JP2003238732A - 樹脂用配合剤、その製法及び樹脂組成物 - Google Patents

樹脂用配合剤、その製法及び樹脂組成物

Info

Publication number
JP2003238732A
JP2003238732A JP2002044230A JP2002044230A JP2003238732A JP 2003238732 A JP2003238732 A JP 2003238732A JP 2002044230 A JP2002044230 A JP 2002044230A JP 2002044230 A JP2002044230 A JP 2002044230A JP 2003238732 A JP2003238732 A JP 2003238732A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
particles
zeolite
silicate
aluminosilicate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002044230A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4039864B2 (ja
Inventor
Hiroshige Yasuzawa
宏重 安澤
Michiharu Ogasa
道治 織笠
Kazuyoshi Sugano
和良 菅野
Hitoshi Nakada
斉 中田
Yoshinobu Komatsu
善伸 小松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
Original Assignee
Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mizusawa Industrial Chemicals Ltd filed Critical Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
Priority to JP2002044230A priority Critical patent/JP4039864B2/ja
Publication of JP2003238732A publication Critical patent/JP2003238732A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4039864B2 publication Critical patent/JP4039864B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンチブロッキング性と透明性との組み合わ
せに優れたゼオライト系の樹脂用配合剤及びこの樹脂用
配合剤を配合した樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 定形粒子構造とゼオライトに特有のX線
回折像とを有するアルミノケイ酸塩粒子と、アルミノケ
イ酸塩粒子の表面に沈着した活性非晶質ケイ酸乃至ケイ
酸塩の微粒子との複合体からなる樹脂用配合剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゼオライトとその
表面に沈着した非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩とからなる樹
脂用配合剤、その製法及びフィルム形成性熱可塑性樹脂
と前記樹脂用配合剤とを含有する樹脂組成物に関するも
ので、より詳細にはアンチブロッキング性と透明性との
組み合わせに優れた樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】定形粒子構造を有するゼオライト系粒子
は、樹脂フィルム用のアンチブロッキング剤や、その他
の樹脂配合剤として広く用いられている。
【0003】本発明者らの提案に係る特公昭61−36
866号公報には、立方体の粒子形態を有するゼオライ
トを、その粒子形態が実質上損なわれない条件下に酸処
理して得られる非晶質アルミナシリカを樹脂用配合剤と
して用いることが記載されている。
【0004】特公平6−17217号公報には、P型ゼ
オライトに特有のX線回折像を有し且つ個々の粒子が全
体として明確な球状粒子とギザギザの表面を有するゼオ
ライト粒子を合成する工程、及び上記ゼオライト粒子を
2価金属イオンでイオン交換させる工程、次いで該イオ
ン交換粒子を200℃乃至700℃で焼成することを特
徴とするシリカ・アルミナ系球状粒子の製造法及び特定
の化学組成と表面形状とを有し、減少された吸湿性と増
加した屈折率を有する非晶質ケイ酸アルミナ粒子が記載
されている。
【0005】更に、特公平6−43515号公報には、
多孔質で非晶質のシリカ或いはシリカ・アルミナのコア
と非晶質ケイ酸の多孔質シエルとから成り、全体として
立方体乃至球体の定形の粒子形状と多孔質状のシエル構
造を有する粒子から成り、85乃至200cc/100g
の吸油量、0.1乃至0.6g/ccのカサ比重及び0.5乃至10.0
μmの体積基準メジアン径を有することを特徴とする充
填剤が記載されており、このものは、ゼオライトとゼオ
ライト中のSiOを基準にして2乃至40重量%のS
iOに相当するケイ酸アルカリとを含有する水性スラ
リーを製造し、このスラリー中に酸を添加してゼオライ
トのコアに非晶質ケイ酸の多孔質シエルが結合した被覆
粒子を製造し、被覆粒子のスラリー中に酸の添加を続行
して、ゼオライト中のアルカリ成分或いは更にアルミニ
ウム分の少なくとも一部を溶出させ、コアのゼオライト
を非晶質のシリカ或いはシリカ・アルミナに転化させる
ことにより製造されることも記載されている。
【0006】特開2000−233919号公報には、
溶解したケイ酸アルカリを含む、定形粒子構造を有する
ゼオライトのスラリーに、アルカリ金属以外の金属の水
溶性塩を添加して、添加した金属でイオン交換されたゼ
オライトのコアと、非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩からなる
シェルとから成る粒子を形成させ、分離した被覆粒子を
乾燥乃至焼成することを特徴とするアルミノシリカ系粒
子の製造方法が記載されており、このアルミノシリカ系
粒子はフィルムに配合したときの摩耗性や耐擦傷性が解
消されており、アンチブロッキング性も向上しているこ
とも記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ゼオライトの定形粒子
性を利用し、これらを非晶質化することにより、その吸
湿性を低減させたアルミノシリカ系粒子は、フィルム等
に配合したとき、アンチブロッキング性に優れていると
いう利点を与えるが、粒子の表面が硬く摩耗性が大であ
り、例えばフィルムがこすられたとき、フィルム表面に
傷が入りやすいという改善すべき点がある。
【0008】また、ゼオライトのイオン交換により、金
属成分を導入し非晶質化したアルミノシリカ系粒子は、
屈折率が向上し、樹脂フィルムの屈折率に相当する屈折
率とすることにより、配合樹脂フィルムの透明性をも向
上させ得るという利点をも有するものであるが、やはり
摩耗性が大きく、また粒子の嵩比重が大きくなってアン
チブロッキング性にやや劣る場合をも生じる。
【0009】更に、ゼオライトコアを酸処理やイオン交
換・焼成処理により非晶質化すると共に、表面に非晶質
