JP4071455B2 - 単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電材料として有用な組成式MNbGaSi14で示される単結晶の製造方法および圧電素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在までに、CaGaGe14構造(空間群P321)を持つ組成式MNbGaSi14(ただし、式中のMはアルカリ土類元素)で示される単結晶に関しては、特開平11−171696号公報およびB.V.Millらによる報告(Zh.Neorg.Khim.,1998,vol.43,no.8)において、粉末X線回折およびCaNbGaSi14の構造解析の結果が示されているのみであり、大型で品質のよい単結晶育成の報告例はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、CaGaGe14構造を持つ多くの組成について、ルツボ内の融液に種結晶を浸し、これを回転させつつ上方に引き上げて種結晶下端に単結晶を成長させるチョクラルスキー法(CZ法)による単結晶の育成が試みられている。
【0004】
しかしながら、CaNbGaSi14、SrNbGaSi14についても、他の組成で多くの育成例のある[001]方位の種結晶を用いて育成を試みたところ、図1〜2に示されるように、育成開始直後に多結晶化し、良好な単結晶は得られなかった。
【0005】
本発明の目的は、圧電材料として十分な品質を有する、組成式MNbGaSi14(Mはアルカリ土類元素)で示される単結晶の製造方法および圧電素子を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、たとえばCZ法による場合、引き上げに用いる種結晶の結晶方位面と同一の結晶方位面を有する単結晶が前記種結晶下端に成長して析出することに鑑み、どのような結晶方位に結晶育成を行えば上記目的を達成できるかについて鋭意検討した結果、[001]軸から所定角度で傾いた方位に結晶育成させることにより、より具体的には種結晶の[001]軸から所定角度で傾いた結晶方位面に融液を接触させて引き上げることにより、圧電材料として十分な品質を有する特定組成の単結晶が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明に係る単結晶の製造方法は、組成式MNbGaSi14(Mはアルカリ土類元素)で示される単結晶を製造する方法であって、
[001]軸から50.8度以上90度以下、好ましくは51.4度以上90度以下、特に好ましくは90度、の角度で傾いた結晶方位に育成を行うことを特徴とする。 [001]軸からの傾斜角度が90度に近づくほど、得られる単結晶の結晶径を大きくでき、単結晶の生産性が向上する。
【0008】
また、本発明に係る単結晶の製造方法は、種結晶の[001]軸から50.8度以上90度以下、好ましくは51.4度以上90度以下、特に好ましくは90度、の角度で傾いた結晶方位面をルツボ内の融液に接触させて引き上げることにより、前記種結晶下端に前記組成式で示される単結晶を成長させることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、本発明に係る単結晶の製造方法は、前記組成式で示される単結晶の引き上げ方向を、[001]軸に垂直で、かつ[100]軸からθ(0≦θ≦30)度回動させた方向に延びるベクトルvに向けて、[001]軸を含む面内で[001]軸からΦ(50.8≦Φ≦90)度回動させた方向をvとし、格子定数をa,cとし、結晶径拡大部角度をΨとした場合において、
下記関係式を満足するような結晶径拡大部角度(Ψ)で単結晶を成長させる。
Ψ≦2cos−1((2sinΦcosθ/a+cosΦ/c)/((2/a)+(1/c)1/2
【0010】
好ましくは、本発明に係る単結晶の製造方法は、前記アルカリ土類金属がCaおよびSrの何れかである。
【0011】
好ましくは、本発明に係る単結晶の製造方法は、[100]方位に結晶を引き上げる場合において、さらに78.4度未満の結晶径拡大部角度で結晶育成を行う。
【0012】
好ましくは、本発明に係る単結晶の製造方法は、[120]方位に結晶を引き上げる場合において、さらに95.6度未満の結晶径拡大部角度で結晶育成を行う。
