JP2003226599A - 単結晶の製造方法 - Google Patents

単結晶の製造方法

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JP2003226599A JP2002026766A JP2002026766A JP2003226599A JP 2003226599 A JP2003226599 A JP 2003226599A JP 2002026766 A JP2002026766 A JP 2002026766A JP 2002026766 A JP2002026766 A JP 2002026766A JP 2003226599 A JP2003226599 A JP 2003226599A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電材料として十分な品質を有する、組成式
BaTaGaSi14で示される単結晶の
製造方法を提供すること。 【解決手段】 組成式BaTaGaSi
14で示される単結晶を製造する方法であって、[00
1]軸から74度以上90度以下の角度で傾いた結晶方
位に結晶の育成を行い、単結晶を成長させることを特徴
とする単結晶の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電デバイス用基
板などの各種圧電材料として有用な組成式Ba TaG
Si14で示される単結晶の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】現在までに、CaGaGe
14構造(空間群P321)を持つ組成式Ba
aGaSi14で示される単結晶に関して
は、特開平11−171696号公報に開示されている
単結晶や、B.V.Millらによる報告(Zh.Ne
org.Khim.,1998,vol.43,no.
8)において、粉末X線回折の結果が示されているのみ
であり、大型で品質のよい単結晶を育成した報告例はな
い。
【0003】ところで、CaGaGe
14構造を持つ多くの組成について、ルツボ内の融液に
種結晶を浸し、これを回転させつつ上方に引き上げて種
結晶下端に単結晶を成長させるチョクラルスキー法(C
Z法)による単結晶の育成が試みられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Ca
GaGe14構造を持つ一組成のBa
TaGaSi14の育成を、他の組成で多く
の育成例のある[001]方位の種結晶を用いて試みた
ところ、図1に示すように、育成開始直後に多結晶化
し、良質な単結晶は得られなかった。
【0005】本発明の目的は、圧電材料として十分な品
質を有する、組成式BaTaGaSi
14で示される単結晶の製造方法を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、たとえば
CZ法による場合、引き上げに用いる種結晶の結晶方位
面と同一の結晶方位面を有する単結晶が前記種結晶下端
に成長して析出することに鑑み、どのような結晶方位に
結晶の育成を行えば、圧電材料として十分な品質(たと
えば音速の均一性に優れるなど)を有する特定組成の単
結晶が得られるのか、について鋭意検討した。
【0007】その結果、[001]軸から所定角度で傾
いた方位に結晶の育成を行い、単結晶を成長させること
で、より具体的には種結晶の[001]軸から所定角度
で傾いた結晶方位面に融液を接触させて引き上げ、単結
晶を成長させることで、圧電材料として十分な品質を有
する特定組成の単結晶が得られることを見出した。
【0008】すなわち、本発明の第1の観点では、組成
式BaTaGaSi14で示される単結
晶を製造する方法であって、[001]軸から74度以
上90度以下(好ましくは76.1度以上90度以下、
特に好ましくは90度)の角度で傾いた結晶方位に結晶