ケイ酸の被覆を設けたアルミノシリカ系粒子は、フィル
ム等に配合したときの摩耗傾向或いは擦傷傾向がかなり
改善されているという利点を有するが、配合樹脂フィル
ムの透明性の点で未だ不満足である。
【0010】特に、アルミノケイ酸塩粒子を主体とする
樹脂用配合剤は、キャストフィルムの用途に用いる場合
には優れたアンチブロッキング性が得られるとしても、
インフレーションフィルムの用途に用いた場合には、必
ずしも満足すべきアンチブロッキング性能が得られない
という問題がある。
【0011】従って、本発明の目的は、上記従来技術の
欠点が解消され、アンチブロッキング性と透明性との組
み合わせに優れたゼオライト系の樹脂用配合剤及びこの
樹脂用配合剤を配合した樹脂組成物を提供するにある。
本発明の他の目的は、上記の樹脂用配合剤を少ない工程
数で、優れた生産性を以て安価に製造しうる方法を提供
するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、定形粒
子構造とゼオライトに特有のX線回折像とを有するアル
ミノケイ酸塩粒子と、アルミノケイ酸塩粒子の表面に沈
着した活性非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の微粒子との複合
体からなることを特徴とする樹脂用配合剤が提供され
る。本発明の樹脂用配合剤においては、 1.前記複合体はアルミノケイ酸塩粒子と非晶質ケイ酸
乃至ケイ酸塩の微粒子とを95:5乃至50:50の重
量比で含有するものであること、 2.表面水酸基量が450μmol/g以上であるこ
と、 3.アルミノケイ酸塩粒子がPc型ゼオライトに特有の
X線回折像を有するものであること、 4.アルミノケイ酸粒子が実質上球状の粒子構造を有す
ること、 5.非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩粒子がアルミノケイ酸塩
粒子の1次粒径に比して1/10以下の微細粒子からな
ること、 6.嵩密度が1.2g/ml以下であり、吸油量が10
ml/100g以上であること、 が好ましい。本発明によればまた、溶解したケイ酸アル
カリを含む定形粒子構造を有するゼオライト型アルミノ
ケイ酸塩のスラリーに、アルミノケイ酸塩の結晶性を実
質上損なわないがケイ酸アルカリの中和乃至分解を生じ
るに十分な酸または水溶性金属塩を添加して、アルミノ
ケイ酸塩粒子とその表面に沈着した活性非晶質ケイ酸乃
至ケイ酸塩の微粒子との複合体を生成せしめることを特
徴とする樹脂用配合剤の製法が提供される。本発明によ
れば更に、フィルム形成性熱可塑性樹脂に前記樹脂用配
合剤を配合してなることを特徴とする樹脂組成物が提供
される。本発明の樹脂組成物においては、 1.熱可塑性樹脂100重量部当たり樹脂用配合剤を
0.05乃至20重量部の量で含有すること、 2.フィルム形成性熱可塑性樹脂がプロピレン系重合体
であること、 3.カルボキシル基、その無水物基、そのアミド基また
はその塩の基を有する有機物からなる分散剤及び/また
は滑剤を更に含有すること、 4.熱可塑性樹脂100重量部当たり分散剤及び/また
は滑剤を0.05乃至5重量部の量で含有すること、が
好ましい。
【0013】
【発明の実施形態】本発明者らは、溶解したケイ酸アル
カリを含む定形粒子構造を有するゼオライト型アルミノ
ケイ酸塩のスラリーに、アルミノケイ酸塩の結晶性を実
質上損なわないがケイ酸アルカリの中和乃至分解を生じ
るに十分な酸または水溶性金属塩を添加することによ
り、アルミノケイ酸塩粒子とその表面に沈着した活性非
晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の微粒子との複合体を生成せし
めることに成功した。また、この複合体は樹脂用配合剤
としての用途に特に適していることを見いだした。
【0014】本発明の樹脂用配合剤は、定形粒子構造と
ゼオライトに特有のX線回折像とを有するアルミノケイ
酸塩粒子と、活性非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の微粒子と
からなり、しかもこの微粒子がアルミノケイ酸塩粒子の
表面に沈着して形成されていることが顕著な特徴であ
り、この樹脂用配合剤はポリプロピレン等のフィルム形
成用樹脂に配合したとき、透明性とアンチブロッキング
性との組み合わせに特に優れている。
【0015】公知のケイ酸系乃至アルミノケイ酸系アン
チブロッキング剤(以下、AB剤と記載することがあ
る)では、透明性とアンチブロッキング性との両方に関
して満足しうるものは未だ知られていない。先に紹介し
た特公平6−17217号公報や、特開2000−23
3919号公報に見られる、ゼオライトをイオン交換と
乾燥乃至焼成とで非晶質化したものは、樹脂に配合した
ときの透明性には優れているが、アンチブロッキング性
が未だ不十分であり、ブロッキング力の一層の低減が望
まれている。一方、ブロッキング力の小さなものとして
は、市販のケイ酸系AB剤(A社製)があるが、このも
のは樹脂に配合したときのヘーズが高く、透明性に劣る
という問題を有している。
【0016】本発明では、定形粒子構造と結晶構造とを
有するゼオライト型アルミノケイ酸塩粒子と活性非晶質
ケイ酸乃至ケイ酸塩とを複合体とし、この複合体をフィ
ルム形成性熱可塑性樹脂に配合し、この樹脂組成物をフ
ィルムに成形することにより、後述する例に示すとお
り、フィルムのブロッキング力を低減し、透明性に優れ
たフィルムを得る事ができる。
【0017】本発明の樹脂用配合剤が、低減されたブロ
ッキング力とヘーズとを示すのは、多くの実験の結果現
象として見いだされたものであり、その理由は未だ解明
されていないけれども、次のように考えられるが、本発
明は勿論これによって何らかの拘束を受けるものではな
い。本発明の複合体では、定形粒子構造と結晶構造とを
有するゼオライト型アルミノケイ酸塩粒子の周囲に、そ
の場で形成された活性非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩がバル
キーな状態で沈着したハード・ソフト構造となってい
る。このコア粒子の表面に存在する非晶質ケイ酸乃至ケ
イ酸塩は、マトリックスである樹脂を硬化させ、これに
一種の架橋構造をもたらすと信じられる。この樹脂の硬
化乃至架橋はコア粒子の表面で生じるため、ブロッキン
グ力の減少に役立つ凸部の形成が有効に行われるものと
考えられる。これは、インフレーション法によるフィル
ムの製造の場合に特に有効に機能する。即ち、インフレ
ーション製膜法では、溶融状態の樹脂膜が次第に冷却さ
れ、延伸されるが、膜表面に形成される架橋部(非溶融
部)が凸部を形成し、ブロッキング力の低減に役立って
いると思われる。更に、本発明の樹脂用配合剤では、配
合樹脂のヘーズが小さな値に抑制され、透明性が向上し
ているが、これは、前述した粒子構造が、光学的に透明
性向上に寄与していることに加えて、樹脂の結晶化促進
による透明性向上の寄与もあるものと推定される。
【0018】本発明に用いる複合体では、アルミノケイ
酸塩粒子と非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の微粒子とを9
5:5乃至50:50、特に95:5乃至70:30の
重量比で含有することが望ましい。非晶質ケイ酸乃至ケ
イ酸塩の量比が上記範囲を下回ると、ブロッキング力が
かなり大きい値を示すのに対して、この量比が上記範囲
内にある場合には、配合フィルムのブロッキング力を有
