを備えている。
さらに、ディスク原盤製造装置10は、ディスク原盤12への電子ビーム照射手段として電子ビーム射出ヘッド30を備えている。ここで、電子ビーム射出ヘッド30内ではつぎの動作が行われて電子ビームEBの照射が行なわれる。すなわち電子銃31から発せられた電子ビームEBは、ブランキング電極32により生成される電場に応じた電子ビームEBに変換され、第1の磁界レンズ33で集光され、アパーチャ34を介して電子ビーム偏向電極35により生成される電場により偏向されてディスク原盤12への照射位置が制御された後、第2の磁界レンズ36、電界レンズ37により集光されてディスク原盤12上に照射される。なお、潜像形成ビームとしてレーザ光を用いてもよい。その場合には、真空チャンバー11等のディスク原盤12周辺を真空にする装置は不要になる。
ディスク原盤製造装置10では、ディスク原盤12に電子ビームEBを照射して情報を記録する。このとき、ターンテーブル14と移動ステージ16の駆動だけ、すなわちターンテーブル14の回転とともに移動ステージ16を左右方向に所定の移動をさせるだけで電子ビームEBを照射すると、電子ビームEBの照射軌跡はディスク原盤12上で螺旋を描くようになる。そこで本発明のディスク原盤製造装置10では、ターンテーブル14と移動ステージ16を駆動するとともに電子ビームEBを偏向させて、ターンテーブル14の1回転ごとの移動ステージ16の移動に電子ビームEBを追従させることにより、ディスク原盤12に同心円状の情報を記録することを可能にしている。その詳細なプロセスは次のとおりである。
(S11)ターンテーブル14にディスク原盤12を搭載し、真空チャンバー11内を真空排気する。
(S12)ターンテーブル14の回転を開始する。このとき、ターンテーブル14の回転角度はロータリエンコータ17により検出される。
(S13)ディスク原盤12の所定の位置に電子ビーム射出ヘッド30からの電子ビームEBの照射が開始される。
(S14)同時に、移動ステージ16の移動を開始する。このとき、移動ステージ16の位置はリニアエンコーダ18により検出される。
(S15)ステージ移動量算出手段21が、ロータリエンコーダ17の検出信号とリニアエンコーダ18の検出信号を用いて、ターンテーブル14が1回転する中での所定回転角度ごとの移動ステージ16のステージ移動量Dsを求める。
(S16)求められたステージ移動量Dsの値は直ちに電子ビーム照射位置調整手段22を介して電子ビーム射出ヘッド30の電子ビーム偏向電極35に入力される。ここで、電子ビーム照射位置調整手段22は、前記ステージ移動量Dsと電子ビームEBの偏向量を同一に合わせる機能を持っている。例えば、移動ステージ16が1μm移動して、ステージ移動量算出手段21でその移動がステージ移動量Dsとして検出された場合、該ステージ移動量Dsを電子ビーム照射位置調整手段22に加えると、電子ビーム照射位置調整手段22は、電子ビームEBがステージ移動と同じ方向に1μm偏向されてディスク原盤12に照射されるように電子ビーム偏向電極35に作用する。
(S17)従って、ターンテーブル14の1回転において、ターンテーブル14の回転と移動ステージ16の左(又は右)方向の直線移動とターンテーブル1回転中の所定回転角度ごとのステージ移動量Dsによる電子ビーム偏向を繰り返すことで(ステップS15及びS16の処理を繰り返すことで)ディスク原盤12上に同心円状の電子ビーム照射軌跡を描くことができる。
(S18)ターンテーブル14が1回転すると、ディスク原盤12上のつぎの同心円上に電子ビーム照射軌跡を描くべく、電子ビームEBの照射位置が調整される。
(S19)以下、電子ビームEBの照射・ターンテーブル14の回転・移動ステージ16の左(又は右)方向の直線移動が継続されながら、ステップS15〜S18の処理が繰り返して行なわれ、ディスク原盤12上に複数の径の異なる同心円の情報の記録が行われる。
つぎに、ステージ移動量算出手段21における動作内容について説明する。
図2は、本発明に係るディスク原盤製造装置のステージ移動量算出手段のブロック図である。
ステージ移動量算出手段21は、第1蓄積手段である第1カウンター211と、第2蓄積手段である第2カウンター212と、周辺部品との情報のやり取りを行ない、該情報の処理を行なうCPU213と、保存手段であるメモリ214と、DA変換手段であるDACとを備える。