【0013】
本発明に係る種結晶は、組成式MNbGaSi14(Mはアルカリ土類元素)で示され、
単結晶の引き上げ方向に対して略垂直方向に、[001]軸から50.8度以上90度以下、好ましくは51.4度以上90度以下、特に好ましくは90度、の角度で傾いた結晶方位面を有する。
【0014】
本発明に係る単結晶は、組成式MNbGaSi14(Mはアルカリ土類元素)で示され、
単結晶の引き上げ方向に対して略垂直方向に、[001]軸から50.8度以上90度以下、好ましくは51.4度以上90度以下、特に好ましくは90度、の角度で傾いた結晶方位面を有する。
【0015】
本発明に係る単結晶は、共振器やフィルタなどの各種圧電素子の構成要素として好適に用いることができる。
【0016】
なお、本明細書において、結晶径拡大部とは、種結晶の下端で成長する単結晶において、所定の結晶径になるまで広がっていく肩部(図6(B)における符号30に相当する)のことであり、結晶径拡大部角度とは、引き上げ方向に対する結晶径拡大部の角度(図6(B)における2ωに相当する)のことである。
また、本明細書において、たとえば
【数1】
Figure 0004071455
面を表す場合には、(hkl)と略記することとする。
【0017】
【作用】
Ca NbGa Si 14 組成
現在までに育成報告のあるCaGaGe14構造を持つ単結晶は、現在工業化されている多くの酸化物単結晶と同様に、チョクラルスキー法により[001]方位(=z軸=c軸。図13参照)に引き上げて育成されており、育成時の温度勾配を適当な範囲に保つ限りは多結晶化の問題は生じなかった。図13は結晶の引き上げ方向を説明するための概要図である。
【0018】
しかしながら、CaNbGaSi14組成につき、実際に、[001]方位に引き上げて結晶育成を行ったところ、図1に示されるように、育成開始直後に多結晶化し、その後、[120]方向(=y軸。図13参照)に垂直で、かつ[100]方向(=x軸=a1軸。図13参照)に傾いた成長方位で透明な結晶部分が得られた。得られた透明な結晶部分を切り出し、これを種結晶として単結晶の育成を行ったところ、図3に示されるように、双晶面を持つ結晶が得られた。図1および図3はいずれも従来法によるCaNbGaSi14の育成例を示す図である。
【0019】
こうして得られた結晶の双晶面について詳細に観察したところ、その法線ベクトルは、[001]方向から[100]方向に対して約10度の傾きを持つことが確認できた。実際に、この双晶面を持つ結晶の(210)面(=x面)について双晶面の両側の結晶方位をラウエカメラで測定したところ、双晶面の両側で相互の領域は[001]方向に約20度ずれていることが確認できた。これらの結果から、双晶面としては、116([001]方向と11.6度)、および117([001]方向と9.9度)の何れかが考えられるが、測定値との一致がよい117を双晶面と判断した。
【0020】
なお、本明細書において、hklと記述した面は、{hkl}と{hl}とが等価であるものとし、(hkl)、(k(h+k)l)、((h+k)hl)、(h(h+k))、((h+k)kl)、(khl)、(hl)、(k(h+k)l)、((h+k)hl)、(h(h+k)l)、((h+k)k)、(k)の全てを表すものとする。
【0021】
ところで、図4に示されるように、実際に、[100]方向に引き上げて育成した単結晶には、図5(A)および図5(B)に示されるような成長痕20,20…が観察された。これら成長痕20,20…を面としてその法線ベクトルと[100]方向とのなす角度を読みとると、約40度(図5(A)参照)と約30度(図5(B)参照)となり、それぞれ(211)面,(21)面と、(100)面,(110)面であることが分かった。図4は従来法によるCaNbGaSi14の育成例を示す図、図5(A)は図4に示されるCaNbGaSi14の成長痕を模式化したものであり、[120]方向(=y軸)から見た場合の概要図、図5(B)は図5(A)の左側面図である。
【0022】
以上の結果から、本発明者らは、結晶育成中に117ファセット成長を抑制すれば、多結晶化の問題を回避できると考え、その対策として、図5に示されるような成長痕20に相当する111ファセット成長が優勢となる方向で結晶育成を行うことが有効であると考え、実際にこれを確認することにより本発明に到達したのである。