効に低減させることが可能となる。また、この複合体で
は非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の量比が多くなりすぎる
と、ヘーズが増大する傾向があると共に、非晶質ケイ酸
乃至ケイ酸塩の増大は生産性の低下やコストの増大にも
つながるので、上記範囲内にあることが好ましい。
【0019】本発明に用いる樹脂用配合剤は、アンチブ
ロッキング性及び透明性の点で、表面水酸基量が450
μmol/g以上であることが好ましい。この表面水酸
基は、前に説明した樹脂の架橋部の形成や結晶化と密接
に関係しており、上記範囲内にあることにより、優れた
アンチブロッキング性及び透明性が得られるものであ
る。
【0020】本発明の樹脂用配合剤のコア粒子であるア
ルミノケイ酸塩粒子は、Pc型ゼオライトに特有のX線
回折像を有するものであることが好ましく、特に実質上
球状の粒子構造を有することが好ましい。一般的に言っ
て下記式(1)、 A=r/r ‥‥(1) 式中、rは前記粒子の電子顕微鏡写真輪郭の外接円半
径を表わし、rはその内接円半径を表わす、で定義さ
れる真円度(A)が0.90乃至1.0 、特に0.95乃至1.0の
範囲内にあるものが好ましい。このコア粒子から形成さ
れた複合体は、樹脂中への分散性に優れており、更に配
合樹脂のアンチブロッキング性及び透明性にも優れてい
る。
【0021】[複合体の製造]本発明によれば、溶解し
たケイ酸アルカリを含む定形粒子構造を有するゼオライ
ト型アルミノケイ酸塩のスラリーに、アルミノケイ酸塩
の結晶性を実質上損なわないがケイ酸アルカリの中和乃
至分解を生じるに十分な酸または水溶性金属塩を添加す
ることにより、アルミノケイ酸塩粒子とその表面に沈着
した活性非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の微粒子との複合体
を生成せしめる。
【0022】ゼオライトは無機イオン交換体、特にケイ
酸質イオン交換体の総称であり、一般にイオン交換可能
なアルカリ金属イオンを含有している。ゼオライトは、
鉱物学的には、テクトケイ酸塩乃至テクトアルミノケイ
酸塩に属し、SiO四面体4個の頂点の何れもが相隣
るSiO四面体或いはAlO八面体と結合し、3次
元状の立体網目構造を形成している。この立体網目構造
を反映して、特有のX線回折像を示す。
【0023】本発明では、このようなゼオライトのうち
定形粒子構造及び結晶構造を有するものを選択し、これ
を、最終被覆アルミノシリカ粒子が定形粒子となるよう
に、コアとして利用し、しかもゼオライト構造中に、結
晶構造が保存されるようにするものである。即ち、特開
2000−233919号公報に見られる方法では、コ
アとなるゼオライトをイオン交換と乾燥乃至焼成とで非
晶質化するのに対して、本発明では、コアとなるゼオラ
イトに結晶構造が保存されるように処理を行うのであっ
て、この点において両者は相違している。
【0024】本発明に用いるゼオライトは、定形粒子構
造及び結晶構造を有するものであれば、何れをも使用す
ることができ、例えばゼオライトA、ゼオライトX、ゼ
オライトY、ゼオライトPc、アナルサイム、ソーダラ
イトなどから選択して用いることができる。本発明のア
ルミノシリカ系複合粒子を製造するには、球状で樹脂フ
ィルムのAB剤に適するPc型ゼオライトの使用が望ま
しいので、この場合について専ら説明するが、本発明は
この場合に限定されない。
【0025】本発明のシリカアルミナ複合粒子を製造す
るに際しては、先ずPc型ゼオライトに特有のX線回折
像を有し且つ個々の粒子が全体として明確な球状形状を
有するゼオライト粒子を製造する。この原料ゼオライト
は、ギザギザ状の表面を有することが、非晶質ケイ酸乃
至ケイ酸塩のシェルを確実に付着させるために好まし
い。
【0026】この粒子形状のPc型ゼオライトは、ケイ
酸ナトリウムまたは活性ケイ酸ゲル、シリカゾル、メタ
カオリン、アルミン酸ナトリウム、アルミナゾル及び水
酸化ナトリウムを、下記条件を満足するように混合して
アルミノケイ酸アルカリのゲルを生成させ、このゲルを
均質化した後、80乃至200℃の温度で常圧もしくは
水熱条件下で結晶化を行うことにより製造される。
【0027】各原料の組成比は次の通りである。 成分比 モル比 好適モル比 NaO/SiO 0.2 〜 8 0.5 〜2.0 SiO/Al 3 〜 20 4〜10 HO/NaO 20 〜200 30〜100
【0028】生成したゼオライトは、スラリーの状態で
そのまま次の工程に用いることもできるし、デカンテー
ションなどにより母液の少なくとも一部を除いた後次の
工程に用いることもできるし、或いは更に水洗し、必要
により所定の粒度への分級操作を行った後、次の工程に
用いることもできる。
【0029】原料Pc型ゼオライトの化学組成の一例を
示すと、下記式(2)の通りである。 kNaO・pSiO・Al・q’HO ‥(2) 式中、kは1.1±0.2 の数であり、pは4±1.5の数であ
り、q’は1.0以下の数である。
【0030】本発明で用いるゼオライトのスラリーは、
上記ゼオライトに加えて、このスラリーの水性媒体中に
溶解したケイ酸アルカリを含有する。このケイ酸アルカ
リは、ゼオライトの合成に用いたケイ酸アルカリの残分
でもよいし、ゼオライトの合成後に加えたケイ酸アルカ
リであってもよいし、またこれらの両方からなっていて
もよい。
【0031】ゼオライトスラリーに対して、存在させる
べきケイ酸アルカリの量は、ゼオライトの固形分基準
で、シリカ(SiO)として5乃至50重量%、特に
10乃至30重量%であるのがよい。ケイ酸アルカリの
量が上記範囲よりも少ない場合には、配合樹脂のブロッ
キング力がかなり大きい値を示すようになり、アンチブ
ロッキング性の点で好ましくない。また、ケイ酸アルカ
リが多くなりすぎると、ヘーズが増大する傾向があると
共に、生産性の低下やコストの増大にもつながるので好
ましくない。
【0032】本発明では、溶解したケイ酸アルカリを含
むゼオライト型アルミノケイ酸塩のスラリーに、アルミ
ノケイ酸塩の結晶性を実質上損なわないがケイ酸アルカ
リの中和乃至分解を生じるに十分な酸または水溶性金属
塩を添加する。
【0033】ケイ酸アルカリの中和による非晶質ケイ酸
の生成を選択的に行うには、ゼオライトの水性スラリー
に、pHが6乃至8になるように酸をゆっくり添加する
のがよい。酸としては、無機酸でも有機酸でも使用しう
るが、経済性や操作の簡便さの点から、硫酸、塩酸、リ
ン酸等の鉱酸類、特に硫酸の使用が望ましい。
【0034】一方、水溶性金属塩としては、ケイ酸アル
カリを活性ケイ酸塩に分解可能なものが使用され、アル
カリ以外の金属、例えば周期律表第1b族金属、第2a
族金属、第2b族金属、4b族金属、及び第8族金属の
水溶性塩類を使用できる。具体的には、Ag,Cu,C
a ,Mg ,Zn ,Ba ,Sr ,Ti,Sn ,Fe ,Ni
,Cr 等の水溶性塩、例えば塩化物、硝酸塩、硫酸塩
等の水溶液を使用し得る。特に、塩化カルシウムの使用
が最も好ましい。
【0035】金属塩水溶液の添加量は、液のスラリー濃
度やケイ酸アルカリの含有量によっても相違するが、一
般にケイ酸アルカリ含有ゼオライトスラリー中のゼオラ
イトに含まれるNaO 1モルに対して、金属塩を
0.1乃至2.0モル、特に0.5乃至1.0モルで添
加するのがよい。
【0036】ケイ酸アルカリの酸による中和或いは水溶
性金属塩による分解は、一般に20乃至90℃の温度で
