JP3757806B2 - インクジェット式プリンタのヘッド駆動装置及び駆動方法 - Google Patents

インクジェット式プリンタのヘッド駆動装置及び駆動方法 Download PDF

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット式プリンタのヘッドにてインク滴を吐出するためのノズルに対応して設けられた圧電素子のグランド側をグランドより高い電位に保持するようにしたインクジェット式プリンタのヘッド駆動の技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、コンピュータの出力装置として、数色のインクを記録ヘッドから吐出するタイプのインクジェット式カラープリンタが普及してきており、コンピュータ等が処理した画像を多色多階調で印刷するために広く用いられている。
【0003】
例えば、インク吐出のための駆動素子として圧電素子を用いたインクジェット式プリンタでは、印刷ヘッドの複数のノズルに対応してそれぞれ設けられた複数個の圧電素子を選択的に駆動することにより、各圧電素子の動圧に基づいてノズルからインク滴を吐出させ、印刷用紙にインク滴を付着させることにより、印刷用紙にドットを形成して、印刷を行なうようにしている。
【0004】
ここで、各圧電素子は、インク滴を吐出するためのノズルに対応して設けられており、プリンタ本体内或いは印字ヘッド内に実装されたドライバICから供給される駆動信号により駆動され、インク滴を吐出させるようになっている。
【0005】
ところで、このような圧電素子は、非駆動時(すなわち印刷を行なわないとき)には、充電により蓄積された電荷が、絶縁抵抗により放電して、その電圧が低下してしまうことにより、インクの吐出に影響を与えることがある。
【0006】
このため、本出願人による特許第3097155号において、圧電素子に対して、駆動タイミングとは異なるタイミングで、充電電圧を印加して、充電電圧を維持するようにしたヘッドの駆動装置及び駆動方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなインクジェット式プリンタのヘッド駆動においては、各圧電素子に印加される駆動信号は、例えば、非駆動時に高い電圧に設定され、駆動時には電圧が低くなるように構成されている。この場合、圧電素子に印加される電圧が比較的高くなってしまうために前述した放電による電圧降下も大きく、電力損失が大きい。
【0008】
また、印刷品質の向上のために、印刷ドットの高密度化を実現しようとすると、互いに隣接する圧電素子の電極間のギャップが狭くなるが、駆動される圧電素子と非駆動の圧電素子とが隣接している場合に、これらの圧電素子の電極間電圧が高くなると、これらの圧電素子の電極間で放電が発生することがある。
【0009】
さらに、高密度化により個々の圧電素子が小さくなって、その耐圧が低くなるため、より高密度化が進んだ場合には、駆動信号の最大電圧が圧電素子の耐圧を越えることになり、圧電素子が正常に動作しなくなるおそれがある。このため、圧電素子の電極間に、絶縁材料を充填する等の絶縁処理が必要になってしまう。
【0010】
これに対して、各圧電素子のグランド側を駆動信号の中間電位に保持するようにするヘッド駆動方式もある。このようなヘッド駆動方式によれば、上述した高密度化の際の圧電素子電極間の放電を防止することができるが、駆動信号の変動に対応して、電圧を変動させると共に、充電及び放電の切換えが必要であることから、双方向の可変電源が必要となる。
【0011】
そこで、本発明の課題は、簡単な構成により、各圧電素子の電極間に印加される電圧を低下させるようにした、インクジェット式プリンタのヘッド駆動装置及びヘッド駆動方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、各圧電素子のグランド側の電極にバイアス電源回路からのバイアス電圧を印加して、各圧電素子のグランド側をグランドより高い電位に保持するようにした。
【0013】