【0023】
なお、ここで述べた結晶の成長方向とは、チョクラルスキー法における引き上げ方向に留まらず、結晶成長のプロセスにおいて実際に結晶が成長すると考えられる方向、すなわち結晶成長界面である固液界面に垂直な方向の全てを意味する。
【0024】
多結晶化を抑制する方法としては、第1に、たとえば単結晶の引き上げ方向が[100]方向である場合には、図6(B)に示されるように、多結晶化の要因となる(217)面および(21)面(図8も参照)が出ないような角度を限度として、単結晶の成長方向を制御すればよい。具体的には、(217)面に隣接する(211)面、および(21)面に隣接する(21)面のそれぞれの法線ベクトルと、[100]方向とのなす角度(ω)を限度として、単結晶の成長方向を制御すればよい。本実施形態における角度ωは、39.2度未満、好ましくは38.6度以下である。したがって、結晶の引き上げ方向が[100]方向である場合には、結晶径拡大部30の角度(Ψ)を78.4度(39.2度×2)未満、好ましくは77.2度(38.6度×2)以下となるように制御して結晶育成を行うことにより、多結晶化を効果的に抑制できる。なお、Ψは、78.4度未満であれば、0度(90度−90度)に近い値であってもよい。ただし、Ψ値が小さくなるほど、得られる単結晶の径が細くなる結果、単結晶の生産効率が低下するので、このΨ値はできる限り大きいことが好ましい。実際に、結晶径拡大部の角度を70度として結晶育成を行ったところ、図7に示されるように、多結晶化を抑制できることが確認できた。図6(A)はCaNbGaSi14を[100]方位に引き上げた際のファセットを表す概要図、図6(B)は図6(A)を[120]方向(=y軸)から見た場合の概要図、図7は本発明法によるCaNbGaSi14の育成例を示す図である。
【0025】
以上のことから、[001]軸から[100]方向に傾いた方位に結晶の引き上げを行う場合において、[001]軸から50.8度(=90度−39.2度)以上、好ましくは51.4度(=90度−38.6度)以上の角度で傾いた結晶方位面を有する種結晶を用いて結晶の引き上げを行えばよいこととなる。なお、[001]軸からの傾きは、50.8度以上であればよく、特に好ましくは90度(90度−0度)である。[001]軸からの傾きが90度に近づくほど、上述した結晶径拡大部角度(Ψ)をより大きく採ることができ、その結果、得られる単結晶の生産効率が向上するからである。
【0026】
第2に、たとえば単結晶の引き上げ方向が[120]方向である場合には、図8〜図10に示されるように、多結晶化の要因となる(117)面、(127)面、(117)面および(127)面が出ないような角度を限度として、単結晶の成長方向を制御すればよい。具体的には、(117)面に隣接する(111)面、(127)面に隣接する(121)面、(117)面に隣接する(111)面および(127)面に隣接する(121)面のそれぞれの法線ベクトルと、[120]方向とのなす角(ω)を限度として、単結晶の成長方向を制御すればよい。本実施形態における角度ωは、47.8度未満、好ましくは47.4度以下である。したがって、結晶の引き上げ方向が[120]方向である場合には、結晶径拡大部30の角度(Ψ)を95.6度(47.8度×2)未満、好ましくは94.8度(47.4度×2)以下となるように制御して結晶育成を行うことにより、多結晶化を抑制できる。なお、Ψは、95.6度未満であれば、0度(90度−90度)に近い値であってもよい。ただし、Ψ値が小さくなるほど、得られる単結晶の径が細くなる結果、単結晶の生産効率が低下するので、このΨ値はできる限り大きいことが好ましい。図8は本発明法によるCaNbGaSi14の結晶構造を説明するための模式斜視図、図9は図8を[120]方向(=y軸)から見た場合の概要図、図10は図9のX−X線に沿う断面図であって、CaNbGaSi14を[120]方位に引き上げた際のファセットを表した図である。
【0027】