行うのが好ましく、また処理時間は30乃至300分間
程度が適当である。処理後の生成物は、濾過、水洗、乾
燥乃至焼成、粉砕等の後処理を行って、製品とする。
【0037】複合体粒子の典型的な一製造例では、ケイ
酸ソーダを含むPc型ゼオライトの生成液を約75℃の
温度で攪拌し、約14%の硫酸を反応系のpHが6〜8
になるようにゆっくり添加する。次いで、攪拌下に約1
時間放置した後、濾過水洗し、110℃で乾燥した後、
粉砕して製品とする。
【0038】複合体粒子の典型的な他の製造例では、P
c型ゼオライトのケーキを約15%のスラリー濃度にな
るようにスラリー化する。このスラリーに対して、ケイ
酸ソーダを固形分に対して約10%のSiOに相当す
る割合で添加する。このスラリーを攪拌下に約1時間放
置した後、攪拌下に約75℃に昇温し、ケイ酸ソーダの
分解処理を行う。分解処理では、塩化カルシウムの水溶
液をケイ酸アルカリ含有ゼオライトスラリー中のゼオラ
イトに含まれるNaO 1モル当たり約0.5モル添
加する。分解処理後、攪拌下に約1時間放置した後、濾
過水洗し、110℃で乾燥した後、粉砕して製品とす
る。
【0039】[複合体粒子]上記方法で製造される複合
体粒子は、定形粒子構造とゼオライトに特有のX線回折
像とを有するアルミノケイ酸塩粒子と、アルミノケイ酸
塩粒子の表面に沈着した活性非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩
の微粒子との複合体からなるが、この粒子構造は走査型
電子顕微鏡写真により確認することができる。
【0040】添付図面の図1は中和法により生成した複
合体粒子の走査型電子顕微鏡写真であり、図2は分解法
により生成した複合体粒子の走査型電子顕微鏡写真であ
り、図3は原料として用いたアルミノケイ酸塩粒子の走
査型電子顕微鏡写真である。これらの走査型電子顕微鏡
写真から、本発明の複合体では、定形粒子構造のアルミ
ノケイ酸塩粒子をコアとし、これに非晶質ケイ酸乃至ケ
イ酸塩の微粒子が沈着した構造を有することがわかる。
また、これらの写真によると、非晶質ケイ酸乃至ケイ酸
塩の微粒子の沈着状態は、活性ケイ酸に特有の嵩高なも
のであることも了解される。
【0041】また、本発明による複合体粒子において、
アルミノケイ酸塩コア粒子がゼオライトに特有の結晶構
造を保有している事実は、X線回折像により確認するこ
とができる。添付図面の図4は中和法により生成した複
合体粒子のX線回折像であり、図5は分解法により生成
した複合体粒子のX線回折像であり、図6は原料として
用いたアルミノケイ酸塩粒子のX線回折像である。これ
らのX線回折像から、本発明による複合体粒子では、中
和乃至分解処理にもかかわらず、コア粒子の結晶構造が
実質上維持されていることが明らかである。
【0042】本発明の複合体粒子のコアにおいては、製
造過程においてゼオライト中のアルミナ分のロスを生じ
ないことから、SiO/Alのモル比が出発原
料のゼオライトとほぼ同一の範囲にあり、一般に2.5
乃至4.5、特に3乃至4.5の範囲にある。
【0043】本発明に用いる複合体粒子においては、コ
ア粒子と微粒子シェルとが前述した量比で存在するが、
シェルを構成する非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩は、1次粒
径の微細なものであり、アルミノケイ酸塩粒子の1次粒
径に比して1/10以下の微細粒子からなることが好ま
しい。
【0044】本発明に用いる複合体粒子は、電子顕微鏡
による一次粒子径が0.5乃至20μm、特に1乃至1
0μmの範囲にある。アンチブロッキング作用の点でい
えば、用いる粒子の粒径には一定の好適範囲があり、上
記粒径のものは、アンチブロッキング作用に優れてい
る。
【0045】本発明による複合体粒子は、嵩密度(Jl
S−K−6721)が1.2g/ml以下である。即
ち、この複合体粒子は、コア粒子に比して小さい嵩密度
を有し、全体としての嵩密度は、1.2g/ml以下、
特に0.3乃至0.9g/mlの範囲にあるのが好まし
い。本発明による複合体粒子はコア粒子の嵩密度よりも
5乃至50%程度低い嵩密度を示すが、これは、シェル
の量が50乃至5重量%と少ないことから見て、シェル
を構成する非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩が嵩高な状態で存
在していることを物語っている。
【0046】また、本発明の複合体粒子が、アルミノ珪
酸塩粒子と、非晶質ケイ酸乃至ケイ酸微粒子との単なる
ブレンド品と違うことは、後述の実施例に記載する嵩密
度の測定結果から明らかである(実施例2及び比較例3
を参照)。このことはブレンド品を用いた場合、輸送時
の偏析、或いは樹脂へ配合するときに均一に配合するこ
とが難しいこと等が、本発明では起きにくいために、ハ
ンドリング性に優れていると言える。
【0047】更に、上記嵩密度にも関係するが、複合体
粒子は、吸油量が10ml/100g以上であることが
好適であり、特に30乃至60ml/100gの範囲に
あることが推奨される。
【0048】一般的な粉末物性としてのBET比表面積
は、2.0乃至50m/gの範囲内にある。即ち、こ
の複合体粒子は表面活性が比較的小さく、雰囲気中での
影響が小さい。
【0049】また、この複合体粒子の内、酸中和法や、
周期律表第2族の金属塩による分解法によるものでは、
ハンター反射法による白色度が95%以上と白色度に優
れている。
【0050】更に、本発明による複合体粒子は、ゼオラ
イト粒子そのものやイオン交換と熱処理により非晶質化
したゼオライト粒子に比べて、耐摩耗性及び耐擦傷性が
顕著に改善されている。耐摩耗性は、後述する実施例の
ワイヤー摩耗試験により評価できるが、イオン交換と熱
処理により非晶質化したゼオライト粒子の摩耗量はかな
り多いのに対して、本発明による複合粒子の摩耗量は少
なく、本発明の優れた効果が明らかである。
【0051】本発明による複合体粒子は、所望に応じ、
その表面を改質処理することができる。例えば、無機酸
化物、例えば酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウ
ム、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化
カルシウム、;シラン系、チタニウム系或いはジルコニ
ウム系のカップリング剤;脂肪酸、樹脂酸や各種石鹸、
アミド、エステル等の誘導体で被覆し或いは表面処理し
ておくことができる。
【0052】[用途]本発明の複合体粒子は、樹脂用配
合剤として有用である。例えば、種々のフィルム形成用
樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、線状低密
度ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン−エチレン共重
合体、イオン架橋オレフィン共重合体、エチレン−酢酸
ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑
性ポリエステル;6−ナイロン、6,6−ナイロン等の
ポリアミド;塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等の
塩素含有樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン類;ポ
リアセタール等の熱可塑性樹脂に配合して、形成される
樹脂成形品、例えば二軸延伸フィルム等にスリップ性乃
