JP3763987B2 - アルミノシリカ系複合粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属イオン交換ゼオライトから成るコアと非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩から成るシェルとの被覆構造を有し、耐摩耗性と向上した屈折率と低められた嵩密度とを有し、アンチブロッキング性能にも優れているアルミノシリカ系粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
定形粒子構造を有するアルミノシリカ系粒子は、樹脂フィルム用のアンチブロッキング剤や、その他の樹脂配合剤として広く用いられている。
【0003】
本発明者らの提案に係る特公昭61−36866号公報には、立方体の粒子形態を有するゼオライトを、その粒子形態が実質上損なわれない条件下に酸処理して得られる非晶質アルミナシリカを樹脂用配合剤として用いることが記載されている。
【0004】
特公平6−17217号公報には、P型ゼオライトに特有のX線回折像を有し且つ個々の粒子が全体として明確な球状粒子とギザギザの表面を有するゼオライト粒子を合成する工程、及び上記ゼオライト粒子を2価金属イオンでイオン交換させる工程、次いで該イオン交換粒子を200℃乃至700℃で焼成することを特徴とするシリカ・アルミナ系球状粒子の製造法及び特定の化学組成と表面形状とを有し、減少された吸湿性と増加した屈折率を有する非晶質ケイ酸アルミナ粒子が記載されている。
【0005】
更に、特公平6−43515号公報には、多孔質で非晶質のシリカ或いはシリカ・アルミナのコアと非晶質ケイ酸の多孔質シエルとから成り、全体として立方体乃至球体の定形の粒子形状と多孔質状のシエル構造を有する粒子から成り、85乃至200cc/100gの吸油量、0.1乃至0.6g/ccのカサ比重及び0.5乃至10.0μmの体積基準メジアン径を有することを特徴とする充填剤が記載されており、このものは、ゼオライトとゼオライト中のSiO2を基準にして2乃至40重量%のSiO2に相当するケイ酸アルカリとを含有する水性スラリーを製造し、このスラリー中に酸を添加してゼオライトのコアに非晶質ケイ酸の多孔質シエルが結合した被覆粒子を製造し、被覆粒子のスラリー中に酸の添加を続行して、ゼオライト中のアルカリ成分或いは更にアルミニウム分の少なくとも一部を溶出させ、コアのゼオライトを非晶質のシリカ或いはシリカ・アルミナに転化させることにより製造されることも記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ゼオライトの定形粒子性を利用し、これらを非晶質化することにより、その吸湿性を低減させたアルミノシリカ系粒子は、フィルム等に配合したとき、アンチブロッキング性に優れているという利点を与えるが、粒子の表面が硬く摩耗性が大であり、例えばフィルムがこすられたとき、フィルム表面に傷が入りやすいという改善すべき点がある。
【0007】
また、ゼオライトのイオン交換により、金属成分を導入し非晶質化したアルミノシリカ系粒子は、屈折率が向上し、樹脂フィルムの屈折率に相当する屈折率とすることにより、配合樹脂フィルムの透明性をも向上させ得るという利点をも有するものであるが、やはり摩耗性が大きく、また粒子の嵩比重が大きくなってアンチブロッキング性にやや劣る場合をも生じる。
【0008】
更に、ゼオライトコアを酸処理により非晶質化すると共に、表面に非晶質ケイ酸の被覆を設けたアルミノシリカ系粒子は、フィルム等に配合したときの摩耗傾向或いは擦傷傾向がかなり改善されているという利点を有するが、屈折率がかなり低い水準にあり、配合樹脂フィルムの透明性向上の点で未だ不満足である。
【0009】
従って、本発明の目的は、上記従来技術の欠点が解消され、アルミノシリカ系粒子の摩耗性及び擦傷性が改善され、嵩比重が低減され、しかも屈折率の調節が可能であり、アンチブロッキング性能も向上したアルミノシリカ系複合粒子及びその製造方法を提供するにある。
本発明の他の目的は、ゼオライトの金属イオンによるイオン交換と非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の被覆の形成とが同時に行われ、少ない工程数と簡単な操作で被覆アルミノシリカ系粒子を製造しうる方法を提供するにある。
本発明の更に他の目的は、シリカ系原料からの製品の収率を顕著に向上させることが可能な被覆アルミノシリカ系粒子の製造方法を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、定形粒子構造を有するゼオライトを含み且つ該ゼオライトの合成後に添加されたケイ酸アルカリが溶解しているスラリーに、アルカリ金属以外の金属の水溶性塩を添加して、添加した金属でイオン交換されたゼオライトのコアと、非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩からなるシェルとから成る粒子を形成させ、分離した被覆粒子を乾燥乃至焼成することを特徴とするアルミノシリカ系複合粒子の製造方法が提供される。
本発明の製造方法においては、
1.ゼオライトとケイ酸アルカリとを含む前記スラリーが、ゼオライト当たりSiO2基準で1乃至40重量%のケイ酸アルカリを含有するものであること、
2.前記スラリー中のケイ酸アルカリの含有量が、ゼオライトの合成に使用したケイ酸アルカリの残分と合成後に添加されたケイ酸アルカリとの合量であること、
