JP2003221613A - 真空脱ガス槽内での高マンガン鋼の溶製方法 - Google Patents

真空脱ガス槽内での高マンガン鋼の溶製方法

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Hiroki Nishi
浩樹 西
Koichiro Hirata
耕一郎 平田
Hiroshi Nomura
寛 野村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空脱炭処理時の必要な脱炭速度を確保する
とともに、溶鋼中マンガンの蒸発損失を従来より抑制可
能な高マンガン鋼の溶製方法を提供する。 【解決手段】 転炉出鋼中に取鍋内の溶鋼にアルミニウ
ム量を添加して取鍋内の溶鋼温度低下を抑制する一方、
真空脱炭処理では真空脱ガス槽3内の真空度を5300〜14
000Pa に調整しつつ、上吹ランス4から上吹きする酸素
に水を混合して酸素ジェット5にスプレー状の水を混合
して溶鋼に吹き付ける。酸素ジェット5が溶鋼に衝突す
る火点を水により冷却してマンガンの蒸発を抑制するの
で、真空脱炭処理に必要な温度を確保できるとともに、
溶鋼中マンガンの蒸発損失を従来より抑制できるばかり
でなく、安価で、かつ、迅速な真空脱炭が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空脱ガス槽内の
溶鋼に上吹ランスから酸素を上吹きして真空脱炭を行う
高マンガン鋼の溶製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ラインパイプ用の鋼管材料には低炭素、
高マンガン鋼が大量に使用されている。マンガンは蒸気
圧が高く、蒸発し易い元素である。このため高マンガン
鋼は、マンガンの蒸発損失を極力押さえて溶製すること
が重要である。そこでRH式など真空脱ガス装置での送酸
脱炭処理の負荷を低減するため、マンガン源として金属
マンガンやC含有量の少ないフェロマンガン合金鉄(LCF
eMn)を使用しているが、金属マンガンやLCFeMnはコスト
が高いという問題点がある。
【0003】そこで、マンガン源としてより安価なC含
有量の多いフェロマンガン合金鉄(HCFeMn)が使用できる
とともにマンガン損失を気にせず送酸による昇温などが
行える技術として特開平5-195046号公報、特開平5-2305
19号公報および特開平6-271923号公報には、雰囲気圧力
を5000Pa〜40000Pa に保持し、酸素ガスに不活性ガスを
混合させて吹き付ける技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記公
報に開示されている方法は、マンガン損失の低減が不十
分であり、また、窒素(N)含有量に規制がある鋼種に
ついては、不活性ガスとしてアルゴンガスを使用するこ
とになり、コストアップが大きい。さらに、アルミキル
ド鋼は、通常、転炉出鋼中に脱酸および成分調整のため
にアルミニウムやフェロシリコンといった合金鉄を添加
してキルド出鋼するが、真空脱ガスにより脱炭を行う場
合は、酸素を脱炭反応に使用する必要があることから、
転炉出鋼時にはマンガン、銅、ニッケルといった弱脱酸
元素のみを添加し、アルミニウムやフェロシリコンとい
った強脱酸元素は添加しないリムド出鋼を行っている。
【0005】これにより転炉出鋼中のアルミニウムやフ
ェロシリコンの酸化反応による発熱がなくなるため、出
鋼中の温度降下が大きくなる。また、真空脱ガス処理に
おいても脱炭処理中の溶鋼温度降下は、従来のキルド処
理中の温度降下に比べて大きい。これらの理由から、前
記従来技術で高マンガン鋼を溶製する場合、温度降下相
当分を転炉の出鋼温度上昇で補償する必要があり、出鋼
温度を大幅に上昇させなければならないというデメリッ
トがあった。
【0006】本発明は、真空脱ガス槽内の溶鋼に上吹ラ
ンスから酸素を上吹きして真空脱炭を行う高マンガン鋼
の溶製時に問題となる溶鋼の温度低下およびマンガン損
失を抑制することができる真空脱ガス槽内での高マンガ
ン鋼の溶製方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の請求項1記載の本発明は、転炉吹錬で得られた溶鋼を