以上のことから、[001]軸から[120]方向に傾いた方位に結晶の引き上げを行う場合において、[001]軸から42.2度(=90度−47.8度)以上、好ましくは42.6度(=90度−47.4度)以上の角度で傾いた結晶方位面を有する種結晶を用いて結晶の引き上げを行えばよいこととなる。なお、[001]軸からの傾きは、42.2度以上であればよく、特に好ましくは90度(90度−0度)である。[001]軸からの傾きが90度に近づくほど、上述した結晶径拡大部角度(Ψ)をより大きく採ることができ、その結果、得られる単結晶の生産効率が向上するからである。
【0028】
第3に、たとえば結晶の引き上げ方向が[001]方向を含まない、[100]方向と[120]方向との間である場合には、117ファセット成長を抑制する111ファセット成長の中で、最も引き上げ方向とのなす角が小さくなるのは、[100]方向引き上げ時における(211)面および(21)面の法線ベクトルと、[100]方向とのなす角(ω)である39.2度である。よって、結晶の引き上げ方向が[001]方向を含まない場合には、結晶径拡大部の角度(Ψ)を78.4度(39.2度×2)未満、好ましくは77.2度(38.6度×2)以下となるように制御して結晶育成を行うことにより、多結晶化を効果的に抑制できる。なお、Ψは、78.4度未満であれば、0度(90度−90度)に近い値であってもよいが、Ψ値が小さくなるほど、得られる単結晶の径が細くなる結果、単結晶の生産効率が低下するので、このΨ値はできる限り大きいことが好ましい。
【0029】
以上のことから、[001]方向を含まない方向に結晶の引き上げを行う場合において、[001]軸から50.8度(=90度−39.2度)以上、好ましくは51.4度(=90度−38.6度)以上の角度で傾いた結晶方位面を有する種結晶を用いて結晶の引き上げを行えばよいこととなる。なお、[001]軸からの傾きは、50.8度以上であればよく、特に好ましくは90度(90度−0度)である。[001]軸からの傾きが90度に近づくほど、上述した結晶径拡大部角度(Ψ)をより大きく採ることができ、その結果、得られる単結晶の生産効率が向上するからである。
【0030】
以上のような結晶径拡大部の角度Ψは、たとえば、育成時の温度や、引き上げ速度、高周波発振機の出力、ヒータの出力などを制御することにより、コントロール可能である。
【0031】
Sr NbGa Si 14 組成
SrNbGaSi14組成についても、[001]方位に引き上げて結晶育成を行ったところ、図2に示されるように、育成開始直後に多結晶化が観察された。図2は従来法によるSrNbGaSi14の育成例を示す図である。
【0032】
そこで、引き上げ方向を[001]軸から約60度傾けた方向として結晶育成を行ったところ、図11に示されるように、完全に単結晶化させることができなかったが、[100]方位への引き上げによって、図12に示されるように、透明で、かつクラックフリーの単結晶が得られた。図11はSrNbGaSi14の育成例を示す図、図12は本発明法によるSrNbGaSi14の育成例を示す図である。
【0033】
以上より、組成式MNbGaSi14(Mはアルカリ土類元素)で示される単結晶の結晶育成を行う場合には、結晶の引き上げ方向、換言すれば用いる種結晶の結晶方位面が重要であり、さらにこうした単結晶の結晶育成を生産性良く行う場合には、結晶径拡大部の角度が重要である。
【0034】
関係式
以下に示す説明では、こうした結晶の引き上げ方向と肩部(図6(B)における符号30に相当する)の拡大角度との関係について一般式を求めることとする。
【0035】
まず、CaGaGe14構造を持つ単結晶は、空間群P321に属しているためにc軸が3回対称軸、a軸が2回対称軸になっている。そのため、c軸に垂直な面内でa軸からの傾きが±30度を超える範囲については、c軸の3回対称性によりa軸からの傾きが±30度の範囲と等価となる。
【0036】
ここで、本発明において引き上げられる結晶の引き上げ方向ベクトルv(θ、Φ)を、図13に示されるように、[001]軸に垂直で、かつ[100]軸からθ度(−30≦θ≦30)回動させた方向に延びるベクトルvに向けて、[001]軸を含む面内で[001]軸からΦ度回動させた方向とする。a軸における2回対称性からベクトルv(θ、Φ)は、ベクトルv(−θ、180−Φ)と等価となる。なお、本発明では、(117)面と(17)面とは等価であるため、ベクトルv(θ、Φ)は、ベクトルv(−θ、Φ)と等価とみなしている。このため、単結晶の引き上げ方向を示すベクトルは、0≦θ≦30と0≦Φ≦90との範囲のみを考えればよい。
