JP2003246060A - インクジェット式プリンタのヘッド駆動装置 - Google Patents

インクジェット式プリンタのヘッド駆動装置

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JP2003246060A
JP2003246060A JP2002051596A JP2002051596A JP2003246060A JP 2003246060 A JP2003246060 A JP 2003246060A JP 2002051596 A JP2002051596 A JP 2002051596A JP 2002051596 A JP2002051596 A JP 2002051596A JP 2003246060 A JP2003246060 A JP 2003246060A
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、簡単で小型の構成により、低コス
トで、各圧電素子の所定のバイアス電位を容易に保持し
得るようにした、インクジェット式プリンタのヘッド駆
動装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 複数のノズルに対応してそれぞれ設けら
れたインクに圧力を加える圧電素子11を、所定の印字
タイミングで選択的に、ラッチ回路,D/Aコンバータ
及びアンプから成るヘッド駆動回路12からの駆動信号
COMにより駆動し、対応するノズルからインク滴を吐
出させて記録を行なう、インクジェット式プリンタのヘ
ッド駆動装置10であって、各圧電素子のグランド側の
電極にバイアス電圧Vbを印加するバイアス電源回路2
0を備えており、このバイアス電源回路20が、ヘッド
駆動回路12を構成するIC30内に一体に構成された
ラッチ回路23,D/Aコンバータ24及びアンプ25
から成るように、ヘッド駆動装置10を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット式
プリンタのヘッドにてインク滴を吐出するためのノズル
に対応して設けられた圧電素子のグランド側を所定のバ
イアス電位に保持するようにしたインクジェット式プリ
ンタのヘッド駆動の技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、コンピュータの出力装置とし
て、数色のインクを記録ヘッドから吐出するタイプのイ
ンクジェット式カラープリンタが普及してきており、コ
ンピュータ等が処理した画像を多色多階調で印刷するた
めに広く用いられている。
【0003】例えば、インク吐出のための駆動素子とし
て圧電素子を用いたインクジェット式プリンタでは、印
刷ヘッドの複数のノズルに対応してそれぞれ設けられた
複数個の圧電素子を選択的に駆動することにより、各圧
電素子の動圧に基づいてノズルからインク滴を吐出さ
せ、印刷用紙にインク滴を付着させることにより、印刷
用紙にドットを形成して、印刷を行なうようにしてい
る。
【0004】ここで、各圧電素子は、インク滴を吐出す
るためのノズルに対応して設けられており、印刷ヘッド
内に実装されたドライバIC(ヘッド駆動回路)から供
給される駆動信号により駆動され、インク滴を吐出させ
るようになっている。
【0005】ところで、このような圧電素子は、非駆動
時(すなわち印刷を行なわないとき)には、充電により
蓄積された電荷が、絶縁抵抗により放電して、その電圧
が低下してしまうことにより、インクの吐出に影響を与
えることがある。
【0006】このため、本出願人による特許第3097
155号において、圧電素子に対して、駆動タイミング
とは異なるタイミングで、充電電圧を印加して、充電電
圧を維持するようにしたヘッドの駆動装置及び駆動方法
が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなインクジェット式プリンタのヘッド駆動において
は、各圧電素子に印加される駆動信号は、直流信号であ
って、非駆動時に高い電圧に設定され、駆動時には電圧
が低くなるように構成されている。このため、圧電素子
に印加される電圧が比較的高くなってしまうために前述
した放電による電圧降下も大きく、電力損失が大きい。
【0008】また、印刷品質の向上のために、印刷ドッ
トの高密度化を実現しようとすると、互いに隣接する圧
電素子の電極間のギャップが狭くなるが、駆動される圧
電素子と非駆動の圧電素子とが隣接している場合に、こ
れらの圧電素子の電極間電圧が高くなると、これらの圧