至アンチブロッキング性を付与する目的に使用できる。
特にポリアミド、ポリエステル等には重合前に添加して
使用することもできる。
【0053】この用途に対しては、熱可塑性樹脂100
重量部に対して、本発明の樹脂用配合剤を0.05乃至
20重量部、特に0.05乃至5重量部、更に好ましく
は0.05乃至1重量部の配合比で用いるのがよい。樹
脂用配合剤の量が上記範囲を下回ると、アンチブロッキ
ング性能が不十分となる傾向があり、一方上記範囲を上
回ると、アンチブロッキング性能の向上には限度がある
と共に、透明性が低下するので好ましくない。
【0054】本発明による樹脂用配合剤を樹脂に配合す
るときには、分散剤、特に滑剤としての作用をも有する
分散剤と組み合わせで用いることが推奨される。このよ
うな分散剤としては、カルボキシル基、その無水物基、
そのアミド基またはその塩の基を有する有機物が挙げら
れる。
【0055】その適当な例としては、ステアリン酸、ラ
ウリン酸等の脂肪酸系のもの、ステアリン酸アミド、バ
ルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミ
ド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステア
ロアミド等の脂肪酸モノアミド系またはビスアミド系の
もの、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシ
ウム等の金属石ケンおよびそれらの混合系が一般に用い
られるが、特に脂肪酸モノアミド系またはビスアミド系
が好ましい。更に、無水マレイン酸グラフト変性ポリエ
チレンワックスや無水マレイン酸グラフト変性オレフィ
ン系樹脂も、この目的に好適に使用される。
【0056】上記の分散剤及び/または滑剤は、樹脂1
00重量部当たり0.05乃至5重量部、特に0.1乃
至1重量部の量で配合することが好ましい。
【0057】本発明の樹脂組成物は、それ自体公知の製
膜法、例えばインフレーション製膜法、T−ダイ製膜法
で延伸フィルムに成形することができ、得られたフィル
ムはアンチブロッキング性、透明性に優れている。
【0058】また、本発明の樹脂用配合剤は、成形用熱
硬化型樹脂や被覆形成用塗料に対する充填剤乃至補強
剤、更には艶消し剤としての用途に供することもでき
る。
【0059】
【実施例】本発明を次の実施例により更に説明する。実
施例で行った測定方法は、以下のように行った。
【0060】(1)X線回折 理学電機(株)製のガイガーフレックスRAD−IBシ
ステムを用いて、Cu−Kαにて測定した。 ターゲット Cu フィルター 湾曲結晶グラファイトモノクロメーター 検出器 SC 電圧 40KVP 電流 20mA カウントフルスケール 700c/s スムージングポイント 25 走査速度 1°/min ステップサンプリング 0.02° スリット DS1° RS0.15mm SS1° 照角 6°
【0061】(2)表面水酸基量 試料を120℃で2時間乾燥し、シリカゲルデシケータ
中で室温まで放置冷却させる。この試料2gを三角フラ
スコに入れ、脱水したトルエン40mlを加える。系内
を乾燥したNガスで置換後、トリエチルアルミニウム
の11vol%トルエン溶液を攪拌下に加え、試料表面の
OH基とトリエチルアルミニウムとの反応により発生す
るエタンガス量を定量し、OH基の量を下記式より算出
する。 n=PV/RTW ここで、n:表面OH基量(mol/g)、 P:圧力(atm)、 V:エタンガス発生量(L)、 R:気体定数、 T:温度(K)、 W:試料重量(g)
【0062】(3)嵩密度 JIS K−6721に準拠して測定した。また、実施
例2及び比較例3の試料については、次の条件でも嵩密
度を測定した(タッピング法とする)。所定比に混合し
た粉体を円筒形ポリ容器に入れ、一定の高さから10回
タッピングを行った後、容器の上層から採取した粉体の
嵩密度を測定し、JIS法の値と比較した。
【0063】(4)吸油量 JIS K−5101−19に準拠して測定した。
【0064】(5)摩耗性 日本フィルコン株式会社製、NF式摩耗試験機を用いて
摩耗度を測定した。本測定法は試料濃度2wt%の試験液
を、ブロンズ製メッシュに流通循環させ、180分間にお
けるメッシュの重量変化から摩耗性を以下のように測定
した。 ○:ほとんど摩耗がない。 △:少し摩耗がある。 ×:かなり摩耗がある。
【0065】(合成1)P型ゼオライトの合成 3号ケイ酸ソーダ(SiO 27wt%,Na
9.0wt%)、アルミン酸ナトリウム(Al
22.5wt%,NaO 15.5wt%)、苛性ソ
ーダを用いて下記モル比で全体が16Kgになるように希
ケイ酸ソーダ液と希アルミン酸ナトリウム液を調製し
た。 Na2O/SiO2 = 0.8 SiO2/Al2O3 = 8.0 H2O /Na2O = 70 次に内容積約25Lのステンレス製容器中で希ケイ酸ソ
ーダ液8.2 Kgと希アルミン酸ナトリウム7.8 Kgを撹拌下
ゆっくり混合し、全体が均一なアルミノケイ酸アルカリ
ゲルとした。次いでこのアルミノケイ酸アルカリゲルを
激しく撹拌しながら90℃まで昇温させ、その温度で4
8時間処理をして結晶化させた(反応スラリー)。次い
で濾過、水洗して固形分濃度44.5%のNa−P型ゼ
オライトケーキを得た。その組成式を下記に示す。 Na2O・3.8SiO2・Al2O3・2.4H2O
【0066】(実施例1)合成例1で得たPc型ゼオラ
イトのケーキを約15%のスラリー濃度になるようにス
ラリー化する。このスラリーに対して、ケイ酸ソーダを
固形分に対して約10%のSiOに相当する割合で
添加する。このスラリーを攪拌下に約1時間放置した
後、攪拌下に約75℃に昇温し、塩化カルシウムの水溶
液をケイ酸アルカリ含有ゼオライトスラリー中のゼオラ
イトに含まれるNaO 1モル当たり約0.5モル添
加する。分解処理後、攪拌下に約1時間放置した後、濾
過水洗し、110℃で乾燥した後、粉砕して樹脂用配合
剤(S−1とする)を得た。S−1のアルミノケイ酸塩
粒子と非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の微粒子は90:10
の重量比であった。得られた試料の物性を表1に示す。
【0067】(実施例2)実施例1において、ケイ酸ソ
ーダの割合を固形分に対して約35%のSiOに相当
する割合で添加した以外は、実施例1と同様にして行い
樹脂用配合剤(S−2とする)を得た。S−2のアルミ
ノケイ酸塩粒子と非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の微粒子は
80:20の重量比であった。得られた試料の物性を表
1に示す。また、タッピング法による嵩密度は、0.5
5g/mlであり、JIS法とほぼ同じ値であった。
【0068】(実施例3)合成例1で得たPc型ゼオラ
イトケーキと、ケイ酸ソーダを含む生成液を約75℃の
温度で攪拌し、濃度が約14%の硫酸を反応系のpHが
6〜8になるようにゆっくり添加する。次いで、攪拌下
に約1時間放置した後、濾過水洗し、110℃で乾燥し
た後、粉砕して樹脂用配合剤(S−3とする)を得た。
S−3のアルミノケイ酸塩粒子と非晶質ケイ酸乃至ケイ
酸塩の微粒子は80:20の重量比であった。得られた
試料の物性を表1に示す。
【0069】(比較例1)非晶質シリカ微粉末(サイロ
ブロック45:W.R.グレース製)(H−1とする)
を用いた。試料の物性を表1に示す。