ここで、ステージ位置検出手段であるリニアエンコーダ18からはステージ移動量に比例したパルス列が生成される。このパルス列はパルスの第1蓄積手段である第1カウンター211及びパルスの第2蓄積手段である第2カウンター212に蓄えられ、両方ともステージ移動量を示すステージ移動デジタルデータとなる。
ターンテーブル14の回転角度検出手段であるロータリエンコーダ17は、1回転に数千パルスの回転角度信号(A相信号(REA)とB相信号(REB))を出力している。このA相信号とB相信号はモータの回転角を検出する位置が異なるだけで実質的には同一のものである。また、ターンテーブル14の原点検出手段でもあるロータリエンコーダ17はターンテーブル14の1回転当たり1パルスの原点信号(REZ)も出力している。
CPU213は、接続されている周辺部品と以下のデータのやり取り及び処理を行う。
・第1カウンター211からデータを読み込む。
・第1カウンター211へデータをセットする(プリセット)。
・第2カウンター212からデータを読み込む。
・第2カウンター212へゼロデータをセットする(ゼロクリア手段)。
・原点信号(REZ)と回転角度信号(REA、REB)の数量を計測した回転角度データでターンテーブル14の回転角度を検出する。
・原点信号(REZ)を検出する。
・メモリ214にデータを保存し、メモリ214からデータを読み込む。
・DA変換手段(DAC)へデータを送りDA変換させる。
ステージ移動量算出手段21において、ステージ移動量を算出する処理手順を以下に説明する。
(S21)ロータリエンコーダ17の原点信号(REZ)発生時に、CPU213は、第2カウンター212に蓄えられるステージ移動デジタルデータを読み込み、ステージ移動保存データとしてメモリ214に保存する。その後第2カウンター212はCPU213のゼロクリア手段によるゼロクリア信号でゼロクリアされる。なお、ターンテーブル14の1回転ごとにその1回転の際のステージ移動保存データがメモリ214に保存されている。
(S22)CPU213の平均化手段は、所定数の(それまでの所定回転数に応じたそれぞれの1回転ごとの)ステージ移動保存データを平均化してステージ移動平均値(トラック平均値)を求める。ここで前記所定数は10程度が適当であるが、その数はCPU213の平均化演算能力を考慮して決定すればよい。
(S23)一方、原点信号(REZ)発生のタイミングで、CPU213は第1カウンター211に蓄えられているステージ移動デジタルデータからステップS22で求められたステージ移動平均値(トラック平均値)を減算し、その結果を第1カウンター211にプリセット値としてセットする(蓄積値の更新)。なお、ここで行われる減算は平均化手段で得られるステージ移動平均値でなく、あらかじめ想定されるステージ移動平均値に相当するステージ移動基準値(ディスク原盤12に記録したいトラック間隔)で行われてもよい。
(S24)第1カウンター211、第2カウンター212は、リニアエンコーダ18からのパルス列に基づく移動ステージ16の位置データをステージ移動デジタルデータとして蓄積する。
(S25)ロータリエンコーダ17の所定回転角度信号(REA、REB)の発生時(ターンテーブル14の1回転の中での所定回転角度到達時)に、CPU213は、第1カウンター211から蓄積値データを読み込み、DA変換手段(DAC)へ該データを送る。
(S26)DA変換手段(DAC)は前記データをDA変換し、得られた信号をステージ移動量Dsとして電子ビーム照射位置調整手段22に出力する。ここで、前記所定回転角度は360度をロータリエンコーダ17がターンテーブル1回転で発生するパルス数で除算した値になるが、その値はCPU213の処理能力を考慮して決定すればよい。
(S27)つぎの原点信号(REZ)発生まで、ステップS24〜S26を繰り返す。
図3に、ステージ移動量算出手段21から出力される、ターンテーブル14の4回転分のステージ移動量Dsを示す。
ターンテーブル14の原点信号発生点は、ディスク原盤12における情報記録の同心円の切り替え点となり、S1、S2、S3、S4、S5は同心円トラックの開始点、E1、E2、E3、E4は同心円トラックの終点を示している。移動ステージ16のステージ移動には速度変動があり、またディスク原盤製造装置内外で発生する振動等で移動ステージ16は理想的な動きが出来ない。故にターンテーブル14の1回転中のステージ移動はリニアな変化とはならず図示のように変動しており、曲線を描いている。またターンテーブル14の1回転後の(終点E1、E2、E3、E4における)ステージ移動量も変化している。