即ち、請求項1記載のインクジェット式プリンタのヘッド駆動装置では、複数のノズルに対応してそれぞれ設けられた圧電素子を、当該圧電素子の一方の電極に所定の印字タイミングで選択的にヘッド駆動回路からの駆動信号を供給することにより駆動し、対応するノズルからインク滴を吐出させて記録を行なう、インクジェット式プリンタのヘッド駆動装置であって、複数の前記圧電素子中の非駆動の圧電素子の一方の前記電極は、前記駆動信号の中間電位に保持され、各圧電素子の他方のグランド側の電極に電極間の電位差を中間電位より低くするための所定のバイアス電圧を印加するバイアス電源回路を備えていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5記載のインクジェット式プリンタのヘッド駆動方法では、複数のノズルに対応してそれぞれ設けられた圧電素子を、当該圧電素子の一方の電極に所定の印字タイミングで選択的にヘッド駆動回路からの駆動信号を供給することにより駆動し、対応するノズルからインク滴を吐出させて記録を行なう、インクジェット式プリンタのヘッド駆動方法であって、複数の前記圧電素子中の非駆動の圧電素子の一方の前記電極は、前記駆動信号の中間電位に保持され、バイアス電源回路により、各圧電素子の他方のグランド側の電極に電極間の電位差を中間電位より低くするための所定のバイアス電圧を印加することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、バイアス電源回路から圧電素子のグランド側の電極に直接にバイアス電圧を印加することにより、圧電素子のグランド側がバイアス電圧に保持されることになる。従って、圧電素子の双方の電極間に印加される電圧が比較的低くなることから、消費電力が低減されると共に、圧電素子の自然放電による電圧降下が小さく、電力損失が低減される。
【0016】
また、圧電素子に印加される電圧が比較的低くなることによって、駆動される圧電素子と非駆動の圧電素子との間の電圧差による放電の発生も低減されると共に、高密度化によって圧電素子が小型化して耐圧が低くなったとしても、対応することができるので、圧電素子の電極間の絶縁処理を行なうことなく、ヘッドのより一層の高密度化が可能になる。
【0017】
請求項2記載のヘッド駆動装置においては、上記バイアス電源回路から出力されるバイアス電圧が、調整可能であることを特徴とする。
【0018】
請求項6記載のヘッド駆動方法においては、上記バイアス電源回路から出力されるバイアス電圧が、調整可能であることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、バイアス電源を調整することによって、個々のインクジェットプリンタ毎のバラツキによる圧電素子に印加される駆動信号の中間電位に対応して、バイアス電圧を調整することができるので、個々の圧電素子の双方の電極間に印加される電圧がより低く設定され得る。
【0020】
請求項3記載のヘッド駆動装置においては、上記バイアス電源回路が、ロジック電源回路であることを特徴とする。
【0021】
請求項7記載のヘッド駆動方法においては、上記バイアス電源回路が、ロジック電源回路であることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、バイアス電源回路がロジック電源回路として構成されることにより、簡単な構成により容易に且つ低コストでバイアス電源回路を構成することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0024】
図1は、本発明のヘッド駆動装置を用いたインクジェットプリンタの全体構成を表す機能ブロック図である。図1において、本実施形態のインクジェットプリンタは、プリンタ本体2、キャリッジ機構12、紙送り機構11、および印字ヘッド10から構成されている。紙送り機構11は、紙送りモータ(図示せず)および紙送りローラ(図示せず)などからなり、印刷用紙などの記録媒体(図示せず)を順次送り出して副走査を行うものである。キャリッジ機構12は、印字ヘッド10を搭載するキャリッジ(図示せず)と、このキャリッジをタイミングベルト(図示せず)を介して走行させるキャリッジモータ(図示せず)などからなり、印字ヘッド10を主走査させるものである。
【0025】
