JP2006338828A - 光記録媒体、光ディスク原盤およびその製造方法 - Google Patents

光記録媒体、光ディスク原盤およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 異なる深さのピットおよびグルーブを有するフォーマットの高密度光記録媒体において、ピットの安定な再生と記録領域の非常に安定な記録再生特性を実現する。
【解決手段】 光ディスク原盤(いわゆるスタンパ)の作製工程において、基板上に異なる感度の無機レジスト膜を2層または3層以上積層し、凹凸パターンの深さに応じてレーザの強度を変化させて無機レジスト層を露光する。浅い凹凸パターンを記録する場合は一般的にピット幅またはグルーブ幅が狭くなってしまうため、ウォブル信号との多重露光を行う。
【選択図】 図7

Description

この発明は、無機レジスト膜を用いて製造される光ディスク用原盤およびその製造方法、ならびにこの光ディスク用原盤により作製された光記録媒体に関する。
今日、光記録媒体としてはCD(Compact Disc)、LD(Laser Disc)等に代表される再生専用の光ディスク、MD(Mini Disc)等に代表されるプリフォーマットとしての離散的情報パターンやトラッキング用の案内溝(グルーブ)が予め形成された書き込み可能な光ディスク、あるいはDVD−RW(Digital Versatile Disc - ReWritable)など、各種のものが提案されている。
このような各種光ディスクの製造プロセスは、一般に、ピットやグルーブ等の所望の凹凸パターンに応じた表面形状を有する、いわゆるスタンパと呼ばれる金属製の光ディスク原盤を作製する原盤作製工程と、そのスタンパの表面形状をディスク基板上に転写する成形工程、さらに記録層や保護層を形成する成膜工程から構成されている。
このうち、原盤製造工程では、表面を研磨したシリコン基板を洗浄、乾燥した後、このシリコン基板上に感光材料であるフォトレジストを塗布してレジスト層を形成し、レジスト層に対してレーザ光を照射してピットやグルーブのパターンを露光する方法が一般的に行われている。次いで、露光によってレジスト層に形成された潜像を現像することにより、ピットやグルーブのパターンに応じた凹凸パターンがシリコン基板上に形成され、さらにこれを金属表面に転写してスタンパが完成する。このようなレーザ光を用いた露光によって凹凸パターンを記録する方法では、サブミクロンのオーダーで所定のパターンをレジスト層表面に転写することが求められる。
このような凹凸パターンの深さは、再生時に検出される信号が好適に検出できるよう決定されるが、再生用レーザの実効的な波長λの場合において、入射光の変調度は深さλ/4で最大となるのに対し、トラッキングエラー信号(プッシュプル信号)は深さλ/8で最大となる。そこで、それぞれの信号が良好に検出されるよう考慮しなければならない。
以下の特許文献1では、段差のあるピットを形成することにより、トラッキングエラー信号および変調度のそれぞれを好適に得ることができる。
特開平5−120734号公報
図1に、特許文献1で形成された深さλ/4とλ/8の段差を有する凸形状のピットを示す。このような形状のピットを形成するには、一実施形態として、光ディスク原盤作製時において、基板側に感度の低いレジスト層を形成し、次いでディスク表面側に感度の高いレジスト層を形成し、この感度差のあるレジスト層にレーザを照射する方法が記載されている。また、他の実施形態として、例えばリアクティブイオンエッチング(Reactive Ion Etching 、以下RIEと適宜称する。)と酸素アッシングを用いる方法も記載されている。
種々の光記録媒体のうち、高密度光ディスクであるDVD−RWのフォーマットを図2に示す。DVD−RWにおいては、ディスク自体の情報としてTOC(Table of Contents)情報あるいは所定周期のパルス信号等の情報が記録される、いわゆるリーダブルエンボスピット(Readable Embossed Pit、以下、REと適宜称する)1と、コピープロテクト情報等が記録される、いわゆるアンリーダブルエンボスピット(Unreadable Embossed Pit、以下、UREと適宜称する)2の2種類のピット領域と、データ記録領域であるウォブルグルーブ(Wobble Groove)3との3種の凹凸パターンを基板上に形成するようになされている。DVD−RWのフォーマットには上記のピットが形成された領域とウォブルグルーブとが混在することになる。
ピットの深さは、再生用の光の実効的な波長λに対してλ/4の深さとすることが望ましく、また、記録層や誘電体層などを成膜する際に、記録トラックに沿う方向とディスクの半径方向において埋め込まれることから、ある程度の深さが必要となる。一方、グルーブについては、例えば記録層を相変化材料より構成する場合は、ジッターを良好に保つためにグルーブを比較的浅く形成する必要がある。このため、リーダブルエンボスピット1は比較的深く、グルーブ3は比較的浅く構成する。
ところが、図3Aおよび図3Bに示すように、比較的深いピットと比較的浅いグルーブを同一のフォーマット内で形成する場合、一般的にピットはレジストの感光が充分になされるようにレーザ13によって露光されるため、原盤作製工程においてピットに対応する潜像14aはシリコン基板表面(レジスト層底面)まで形成される。一方、グルーブに対応する潜像14bはレーザ13の露光量を下げて浅く形成されるため、シリコン基板表面までは露光されない。
このため、図3Cに示されるように、現像後にレジスト層に形成されたピットに対応する凹部15aはシリコン基板11まで現像されて略U字形状となるのに対し、グルーブに対応する凹部は浅く、V字形状となる。