ここで、本発明のディスク原盤製造装置10では、前述のとおり、原点信号(REZ)発生のタイミングで、第1カウンター211に蓄えられているステージ移動デジタルデータからステージ移動平均値(トラック平均値)を減算し、その結果が第1カウンター211にプリセット値としてセットされている(ステップS23)。すなわち、同心円の開始点を示すS1,S2、S3、S4、S5におけるステージ移動量は、第1カウンター211とステージ移動平均値(又はステージ移動基準値)との減算結果である。また、同心円の終点を示すE1、E2、E3、E4は開始点S1,S2、S3、S4からスタートしたターンテーブル14の1回転後のステージ移動量である。この図で明らかなように、同心円終点と次の同心円開始点で、ステージ移動の変動分の連続性は保たれている。図3は、移動ステージ16のステージ特性を示しているといえる。
このようなステージ特性であっても、本発明のディスク原盤製造装置10では、ステージ移動量算出手段21から出力されるステージ移動量Dsを電子ビーム照射位置調整手段22に加えることにより、電子ビーム照射軌跡は図4のようになり、電子ビーム照射軌跡のトラック間隔(同心円間隔)は一定で、かつターンテーブル14の1回転毎のトラックの開始点(Sn)と終点(En)にズレがない電子ビーム照射軌跡とすることが出来る。なお図4は、ディスク原盤12上に形成される同心円状の電子ビーム照射軌跡で、ロータリエンコーダの原点信号が発生する半径方向の一部を示している。
ところで、従来のディスク原盤製造装置では、移動ステージが理想的に移動すると仮定して電子ビームの偏向を制御している。すなわち、ディスク原盤製造装置10における電子ビーム照射位置調整手段22に図5に示すような鋸歯状信号を加えている。その結果、ターンテーブル14の1回転毎の電子ビーム照射軌跡を見た場合、図6に示すように、電子ビーム照射軌跡の同心円の開始点と終点の部分にズレが生じてしまう。
図7に、ステージ移動量算出手段の他の構成例を示す。なお、以下の各実施例において、前述した実施の形態と同一構成要素は同一名称とし、重複する説明は省略する。
ステージ移動量算出手段21は、第1蓄積手段である第1カウンター211と、第2蓄積手段である第2カウンター212と、周辺部品との情報のやり取りを行ない、該情報の処理を行なうCPU213と、保存手段であるメモリ214と、第1カウンター211の蓄積値をDA変換してステージ移動量Dsを出力する第1DA変換手段DAC1と、第1DA変換手段DAC1とは別に第1カウンター211の蓄積値をDA変換してステージ移動量Dsを出力する第2DA変換手段DAC2と、第1DA変換手段DAC1と第2DA変換手段DAC2の出力選択を交互に切り替えるアナログスイッチ215とを備える。
この様に構成されたステージ移動量算出手段21の動作は以下のようになる。
すなわち、例えば最初の原点信号発生時以降に、第1DA変換手段DAC1を用いて、図2のステージ移動量算出手段21におけるステップS21からS27までと同様な処理が行なわれる。ついで、つぎの原点信号発生時に、アナログスイッチ215は第2DA変換手段のDA変換が完了しDA変換信号が十分立ち上がった後、DA変換が行われた第2DA変換手段DAC2の出力を選択し、図2のステージ移動量算出手段21におけるステップS21からS27までと同様な処理が行なわれる。以降、CPU213は原点信号発生時のたびに、第1DA変換手段DAC1と第2DA変換手段DAC2とを交互に使用し、第1カウンター211の蓄積値をDA変換して出力するものである。
これは、電子ビーム照射軌跡の同心円の終了点からつぎの同心円の開始点に相当するステージ移動量信号の変化は非常に大きいので、1つのDA変換信号を変化させるよりも2つのDA変換信号をアナログスイッチで切り替える方が信号の高速変化が可能になるからである。これにより、ターンテーブル1回転毎の電子ビーム照射軌跡方向の開始点と終点のズレ発生を抑えることが出来る効果を有する。
図8に、ステージ移動量算出手段のさらに他の構成例を示す。