プリンタ本体2は、ホストコンピュータ(図示せず)などからの多値階層情報を含む印字データなどを受信するインターフェース3と、多値階層情報を含む印字データなどの各種データの記憶を行うRAM4と、各種データ処理を行うためのルーチンなどを記憶したROM5と、CPUなどからなる制御部6と、発振回路7と、ドットパターンデータに展開された印字データSIを印字ヘッド10に送信するなどの機能を担うインターフェース9とを備えている。
【0026】
ここで、印字ヘッド10は、プリンタ本体2に対して図示しないフレキシブルフラットケーブルを介して回路接続されている。図1に示すように、本実施形態のインクジェットプリンタでは、プリンタ本体2内に、駆動波形生成回路80と、この駆動波形生成回路80に接続された電流増幅回路113と、この電流増幅回路113に接続されたバイアス電源回路120とを有している。これら駆動波形生成回路80、電流増幅回路113、バイアス電源回路120の機能等については、後述する。
【0027】
ホストコンピュータなどから送られた多値階層情報を含む印字データはインターフェース3を介してプリンタ内部の受信バッファ4Aに保持される。受信バッファ4Aに保持された記録データは、コマンド解析が行われ、各文字の印字位置、修飾の種類、大きさ、フォントのアドレスなどが付加される処理が制御部6によって実行される。次に、制御部6は、解析したデータを印刷用イメージデータとして出力バッファ4Cに展開し、記憶させる。尚、RAM4には、各種作業データ等を一時的に記憶するワークメモリ(作業領域)4Bも設けられている。
【0028】
印字ヘッド10の1スキャン分に相当する印刷用イメージデータが得られると、この印刷用イメージデータは、インターフェース9を介して印字ヘッド10にシリアル転送される。印字ヘッド10は、副走査方向にたとえば96個などの多数のノズル開口を有し、所定のタイミングで各ノズル開口からインク滴を吐出させるものである。この印字ヘッド10には、シフトレジスタ13、ラッチ回路14、レベルシフタ15および複数のアナログスイッチ114aを含むヘッド駆動回路18が構成されている。プリンタ本体2の側で印刷用イメージデータに展開された印字データは、発振回路7からのクロック信号(CLK)に同期して、インターフェース9からシフトレジスタ13にシリアル転送される。このシリアル転送された印字データ(SI/印字データ)は、一旦、ラッチ回路14によってラッチされる。ラッチされた印字データSIは、電圧増幅器であるレベルシフタ15によって、各アナログスイッチ114aを駆動できる電圧、たとえば数十ボルト程度の所定の電圧にまで昇圧される。所定の電圧まで昇圧された印字データSIはアナログスイッチ114aに与えられる。
【0029】
図1に示すように、プリンタ本体2側に形成した駆動波形生成回路(ヘッドドライバIC)80において生成した駆動波形信号を、電流増幅回路113により電流増幅し、キャリッジ上に搭載した印字ヘッド10に出力している。この印字ヘッド10の側には、圧力発生室内のインクを加圧することによりノズル開口からインク滴を吐出させる複数の圧電素子111、および印字データSIに基づいて複数の圧電素子111のいずれを駆動するかをアナログスイッチ114a等を介して選択するヘッド駆動回路18が構成され、このヘッド駆動回路18によって、アナログスイッチ114aがONされている圧電素子111に駆動信号COMが印加される。その結果、当該圧電素子111は、対応する圧力発生室内のインクを加圧してノズル開口からインク滴として吐出させる。
【0030】
駆動波形生成回路80は、図2に示すように、プリンタ本体2内の制御部6等から与えられる駆動波形データを記憶するメモリ81と、メモリ81から読み出された駆動波形データを一時的に保持する第1ラッチ82と、第1ラッチ82の出力と後述する第2ラッチ84の出力とを加算する加算器83と、第2ラッチ84と、第2ラッチ84の出力をアナログデータに変換するD/A変換器86と、変換されたアナログ信号を駆動信号の電圧まで増幅する電圧増幅回路88とから構成されている。ここで、メモリ81は、駆動信号の波形を決める所定のパラメータを記憶しておくものである。後述するように、駆動信号COMの波形は、予め、上記した制御部6等から受け取った所定のパラメータにより決定される。更に、電圧増幅回路88により電圧増幅された駆動波形信号は、前述した電流増幅回路113によりアナログスイッチ114aを駆動できる程度まで電流増幅されて出力される。