の育成を行い、単結晶を成長させることを特徴とする単
結晶の製造方法が提供される。
【0009】本発明の第2の観点では、組成式Ba
TaGaSi14で示される単結晶を製造す
る方法であって、種結晶の[001]軸から74度以上
90度以下(好ましくは76.1度以上90度以下、特
に好ましくは90度)の角度で傾いた結晶方位面をルツ
ボ内の融液に接触させて引き上げ、前記種結晶下端に単
結晶を成長させることを特徴とする単結晶の製造方法が
提供される。
【0010】本発明では、[001]軸からの傾斜角度
が90度に近づくほど、得られる単結晶の結晶径を大き
くでき、単結晶の生産性が向上する。
【0011】本発明において、[001]軸に垂直かつ
[100]軸からθ(0≦θ≦30)度回動させた方向
に延びるベクトルvに向けて、[001]軸を含む
面内で[001]軸からΦ(74≦Φ≦90)度回動さ
せた方向を、前記組成式で示される単結晶の引き上げ方
向vとし、格子定数をa,cとし、結晶径拡大部角度を
Ψとしたときに、下記関係式を満足する結晶径拡大部角
度(Ψ)で単結晶を成長させることが好ましい。 Ψ≦4(90−cos−1((sinΦcosθ/a+
sinΦsinθ/a√3−5cosΦ/c)/((1
/a)+(1/a√3)+(−5/c)
1/2 )。
【0012】本発明において、[100]方位に結晶を
引き上げるときに、さらに27.8度以下の結晶径拡大
部角度で結晶の育成を行うことが好ましい。
【0013】本発明において、[120]方位に結晶を
引き上げるときに、さらに32.1度以下の結晶径拡大
部角度で結晶の育成を行うことが好ましい。
【0014】本発明では、組成式BaTaGa
Si14で示され、単結晶の引き上げ方向に対し
て略垂直方向に、[001]軸から74度以上90度以
下(好ましくは76.1度以上90度以下、特に好まし
くは90度)の角度で傾いた結晶方位面を有する種結晶
が提供される。
【0015】本発明では、組成式BaTaGa
Si14で示され、単結晶の引き上げ方向に対し
て略垂直方向に、[001]軸から74度以上90度以
下(好ましくは76.1度以上90度以下、特に好まし
くは90度)の角度で傾いた結晶方位面を有する単結晶
が提供される。
【0016】本発明に係る単結晶は、共振器やフィルタ
などの各種圧電素子の構成要素として好適に用いること
ができる。
【0017】本明細書において、結晶径拡大部とは、種
結晶の下端で成長する単結晶が所定の結晶径になるまで
広がっていく肩部(図6における符号30に相当する)
のことである。また、結晶径拡大部の角度とは、単結晶
の引き上げ方向に対する結晶径拡大部の角度のことであ
る。
【0018】本明細書において、たとえば
【数1】 面を表す場合には、(hkl)と略記することとす
る。
【0019】本明細書において、hklと記述した面
は、{hkl}と{hl}とが等価であるも
のとし、(hkl)、(k(h+k)l)、((h
+k) hl)、(h(h+k))、
((h+k)kl)、(khl)、(h
l)、(k(h+k)l)、((h+
k)h l)、(h(h+k)l)、((h+
k)k)、(k)の全てを表
すものとする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、従来例と対比しながら、本
発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は従
来法によるBaTaGaSi14の育成
例を示す写真、図2は本発明法によるBaTaGa
Si14の育成例を示す写真、図3は本発明
法によるBaTaGaSi14の育成例
を示す写真、図4は従来法により育成されたBa
aGaSi14の成長痕を模式化したもので
あって[001]方向(z軸またはc軸)から見た概要
図、図5は本発明法によるBaTaGaSi
14の結晶構造を説明するための模式斜視図、図
6はBaTaGaSi14を[120]