【0070】(比較例2)前記合成例1で得られたNa
−P型ゼオライトケーキを濃度20%になるよう水を加
えスラリーとし、そのスラリー500gをスターラーで
攪拌しながら水浴中で40℃に加熱する。次いでP型ゼ
オライトに含まれるNa O分の2倍モルの塩化カル
シウムを加えて 1時間攪拌する。濾過、水洗後700
℃で2時間焼成後、粉砕分級して試料(H−2とする)
を得た。得られた試料の諸物性を表1に示し、配合評価
の結果を表2に示す。得られた試料の物性を表1に示
す。
【0071】(比較例3)合成例1で得られたP型ゼオ
ライトスラリーを80℃で乾燥し、粉砕し、試料を得
た。これと、比較例1記載のシリカとを重量比でゼオラ
イト:シリカ=80:20の割合で混合した(H−3と
する)。得られた試料の物性を表1に示す。また、タッ
ピング法による嵩密度は、0.20g/mlであり、J
IS法の値(0.40g/ml)とかなり違う値であっ
た。
【0072】
【表1】
【0073】各樹脂配合剤を添加して得たフィルムにつ
いてそれぞれ確性試験を行った。試験方法は、以下の通
りである。なお、フィルムは、ISO 291:199
7に準拠した、23℃、湿度50%の環境下で所定時間
保存した試験片を用いて試験を行った。
【0074】(1)アンチブロッキング性(AB性:触
診開口試験) ISO11502:1995(method B)に記
載される条件で2枚のフィルムを圧着し、触診試験によ
ってその剥がれ易さを以下のように評価した。 ◎: 抵抗なく剥がれるもの ○: やや剥がれにくいもの △: 著しく剥がれにくいもの ×: 剥がれないもの
【0075】(2)ヘーズ(Haze) ASTM D 1003−95に準拠して測定した。Ha
zeの値が小さいほど透明性に優れる。
【0076】(3)透明性(Clarity) ASTM D 1044−94に準拠する装置を使用
し、上記ヘーズ測定フィルムのClarityを測定した。Cla
rityの値が大きいほど鮮明性に優れる。
【0077】(4)静摩擦係数(SCOF) ASTM D 1894−95に準拠して、東洋精機製
摩擦測定機TR−2を用いて、静摩擦係数(SCOF)
を測定した。SCOFの値が低いほど滑り性に優れる。
【0078】(5)Δイエローインデックス(ΔYI) 試験フィルム10.5gを190℃で熱プレスし,5c
m×7cm×3mmのプレートを作成した。このプレート
についてその色相をJIS K 7105−1981に
準拠して測定した。評価パラメーターである△YIは次
式より算出した。 △YI=YI試験サンプル − YIベースレジン △YIの値が小さいほど樹脂の黄変を来たさない。
【0079】(6)分散性 試料を樹脂に分散したときの分散性を下記のように目視
で評価した。 ◎:特に分散性が良い。 ○:分散性が良い。 △:少し分散性が悪い。 ×:かなり分散性が悪い。
【0080】(実施例4〜6,比較例4〜6)ランダム
ポリプロピレン(ランダムPPと記載することがある)
を用い、以下に示した配合原料を加工温度230℃で、
Tダイ法により製膜し、厚さ30μmのフィルムを得
た。得られたフィルムについて確性試験を行い、結果を
表2に示す。 [ランダムポリプロピレン樹脂組成物配合表] ランダムPP{メルトフローレート(MFR)=7} 99.68wt% アンチブロッキング剤(表2参照) 0.2 wt% 滑剤(エルカ酸アミド) 0.12wt% MFRの単位は(g/10min)。
【0081】
【表2】
【0082】(実施例7〜9,比較例7〜9)ランダム
ポリプロピレン(ランダムPPと記載することがある)
を用い、以下に示した配合原料を加工温度210℃で、
インフレーション法で製膜し、厚さ30μmのフィルム
を得た。得られたフィルムについて確性試験を行い、結
果を表3に示す。 [ランダムポリプロピレン樹脂組成物配合表] ランダムPP{MFR=7g/10min} 99.55wt% アンチブロッキング剤(表3参照) 0.3 wt% 滑剤(エルカ酸アミド) 0.15wt%
【0083】
【表3】
【0084】(実施例10〜12,比較例10〜12)
ホモポリプロピレン(ホモPPと記載することがある)
を用い、以下に示した配合原料を加工温度210℃で、
インフレーション法で製膜し、厚さ30μmのフィルム
を得た。得られたフィルムについて確性試験を行い、結
果を表4に示す。 [ホモポリプロピレン樹脂組成物配合表] ホモPP{MFR=7g/10min} 99.6wt% アンチブロッキング剤(表4参照) 0.3wt% 滑剤(エルカ酸アミド) 0.1wt%
【0085】
【表4】
【0086】(実施例13〜15,比較例13〜15)
線状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、低密度ポリ
エチレン(LDPE)を用い、以下に示した配合原料を
加工温度200℃で、インフレーション法で製膜し、厚
さ30μmのフィルムを得た。得られたフィルムについ
て確性試験を行い、結果を表5に示す。 [LLDPE樹脂組成物配合表] LLDPE{MFR=1.1g/10min} 84.55wt% LDPE {MFR=1.0g/10min} 15.0 wt% アンチブロッキング剤(表5参照) 0.3 wt% 滑剤(エルカ酸アミド) 0.15wt%
【0087】
【表5】
【0088】
【発明の効果】本発明者らは、溶解したケイ酸アルカリ
を含む定形粒子構造を有するゼオライト型アルミノケイ
酸塩のスラリーに、アルミノケイ酸塩の結晶性を実質上
損なわないがケイ酸アルカリの中和乃至分解を生じるに
十分な酸または水溶性金属塩を添加することにより、ア
ルミノケイ酸塩粒子とその表面に沈着した活性非晶質ケ
イ酸乃至ケイ酸塩の微粒子との複合体を生成せしめるこ
とに成功した。また、この複合体は樹脂用配合剤として
の用途に特に適していることを見いだした。即ち、この
樹脂用配合剤は、アンチブロッキング性と透明性との組
み合わせに優れている。また、本発明によれば、上記の
樹脂用配合剤を少ない工程数で、優れた生産性を以て安
価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】中和法により生成した複合体粒子の走査型電子
顕微鏡写真である。
【図2】分解法により生成した複合体粒子の走査型電子
顕微鏡写真である。
【図3】原料として用いたアルミノケイ酸塩粒子の走査
型電子顕微鏡写真である。
【図4】中和法により生成した複合体粒子のX線回折像
である。
【図5】分解法により生成した複合体粒子のX線回折像
である。
【図6】原料として用いたアルミノケイ酸塩粒子のX線
回折像である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23/14 C08L 23/14 101/00 101/00 (72)発明者 菅野 和良 東京都中央区日本橋室町一丁目13番6号 水澤化学工業株式会社内 (72)発明者 中田 斉 東京都中央区日本橋室町一丁目13番6号 水澤化学工業株式会社内 (72)発明者 小松 善伸 東京都中央区日本橋室町一丁目13番6号 水澤化学工業株式会社内 Fターム(参考) 4G073 BD15 BD20 CZ50 DZ08 FB11 FB33 GA03 UA08 4J002 AA011 BB031 BB061 BB111 BB151 BB231 BD031 BD101 CB001 CF061 CF071 CG001 CL011 CL031 CN031 DJ006 DJ016 FA096 FB077 FB247 FB257 GG00