DVD−RWは複雑なフォーマットであり、多くの規格や特性を満足しなければならない。例えば、リーダブルエンボスピット1では、再生特性(ジッター≦8.0%)と充分なプッシュプル(Push−Pull)信号量(≦0.22)を得なければならない。また、記録領域であるウォブルグルーブ3の記録再生特性(記録ジッター≦8.0%)とウォブルグルーブの充分なプッシュプル信号量(≦0.22)を得なければならない。
ところが、浅いV字形状のグルーブは、幅がピット幅に比して半分程度と小さくなり、また、露光パワーむらやレジストの分子サイズの影響によって深さが一定せず5〜10nm程度の大きな深さ変動もあることから、プッシュプル信号量が減少し、プッシュプル特性も低下する。
そこで、ピットより浅い略U字形状のグルーブを形成し、さらに深いリーダブルエンボスピットREと同程度のグルーブ幅にしてプッシュプル信号量およびプッシュプル特性の低下を防止するようにフォーマットを構成しなければならない。
深さの異なるピットおよびグルーブを形成する際、上述の特許文献に記載されたようなRIEや、感度の異なるレジスト層を積層して露光する方法を用いることも可能である。しかしながら、上述の方法で形成した深いピットは再生特性が思わしくない。また、RIEを用いる場合光ディスク原盤作製工程が繁雑になってしまう。
また、さらに高密度のBlu−ray Disc(登録商標、以下BDと適宜称する。)において、書き換え型のBD−REと再生専用型のBD−ROM(Read Only Memory)のピットおよびグルーブを兼ね備えたハイブリッド光ディスクを実現する場合、さらに微細な凹凸パターンを適切な深さで形成しなければならない。
したがって、この発明は上記問題点に鑑み、高密度の光記録媒体において異なる深さの微細凹凸パターンを有する光記録媒体、光ディスク原盤および光ディスク原盤の作製方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明では、感度の異なる無機レジスト層を基板上に成膜し、露光時に凹凸パターンの深さによってレーザの露光パワーを変化させることにより、異なる深さの凹凸パターンを有する光ディスク原盤および光記録媒体を得ることができる。
特に、無機レジスト層の成膜時に、酸素含有量の異なる合金酸化物をターゲットとして用いることにより、深さ変動の少ない安定した凹凸パターンの形成を行うことができる。
この発明によれば、エッチングのような繁雑な工程や電子ビーム等の高価かつ複雑な装置の使用を避け、レーザ等の露光装置により異なる深さの安定したピットおよびグルーブ形成が可能となる。
以下、この発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、光ディスク用原盤の製造方法について説明する。ガラスまたはシリコンからなる基板上にレジスト層を成膜する。このとき、レジスト層の成膜には例えばスパッタリング法が用いられる。この発明では、高密度光記録媒体での微細加工を実現するため、無機レジスト層を用いる。また、異なる深さの凹凸パターンの形成を容易にするため、熱を受けた場合の無機レジストの層変化の度合い(以下、感度と適宜称する。)の異なる無機レジスト膜を順次積層して無機レジスト層とする。この無機レジスト層に対して異なる露光パワーでレーザを照射することにより、図4Aおよび図4Bに示すように、異なる深さの凹部が同一面内に形成されるものである。なお、図4Aは酸素含有量の異なる2層の無機レジスト層を積層した場合の断面図および露光パワーであり、図4Bは酸素含有量の異なる3層の無機レジスト層を積層した場合の断面図および露光パワーである。
無機レジストの感度は無機レジスト膜中の合金の組成比(酸素含有量の比)に応じて変化する。この組成比を変化させる方法としては、
(1)スパッタリング時の成膜出力の変化
(2)スパッタリング時の反応性ガス比率の変化
(3)レジスト材料の酸素含有量の変化
などが挙げられる。なお、この発明では、電子ビーム等の高価かつ複雑な装置の採用を避け、レーザ等の露光装置を用いることを前提としているため、上述の感度は露光感度と考えてよい。
以下、具体的に無機レジスト層の成膜方法を説明する。
ここで、図5に示される無機レジスト膜を成膜する成膜装置(スパッタリング装置)について説明する。成膜装置20は、真空の成膜室21に設けられた陽極に基板22が取り付けられ、陰極にはターゲット23a,23bが取り付けられる。
放電ガス(例えば、Arガス)はボンベ24に格納され、マスフローコントローラ25の制御の下、ストップバルブ26を介して成膜室21に提供される。マスフローコントローラ25は、成膜中、所定量の放電ガスを所定タイミングで成膜室21に送り込むように制御する。また、反応性ガス(例えば、酸素や窒素)は、ボンベ27から、マスフローコントローラ28、ストップバルブ29を介して成膜室21に提供される。マスフローコントローラ28は、成膜中、所定量の反応性ガスを所定タイミングで成膜室21に送り込むように制御する。
放電ガスと反応性ガスが成膜室21に導入された時点で、陰極と陽極との間に所定の電圧をかけ、グロー放電を行う。このグロー放電によって発生したプラズマをエネルギー源にしてターゲット23a,23bからスパッタされた成膜物質を基板22上に堆積させて薄膜を形成する。こうした成膜電力の制御は、電源A31、電源B32、電源C33等からなる成膜電力コントロール34によって行われる。
この成膜装置20は、上述したような反応性ガス比率の変更制御をマスフローコントローラ25、28を含む反応性ガス比率コントロール30によって行い、成膜電力の変更制御を成膜電力コントロール34によって行う。反応性ガス比率コントロール30と成膜電力コントロール34は、例えば、マイクロコンピュータによって制御され、制御内容はメモリにロードされたプログラム等を介して指示される。また、成膜時には放電ガスと反応性ガスを導入する前に、真空ポンプ35にて成膜室内を真空状態に保つ。