方位に引き上げた際のファセットを[100]方向(=
x軸)から見た場合の概要図、図7は結晶の引き上げ方
向を説明するための概要図、図8は本発明を実施するた
めに用いる単結晶引き上げ装置の一例を示す概略断面図
である。
【0021】現在までに育成報告のあるCaGa
Ge14構造を持つ単結晶は、現在工業化さ
れている多くの酸化物単結晶と同様に、CZ法により
[001]方位(z軸またはc軸。図7参照)に引き上
げて育成されており、先に本出願人が為した特願200
1−149533に示されるCaNbGaSi
14やSrNbGaSi14以外の
組成(たとえば、前記組成のNbをTaに置換したCa
TaGaSi14やSrTaGa
Si14)については、育成時の温度勾配を
適当な範囲に保つ限りは多結晶化の問題は生じなかっ
た。
【0022】しかしながら、BaTaGaSi
14組成につき、実際に、[001]方位に引き
上げて結晶育成を行ったところ、図1に示すように、育
成開始直後に多結晶化し、透明な結晶部分は僅かしか得
られなかった。
【0023】次に、この得られた透明な結晶部分を切り
出し、これを種結晶として単結晶の育成を行ったとこ
ろ、図2に示すように、[001]方向(z軸またはc
軸)に垂直で、かつ[120]方向(y軸)から[10
0]方向(x軸またはa1軸)に向けて約15度傾いた
成長方位に育成が行えた。
【0024】この得られた結晶は、結晶径拡大部から双
晶が生じており、ファセット成長モードによる内部のデ
ンドライト成長(通常の成長とは異なる異常成長であっ
て、結晶中に穴があいて白濁して見える現象を伴うモザ
イク状の成長)を生じたが、その直胴部は単一配向の単
結晶として得られた。この得られた単結晶について、結
晶径拡大部で生じた双晶部分を背面ラウエ法により調べ
たところ、CaTaGaSi14やSr
TaGaSi14とは異なり、[10
0]軸(x軸またはa1軸)に垂直で、[001]軸
(z軸またはc軸)から約16度(16.048度)の
ズレが双晶の前後で生じていることが確認できた。この
結果から、測定値との一致の良い015([001]方
向と約8.0度)を双晶面と判断した。したがって、結
晶育成中に015成長を抑制すれば、双晶の問題を回避
できると考えられる。
【0025】ところで、図4に示すように、実際に、
[100]方向に引き上げて育成した単結晶には、成長
痕20,20が観察された。この成長痕20,20を面
としてその法線ベクトルと[100]方向とのなす角度
から、(100)面ファセットと、(110)面フ
ァセットであることが分かった。
【0026】一方、成長ファセットとしては、010が
顕著であり、[100]軸(x軸またはa1軸)に垂直
で、[001]軸(z軸またはc軸)から[120]軸
(y軸)に向けて傾いた法線ベクトルを持つファセット
(成長稜)は観察されなかった。このことは、引き上げ
軸下方への結晶成長は、010ファセット成長により0
15成長を抑制できるが、結晶径拡大部の[001]方
向(z軸またはc軸)については、015成長を抑制す
るファセット成長のモードがないことを意味する。しか
し、双晶として生じた部分が、育成方向に対して成長す
るモードは、双晶による結晶ズレ角である約16度、本
体と傾いた010となるはずである。したがって、この
結晶ズレ角(約16度)を超える角度で径を拡大させて
いくと、成長時に双晶部が下方に伝播していくことにな
るが、片側の径の拡大角度をこの双晶と直胴部の育成方
向に対する結晶方位ズレ角以下とすれば、結晶内への双
晶の伝播は抑制されることになる。
【0027】そこで、たとえばCZ法を用いて[12
0]方向に育成を行う場合には、図5および6に示すよ
うに、双晶化の要因となる結晶面が出ないような角度を
限度として、単結晶の成長方向を制御すればよい。具体
的には、結晶径拡大部の形成角度を、双晶と[120]
方向とのズレ角(16.048度)の2倍である32.