3.アルカリ金属以外の金属が周期律表第1b族、第2a族、第2b族、4b族、及び第8族金属から成る群より選ばれた少なくとも1種の金属であること、
4.アルカリ金属以外の金属の水溶性塩を、ゼオライト中のアルカリ金属分に対して0.2乃至1.5当量の量で添加すること、
5.ゼオライトとケイ酸アルカリとを含むスラリーに金属塩の水溶液を添加した後、更に酸を添加してスラリーのpHを7.0以下に調節すること、
6.被覆粒子におけるコアが前記金属によるイオン交換により非晶質化されるか、或いは前記金属によるイオン交換と続いて行う焼成とにより非晶質化されること、
7.焼成を200乃至800℃の温度で行うこと、
8.ゼオライトがPc型ゼオライトであること、
が好ましい。
【0011】
本発明において、上記の方法で製造されるアルミノシリカ系複合粒子は、下記式(1)
mM2/ZO・nNa2O・pSiO2・Al2O3・qH2O‥(1)
式中、Mはアルカリ金属以外の金属であり、
zは金属Mの価数であり、
m+nは1.1±0.2の数であって、m:nの比は10:0乃至1:9
の範囲内にあり、
pは4±1.5の数であり、qは0.5以下の数である、
の化学組成を有し、X線回折学的に実質上非晶質であり、個々の粒子が全体として明確な球状形状を有するコア粒子と、コア粒子の表面に付着した微細な非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩粒子の嵩高なシェルとからなることを特徴とする。
上記のアルミノシリカ系複合粒子においては、
(1)コア粒子と微粒子シェルとが1:0.25乃至1:0.001の重量比で存在すること、
(2)全体として、RH90%、室温及び48時間の条件で30%以下の吸湿量と1.52乃至1.46の屈折率とを有すること、
(3)全体として、1乃至50m2/gのBET比表面積を有するものであること、
(4)全体として、電子顕微鏡法による一次粒子径0.5乃至15μmを有するものであること、
(5)全体として、嵩密度(JlS-K-6721)が0.4乃至1.2g/cm3の範囲にあること、
が好ましい。
【0012】
【発明の実施形態】
本発明では、溶解したケイ酸アルカリを含む、定形粒子構造を有するゼオライトのスラリーを原料として使用し、この原料に、アルカリ金属以外の金属の水溶性塩を添加する。この水溶性金属塩の添加により、ゼオライトの添加した金属イオンによるイオン交換が進行すると共に、スラリー中に溶解状態で存在するケイ酸アルカリが非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の形で、イオン交換ゼオライトをコアとして、その表面に沈着する。
【0013】
ゼオライトは無機イオン交換体、特にケイ酸質イオン交換体の総称であり、一般にイオン交換可能なアルカリ金属イオンを含有している。ゼオライトは、鉱物学的には、テクトケイ酸塩乃至テクトアルミノケイ酸塩に属し、SiO2四面体の4個の頂点の何れもが相隣るSiO2四面体或いはAlO6八面体と結合し、3次元状の立体網目構造を形成している。
【0014】
本発明では、このようなゼオライトのうち定形粒子構造を有するものを選択し、これを、最終被覆アルミノシリカ粒子が定形粒子となるように、コアとして利用すると共に、そのイオン交換性を利用して、ゼオライト構造中に、アルカリ金属以外の金属を導入するものである。
【0015】
即ち、本発明では、イオン交換により、ゼオライト構造中に金属イオンを導入しても、ゼオライトの定形粒子構造が破壊されることなく、しかも金属イオンの導入により、下記の種々の利点がもたらされる。
第一には、金属イオンの種類或いは交換量を選択することにより、粒子の屈折率を増大させ、配合する樹脂の屈折率に近い屈折率とすることにより、配合樹脂フィルムの透明性を向上させることができる。
第二には、アルカリ金属イオンを他の金属イオンで交換することにより、ゼオライトが有するアルカリ性をより低いpHに移行させ、アルカリサイドにある場合の不利益、例えば加水分解傾向を緩和させることができる。
第三には、種々の金属イオンを導入することにより、その金属イオンに固有の特性及び機能をゼオライトコアに持たせることが可能となる。例えば、アルカリ土類金属はハロゲンやハロゲン化水素の捕捉性に優れており、安定剤としての機能を有するが、これらの機能をゼオライトコアに付与することができる。また、銀、銅、亜鉛は制菌作用を有するが、この制菌作用をゼオライトコアに導入することができる。
第四には、ゼオライト中に金属イオンを導入することにより、ゼオライトを非晶質化するか、或いは非晶質化しやすくし、焼成との組み合わせでゼオライトを非晶質化できる。ゼオライトは、立体網目構造であり、内部に多数の隙間を有しており、これが吸湿性の原因となっているが、上記非晶質化により吸湿性を著しく低減することができる。
【0016】
本発明では更に、イオン交換に用いる水溶性金属塩を、非晶質ケイ酸或いはケイ酸塩の被覆の形成にも利用するものである。ゼオライトのスラリー中に溶解されたケイ酸アルカリを存在させ、このスラリー中に水溶性金属塩を添加すると、非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の被覆の析出が起こるという事実は、現象として見い出されたものであり、その理由は、必ずしも十分に明らかではないが、次のようなものと考えられる。但し、この理由は、何らかの意味で本発明を拘束するものではない。