基板22上に形成される無機レジスト層の厚さは任意に設定可能であるが、所望のピットまたはグルーブの深さが得られるよう設定する必要がある。具体的には、BDの場合は無機レジスト層32の厚さが15nmないし80nmの範囲内、DVD−RWの場合は20nmないし90nmの範囲が望ましい。
また、ターゲットに用いる無機レジスト材料としては、例えばタングステン(W)、モリブデン(Mo)、タングステンモリブデン(WMo)等の遷移金属の単体もしくは合金、またはそれらの酸化物が使用される。
今回、無機レジスト層の形成時には、基板の表面から離れるほど、すなわち無機レジスト層の表面に近いほど、無機レジスト膜の感度が増加するようにして無機レジスト膜を成膜した。つまり、成膜初期は感度の低い無機レジスト膜を成膜し、成膜末期には感度の高い無機レジスト膜を成膜すればよい。このような無機レジスト層を形成する方法としては、以下の3つの方法が挙げられる。
[方法1]
(1)スパッタリング装置において、成膜出力を一定(例えば、150W)にして放電する。
(2)無機レジスト膜の成膜中に、成膜の初期、末期で、以下のように反応性ガス比率を変更する。これにより、無機レジスト膜中の酸素含有量を調整する。
(a)成膜初期 第1層、2分、20nm厚:反応性ガス比率=7%
(b)成膜末期 第2層、5分、50nm厚:反応性ガス比率=9%
ここで、例えば、(a)は、2分間スパッタリングを行って、20nmの厚さのレジスト膜を生成する。また、反応性ガス比率は放電ガスと反応性ガスの合計に対する反応性ガスの比率であり、例えばアルゴンおよび酸素を用いる場合、O2/(Ar+O2)で表される。
[方法2]
(1)スパッタリング装置において、反応性ガス比率を一定(例えば、8%)にして放電する。または、反応性ガスを流さずに、同酸素含有量の合金酸化物ターゲットを用いて放電することも可能である。
(2)無機レジスト膜の成膜中に、成膜出力を変更する。
(a)成膜初期 第1層、2分、25nm厚:成膜出力=200W
(b)成膜末期 第2層、6分、60nm厚:成膜出力=100W
上記方法1、方法2では2つの成膜条件によって成膜を行っているが、連続成膜中に順次これらの条件を切り替えることができる。また、成膜条件を切り替える際に一旦成膜を停止させ、断続的な成膜を行うようにしてもよい。
[方法3]
(1)スパッタリング装置において、成膜出力を一定(150W)にして放電し、反応性ガスを流さずに、酸素含有量の異なる合金酸化物ターゲットを用いて、多層無機レジスト成膜する。
(2)酸素含有量の異なる合金酸化物ターゲットを用いて、多層無機レジスト膜中の酸素含有量を変化させ、レジスト感度を変化させる。
(a)成膜初期 第1層、2分、25nm厚:酸素含有量50%ターゲット
(b)成膜末期 第2層、2分、25nm厚:酸素含有量62%ターゲット
(c)成膜末期 第3層、2分、25nm厚:酸素含有量74%ターゲット
方法3では3つの成膜条件によって3層の成膜を行っているが、方法1または方法2と同様に2つの成膜条件によって2層の成膜を行ってもよい。
このような無機レジスト膜成膜時のスパッタリング制御によって、成膜初期は酸素含有量の少ない無機レジスト膜が成膜でき、成膜末期には酸素含有量の多い無機レジスト膜を成膜することができる。したがって、例えば方法3の場合、図6に示すように、基板21の表面上に成膜した第1層41aは感度が低く、第2層41bは中間の感度で、第3層41cは感度の高い無機レジスト層41を形成することができる。また、方法1および方法2のように、2つの成膜条件により無機レジスト膜を成膜した場合には、第1層は感度が低く、第2層は感度の高い無機レジスト層を形成することができる。
方法1、方法2および方法3における個々の条件および条件変更の回数は、所望のピットやグルーブの微細凹凸パターンの形状や傾斜角度になるよう任意に選択することが可能であり、この実施形態に限定されるものではない。さらに、上述の方法1、方法2および方法3では、成膜出力および反応性ガス比率、酸素含有量の異なる合金酸化物ターゲットいずれか1つを変化させるようにして成膜を行っているが、成膜出力、反応性ガス比率、合金酸化物ターゲットの酸素含有量の2つ以上の条件を同時に変化させて、レジスト膜の酸素濃度を好適に変化させることもできる。
このような無機レジスト基板30を露光してBDやDVD−RWのピットおよびグルーブに対応した凹凸パターンを得る。例えば、深いピットに対応する凹部を形成するときは感度の低い第1層41aを露光することができる強いパワーでレーザを照射し、浅いグルーブに対応する凹部を形成するときは第3層41cまたは第2層41b露光するパワーでレーザを照射することにより、図7に示すような深い略U字形状のピット42のみならず、浅い略U字形状のグルーブ43も形成することができる。
以下、図8を参照して、この発明で使用した光学記録装置の構成について説明する。
この光学記録装置50は、基板51上に形成された無機レジスト層52を露光して所望のピットおよびグルーブに対応した凹凸パターンの潜像を形成するためのものである。
この光学記録装置50は、参照符号55で示されるレーザ(露光光源)と、参照符号70で示される変調光学系(OM:Optical Modulator)と、参照符号72で示される光学移動テーブルと、参照符号53で示されるターンテーブルと、参照符号54で示されるスピンドルサーボとからなる。
レーザ55としては任意のものが使用可能であるが、短波長のレーザ光を出射するものが好ましい。具体的には、例えば、波長λが406nmのレーザ光を発振する半導体レーザを使用した。