ステージ移動量算出手段21は、第1蓄積手段である第1カウンター211と、周辺部品との情報のやり取りを行ない、該情報の処理を行なうCPU213と、第1カウンター211の蓄積値をDA変換してステージ移動量Dsを出力するDA変換手段DACと、DA変換手段DACからの信号とゼロ信号とを切り替えて出力する手段であるアナログスイッチ216とを備える。
ステージ移動量算出手段21において、ステージ移動量を算出する処理手順を以下に説明する。
(S31)ロータリエンコーダ17の原点信号(REZ)発生時に、アナログスイッチ216の切り替えが行なわれ、ゼロ信号をステージ移動量Dsとして電子ビーム照射位置調整手段22に出力する。
(S32)ロータリエンコーダ17の原点信号(REZ)発生時に、CPU213は、第1カウンター211に蓄えられているステージ移動デジタルデータをゼロクリアする。したがって、後述するように第1カウンター211にはターンテーブル1回転毎のステージ移動量に相当するステージ移動デジタルデータが保存される。
(S33)第1カウンター211は、リニアエンコーダ18からのパルス列に基づく移動ステージ16の位置データをステージ移動デジタルデータとして蓄積する。
(S34)ロータリエンコーダ17の所定回転角度信号(REA、REB)の発生時(ターンテーブル14の1回転の中での所定回転角度到達時)に、CPU213は、第1カウンター211から蓄積値データを読み込み、DA変換手段(DAC)へ該データを送る。
(S35)DA変換手段(DAC)は前記データをDA変換し、得られた信号をステージ移動量Dsとして電子ビーム照射位置調整手段22に出力する。
(S36)つぎの原点信号(REZ)発生まで、ステップS33〜S35を繰り返す。
なお、上で述べたように原点信号(REZ)が発生すると、第1カウンター211のゼロクリアとアナログスイッチ216のゼロ信号切り替えがほぼ同時に行われるが、アナログスイッチ216の切り替えの方がゼロクリアされた第1カウンター211のDA変換よりも早く行われるので、ステージ移動量算出手段21から出力されるステージ移動量の信号はアナログスイッチ216のゼロ信号が先に出力される。
図9に、図8のステージ移動量算出手段21から出力される、ターンテーブル14の4回転分のステージ移動量Dsを示す。図3と同様に、ターンテーブル14の原点信号発生点は、ディスク原盤12における情報記録の同心円の切り替え点となり、S1、S2、S3、S4、S5は同心円トラックの開始点、E1、E2、E3、E4は同心円トラックの終点を示している。
ここで、電子ビーム照射軌跡の同心円の開始点を示すS1,S2、S3、S4、S5は、第1カウンター211をゼロクリアしているので、ステージ移動量一定となっている。また、ターンテーブル1回転中のステージ移動はリニアな変化とはならず図3と同様に曲線を描いて変動している。またターンテーブル14の1回転後の(終点E1、E2、E3、E4における)ステージ移動量は変化しており、同心円の終点を示すE1、E2、E3、E4が一定していないことからも理解できる。
このようなステージ特性の場合、本発明のディスク原盤製造装置10では、ステージ移動量算出手段21から出力されるステージ移動量Dsを電子ビーム照射位置調整手段22に加えることにより、電子ビーム照射軌跡は図10のようになる。すなわち、電子ビーム照射軌跡のトラック間隔(同心円間隔)に変動はあるものの、ターンテーブル1回転毎のトラックの開始点と終点にズレがない電子ビーム照射軌跡が可能になる。
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明に係るディスク原盤製造装置の構成を示す断面図である。 図1のディスク原盤製造装置におけるステージ移動量算出手段の構成例を示すブロック図である。 図2のステージ移動量算出手段から出力される、ステージ移動量の変化を示す図である。 図2のステージ移動量算出手段の出力に基づく電子ビーム照射軌跡を示す図である。 電子ビーム照射位置調整手段に入力する従来のステージ移動量パターンを示す図である。 図5のステージ移動量パターンに基づく電子ビーム照射軌跡を示す図である。 図1のディスク原盤製造装置におけるステージ移動量算出手段の別の構成例を示すブロック図である。 図1のディスク原盤製造装置におけるステージ移動量算出手段のさらに別の構成例を示すブロック図である。 図8のステージ移動量算出手段から出力される、ステージ移動量の変化を示す図である。 図8のステージ移動量算出手段の出力に基づく電子ビーム照射軌跡を示す図である。