096度、すなわち約32.1度以下とすることで、双
晶の問題が回避されると考えられる。すなわち、結晶の
引き上げ方向が[120]方向である場合には、結晶径
拡大部30の角度(Ψ)を32.1度以下となるように
制御して結晶育成を行うことにより、双晶の問題を効果
的に回避できる。なお、Ψは、32.1度以下であれ
ば、0度に近い値であってもよいが、できる限り大きい
ことが好ましい。Ψ値が小さくなるほど、得られる単結
晶の径が細くなり、単結晶の生産効率が低下するからで
ある。
【0028】以上のことから、[001]軸から[12
0]方向に傾いた方位に結晶の引き上げを行う場合にお
いて、[001]軸から73.952(90−16.0
48)度、すなわち約74度以上の角度で傾いた結晶方
位面を有する種結晶を用いて結晶の引き上げを行えばよ
いこととなる。なお、[001]軸からの傾きは、74
度以上であればよく、特に好ましくは90度である。
[001]軸からの傾きが90度に近づくほど、上述し
た結晶径拡大部角度(Ψ)をより大きく採ることができ
るからである。
【0029】また、たとえばCZ法を用いて[100]
方向に育成を行う場合には、図5に示すように、(01
0)面に隣接する、双晶化の要因となる(110)
面および(100)面が出ないような角度を限度とし
て、単結晶の成長方向を制御すればよい。このとき、上
述した双晶面と[120]方向とのズレ角(16.04
8度)は[100]方向に対して斜めになっているの
で、[100]方向に結晶を引き上げる場合、双晶面と
[100]方向との角度は約6.94(6.943)度
となる。したがって、双晶部分の結晶角度のズレは、1
3.89(6.943×2)度となる。その結果、結晶
径拡大部の形成角度を、双晶と[100]方向とのズレ
角(13.89度)の2倍である27.78度、すなわ
ち約27.8度以下とすることで、双晶の問題が回避さ
れると考えられる。すなわち、結晶の引き上げ方向が
[100]方向である場合には、結晶径拡大部の角度
(Ψ)を27.8度以下となるように制御して結晶育成
を行うことにより、双晶の問題を効果的に回避できる。
なお、Ψは、27.8度以下であれば、0度に近い値で
あってもよいが、できる限り大きいことが好ましい。上
述した理由と同様の理由による。実際に、結晶径拡大部
の角度を26度として結晶の育成を行ったところ、図3
に示すように、双晶のない単結晶が得られることが確認
できた。
【0030】以上のことから、[001]軸から[10
0]方向に傾いた方位に結晶の引き上げを行う場合にお
いて、[001]軸から76.11(90−13.8
9)度、すなわち約76.1度以上の角度で傾いた結晶
方位面を有する種結晶を用いて結晶の引き上げを行えば
よいこととなる。なお、[001]軸からの傾きは、7
6.1度以上であればよく、特に好ましくは90度であ
る。[001]軸からの傾きが90度に近づくほど、後
述する結晶径拡大部角度(Ψ)をより大きく採ることが
でき、その結果、得られる単結晶の生産効率が向上する
からである。
【0031】結晶径拡大部の角度Ψは、たとえば、育成
時の温度や、引き上げ速度、高周波発振機の出力、ヒー
タの出力などを制御することにより、コントロール可能
である。
【0032】以上より、組成式BaTaGa
14で示される単結晶の結晶育成を行う場合に
は、結晶の引き上げ方向、換言すれば用いる種結晶の結
晶方位面が重要であり、さらにこうした単結晶の結晶育
成を生産性良く行う場合には、結晶径拡大部の角度が重
要であることが分かる。
【0033】なお、ここで述べた結晶の成長方向とは、
CZ法における引き上げ方向に留まらず、結晶成長のプ
ロセスにおいて実際に結晶が成長すると考えられる方
向、すなわち結晶成長界面である固液界面に垂直な方向
の全てを意味する。
【0034】以下に示す説明では、こうした結晶の引き
上げ方向と、肩部(図6における符号30に相当する)
の拡大角度との関係について一般式を求めることとす
る。
【0035】まず、CaGaGe14
造を持つ単結晶は、空間群P321に属しているために
c軸が3回対称軸、a軸が2回対称軸になっている。そ
のため、c軸に垂直な面内でa軸からの傾きが±30度
を超える範囲については、c軸の3回対称性によりa軸
からの傾きが±30度の範囲と等価となる。
【0036】ここで、図7に示すように、[001]軸
に垂直で、かつ[100]軸からθ度(−30≦θ≦3
0)回動させた方向に延びるベクトルvに向けて、
[001]軸を含む面内で[001]軸からΦ度回動さ