レーザ55より出射されたレーザ光は、平行ビームのまま直進してビームスプリッタBSで反射し、変調光学系70に導かれる。変調光学系70では、集光レンズL1を用いてレーザ光を音響光学変調器(AOM:Acousto Optical Modulator)56に集光し、このAOM56により強度変調される。その後発散したレーザ光は、レンズL2によって平行ビームになる。そして、変調光学系70から出射されたレーザ光はミラーM1によって反射され、移動光学テーブル71上に水平且つ平行に導かれる。
移動光学テーブル71内の偏向光学系(OD:Optical Deflector)72に入射したレーザ光は、ウェッジプリズム58を介して音響光学偏向器(AOD:Acousto Optical Deflector)59に入射し、このAOD59により、入射したレーザビームを所望する露光パターンに対応するように光学偏向が施される。ここで、AOD59に使用される音響光学素子としては、例えば、酸化テルル(TeO2)が好適である。
ウェッジプリズム58は、AOD59の音響光学素子の格子面に対してブラッグ条件を満たすように露光ビームが入射するようにするとともに、AOD59によって露光ビームに対して光学偏向を施しても、ビーム水平高さが変わらないようにするためのものである。換言すれば、AOD59およびウェッジプリズム58は、AOD59の音響光学素子の格子面が第2の露光ビームに対してブラッグ条件を満たし、且つ、偏向光学系72から出射されるレーザ光のビーム水平高さが変わらないように配置される。
AOD59には、このAOD59を駆動するための駆動用ドライバ60が取り付けられている。この駆動用ドライバ60には、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)61からの高周波信号が、アドレス情報を含む制御信号により変調されて供給される。そして、無機レジスト層52の露光時には、所望の露光パターンに応じた信号が、電圧制御発振器61から駆動用ドライバ60に入力され、当該信号に応じて駆動用ドライバ60によってAOD59が駆動される。これにより、露光ビームに対して光学偏向が施される。
下記の数式に示すように、ウォブル(偏向)周波数の空間周波数が記録ビームの半径より小さい周期で多重露光することでグルーブを幅広にすることができる。
v・1/f < D
ここで、vは線速度、fは偏向の周波数、Dはガラス原盤上のビームスポット系を示している。
たとえばDVD−RWの場合、v=3.49m/s、D=230nmとすると、f>15.17MHzとなる。しかし、通常ウォブル(偏向)周波数は5MHz以下であるから、記録(Cutting)の線速度vを1/4とする。すると、v=3.49/4.0=0.8725m/s、D=230nmより、f>3.794MHzであるため、ウォブル(偏向)周波数は5MHzで充分に多重露光することが可能である。
具体的には、リーダブルエンボスピットRE、アンリーダブルエンボスピットUREの記録の場合は、線速度v=0.8725m/s、周波数f=(140.7/4.0)=35.175kHzにてグルーブをウォブルさせる。グルーブにクロック情報を付加するような場合には、例えば中心周波数が224MHzの高周波信号を周波数35.175kHzの制御信号を、電圧制御発振器61から駆動用ドライバ60に供給する。そして、この信号に応じて、駆動用ドライバ60によってAOD59を駆動し、AOD59の音響光学素子のブラッグ角を変化させ、周波数35.175kHzのウォブルに対応するように重ねて露光させた第2のレーザ光に対して光学偏向を施す。
また、データ記録部のウォブルグルーブの記録において、線速度v=0.8725m/s、周波数35.175kHzのウォブルクロック信号と5MHzの高周波重畳信号により多重露光するような場合には、例えば中心周波数が224MHzの高周波信号を周波数35.175kHz+5MHzの制御信号を、電圧制御発振器61から駆動用ドライバ60に供給する。そして、この信号に応じて、駆動用ドライバ60によってAOD59を駆動し、AOD59の音響光学素子のブラッグ角を変化させる。これにより、周波数35.175kHz+5MHzのウォブルに対応するようにレーザ光に対して光学偏向を施す。5MHzの高周波重畳信号を多重露光することにより、ウォブルグルーブの幅を広くすることができる。
そして、このような偏向光学系ODによって、リーダブルエンボスピットRE、アンリーダブルエンボスピットURE、データ記録部のウォブルグルーブのウォブルに対応するように光学偏向が施された第2のレーザ光は、ミラーM2によって反射されて進行方向が90°曲げられた上で偏光ビームスプリッタPBSに入射する。レーザ光はPBSによって反射される。ここで、偏光ビームスプリッタPBSは、S偏光を反射し、P偏光を透過するようになされている。
そして、進行方向が同一方向となるように再合成されて偏光ビームスプリッタPBSから出射したレーザ光は、拡大レンズL3によって所定のビーム径とされた上でミラーM3によって反射されて対物レンズ54へと導かれ、対物レンズL4によって無機レジスト層52上に集光される。これにより、無機レジスト層52が露光され、所望のピットおよびグルーブに対応した潜像が形成されることとなる。このとき、無機レジスト層52が塗布されている基板31は、無機レジスト層52の全面にわたって所望のパターンでの露光がなされるように、スピンドルサーボ54によって回転駆動されるとともに、移動光学テーブル71によって平行移動される。この結果、レーザ光の照射軌跡に応じた潜像が、無機レジスト層52の全面にわたって形成される。