符号の説明
10 ディスク原盤製造装置
11 真空チャンバー
12 ディスク原盤
13 モータ
14 ターンテーブル
15 移動モータ
15a ボールネジ
16 移動ステージ
17 ロータリエンコーダ
18 リニアエンコーダ
21 ステージ移動量算出手段
22 電子ビーム照射位置調整手段
30 電子ビーム射出ヘッド
31 電子銃
32 ブランキング電極
33 第1磁界レンズ
34 アパーチャ
35 電子ビーム偏向電極
36 第2磁界レンズ
37 電界レンズ
211 第1カウンター
212 第2カウンター
213 CPU
214 メモリ
215,216 アナログスイッチ
DAC,DAC1,DAC2 DA変換手段
Ds ステージ移動量
EB 電子ビーム

Claims (5)

  1. 潜像形成ビーム源と、潜像形成ビームを偏向させる偏向手段と、ディスク原盤材を保持して回転するターンテーブルと、該ターンテーブルを搭載し一直線上を移動する移動ステージとを備え、前記ターンテーブルと移動ステージを駆動するとともに前記潜像形成ビームを偏向させながら前記ディスク原盤材に潜像形成ビームを照射して該ディスク原盤に対して同心円状にパターン形成するディスク原盤製造装置において、
    前記移動ステージの位置を検出するステージ位置検出手段と、前記ターンテーブルの回転角度を検出する回転角度検出手段と、前記ターンテーブルの1回転を検出する原点検出手段と、前記ターンテーブル1回転の中での所定回転角度ごとのステージ移動量を求めるステージ移動量算出手段と、前記所定回転角度ごとに該ステージ移動量算出手段で求められたステージ移動量分を前記偏向手段における潜像形成ビームの偏向に反映させて前記ディスク原盤への照射位置を調整する潜像形成ビーム照射位置調整手段と、を有することを特徴とするディスク原盤製造装置。
  2. 前記ステージ移動量算出手段は、前記ステージ位置検出手段で検出された移動ステージの位置データを蓄積する第1蓄積手段と、前記原点検出手段の原点信号発生時に第1蓄積手段の蓄積値からターンテーブル1回転のステージ移動基準値を減算し、得られた値を第1蓄積手段における蓄積値として更新する蓄積値更新手段と、前記回転角度検出手段の所定回転角度信号の発生時に前記第1蓄積手段の蓄積値をDA(デジタル・アナログ)変換してステージ移動量を求めるDA変換手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載のディスク原盤製造装置。
  3. 前記ステージ移動量算出手段は、前記ステージ位置検出手段で検出された移動ステージの位置データを蓄積する第2蓄積手段と、前記原点検出手段の原点信号発生時に該第2蓄積手段の蓄積値を保存する保存手段と、前記原点検出手段の原点信号発生時に前記第2蓄積手段の蓄積値をゼロクリアするゼロクリア手段と、を備え、
    前記ターンテーブル1回転のステージ移動基準値は、前記保存手段で保存されている所定数の蓄積値を平均して求められるステージ移動平均値であることを特徴とする請求項2に記載のディスク原盤製造装置。
  4. 前記DA変換手段は、前記第1蓄積手段の蓄積値をDA変換してステージ移動量を求める第1DA変換手段と、前記第1蓄積手段の蓄積値をDA変換してステージ移動量を求める第2DA変換手段と、を有し、
    前記原点検出手段の原点信号発生時に、第1DA変換手段と第2DA変換手段の出力を交互に切り替えて使用することを特徴とする請求項2に記載のディスク原盤製造装置。
  5. 前記ステージ移動量算出手段は、前記ステージ位置検出手段で検出された移動ステージの位置データを蓄積する蓄積手段と、前記原点検出手段の原点信号発生時に該蓄積手段の蓄積値をゼロクリアするゼロクリア手段と、前記回転角度検出手段の所定回転角度信号の発生時に前記蓄積手段の蓄積値をDA変換してステージ移動量を求めるDA変換手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載のディスク原盤製造装置。
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