電素子の電極間で放電が発生することがある。
【0009】さらに、高密度化により個々の圧電素子が
小さくなって、その耐圧が低くなるため、より高密度化
が進んだ場合には、駆動信号の最大電圧が圧電素子の耐
圧を越えることになり、圧電素子が正常に動作しなくな
るおそれがある。
【0010】このため、圧電素子の電極間に、絶縁材料
を充填する等の絶縁処理が必要になってしまう。
【0011】これに対して、各圧電素子のグランド側を
駆動信号の中間電位に保持するようにするヘッド駆動方
式もある。このようなヘッド駆動方式によれば、上述し
た高密度化の際の圧電素子電極間の放電を防止すること
ができるが、駆動信号の変動に対応して、電圧を変動さ
せると共に、充電及び放電の切換えが必要であることか
ら、双方向の可変電源が必要となる。
【0012】さらに、このような電源は、必要なバイア
ス電圧を、プリンタ本体の制御部における所謂ロジック
電源を利用するため、電圧が最適でなかったり、あるい
は駆動電圧から生成するようになっており、回路構成が
複雑となり、コストが高くなってしまう。
【0013】他方、ヘッド駆動回路と同様の回路を用い
て、D/Aコンバータによりバイアス電圧を生成し、ア
ンプで増幅して、圧電素子のグランド側の電極に印加す
るようにする方法もある。
【0014】しかしながら、この場合、ヘッド駆動回路
と別に、バイアス電圧生成用のICが必要になるため、
部品コストが増大し、実装スペースが倍増してしまう。
さらに、バイアス電圧生成用のICに対して例えば10
ビット分の信号線を接続する必要があるので、配線及び
接続スペースが必要になってしまう。
【0015】さらに、バイアス電圧生成用のICが直接
に圧電素子に接続されていることから、圧電素子の放電
電流がIC内に流れ込むことになり、IC内のアンプの
発熱量が増大してしまう。
【0016】また、バイアス電圧生成用のICから直接
に圧電素子にバイアス電圧が印加されるようになってい
るので、所定のバイアス電圧を得るためには、高速で動
作するアンプが必要になり、アンプのコストが高くなっ
てしまう。
【0017】そこで、本発明の課題は、簡単で小型の構
成により、低コストで、各圧電素子の所定のバイアス電
位を容易に保持し得るようにした、インクジェット式プ
リンタのヘッド駆動装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明では、各圧電素子のグランド側の電極に所定
のバイアス電圧を印加するためのD/Aコンバータ及び
アンプを、ヘッド駆動回路を構成するIC内に収めるよ
うにした。
【0019】即ち、請求項1記載のインクジェット式プ
リンタのヘッド駆動装置では、複数のノズルに対応して
それぞれ設けられたインクに圧力を加える圧電素子を、
所定の印字タイミングで選択的に、ラッチ回路,D/A
コンバータ及びアンプから成るヘッド駆動回路からの駆
動信号により駆動し、対応するノズルからインク滴を吐
出させて記録を行なう、インクジェット式プリンタのヘ
ッド駆動装置であって、各圧電素子のグランド側の電極
にバイアス電圧を印加するバイアス電源回路を備えてお
り、このバイアス電源回路が、ヘッド駆動回路を構成す
るIC内に一体に構成されたラッチ回路,D/Aコンバ
ータ及びアンプから構成されていることを特徴とする。
【0020】この構成によれば、バイアス電源回路が、
入力されるデータ信号に基づいて所定のバイアス電圧を
生成して、このバイアス電圧を圧電素子のグランド側の
電極に印加することにより、圧電素子のグランド側がバ
イアス電圧に保持されることになる。
【0021】従って、圧電素子の双方の電極間に印加さ
れる電圧が低減されることから、消費電力が低減される
と共に、圧電素子の自然放電による電圧降下が小さく、
電力損失が低減される。
【0022】また、圧電素子に印加される電圧が比較的
低くなることによって、駆動される圧電素子と非駆動の
圧電素子との間の電圧差による放電の発生も低減される
と共に、高密度化によって圧電素子が小型化して耐圧が
低くなったとしても、対応することができるので、圧電
素子の電極間の絶縁処理を行なうことなく、ヘッドのよ
り一層の高密度化が可能になる。
【0023】この場合、バイアス電源回路を構成するラ
ッチ回路,D/Aコンバータ及びアンプが、ヘッド駆動
回路を構成するIC内に一体に構成されているので、ヘ
ッド駆動回路及びバイアス電源回路が一つのICパッケ
ージとして構成されることになり、実装スペースが低減
され得ると共に、配線及び接続スペースも低減され得
る。
【0024】請求項2記載のヘッド駆動装置において