【0037】
0≦θ≦30、0≦Φ≦90である引き上げ方向で単結晶を育成する場合、最も引き上げ方向との角度の小さい117は、(217)面となり、その方向のファセット成長を抑制する111ファセットは(211)面となる。そこで、表記組成の単結晶を育成できる結晶径拡大部角度は、式(Ψ=2ω)で示されるΨ以下とする必要がある。なお、角度ωは(211)面の法線ベクトルと引き上げ方向vとのなす角である。
【0038】
さて、(hkl)面の法線ベクトルは、xyz座標系では、(h/a,(2k+h)/a√3,l/c)と表されるため、(21)面の法線ベクトルは、(2/a,0,1/c)となる。
【0039】
また、c軸(=z軸)に垂直でa1軸(=x軸)からθ度回転させたベクトルvとc軸を含む面内において、c軸からvベクトル方向にΦ度回転させた方向v(θ、Φ)(=引き上げ方向)は、v=(sinΦcosθ,sinΦsinθ,cosΦ)で示される。
【0040】
ωは、ベクトルvと(211)の法線ベクトルとのなす角に等しいから、ωは、ω=cos−1((2sinΦcosθ/a+cosΦ/c)/((2/a)+(1/c)1/2 )となる。よって、Ψは、Ψ=2cos−1((2sinΦcosθ/a+cosΦ/c)/((2/a)+(1/c)1/2 )となる。
【0041】
さて、CaNbGaSi14単結晶(格子定数a=8.112Å、c=5.078Å)をa1軸方向(=x方向)に対して引き上げる場合、θ=0,Φ=90であるから、結晶径拡大部角度は77.2度以下となる。またy方向に引き上げる場合、θ=30,Φ=90に相当するから結晶径拡大角度は94.8度以下となる。また(211)面の法線ベクトルは(0.2465,0,0.1969)となり、Φは51.38度(ω=0度)と計算されるから、CaNbGaSi14単結晶の場合、Φは51.38≦Φ≦90の範囲となる。
【0042】
同様に、SrNbGaSi14単結晶(格子定数a=8.284Å、c=5.080Å)をa1軸方向(=x方向)に対して引き上げる場合、θ=0,Φ=90であるから、結晶径拡大角度は78.4度以下となる。またy方向に引き上げる場合、θ=30,Φ=90に相当するから結晶径拡大角度は95.68度以下となる。また(211)面の法線ベクトルは(0.2414,0,0.1969)となり、Φは50.80度(ω=0度)と計算されるから、SrNbGaSi14単結晶の場合、Φは50.8≦Φ≦90の範囲となる。
【0043】
よって、組成式MNbGaSi14(ただし、Mはアルカリ土類元素)で示される単結晶の引き上げ方位vと、結晶径の拡大部の角度Ψとの関係は、Ψ=2cos−1((2sinΦcosθ/a+cosΦ/c)/((2/a)+(1/c)1/2 )で表すことができる。ただし、式中のθは0≦θ≦30、Φは50.8≦Φ≦90である。
【0044】
【発明の実施の形態】
上述した本発明に係る、組成式MNbGaSi14(ただし、Mはアルカリ土類元素)で示される単結晶を製造するには、たとえば図14に示される単結晶引き上げ装置2を用いることができる。図14は本発明を実施するために用いる単結晶引き上げ装置の一例を示す概略断面図である。
【0045】
本実施形態に係る単結晶引き上げ装置2は、ルツボ4を有し、このルツボ4は、断熱材6の略中心部分に形成された凹部62に配置してある。断熱材6には、ルツボ4を被覆するように耐火物円筒8が被せてあり、これら断熱材6および耐火物円筒8は、耐火物ハウジング10で被覆される。
【0046】
耐火物円筒8および耐火物ハウジング10の頂部壁略中心位置には、それぞれ開口部82,102が形成してあり、これら開口部82,102には、回転させながら上方に引き上げ自在な結晶引き上げ軸12が挿入してある。
【0047】
引き上げ軸12の下端には、種結晶122が取り付けてあり、引き上げ軸12の上端には、動力源(図示省略)が連結される。耐火物ハウジング10の外周には、高周波誘導コイル14が巻かれており、このコイル14に高周波電流を流すことにより、前記ルツボ4が誘導加熱され、その結果、前記ルツボ4中の融液42は所定温度に維持される。
【0048】
以上のような構成の単結晶引き上げ装置2を用いて、常法、たとえばチョクラルスキー法により単結晶を製造する。
【0049】