今回、対物レンズの開口数NAを0.9にした。AOM56には、入力端子から信号がドライバ57を介して供給される。AOM56に供給されるのは、REピットを形成する場合は、EFM(Eight to Fourteen Modulation:8−16変調)+信号であり、UREピットを形成する場合は、EFM+信号を一率に長くした変形EFM+信号であり、グルーブを形成する場合は、一定レベルのDC信号である。EFM+信号や変形EFM+信号によって、レーザ光が強度変調(ON/OFF)される。
上述した記録装置および記録方法を用いて、
(1)リーダブルエンボスピット形状の最適化においては、深さは無機レジスト層の厚さを変えることにより最適化が可能であり、リーダブルエンボスピット幅は、適切なレーザ光径や露光パワーにすることにより可能である。
(2)アンリーダブルエンボスピットおよび記録領域のウォブルグルーブの形状の最適化においては、深さは表面側無機レジスト層の厚さを変えることにより、ピット幅またはグルーブ幅は、適切なレーザ光径や露光パワー、多重露光のウォブル振幅量にすることにより可能である。上述の方法により、DVD−RWに適切なフォーマットを提供できる。
図9A〜図9Fに示すように、レーザ55によりピットまたはグルーブに対応するパターンの潜像が形成された無機レジスト基板51(図9A)は、図9Bに示すように無機レジスト層52が上部となるようにして図示しない現像機のターンテーブルに載置され、水平面に対して回転させるとともに、無機レジスト層上に現像液81を滴下して現像処理を施す。潜像が形成された部分は酸化変質していないために、アルカリの現像液に対して可溶性を示し、現像によって除去される。
次いで、図9Cに示すように、現像後の無機レジスト基板51の凹凸パターン上に無電界メッキ法によりニッケル皮膜でなる導電化膜層を形成する。導電化膜層が形成された光デイスク原盤を電鋳装置に取り付け、電気メッキ法により導電化膜層上に300±5[μm]程度の厚さになるようにメッキを施すことで、凹凸パターン形成部82を有するニッケルメッキ層83を形成する。
続いて、図9Dに示すように、基板51からニッケルメッキ層83をカッター等で剥離する。このニッケルメッキ層83は、図9Eに示すように所定のサイズにトリミングが施された後、ニッケルメッキ層83の信号形成面に付着した無機レジストをアセトン等を用いて洗浄し、スタンパ84が完成する。
さらに、成型金型85にスタンパ84を配置し、ポリカーボネート(以下、PCと適宜称する。)などの樹脂材料を注入して射出成型を行うことにより、所望のピットおよびグルーブパターンが転写されたディスク基板86が作製される。
次に、成膜工程として、ピットおよびグルーブパターンが転写されたディスク基板上に記録層および保護層を形成する。具体的には例えば、先ず、ディスク基板の凹凸パターンが形成された面上に、SiN等からなる第1の誘電体膜と、GeSbTe合金等からなる相変化記録膜と、SiN等からなる第2の誘電体膜とをスパッタリングによって順次成膜する。さらに、第2の誘電体膜上にAl等からなる光反射膜を成膜することにより、第1の誘電体膜、相変化記録膜、第2の誘電体膜および光反射膜からなる記録層を形成する。その後、記録層上に紫外線硬化樹脂をスピンコート法により塗布し、紫外線硬化樹脂に対して紫外線を照射し硬化させることにより、保護層を形成する。以上の工程により、DVD−RW相変化光ディスクが完成する。
上述のような光学記録装置および成膜装置により評価用ディスクを作製した。光ディスク原盤の作製工程では、[方法3]のように、酸素含有量の異なる合金酸化物ターゲットを用い、反応性ガスは用いずに無機レジスト層を形成した。なお、無機レジスト層成膜時の成膜出力は一定とし、150Wとして放電した。また、成膜時にはそれぞれ感度の異なる2層の無機レジスト膜をシリコン基板上に積層し、基板側の第1層を低感度レジスト膜、表面側の第2層を高感度レジスト膜として作製した。
<実施例1>
光学記録装置を用いて、DVD−RWフォーマットを有する無機レジスト基板Aおよび無機レジスト基板Bを作製し、これらを用いて評価用ディスクAおよび評価用ディスクBを作製する。
[無機レジスト基板A]
(a)成膜初期 第1層、1.8分、22nm厚:酸素含有量50%ターゲット
(b)成膜末期 第2層、4.6分、58nm厚:酸素含有量62%ターゲット
とし、第1層22nm、第2層58nmの合計80nm厚の無機レジスト層を作製した。
[無機レジスト基板B]
(a)成膜初期 第1層、2.2分、28nm厚:酸素含有量62%ターゲット
(b)成膜末期 第2層、4.6分、58nm厚:酸素含有量74%ターゲット
とし、第1層28nm、第2層58nmの合計86nm厚の無機レジスト層を作製した。
続いて、無機レジスト基板Aおよび無機レジスト基板Bのそれぞれを、無機レジスト層が上部となるようにして光学記録装置のターンテーブル上に載置し、DVD−RWフォーマットを記録する。リーダブルエンボスピットREは3ゾーン(RE1,RE2,RE3)に分け、記録領域は4ゾーン(GR1,GR2,GR3,GR4)に分けて露光パワーを適切に変化させ、ピット形状およびグルーブ形状を変化させた。
さらに、これを現像し、スタンパを作製した後、射出成型によりポリカーボネート樹脂製のディスク基板を得た。この後、成膜工程を経てDVD−RWフォーマットを有する相変化型の評価用ディスクAおよび評価用ディスクBを作製した。
なお、評価用ディスクAは、リーダブルエンボスピットREの深さが80nm、アンリーダブルエンボスピットUREおよびウォブルグルーブの深さが22nmとなった。また、評価用ディスクBは、リーダブルエンボスピットREの深さが86nm、アンリーダブルエンボスピットUREおよびウォブルグルーブの深さが28nmとなった。