は、上記バイアス電源回路のバイアス電圧が、ヘッド駆
動回路の駆動信号の中間電位にほぼ等しいことを特徴と
する。
【0025】この構成によれば、圧電素子の双方の電極
間に印加される電圧がほぼ0になることから、圧電素子
の自然放電による電圧降下がさらに小さく、電力損失が
より低減される。
【0026】請求項3記載のヘッド駆動装置において
は、上記バイアス電源回路から圧電素子のグランド側の
電極の間に、制限抵抗が接続されており、この制限抵抗
と圧電素子のグランド側の電極の間からグランドに対し
て大容量のコンデンサが接続されていることを特徴とす
る。
【0027】この構成によれば、バイアス電源回路から
のバイアス電圧が制限抵抗を介してコンデンサに充電さ
れ、コンデンサの充電電圧がバイアス電圧になる。そし
て、このコンデンサの充電電圧が圧電素子のグランド側
の電極に印加され、圧電素子のグランド側がバイアス電
圧に保持されることになる。
【0028】この場合、圧電素子にはコンデンサの充電
電圧が印加されるので、バイアス電源回路のアンプは高
速である必要はなく、低速で小容量のアンプを使用する
ことができ、アンプのコストが低減され得る。
【0029】また、圧電素子の充放電時には、バイアス
電源回路側には制限抵抗があり、充放電電流はコンデン
サに流れることになる。従って、充放電電流がバイアス
電源回路のアンプには殆ど流れないので、アンプの発熱
量が大幅に少なくなる。
【0030】請求項4記載のヘッド駆動装置において
は、上記バイアス電源回路が、対応するラッチ回路に入
力されるデータ信号及びクロックパルスにより、制限抵
抗を介してコンデンサを所定のバイアス電圧に充電し、
このバイアス電圧が圧電素子のグランド側の電極に印加
されることを特徴とする。
【0031】この構成によれば、所定のバイアス電圧に
対応するデータ信号が、クロックパルスによりラッチ回
路を介してD/Aコンバータに与えられることによっ
て、D/Aコンバータから所定のバイアス電圧が出力さ
れ、アンプにより増幅された後、制限抵抗を介してコン
デンサに印加され、コンデンサに充電されたバイアス電
圧が圧電素子のグランド側の電極に印加されることにな
る。
【0032】請求項5記載のヘッド駆動装置において
は、上記バイアス電源回路が、対応するラッチ回路に入
力されるデータ信号及びクロックパルスにより、制限抵
抗を介してコンデンサを放電させて、圧電素子のグラン
ド側の電極をゼロにすることを特徴とする。
【0033】この構成によれば、コンデンサの放電時に
は、電圧0に対応するデータ信号が、クロックパルスに
よりラッチ回路を介してD/Aコンバータに与えられる
ことによって、D/Aコンバータから0電圧が出力さ
れ、アンプにより増幅された後、制限抵抗を介してコン
デンサに印加される。これにより、コンデンサが制限抵
抗を介してグランド側に放電されるので、大きな放電電
流がバイアス電源回路側には流れず、バイアス電源回路
のアンプの発熱が低減されることになる。
【0034】請求項6記載のヘッド駆動装置において
は、バイアス電源回路に入力されるデータ信号が、ヘッ
ド駆動回路に入力されるデータ信号と同じビット数であ
ることを特徴とする。
【0035】この構成によれば、ヘッド駆動回路及びバ
イアス電源回路には、同じビット数のデータ信号が入力
されればよいので、ヘッド駆動回路及びバイアス電源回
路を構成するICの共通接続端子から、データ信号が入
力され得ることになる。従って、ヘッド駆動回路及びバ
イアス電源回路に対して、それぞれ別個にデータ信号を
入力する必要がなく、配線及び接続スペースが低減され
得る。
【0036】請求項7記載のヘッド駆動装置において
は、バイアス電源回路に入力されるデータ信号が、ヘッ
ド駆動回路に入力されるデータ信号より少ないビット数
であることを特徴とする。
【0037】この構成によれば、バイアス電源回路のバ
イアス電圧の設定精度が、ヘッド駆動回路の駆動信号に
比較して、低くてもよいことから、より少ないビット数
のデータ信号によりバイアス電圧が設定され得ることに
なる。従って、バイアス電源回路を構成するD/Cコン
バータがより小型で低価格のもので済むことになる。
【0038】
【発明の実施の形態】図面を参照して、本発明の実施の
形態に係るヘッド駆動装置について説明する。尚、以下
に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるか
ら、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本