せた方向を、本発明において引き上げられる結晶の引き
上げ方向ベクトルv(θ、Φ)とする。a軸における2
回対称性からベクトルv(θ、Φ)は、ベクトルv(−
θ、180−Φ)と等価となる。なお、本発明では、
(015)面と(015)面とは等価であるため、
ベクトルv(θ、Φ)は、ベクトルv(−θ、Φ)と等
価とみなしている。このため、単結晶の引き上げ方向を
示すベクトルは、0≦θ≦30と0≦Φ≦90との範囲
のみを考えればよい。
【0037】0≦θ≦30、0≦Φ≦90である引き上
げ方向で単結晶を育成する場合、最も引き上げ方向との
角度の小さい015は、(105)面となる。そこ
で、表記組成の単結晶を育成できる結晶径の拡大部の角
度は、式(Ψ=4(90−ω))で示されるΨ以下とす
る必要がある。なお、角度ωは(105)面の法線
ベクトルと引き上げ方向vとのなす角である。
【0038】さて、(hkl)面の法線ベクトルは、x
yz座標系では、(h/a,(2k+h)/a√3,l
/c)と表されるため、(105)面の法線ベクトル
は、(1/a,1/a√3,−5/c)となる。
【0039】また、c軸(=z軸)に垂直でa1軸(=
x軸)からθ度回転させたベクトルvとc軸を含む
面内において、c軸からvベクトル方向にΦ度回転
させた方向v(θ、Φ)(=引き上げ方向)は、 v=(sinΦcosθ,sinΦsinθ,cos
Φ)で示される。
【0040】ωは、ベクトルvと(105)の法線
ベクトルとのなす角に等しいから、ωは、 ω=cos−1((sinΦcosθ/a+sinΦc
osθ/a√3−5cosΦ/c)/((1/a)
+(1/a√3)+(−5/c) /2
となる。よって、Ψは、 Ψ=4(90−cos−1((sinΦcosθ/a+
sinΦsinθ/a√3−5cosΦ/c)/((1
/a)+(1/a√3)+(−5/c)
1/2 )となる。
【0041】さて、BaTaGaSi
14単結晶(格子定数a=8.509Å、c=5.19
4Å)をa1軸方向(x方向)に対して引き上げる場
合、θ=0,Φ=90であるから、結晶径拡大部の角度
は27.8度以下となる。またy軸方向(y方向)に引
き上げる場合、θ=30,Φ=90に相当するから結晶
径拡大部の角度は32.1度以下となる。
【0042】よって、組成式BaTaGaSi
14で示される単結晶の引き上げ方位vと、結晶
径拡大部の角度Ψとの関係は、 Ψ=4(90−cos−1((sinΦcosθ/a+
sinΦsinθ/a√3−5cosΦ/c)/((1
/a)+(1/a√3)+(−5/c)
1/2 )で表すことができる。ただし、式中のθは0
≦θ≦30、Φは74≦Φ≦90である。
【0043】上述した本発明に係る、組成式Ba
aGaSi14で示される単結晶を製造する
には、たとえば図8に示される単結晶引き上げ装置2を
用いることができる。図8に示すように、本実施形態に
係る単結晶引き上げ装置2は、ルツボ4を有し、このル
ツボ4は、断熱材6の略中心部分に形成された凹部62
に配置してある。断熱材6には、ルツボ4を被覆するよ
うに耐火物円筒8が被せてあり、これら断熱材6および
耐火物円筒8は、耐火物ハウジング10で被覆される。
【0044】耐火物円筒8および耐火物ハウジング10
の頂部壁略中心位置には、それぞれ開口部82,102
が形成してあり、これら開口部82,102には、回転
させながら上方に引き上げ自在な結晶引き上げ軸12が
挿入してある。
【0045】引き上げ軸12の下端には、種結晶122
が取り付けてあり、引き上げ軸12の上端には、動力源
(図示省略)が連結される。耐火物ハウジング10の外
周には、高周波発振器としての高周波誘導コイル14が
巻かれており、このコイル14に高周波電流を流すこと
により、前記ルツボ4が誘導加熱され、その結果、前記
ルツボ4中の融液42は所定温度に維持される。
【0046】以上のような構成の単結晶引き上げ装置2
を用いて、常法、たとえばCZ法により単結晶を製造す
る。
【0047】まず、組成式BaTaGaSi
14を構成する元素の酸化物または炭酸塩(たと
えば、BaCO、Ta、Ga
、SiOなど)を、粉末状で所定の原子
比になるように混合し、円柱状に圧縮成形した後、大気
中、1000〜1400℃で焼結して焼結体を得る。
【0048】次いで、得られた焼結体を、気密性の保た
れた単結晶引き上げ装置2のルツボ4内に収容した後、
少量の酸素を含む窒素雰囲気下で、前記焼結体を融解さ
せて融液42とする。