【0031】
図1に示すように、電流増幅回路113の出力側は、ヘッド駆動回路18の複数のアナログスイッチ114aに接続され、各アナログスイッチ114aは、対応する圧電素子111に接続されている。そして、印字ヘッドの吐出面には、例えば、CMY、3色の各色に対応して3列(この例では、K[ブラック]はCMY3色の合成により形成される[コンポジットブラック]ものとする)に位置決めして設けられた複数(例えば、1列で96ノズル)のノズルが形成されており、それら複数のノズルにそれぞれ対応して設けられた圧電素子111を振動させることで、圧力発生室内のインクを加圧することにより複数のノズルからそれぞれインク滴を吐出させる。
【0032】
図3は、本発明によるヘッド駆動装置の一実施形態の構成を示している。図3において、ヘッド駆動装置100は、インクジェットプリンタの印字ヘッド10内の複数のノズルに対応してそれぞれ設けられた圧電素子111と、各圧電素子111に対応して設けられた複数のアナログスイッチ114aと、各圧電素子111の一方の電極111aに対して駆動信号を供給するための、本実施形態ではプリンタ本体2内に設けられた、上述した駆動波形生成回路80、電流増幅回路113及び圧電素子111の他方のグランド側の電極111bに対して所定電圧を印加するバイアス電源回路120とから構成されている。
【0033】
圧電素子111は、例えばピエゾ素子であって、双方の電極111a,111b間に印加される電圧により変位するように構成されている。そして、圧電素子111は、常時中間電位Vc付近に充電されており、駆動波形生成回路80から電流増幅回路113を介して出力される駆動信号COMに基づいて放電する際に対応するノズル内のインクに圧力を加えることにより、このノズルからインク滴を吐出する。
【0034】
駆動波形生成回路80は、ドライバICとして構成されている。電流増幅回路113は、二つのトランジスタ115,116から構成されている。このうち、第一のトランジスタ115は、コレクタが定電圧電源(例えば、42V)に接続され、ベースが駆動波形生成回路80の出力に接続されると共に、エミッタが各アナログスイッチ114aの入力側に接続されている。これにより、駆動波形生成回路80からの信号に基づいて導通して、定電圧を各アナログスイッチ114aを介して圧電素子111に供給する。
【0035】
また、第二のトランジスタ116は、エミッタが各アナログスイッチ114aの入力側に接続され、ベースが駆動波形生成回路80の出力に接続されると共に、コレクタがグランドにアース接続されている。これにより、駆動波形生成回路80からの信号に基づいて導通して、圧電素子111を各アナログスイッチ114aを介して放電させる。
【0036】
各アナログスイッチ114aは、制御信号(印字データSI)が入力されることにより、対応する圧電素子111の駆動タイミングでオンされ、駆動信号COMを圧電素子111に出力するようになっている。即ち、複数のアナログスイッチ114aは、各圧電素子111をそれぞれオンオフするための所謂トランスミッションゲート114として構成されている。
【0037】
バイアス電源回路120は、所定電圧、即ち、圧電素子111の駆動信号COMによる中間電位Vc以下の所定のバイアス電圧Vbを、圧電素子111の他方のグランド側の共通電極111bに印加するように構成されている。ここで、バイアス電源回路120は、バイアス電圧Vbを所望の電圧に調整することができるように、具体的には、例えば出力電圧5Vのロジック電源回路から構成されている。
【0038】
本発明実施形態によるヘッド駆動装置100は、以上のように構成されており、本発明によるヘッド駆動方法に基づいて、以下のように動作する。先ず、印刷の際に駆動される圧電素子111について説明すると、インクジェットプリンタの印刷開始(スタートアップ)時に、駆動波形生成回路80から生成される駆動信号COMは、図4(C)に示すように、例えば100μsの時間だけチャージ信号NCHGがLレベルに反転することによって、図4(A)に示すように、中間電位Vcまで上昇する。