発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定す
る旨の記載がない限り、これらの態様に限られるもので
はない。
【0039】図1は、本発明によるヘッド駆動装置の一
実施形態の構成を示している。図1において、ヘッド駆
動装置10は、インクジェットプリンタの複数のノズル
に対応してそれぞれ設けられた圧電素子11と、各圧電
素子11の一方の電極11aに対して駆動信号を供給す
るためのヘッド駆動回路12と、このヘッド駆動回路1
2と各圧電素子11との間に設けられた電流増幅回路1
3及びスイッチ回路14と、さらに圧電素子11の他方
のグランド側の電極11bに対して所定のバイアス電圧
を印加するバイアス電源回路20,制限抵抗21及びコ
ンデンサ22と、から構成されている。
【0040】ここで、図1においては、圧電素子11
は、実際にはインクジェット式プリンタ10のプリンタ
ヘッドにて、各色毎にそれぞれ一つのノズル列が設けら
れており、各ノズル列に対してそれぞれ圧電素子が備え
られている。
【0041】圧電素子11は、例えばピエゾ素子であっ
て、双方の電極11a,11b間に印加される電圧によ
り変位するように構成されている。
【0042】そして、圧電素子11は、非吐出時中間電
位Vc付近に充電されており、ヘッド駆動回路12から
の駆動信号に基づいて充放電する際に対応するノズル内
のインクに圧力を加えることにより、このノズルからイ
ンク滴を吐出するように構成されている。
【0043】ヘッド駆動回路12は、ドライバIC30
として構成されており、インクジェットプリンタのヘッ
ドへの駆動信号COMを発生させるものであり、例えば
プリンタ本体内に配置されている。
【0044】この場合、ヘッド駆動回路12は、ラッチ
回路12a,D/Aコンバータ12b及びアンプ12c
から構成されている。
【0045】ラッチ回路12aは、図示の場合、インク
ジェット式プリンタのプリンタ本体の制御部からの10
ビットのデータ信号DATA0〜9が入力されると共
に、クロック端子CLK1に、クロック信号が入力され
るようになっている。
【0046】また、D/Aコンバータ12bは、ラッチ
回路12aを介して入力されるデータ信号DATA0〜
9に基づいて、D/A変換により駆動電圧に対応するア
ナログ信号を出力するようになっている。
【0047】さらに、アンプ12cは、D/Aコンバー
タ12bからのアナログ信号を増幅して、所定の駆動電
圧波形を生成するようになっている。
【0048】電流増幅回路13は、二つのトランジスタ
13a,13bから構成されている。
【0049】このうち、第一のトランジスタ13aは、
コレクタが定電圧電源に接続され、ベースがヘッド駆動
回路12の一方の出力に接続されると共に、エミッタが
スイッチ回路14の入力側に接続されている。これによ
り、ヘッド駆動回路12からの信号に基づいて、駆動波
形の立ち上り時に、充電電流をスイッチ回路14を介し
て圧電素子11に供給する。
【0050】また、第二のトランジスタ13bは、エミ
ッタがスイッチ回路14の入力側に接続され、ベースが
ヘッド駆動回路12の第二の出力に接続されると共に、
コレクタがグランドにアース接続されている。これによ
り、ヘッド駆動回路12からの信号に基づいて、駆動波
形の立ち下り時に、圧電素子11をスイッチ回路14を
介して放電させる。
【0051】スイッチ回路14は、制御信号が入力され
ることにより、対応する圧電素子11の駆動タイミング
でオンされ、駆動信号COMを圧電素子11に出力する
ようになっている。
【0052】このスイッチ回路14は、実際には、各圧
電素子11をそれぞれオンオフするための所謂トランス
ミッションゲートとして構成されている。
【0053】上記バイアス電源回路20は、ヘッド駆動
回路12と同様に、ラッチ回路23,D/Aコンバータ
24及びアンプ25から構成されている。
【0054】ラッチ回路23は、図示の場合、インクジ
ェット式プリンタのプリンタ本体の制御部からの10ビ
ットのデータ信号DATA0〜9が入力されると共に、
クロック端子CLK2に、クロック信号が入力されるよ
うになっている。
【0055】また、D/Aコンバータ24は、ラッチ回
路23を介して入力されるデータ信号DATA0〜9に
基づいて、D/A変換によりバイアス電圧に対応するア
ナログ電圧を出力するようになっている。
【0056】さらに、アンプ25は、D/Aコンバータ
24からのアナログ電圧を増幅して、所定のバイアス電
圧を生成するようになっている。
【0057】尚、上記ラッチ回路23,D/Aコンバー