【0049】次いで、結晶引き上げ軸12を下方に移動
させることにより、その下端に取り付けてある種結晶1
22をルツボ4中の融液42に接触させる。本実施形態
では、融液42に、種結晶122の[001]軸から7
4度以上90度以下の角度で傾いた結晶方位面を接触さ
せる。
【0050】次いで、この種結晶122を引き上げ軸1
2を回転させながら上方に引き上げることにより、付着
してくる融液42を凝固させつつ結晶成長させ、単結晶
124を育成する。[100]方位に結晶を引き上げる
場合には、好ましくは27.8度以下の結晶径拡大部角
度で結晶育成を行う。[120]方位に結晶を引き上げ
る場合には、好ましくは32.1度以下の結晶径拡大部
角度で結晶育成を行う。単結晶の成長条件としては、特
に限定されないが、結晶回転数が、通常1〜100rp
m、好ましくは5〜50rpm、種結晶122の引き上
げ速度が、通常0.1〜10mm/hr、好ましくは
0.5〜5mm/hrである。
【0051】このようにして製造される本発明に係る単
結晶は、たとえば共振器やフィルタなどの各種圧電素子
の構成要素に用いて好適である。
【0052】以上、本発明の実施形態について説明して
きたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において
種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0053】
【実施例】次に、本発明の実施の形態をより具体化した
実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。但し、
本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではな
い。
【0054】実施例1
【0055】本実施例では、図8に示す単結晶引き上げ
装置2を用いた。高周波発振器として周波数70kHz
のものを用いた。ルツボ4としては、直径50mm、高
さ50mmおよび厚さ1.5mmの白金(Pt)製ルツ
ボを用いた。ルツボ4中には、BaTaGa
14の融液約375gを挿入した。そして、
[100]方位のBaTaGaSi14
単結晶、すなわち[001]軸とのなす角が約90度の
角度で傾いた結晶方位面を有するBa TaGa
Si14単結晶で構成される種結晶122を、N
に1vol%のOを混入した雰囲気で、ルツボ
4内の融液に接触させ、[100]方位に約27度の結
晶径拡大部の角度をもって、0.5mm/hrの速度で
引き上げて結晶の育成を行った。その結果、図3に示す
ように、長辺約27mm、短辺約16mm、長さ約10
0mmの透明で、クラックフリーなBaTaGa
Si14単結晶が得られた。
【0056】結晶の一部を粉砕して粉末X線回折による
相同定を行った結果、回折ピークは全てCaGa
Ge14構造を有する相として指数付けで
き、その他の異相ピークは全く認められず単一相である
ことが確認できた。結晶の表面状態は、荒れ、異物質の
付着等は認められず、滑らかで光沢が認められる。結晶
内に、気泡、割れ及びインクルージョンなどの巨視的な
欠陥は認められず、偏光顕微鏡によるオルソスコープ像
から均一な単結晶になっていることが確認できた。本実
施例で得られた単結晶は、水晶とほぼ同程度の硬度であ
り、室温付近で化学的、物理的に安定である。また、水
晶等で用いられる通常の加工条件で、クラック発生等の
問題もなく、結晶切断及び研磨ができ、結晶の取り扱い
が容易であることが確認できた。
【0057】実施例2 [001]軸とのなす角が約80度の角度で傾いた結晶
方位面を有する種結晶122を用いた以外は、実施例1
と同様の条件で結晶育成を行った。その結果、実施例1
と同様の性質を有する、長辺約20mm、短辺約12m
m、長さ約110mmの透明で、クラックフリーなBa
TaGaSi14単結晶が得られた。
【0058】比較例1 [001]軸とのなす角が約60度の角度で傾いた結晶
方位面を有する種結晶122を用いた以外は、実施例1
と同様の条件で結晶育成を行った。その結果、約16
度、本体から傾いた双晶部分の010ファセットが伝播
し、結晶は多結晶となった。これにより、実施例1〜2
の優位性が確認できた。
【0059】参考例1 結晶径拡大部の角度を60度とした以外は、実施例1と
同様の条件で結晶育成を行ったところ、結晶径拡大部で
双晶が生じる傾向が見られた。
【0060】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、圧電材料として十分な品質を有する、組成式Ba