まず、組成式MNbGaSi14(ただし、Mはアルカリ土類元素)を構成する元素の酸化物または炭酸塩を、粉末状で所定の原子比になるように混合し、円柱状に圧縮成形した後、大気中、1000〜1500℃で焼結して焼結体を得る。
【0050】
次いで、得られた焼結体を、気密性の保たれた単結晶引き上げ装置2のルツボ4内に収容した後、少量の酸素を含む窒素雰囲気下で、前記焼結体を融解させて融液42とする。
【0051】
次いで、結晶引き上げ軸12を下方に移動させることにより、その下端に取り付けてある種結晶122をルツボ4中の融液42に接触させる。本実施形態では、融液42に、種結晶122の[001]軸から50.8度以上90度以下、好ましくは51.4度以上90度以下、特に好ましくは90度、の角度で傾いた結晶方位面を接触させる。
【0052】
次いで、この種結晶122を引き上げ軸12を回転させながら上方に引き上げることにより、付着してくる融液42を凝固させつつ結晶成長させ、単結晶124を育成する。この際の成長条件としては、結晶回転数が、通常1〜100rpm、好ましくは5〜50rpm、種結晶122の引き上げ速度が、通常0.1〜10mm/hr、好ましくは0.5〜5mm/hrである。
【0053】
このようにして製造される本発明に係る単結晶は、たとえば共振器やフィルタなどの各種圧電素子の構成要素に用いて好適である。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0055】
【実施例】
次に、本発明の実施の形態をより具体化した実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0056】
実施例1
高周波発振器として周波数70kHzのものを用いた。図14において直径50mm、高さ50mmおよび厚さ1.5mmのイリジウム(Ir)製ルツボ4に、CaNbGaSi14約250gを挿入した。育成はNに1vol%のOを混入した雰囲気で、種結晶122として[100]方位のCaNbGaSi14単結晶を用いて、0.5mm/hの速度で結晶径の拡大部の角度を70度として引き上げたところ、図7に示される直径25mmφ相当、長さ90mmの透明なCaNbGaSi14単結晶が得られた。
【0057】
結晶の一部を粉砕して粉末X線回折による相同定を行った結果、回折ピークは全てCaGaGe14構造を有する相として指数付けでき、その他の異相ピークは全く認められず単一相であることが確認できた。結晶の表面状態は、荒れ、異物質の付着等は認められず、滑らかで光沢が認められる。結晶内に、気泡、割れ及びインクルージョンなどの巨視的な欠陥は認められず、偏光顕微鏡によるオルソスコープ像から均一な単結晶になっていることが確認できた。
【0058】
本実施例で得られた単結晶は、水晶とほぼ同程度の硬度であり、室温付近で化学的、物理的に安定である。また、水晶等で用いられる通常の加工条件で、クラック発生等の問題もなく、結晶切断及び研磨ができ、結晶の取り扱いが容易であることが確認できた。
【0059】
比較例1
結晶径の拡大部の角度を90度とした以外は、実施例1と同様の条件で結晶育成を行ったところ、図4に示されるように結晶径の拡大部で双晶が生じてしまい、この点で実施例1の優位性が確認できた。
【0060】
実施例2
高周波発振器として周波数70kHzのものを用いた。図14において直径50mm、高さ50mmおよび厚さ1.5mmのイリジウム(Ir)製ルツボ4に、SrNbGaSi14約300gを挿入した。育成はNに1vol%のOを混入した雰囲気で、種結晶122として[100]方位のSrNbGaSi14単結晶を用いて、1.0mm/hの速度で結晶径の拡大部の角度を15度として引き上げたところ、図12に示される直径20mmφ相当、長さ85mmの透明なSrNbGaSi14単結晶が得られた。
【0061】
実施例1と同様に、結晶の一部を粉砕して粉末X線回折による相同定を行った結果、回折ピークは全てCaGaGe14構造を有する相として指数付けでき、その他の異相ピークは全く認められず単一相であることが確認できた。結晶の表面状態は、荒れ、異物質の付着等は認められず、滑らかで光沢が認められる。結晶内に、気泡、割れ及びインクルージョンなどの巨視的な欠陥は認められず、偏光顕微鏡によるオルソスコープ像から均一な単結晶になっていることが確認できた。
【0062】