タ24及びアンプ25から成るバイアス電源回路20
は、ヘッド駆動回路12を構成するドライバIC30内
に収容され、一つのICパッケージとして構成されてい
る。
【0058】このようにして、バイアス電源回路20
は、圧電素子11のグランド側の電極11bに対して、
所定のバイアス電圧Vb、好ましくは図2に示すよう
に、ヘッド駆動回路12からの駆動信号COMの中間電
位Vcにほぼ等しい電圧を出力するようになっている。
【0059】上記制限抵抗21は、所謂カップリング抵
抗であって、バイアス電源回路20からのバイアス電圧
Vbをコンデンサ22に充電させると共に、コンデンサ
22の放電時には、コンデンサ22からの放電電流を制
限するものである。
【0060】尚、制限抵抗21は、コンデンサ22の充
電を円滑に行なわせると共に、放電電電流を有効に制限
し得るように、数100Ω(例えば200Ω程度)に選
定されている。
【0061】上記コンデンサ22は、電解コンデンサで
あって、その充電電圧すなわちバイアス電圧Vbを各圧
電素子11のグランド側の電極11bに印加するよう
に、一端が圧電素子11のグランド側の共通電極11b
に接続されていると共に、他端がグランドにアース接続
されている。
【0062】尚、コンデンサ22の容量は、各圧電素子
11に対して安定したバイアス電圧Vbを供給すること
ができるように、すべての圧電素子11の総静電容量
(数μF、例えば1.4μF程度)に対して十分大きな
容量、即ち数1000μF(例えば3300μF程度)
に選定されている。
【0063】本発明実施形態によるヘッド駆動装置10
は、以上のように構成されており、以下のように動作す
る。
【0064】先ず、インクジェット式プリンタの電源投
入時の動作を、図3のフローチャートに従って説明す
る。
【0065】図3のフローチャートにおいて、インクジ
ェット式プリンタの電源がオンされると、プリンタ本体
の制御部は、ステップA1にて、温度を測定して、ステ
ップA2にて、この温度に対応した中間電圧Vc1を計
算し決定する。
【0066】その後、プリンタ本体の制御部は、ステッ
プA3にて、プリンタヘッドのすべてのノズルをオン
し、ステップA4にて、クロック端子CLK1にクロッ
ク信号を入力しながら、データ信号DATA0〜9によ
るデジタル値を徐々に大きくし、ヘッド駆動回路12の
D/Aコンバータを制御する。
【0067】これにより、駆動信号COMにより電流増
幅回路13の第一のトランジスタ13aからスイッチ回
路14を介して圧電素子11の一方の電極11aに電流
が流れて充電することにより、圧電素子11の一方の電
極11aは、図4(A)にて符号Aで示すように、中間
電位Vc1まで上昇することになる。
【0068】続いて、プリンタ本体の制御部は、ステッ
プA5にて、上記中間電位Vc1のデジタル値をDAT
A0〜9に出力し、ステップA6にて、バイアス電源回
路20のラッチ回路23のCLK2端子に一つクロック
パルスを出力して、バイアス電源回路20のD/Aコン
バータ24を制御する。
【0069】これにより、バイアス電源回路20からバ
イアス電圧Vb(=Vc1)が制限抵抗21を介してコ
ンデンサ22に印加され、コンデンサ22が充電され、
コンデンサ20の充電電圧が制限抵抗21及びコンデン
サ22の時定数に基づいて徐々に中間電位Vc1まで上
昇することになり、図4(B)にて符号Bで示すよう
に、圧電素子11のグランド側の電極11bの電位も徐
々に上昇して、中間電位Vc1に達する。従って、圧電
素子の双方の電極11a,11b間の電位差はほぼ0に
なる。以上で、電源投入時の動作が完了する。
【0070】尚、圧電素子11のグランド側の電極11
bには、コンデンサ22に充電されたバイアス電圧Vb
が印加されることから、バイアス電源回路20のアンプ
25は高速である必要はなく、また小電流出力のもので
よい。
【0071】次に、印刷開始時の動作について、図5の
フローチャートに従って説明する。図5のフローチャー
トにおいて、インクジェット式プリンタの印刷開始が指
示されると、プリンタ本体の制御部は、ステップB1に
て、温度を測定して、ステップB2にて、この温度に対
応した中間電圧Vc2を計算し決定する。
【0072】その後、プリンタ本体の制御部は、ステッ
プB3にて、プリンタヘッドのすべてのノズルをオン
し、ステップB4にて、データ信号DATA0〜9によ
るデジタル値を徐々に変化させ、且つクロック端子CL
K1にクロック信号を入力することにより、ヘッド駆動
回路12のD/Aコンバータを制御する。