【0039】
これにより、駆動信号COMにより電流増幅回路113の第一のトランジスタ115から各アナログスイッチ114aを介して各圧電素子111の一方の電極111aに電流が流れて充電することにより、圧電素子111の一方の電極111aは、図4(B)にて実線で示すように、中間電位Vcまで上昇することになる。
【0040】
このとき、各圧電素子111の他方のグランド側の共通電極111bは、バイアス電源回路120からバイアス電圧Vbが印加されることにより、図4(B)にて点線で示すように、所定電圧Vbに保持されている。
【0041】
尚、上記中間電圧Vcは、例えば駆動信号COMの最大電圧Vhに対して、例えば0.5倍等の比率αに設定される。(Vc=α・Vh)
印刷中は、駆動信号COMの変動に基づいて、充電は電流増幅回路113の第一のトランジスタ115を介して圧電素子111の一方の電極111aに行なわれ、また放電は電流増幅回路113の第二のトランジスタ116を介して圧電素子111の一方の電極111aに行なわれる。これにより、圧電素子111が駆動信号COMに基づいて作動して、インク滴を吐出する。
【0042】
ここで、図4(B)にて符号Xで示すように、圧電素子111が途中で自己放電により電圧降下を生じて、その一方の電極111aの電位が中間電位Vcより低くなることを防止するために、チャージ信号NCHGは、図4(C)にて符号Yで示すように、駆動信号COMの一定周期で、即ち駆動信号COMの変動のないタイミングで、Lレベルのパルスを発生する。
【0043】
これにより、駆動信号COMに基づいて、電流増幅回路113の第一のトランジスタ115を介して圧電素子111の一方の電極111aが充電され、非駆動の圧電素子111であっても、中間電位Vcに保持されるようになっている。
【0044】
これに対して、各圧電素子111の他方のグランド側の共通電極111bは、バイアス電源回路120からバイアス電圧Vbが印加されることにより、この電圧Vbに保持されることになる。従って、各圧電素子111は、その双方の電極111a,111b間の電位差が(Vc−Vb)となる。
【0045】
尚、バイアス電源回路120のバイアス電圧Vbを駆動信号の中間電位Vcと同じになるように調整すれば、各圧電素子111の双方の電極111a,111b間の電位差は0となる。
【0046】
さらに、印刷終了(ストップエンド)時には、駆動波形生成回路80からの駆動信号COMは、図4(A)に示すように、圧電素子111の一方の電極111aから電流増幅回路113の第二のトランジスタ116を介して放電されることにより、電位0まで低下する。これに対して、非駆動の圧電素子111については、駆動波形生成回路80からの駆動信号COMによって、圧電素子111の一方の電極111aは、常に中間電位Vcに充電され、保持されている。
【0047】
このようにして、圧電素子111のグランド側の電極111bの電位は、バイアス電源回路120からのバイアス電圧Vbにより、一定の電圧Vbに保持されるので、圧電素子111の双方の電極111a,111b間の電位差が低く保持されると共に、駆動される圧電素子と非駆動の圧電素子が隣接する場合、これらの圧電素子111の一方の電極111a間の電圧差も低く保持されることになる。
【0048】
従って、圧電素子111における消費電力が低減されると共に、圧電素子111の自己放電による電圧降下が小さく、電力損失が低減されることになる。
【0049】
また、駆動される圧電素子111と非駆動の圧電素子111との間の電位差が低くなるので、このような圧電素子111が隣接する場合であっても、圧電素子111間の放電の発生が低減されると共に、高密度化によって個々の圧電素子111の耐圧が低くなったとしても、圧電素子111間の絶縁処理を行なう必要がないので、ヘッドの高密度化を容易に実現することが可能になる。
【0050】
上述した実施形態においては、圧電素子111として例えばピエゾ素子が使用されているが、これに限らず、他の圧電素子、例えば電歪素子,磁歪素子等を使用してもよい。
【0051】