本実施例で得られた単結晶は、水晶とほぼ同程度の硬度であり、室温付近で化学的、物理的に安定である。また、水晶等で用いられる通常の加工条件で、クラック発生等の問題もなく、結晶切断及び研磨ができ、結晶の取り扱いが容易であることが確認できた。
【0063】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、圧電材料として十分な品質を有する、組成式MNbGaSi14(Mはアルカリ土類元素)で示される単結晶の製造方法および圧電素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は従来法によるCaNbGaSi14の育成例を示す図である。
【図2】 図2は従来法によるSrNbGaSi14の育成例を示す図である。
【図3】 図3は従来法によるCaNbGaSi14の育成例を示す図である。
【図4】 図4は従来法によるCaNbGaSi14の育成例を示す図である。
【図5】 図5(A)は図4に示されるCaNbGaSi14の成長痕を模式化したものであり、[120]方向(=y軸)から見た場合の概要図、図5(B)は図5(A)の左側面図である。
【図6】 図6(A)はCaNbGaSi14を[100]方位に引き上げた際のファセットを表す概要図、図6(B)は図6(A)を[120]方向(=y軸)から見た場合の概要図である。
【図7】 図7は本発明法によるCaNbGaSi14の育成例を示す図である。
【図8】 図8は本発明法によるCaNbGaSi14の結晶構造を説明するための模式斜視図である。
【図9】 図9は図8を[120]方向(=y軸)から見た場合の概要図である。
【図10】 図10は図9のX−X線に沿う断面図であって、CaNbGaSi14を[120]方位に引き上げた際のファセットを表した図である。
【図11】 図11はSrNbGaSi14の育成例を示す図である。
【図12】 図12は本発明法によるSrNbGaSi14の育成例を示す図である。
【図13】 図13は結晶の引き上げ方向を説明するための概要図である。
【図14】 図14は本発明を実施するために用いる単結晶引き上げ装置の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
2… 単結晶引き上げ装置
4… ルツボ
42… 融液
6… 断熱材
62… 凹部
8… 耐火物円筒
82… 開口部
10… 耐火物ハウジング
102… 開口部
12… 結晶引き上げ軸
122… 種結晶
124… 単結晶
14… 高周波誘導コイル

Claims (6)

  1. 組成式MNbGaSi14(Mはアルカリ土類元素)で示される単結晶を製造する方法であって、
    [001]軸から50.8度以上90度以下の角度で傾いた結晶方位に育成を行うことを特徴とする単結晶の製造方法。
  2. 種結晶の[001]軸から50.8度以上90度以下の角度で傾いた結晶方位面をルツボ内の融液に接触させて引き上げることにより、前記種結晶下端に前記組成式MNbGaSi14(Mはアルカリ土類元素)で示される単結晶を成長させることを特徴とする単結晶の製造方法。
  3. 前記組成式で示される単結晶の引き上げ方向を、[001]軸に垂直で、かつ[100]軸からθ(0≦θ≦30)度回動させた方向に延びるベクトルvに向けて、[001]軸を含む面内で[001]軸からΦ(50.8≦Φ≦90)度回動させた方向をvとし、格子定数をa,cとし、結晶径拡大部角度をΨとした場合において、
    下記関係式を満足するような結晶径拡大部角度(Ψ)で単結晶を成長させることを特徴とする請求項1または2記載の単結晶の製造方法。
    Ψ≦2cos−1((2sinΦcosθ/a+cosΦ/c)/((2/a)+(1/c)1/2
  4. 前記アルカリ土類金属がCaおよびSrの何れかである請求項1〜3の何れかに記載の単結晶の製造方法。
  5. [100]方位に結晶を引き上げる場合において、さらに78.4度未満の結晶径拡大部角度で結晶育成を行うことを特徴とする請求項3記載の単結晶の製造方法。
  6. [120]方位に結晶を引き上げる場合において、さらに95.6度未満の結晶径拡大部角度で結晶育成を行うことを特徴とする請求項3記載の単結晶の製造方法。
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