【0073】これにより、Vc1<Vc2ならば駆動信
号COMにより電流増幅回路13の第一のトランジスタ
13aからスイッチ回路14を介して圧電素子11の一
方の電極11aに電流が流れて充電し、圧電素子11の
一方の電極11aは、図4(A)にて符号Cで示すよう
に、中間電位Vc2に至る。Vc2<Vc1ならば電流
増幅回路13の第二のトランジスタ13bを通して圧電
素子11の一方の電極11aより電流を放電し、これに
より、圧電素子11が駆動信号COMに基づいて作動し
て、インク滴を吐出する。
【0074】続いて、プリンタ本体の制御部は、ステッ
プB5にて、上記中間電位Vc2のデジタル値をDAT
A0〜9に出力し、ステップB6にて、バイアス電源回
路20のラッチ回路23のCLK2端子に一つクロック
パルスを出力して、バイアス電源回路20のD/Aコン
バータ24を制御する。
【0075】これにより、バイアス電源回路20からバ
イアス電圧Vb(=Vc2)が制限抵抗21を介してコ
ンデンサ22に印加され、コンデンサ22が充電され、
コンデンサ20の充電電圧が制限抵抗21及びコンデン
サ22の時定数に基づいて徐々に中間電位Vc2まで変
化することになり、図4(B)にて符号Dで示すよう
に、圧電素子11のグランド側の電極11bの電位も徐
々に変化して、中間電位Vc2に達する。従って、圧電
素子の双方の電極11a,11b間の電位差はほぼ0に
なる。以上で、印刷開始時の動作が完了する。
【0076】この状態から印刷が行なわれると、駆動信
号COMの変動に基づいて、駆動信号COMの電圧が上
昇している間は、電流増幅回路13の第一のトランジス
タ13aを介して圧電素子11の一方の電極11aの充
電が行なわれ、また駆動信号COMの電圧が下降してい
る間は、電流増幅回路13の第二のトランジスタ13b
を介して圧電素子11の一方の電極11aの放電が行な
われる。これにより、圧電素子11が駆動信号COMに
基づいて作動して、インク滴を吐出する。
【0077】次に、電源オフ時の動作について、図6の
フローチャートに従って説明する。図6のフローチャー
トにおいて、インクジェット式プリンタの電源オフが指
示されると、プリンタ本体の制御部は、ステップC1に
て、プリンタヘッドのすべてのノズルをオンし、ステッ
プC2にて、データ信号DATA0〜9をゼロに設定し
て、ステップC3にて、バイアス電源回路20のラッチ
回路23のクロック端子CLK2に対して一つのクロッ
クパルスを与える。
【0078】これにより、バイアス電源回路20のD/
Aコンバータ24は、バイアス電圧Vb=0に対応する
アナログ信号を出力するので、アンプ25からバイアス
電圧Vb(=0)が出力される。
【0079】従って、コンデンサ22は放電されること
になるが、その際制限抵抗21を通して、コンデンサ2
2からの放電電流は、バイアス電源回路20からグラン
ド側に徐々に放電される。これに伴って、圧電素子11
のグランド側の電極11bも、図4(B)にて符号Eで
示すように、0電位に下がることになる。
【0080】続いて、ステップC4にて、前もって設定
されたコンデンサ22の放電に必要な所定時間の経過後
に、ステップC5にて、プリンタ本体の制御部は、デー
タ信号DATA0〜9によるデジタル値を徐々に小さく
し、且つクロック端子CLK1にクロック信号を入力す
ることにより、ヘッド駆動回路12のD/Aコンバータ
を制御する。
【0081】これにより、駆動信号COMにより、圧電
素子11の一方の電極11aからスイッチ回路14及び
電流増幅回路13の第二のトランジスタ13bを介して
グランドに電流が流れることにより、圧電素子11の一
方の電極11aは、図4(A)にて符号Eで示すよう
に、0電位まで下降することになる。
【0082】従って、圧電素子の双方の電極11a,1
1bが共に0電位まで下降することにより、電源オフ時
の動作が完了し、その後電源がオフとなる。
【0083】以上で、電源オフ時の動作が完了する。
【0084】このようにして、各圧電素子11のグラン
ド側の電極11bの電位は、バイアス電源回路20によ
るコンデンサ22の充電電圧により、バイアス電圧V
b、好ましくは中間電位Vcに保持されるので、圧電素
子11の双方の電極11a,11b間の電位差がほぼ0
に保持されると共に、駆動される圧電素子と非駆動の圧
電素子が隣接する場合、これらの圧電素子11の一方の
電極11a間の電圧差もほぼ0に保持されることにな
る。
【0085】従って、圧電素子11の自己放電による電
圧降下が小さく、電力損失が低減されることになる。
【0086】また、駆動される圧電素子11と非駆動の