【0017】
水溶性金属塩、特に多価金属の水溶性金属塩は、一般に凝固剤としての作用、即ち液体中に分散している微粒子を集合させて大きな粒子にする作用を有している。本発明に用いる金属塩は、溶質として存在しているケイ酸分を非晶質ケイ酸粒子に集合させ、コア粒子の表面に微粒子の形で沈着させていると考えられる。勿論、このケイ酸分は添加した金属成分とのケイ酸塩の形で沈着を生じている場合もあり得る。
【0018】
上記の凝固作用で形成される非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の被覆は、特異な被覆構造を有している。即ち、このケイ酸乃至ケイ酸塩の被覆は、微粉の状態で遊離することなく(粉立ちがなく)、バルキーな状態で前述したイオン交換ゼオライトコアの表面に確実に付着している。
【0019】
このため、本発明のアルミノシリカ系複合粒子は、イオン交換ゼオライト粒子に比較して粒子表面が柔らかく、配合樹脂フィルムを互いにこすった場合にも、フィルム表面に擦り傷を形成する傾向が極めて低いという利点を与える。
【0020】
また、本発明のアルミノシリカ系複合粒子は嵩密度が小さく、樹脂に配合してフィルムに形成したとき、アンチブロッキング性能が顕著に発現するという特徴を有している。即ち、イオン交換ゼオライト粒子は、屈折率が高いという利点を有しているが、嵩密度が大きく、アンチブロッキング性能が必ずしも十分に発現されないという傾向がある。これは、嵩密度の大きい粒子では樹脂中に沈む傾向があり、フィルム表面に分布しがたいことが影響していると考えられる。これに対して、本発明の複合粒子では、嵩密度が小さく抑制されているので、フィルム表面に有効に分布し、これがアンチブロッキング性能に寄与していると考えられる。
【0021】
更に、本発明のアルミノシリカ系複合粒子では、表面に非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩のシェルが形成されているにもかかわらず、前述した量比の範囲では、コア粒子の屈折率を実質的に低下させることなく、樹脂のそれと一致した屈折率を維持できるという利点をも与える。
【0022】
更にまた、非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩のシェルの形成は、アルミノシリカ系複合粒子の製造の点でも優れた利点を与える。即ち、このシェル構造を有する粒子は、水切れ性や濾過性に顕著に優れており、デカンテーションや濾過による母液からの分離や水洗等の操作が短時間の内に行えるという利点を与える。
【0023】
[出発原料]
本発明に用いるゼオライトは、定形粒子構造を有し、金属によるイオン交換或いはそれに続く熱処理により非晶質化できるものであれば、何れをも使用することができ、例えばゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライトPc、アナルサイム、ソーダライトなどから選択して用いることができる。本発明のアルミノシリカ系複合粒子を製造するには、低温焼成で非晶質化され、球状で樹脂フィルムのAB剤に適するPc型ゼオライトの使用が望ましいので、この場合について専ら説明するが、本発明はこの場合に限定されない。
【0024】
本発明のシリカアルミナ複合粒子を製造するに際しては、先ずPc型ゼオライトに特有のX線回折像を有し且つ個々の粒子が全体として明確な球状形状を有するゼオライト粒子を製造する。この原料ゼオライトは、ギザギザ状の表面を有することが、非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩のシェルを確実に付着させるために好ましい。
【0025】
この粒子形状のPc型ゼオライトは、ケイ酸ナトリウムまたは活性ケイ酸ゲル、シリカゾル、メタカオリン、アルミン酸ナトリウム、アルミナゾル及び水酸化ナトリウムを下記条件を満足するように混合してアルミノケイ酸アルカリのゲルを生成させ、このゲルを均質化した後、80乃至200℃の温度で常圧もしくは水熱条件下で結晶化を行うことにより製造される。
【0026】
各原料の組成比は次の通りである。
【0027】
生成したゼオライトは、スラリーの状態でそのまま次の工程に用いることもできるし、デカンテーションなどにより母液の少なくとも一部を除いた後次の工程に用いることもできるし、或いは更に水洗し、必要により所定の粒度への分級操作を行った後、次の工程に用いることもできる。
【0028】
原料Pc型ゼオライトの化学組成の一例を示すと、下記式(2)の通りである。
kNa2O・pSiO2・Al2O3・q’H2O ‥(2)
式中、kは1.1±0.2 の数であり、pは4±1.5の数であり、q’は1.0
以下の数である。
【0029】
本発明で用いるゼオライトのスラリーは、上記ゼオライトに加えて、このスラリーの水性媒体中に溶解したケイ酸アルカリを含有する。このケイ酸アルカリは、ゼオライトの合成に用いたケイ酸アルカリの残分でもよいし、ゼオライトの合成後に加えたケイ酸アルカリであってもよいし、またこれらの両方からなっていてもよい。
【0030】
ゼオライトスラリーに対して、存在させるべきケイ酸アルカリの量は、ゼオライトの固形分基準で、シリカ(SiO2)として100乃至0.1重量%、特に40乃至10重量%であるのがよい。