このような評価用ディスクAおよび評価用ディスクBにおいて、リーダブルエンボスピットREおよびウォブルグルーブの信号特性評価を行った。評価にはDVD−RW特性評価機DDU−1000(レーザ波長λ=660nm、対物レンズ開口数NA=0.60)を用い、トラッキングはプッシュプル信号を用いて行った。
以下の表1に、評価用ディスクAの評価の結果を示す。また、表2に、評価用ディスクBの評価の結果を示す。なお、表中に記載された語句の意味は以下のとおりである。
Zone・・・領域、RE・・・リーダブルエンボスピット、GR・・・グルーブ、Radius・・・半径[mm]。
PP before ・・・記録前のプッシュプル信号量(0.22〜0.44の範囲が適正)
PP Dev.・・・プッシュプルデビエーション(0.15未満が適正)
Rec. Jitter・・・記録特性 [%](8.0%未満が適正)
RE Jitter ・・・再生特性 [%](8.0%未満が適正)
|EPPr1|・・・EPPr1の絶対値 [dB](3dBより小が適正)
Figure 2006338828
Figure 2006338828
上記の表1および表2に示すとおり、評価用光ディスクAおよび評価用光ディスクBのすべてのリーダブルエンボスピットにおいて、再生特性(再生ジッター)および|EPPr1|が規格を満足し、安定したリーダブルエンボスピットの再生を実現した。リーダブルエンボスピット深さが80〜86nmのとき、安定したリーダブルエンボスピットの再生を実現した。さらに、評価用光ディスクAおよび評価用光ディスクBのそれぞれは略U字形状の深いリーダブルエンボスピットを実現している。
また、評価用光ディスクAおよび評価用光ディスクBのすべての記録領域において、記録特性(記録ジッター)およびプッシュプルサーボ特性が規格を満足し、安定した記録再生特性を実現した。グルーブ深さが22〜28nmのとき、安定した記録再生特性を実現した。さらに、U形状の浅いウォブルグルーブを実現し、グルーブ深さの変動も4nm以下であり十分小さく、非常に安定なトラッキングサーボを実現した。感度の異なる2層の無機レジストを積層しているので、感度のしきい値を超えない無機レジスト層はほとんど影響を受けず深さの変動を少なくできる。
上述のピット位相深さは一般的にλ/(5.2n)〜λ/(4.9n)のときに安定した記録再生特性を実現し、グルーブ深さはλ/(19.0n)〜λ/(14.9n)のとき安定なトラッキングサーボを実現できる。ここで、λは記録再生に用いるレーザ光の波長であり、nは光透過層の屈折率である。DVD−RWにおいてはλ=660[nm]である。また、厚さ0.6mmのPC製ディスク基板が光透過層となるため、屈折率n=1.58となる。
上記評価用光ディスクAのリーダブルエンボスピット幅は、表1に示すように305〜348[nm]の範囲で形成されており、ウォブルグルーブ幅は301〜347[nm]の範囲で形成された。
また、評価用光ディスクBについては表2に示すとおり、リーダブルエンボスピット幅は307〜350[nm]の範囲で形成されており、ウォブルグルーブ幅は303〜347[nm]の範囲で形成された。
ここで、それぞれの評価用ディスクについて、浅いグルーブ幅と深いピット幅との比(浅いグルーブ幅/深いピット幅)をとると、
評価用ディスクA:0.987(301/305)〜1.138(347/301)
評価用ディスクB:0.987(303/307)〜1.136(349/307)
となり、上述の方法を用いることにより、深いピットと浅いウォブルグルーブを同一面内に形成してもピット幅およびグルーブ幅は同程度で形成することが可能であり、再生特性の低下を妨げないことが分かる。
一般的に、浅いグルーブ幅は深いピット幅よりも小さく形成される。例えば、多重露光のウォブルなしの場合、浅いグルーブ幅は200nm程度であった。今回、感度の異なる無機レジスト層を積層する方法および多重露光(ウォブル振幅±50nm)を用いることで、略U字形状を有し、ピット幅と同等もしくは同等以上の幅を有する浅いグルーブを形成することを可能とした。
本発明により、リーダブルエンボスピットの安定な再生と記録領域の非常に安定な記録再生特性を有するDVD−RW媒体を実現した。
<実施例2>
光学記録装置を用いて、BD−REとBD−ROMとのハイブリッドディスクのフォーマットを有する無機レジスト基板Cおよび無機レジスト基板Dを作製し、これらを用いて評価用ディスクCおよび評価用ディスクDを作製する。
[無機レジスト基板C]
(a)成膜初期 第1層、1.5分、19nm厚:酸素含有量50%ターゲット
(b)成膜末期 第2層、3.2分、40nm厚:酸素含有量62%ターゲット
とし、第1層19nm、第2層40nmの合計59nm厚の無機レジスト層を作製した。
[無機レジスト基板D]
(a)成膜初期 第1層、2.0分、24nm厚:酸素含有量62%ターゲット
(b)成膜末期 第2層、4.6分、58nm厚:酸素含有量74%ターゲット
とし、第1層24nm、第2層58nmの合計82nm厚の無機レジスト層を作製した。
続いて、無機レジスト基板Cおよび無機レジスト基板Dのそれぞれを、無機レジスト層が上部となるようにして光学記録装置のターンテーブル上に載置し、ハイブリッドディスクフォーマットを記録する。ピットは3ゾーン(ROM1,ROM2,ROM3)に分け、記録領域は4ゾーン(GR1,GR2,GR3,GR4)に分けて露光パワーを適切に変化させ、ピット形状およびグルーブ形状を変化させた。
次いで、実施例1と同様に現像、スタンパ作製、ディスク基板射出成型、成膜工程を経てBD−REとBD−ROMとのハイブリッドディスクフォーマットを有する相変化型の評価用ディスクCおよび評価用ディスクDを作製した。