圧電素子11との間の電位差が低くなるので、このよう
な圧電素子11が隣接する場合であっても、圧電素子1
1間の放電の発生が低減されると共に、高密度化によっ
て個々の圧電素子11の耐圧が低くなったとしても、圧
電素子11間の絶縁処理を行なう必要がないので、ヘッ
ドの高密度化を容易に実現することが可能になる。
【0087】さらに、バイアス電源回路20は、ヘッド
駆動回路12と共に、一つのドライバIC30として一
体に構成されているので、実装スペースが少なくて済
み、またバイアス電源回路20及びヘッド駆動回路12
に入力されるデータ信号が共に10ビットの共通のデー
タ信号であることから、配線及び接続スペースも少なく
て済む。
【0088】また、バイアス電源回路20のバイアス電
圧が制限抵抗21を介してコンデンサ22に印加される
ことにより、バイアス電源回路20のアンプ25が高速
アンプである必要はなく、低コストで小容量のアンプを
使用することができる。
【0089】さらに、コンデンサ22の放電電流が制限
抵抗21により制限されて、バイアス電源回路20には
大きな電流が流れないことから、バイアス電源回路20
のアンプ25の発熱が大幅に低減され得ることになる。
【0090】上述した実施形態においては、圧電素子1
1として例えばピエゾ素子が使用されているが、これに
限らず、他の圧電素子、例えば電歪素子,磁歪素子等を
使用してもよい。
【0091】また、上述した実施形態においては、バイ
アス電源回路20は、ヘッド駆動回路12からの駆動信
号COMの中間電圧Vcに等しいバイアス電圧Vbを出
力するようになっているが、これに限らず、中間電圧V
cからずれたバイアス電圧Vbを出力するようにしても
よい。
【0092】この場合、圧電素子11の双方の電極11
a,11b間の電圧はほぼ0にはならないが、バイアス
電圧のない場合と比較して、電位差が小さくなるので、
圧電素子における消費電力が低減されると共に、圧電素
子の自然放電による電圧降下が小さくなり、電力損失が
低減される。また、駆動される圧電素子と非駆動の圧電
素子との間の電圧差による放電の発生も低減され、高密
度化によって圧電素子が小型化して耐圧が低くなったと
しても、対応することができるので、圧電素子の電極間
の絶縁処理を行なうことなく、ヘッドのより一層の高密
度化が可能になる。
【0093】さらに、上述した実施形態においては、バ
イアス電源回路20には、ヘッド駆動回路12と同じ1
0ビットのデータ信号DATA0〜9が入力されるよう
になっているが、これに限らず、これより小さいビット
数のデータ信号が使用されても良い。
【0094】この場合、バイアス電圧は、駆動信号のほ
ぼ中間電圧付近まででよく、また駆動信号に比較して、
精度が低くてもよいので、例えば最大値を半分とし、且
つ分解能を半分にすることにより、8ビットのデータ信
号でもよい。従って、8ビットのラッチ回路23及びD
/Aコンバータ24を使用することにより、コストが低
減され得ることになる。
【0095】また、図3のA3、図5のB3、図6のC1
で全ノズルをONにしているが、全ノズルをOFFにし
ても良い。この場合、電流増幅回路13の二つのトラン
ジスタ13a,13bには殆ど電流が流れずに同様の結
果を得る。更に、ノズルのON/OFFを規定しなくて
も良い。但し、この場合、充放電過程で流れる電流が決
まらないという問題がある。
【0096】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、バ
イアス電源回路を備えたインクジェット式プリンタのヘ
ッド駆動装置において、バイアス電源回路を構成するラ
ッチ回路,D/Aコンバータ及びアンプが、ヘッド駆動
回路を構成するIC内に一体に構成されているので、ヘ
ッド駆動回路及びバイアス電源回路が一つのICパッケ
ージとして構成されることになり、実装スペースが低減
され得ると共に、配線及び接続スペースも低減され得
る。
【0097】さらに、上記バイアス電源回路から圧電素
子のグランド側の電極の間に、制限抵抗が接続されてお
り、この制限抵抗と圧電素子のグランド側の電極の間か
らグランドに対して大容量のコンデンサが接続されてい
る場合には、バイアス電源回路からのバイアス電圧が制
限抵抗を介してコンデンサに充電され、このコンデンサ
の充電電圧が圧電素子のグランド側の電極に印加され、
圧電素子のグランド側がバイアス電圧に保持されること
になる。
【0098】従って、圧電素子にはコンデンサの充電電
圧が印加されるので、バイアス電源回路のアンプは高速