取鍋に受け入れる転炉出鋼中にマンガン源を投入した
後、真空脱ガス槽における取鍋内の溶鋼面に対して真空
吸引状態で上吹ランスから酸素を吹き付けて溶鋼の真空
脱炭を行う高マンガン鋼の溶製方法において、前記転炉
出鋼中に取鍋内の溶鋼に所定のアルミニウム量を添加し
て取鍋内の溶鋼温度低下を抑制する一方、前記真空脱ガ
ス槽内の真空度を5300〜14000Pa に調整しつつ、前記上
吹ランスから吹き付ける酸素に水を混合して真空脱炭す
ることを特徴とする真空脱ガス槽内での高マンガン鋼の
溶製方法である。
【0008】請求項2記載の本発明は、前記転炉出鋼中
に取鍋内の溶鋼に添加する所定のアルミニウム添加量が
下記(1) 式を満足させることを特徴とする請求項1記載
の真空脱ガス槽内での高マンガン鋼の溶製方法である。 記 アルミニウム添加量(kg/t)=『〔転炉吹止酸素(ppm) 〕−〔マンガン添加量 (kg/t)〕×(1−X)×291 』×0.001125 ・・・(1) ここで X=0.9 〜1.0 請求項3記載の本発明は、前記真空脱炭中の上吹ランス
の高さを溶鋼面から1500〜2500mm範囲とすることを特徴
とする請求項1または2記載の真空脱ガス槽内での高マ
ンガン鋼の溶製方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】転炉吹錬で吹錬した溶鋼を取鍋に
出鋼中にマンガン源を投入して溶鋼のマンガン量を調整
する。次に、図1に示すように、取鍋1を上吹ランス4
を備えたRH式の真空脱ガス槽3の下方に移動させた後、
真空脱ガス槽3の下部に設けた2本の浸漬管8を取鍋1
内のマンガン含有量を調整した溶鋼2中に浸漬させる。
取鍋1内の溶鋼2を真空脱ガス槽3に吸い上げて矢印方
向に還流させる。真空脱ガス槽3の、雰囲気真空度を10
〜30Paにして上吹ランス4から酸素ガスを上吹きして真
空脱炭を行い、その後、脱酸剤を添加して脱ガスする。
【0010】この従来技術では、転炉出鋼時にはマンガ
ン、銅、ニッケルといった弱脱酸元素のみを添加し、ア
ルミニウムやフェロシリコンを添加しないリムド出鋼で
あったため、出鋼中の温度降下が大きく、真空脱炭処理
に必要な溶鋼温度を保持し難かった。また、真空度が高
いため真空脱炭時に上吹ランス4からの酸素ジェット5
が溶鋼2に当たってスプラッシュが多量に発生して真空
脱ガス槽3の内壁や排気系に付着するばかりでなく、溶
鋼2の表面積が増加する。その結果、マンガンの蒸発が
盛んになり、著しくマンガンの歩留りを低下させるとい
う問題点があった。
【0011】また、最終的な溶鋼中の目標炭素濃度(0.
05mass%)の達成要求が低くて厳しいこと、および後工
程の連続鋳造機の操業に支障を生じさせないこと(真空
脱炭にかけられる時間は、25分程度しかなく短い)を配
慮し、従来、酸素流量を0.08〜0.1Nm3(ton・min)と抑え
目にし、その代わりに10〜30Pa程度の比較的高い真空度
で真空脱炭を行っていたため、マンガンの歩留りが悪か
った。
【0012】本発明者らは、転炉出鋼中の温度低下につ
いては、溶鋼中のCが0.22% 以上の領域では脱炭反応
(C+O=CO)は酸素供給律速であるため、出鋼中にア
ルミニウムを添加し溶鋼酸素を低減させても、真空脱炭
処理中に上吹ランス4から酸素を供給してやれば十分脱
炭反応が進むことを見出した。そこで本発明では、取鍋
1に溶鋼2を受け入れる転炉出鋼時に次工程の真空脱ガ
ス槽3内での脱炭反応を阻害しない程度まで溶鋼2にア
ルミニウムを添加し、そのアルミニウム燃焼発熱によ
り、出鋼中の溶鋼温度低下を抑制し、これにより真空脱
ガス処理で脱炭不良を起こすことのない溶鋼温度を確保
することにした。転炉出鋼時のアルミニウム添加量(kg/
t)は、真空脱炭処理時の脱炭速度を低下させないため、
溶鋼の転炉吹止酸素(ppm) とマンガン添加量(kg/t)とに
基づき下記の(1) 式を満足させるように求めるのが好適
である。
【0013】 アルミニウム添加量(kg/t)=『〔転炉吹止酸素(ppm) 〕−〔マンガン添加量 (kg/t)〕×(1−X)×291 』×0.001125 ・・・(1) ここで X=0.9 〜1.0 また本発明者らは、マンガン蒸発量が従来より少なくな
る真空脱ガス槽3の真空度を知るため、真空脱ガス槽3
と取鍋1(容量310 〜340t)内との間で溶鋼2を還流さ
せる方式のRH真空脱ガス槽3を用いて、多くの複合脱炭
試験を重ねた。その結果、真空度を5300〜14000Pa まで
低下させる、つまり、真空脱ガス槽3内の雰囲気圧力を
常法の操業より高めると、マンガン蒸発量が少なくなる
ことを見出した。さらに圧力を常法の操業より高め、そ
れが20000Pa を超えると、著しく脱炭速度が低下するこ
とも分かった。
【0014】単に真空度を低くするだけであると、真空
脱ガス槽3内における溶鋼2の脱炭速度が低下し、所望
時間内に後工程の連続鋳造機に真空脱炭済の溶鋼を搬送
できなくなる。このような事態になるのを避けるため、
脱炭速度について鋭意研究したところ、目標炭素濃度領
域での脱炭速度が酸素供給に律速されていることを見出
した。これにより酸素の供給量を従来よりスプラッシュ
の発生が大きくならない程度でできるだけ増加させるよ
うにした。その結果、真空脱ガス槽3内へ供給する上吹
き酸素の流量は、0.1 〜0.15 Nm3/(ton ・min)が望まし
いことが分かった。そこで、この酸素供給量の下で好ま
しい脱炭速度を達成する真空脱ガス槽内の真空度を検討
したところ14000Pa が上限であることも分かった。
【0015】真空脱ガス槽3の真空下での上吹ランス4
からの送酸脱炭時に酸素ジェット5が溶鋼2に当たる部
分(火点)では雰囲気圧力が低い上に高温であるため、
マンガン蒸発による損失が著しくなる。マンガンの蒸発
速度式は、以下に示すLangmuirの式(3) で表される。 dW Mn/dt= A[M Mn /2πRT] 1/2(P Mn * −P Mn ) ・・・(3) ここで、dW Mn /dt はマンガンの蒸発速度、A は蒸発面
積、M Mnはマンガンの原子量、R は気体定数、T は溶鋼
温度、P Mn * はマンガンの蒸気圧、P Mnはマンガン分圧
であり、マンガンの蒸気圧は、以下の式(4) で表され
る。
【0016】 Ln(P Mn * / a Mn)=37.67-3.021lnT-33430/ T ・・・(4) ここで、a Mnはマンガンの活量である。(3)式と
(4)式の組み合わせから温度Tが低いほどマンガンの
蒸発速度が小さくなる。そこで、本発明者らは、送酸脱
炭時に酸素ジェット5が溶鋼2に当たる火点を冷却する
ことにより RH 送酸脱炭時のマンガン損失低減できるか
どうかを検討した。
【0017】その結果、上吹ランス4に酸素供給管6か
ら酸素を供給するとともに水供給管7から水を供給し、
上吹ランス4にて酸素と水を混合してスプレー状態で溶
鋼2の表面に吹き付け、これにより酸素ジェット5が溶
鋼2の表面に衝突する火点を水で冷却してマンガンの蒸
発を抑制し、マンガンの損質を低減することに成功し
た。水の混合量は、溶鋼温度の確保の観点では少ないほ
ど良いが、火点冷却の観点からは多いほどよい。なお、
上吹ランス4から酸素に水を混合して真空脱ガス槽3内
の溶鋼2に吹き付けると、必然的に真空度が低くなり、
真空度を5300〜14000Pa の範囲に調整するのが容易にな
る。
【0018】さらに、実験を行ったところ、混合する水
量を、次式(2) で表される酸素ガス比率が0.6 〜0.9 の
範囲とすることが望ましいことを見出した。 O2/(O2+H2O/2)=0.6 〜0.9 ・・・(2) ここで、O2は上吹き酸素の供給速度〔m3( 標準状態)/se
c 〕、H2O は水(気体換算)の供給速度〔m3( 標準状
態)/sec 〕である。酸素ガス比率が0.6 より小さくなる
と溶鋼の温度低下が著しくなり、また脱炭速度が遅くな
る。一方、酸素ガス比率が、0.9 より大きくなると水の
量が少なく、火点の冷却が不十分でマンガン損失の抑制
効果が小さくなる。
【0019】図2に真空脱ガス槽の真空下での上吹ラン
スからの送酸脱炭時における脱炭量ΔCとマンガン損失
量ΔMnとの比ΔMn/ΔCと酸素ガス比率〔O2/(O2+H2O/
2) 〕の関係を、酸素と水を混合する場合、酸素のみを
使用する場合および酸素と窒素を混合する場合を比較し
て示す。図2に示すように、本発明の範囲である酸素ガ
ス比率が 0.6〜0.9 の範囲になるように水を混合するこ
とでマンガン損失量が、酸素のみを使用する場合および
酸素と窒素を混合する場合と比較してΔMn/ΔCを約50
〜70%低減できることが分かり、本発明の効果を裏付け
ている。さらに、真空脱ガス槽3での脱炭処理中の溶鋼
温度低下については前述のようにC≧0.02%の領域では
脱炭反応は酸素さえあれば高速に反応が進むため、真空
脱ガス槽3内のCO濃度は常に高い状態であり、上吹ラン
ス4からの酸素で二次燃焼させてやれば、脱炭処理中の
溶鋼2の温度低下が抑制できる。
【0020】さらに、鋼浴面からのランス高さと溶鋼温
度降下速度および脱炭速度との関係を調査し、その結果
を図3に示す。図3に示すように、上吹ランス4の高さ
を鋼浴面から1500〜2500mm範囲とすることで、脱炭速度
を著しく低下させることなく、温度降下速度を25〜30%
抑制するこができることがわかる。また、前述したよう
に、マンガン損失抑制のためには溶鋼温度が低い方がよ
いが、マンガンの蒸発は溶鋼と酸素が接触するごく狭い
火点領域であり、二次燃焼帯とは離れているため、真空
脱ガス槽3内でのCO二次燃焼促進により、マンガンの損
失を増やすことなく溶鋼温度の降下を抑制できる。
【0021】
【実施例】表1に示す目標成分の高マンガン鋼を溶製す
べく、まず転炉吹錬で得られた溶鋼(転炉吹止時の溶鋼
成分:C=0.06mass%)の取鍋への出鋼中にマンガン源
として高マンガン合金鉄を投入する。それによる炭素の
目標外れを、上吹ランスを備えたRH真空脱ガス槽を用い
た脱炭技術で補うようにした。なお、転炉から取鍋への
出鋼中に前記(1) 式を満たす条件で溶鋼中にアルミニウ
ム(Al= 94%)を添加した。なお、1チャージ当たりの
溶鋼量は310 〜340tである。
【0022】
【表1】
【0023】本発明の実施例1、2の主な実施条件は、
以下の通りである。 ・転炉から取鍋への出鋼中に溶鋼に投入した高炭素マン
ガン合金鉄の成分は、C=6.8 mass%、Mn=74.7mass%
で投入量は19.0 kg/t ・真空脱ガス槽の真空度: 真空排気系(3段ブースタ式
6段スチームエゼクタ)の操作により任意に調整 ・脱炭時間: 約10分、 ・真空脱ガス槽での上吹き酸素供給速度(O2): 0.5m
3 (標準状態)/sec、水供給速度(H2O):0.25l (標準状
態)/sec=0.31m3(標準状態・気体換算)/sec、酸素ガ
ス比率〔O2/(O2+H2O/2) 〕=0.76、 ・上吹ランスより送酸脱炭処理実施後に、脱酸剤である
フェロシリコン(Si=75 %)アルミニウム(Al= 94
%)、フェロチタン(Ti=71%)をそれぞれ3.5kg/t、0.6
kg/t 、0.3kg/t 添加。引き続いて約15分間の真空脱ガ
ス処理実施。
【0024】なお、本発明の効果を確認するため、転炉
出鋼中にアルミニウムを添加せず、脱炭処理中に上吹ラ
ンスより酸素のみを供給するとともに、真空脱炭処理中
の真空度を変化させた比較例1〜3の操業も行った。本
発明の実施例1、2および比較例1〜3のその他の操業
条件として出鋼中の添加アルミニウムの有無、アルミニ
ウム添加量(kg/t)、槽内真空度(pa)、上吹き酸素比
率、鋼浴〜上吹ランス先端高さ(mm)を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】本発明の実施例1、2および比較例1〜3
の操業結果として真空脱炭処理前後の溶鋼成分(mass
%)、脱炭時間(分)、Mn歩留り(%)、出鋼中の温度
低下(℃)および脱炭処理中の温度低下(℃)を表3に
示す。
【0027】
【表3】
【0028】表3より、本発明の実施例1、2によれば
比較例1、2、3に比べて、出鋼中および脱炭処理中の
温度低下が小さく、また真空脱ガス槽の真空度を従来よ
り低下させても、従来と同等の脱酸速度が得られること
が明らかである。しかも、従来に比べて、溶鋼中マンガ
ンの蒸発損失が抑制されるため、マンガンの歩留りが大
幅に上昇した。ちなみに、得られた溶鋼の化学組成を表
4に示す。
【0029】
【表4】
【0030】表4に示すように、目標炭素濃度:0.06ma