ケイ酸アルカリの量が上記範囲よりも少ない場合には、本発明による耐摩耗性や耐擦傷性の改善、嵩密度の低減等の効果が不十分となる傾向があり、一方上記範囲よりも多い場合には、イオン交換ゼオライトがケイ酸乃至ケイ酸塩で希釈されすぎて、屈折率が低下したり、或いはイオン交換ゼオライトの本来の性能が損なわれたりする傾向がある。
【0031】
[イオン交換及び被覆処理]
コアゼオライトのイオン交換や非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の析出に用いるアルカリ以外の金属としては、周期律表第1b族金属、第2a族金属、第2b族金属、4b族金属、及び第8族金属を使用できる。具体的には、Ag、Cu、Ca ,Mg ,Zn ,Ba 、Sr 、Ti,Sn ,Fe ,Ni ,Cr 等が挙げられる。これらの内でも、アルカリ土類金属や、亜鉛、銀等が好適である。
これらの金属を、水溶性塩、例えば塩化物、硝酸塩、硫酸塩等の水溶液で使用し、この金属塩溶液をゼオライトスラリー中に添加することにより、コアゼオライトのイオン交換と非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩のコア粒子表面への析出とを行う。
【0032】
イオン交換及び析出処理は、金属塩水溶液とゼオライトとを水性スラリーの状態で撹拌処理する方法や、ゼオライトを固定床又は流動床で金属塩水溶液と接触させる方法が採用され、この接触は一段式にも或は多段式にも行われ、また連続式にも回分式にも行われる。
【0033】
イオン交換及び析出の条件は、ゼオライト中のNa2O分の少なくとも10モル%以上、特に30モル%以上がM2/ZO(Mはアルカリ金属以外の金属である)で置換されるものである。このために、処理系における金属塩溶液としては、ゼオライト中のNa2O分当り0.5当量以上、特に1.0当量以上の金属塩を使用し、一般に初期濃度が10乃至40重量%、特に20乃至50重量%の塩水溶液と接触させるのがよい。接触時の温度は20乃至100℃、特に30乃至70℃の範囲が適当であり、当然のことながら、高温の方が交換処理が短縮される。接触時間は、温度や交換率によっても相違するが、0.5乃至3時間の範囲がよい。
【0034】
この金属塩処理により、ゼオライトスラリー中に溶解して含まれているケイ酸アルカリは、微粒子に凝集し、イオン交換されるゼオライトコア粒子の表面に析出する。この微粒子では、その少なくとも一部が添加した金属のケイ酸塩の形になっていると信じられる。
【0035】
処理後の交換ゼオライトを、そのまま固−液分離し、水洗し必要により乾燥或いは解砕等を行った後、次の焼成工程を行うこともできるし、固−液分離に先立って、反応系に酸を添加してスラリーのpHを10以下、特に8以下の範囲に調節することもできる。このようなpH調整を行うことにより、生成する複合粒子は、ハンドリング性に優れた粉体となる。
【0036】
[焼成処理]
イオン交換及び析出処理後のゼオライトを焼成する。焼成条件は、イオン交換ゼオライトが実質上非晶質化するようなものであり、この温度は、ゼオライトの種類、交換率や金属種によっても相違するが、一般に200乃至800℃、特に300乃至500℃の範囲である。一般に、用いる金属種が重くなると、比較的低い温度でも非晶質化が生じるようになる。図3,4に記載されているX線回折チャートの示すとおり、A型ゼオライトは400℃での焼成では非晶質化されておらず、同条件でのP型ゼオライトは非晶質化している。
【0037】
非晶質化のための焼成は、固定床、移動床或いは流動床で行うことができ、処理時間は0.5乃至5時間の範囲で十分である。
焼成後の製品は、解砕乃至粉砕し、必要により分級して本発明の製品とする。
【0038】
[アルミノシリカ系複合粒子]
上述した方法で得られるアルミノシリカ系複合粒子は、下記式(1)
mM2/ZO・nNa2O・pSiO2・Al2O3・qH2O‥(1)
式中、Mはアルカリ金属以外の金属であり、
zは金属Mの価数であり、
m+nは1.1±0.2の数であって、m:nの比は10:0乃至1:9
の範囲内にあり、
pは4±1.5の数であり、qは0.5以下の数である、
の化学組成を有し、X線回折学的に実質上非晶質であり、個々の粒子が全体として明確な球状形状を有するコア粒子(A)と、コア粒子の表面に付着した微細な非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩粒子のシェル(B)とからなる。
【0039】
本発明の複合粒子のコアにおいては、既に述べた通り、製造過程においてゼオライト中のアルミナ分のロスを生じないことから、SiO2/Al2O3のモル比が出発原料のゼオライトとほぼ同一の範囲にあり、一般に2.5乃至4.5 、特に3乃至4.5の範囲にある。また、非晶質化と高屈折率化とのためには金属交換率(n/n+m)は20%以上、特に40%以上であるのが望ましい。
【0040】
本発明のアルミノシリカ系複合粒子においては、コア粒子と微粒子シェルとが1:0.25乃至1:0.001、最も好適には、1:0.2乃至1:0.05の重量比で存在する。
シェルを構成する非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩は、1次粒径の微細なものであるが、このシェルは、後述するとおり、嵩高なソフトな状態で存在する。
【0041】
添付図面の図1は、本発明の複合粒子の走査型電子顕微鏡写真(3万倍)であり、図2は原料となるPc型ゼオライトの走査型電子顕微鏡写真(3万倍)である。また、図3は本発明の複合粒子のX線回折像と原料となるPc型ゼオライトのX線回折像であり、同様に図4は本発明の複合粒子のX線回折像と原料となるA型ゼオライトのX線回折像である。
【0042】
原料として用いたPc型ゼオライトでは、各粒子の各々が真球に近い明確な球状であって、粒子表面が梨子状、即ちギザギザ状となっているが、本発明のアルミノシリカ系複合粒子では、原料ゼオライトと同様な真球状であるが、ギザギザ状の表面組織は一部或いはほぼ完全に消失していることが認められる。これは、非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の被覆の存在を示すものであろう。
また、図3から、原料Pc型ゼオライトに特有のX線回折ピークがアルミノシリカ系複合粒子においては完全に消失していることが分かる。
【0043】
本発明のアルミノシリカ系複合粒子は、電子顕微鏡による一次粒子径が0.5乃至15μm、特に1乃至10μmの範囲にある。アンチブロッキング作用の点でいえば、用いる粒子の粒径には一定の好適範囲があり、上記粒径のものは、アンチブロッキング作用に優れている。
また、この複合粒子は、一般的に言って下記式(3)、
式中、r1は前記粒子の電子顕微鏡写真輪郭の外接円半径を表わし、
r2はその内接円半径を表わす、
で定義される真円度(A)が0.90乃至1.0 、特に0.95乃至1.0の範囲内にあり、真球状であり、粉体としての特性や樹脂中への分散性などに優れている。
【0044】
この複合粒子では、コア粒子がイオン交換と焼成とにより非晶質化され、ゼオライトの吸着活性サイトが消失されているため、低吸湿性であり、RH90%、室温及び48時間の条件で測定した吸湿量が30%以下、好ましくは10%以下更に好ましくは5%以下のレベルにある。
【0045】
また、金属イオンの導入により、コア粒子の屈折率をより高く調節することができ、この複合粒子は、一般に1.52乃至1.46、特に1.51乃至1.49の屈折率を有する。この複合粒子の屈折率は、コア粒子のそれとほぼ同等であり、シェルの影響は少ない。
本発明の複合粒子の屈折率は、ポリビニルアルコール(PVA)、ナイロン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンビニルアセテート(EVA)及び塩化ビニル樹脂(PVC)等の各種樹脂フィルムの屈折率に近似しており、樹脂の透明性を損なわないという利点がある。
【0046】
本発明の複合粒子は、一般に1乃至50m2/g、特に1乃至40m2/gのBET比表面積を有する。即ち、この粒子は表面活性が小さく、雰囲気中での影響が小さい。
【0047】
また、この複合粒子の内、周期律表第2族の金属種のものは、ハンター反射法による白色度が95%以上と白色度に優れている。
【0048】
更に、この複合粒子は、コア粒子に比して小さい嵩密度を有し、全体としての嵩密度(JlS−K−6721)は、0.4乃至1.2g/cm3、特に0.6乃至0.9g/cm3の範囲にある。即ち、走査型電子顕微鏡写真からは必ずしも明確ではないが、アルミノシリカ系複合粒子がコア粒子の嵩密度よりも3.0乃至10%程度低い嵩密度を示すことは、シェルの量が20乃至5重量%と少ないことから見て、シェルを構成する非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩が嵩高な状態で存在していることを物語っている。
【0049】
本発明のアルミノシリカ系複合粒子は、イオン交換と熱処理により非晶質化したゼオライト粒子に比べて、耐摩耗性及び耐擦傷性が顕著に改善されている。耐摩耗性は、後述する実施例のワイヤー摩耗試験により評価できる。即ち、非晶質化ゼオライト粒子の摩耗量は300mgのオーダーであるのに対して、本発明のアルミノシリカ系複合粒子の摩耗量は180mgのオーダーであり、本発明の優れた効果が明らかである。
これは、本発明のアルミノシリカ系複合粒子では、シェルがソフトであり、且つ表面のシェルのケイ酸乃至ケイ酸塩の微粒子がコロ的接触に役立っているためと考えられる。
【0050】
本発明によるアルミノシリカ系複合粒子は、その表面を無機酸化物、例えば酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、;シラン系、チタニウム系或いはジルコニウム系のカップリング剤;脂肪酸、樹脂酸や各種石鹸、アミド、エステル等の誘導体で被覆し或いは表面処理しておくことができる。
【0051】
[用途]
本発明のアルミノシリカ系複合粒子は、種々の樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン−エチレン共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル;6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド;塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等の塩素含有樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン類;ポリアセタール等の熱可塑性樹脂に配合して、形成される樹脂成形品、例えば二軸延伸フィルム等にスリップ性乃至アンチブロッキング性を付与する目的に使用できる。特にポリアミド、ポリエステル等には重合前に添加して使用することもできる。
【0052】
また、成形用熱硬化型樹脂や被覆形成用塗料に対する充填剤乃至補強剤、更にはセラミックス基材としての用途に供することもできる。
【0053】
更に、この粒子は各種紙に対する内填剤や紙に対するコート用充填剤として使用することができる。
【0054】
更にまた、この球状粒子は、パウダーファンデーション、液状(ペースト)ファンデーション、ベビーパウダー、クリーム等の種々の化粧料基剤、医薬、農薬、香料、芳香剤等を担持させるための担体として有用であり、更に各種クロマトグラフィ用担体としての用途にも供給することができる。
【0055】
【実施例】
本発明を次の実施例により更に説明する。
実施例の各試験は下記の方法により行った。
【0056】
(1)BET比表面積
カルロエルバ社製Sorptomatic Series 1900を使用し、BET法により測定した。
(2)X線回折
理学電機(株)製のRAD−IBシステムを用いて、Cu−Kαにて測定した。
ターゲット Cu
フィルター 湾曲結晶グラファイトモノクロメーター
検出器 SC
電圧 40KVP
電流 20mA
カウントフルスケール 700c/s
スムージングポイント 25
走査速度 1°/min
ステップサンプリング 0.02°
スリット DS1° RS0.15mm SS1°
照角 6°
(3)屈折率測定
予めアッベ屈折計を用いて、屈折率既知の溶媒(α−ブロムナフタレン、ケロシン)を調整する。次いでLarsenの油浸法に従って、試料粉末数mgをスライドガラスの上に採り、屈折率既知の溶媒を1滴加えて、カバーガラスをかけ、溶媒を十分浸漬させた後、光学顕微鏡でベッケ線の移動を観察し求める。
(4)OH基量測定
試料を120℃で2時間乾燥し、シリカゲルデシケータ中で室温まで放置冷却させる。この試料2gを三角フラスコに入れ、脱水したトルエン40mlを加える。
系内を乾燥したN2ガスで置換後、トリエチルアルミニウムの11vol%トルエン溶液を攪拌下に加え、試料表面のOH基とトリエチルアルミニウムとの反応により発生するエタンガス量を定量し、OH基の量を算出する。
n=PV/RTW ・・・(4)
n:表面OH基量(mol/g)、P:圧力(atm)、V:エタンガス発生量(l)、R:気体定数、T:温度(K)、W:試料重量(g)
(5)固体酸量測定
n-ブチルアミン測定法[参考文献:「触媒」Vol.11,No6,P210-216(1969)]にて測定した。
(6)嵩比重
JIS−K−6721に準拠して測定した。
(7)摩耗性試験
日本フィルコン株式会社製,NF式摩耗試験機を用いて摩耗度を測定した。
本測定法は試料濃度2wt%の試験液を,ブロンズ製メッシュに流通循環させ,180分間におけるメッシュの重量変化から摩耗度を測定するものである。
(8)粒子径測定
平均粒径(メジアン径;μm)はコールターカウンター社製のレーザー回折型粒子サイズアナライザー(コールターR LS130)を用いて測定した。
(9)吸油量測定
JISK−5101−19に準拠して測定した。
(10)吸湿性測定
試料1gを150℃で2時間加熱した後、相対湿度90%、25℃の温度雰囲気に48時間放置した時の水分吸着容量を測定した。
(11)白色度測定
ハンター白色度計にて測定した。
(12)pH
JIS.K.5101.26に準じて測定した5%サスペンジョンのpH値。
【0057】
フィルム特性試験
試料フィルムの作成
(配合)
線状低密度ポリエチレン樹脂※ 100重量部
試料 0.5重量部
メルトフロレートが2.1g/10min の線状ポリエチレン樹脂100重量部と,5重量部の試料を押し出し機を用いて160℃でペレットを作成した。このペレット1に対して10の線状ポリエチレン樹脂を混合し190℃のダイ温度で試料濃度0.5重量部になるフィルムを製膜した。これらのペレット,フィルムを用いて以下の物理特性を測定した。
(13)AB性
2枚のフィルムを重ね、200g/cm2の荷重をかけ40℃で24時間放置後、フィルムのはがれ易さにより評価した。
◎ 抵抗なくはがれるもの
○ ややはがれにくいもの
△ はがれにくいもの
× 極めてはがれにくいもの
【0058】
塗膜試験
塗膜形成剤として焼付メラミン塗料(関西ペイント(株)製アミラック#1400)を用いて、この塗料100重量部に試料を5部添加し、ディスパー分散機を用いて2500rpmで5分間分散させた後、バーコーター#14を用いてミラーコート紙に塗布し、室温で20分放置し、次いで140℃で20分間焼き付けをし塗布板を調製した。
(14)スクラッチ試験(塗料)
断面10×10cmの塗装ミラーコート紙に10kgの荷重をかけ3回擦り合わせた後の傷の状態を目視観察した。
全く傷がない ◎
ほとんど傷がない ○
多少傷が観察される △
大部分に傷が観察される ×
【0059】
(合成例1)
P型ゼオライトの合成(試料12)
市販試薬の水ガラス(3号ケイ酸ソーダSiO2 27wt%,Na2O 9.0wt%)、アルミン酸ナトリウム(Al2O3 22.5wt%,Na2O 15.5wt%)、カセイソーダを用いて下記モル比で全体が16kgになるように希ケイ酸ソーダ液と希アルミン酸ナトリウム液を調製した。
Na2O/SiO2 = 0.8
SiO2/Al2O3 = 8.0
H2O /Na2O = 70
次に内容積約25Lのステンレス製容器中で希ケイ酸ソーダ液8.2 Kgと希アルミン酸ナトリウム7.8
Kgを撹拌下ゆっくり混合し、全体が均一なアルミノケイ酸アルカリゲルとした。次いでこのアルミノケイ酸アルカリゲルを激しく撹拌しながら90℃まで昇温させ、その温度で48時間処理をして結晶化させた(反応スラリー)。
次いで濾過、水洗、乾燥して固形分濃度44.5%のNa−P型ゼオライトケーキを得た、その組成式を下記に示す。
Na2O・3.48SiO2・Al2O3・2.4H2O
【0060】
(合成例2)
A型ゼオライトの合成(試料13)
新潟県中条産酸性白土の酸処理物である活性ケイ酸ゲルの濃度25%水性スラリーと、市販アルミン酸ナトリウム(Al2O3 22.5wt%,Na2O 17.6wt%)及びカセイソーダを用いてケイ酸スラリー(Aスラリー)と希アルミン酸ナトリウム液(B液)を調製した。
次いで内容積100Lのステンレス製容器に、下記のモル比となるように、45kgのAスラリーと55kgのB液を撹拌下に混合し、均一なアルミノケイ酸アルカリゲルのスラリーとした。
Na2O/SiO2 = 1.2
SiO2/Al2O3 = 2.0
H2O /Na2O = 48
次いでこのゲルを撹拌下で徐々に加熱し90℃×2時間で結晶化させA型ゼオライトのアルカリスラリーを得た。
以後吸引濾過により母液と固形分を分離し、十分に水洗をし固形分濃度48%のA型ゼオライトの含水ケーキを得た、その組成式を下記に示す。
Na2O・2.0SiO2・Al2O3・2.8H2O
【0061】
(実施例1)
上記合成例1で採取される反応スラリー300g(ゼオライト15wt%)を秤り取り、残留する珪酸ナトリウムの量を測定する。次に全体としてケイ酸ナトリウム分(3号:SiO2分 22.6wt%)9.9gとなるようケイ酸ナトリウムを追加して入れ、更に36wt%塩化カルシウム水溶液54.4gを入れ、攪拌しながら70℃2時間反応させる。
得られた反応物を濾過・水洗した後、700℃で2時間焼成後、粉砕分級して試料1を得た。その結果、コア粒子は球状形状で非晶質であり、シェルコア粒子全体の組成は
0.46CaO・0.54Na2O・3.65SiO2・Al2O3・0.12H2O
であった。(尚、以下の例においても、組成はシェルコア粒子全体で示されている。)
得られた試料1の諸物性を表1に示し、樹脂・塗料への添加試験結果を表2に示す。
【0062】
(実施例2)
前記合成例1で得られたNa−P型ゼオライトケーキ100g(44.5wt%)を水200mlに分散させスラリーとし、次にケイ酸ナトリウム(3号:SiO2分22.6%)19.8gと36wt%塩化カルシウム水溶液54.4gを入れ、攪拌しながら70℃で2時間反応させる。
得られた反応物を濾過・水洗し、400℃で2時間焼成後、粉砕分級して試料2を得た。
得られた試料2の諸物性を表1に示し、樹脂・塗料への添加試験結果を表2に示す。
【0063】
(実施例3)
前記合成例1で得られたNa−P型ゼオライトケーキ100g(44.5%)を水200mlに分散させスラリーとし、次にケイ酸ナトリウム(3号:SiO2分22.6wt%)19.8gと36wt%塩化カルシウム水溶液54.4gを入れ、攪拌しながら70℃2時間反応させる。反応終了後塩酸(1N)50gを加え更に1時間攪拌を行った。
得られた反応物を濾過・水洗し、700℃で2時間焼成後、粉砕分級して試料3を得た。
得られた試料3の諸物性を表1に示し、樹脂・塗料への添加試験結果を表2に示す。
【0064】
(実施例4)
前記合成例1で得られたNa−P型ゼオライトケーキ100g(44.5wt%)を水200mlに分散させスラリーとし、ケイ酸ナトリウム(3号:SiO2分22.6wt%)39.6gと36wt%塩化カルシウム水溶液54.4gを入れ、攪拌しながら70℃2時間反応させる。
得られた反応物を濾過・水洗し、700℃ 2時間焼成後、粉砕分級して試料4を得た。
得られた試料4の諸物性を表1に示し、樹脂への添加試験結果を表2に示す。
【0065】
(実施例5)
前記合成例1で得られたNa−P型ゼオライトケーキ100g(44.5wt%)を水200mlに分散させスラリーとし、ケイ酸ナトリウム(3号:SiO2分22.6%)19.8gと35wt%塩化マグネシウム水溶液48.3gを入れ、攪拌しながら70℃で2時間反応させる。
得られた反応物を濾過・水洗し、700℃で2時間焼成後、粉砕分級して試料5を得た、 その結果、コア粒子は球状形状で非晶質であり、組成は
0.47MgO・0.54Na2O・3.65SiO2・Al2O3・0.12H2Oであった。その諸物性を表1に示す。
【0066】
(実施例6)
前記合成例1で得られたNa−P型ゼオライトケーキ100g(44.5%)を水200mlに分散させスラリーとし、ケイ酸ナトリウム(3号:SiO2分22.6%)19.8gと50wt%塩化亜鉛水溶液48.6gを入れ、攪拌しながら70℃で2時間反応させる。
得られた反応物を濾過・水洗し、700℃で2時間焼成後、粉砕分級して試料6を得た、その諸物性を表1に示す。
【0067】
(実施例7)
前記合成例1で得られたNa−P型ゼオライトケーキ100g(44.5wt%)を水200mlに分散させスラリーとし、ケイ酸ナトリウム(3号:SiO2分22.6%)19.8gと30wt%硝酸銀水溶液204gを入れ、攪拌しながら70℃で2時間反応させる。
得られた反応物を濾過・水洗し、700℃で2時間焼成後、粉砕分級して試料7を得た。その諸物性を表1に示す。
【0068】
(実施例8)
前記合成例2で得られたA型ゼオライトケーキ100g(48.0wt%)を水200mlに分散させスラリーとし、ケイ酸ナトリウム(3号:SiO2分22.6%)19.8gと15wt%塩化バリウム水溶液248.5gを入れ、攪拌しながら70℃で2時間反応させる。
得られた反応物は非晶質であり、それを濾過・水洗し、700℃で2時間焼成後、粉砕分級して試料8を得た。その諸物性を表1に示す。
【0069】
(比較例1)
前記合成例1で得られたNa−P型ゼオライトケーキを濃度20%になるよう水を加えスラリーとし、そのスラリー500gをスターラーで攪拌しながら水浴中で40℃に加熱する。次いでP型ゼオライトに含まれるNa2 O分の2倍モルの塩化カルシウムを加えて 1時間攪拌する。濾過、水洗後700℃で2時間焼成後、粉砕分級して試料9を得た。
得られた試料9の諸物性を表1に示し、塗料への添加試験結果を表2に示す。
【0070】
(比較例2)
比較例1で得られた試料100gと非晶質シリカ微粉末(ミズカシルP-707:水澤化学工業製)10gとをサンプルミルで十分に混合したものを試料10とした。
得られた試料10の諸物性を表1に示し、樹脂への添加試験結果を表2に示す。
【0071】
(比較例3)
前記合成例2で得られたA型ゼオライトケーキ100g(44.5wt%)を水200mlに分散させスラリーとし、更にケイ酸ナトリウム(3号:SiO2分22.6wt%)19.8gを入れ、続いて希硫酸(10%)50gをポンプを用いて滴下しシリカ被覆A型ゼオライトを得る。更に希硫酸を50g追加し1時間酸処理し、攪拌しながら70℃で2時間反応させゼオライトを非晶質化させた。得られた反応物を濾過・水洗し、110℃で2時間乾燥後、粉砕分級して550℃で2時間焼成し試料11を得た。
得られた試料11の諸物性を表1に示す。
【表1】
【表2】
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、溶解したケイ酸アルカリを含む、定形粒子構造を有するゼオライトのスラリーに、アルカリ金属以外の金属の水溶性塩を添加して、添加した金属でイオン交換されたゼオライトのコアと、非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩からなるシェルとから成る粒子を形成させ、分離した被覆粒子を乾燥乃至焼成することにより、従来技術の欠点が解消され、ゼオライトの金属イオンによるイオン交換と非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩の被覆の形成とが同時に行われ、少ない工程数と簡単な操作で被覆アルミノシリカ系粒子を製造することができる。
また、シリカ系原料からの製品の収率を顕著に向上させることが可能であるという利点をも有する。
本発明のアルミノシリカ系複合粒子では、アルミノシリカ系粒子の摩耗性及び擦傷性が改善され、嵩比重が低減され、しかも屈折率の調節が可能であり、アンチブロッキング性能も向上しているという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合粒子の走査型電子顕微鏡写真(3万倍)である。
【図2】原料となるPc型ゼオライトの走査型電子顕微鏡写真(3万倍)である。
【図3】Pc型ゼオライトを出発原料とする本発明品の焼成温度によるX線回折像の比較を示す。
【図4】A型ゼオライトを出発原料とする本発明品の焼成温度によるX線回折像の比較を示す。
Claims (10)
- 定形粒子構造を有するゼオライトを含み且つ該ゼオライトの合成後に添加されたケイ酸アルカリが溶解しているスラリーに、アルカリ金属以外の金属の水溶性塩を添加して、添加した金属でイオン交換されたゼオライトのコアと、非晶質ケイ酸乃至ケイ酸塩からなるシェルとから成る粒子を形成させ、分離した被覆粒子を乾燥乃至焼成することを特徴とするアルミノシリカ系複合粒子の製造方法。
- ゼオライトとケイ酸アルカリとを含む前記スラリーが、ゼオライト当たりSiO2基準で1乃至40重量%のケイ酸アルカリを含有するものである請求項1記載の製造方法。
- 前記スラリー中のケイ酸アルカリの含有量が、ゼオライトの合成に使用したケイ酸アルカリの残分と合成後に添加されたケイ酸アルカリとの合量である請求項2記載の製造方法。
- アルカリ金属以外の金属が周期律表第1b族、第2a族、第2b族、4b族、及び第8族金属から成る群より選ばれた少なくとも1種の金属である請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。
- アルカリ金属以外の金属の水溶性塩を、ゼオライト中のアルカリ金属分に対して0.2乃至1.5当量の量で添加する請求項1乃至4の何れかに記載の製造方法。
- ゼオライトとケイ酸アルカリとを含むスラリーを金属塩の水溶液で処理した後、更に酸を添加してスラリーのpHを7.0以下に調節する請求項1乃至5の何れかに記載の製造方法。
- 被覆粒子におけるコアが前記金属によるイオン交換により非晶質化される請求項1乃至6の何れかに記載の製造方法。
- 被覆粒子におけるコアが前記金属によるイオン交換と続いて行う焼成とにより非晶質化される請求項1乃至6の何れかに記載の製造方法。
- 焼成を200乃至800℃の温度で行う請求項8記載の製造方法。
- ゼオライトがPc型ゼオライトである請求項1乃至9の何れかに記載の製造方法。
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