である必要はなく、低速で小容量のアンプを使用するこ
とができ、アンプのコストが低減され得る。また、コン
デンサの放電時には、バイアス電源回路側には制限抵抗
があることから、放電電流がバイアス電源回路のアンプ
には殆ど流れないので、アンプの発熱量が大幅に少なく
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるヘッド駆動装置の一実施形態の構
成を示すブロック図である。
【図2】図1のヘッド駆動装置におけるヘッド駆動回路
の駆動信号COMとバイアス電圧Vbとの関係を示すタ
イムチャートである。
【図3】図1のヘッド駆動装置における電源投入時の動
作を示すフローチャートである。
【図4】図1のヘッド駆動装置における(A)ヘッド駆
動回路の駆動信号及び(B)バイアス電源回路のバイア
ス電圧を示すタイムチャートである。
【図5】図1のヘッド駆動装置における印刷開始時の動
作を示すフローチャートである。
【図6】図1のヘッド駆動装置における電源オフ時の動
作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 ヘッド駆動装置 11 圧電素子 11a 一方の電極 11b グランド側の電極 12 ヘッド駆動回路 12a ラッチ回路 12b D/Aコンバータ 12c アンプ 13 電流増幅回路 14 スイッチ回路 20 バイアス電源回路 21 制限抵抗 22 コンデンサ 23 ラッチ回路 24 D/Aコンバータ 25 アンプ 30 ドライバIC

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のノズルに対応してそれぞれ設けら
    れたインクに圧力を加える圧電素子を、所定の印字タイ
    ミングで選択的に、ラッチ回路,D/Aコンバータ及び
    アンプから成るヘッド駆動回路からの駆動信号により駆
    動し、対応するノズルからインク滴を吐出させて記録を
    行なう、インクジェット式プリンタのヘッド駆動装置で
    あって、 各圧電素子のグランド側の電極にバイアス電圧を印加す
    るバイアス電源回路を備えており、 このバイアス電源回路が、ヘッド駆動回路を構成するI
    C内に一体に構成されたラッチ回路,D/Aコンバータ
    及びアンプから構成されていることを特徴とする、イン
    クジェット式プリンタのヘッド駆動装置。
  2. 【請求項2】 上記バイアス電源回路のバイアス電圧
    が、ヘッド駆動回路の駆動信号の中間電位にほぼ等しい
    ことを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット式
    プリンタのヘッド駆動装置。
  3. 【請求項3】 上記バイアス電源回路から圧電素子のグ
    ランド側の電極の間に、制限抵抗が接続されており、 この制限抵抗と圧電素子のグランド側の電極の間からグ
    ランドに対して大容量のコンデンサが接続されているこ
    とを特徴とする、請求項1または2に記載のインクジェ
    ット式プリンタのヘッド駆動装置。
  4. 【請求項4】 上記バイアス電源回路が、対応するラッ
    チ回路に入力されるデータ信号及びクロックパルスによ
    り、制限抵抗を介してコンデンサを所定のバイアス電圧
    に充電し、このバイアス電圧が圧電素子のグランド側の
    電極に印加されることを特徴とする、請求項3に記載の
    インクジェット式プリンタのヘッド駆動装置。
  5. 【請求項5】 上記バイアス電源回路が、対応するラッ
    チ回路に入力されるデータ信号及びクロックパルスによ
    り、制限抵抗を介してコンデンサを放電させて、圧電素
    子のグランド側の電極をゼロにすることを特徴とする、
    請求項3または4に記載のインクジェット式プリンタの
    ヘッド駆動装置。
  6. 【請求項6】 バイアス電源回路に入力されるデータ信
    号が、ヘッド駆動回路に入力されるデータ信号と同じビ
    ット数であることを特徴とする、請求項1から5の何れ
    かに記載のインクジェット式プリンタのヘッド駆動装
    置。
  7. 【請求項7】 バイアス電源回路に入力されるデータ信
    号が、ヘッド駆動回路に入力されるデータ信号より少な
    いビット数であることを特徴とする、請求項1から5の
    何れかに記載のインクジェット式プリンタのヘッド駆動
    装置。
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