また、上述した実施形態においては、バイアス電源回路120は、例えばロジック電源回路により構成されているが、これに限らず、所定電圧を出力できるように構成されていれば、他の構成の電源回路を使用することも可能である。
【0052】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、バイアス電源回路から圧電素子のグランド側の電極に直接にバイアス電圧を印加することにより、圧電素子のグランド側が所定電圧に保持されることになる。従って、圧電素子の双方の電極間に印加される電圧が比較的低くなることから、高密度化によって圧電素子が小型化して耐圧が低くなったとしても、対応することができるので、圧電素子の電極間の絶縁処理を行なうことなく、ヘッドのより一層の高密度化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヘッド駆動装置を用いたインクジェットプリンタの全体構成を表す機能ブロック図である。
【図2】図1に示したインクジェットプリンタにおける駆動波形生成回路の内部構成を表す機能ブロック図である。
【図3】本発明によるヘッド駆動装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図4】図3のヘッド駆動装置における(A)駆動信号,(B)圧電素子の双方の電極電圧及び(C)チャージ信号の変動を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
100 ヘッド駆動装置
111 圧電素子
111a 一方の電極
111b グランド側の電極
80 駆動波形生成回路
113 電流増幅回路
114 トランスミッションゲート
114a アナログスイッチ
115 第一のトランジスタ
116 第二のトランジスタ
120 バイアス電源回路

Claims (7)

  1. 複数のノズルに対応してそれぞれ設けられた圧電素子を、当該圧電素子の一方の電極に所定の印字タイミングで選択的にヘッド駆動回路からの駆動信号を供給することにより駆動し、対応するノズルからインク滴を吐出させて記録を行なう、インクジェット式プリンタのヘッド駆動装置であって、
    複数の前記圧電素子中の非駆動の圧電素子の一方の前記電極は、前記駆動信号の中間電位に保持され、
    各圧電素子の他方のグランド側の電極に、電極間の電位差を中間電位より低くするための所定のバイアス電圧を印加するバイアス電源回路を備えていることを特徴とする、インクジェット式プリンタのヘッド駆動装置。
  2. 上記バイアス電源回路から出力されるバイアス電圧が、調整可能であることを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット式プリンタのヘッド駆動装置。
  3. 上記バイアス電源回路が、ロジック電源回路であることを特徴とする、請求項1または2の何れかに記載のインクジェット式プリンタのヘッド駆動装置。
  4. 請求項1から3の何れかに記載のヘッド駆動装置を有していることを特徴とするインクジェット式プリンタ。
  5. 複数のノズルに対応してそれぞれ設けられた圧電素子を、当該圧電素子の一方の電極に所定の印字タイミングで選択的にヘッド駆動回路からの駆動信号を供給することにより駆動し、対応するノズルからインク滴を吐出させて記録を行なう、インクジェット式プリンタのヘッド駆動方法であって、複数の前記圧電素子中の非駆動の圧電素子の一方の前記電極は、前記駆動信号の中間電位に保持され、
    バイアス電源回路により、各圧電素子の他方のグランド側の電極に、電極間の電位差を中間電位より低くするための所定のバイアス電圧を印加することを特徴とする、インクジェット式プリンタのヘッド駆動方法。
  6. 上記バイアス電源回路から出力されるバイアス電圧が、調整可能であることを特徴とする、請求項5に記載のインクジェット式プリンタのヘッド駆動方法。
  7. 上記バイアス電源回路が、ロジック電源回路であることを特徴とする、請求項5または6の何れかに記載のインクジェット式プリンタのヘッド駆動方法。
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