TaGaSi14で示される単結晶の製
造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は従来法によるBaTaGa
14の育成例を示す写真である。
【図2】 図2は本発明法によるBaTaGa
Si14の育成例を示す写真である。
【図3】 図3は本発明法によるBaTaGa
Si14の育成例を示す写真である。
【図4】 図4は従来法により育成されたBaTa
GaSi 14の成長痕を模式化したものであ
って[001]方向(z軸またはc軸)から見た概要図
である。
【図5】 図5は本発明法によるBaTaGa
Si14の結晶構造を説明するための模式斜視図
である。
【図6】 図6はBaTaGaSi14
を[120]方位に引き上げた際のファセットを[10
0]方向(=x軸)から見た場合の概要図である。
【図7】 図7は結晶の引き上げ方向を説明するための
概要図である。
【図8】 図8は本発明を実施するために用いる単結晶
引き上げ装置の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
2… 単結晶引き上げ装置 4… ルツボ 42… 融液 6… 断熱材 62… 凹部 8… 耐火物円筒 82… 開口部 10… 耐火物ハウジング 102… 開口部 12… 結晶引き上げ軸 122… 種結晶 124… 単結晶 14… 高周波誘導コイル

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式BaTaGaSi
    14で示される単結晶を製造する方法であって、 [001]軸から74度以上90度以下の角度で傾いた
    結晶方位に結晶の育成を行い、単結晶を成長させること
    を特徴とする単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 組成式BaTaGaSi
    14で示される単結晶を製造する方法であって、 種結晶の[001]軸から74度以上90度以下の角度
    で傾いた結晶方位面をルツボ内の融液に接触させて引き
    上げ、前記種結晶下端に単結晶を成長させることを特徴
    とする単結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】 [001]軸に垂直かつ[100]軸か
    らθ(0≦θ≦30)度回動させた方向に延びるベクト
    ルvに向けて、[001]軸を含む面内で[00
    1]軸からΦ(74≦Φ≦90)度回動させた方向を、
    前記組成式で示される単結晶の引き上げ方向vとし、 格子定数をa,cとし、 結晶径拡大部角度をΨとしたときに、下記関係式を満足
    する結晶径拡大部角度(Ψ)で単結晶を成長させること
    を特徴とする請求項1または2に記載の単結晶の製造方
    法。 Ψ≦4(90−cos−1((sinΦcosθ/a+
    sinΦsinθ/a√3−5cosΦ/c)/((1
    /a)+(1/a√3)+(−5/c)
    1/2
  4. 【請求項4】 [100]方位に結晶を引き上げるとき
    に、さらに27.8度以下の結晶径拡大部角度で結晶の
    育成を行うことを特徴とする請求項3に記載の単結晶の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 [120]方位に結晶を引き上げるとき
    に、さらに32.1度以下の結晶径拡大部角度で結晶の
    育成を行うことを特徴とする請求項3に記載の単結晶の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 組成式BaTaGaSi
    14で示され、 単結晶の引き上げ方向に対して略垂直方向に、[00
    1]軸から74度以上90度以下の角度で傾いた結晶方
    位面を有する種結晶。
  7. 【請求項7】 組成式BaTaGaSi
    14で示され、 単結晶の引き上げ方向に対して略垂直方向に、[00
    1]軸から74度以上90度以下の角度で傾いた結晶方
    位面を有する単結晶。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の単結晶を用いて製造さ
    れた圧電素子。
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