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 定形粒子構造とゼオライトに特有のX線
    回折像とを有するアルミノケイ酸塩粒子と、アルミノケ
    イ酸塩粒子の表面に沈着した活性非晶質ケイ酸乃至ケイ
    酸塩の微粒子との複合体からなることを特徴とする樹脂
    用配合剤。
  2. 【請求項2】 前記複合体はアルミノケイ酸塩粒子と非
    晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の微粒子とを95:5乃至5
    0:50の重量比で含有するものである請求項1に記載
    の樹脂用配合剤。
  3. 【請求項3】 表面水酸基量が450μmol/g以上
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂
    用配合剤。
  4. 【請求項4】 アルミノケイ酸塩粒子がPc型ゼオライ
    トに特有のX線回折像を有するものであることを特徴と
    する請求項1乃至3の何れかに記載の樹脂配合剤。
  5. 【請求項5】 アルミノケイ酸塩粒子が実質上球状の粒
    子構造を有するものであることを特徴とする請求項1乃
    至4の何れかに記載の樹脂用配合剤。
  6. 【請求項6】 非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩粒子がアルミ
    ノケイ酸塩粒子の1次粒径に比して1/10以下の微細
    粒子からなることを特徴とする請求項1乃至5の何れか
    に記載の樹脂用配合剤。
  7. 【請求項7】 嵩密度(JIS−K−6721)が1.
    2g/ml以下であり、吸油量が10ml/100g以
    上であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記
    載の樹脂用配合剤。
  8. 【請求項8】 溶解したケイ酸アルカリを含む定形粒子
    構造を有するゼオライト型アルミノケイ酸塩のスラリー
    に、アルミノケイ酸塩の結晶性を実質上損なわないがケ
    イ酸アルカリの中和乃至分解を生じるに十分な酸または
    水溶性金属塩を添加して、アルミノケイ酸塩粒子とその
    表面に沈着した活性非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の微粒子
    との複合体を生成せしめることを特徴とする樹脂用配合
    剤の製法。
  9. 【請求項9】 フィルム形成性熱可塑性樹脂に請求項1
    乃至7の何れかに記載の樹脂用配合剤を配合してなるこ
    とを特徴とする樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 熱可塑性樹脂100重量部当たり樹脂
    用配合剤を0.05乃至20重量部の量で含有すること
    を特徴とする請求項9に記載の樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 フィルム形成性熱可塑性樹脂がプロピ
    レン系重合体であることを特徴とする請求項9または1
    0に記載の樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 カルボキシル基、その無水物基、その
    アミド基またはその塩の基を有する有機物からなる分散
    剤及び/または滑剤を更に含有することを特徴とする請
    求項9乃至11の何れかに記載の樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 熱可塑性樹脂100重量部当たり分散
    剤及び/または滑剤を0.05乃至5重量部の量で含有
    することを特徴とする請求項12に記載の樹脂組成物。
JP2002044230A 2002-02-21 2002-02-21 樹脂用配合剤、その製法及び樹脂組成物 Expired - Fee Related JP4039864B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002044230A JP4039864B2 (ja) 2002-02-21 2002-02-21 樹脂用配合剤、その製法及び樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002044230A JP4039864B2 (ja) 2002-02-21 2002-02-21 樹脂用配合剤、その製法及び樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003238732A true JP2003238732A (ja) 2003-08-27
JP4039864B2 JP4039864B2 (ja) 2008-01-30