ss%、目標マンガン濃度:1.45mass%に極めて近い成分
の高マンガン鋼を的中率よく溶製することができた。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る真空脱
ガス槽内での高マンガン鋼の溶製方法では、転炉出鋼中
に取鍋内の溶鋼にアルミニウム量を添加して取鍋内の溶
鋼温度低下を抑制する一方、脱炭処理では真空脱ガス槽
内の真空度を5300〜14000Pa に調整しつつ、上吹ランス
から上吹きする酸素に水を混合して溶鋼に吹き付けるの
で、溶鋼中マンガンの蒸発損失を従来より抑制でき、マ
ンガンの歩留りを向上できるばかりでなく、真空脱ガス
槽内での二次燃焼促進により溶鋼温度低下が抑制され、
安価で、かつ、迅速な溶鋼の真空脱炭が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高マンガン鋼の溶製を実施したRH
式真空脱ガス装置を示す縦断面図である。
【図2】真空脱ガス槽での上吹ランスからの送酸脱炭時
における脱炭量ΔCとマンガン損失量ΔMnとの比ΔMn/
ΔCと酸素ガス比率〔O2/(O2+H2O/2) 〕の関係を示すグ
ラフである。
【図3】鋼浴面からのランス高さと溶鋼温度降下速度お
よび脱炭速度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 取鍋 2 溶鋼 3 真空脱ガス槽 4 上吹ランス 5 酸素ジェット 6 酸素供給管 7 水供給管 8 浸漬管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 寛 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 4K013 AA01 BA02 BA16 CA04 CA07 CA12 CA15 CB06 CD07 CE01 CE04 CF12 DA03 DA05 DA09 DA12 DA14 EA19 EA20 EA28 EA32 FA04 4K070 AA02 AB03 AB18 AC22 AC24 EA06 EA08 EA15 EA30

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転炉吹錬で得られた溶鋼を取鍋に受け入
    れる転炉出鋼中にマンガン源を投入した後、真空脱ガス
    槽における取鍋内の溶鋼面に対して真空吸引状態で上吹
    ランスから酸素を吹き付けて溶鋼の真空脱炭を行う高マ
    ンガン鋼の溶製方法において、前記転炉出鋼中に取鍋内
    の溶鋼に所定のアルミニウム量を添加して取鍋内の溶鋼
    温度低下を抑制する一方、前記真空脱ガス槽内の真空度
    を5300〜14000Pa に調整しつつ、前記上吹ランスから吹
    き付ける酸素に水を混合して真空脱炭することを特徴と
    する真空脱ガス槽内での高マンガン鋼の溶製方法。
  2. 【請求項2】 前記転炉出鋼中に取鍋内の溶鋼に添加す
    る所定のアルミニウム添加量が下記(1) 式を満足させる
    ことを特徴とする請求項1記載の真空脱ガス槽内での高
    マンガン鋼の溶製方法。 記 アルミニウム添加量(kg/t)=『〔転炉吹止酸素(ppm) 〕−〔マンガン添加量 (kg/t)〕×(1−X)×291 』×0.001125 ・・・(1) ここで X=0.9 〜1.0
  3. 【請求項3】 前記真空脱炭中の上吹ランスの高さを溶
    鋼面から1500〜2500mm範囲とすることを特徴とする請求
    項1または2記載の真空脱ガス槽内での高マンガン鋼の
    溶製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101277611B1 (ko) * 2011-09-28 2013-06-21 현대제철 주식회사 극저탄소강 제조를 위한 진공 순환탈가스 정련방법
JP2019218601A (ja) * 2018-06-20 2019-12-26 日本製鉄株式会社 溶鋼の脱酸方法

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