なお、評価用ディスクCは、ピット深さが59nm、ウォブルグルーブの深さが19nmとなった。また、評価用ディスクDは、ピット深さが58nm、ウォブルグルーブの深さが24nmとなった。
このような評価用ディスクCおよび評価用ディスクDにおいて、ピットおよびウォブルグルーブの信号特性評価を行った。評価にはBlu−ray標準評価機(レーザ波長λ=406nm、対物レンズ開口数NA=0.85)を用い、トラッキングはディファレンシャルプッシュプル信号を用いて行った。
以下の表3に、評価用ディスクCの評価の結果を示す。また、表4に、評価用ディスクDの評価の結果を示す。なお、表中に記載された語句のうち、実施例1と異なる部分の意味は以下のとおりである。
ROM・・・ピット
PP before ・・・記録前のプッシュプル信号量(0.21〜0.42の範囲が適正)
PP Dev.・・・プッシュプルデビエーション(0.15未満が適正)
Rec. Jitter・・・記録特性 [%](6.5%未満が適正)
ROM Jitter・・・再生特性 [%](6.5%未満が適正)
DPD・・・ディファレンシャルフェーズディテクション(0.25〜0.50の範囲が適正)
Figure 2006338828
Figure 2006338828
上記の表3および表4に示すとおり、評価用光ディスクCおよび評価用光ディスクDのすべてのピットにおいて、再生特性(再生ジッター)およびDPDが規格を満足し、安定したピットの再生を実現した。ピット深さが59〜82nmのとき、安定したピットの再生を実現した。さらに、略U字形状の深いピットを実現している。
上述のピット位相深さは一般的にλ/(4.6n)〜λ/(3.3n)のときに安定した記録再生特性を実現し、グルーブ深さはλ/(14.4n)〜λ/(11.4n)のとき安定なトラッキングサーボを実現できる。BDにおいてはλ=406[nm]であり、光透過層である厚さ0.1mmのカバー層となるPSA(Pressure sensitive adhesive:感圧
接着シート)の屈折率n=1.48となる。
評価用光ディスクCおよび評価用光ディスクDのすべての記録領域において、記録特性(記録ジッター)およびプッシュプルサーボ特性が規格を満足し、安定した記録再生特性を実現した。グルーブ深さが19〜24nmのとき、安定した記録再生特性を実現した。さらに、略U字形状の浅いウォブルグルーブを実現し、グルーブ深さの変動も2nm以下であり十分小さく、非常に安定なトラッキングサーボを実現した。
なお、上記評価用光ディスクCのピット幅は、表3に示すように135〜153[nm]の範囲で形成されており、ウォブルグルーブ幅は151〜175[nm]の範囲で形成された。
また、評価用光ディスクDについては表4に示すとおり、ピット幅は138〜158[nm]の範囲で形成されており、ウォブルグルーブ幅は155〜176[nm]の範囲で形成された。
ここで、それぞれの評価用ディスクについて、浅いグルーブ幅と深いピット幅との比(浅いグルーブ幅/深いピット幅)をとると、
評価用ディスクC:1.119(151/135)〜1.296(175/135)
評価用ディスクD:1.123(155/138)〜1.275(176/138)
となり、BDのハイブリッドディスクのフォーマットにおいても深さの異なるピットおよびグルーブを同一面内に形成してもグルーブ幅はピット幅と同程度以上で形成することが可能であり、再生特性の低下を妨げないことが分かる。
また、多重露光のウォブルなしの場合、浅いグルーブ幅は110nm程度であった。今回の方法を用いることにより(多重露光のウォブル振幅±30nm)、略U字形状を有し、ピット幅と同等もしくは同等以上の幅を有する浅いグルーブを形成することを可能とした。
なお、実施例1および実施例2より、この発明では浅いグルーブ幅/深いピット幅を0.987〜1.296の範囲で作製することができることが分かる。
また、、同様の手法を用いて深いピットを深いグルーブとし、浅いグルーブを浅いピットに変更することも可能である。
このとき、浅いピット幅/深いグルーブ幅も0.987〜1.296とすることができる。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
また、感度の異なるレジスト層の積層は2層に限らず、3層以上に多層化することにより、3段階以上の異なる深さを有する光ディスクフォーマットを実現することができる。
さらに、光記録媒体のみならず、多段階深さの凹凸パターンを有するデバイスを作製することも可能である。
従来のピット形成方法の一例を示す模式図である。 DVD−RWのフォーマットを示す模式図である。 異なる深さの凹凸パターンの形成方法の一例を示す模式図である。 異なる深さの凹凸パターンの形成方法の一例を示す断面図である。 この発明で用いた成膜装置を示す模式図である。 この発明を適用したレジスト基板の構成の一例を示す断面図である。 この発明を適用して深さの異なる凹凸パターンを形成したレジスト基板を示す断面図である。 この発明で用いた光学記録装置を示す略線図である。 スタンパおよびディスク基板の作製工程を示す模式図である。
符号の説明
1・・・リーダブルエンボスピット
2・・・アンリーダブルエンボスピット
3・・・ウォブルグルーブ
11・・・基板
12・・・レジスト層
13・・・レーザ
14a,14b・・・潜像
15a・・・ピットに対応する凹部
15b・・・グルーブに対応する凹部
20・・・成膜装置
21・・・成膜室
22,51・・・基板
23a,23b・・・ターゲット
24,27・・・ボンベ
25,28・・・マスフローコントローラ
26,29・・・ストップバルブ
30・・・反応性ガス比率コントロール
31,32,33・・・電源
34・・・成膜電力コントロール
35・・・真空ポンプ
40・・・レジスト基板
41,52・・・無機レジスト層
41a,41b,41c・・・無機レジスト膜
42・・・ピット
43・・・グルーブ
50・・・光学記録装置
53・・・ターンテーブル
54・・・スピンドルサーボ
55・・・レーザ
56・・・音響光学変調器
57,60・・・駆動用ドライバ
58・・・ウェッジプリズム
59・・・音響光学偏向器
61・・・電圧制御発振器
70・・・変調光学系
71・・・移動光学テーブル
72・・・偏向光学系
M1,M2,M3・・・ミラー
L1,L2,L3・・・レンズ
L4・・・対物レンズ
BS・・・ビームスプリッタ
PBS・・・偏光ビームスプリッタ
81・・・現像液
82・・・凹凸パターン形成部
83・・・ニッケルメッキ層
84・・・スタンパ
85・・・成型金型
86・・・ディスク基板

Claims (16)

  1. 深い断面略U字形状のピットまたはグルーブと、浅い断面略U字形状のピットまたはグルーブとを有する光記録媒体において、
    上記浅い略U字形状のピットまたはグルーブの深さ変動が4nm以下であることを特徴とする光記録媒体。
  2. 深い断面略U字形状のピットまたはグルーブと、浅い断面略U字形状のピットまたはグルーブとを有する光記録媒体において、
    上記浅い断面略U字形状のピットまたはグルーブの幅/上記深い断面略U字形状のピットまたはグルーブの幅の比が、0.987〜1.296であることを特徴とする光記録媒体。
  3. 上記深い断面略U字形状のピット深さが80〜86nmであり、上記浅い断面略U字形状のグルーブ深さが22〜28nmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光記録媒体。
  4. 記録または再生用のレーザ光の波長をλ、上記光記録媒体の光透過層の屈折率をnとした場合、上記深い断面略U字形状のピット深さがλ/(5.2n)〜λ/(4.9n)であり、上記浅い断面略U字形状のグルーブ深さがλ/(19.0n)〜λ/(14.9n)であることを特徴とする請求項3に記載の光記録媒体。
  5. 上記深い断面略U字形状のピット深さが59〜82nmであり、上記浅い断面略U字形状のグルーブ深さが19〜24nmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光記録媒体。
  6. 記録または再生用のレーザ光の波長をλ、上記光記録媒体の光透過層の屈折率をnとした場合、上記深い断面略U字形状のピット深さがλ/(4.6n)〜λ/(3.3n)であり、上記浅い断面略U字形状のグルーブ深さがλ/(14.4n)〜λ/(11.4n)であることを特徴とする請求項5に記載の光記録媒体。
  7. 上記深い断面略U字形状のピットまたはグルーブと、上記浅い断面略U字形状のピットまたはグルーブは、円周方向に離散的に配置形成された複数個のピットとからなる第1および第2のエンボスピットと、円周方向に連続的に形成されたウォブルグルーブとからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光記録媒体。
  8. 深い断面略U字形状のピットまたはグルーブと、浅い断面略U字形状のピットまたはグルーブとを有する光記録媒体の製造用の光ディスク原盤において、
    基板上に酸素含有量の異なる無機レジスト膜を2層以上成膜し、凹凸パターンの深さにより露光強度を変化させて無機レジスト層を露光することにより形成されたレジストパターンから得ることを特徴とする光ディスク原盤。
  9. 上記浅い断面略U字形状のピットまたはグルーブの幅/上記深い断面略U字形状のピットまたはグルーブの幅の比が、0.987〜1.296となるように作製されたことを特徴とする請求項8に記載の光ディスク原盤。
  10. 上記浅い断面略U字形状のピットまたはグルーブの深さ変動が4nm以下となるように作製されたことを特徴とする請求項8に記載の光ディスク原盤。
  11. 上記深い断面略U字形状のピット深さが80〜86nmであり、上記浅い断面略U字形状のグルーブ深さが22〜28nmとなるように作製されたことを特徴とする請求項8に記載の光ディスク原盤。
  12. 深い断面略U字形状のピット深さが59〜82nmであり、上記浅い断面略U字形状のグルーブ深さが19〜24nmとなるように作製されたことを特徴とする請求項8に記載の光ディスク原盤。
  13. 深い断面略U字形状のピットまたはグルーブと、浅い断面略U字形状のピットまたはグルーブとを有する光記録媒体の製造用の光ディスク原盤の作製方法において、
    基板上に酸素含有量の異なる無機レジスト膜を2層以上成膜する工程と、
    凹凸パターンの深さにより露光強度を変化させて上記無機レジスト層を露光する工程と、
    上記無機レジスト層の露光部分を除去する現像工程と、
    現像により得られた凹凸パターンを有する上記基板より光ディスク原盤を得る原盤作製工程を有することを特徴とする光ディスク原盤の作製方法。
  14. 上記無機レジスト層の成膜が、スパッタリング法によって行われることを特徴とする請求項13に記載の光ディスク原盤の作製方法。
  15. 上記スパッタリング法による成膜時に、無機レジスト材料として遷移金属の単体もしくは合金、またはそれらの酸化物を用いることを特徴とする請求項14に記載の光ディスク原盤の作製方法。
  16. 上記スパッタリング法による成膜時に、成膜出力、反応性ガス比率、および上記遷移金属の合金酸化物の酸素含有量の少なくとも1つを変化させることによって、酸素含有量の異なる上記無機レジスト層を成膜することを特徴とする請求項14に記載の光ディスク原盤の作製方法。
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