Family

ID=27783695

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002044230A Expired - Fee Related JP4039864B2 (ja) 2002-02-21 2002-02-21 樹脂用配合剤、その製法及び樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4039864B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006345830A (ja) * 2005-06-20 2006-12-28 Kao Corp ペット用排泄物処理材
JP2018135430A (ja) * 2017-02-21 2018-08-30 旭化成株式会社 複合体
JP2018177833A (ja) * 2017-04-03 2018-11-15 旭化成株式会社 複合体
CN111978590A (zh) * 2020-09-04 2020-11-24 四川大学 一种沸石-肝素模拟聚合物共混微球、其制备方法及其应用
JP2021080483A (ja) * 2021-03-04 2021-05-27 旭化成株式会社 複合体

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006345830A (ja) * 2005-06-20 2006-12-28 Kao Corp ペット用排泄物処理材
JP4640799B2 (ja) * 2005-06-20 2011-03-02 花王株式会社 ペット用排泄物処理材
JP2018135430A (ja) * 2017-02-21 2018-08-30 旭化成株式会社 複合体
JP2018177833A (ja) * 2017-04-03 2018-11-15 旭化成株式会社 複合体
CN111978590A (zh) * 2020-09-04 2020-11-24 四川大学 一种沸石-肝素模拟聚合物共混微球、其制备方法及其应用
CN111978590B (zh) * 2020-09-04 2021-02-12 四川大学 一种沸石-肝素模拟聚合物共混微球、其制备方法及其应用
JP2021080483A (ja) * 2021-03-04 2021-05-27 旭化成株式会社 複合体
JP7053911B2 (ja) 2021-03-04 2022-04-12 旭化成株式会社 複合体

Also Published As

Publication number Publication date
JP4039864B2 (ja) 2008-01-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR0140869B1 (ko) 비결정성 실리카 - 알루미나 구형 입자와 그것의 제조방법
US5236680A (en) Preparation of amorphous silica-alumina particles by acid-treating spherical P-type zeolite particles crystallized from a sodium aluminosilicate gel
JPH0542367B2 (ja)
JP6951022B2 (ja) 成長速度が遅くアスペクト比が低い水酸化マグネシウム粒子およびその製造方法
CA2070607C (en) Partially crystalline, transitional aluminum oxides, methods for their synthesis and use for obtaining molded articles, which consist essentially of gamma al2o3
JP2002503269A (ja) ペイント粘着防止剤および沈殿剤
JP2925857B2 (ja) 樹脂用配合剤
JP3050937B2 (ja) 非晶質シリカ系充填剤
JP2003238732A (ja) 樹脂用配合剤、その製法及び樹脂組成物
JP3110526B2 (ja) ハイドロタルサイト被覆粒子、その製法及び樹脂用配合剤
JP5394380B2 (ja) 難燃性樹脂組成物
JP3647959B2 (ja) 非晶質シリカ系定形粒子の製造方法
JP3775901B2 (ja) 非晶質シリカ系複合粒子及びその用途
CN100439250C (zh) 氢氧化铝、氢氧化铝浆液及含有此氢氧化铝的树脂组成物以及其制造方法
JPH03139537A (ja) 新規充填剤及びその製法
JP2509214B2 (ja) 無機充填剤
JP2004182861A (ja) アンチブロッキング剤、及びそれを配合した樹脂組成物
JPH1067882A (ja) 樹脂用配合剤、その製法及びそれを用いたオレフィン系樹脂組成物
JP2000007326A (ja) 紡錘状乃至球状アルカリアルミニウム硫酸塩水酸化物、その製造法及び樹脂配合剤
JP3763987B2 (ja) アルミノシリカ系複合粒子の製造方法
JP2701877B2 (ja) 非晶質シリカアルミナ粒子及びその製造法
JP4597018B2 (ja) 非晶質板状シリカ
JP5613519B2 (ja) シリカアルミナ系凝集粒子
JPH0647459B2 (ja) シリカ系充▲填▼剤及びその製造法
JPH04220447A (ja) 結晶化核剤及び樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041111

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070403

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070528

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070821

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070824

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071016

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071106

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101116

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4039864

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101116

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131116

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees