JP2003211578A - ガスバリアー性積層体 - Google Patents

ガスバリアー性積層体

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JP2003211578A
JP2003211578A JP2002014363A JP2002014363A JP2003211578A JP 2003211578 A JP2003211578 A JP 2003211578A JP 2002014363 A JP2002014363 A JP 2002014363A JP 2002014363 A JP2002014363 A JP 2002014363A JP 2003211578 A JP2003211578 A JP 2003211578A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高湿度条件下大気中に長期間放置した場合に
おいても優れたガスバリアー性を有すると同時に、他の
基材との密着性にも優れた、包装用材料として好適なガ
スバリアー性積層体を提供する。 【解決手段】 支持体の少なくとも片面にガスバリアー
層が形成されたガスバリアー性積層体において、ガスバ
リアー層が珪酸アルカリ金属塩あるいはコロイダルシリ
カから選ばれる少なくとも一種の珪酸縮合物及び平板状
顔料を含み、前記ガスバリアー層上に疎水性樹脂を含む
オーバーコート層が形成されたガスバリアー性積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種包装材料、成
形材料として好適なガスバリアー性積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】食品などの包装に用いられる包装材料に
おいては、内容物の品質を保護する観点からガスバリア
ー性、特に酸素、水蒸気、二酸化炭素及び香気(アロ
マ、フレーバー)のバリアー性が重要な品質である。こ
のようなバリアー性素材を使用した包装材料は菓子袋、
カツオパック、レトルトパウチ、ハムやソーセージなど
の肉類包装、魚介類の包装、乳製品の包装、みそ類の包
装、茶・コーヒー類の包装、炭酸ガス飲料容器、化粧
品、農薬及び医薬品の包装など、多くの分野で利用され
ている。一方、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポ
リオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポ
リエステル樹脂、ナイロン6やナイロン66などのポリ
アミド系樹脂、ポリスチレン、エチレン酢酸ビニル共重
合体などの熱可塑性樹脂は強度、耐熱性、透明性などが
優れているため広く包装材料として用いられている。し
かし、これらの熱可塑性樹脂からなるフィルムを包装素
材として用いる場合、ガスバリアー性が不十分なため、
ガスバリアー性を有する熱可塑性樹脂や、アルミ箔、ア
ルミ蒸着フィルム、珪素蒸着フィルムなどと積層して包
装材料とする方法が一般的である。
【0003】ガスバリアー性の高い熱可塑性樹脂として
は、ポリビニルアルコール(以下PVA)、ポリエチレ
ンビニルアルコール(EVOH、エチレン−酢酸ビニル
共重合体のけん化物)、ポリアルコール(ポリケトンの
還元物)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)などが挙げ
られるが、PVAやEVOHのような水酸基による水素
結合によってバリアー性を発揮している高水素結合性樹
脂は、高湿度(例えば20℃・80%RH以上)でのバ
リアー性が急激に低下する問題がある。また、PVDC
は高湿度条件下でのバリアー性は優れているが高温時で
のバリアー性の低下が大きい。また、PVDCは塩素化
合物であるため、焼却時にダイオキシンの発生などの問
題が生じるおそれがあり、地球環境問題に対する意識の
高まりのため包装材料としての使用を極力控えようとす
るのが最近の情勢である。
【0004】高湿度条件下での高水素結合性樹脂のガス
バリアー性向上の方法として、高水素結合性樹脂に無機
層状化合物を加えたガスバリアー層(特開平7−251
489号公報)が示されている。しかし、この技術で得
られるガスバリアー層は、高水素結合性樹脂が親水性の
極性基を有し、この極性基が水分子と水素結合すること
により、樹脂自体が膨潤しやすい。膨潤した分子鎖の中
は酸素分子が通りやすいため、ガスバリアー性が悪化す
る。従って、無機層状化合物の添加されているものの、
高湿度条件下における満足すべきガスバリアー性が得る
ことはできない。また、高湿度条件下でのガスバリアー
性を向上させるため無機層状化合物の配合量を増やす
と、ガスバリアー層の透明性が低下、曇り度(ヘーズ)
が大きくなり、包装材料として限られた分野でしか使用
できなくなる。
【0005】また、珪酸アルカリ金属塩溶液によりガス
バリアー層を形成する従来技術がある。例えば、珪酸ア
ルカリ金属塩溶液とカップリング剤からなる水性液を重
合体成形品の表面に塗布して薄膜を形成させてガスバリ
アー性積層体を得る方法(特開平8−238711号公
報)や、珪酸ナトリウム水溶液と珪酸リチウム水溶液を
混合し、この混合物からガスバリアー素材を得る方法が
挙げられる(特開平7−18202号公報)。前者は蒸
着などの操作を施すことなく、ガスバリアー性積層体を
安価に製造できる利点があるが、ガスバリアー性が未だ
不十分な場合があり、また塗膜強度や耐水性が劣るとい
う問題が残る。また後者のような珪酸アルカリ金属塩を
主剤としたガスバリアー層は、珪酸アルカリ金属塩被膜
の耐水性不足、及びクラック発生の問題を、完全に解決
しているとは言い難い。
【0006】一方、金属アルコキシドの加水分解により
ガスバリアー層を形成する従来技術がある。例えば、特
許第2556940号公報には、アルコキシシラン、シ
ランカップリング剤及びポリビニルアルコールを含有す
る組成物を重縮合し、主成分が直鎖状ポリマーよりなる
複合ポリマーからガスバリアー性積層フィルムを形成す
る技術が記載されている。しかしこの方法でも、高湿度
条件下におけるガスバリアー性については満足のいく結
果が得られていない。
【0007】更に特開平11−129379号公報に
は、無機層状化合物と樹脂と金属アルコキシドの加水分
解物からなるガスバリアー性積層体が記載されている。
この方法は、無機層状化合物と樹脂を主剤とした塗料
に、金属アルコキシドの加水分解物を更に添加するもの
であるが、後添した金属アルコキシドの加水分解物は樹
脂と急激に縮合、ランダムな3次元網目構造をとるよう
に反応が進行するため、このように形成されたガスバリ
アー層はポーラスなものとならざるを得ず、無機層状化
合物が添加されていても高バリアー性は期待できない。
【0008】本発明者らは、珪酸縮合物を用いたガスバ
リアー層について鋭意検討した。珪酸縮合物とは、珪酸
アルカリ金属塩、もしくはコロイダルシリカのことをさ
す。珪酸アルカリ金属塩は別名水ガラスと呼ばれ、珪酸
ナトリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウムなどが挙
げられる。コロイダルシリカは、珪酸アルカリ金属塩か
らイオン交換樹脂を用いて脱アルカリ処理したのち縮合
させコロイダル粒子としたものに代表される。
【0009】珪酸アルカリ金属塩やコロイダルシリカ
は、その一次粒子がナノメーター以下あるいはナノメー
ターレベルの超微粒子であり、溶液中ではモノマー、ダ
イマー、トリマー、オクトマーなどと、これらが縮合し
たオリゴマーなどを数多く含んでおり、これら粒子は反
応性の官能基を表面に有し、被膜形成時に各粒子が敷き
詰められるだけでなく、乾燥すると縮合反応を起こして
均一なバリアー性の膜を作る。
【0010】本発明者らは、鋭意検討の結果、珪酸縮合
物と平板状顔料を組み合わせによりガスバリアー層のク
ラック発生を防止したガスバリアー性積層体(特開20
01−336507号公報)を出願した。しかし、珪酸
縮合物と平板状顔料だけでは、高温高湿で長期に保持さ
れた場合に耐水性が不足し、支持体からの剥がれ脱落や
クラックなどが発生する場合があり、使用条件に制約が
あった。
【0011】この問題について更に検討した結果、珪酸
縮合物と反応して縮合を促進する含窒素化合物を用い、
ガスバリアー層の耐水性と支持体への密着性が向上した
ガスバリアー性積層体を得た(特願2000−0678
58号)。しかし、珪酸縮合物の膜は無機質であるた
め、硬く、傷がつきにくいという利点があるが、一方
で、包装用材料として使用する場合、使用用途によって
は耐屈曲性が不足する場合がある。また、珪酸縮合物と
して珪酸アルカリ金属塩を使用する場合、珪酸アルカリ
金属塩が強アルカリ性であるため、空気中の水分や炭酸
ガスを吸収して塗膜が白変(白華現象)し、外観が損な
われるという欠点を有する。
【0012】そこで本発明者らは、珪酸縮合物を含むガ
スバリアー層上に、更に高水素結合性樹脂を含むオーバ
ーコート層を設けて柔軟性を付与し、塗膜の白変化が低
減されたガスバリアー性積層体を提案した(特願200
0−220059号)。しかし、上記ガスバリアー性積
層体においても、白華現象の防止は完全ではなく、更
に、高湿度条件下でのガスバリアー性は短時間において
は十分であるが、高湿度下で長時間(24時間以上)経
過した後には不十分であった。更に本発明者らは、白華
現象の防止のために、バリアー層中あるいは水素結合性
樹脂を含む第二のガスバリアー層中に酸性物質を含ませ
ることで、白華現象あるいは高湿度、長時間における酸
素バリアー性に良好なガスバリアー性積層体を提案し
た。このようにして得られたガスバリアー性積層体は、
通常そのままの形態では包装用積層体として使用される
ことは少なく、その多くは他のフィルムや積層体、紙、
アルミ箔(これら全てを含めて他の基材とここでは称
す)と積層して使用される。他の基材と積層させる目的
は、ヒートシール適性を向上させたり、包装体としての
強度を上げたり、バリアー性を更に向上させるためなど
である。積層方法としては、ガスバリアー性積層体と他
の基材を接着剤を介して接着する方法(ドライラミネー
ト)や、また、他の基材が熱可塑性樹脂からなる場合に
は、該熱可塑性樹脂をガスバリアー性積層体上に押出し
ながら積層(押出ラミネート)する方法、また他の基材
をガスバリアー性積層体に熱圧着させながら積層させる
等の公知の方法がある。他の基材と積層される場合に
は、該基材とガスバリアー性積層体の密着強度が包装体
として用いる際に非常に重要である。密着強度が弱い場
合は、他の基材とガスバリアー性積層体の間で剥離(デ
ラミ)が発生して外観を著しく損ねたり、包装されたも
のを開封する時に、開封しづらくなるといった問題が発
生する。しかしながら、珪酸縮合物を含むガスバリアー
層を有するガスバリアー性積層体は、他の基材との密着
強度が弱くなる傾向があることが判明した。
【0013】そこで本発明者らは、前記密着強度の向上
について鋭意検討したところ、珪酸縮合物を含むガスバ
リアー層上に、疎水性樹脂を含むオーバーコート層を設
けることで、他の基材との密着強度が強くなることを見
出した。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高湿度条件
下大気中に長期間放置した場合においても優れたガスバ
リアー性を有すると同時に、他の基材との密着性にも優
れた、包装用材料として好適なガスバリアー性積層体を
提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために以下の方法をとる。
【0016】即ち、本発明の第1は、支持体の少なくと
も片面にガスバリアー層が形成されたガスバリアー性積
層体において、ガスバリアー層が珪酸アルカリ金属塩あ
るいはコロイダルシリカから選ばれる少なくとも一種の
珪酸縮合物及び平板状顔料を含み、前記ガスバリアー層
上に疎水性樹脂を含むオーバーコート層が形成されたガ
スバリアー性積層体である。
【0017】本発明の第2は、珪酸縮合物が、一般式M
O・nSiO(n>0、M=Na、K、Li)で表
される珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムか
ら選ばれた少なくともいずれか一種以上である本発明の
第1記載のガスバリアー性積層体である。
【0018】本発明の第3は、平板状顔料が、スメクタ
イト粘土及び雲母族から選ばれた少なくともいずれか一
種以上である本発明の第1〜2のいずれかに記載のガス
バリアー性積層体である。
【0019】本発明の第4は、疎水性樹脂が、スチレン
−ブタジエン共重合体、アクリルスチレン共重合体、ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂から
選ばれた少なくともいずれか一種以上である本発明の第
1〜3のいずれかに記載のガスバリアー性積層体であ
る。
【0020】本発明の第5は、疎水性樹脂が、カチオン
性を示す官能基を有する本発明の第1〜4のいずれかに
記載のガスバリアー性積層体である。
【0021】本発明の第6は、オーバーコート層にカチ
オン性の物質が含まれている本発明の第1〜5のいずれ
かに記載のガスバリアー性積層体である。
【0022】本発明の第7は、オーバーコート層に酸性
物質が含まれる本発明の第1〜6のいずれかに記載のガ
スバリアー性積層体である。
【0023】本発明の第8は、酸性物質が、リン酸化合
物、硫酸化合物、炭酸化合物、ホウ素化合物、珪酸化合
物から選ばれた少なくともいずれか一種以上である本発
明の第7記載のガスバリアー性積層体である。
【0024】本発明の第9は、ガスバリアー層が、珪酸
以外の酸性物質を含む本発明の第1〜8記載のガスバリ
アー性積層体である。
【0025】本発明の第10は、珪酸以外の酸性物質
が、リン酸化合物、硫酸化合物、炭酸化合物、ホウ素化
合物から選ばれた少なくともいずれか一種以上である本
発明の第9記載のガスバリアー性積層体である。
【0026】本発明の第11は、ガスバリアー層が有機
官能基を有する金属アルコキシドの加水分解縮合物を含
む本発明の第1〜10のいずれかに記載のガスバリアー
性積層体である。
【0027】本発明の第12は、支持体とガスバリアー
層の間にアンカー層が存在する本発明の第1〜11のい
ずれかに記載のガスバリアー性積層体である。
【0028】本発明の第13は、アンカー層が含窒素化
合物あるいは高水素結合性樹脂から選ばれた少なくとも
いずれか一種以上を含む本発明の第12記載のガスバリ
アー性積層体である。
【0029】本発明の第14は、オーバーコート層上に
熱可塑性樹脂層を積層した本発明の第1〜13のいずれ
かに記載のガスバリアー性積層体である。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳述する。
本発明におけるガスバリアー層とは、珪酸アルカリ金属
塩あるいはコロイダルシリカから選ばれるた少なくとも
いずれかの一種以上の珪酸縮合物と、平板状顔料を含む
ものである。
【0031】珪酸縮合物のうち、珪酸アルカリ金属塩と
はMO・nSiO(Mはアルカリ金属、n>0)で
表される化合物である。通常は濃厚水溶液として取り扱
われる。アルカリ金属Mは、リチウム、ナトリウム、カ
リウム等である。また、本発明においては、アンモニウ
ムなどのカチオン性イオンもMの範疇に含まれるものと
する。nはモル比ともいい、0.5〜10程度の範囲が
好適である。モル比0.5未満では珪酸の縮合による膜
形成能が低下したり、アルカリ金属塩の含有量が多すぎ
るため、耐水性、耐湿性が低下する場合が多く、白華現
象も起きやすい。また、モル比が10を越えた場合に
は、クラックの発生などの塗工面の不具合が発生する恐
れがある。
【0032】尚、モル比が10を越える高モル比の珪酸
アルカリ金属塩は一般には市販されていないが、但し、
無定形シリカやコロイダルシリカに各種アルカリ金属水
酸化物を添加して溶解する方法や、市販の珪酸アルカリ
金属塩に、無定形シリカやコロイダルシリカを溶解する
方法にて調製することが可能であり、このように調製さ
れた珪酸アルカリ金属塩も本発明では使用可能である。
高モル比の珪酸アルカリ金属塩を使用する場合は、特定
の形状をした非常に薄い平板状顔料を使用したり、0.
5μm以下の極薄膜を形成するとこにより、薄膜厚さ方
向の収縮が表面の収縮と同程度になるようにすると、ク
ラックは発生しにくくなる。
【0033】珪酸縮合物のうちコロイダルシリカは、珪
酸ナトリウムを無機酸で中和したり、シリコンエステル
やシリコンハライドを加水分解することによって得るこ
とができる。また、珪酸ナトリウムなど珪酸アルカリ金
属塩をカチオンイオン交換樹脂層に通した後、アルカリ
でpHを調整し、その後加熱してコロイダルシリカの核
を生成し、その液に更に上記カチオン交換樹脂層を通し
た珪酸ナトリウム液をゆっくりと滴下することによりに
より得られる。滴下の速度を急激にすると縮合が急激に
進み、アグリゲーションが発生しポーラスな構造となる
ため好ましくない。ゆっくりと滴下することにより核表
面のシラノール基に順次モノマーがデポジットして粒子
が成長する。pHを適度に調整し、滴下速度をゆっくり
とすることでコロイダルシリカを数nmから数μmの任
意の大きさまで成長させることができる。本発明で用い
るコロイダルシリカの粒子径は数nm〜数百nmの範囲
が好ましい。また、異なる粒子径のコロイダルシリカを
組み合わせて使用することにより、充填率を大きくする
こともできる。
【0034】コロイダルシリカは、珪酸アルカリ金属塩
と比較すると、成膜性やガスバリアー性に劣る場合があ
る。その場合、コロイダルシリカにアルカリ金属塩を添
加してコロイダルシリカの表面のシロキサン結合を開裂
させることで成膜性とガスバリアー性を向上させること
ができる。
【0035】本発明に使用する珪酸縮合物としては、珪
酸アルカリ金属塩とコロイダルシリカでは、ガスバリア
ー性の面だけから考えると、珪酸アルカリ金属塩がより
好ましい。珪酸アルカリ金属塩としては、アルカリ金属
がナトリウムである珪酸ナトリウムの場合、モル比0.
5のオルト珪酸ナトリウム(NaO・1/2SiO
あるいはNaSiO)、モル比0.67のセスキ珪
酸ナトリウム(3NaO・2SiOあるいはNa
Si)、モル比1のメタ珪酸ナトリウム(Na
O・SiOあるいはNaSiO)、モル比2の二
珪酸ナトリウム(NaO・2SiOあるいはNa
Si)、モル比4の四珪酸ナトリウム(Na
・4SiOあるいはNaSi、別名:珪酸ソ
ーダ4号)などがある、また、日本工業規格JIS−K
−1408で定められた珪酸ソーダ1号(モル比2)、
2号(モル比2.5)、3号(モル比3)、メタ珪酸ナ
トリウム1種、メタ珪酸ナトリウム2種がある。
【0036】アルカリ金属がカリウムである珪酸カリウ
ムにおいてもその組成は種々なものがあるが、一例とし
てメタ珪酸カリウム(KO・SiO)、四珪酸カリ
ウム(KO・4SiO・HO、別名二珪酸水素カ
リウム)が挙げられる。アルカリ金属がリチウムである
珪酸リチウムは、オルト珪酸リチウム(LiO・1/
2SiO)、メタ珪酸リチウム(LiO・Si
)、3.5珪酸リチウム、7.5珪酸リチウム(L
O・7.5SiO)などがある。また、例えばテ
トラメチルアンモニウムイオンをカウンターイオンとす
る珪酸アンモニウムのようなアンモニウム塩も、本発明
においては珪酸アルカリ金属塩の範疇とする。
【0037】これら珪酸アルカリ金属塩は、モル比によ
って縮合度が異なり、粒子径も異なってくる。その大き
さはモル比が小さくなると液中への溶解度が大きくなる
などして明確に決めることはできないが、動的光散乱法
から類推すると数nm以下のものが大部分であり、ガス
バリアー層として密にパッキングすることができる。こ
れら珪酸アルカリ金属塩は、二種類上混合して使用して
もかまわないし、珪酸アルカリ金属塩とコロイダルシリ
カを二種類以上混合して使用してもかまわない。また、
成膜性を上げるためにアルカリ金属塩を加えて使用して
もかまわない。
【0038】本発明のガスバリアー層中に平板状顔料が
存在することにより、ガスバリアー層の体積の収縮に対
する抵抗力(クラック防止)を向上させることができ
る。このような概念はプラスチック成形の分野にある。
例えば、ガラス繊維をプラスチックに混練することによ
り、衝撃が加わった際に破壊に至るクレーズの発生を防
止し強化プラスチックとする方法がとられている。本発
明でも、平板状顔料を混入することで珪酸縮合物の縮合
に伴うクラックの発生を防止し、珪酸縮合物からなる膜
の強度を高めるものとすることができる。このような効
果を得ることは、炭酸カルシウムに代表される球状顔料
では難しく、平板状顔料に特有な効果である。また、平
板状顔料は比表面積が大きく、その表面は親水性である
ため、平板状顔料の表面に接している珪酸縮合物のシラ
ノール基は縮合することができない。結果として、大き
な比表面積を持つ平板状顔料が珪酸の縮合を阻害してク
ラックを防止しているとも考えられる。
【0039】また、平板状顔料は、珪酸縮合物の縮合に
伴う収縮によるクラック発生の防止という効果のみなら
ず、ガスバリアー性の向上に対して特異な効果をもたら
す。平板状顔料とは、おおむね平板性を有する顔料であ
り、本発明においては、その長径と厚みの比(アスペク
ト比)が5以上のものをさす。本発明ではガスバリアー
層に珪酸縮合物と平板状顔料を配合し、平板状顔料をガ
スバリアー層中に魚鱗状に敷き詰めることによりガスの
進入を防止するものである。平板状顔料は無機物で結晶
性を有するものであり、その平面方向から厚み方向には
ガス分子が透過することがない。本発明ではこのような
平板状顔料を敷き詰め、平板状顔料が層の厚み方向に幾
重にも積み重なることにより、透過しようとするガス分
子が平板状顔料を迂回して透過する、いわゆる曲路効果
が発揮される。従って、汎用の顔料である炭酸カルシウ
ムのような球形に近い形状の顔料を使用した場合と比較
すれば数倍優れたガスバリアー性を得ることができる。
このような平板状顔料は、単位結晶層が互いに積み重な
って層状構造を有している無機層状化合物が好ましい。
「層状化合物」とは、層状構造を有する化合物ないし物
質であり、「層状構造」とは、原子が共有結合等によっ
て強く結合して密に配列した面が、ファンデルワールス
力等の弱い結合力によって平行に積み重なった構造やイ
オンで結合した平板性の高い顔料をいう。
【0040】本発明に用いる平板状顔料としては、第1
にはフィロケイ酸塩鉱物が挙げられる。フィロケイ酸塩
鉱物に属するものは板状又は薄片状であり明瞭な劈開性
を有し、雲母族、パイロフィライト、タルク(滑石)、
緑泥石、セプテ緑石、蛇紋石、スチルプノメレーン、粘
土鉱物などがある。これらの中でも産出される時の粒子
が大きく産出量が多い鉱物、例えば雲母族やタルクが好
ましい。雲母族には、白雲母(マスコバイト)、絹雲母
(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バ
イオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、
ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイ
カ、パラゴナイト、ブリトル雲母などが挙げられる。も
ちろん、組成的にはタルクに類似する合成雲母などの合
成品も本発明の範疇に含める。合成雲母には、フッ素金
雲母、カリウム四珪素雲母、ナトリウム四珪素雲母、ナ
トリウムテニオライト、リチウムテニオライトなどが挙
げられる。合成雲母には不純物が少なく、またアスペク
ト比の大きい雲母を選択できるという利点がある。雲母
の合成方法は、水熱合成法(加圧加湿条件下で合成する
方法)、固相反応法(タルクとケイフッ化アルカリ50
0〜800℃で数時間、固相反応させる方法)、熔融法
(シリカ、アルカリ、フッ素を含む原料を約1500℃
の高温で熔融化して合成する方法)などが挙げられる
が、純度、結晶化度、コストの面で熔融法が好ましい。
【0041】カオリンなどの粘土鉱物も一般的には平板
結晶といわれているが、結晶一個をとれば平板の部分は
あるが全体としては粒状である。しかし、カオリンのう
ち、意識的に結晶層を剥離し平板になるように切りだし
たデラミカオリンなどは本発明に用いることができる。
デラミカオリン等を顔料として使用した場合、ガスバリ
アー層に用いる顔料の粒子径は膜厚に対応して小さくす
る必要がある場合があり、これら顔料をボールミル、サ
ンドグラインダー、コボルミル、ジェットミルなどの粉
砕機で粉砕分級して所望の大きさにそろえる必要があ
る。
【0042】本発明に用いる平板状顔料の第2は、積み
重なった構造やイオンで結合した平板性の高い、いわゆ
る無機層状化合物である。無機層状化合物の具体例とし
ては、グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン
酸ジルコニウム系化合物)、カルコゲン化合物〔式MX
で表わされるジカルコゲン化合物が例示される。ここ
で、MはIV族(Ti、Zr、Hf)、V族(V、N
b、Ta)又はVI族(Mo、W)の元素を、Xはカル
コゲン(S、Se、Te)を示す。〕が挙げられる。
【0043】本発明に用いる平板状顔料の第3として、
スメクタイト族、バーミキュライト族、などの粘土鉱物
を挙げることができる。より具体的には、ディッカイ
ト、ナクライト、スメクタイト、ハロイサイト、アンチ
ゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、テトラシ
リリックマイカ、ナトリウムテニオライト、リチウムテ
ニオライト、マーガライト、バーミキュライト、ザンソ
フィライト、緑泥石、等を挙げることができる。また、
層状ポリ珪酸塩である、カネマイト、マカタイト、アイ
ラアイト、マカディアイト、ケニアイト等も挙げること
ができる。このような平板状顔料も無機層状化合物と呼
ばれることもある。また、これらの合成品でもかまわな
い。合成スメクタイトにはナトリウムヘクトライト、リ
チウムヘクトライト、サポナイトなどが挙げられる。こ
れらは水熱合成や熔融法によって合成することができ
る。
【0044】このうちスメクタイト粘土は特に好まし
い。スメクタイト粘土は三層構造の結晶からなってお
り、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロライ
ト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコ
ナイト、スチプンサイト、ヘクタイトなどが知られてい
る。また、モンモリロナイトを主成分とし他の成分を含
む鉱物であるベントナイトや酸性白土などもスメクタイ
ト粘土の範疇に入る。
【0045】これらのスメクタイト粘土は、淡黄色ある
いは白色の微粉末であり、その大きさは数nm〜数μm
で、水中で膨張し独特のコロイド構造を作る。例えば、
モンモリロナイトは、二つのシリカの間にアルミナ層が
サンドイッチされた三層構造を一単位とし、このフレー
クが水を介して連なっており、水溶液中ではフレーク間
の水のため、フレークはバラバラとなる。
【0046】また、一般にスメクタイト粘土は水中に分
散させると容易にコロイド状分散液、即ちゾルを形成す
るが、濃度が増すにつれてゲルを形成しやすくなり、顕
著なチキソトロピー性を示す。このため、高濃度のスメ
クタイト粘土分散液を調製することが難しい。このよう
な場合、解膠剤を添加すると安定した流動分散液(ゾ
ル)となり塗料粘度が低下するため好ましい。解膠剤と
しては、多価リン酸塩、例えばヘキサメタリン酸塩、ポ
リリン酸塩(ピロリン酸ナトリウム等)が例示できる。
特にピロリン酸ナトリウムは性能/価格比に優れ好まし
い。
【0047】平板状顔料の粒子径は10nmから10μ
mの間にあるものが好適であり、より好ましくは10n
mから5μm程度である。10nm未満であると平板性
が有効に働かず、塗工層の乾燥中に支持体に平行に並ぶ
ことが難しく、曲路効果を示しにくい。一方10μmを
越えるとヘーズの上昇等の外観不良の原因となったり、
や珪酸縮合物の成膜性が低下するため好ましくない。
【0048】また、本発明に使用可能な平板状顔料は、
ガスバリアー性積層体の透明性の点からは、粒径1μm
以下であることが好ましい。更にガスバリアー性積層体
がフィルムであり、特に透明性が重要視される用途(例
えば食品用途)に用いる場合には、この粒径は0.5μ
m以下であることが更に好ましい。また、この透明性
は、波長500nmの全光線透過率で、80%以上(更
に好ましくは85%以上)、ヘーズが0.5〜10%の
範囲内であることが好ましい。このような透明性は、例
えば、市販の分光光度計(島津自記分光光度計UV−3
100PC型:(株)島津製作所製)で好適に測定する
ことが可能である。
【0049】平板状顔料は、おおむね平板性を有する顔
料であり、本発明では特にその長径と厚みの比であるア
スペクト比が5以上であるものをさす。ガスバリアー性
の向上の面からは前記アスペクト比が20以上であるこ
とが更に好ましい。上記アスペクト比が20未満では、
曲路効果が小さく、その用途によってはガスバリアー性
の発現が不十分となる場合がある。一方アスペクト比が
5000を越える平板状顔料を得ることは技術的に難し
く、また経済的にも高価なものとなるので、製造容易性
の点から、アスペクト比は5000以下であることが好
ましい。
【0050】平板状顔料のアスペクト比は、顔料の粒子
径及び厚さを測定して求めることができる。本発明にお
いては、粉体状の顔料を、透過型電子顕微鏡や走査型電
子顕微鏡を用いて直接観察し、その平均粒子径を求め
た。粒子の厚みは、電子顕微鏡の視野にある鱗片以外の
棒状に見える粒子を探し、厚みとして測定した。この測
定方法は雲母族のような非膨潤性雲母の粒子径と厚さを
求めるのに好適である。尚、平板状顔料の粒子径は、光
散乱法の測定装置により平均粒子径を測定することも可
能である。また、粒子の厚みを求めるには、平板状顔料
を含む塗料によって塗膜を形成後、その塗膜面を垂直に
切断、断面を顕微鏡観察して厚さを測定することも可能
である。この測定方法はモンモリロナイトやスメクタイ
トのような水膨潤性粘土鉱物などの粒子径と厚さを求め
るのに特に好適である。
【0051】ガスバリアー層における珪酸縮合物と平板
状顔料の比率は状況に応じて任意に決定できる。平板状
顔料の場合、例えばモンモリロナイトなどスメクタイト
粘土はその平板性と表面電荷のため容易に被膜を作るこ
とができる。もちろんその被膜の強度は弱く耐水性は少
ないため、珪酸縮合物で補強する必要がある。一方、珪
酸縮合物も単独では、その被膜は縮合に伴いクラックが
発生しやすいが、平板状顔料を添加することでクラック
の発生を大幅に少なくすることができる。このように、
珪酸縮合物と平板状顔料は互いにその欠点を補う働きを
している。このため珪酸縮合物と平板状顔料の比は広範
囲の割合をとることが可能である。珪酸縮合物と平板状
顔料の比は質量配合比で99/1〜10/90程度が好
ましく、好ましくは99/2〜20/80で、より好ま
しくは99/3〜30/70である。平板状顔料の比率
が1質量%未満になるとクラック防止の効果が小さくな
る。また平板状顔料の比率が90質量%を越えて大きく
なるとガスバリアー性が低下する。
【0052】ガスバリアー層のクラック発生や、白華現
象を防止したりするため、また、ガスバリアー性を更に
向上させ、印刷適性やラミネート適性を付与するため等
の理由により、ガスバリアー層の上に、オーバーコート
層を設けることができる。ところで、ポリビニルアルコ
ール等、水酸基を有する親水性樹脂は、ガスバリアー性
に優れるため、オーバーコート層として用いた場合、ガ
スバリアー性積層体全体のガスバリアー性が向上すると
考えられた。しかし、このような親水性樹脂によるオー
バーコート層は、前述の珪酸縮合物と平板状顔料からな
るガスバリアー層との密着性が低いことが判明した。特
に、30℃80%のような高湿度雰囲気下に長時間保持
された場合、極端に密着強度が低下することが判明し
た。これは、前記ガスバリアー層とオーバーコート層の
接着強度は、ガスバリアー層の珪酸縮合物と、オーバー
コート層のポリビニルアルコール等との水素結合による
ものであるが、水分の存在によってこの水素結合が切
れ、密着強度が低下するものと推察した。また、前記ガ
スバリアー層の表面にはSiOH基は少なく、Si−O
−Si結合が多く分布しているため、ポリビニルアルコ
ールのような親水性樹脂との密着性が低くなるものと推
察した。
【0053】そこで、本発明者らは、従来使用していた
親水性樹脂に代えて、スチレン−ブタジエンラテックス
等の疎水性樹脂を用いてオーバーコート層を形成する
と、ガスバリアー層との密着性強度が飛躍的に向上する
ことを見出した。更に、カチオン性を示す疎水性樹脂を
使用すると高湿度条件下での密着強度も大きく向上する
ことを見出した。これは珪酸縮合物を含むガスバリアー
層表面がアニオン性であるためカチオン性物質とイオン
結合により強く接着したものと推測される。また、ガス
バリアー層表面にある少量のSiOHやSiOとカチ
オン性樹脂がイオン結合あるいはカチオン成分である窒
素原子と共有結合(SiO−N)を形成しているために
密着強度が向上したものと推測される。
【0054】本発明でオーバーコート層に使用する疎水
性樹脂とは、成膜性が良好、かつその膜が耐水性を示す
ものである。より具体的には、本発明における疎水性樹
脂とは、以下に示した3条件の少なくともいずれか1条
件を満たすものをさすものとする。即ち、第1の条件
は、樹脂の形成する被膜表面の20℃における水の接触
角(水滴を落として10秒後の値とする)が45度以上
のものを示すものとする。より好ましくは60度以上、
更に好ましくは75度以上である。また、第2の条件
は、成膜された樹脂膜の、20℃の水に対する溶解度が
3%(質量基準)以下のものを示すものとする。より好
ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下である。ま
た、第3の条件は、成膜された20μ厚さ樹脂膜の高湿
度条件下における透湿度が、500g/m・24hr(JI
S Z0208の40℃90%条件)以下であるものを
示すものとする。より好ましくは400g/m・24hr以
下、更に好ましくは300g/m・24hr以下である。疎
水性樹脂の具体例としては次のものが挙げられる。即
ち、スチレン−ブタジエン系共重合体、アクリル−スチ
レン系共重合体、メタクリレート−ブタジエン系共重合
体、アクリルニトリル−ブタジエン系共重合体、アクリ
ルエステル系共重合体、ポリエステル系樹脂(ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートな
ど)、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系共重合体(ナ
イロン6、ナイロン66など)、ポリカーボネート系共
重合体、ポリオレフィン系重合体、α−オレフィン・不
飽和カルボン酸共重合体、(変性)ロジン樹脂、(変
性)テルペン樹脂、及びカチオン変性ポリウレタン樹
脂、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビ
ニル共重合体、第3級窒素含有アクリル系樹脂等などの
カチオン樹脂(カチオン樹脂については、特開平8−9
0898号公報、特開昭63−162275号公報、特
開昭62−148292号公報参照)等である。
【0055】また、これらの樹脂を他の官能基を有する
モノマーで変性したものも好適に使用される。変性する
モノマーの例を挙げると、アクリル酸、メタクリル酸、
クロトン酸などの不飽和カルボン酸;フマル酸、マレイ
ン酸、イタコン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和
多価カルボン酸;マレイン酸モノエチル、イタコン酸モ
ノメチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分
エステル化物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メ
タ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソア
ミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アク
リル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オ
クチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルな
どの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリロニ
トリルなどのシアノ基含有エチレン性不飽和化合物;
(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエチレン性不飽和
酸のグリシジルエーテル;アリルグリシジルエーテルな
どの不飽和アルコールのグリシジルエーテル;(メタ)
アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどの
(メタ)アクリルアミド系化合物などが用いられる。
尚、二種類以上のモノマーを使用して変性することもで
きる。
【0056】本発明でオーバーコート層として使用する
疎水性樹脂としては、カチオン性を示す官能基を有する
疎水性樹脂が更に好ましい。最も好ましいカチオン性を
示す官能基としては含窒素官能基である。具体的な樹脂
としては、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂など
が挙げられる。また、(メタ)アクリロニトリルなどの
シアノ基含有エチレン性不飽和化合物や(メタ)アクリ
ルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N
−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メ
タ)アクリルアミド系化合物などのカチオン性を有する
モノマーで変性された樹脂、例えばスチレン−ブタジエ
ン共重合体、アクリル−スチレン共重合体、メタクリレ
ート−ブタジエン系共重合体、アクリルニトリル−ブタ
ジエン系共重合体、アクリルエステル系共重合体、ポリ
エステル系樹脂などのカチオン変性樹脂あるいは両性
(カチオン性官能基とアニオン性官能基を両方有するも
の)変性樹脂も好適に使用される。
【0057】また、前述の疎水性樹脂に、カチオン性化
合物を加えることでガスバリアー層との耐湿接着強度を
向上させることができる。疎水性樹脂に添加できるカチ
オン性化合物の例としては以下の通りである。即ち、カ
チオン性化合物としては、ポリイミン系化合物が挙げら
れる。ポリイミン系化合物の一例としては、ポリエチレ
ンイミン、アルキルあるいはシクロペンチル変性ポリエ
チレンイミン、エチレン尿素のイミン付加物、ポリ(エ
チレンイミン−尿素)及びポリアミンポリアミドのエチ
レンイミン付加物、又は、これらのアルキル変性体、ア
ルケニル変性体、ベンジル変性体、もしくは、脂肪族環
状炭化水素変性体、ポリアミドイミド、ポリイミドワニ
スからなる群より選ばれたポリイミン系化合物(ポリア
ルキレンイミン系化合物)がある。本発明で使用される
ポリアルキレンイミンとしては、ポリエチレンイミン及
びポリプロピレンイミンが好ましく、特にポリエチレン
イミンが好ましい。これらのポリアルキレンイミンは単
独で使用しても、また酢酸、p−トルエンスルホン酸、
硫酸、塩酸等との塩を形成して使用してもよい。
【0058】また、カチオン性化合物としては、ポリア
ミン系化合物が挙げられる。ポリアミン系化合物として
はポリアルキレンポリアミンがある。例えばポリエチレ
ンポリアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミンなどの化合物である。また
同様の効果を示すものとしては、ポリアミドのポリエチ
レンイミド付加物などの化合物などのポリアミド、ヒド
ラジン化合物、ポリアミンポリアミドのエピクロロヒド
リン付加物(炭素数3〜10の飽和二塩基性カルボン酸
とポリアルキレンポリアミンとからポリアミドをエピク
ロルヒドリンと反応させて得られる水溶性でカチオン性
の熱硬化性樹脂)などのポリアミンアミド化合物更に、
尿素、チオ尿素、グアニル尿素、メチル尿素、ジメチル
尿素などの尿素化合物も本発明においてはアミン系化合
物の範疇とする。
【0059】更に、カチオン性化合物としては、アミン
系化合物が挙げられる。アミン系化合物としては第1級
アミン化合物、第2級アミン化合物、第3級アミン化合
物、及び第4級アンモニウム塩化合物のいずれであって
もよく、また、有機モノアミン及び有機ポリアミンのい
ずれであってもよい。更に有機アミン化合物は、アミノ
基以外の異種官能基、例えばエポキシ基、ヒドロキシル
基、カルボン酸基、ニトリル基などを有するものを包含
する。変性アミン化合物としては、モノエポキシ化合物
やジエポキシ化合物などのエポキシ基を有する化合物と
アミン化合物の付加物、エチレンオキサイドやプロピレ
ンオキサイドなどのヒドロキシル基を有する化合物とア
ミン化合物の付加物、アクリルニトリルとアミン化合物
のマイケル付加物、フェノール化合物とアルデヒド化合
物とアミン化合物のマンニッヒ反応で得られる付加物な
どが挙げられる。上記のような変性には、1)アミン化
合物の有する刺激臭や皮膚刺激性などの毒性を低下させ
ること、2)アミン化合物の粘度を低下させること、及
び3)分子量を大きくし秤量誤差を小さくすることなど
の効果がある。アミン化合物の変性の程度には、特に制
限はない。
【0060】本発明に用いられるアミン系化合物を更に
具体的に例示すれば下記の通りである。 1)脂肪族ポリアミン(ポリアルキレンポリアミン)又
はモノアミン:エチレンジアミン、プロピレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミ
ン、イミノビス−プロピルアミン、ビス(ヘキサメチレ
ン)トリアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエ
チルアミノプロピルアミン、アミノエチルエタノールア
ミン、メチルイミノビスプロピルアミン、メンタンジア
ミン−3、N−アミノエチルピペラジン、1,3−ジア
ミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、トリエチレ
ンジアミン、ポリビニルアミン、ステアリルアミン、ラ
ウリルアミンなど。 2)芳香族ポリアミン又はモノアミン:m−フェニレン
ジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、ベンジジ
ン、ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−チオジア
ニリン、ジアニシジン、2,4−トルエンジアミン、ジ
アミノジフェニルスルホン、4,4’−(o−トルイジ
ン)、o−フェニレンジアミン、メチレンビス(o−ク
ロロアニリン)、m−アミノベンジルアミン、アニリン
など。 3)芳香族環基を有する脂肪族ポリアミン又はモノアミ
ン:メタキシリレンジアミン、テトラクロロキシレンジ
アミン、トリメチルアミノメチルフェノール、ベンジル
ジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミンな
ど。 4)第2級アミン:N−メチルピペラジン、ピペリジ
ン、ヒドロキシエチルピペラジン、ピロリジン、モルホ
リンなど。 5)第3級アミン:テトラメチルグアニジン、トリエタ
ノールアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メ
チルモルホリン、ヘキサメチレンテトラミン、トリエチ
レンジアミン、1−ヒドロキシエチル−2−ヘプタデシ
ルグリオキサリジン、ピリジン、ピラジン、キノリンな
ど。 6)第4級アンモニウム塩:ジアリルジメチルアンモニ
ウムクロライド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロ
ライド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、2
−エチルヘキシルトリメチルアンモニウムブロマイド、
1,3−ビス(トリメチルアンモニオメチル)シクロヘ
キサンジクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモ
ニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモ
ニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアン
モニウムクロライドなど。
【0061】また、アミン類としては、特開平10−2
26989号公報に記載のあるアミン類も例示すること
ができる。イミン系化合物もカチオン性化合物として使
用できる。イミン系化合物としてはエチレンイミンなど
が挙げられる。さらに、メラミン系化合物やオキサゾリ
ン基を有する化合物もカチオン性化合物として使用でき
る。
【0062】本発明においては、オーバーコート層中に
酸性物質を加えると、高湿度雰囲気下における長時間の
酸素透過度が大幅に向上するため、更に望ましい。
【0063】本発明でオーバーコート層に加える酸性物
質は、アルカリ金属イオンを中和できるものであれば特
に制限はない。具体的にはリン酸、炭酸、塩酸、硝酸、
硫酸などの無機酸化合物、酢酸、安息香酸、ギ酸、酒石
酸、マレイン酸、マロン酸、フタル酸、クエン酸などの
有機酸、酸化ホウ素、四ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸
ナトリウム、ホウ酸、無水ホウ酸(酸化ホウ素)などの
ホウ素化合物、珪酸、チタンやジルコニウムなどの金属
酸化物などが挙げられる。また、二価以上の酸の場合、
アルカリ金属やアルカリ土類金属で部分的に中和されて
いる酸性物質を使用してもかまわない。例えば、硫酸水
素リチウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、
炭酸水素リチウム、リン酸二水素リチウム、リン酸二水
素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二リ
チウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウ
ムなどが挙げられる。
【0064】特に、ガスバリアー層に含まれる珪酸縮合
物が珪酸リチウムの場合は、リン酸、炭酸、ホウ素系の
酸性物質が好ましい。オーバーコート層中に含まれる酸
性物質がガスバリアー層に含まれるアルカリ金属イオン
を中和するとアルカリ金属塩が生成される。しかし、こ
のアルカリ金属塩には、水溶性や吸湿性を示すものもあ
るため、中和されたアルカリ金属塩が水分を呼び込む作
用として働き、結果として耐湿ガスバリアー性は改善さ
れないおそれがある。しかし多くのアルカリ金属塩の中
でも、炭酸リチウム(LiCO)とリン酸リチウム
(LiPO)は水への溶解性が極めて低く、吸湿性
も小さい。ガスバリアー層に含まれる珪酸縮合物が珪酸
リチウムの場合、このリチウムイオンをオーバーコート
層に含まれる炭酸やリン酸で中和した場合、非常に耐水
性の強いガスバリアー性皮膜を形成できる。尚、本発明
で、中和によって効率よく炭酸リチウムもしくはリン酸
リチウムを効率よく生成するためには、オーバーコート
層中の酸性物質として、予めリチウムイオンと部分的に
中和させた炭酸水素リチウム、もしくはリン酸水素二リ
チウムを酸性物質として使用することが特に好適であ
る。リン酸水素二リチウムは単体としては存在が知られ
ていが、リン酸あるいはリン酸二水素リチウムの水溶液
に必要量の水酸化リチウムを添加して製造可能である。
【0065】また、本発明においては、上記酸性物質を
アンモニアで中和した酸性物質のアンモニウム塩、及び
尿素も酸性物質に含まれるものとする。アンモニアで中
和された酸性物質は、加熱、及び水分の蒸発によってア
ンモニアを放出するため、ガスバリアー層上にオーバー
コート層を塗工した直後には中和は起こらないが、オー
バーコート層が乾燥する過程でアンモニアが発生するた
め、ガスバリアー層に含まれるアルカリ金属イオンを中
和することができる。また、尿素は、加熱によってアン
モニアと二酸化炭素に分解するため、同様に酸性物質と
して使用することができる。アンモニアで中和された酸
性物質の具体例として、硫酸アンモニウムアルミニウ
ム、硫酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ア
ンモニウム、酢酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、
りん酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウ
ム、リン酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0066】また、酸性物質としては、ホウ素系化合物
や珪酸系化合物も好ましい。ホウ酸や珪酸はそれ自体弱
い酸で、アルカリ金属イオンを中和することが可能であ
るが、ホウ酸や珪酸はそれ自身で縮合脱水反応が起こ
る。従って、アルカリ金属イオンを中和するのみなら
ず、ホウ酸や珪酸のネットワーク中に、アルカリ金属イ
オンを閉じ込める機能を有する。そのため、ホウ酸や珪
酸を酸性物質として使用するとオーバーコート層の耐水
性が向上すると考えられる。珪酸は、水中では不安定で
あるため水溶液としては使用できないが、アルコキシド
シラン(テトラエトキシシランやテトラメトキシシラン
等)のアルコール溶液(水、酸、アルカリなどを含んで
もよい)あるいは水溶液として使用するのが好ましい。
テトラエトキシシランは乾燥工程において熱や溶剤の蒸
発に伴い、分解を起こし珪酸を生成する。この性質を利
用して酸性物質として使用できる。
【0067】上記酸性物質の中でも、リン酸あるいはリ
ン酸のリチウムイオンやアンモニアによる部分中和物な
どのリン酸化合物、硫酸あるいは硫酸のリチウムイオン
やアンモニアによる部分中和物などの硫酸化合物、炭酸
あるいは炭酸のリチウムイオンやアンモニアによる部分
中和物などの炭酸化合物、ホウ酸、酸化ホウ素、四ホウ
酸アンモニウムなどのホウ素化合物が、耐湿バリアー性
に優れるため特に好ましい。
【0068】本発明でオーバーコート層に使用する酸性
物質の量は、ガスバリアー層に含まれるアルカリ金属イ
オン量によって決まる。即ち、ガスバリアー層中のアル
カリ金属イオン量に対して、10〜500当モル%の酸
性物質がオーバーコート層に含まれることが好ましく、
20〜400当モル%が更に好ましく、50〜200当
モル%が最も好ましい。酸性物質が10当モル%未満の
場合、アルカリ金属イオンの中和による耐湿バリアー性
の向上や白華防止効果が小さく、500当モル%より越
えると、そのの効果が頭打ちとなるばかりか経済的でな
い。
【0069】本発明においては、耐湿ガスバリアー性を
更に向上させるために、ガスバリアー層中に珪酸以外の
酸性物質が含まれていることが更に好ましい。具体的な
珪酸以外の酸性物質とは、リン酸、炭酸、塩酸、硝酸、
硫酸などの無機酸化合物、酢酸、安息香酸、ギ酸、酒石
酸、マレイン酸、マロン酸、フタル酸、クエン酸などの
有機酸、酸化ホウ素、四ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸
ナトリウム、ホウ酸、無水ホウ酸(酸化ホウ素)などの
ホウ素化合物、チタンやジルコニウムなどの金属酸化物
などが挙げられる。
【0070】これらの酸性物質は、ガスバリアー層中で
は、塗膜中のアルカリ金属イオンと一部、あるいは全て
中和した中和塩の形で存在する。例えば、アルカリ金属
イオンとしてリチウムイオンと上記酸性物質との中和塩
の一例を挙げると、リン酸三リチウム、リン酸二水素リ
チウム、リン酸水素リチウム、炭酸リチウム、硫酸リチ
ウム、ホウ酸リチウム塩等がある。また、アルカリ金属
イオンとしてナトリウムイオン、カリウムイオンが存在
する場合には、各々ナトリウム塩、カリウム塩の形で存
在する。
【0071】珪酸アルカリ金属塩の代わりに珪酸アンモ
ニウム塩を使用すると、アンモニウム塩となる。また、
アルカリ土類金属などのアルカリ金属塩以外のアルカリ
(例えばカルシウムやマグネシウム)との中和塩が存在
してもかまわない。上記中和塩の中で、ガスバリアー層
の安定性や、耐水性を考慮するとリン酸アルカリ金属
塩、炭酸アルカリ金属塩、硫酸アルカリ金属塩、硝酸ア
ルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ金属塩が好ましい。これ
らの中でもリン酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属
塩、ホウ酸アルカリ金属塩が特に好ましい。これらの中
和塩は耐水性の面でとりわけ好ましい。本発明のガスバ
リアー性積層体を製造するためには、珪酸アルカリ金属
塩あるいはコロイダルシリカから選ばれる少なくとも一
種の珪酸縮合物と、平板状顔料と、珪酸以外の酸性物質
を含有するガスバリアー性塗料を、支持体に塗工してガ
スバリアー性積層体とすることが好ましい。
【0072】しかし、添加する酸性物質の種類によって
は、ガスバリアー性塗料中のアルカリ金属イオンと酸性
物質が急激に中和反応を起こす場合がある。塗料中で中
和反応が起こると、塗料の粘度が増粘したり、また中和
反応が激しいと、塗料がゲル化してしまうことがあり好
ましくない。また、塗料中で中和反応が起こると珪酸縮
合物同士の縮合反応が進んでしまい、塗料の成膜性が劣
り結果として塗膜のバリアー性が悪化する可能性もある
ため、塗料中では中和反応が起こらない、あるいは中和
反応が起こってもその速度が極力遅い塗料が好ましい。
従って、塗料に添加した状態では中和反応が起きず、基
材に塗工した後、乾燥や加熱等の工程において中和反応
が起きるような酸性物質を添加することが好適である。
このような酸性物質は、無機酸のアンモニウム塩、有機
酸のアンモニウム塩、尿素、酸化ホウ素からなる群から
選ばれた少なくとも一種以上からなる酸性物質であるこ
とが好ましい。更に具体的には、リン酸、炭酸、塩酸、
硫酸、ホウ酸等の酸性物質のアンモニウム塩、あるいは
尿素、酸化ホウ素が挙げられる。
【0073】例えば、酸性物質としてリン酸アンモニウ
ムを使用した場合で例示すると、ガスバリアー性塗料
は、塗料中ではリン酸がアンモニアで中和されているた
め、塗料中に含まれるアルカリ金属イオンとの中和反応
を急激には起こさない。しかし、塗工、乾燥してガスバ
リアー層を形成する時に、乾燥の熱及び水分の蒸発によ
ってアンモニアが蒸発してリン酸を生成する。このリン
酸がガスバリアー塗膜中のアルカリ金属イオンと中和反
応を起こしてアルカリ金属イオンをトラップする。この
中和反応は塗料の成膜と中和反応が同時に起こるため、
塗料の成膜性を維持したまま、塗膜中のアルカリ金属イ
オンを酸性物質で中和(トラップ)することができる。
そのため耐水性及び耐湿ガスバリアー性が向上する。ア
ルカリ金属イオンを中和することで珪酸(シラノール
基)の脱水縮合反応を促進させる効果もある。シラノー
ル基の縮合が進むと更に耐水性が向上し、酸性物質の添
加はアルカリ金属イオンの中和(トラップ)とシラノー
ル基の脱水縮合反応(シロキサン結合の形成)を促す。
しかも、アルカリ金属イオンは塗膜中で酸性物質に中和
されているため、シロキサン結合を加水分解を促進する
力も弱くなっていると考えられる。このように、本発明
においては、珪酸縮合物(珪酸アルカリ金属塩あるいは
コロイダルシリカから選ばれる少なくとも一種)及び平
板状顔料に、酸性物質のアンモニウム塩、尿素、酸化ホ
ウ素から選ばれる少なくとも一種以上の組成物を加えた
ものをガスバリアー性塗料とし、前記塗料を支持体に塗
工してガスバリアー層を形成することが好ましい。
【0074】ガスバリアー性塗料に添加する酸性物質の
アンモニウム塩とは、リン酸アンモニウム、リン酸二水
素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、硫酸アン
モニウム、硫酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、
炭酸水素アンモニウム、硝酸アンモニウム、四ホウ酸ア
ンモニウム等などの無機酸のアンモニウム塩や酢酸、安
息香酸、ギ酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、フタル
酸、クエン酸などの有機酸のアンモニウム塩が挙げられ
る。上記のようなアンモニウム塩は、ガスバリアー性塗
料を支持体に塗工、乾燥してガスバリアー層を形成する
際に、乾燥時の加熱や水分の蒸発により、分解してアン
モニアを放出し、同時にガスバリアー層中のアルカリ金
属イオンと中和反応を起こし、アルカリ金属塩を形成す
る。尚、本発明で使用するアンモニウム塩は、その一部
がナトリウム、カリウム、リチウムのようなアルカリ金
属イオンで中和されていてもよい。
【0075】また、尿素のように、加熱によりアンモニ
アと二酸化炭素を放出するものを使用してもよい。この
場合にはガスバリアー層中の中和塩として炭酸アルカリ
金属塩が生成する。ホウ素を含む酸性物質をガスバリア
ー塗料に添加して使用する場合、ホウ酸を使用すること
もできるが、この場合塗料中でのアルカリ金属イオンと
の反応による塗料のゲル化速度が比較的速いため、塗料
の安定性の面で、四ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸カリ
ウムあるいは酸化ホウ素等の使用が好ましい。四ホウ酸
アンモニウムは、ガスバリアー塗料に添加しても、その
ままでは珪酸アルカリ金属塩のアルカリ金属イオンと中
和反応を起こさない。塗料を塗工し、加熱乾燥の過程で
四ホウ酸アンモニウムが分解し、アンモニアを放出する
ことでホウ酸が生成され、アルカリ金属イオンと中和反
応を起こして中和塩となる。酸化ホウ素は、粉体として
は二量体、三量体、もしくはそれ以上の縮合物として存
在し、そのままでは酸としての働きは弱い。しかし、酸
化ホウ素をガスバリアー塗料中に溶解させ、該ガスバリ
アー性塗料を塗工、加熱乾燥することで、酸化ホウ素が
熱により加水分解されモノマーのホウ酸や、ダイマー、
トリマーなどのホウ酸が生成される。そしてこのホウ酸
がアルカリ金属イオンと中和反応を起こして中和塩とな
る。
【0076】本発明における珪酸以外の酸性物質のガス
バリアー層への添加量は、ガスバリアー性塗料に含まれ
るアルカリ金属イオンに対して中和量であることが理想
的である。例えば、リン酸化合物は3価であるためアル
カリ金属イオン3モルに対して1モルのリン酸が必要と
なる。同様に炭酸及び硫酸は2価、硝酸は1価として計
算する。ホウ酸化合物は理論上3価の酸であるが、ホウ
酸自体弱い酸であることと、ホウ酸自身が縮合したり、
珪酸とホウ酸が縮合し、B−OH結合がB−O−B結合
やB−O−Si結合となるため、全てのB−OHがアル
カリ金属イオンを中和できない。本発明者らの検討によ
り、ホウ酸は1価とみなしてよいことが判明した。
【0077】オーバーコート層に酸性物質を添加する場
合、ガスバリアー層のアルカリ金属イオン量及び酸性物
質の量によって、適正な酸性物質の添加量が決まる。即
ち、ガスバリアー層に含まれるアルカリ金属イオン量に
対して、ガスバリアー層中とオーバーコート層中の酸性
物質を合わせたものが10〜500当モル%含まれるこ
とが好ましい。より好ましくは20〜400当モル%
で、更に好ましくは50〜200当モル%である。酸性
物質が10当モル%未満の場合、アルカリ金属イオン中
和による耐湿バリアー性や白華に対する効果が小さく、
500当モル%より越えて大きいとその効果が頭打ちと
なり不経済となる。
【0078】本発明においては、ガスバリアー性積層体
の柔軟性や密着性を向上させるために、有機官能基を有
する金属アルコキシドの加水分解縮合物がガスバリアー
層に含まれることが更に望ましい。有機官能基を有する
金属アルコキシドの加水分解縮合物は、オルガノアルコ
キシシラン、オルガノチタネートやオルガノアルミニウ
ネートやジルコニウム化合物などの金属化合物を加水分
解することで得られる。ここでは金属アルコキシドには
金属アルキレート(金属とアルキル基のエステル化物)
も含まれる。尚、ここでいう加水分解縮合物には、有機
官能基を有する金属アルコキシドが部分的に加水分解あ
るいは全て加水分解した化合物、加水分解した有機官能
基を有する金属アルコキシドが部分的に縮合あるいは全
て縮合した化合物が、少なくとも一種以上含まれればよ
い。一般に金属アルコキシドの加水分解縮合物は、加水
分解物と縮合物との混合物となる場合が多い。加水分解
は、濃度、水の量、pH、触媒の有無、分解温度や時間
などに依存し複雑な反応をとるため、加水分解縮合物は
様々な化合物の混合物となる。
【0079】更に、加水分解した有機官能基を有する金
属アルコキシドは、塗料中の珪酸縮合物や平板状顔料と
縮合反応を起こしたり、また、金属アルコキシド同士が
縮合反応を起こす。この加水分解縮合反応は塗料中でも
起きるが、塗料を支持体に塗工後、加熱乾燥するとより
縮合が起きやすくなる。有機官能基を有する金属アルコ
キシドはガスバリアー塗膜中に、平板状顔料や珪酸縮合
物に取り囲まれ、ガスバリアー層内部に有機官能基が孤
立した形で存在する。そのため、有機官能基周辺では珪
酸縮合物の更なる縮合が進まず分子レベルでの空隙がで
きた形を取る。そのため塗膜に柔軟性を与える。空隙は
分子レベルであるのでガスバリアー性に対する悪影響は
極めて小さい。また、有機官能基がエポキシなどの反応
性の官能基であれば、シラノールとエポキシが反応を起
こし柔軟性のみならず耐水性を向上させる効果もある。
【0080】本発明に用いられるオルガノアルコキシシ
ラン化合物は、その親水性部にSi原子を含むものであ
って、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロ
ピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピル
トリメトキシシラン、メチルトリメトキシシランフェニ
ルトリエトキシシラン、γ−フルオロプロピルトリメト
キシシラン、及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミ
ノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これ
らオルガノアルコキシシラン化合物は一般にシランカッ
プリング剤として使用される場合が多い。これらのオル
ガノアルコキシシランの中では、エポキシ基を有するシ
ランカップリング剤が耐湿ガスバリアーの面で好まし
い。また、有機官能基がメチルやビニル基などの比較的
コンパクトなものも、柔軟性の面で好ましい。
【0081】また本発明に用いられるオルガノアルコキ
シ金属化合物は、その親水性部分に多価金属原子(T
i、Al等)を含むものであって、例えばイソプロピル
トリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオ
クタノイルチタノール、イソプロピルイソステアロイル
ジアクリルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニ
ルチタネート、及びイソプロピルトリ(N−アミドエチ
ル・アミノエチル)チタネートなどのチタネート化合
物、並びに、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロ
ピレートなどのアルミニウム化合物を包含する。
【0082】有機官能基を有する金属アルコキシドは、
その分子構造において、Si、Ti、Zr又はAl原子
を含み、無機物質に対して高い反応性又は親和性を有す
る無機部分(SiOH、TiOH、ZrOH、AlOH
などの金属性水酸基=高い親水性を示す)と、有機化合
物に対して高い反応性又は親和性を有する有機部分とを
有する。有機官能基を有する金属アルコキシドは、珪酸
アルカリ縮合物と平板状顔料の合計を100質量部とし
た時に1〜100質量部であることが好ましく、より好
ましくは2〜75質量部、最も好ましくは5〜50質量
部である。有機官能基を有する金属アルコキシドの使用
量が1質量部未満の場合、有機官能基を有する金属アル
コキシドによる柔軟性向上あるいは密着性向上の効果が
不十分になることがあり、またそれが100質量部を越
える場合、ガスバリアー性の低下を招く可能性がある。
【0083】本発明において、ガスバリアー層の厚さは
特に限定されないが、1nm〜5μmが好適である。ガ
スバリアー層が1nm未満になるとガスバリアー性が悪
くなる。また5μmより厚くなると、ガスバリアー性の
効果が頭打ちになり不経済である。ガスバリアー層厚さ
のより好適な範囲は10nm〜1μmであり、50nm
〜500nmが更に好適な範囲である。本発明におい
て、オーバーコート層の厚さは特に限定されないが、1
nm〜5μmが好適である。オーバーコート層が1nm
未満になるとオーバーコート層とガスバリアー層の密着
性が悪くなる。また5μmより厚くなると、オーバーコ
ート層の効果が頭打ちになり不経済である。オーバーコ
ート層のより好適な範囲は10nm〜1μmであり、5
0nm〜500nmが更に好適な範囲である。
【0084】本発明で使用できる支持体は合成樹脂フィ
ルム、シート、成形体から適宜選択できる。合成樹脂の
具体例を挙げるとポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
イソプレン、脂環式構造を有するポリオレフィンなどの
ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレート、などのポリエステル樹脂、ナ
イロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12
などのポリアミド系樹脂、ポリヒドロキシブチレート
(ICI「バイオボール」)、ポリ乳酸(カーギル「Na
ture Works」)、ポリカプロラクトン(ダイセル化学
「セルグリーン」)、ポリブチレンサクシネート(昭和
高分子「ビオノーレ」)、ポリブチレンサクシネートテ
レフタレート(デュポン「Biomax」)、ポリグリコール
酸、ポリアリキレンカーボネートなどの生分解性樹脂、
ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、エチレ
ン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレ
ンビニルアルコール、ポリスチレン、ポリスルファン、
セロファン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リカーボネート、ポリアクリロニトリルなどの樹脂があ
る。またこれらの樹脂を任意の方法で積層したフィルム
やシート、成形体なども使用可能である。これらの樹脂
の中でもポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン
テレフタレート、ナイロン66などのフィルムやシート
が好適に使用される。また、フィルムは無延伸、一軸延
伸や二軸延伸のフィルムを使用することもできる。
【0085】尚、上記の支持体には酸化防止剤、耐候安
定剤、光安定剤、帯電防止剤、顔料、染料、可塑剤、難
燃剤、無機充填材、例えばシリカ、アルミナ、炭酸カル
シウム、タルク、カオリン、クレー、ゼオライト、マイ
カ、カーボンブラック、ガラス繊維などが含まれていて
もよい。
【0086】これら合成樹脂の支持体にガスバリアー層
を積層する場合、支持体上に直接積層させてもよいし、
密着性を向上させるために合成樹脂表面を処理してから
積層してもよい。合成樹脂表面の処理方法としては、コ
ロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロ混酸液処理、発
煙硫酸処理、硫酸液処理、電子線処理、紫外線処理など
があり、これらの方法により、合成樹脂の支持体表面に
水酸基、カルボニル基、エステル基、カルボン酸基、エ
ーテル結合、アミノ基、イミノ基、アミド基、硫酸基、
アミド基などの親水性成分を導入することができる。こ
のような方法で処理した合成樹脂フィルムなどの表面に
ガスバリアー性塗料を塗工すると、ハジキやブツが発生
するの防ぐと共にガスバリアー層と支持体との密着を良
好にする効果がある。
【0087】また、このような表面処理だけでは密着性
が十分に得られない場合(支持体がポリオレフィン系樹
脂の場合など)、又は更なる密着性が必要な場合には、
支持体表面にアンカー層を設けたり、表面処理した支持
体に更にアンカー層を設けることが望ましい。含窒素化
合物は支持体表面の親水性極性基と水素結合によって強
固に接着する。特に支持体表面の極性基がアニオン性の
場合、含窒素化合物はカチオン性を有するため、支持体
表面のアニオン性極性基と含窒素化合物のカチオン性基
と強固にイオン結合し、更にガスバリアー層に含まれる
アニオン性の珪酸縮合物やアニオン性の平板状顔料とも
イオン結合や脱水縮合反応により強固に接着するため、
支持体とガスバリアー層の密着性が大幅に向上する。ま
た、含窒素化合物を含むアンカー層と珪酸縮合物を含む
ガスバリアー層はそれぞれが混合して濃度が連続的に変
化する傾斜構造をとる方が好ましい。含窒素化合物が有
機化合物の場合、有機質/無機質の組成が傾斜構造とな
るため、有機質層による支持体との密着性向上と無機質
層の持つガスバリアー性の特性が両立するのみならず、
耐水性や応力歪みに対してもある程度抵抗力ができる。
(特願2000−067858号)。
【0088】本発明のアンカー層に用いる含窒素化合物
としては、カチオン性有機化合物が挙げられる。珪酸ア
ルカリ金属塩などの珪酸縮合物は、アルカリ領域ではシ
ラノール基と解離したシラノールイオンを併せ持ち、こ
れらの官能基が縮合してシロキサン結合を形成する。本
発明者らが検討を重ねた結果、カチオン性有機化合物を
使用した場合、カチオン性有機化合物は珪酸縮合物とイ
オン結合や共有結合といった反応を起こすだけでなく、
カチオン性有機化合物によって生じる水酸イオンによっ
て珪酸縮合物の縮合反応を促進させるということを見出
した。
【0089】カチオン性有機化合物がポリアミンの場合
を一例として示すと、珪酸縮合物のシラノールイオンと
ポリアミンのカチオンはイオン反応(〜SiO…N
〜)〜SiOHN〜もしくは共有結合(〜SiO
〜)〜SiON〜によりゲル化する。また一方では、ア
ミンの作用により生じたOHが珪酸縮合物のシラノー
ル基の縮合を促し、新たなシロキサン結合を生成させシ
ロキサン結合のネットワークを拡大するものと考えられ
る。
【0090】これらの含窒素化合物としてはイミン化合
物やアミン化合物と称せられるものが代表である。これ
らのうちイミン化合物としてはポリアルキレンイミンが
代表であり、ポリエチレンイミン、アルキルあるいはシ
クロペンチル変性ポリエチレンイミン、エチレン尿素の
イミン付加物、ポリ(エチレンイミン−尿素)及びポリ
アミンポリアミドのエチレンイミン付加物、又は、これ
らのアルキル変性体、アルケニル変性体、ベンジル変性
体、もしくは、脂肪族環状炭化水素変性体、ポリアミド
イミド、ポリイミドワニス、からなる群より選ばれたポ
リイミン系化合物がある。
【0091】また、アミン化合物としてはポリアルキレ
ンポリアミンがある。例えばポリエチレンポリアミン、
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレ
ンテトラミンなどの化合物である。また同様の効果を示
すものとしては、ポリアミドのポリエチレンイミド付加
物などの化合物などのポリアミド、ヒドラジン化合物、
ポリアミンポリアミドのエピクロロヒドリン付加物(炭
素数3〜10の飽和二塩基性カルボン酸とポリアルキレ
ンポリアミンとからポリアミドをエピクロルヒドリンと
反応させて得られる水溶性で陽イオン性の熱硬化性樹
脂)などのポリアミンアミド化合物、4級窒素含有アク
リルポリマー、4級窒素含有ベンジルポリマー、ウレタ
ン、カルボン酸アミン塩基を有する化合物、メチロール
化メラミン、カチオン性ポリウレタンなどの化合物など
の含窒素4級塩化合物がある。また、カチオン変性ポリ
ウレタン樹脂、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリド
ン−酢酸ビニル共重合体、第3級窒素含有アクリル系樹
脂等などのカチオン樹脂が挙げられる(カチオン樹脂に
ついては特開平8−90898号公報、特開昭63−1
62275号公報、特開昭62−148292号公報を
参照されたい)。更に、尿素、チオ尿素、グアニル尿
素、メチル尿素、ジメチル尿素などの尿素化合物やジシ
アンジアミド誘導体なども本発明の範疇である。
【0092】これらのものを更に詳述すると、本発明で
使用されるポリアルキレンイミンとしては、ポリエチレ
ンイミン及びポリプロピレンイミンが好ましく、特にポ
リエチレンイミンが好ましい。これらのポリアルキレン
イミンは単独で使用しても、また酢酸、p−トルエンス
ルホン酸、硫酸、塩酸等との塩を形成して使用してもよ
い。
【0093】有機アミン化合物としては、第1級アミン
化合物、第2級アミン化合物、第3級アミン化合物、及
び第4級アンモニウム塩化合物のいずれであってもよ
く、また、有機モノアミン及び有機ポリアミンのいずれ
であってもよい。更に有機アミン化合物は、アミノ基以
外の異種官能基、例えばエポキシ基、ヒドロキシル基、
カルボン酸基、ニトリル基などを有するものを包含す
る。
【0094】変性有機アミン化合物としては、モノエポ
キシ化合物やジエポキシ化合物などのエポキシ基を有す
る化合物とアミン化合物の付加物、エチレンオキサイド
やプロピレンオキサイドなどのヒドロキシル基を有する
化合物とアミン化合物の付加物、アクリルニトリルとア
ミン化合物のマイケル付加物、フェノール化合物とアル
デヒド化合物とアミン化合物のマンニッヒ反応で得られ
る付加物などが挙げられる。
【0095】上記のような変性には、1)アミン化合物
の有する刺激臭や皮膚刺激性などの毒性を低下させるこ
と、2)アミン化合物の粘度を低下させること、及び
3)分子量を大きくし秤量誤差を小さくすることなどの
効果がある。アミン化合物の変性の程度には、特に制限
はない。
【0096】本発明に用いられる有機アミン化合物を例
示すれば下記の通りである。 1)脂肪族ポリアミン(ポリアルキレンポリアミン)又
はモノアミン:エチレンジアミン、プロピレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミ
ン、イミノビス−プロピルアミン、ビス(ヘキサメチレ
ン)トリアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエ
チルアミノプロピルアミン、アミノエチルエタノールア
ミン、メチルイミノビスプロピルアミン、メンタンジア
ミン−3、N−アミノエチルピペラジン、1,3−ジア
ミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、トリエチレ
ンジアミン、ポリビニルアミン、ステアリルアミン、ラ
ウリルアミンなど。 2)芳香族ポリアミン又はモノアミン:m−フェニレン
ジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、ベンジジ
ン、ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−チオジア
ニリン、ジアニシジン、2,4−トルエンジアミン、ジ
アミノジフェニルスルホン、4,4’−(o−トルイジ
ン)、o−フェニレンジアミン、メチレンビス(o−ク
ロロアニリン)、m−アミノベンジルアミン、アニリン
など。 3)芳香族環基を有する脂肪族ポリアミン又はモノアミ
ン:メタキシリレンジアミン、テトラクロロキシレンジ
アミン、トリメチルアミノメチルフェノール、ベンジル
ジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミンな
ど。 4)第2級アミン:N−メチルピペラジン、ピペリジ
ン、ヒドロキシエチルピペラジン、ピロリジン、モルホ
リンなど。 5)第3級アミン:テトラメチルグアニジン、トリエタ
ノールアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メ
チルモルホリン、ヘキサメチレンテトラミン、トリエチ
レンジアミン、1−ヒドロキシエチル−2−ヘプタデシ
ルグリオキサリジン、ピリジン、ピラジン、キノリンな
ど。 6)第4級アンモニウム塩:ジアリルジメチルアンモニ
ウムクロライド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロ
ライド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、2
−エチルヘキシルトリメチルアンモニウムブロマイド、
1,3−ビス(トリメチルアンモニオメチル)シクロヘ
キサンジクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモ
ニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモ
ニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアン
モニウムクロライドなど。また、アミン類としては、特
開平10−226989号公報に記載のあるアミン類も
例示することができる。
【0097】本発明でアンカー層として用いられる、上
述したような珪酸縮合物と反応する含窒素化合物は水溶
性であることが好ましいが、水不溶性であっても乳化や
分散処理して使用することもできる。上記含窒素化合物
を2種以上混合して用いてもかまわない。
【0098】本発明においては、アンカー層に高水素結
合性樹脂を用いることでアンカー層にガスバリアー性を
付与し、ガスバリアー性積層体全体のガスバリアー性を
向上させることができる。また、アンカー層に高水素結
合性樹脂を使用した場合、高水素結合性樹脂とガスバリ
アー層に含まれる珪酸縮合物及び平板状顔料が相互に混
合し有機/無機(高水素結合性樹脂と珪酸縮合物)の複
合体(有機と無機化合物からなる傾斜構造をとるのが理
想的)を形成し、ガスバリアー性積層体の柔軟性を向上
させることができる。本発明において、アンカー層に使
用できる高水素結合樹脂は、水素結合性を示す官能基を
有する樹脂であれば特に制限はない。具体的に例示する
と、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール
共重合体、ポリカルボン酸、ポリケトン、ポリアクリル
アミド、ポリアミン、ポリアクリロニトリル、ポリエチ
レングリコール、エリストリールなどの多価アルコー
ル、デンプン、セルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、メチルセルロースなどがある。水素結合性を示すに
は樹脂中に活性水素を有する基あるいは水素結合を形成
しうる極性基をを有していればよい。活性水素を有する
基の一例としては、水酸基(−OH)、アミノ基(−N
)、イミノ基(−NH−)、カルボキシル基(−C
OOH)、アミド基(−CONH)、硫酸基(−SO
H)、リン酸基(−POH)などが挙げられる。ま
た、水素結合を形成しうる極性基としてはカルボニル基
(−C=O)、ニトリル基(−CN)、エーテル基(−
O−)、チオエーテル基(−S−)などが挙げられる。
【0099】アンカー層として使用する高水素結合性樹
脂としては、ガスバリアー性の面から水酸基を有する樹
脂が好ましく、特に、ポリビニルアルコール(PVA)
とエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)がガ
スバリアー性が良好であり好ましい。アンカー層にPV
AやEVOHを用いると、PVA層あるいはEVOH層
がガスバリアー層のクラックやピンホールによるガスバ
リアー性の低下を防ぐ効果もある。
【0100】PVAとは、例えば、酢酸ビニル重合体の
酢酸エステル部分を加水分解ないしエステル交換(けん
化)して得られるポリマー(即ち、ビニルアルコールと
酢酸ビニルの共重合体)や、トリフルオロ酢酸ビニル重
合体、ギ酸ビニル重合体、ピバリン酸ビニル重合体、t
−ブチルビニルエーテル重合体、トリメチルシリルビニ
ルエーテル重合体などをけん化して得られるポリマーが
挙げられる(PVAの詳細は、ポバール会編、「PVA
の世界」、1992年、(株)高分子刊行会;長野ら、
「ポバール」1981年、(株)高分子刊行会等を参
照)。
【0101】本発明で使用するPVAの「けん化」の程
度は、モル百分率で70%以上が好ましく、さらには8
5%以上のものが好ましく、98%以上のいわゆる完全
けん化品が特に好ましい。また重合度は、100以上5
000以下が好ましく、200以上3000以下がより
好ましい。更に、本発明で使用するPVAは、本発明の
目的が阻害されない限り、少量の共重合モノマーで変性
されていてもよい。
【0102】また、本発明においては、PVAの変性体
もPVAの範疇として扱う。これら変性体とはPVAの
製造過程において、ビニルエステル類、特に酢酸ビニル
単量体と、それと共重合可能な他の不飽和単量体とを共
重合させたものである。上記他の不飽和単量体として
は、例えば、エチレン、プロピレン、α−ヘキセン、α
−オクテンなどのオレフィン類や、(メタ)アクリル
酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタ
コン酸などの不飽和酸、およびそのアルキルエステルや
アルカリ塩類、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン
酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸などのスルホン酸含有単量体及びそのアルカリ塩類、
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチル
アミノエチル(メタ)アクリレートや、トリメチル−2
−(−1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチル
エチル)アンモニウムクロリド、トリメチル−3−(1
−(メタ)アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロ
リド、1−ビニル−2−エチルイミダゾールその他4級
化可能なカチオン性単量体、スチレン、アルキルビニル
エーテル、(メタ)アクリルアミド、その他のものが挙
げられる。
【0103】これら共重合成分の比率は、特に限定はさ
れるものではないが、ビニルアルコール単位に対し、5
0モル%以下、好ましくは30モル%以下の程度である
場合が好ましく、その共重合の形態は、ランダム共重
合、ブロック共重合、グラフト共重合など任意の方法に
よって得られる各種の形態が用いられる。これら共重合
体の中でも、ポリビニルアルコール成分に対し、ポリカ
ルボン酸成分が共重合されたブロック共重合体が特に好
適に用いられ、該ポリカルボン酸成分がポリメタクリル
酸である場合特に好ましい。更に、該ブロック共重合体
は、PVA鎖の片末端にポリアクリル酸鎖が延長された
ようなA−B型ブロック共重合体である場合が特に好ま
しく、ポリビニルアルコールブロック成分(a)とポリ
アクリル酸ブロック成分(b)の質量比(a)/(b)
が50/50〜95/5の範囲がガスバリアー性の面か
らも、基材層との密着性からもより好ましく、60/4
0〜90/10の範囲が最も好ましい。その他のPVA
樹脂の変性体のうち、特に好ましい例としては、分子内
にシリル基を有する化合物の少なくとも一種で変性され
たビニルエステル系重合体けん化物からなるシリル基変
性PVA系樹脂がある。
【0104】シリル基変性PVA系樹脂を得る方法とし
ては、特に限定はないが、常法によって得られたPVA
あるいは変性ポリ酢酸ビニルなどのビニルアルコール系
重合体に、分子内にシリル基を有する化合物を反応さ
せ、シリル基を重合体に導入する、あるいはPVAある
いはその変性体の末端を活性化し、分子内にシリル基を
有する不飽和単量体を重合体末端に導入する、さらには
該不飽和単量体をビニルアルコール系重合体分子鎖にグ
ラフト共重合させるなど各種の変性による方法、ビニル
エステル系単量体と分子内にシリル基を有する不飽和単
量体とから共重合体を得て、これをけん化する方法、又
は、シリル基を有するメルカプタンなどの存在下でビニ
ルエステルを重合し、これをけん化するなど末端にシリ
ル基を導入する、などの各種の方法が有効に用いられ
る。
【0105】このような各種の方法で得られるシリル基
変性PVA系樹脂としては、結果的にその分子内にシリ
ル基を有するものであればよいが、分子内に含有される
シリル基がアルコキシル基あるいはアシロキシル基及び
これらの加水分解物であるシラノール基又はその塩など
の反応性置換基を有しているものが好ましく、中でもシ
ラノール基である場合が特に好ましい。
【0106】これらのシリル基変性PVA系樹脂を得る
ために用いられる分子内にシリル基を有する化合物とし
ては、トリメチルクロルシラン、ジメチルクロルシラ
ン、メチルトリクロルシラン、ビニルトリクロルシラ
ン、ジフェニルジクロルシラン、トリエチルフルオロシ
ランなどのオルガノハロシラン、トリメチルアセトキシ
シラン、ジメチルジアセトキシシランなどのオルガノシ
リコンエステル、トリメチルメトキシシラン、ジメチル
ジメトキシシランなどのオルガノアルコキシシラン、ト
リメチルシラノール、ジエチルシランジオールなどのオ
ルガノシラノール、N−アミエチルトリメトキシシラン
などのアミノアルキルシラン、トリメチルシリコンイソ
ジシアネートなどのオルガノシリコンイソシアネートそ
の他のものが挙げられる。これらシリル化剤による変性
度は用いられるシリル化剤の種類、量、反応条件によっ
て任意に調節することができる。
【0107】また、ビニルエステル系単量体と分子内に
シリル基を有する不飽和単量体とからの共重合体をけん
化する方法において用いられる該不飽和単量体として
は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ランなどに代表されるようなビニルアルコキシシランや
ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリイソプロポ
キシシランなどに代表されるようなビニルアルコキシシ
ランのアルキルあるいはアリル置換体など多くのビニル
シラン系化合物、更に、これらのアルコキシ基の一部又
は全部をポリエチレングリコールなどのポリアルキレン
グリコール置換したポリアルキレングリコール化ビニル
シランなどが挙げられる。さらには、3−(メタ)アク
リルアミノ−プロピルトリメトキシシラン、3−(メ
タ)アクリルアミド−プロピルトリエトキシシランなど
に代表されるような(メタ)アクリルアミド−アルキル
シランなども好ましく用いることができる。
【0108】一方、シリル基を有するメルカプタンなど
の存在下でビニルエステルを重合した後けん化し、末端
にシリル基を導入する方法には、3−(トリメトキシシ
リル)−プロピルメルカプタンなどのアルコキシシリル
アルキルメルカプタンが好ましく用いられる。
【0109】本発明の変性PVA系樹脂における変性
度、即ち、シリル基の含有量、けん化度などによってそ
の適性範囲は各々異なるが、本発明の目的であるガスバ
リアー性に対しては、重要な要因となる。シリル基の含
有量は、通常、重合体中のビニルアルコール単位に対し
シリル基を含む単量体として30モル%以下であり、1
0モル%以下が好ましく、5モル%以下である場合が特
に好ましい。下限は特に限定されないが、0.1モル%
以上である場合において効果が特に顕著に発揮される。
尚、上記シリル化率は、シリル化前のPVA系樹脂に含
まれていた水酸基の量に対する、シリル化後の導入され
たシリル基の割合を示すものである。
【0110】これら各種のPVA系樹脂は、もちろんそ
れ単独で用いられてもよいが、本発明の目的を阻害しな
い限り、共重合可能な他の単量体との共重合体とした
り、混合可能な他の樹脂化合物と併用することができ
る。このような樹脂としては、例えばポリアクリル酸又
はそのエステル類、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン
系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹
脂、その他のものを挙げることができる。
【0111】本発明でアンカー層として用いるEVOH
は、ビニルアルコール分率が40〜80モル%以下のも
のが好ましく、より好ましくは45〜75モル%のもの
である。更に、これらEVOHは、本発明の目的が阻害
されない限り、少量の共重合モノマーで変性されていて
もよい。EVOHは、自己架橋可能に変性されることが
好ましい。更にアルコール可溶に変性されることが好ま
しい。このような性質を付与するためにEVOHにはシ
リル基が導入される。上記シリル基の導入は、例えば、
3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリ
メチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチル
トリクロルシラン、ビニルトリクロルシラン、ジフェニ
ルジクロルシラン、トリエチルフルオロオルガノハロシ
ラン、トリメチルアセトキシシランのように、反応性シ
ラン化合物をEVOHの水酸基と反応させることにより
行われる。
【0112】シリル基の導入、即ちシリル化は、少なく
ともEVOHがアルコールに可溶となるように行うこと
が必要である。具体的には、0.2モル%以上のシリル
化率となるようにすることが好ましい。シリル化率の上
限は、アルコール可溶性の観点からは特に制限はない
が、本発明における無機層状化合物の配置の点から、好
ましくは5モル%以下、より好ましくは2モル%以下と
する。尚、上記シリル化率は、シリル化前のEVOH樹
脂に含まれていた水酸基の量に対する、シリル化後の導
入されたシリル基の割合を示すものである。
【0113】上記シリル基が導入された変性EVOH
は、アルコール、又はアルコール/水の混合溶媒で加熱
溶解させることにより、導入されたシリル基の存在によ
ってアルコール系溶媒に溶解する。そして、溶媒に溶解
した変性EVOHは、一方で、導入されたシリル基の一
部が脱アルコール反応及び脱水反応により反応して架橋
する。尚、上記反応には、水の存在が必須であり、アル
コール/水の混合溶媒を用いることが好ましい。
【0114】また、耐水性を向上させる目的でアンカー
層に耐水性向上剤を加えることもできる。耐水性向上剤
としては第一にエポキシ化合物がある。エポキシ化合物
は、モノ、ジ、トリなどエポキシ基をいくつか含有する
エポキシ化合物である。このエポキシ化合物は、脂肪族
エポキシ化合物及び芳香族エポキシ化合物を包含し、例
えばブチレンオキサイド、オクチレンオキサイド、ブチ
ルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニル
グリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、アリ
ルグリシジルエーテル、フェノールポリエチレングリコ
ールグリシジルエーテル、ラウリルアルコールポリエチ
レングリコールグリシジルエーテルなどがある。
【0115】また、ポリアミドアミン−エピハロヒドリ
ン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン−
エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成
物、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルム
アルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素−エピ
ハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、及
びポリアミドアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホ
ルムアルデヒド縮合反応生成物を単独あるいは併用して
用いることもできる。
【0116】上記縮合反応生成物は、その分子骨格中に
アミノ基を含み、その側鎖にエポキシ環又はメチロール
基を有するものであり、一般に下記成分:(i)ポリア
ルキレンポリアミン、(ii)尿素類、(iii)二塩基性
カルボン酸類、(iv)エピハロヒドリン類又はホルムア
ルデヒドを反応させて合成することができる(例えば、
特公昭52−22982号、特公昭60−31948
号、特公昭61−39435号、特開昭55−1274
23号公報を参照されたい)。
【0117】また、その他の耐水化剤としては、酸(例
えば塩酸、硫酸、ホウフッ化水素酸、酢酸、グリコール
酸、マレイン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸な
ど)、金属塩(例えば塩化マグネシウム、硝酸マグネシ
ウム、ホウフッ化マグネシウム、ホウフッ化亜鉛、塩化
亜鉛、硝酸亜鉛、重硫酸ナトリウム)、塩化アンモニウ
ムなどがあり、これらは単独もしくは併用して使用され
る。
【0118】また、耐水性を向上させるために、シリカ
粒子やアルミナ粒子を使用してもよい。アンカー層にシ
リル基変性のPVAを使用する場合は、シリカ粒子やア
ルミナ粒を併用することで耐水性が向上する。シリカ粒
子としてはコロイダルシリカ、アルミナ粒子としてはコ
ロイダルアルミナなどが好適に使用される。また、コロ
イダル酸化亜鉛やジルコニウム化合物、二酸化チタン粒
子なども使用できる。
【0119】これら含窒素化合物と耐水性向上剤との配
合比は質量比で99.9/0.1〜5/95の範囲であ
り、好ましくは99/1〜20/80の範囲である。し
かし、最も好適な比率は、各含窒素化合物の反応性と共
重合した場合の窒素原子のモル比などにより大幅に変動
するため、状況に応じて適宜調節するのが好ましい。本
発明のアンカー層の厚さは1nm〜5μmが好ましい。
1nm未満であるとアンカー層の効果である密着性や耐
水性が悪くなる。また、5μmを越えて厚くなるとアン
カー層の効果が頭打ちとなり不経済である。
【0120】本発明におけるガスバリアー性積層体の2
3℃・90%RHにおける酸素透過度は、測定開始後2
4時間後で50cc/m・day・atm以下であることが好
ましく、より好ましくは40cc/m・day・atmであ
り、更に好ましくは30cc/m・24hr以下である。酸素
透過度が50cc/m・day・atm以下の場合、十分酸素
透過度が低くガスバリアー性積層体として実用に供する
ことができるものであり、30cc/m・day・atm以下
であればより使用できる用途が広がる。酸素透過度はM
OCON社のOX−TRAN/100型で測定した値で
ある。
【0121】本発明のガスバリアー性積層体は、支持体
を透明(ヘーズ6%以下)なフィルムとした場合は、ヘ
ーズ8%以下が好ましく、6%以下となることがより好
ましい。言い換えれば、ガスバリアー層、及びアンカー
層、オーバーコート層を設けたことによるヘーズの上昇
値がゼロに近いほど好ましい。積層体のヘーズが8%を
越えて高い場合、フィルムが曇っているのが明らかにわ
かるため、包装用フィルムとしては用途が限定されてし
まう。ヘーズが6%以下だと包装用フィルムとしての用
途が拡大する。尚、ヘーズ(曇り度)は拡散透過率(T
d)/全光線透過率(Tt)より算出した(反射・透過
率計:HR−100、MURAKAMI COLOR
RESERCH LABORATORY製)値であり、
ヘーズが小さいほど透明性に優れる。
【0122】本発明で得られたガスバリアー性積層体
を、30℃以上に加熱し、その状態である程度長時間保
持し、エージング処理すると、珪酸の縮合が更に促進さ
れ、形成されたガスバリアー層のガスバリアー性が更に
向上する。室温において乾燥させても珪酸の縮合は進行
するが、反応に長時間必要となる。エージング処理時の
加熱温度は30〜100℃が好適であり、より好適には
35〜90℃、最も好適には40〜80℃である。エー
ジング温度が30℃未満であるとエージング時間が一ヶ
月以上必要になる場合もあり、工業的生産が困難とな
る。また、エージング温度が100℃以上にしても、縮
合反応促進の効果が頭打ちとなるため不経済となる。ま
た、エージング時間は長いほどガスバリアー性向上の効
果が大きいが、好ましくは3時間〜1週間、より好まし
くは12〜72時間、より好ましくは24〜48時間で
ある。エージング時間が3時間未満だとエージングの効
果が小さいため好ましくない。エージング時間が1週間
を越えるとエージングの効果が頭打ちとなるため不経済
である。
【0123】尚、加熱処理中は、ガスバリアー層中のア
ルカリ金属と、空気中の二酸化炭素との反応による白華
を防ぐため、ガスバリアー層が直接空気に接しない方法
で加熱処理することが好ましい。尚、ガスバリアー層を
加熱エージングしてからオーバーコート層を形成させて
もよく、オーバーコート層を形成させた後に加熱エージ
ング処理してもよい。
【0124】本発明においては、ガスバリアー層に高水
素結合性樹脂やスチレン−ブタジエンラテックス、アク
リルエステル、アクリルスチレン、ポリエステルなどの
水性エマルジョンや、他の水溶性樹脂が含まれていても
よい。このような樹脂をガスバリアー層に添加すること
でガスバリアー層の柔軟性を向上させる。しかしガスバ
リアー性は低下する傾向にあるので、添加量は必要とす
る柔軟性とガスバリアー性のバランスにより決定する。
【0125】また本発明においては、アンカー層、ガス
バリアー層、オーバーコート層の各層に、色合い調整
剤、粘度調整剤、無機顔料、有機顔料、硬化剤や架橋剤
等の添加剤を必要に応じて任意に加えることができる。
【0126】本発明のガスバリアー性積層体は、支持体
表面に前述のガスバリアー性塗料を塗工、乾燥して得ら
れるものである。塗工方法には、ダイレクトグラビア法
やリバースグラビア法及びマイクログラビア法、2本ロ
ールビートコート法、ボトムフィード3本リバースコー
ト法等のロールコーティング法、ドクターナイフ法、ダ
イコート法、ディップコート法、バーコーティング法、
キス塗工、リップ塗工、ブレード塗工、エアナイフ塗
工、スプレー塗工、浸漬、刷毛塗り等が状況に応じて任
意に使用できる。また、これら塗工方法を組み合わせて
使用することができる。また、これらの方法に限定され
るものではない。
【0127】また、乾燥方法としては、熱風、乾燥空
気、赤外線、マイクロ波、ガスバーナー等を用いた乾燥
方法が任意に使用できる。また、これらを2種以上組み
合わせた乾燥方法も使用できるが、これらの方法に限定
されるものではない。乾燥温度に特に制限はないが、好
ましくは50〜300℃、より好ましくは70〜200
℃、最も好ましくは90〜150℃である。乾燥温度が
50℃未満の場合、珪酸の縮合反応が十分に起こらない
可能性がある。また、300℃を越えた場合には、ガス
バリアー層の表層だけ先に反応が進行して皮膜が形成さ
れることによりブリスター現象が発生する恐れがある。
尚、ブリスター現象とは、塗膜の表面のみが成膜し、塗
膜の内部が未乾燥の状態になり、その状態で加熱される
と内部の水分が蒸発しようとして塗膜が膨れたり発泡し
たりする現象である。また、熱可塑性樹脂を支持体に使
用する場合には、該樹脂の融点以下で乾燥する必要があ
る。支持体としてOPPフィルムを選択した場合で例示
すると、乾燥温度は70〜120℃が好ましい。120
℃を越えた場合には、OPPフィルムの強度的劣化や色
調の変化が発生し好ましくない。
【0128】本発明のガスバリアー性積層体は、各種包
装材料として使用できるが、ガスバリアー性積層体上に
更に各種フィルムを積層させることで、各種包装材料と
しての適用範囲が拡大できる。ガスバリアー性積層体上
にフィルムなどを積層させることで、ヒートシール性の
向上、防湿性の向上、引張強度や突刺し強度、耐衝撃強
度などの各種強度の向上を図ることができる。積層させ
るフィルムとしては、熱可塑性樹脂フィルムやアルミ蒸
着フィルム、アルミ箔、シリカやアルミナなどの無機蒸
着フィルムなど特に制限がなく、用途に応じて適宜選択
可能である。
【0129】熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリイソプレン、脂環式構造を有するポ
リオレフィンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート、などのポ
リエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン
11、ナイロン12などのポリアミド系樹脂、ポリヒド
ロキシブチレート(ICI「バイオボール」)、ポリ乳
酸(カーギル「NatureWorks」)、ポリカプロラクトン
(ダイセル化学「セルグリーン」)、ポリブチレンサク
シネート(昭和高分子「ビオノーレ」)、ポリブチレン
サクシネートテレフタレート(デュポン「Biomax」)、
ポリグリコール酸、ポリアリキレンカーボネートなどの
生分解性樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリ
ル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアル
コール、エチレンビニルアルコール、ポリスチレン、ポ
リスルファン、セロファン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル
などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は単独で使用し
てもよく、また二種類以上を混合して用いてもよい。熱
可塑性樹脂から形成されるフィルムは無延伸、一軸延
伸、二軸延伸フィルムのいずれでもかまわない。また、
熱可塑性樹脂のフィルムを二層以上積層したフィルムで
もかまわない。
【0130】熱可塑性樹脂の積層方法には特に制限はな
いが、ガスバリアー積層体に接着剤層を設けた後、熱可
塑性樹脂フィルムを積層するドライラミネート方式、熱
可塑性樹脂を熔融押出しながらガスバリアー性積層体に
熱可塑性樹脂層を設ける溶融押出ラミネート方式、ガス
バリアー性積層体と熱可塑性樹脂フィルム層の間に接着
性の熱可塑性樹脂を押出しラミネートするサンドラミ方
式、ガスバリアー性積層体と熱可塑性樹脂を熱ロールで
圧着させる熱圧着方式などが挙げられる。本発明のガス
バリアー積層体は、菓子袋、カツオパック、レトルトパ
ウチ、ハムやソーセージなどの肉類包装、魚介類の包
装、乳製品の包装、みそ類の包装、茶・コーヒー類の包
装、炭酸ガス飲料容器、化粧品、農薬及び医薬品の包装
に好適に使用できる。また、真空断熱材の部材、プラズ
マディスプレーパネルや液晶ディスプレーなどの外装
材、太陽電池モジュールの樹脂封止剤、電池用部材な
ど、ガスバリアー性が要求される部材にも好適に使用で
きる。
【0131】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明
する。配合、濃度、添加量などを示す数値は固形分又は
有効成分の質量基準の数値である。
【0132】<実施例1>モル比3.5の珪酸リチウム
塩溶液(珪酸リチウム35、固形分LiO・SiO
として23%、日本化学工業(株)製)をイオン交換水
で希釈して得た珪酸リチウム塩水溶液(固形分Li
・SiOとして4%)に、合成スメクタイト(ルーセ
ンタイトSWN、固形分91%、平均粒子径30〜50
nm、コープケミカル(株)製)をイオン交換水にホモ
ミキサーで30分以上分散させて得た合成スメクタイト
水分散液(固形分2%)を、各々の固形分比が75/2
5となるように混合して、さらにイオン交換水を加えて
固形分3%のガスバリアー性塗料を調製した。得られた
ガスバリアー性塗料を、二軸延伸ポリエチレンテレフタ
レートのフィルム(E5100、東洋紡績(株)製、厚さ1
2μm)のコロナ処理表面に、メイヤーバーを用いて乾
燥後のガスバリアー層の厚さが0.2μm(塗工量約
0.4g/m)になるように塗工し、100℃で2分
間乾燥してガスバリアー層を形成した。次いで、酸変性
SBR(S1X2、酸変性スチレン−ブタジエンラテッ
クス、Tg12℃、ゲル分率79%、固形分50%)を
イオン交換水を用いて5%に希釈したものを、メイヤー
バーを用いて乾燥後の塗工量が0.4g/mになるよ
うにガスバリアー層上に塗工し、100℃2分間乾燥し
てオーバーコート層を形成してガスバリアー性積層体を
形成した。
【0133】<実施例2>二軸延伸ポリプロピレンフィ
ルム(厚さ25μm)のコロナ処理表面に、ポリエチレ
ンイミン(エポミンP−1000、30%ポリエチレン
イミン樹脂の水溶液を水で3%に希釈した水溶液、分子
量70,000、比重1.04、アミン価18(mgeq/
g・solid)、アミン比 1級/2級/3級=25/50
/25、日本触媒(株)製)の水溶液とPVA(PVA
117、ケン化度99%、完全けん化PVA、重合度1
700、(株)クラレ製)の3%水溶液を、ポリエチレ
ンイミンとPVAの固形分質量比が10/90になるよ
うに混合して得たアンカー用塗料(固形分3%)を、乾
燥後の膜厚が0.2μmとなるよう塗工し、80℃の熱
風乾燥機で2分乾燥してアンカー層を形成した。実施例
1と同様に作製した珪酸リチウム塩水溶液(固形分Li
O・SiOとして4%)に、合成スメクタイト(ル
ーセンタイトSWN、固形分91%、平均粒子径30〜
50nm、コープケミカル(株)製)をイオン交換水に
ホモミキサーで30分以上分散させて得た合成スメクタ
イト水分散液(固形分2%)を、各々の固形分比が75
/25となるように混合し、更にイオン交換水を加えて
珪酸リチウム塩と合成スメクタイトを合わせた固形分が
3%である水系液を調製した。酸化ホウ素(B
和光純薬(株)製)とイオン交換水を使用して酸化ホウ
素の3%水溶液を作製した。酸化ホウ素固形分と、珪酸
リチウムと合成スメクタイトを合わせた固形分の比が2
0/100(酸化ホウ素の固形分20質量部、珪酸リチ
ウムと合成スメクタイトの合計固形分が100質量部)
になるように、上記酸化ホウ素3%水溶液を、珪酸リチ
ウムと合成スメクタイトの固形分3%水系液に攪拌しな
がら添加、更に30分間攪拌してガスバリアー性塗料と
した。得られたガスバリアー性塗料を、前述のアンカー
層上に、メイヤーバーを用いて乾燥後のガスバリアー層
の厚さが0.2μmになるように塗工し、100℃で2
分間乾燥して第一のガスバリアー層を得た。次いで、イ
オン交換水を用いてSBR(OX1060、Tg8℃、
ゲル分率70%、酸及びカチオン性モノマーで変性され
たスチレン−ブタジエンラテックス、固形分50%、日
本ゼオン(株)製)の5%水溶液を調製し、オーバーコ
ート塗料とした。オーバーコート塗料をガスバリアー層
上にメイヤーバーを用いて塗工量が0.4g/mとな
るように塗工して100℃2分間乾燥してオーバーコー
ト層を形成しガスバリアー性積層体を得た。
【0134】<実施例3>二軸延伸ポリプロピレンフィ
ルム(厚さ25μm)のコロナ処理表面に、ポリエチレ
ンイミン(エポミンP−1000、30%ポリエチレン
イミン樹脂の水溶液を水で3%に希釈した水溶液、分子
量70,000、比重1.04、アミン価18(mgeq/
g・solid)、アミン比 1級/2級/3級=25/50
/25、日本触媒(株)製)の水溶液とPVA(PVA
117、ケン化度99%、完全けん化PVA、重合度1
700、(株)クラレ製)の3%水溶液を、ポリエチレ
ンイミンとPVAの固形分質量比が10/90になるよ
うに混合して得たアンカー用塗料(固形分3%)を乾燥
後の膜厚が0.2μmとなるよう塗工し、80℃の熱風
乾燥機で2分乾燥してアンカー層を形成した。次いで、
実施例1と同様に作製した珪酸リチウム塩水溶液(固形
分LiO・SiOとして4%)に、実施例2と同様
に作製した合成スメクタイト水分散液(固形分2%)
を、各々の固形分比90/10で混合し、更にイオン交
換水を加えて、珪酸リチウムと合成スメクタイトを合わ
せた固形分が3%である水系液を調製した。四ホウ酸ア
ンモニウム四水和物((NH・4H
O、和光純薬(株)製)とイオン交換水を使用して四
ホウ酸アンモニウム水溶液(四ホウ酸アンモニウムとし
て固形分3%)を作製した。四ホウ酸アンモニウムの固
形分と、珪酸リチウムと合成スメクタイトを合わせた固
形分の比が5/100(四ホウ酸アンモニウムの固形分
15質量部、珪酸リチウムと合成スメクタイトの合計固
形分が100質量部)になるように、上記四ホウ酸アン
モニウム水溶液を、珪酸リチウムと合成スメクタイトの
3%水系液に攪拌しながら添加し、更に30分間攪拌し
た。上記3%水系液に、エポキシ系シランカップリング
剤(KBM403、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、信越化学(株)製)をイオン交換水で希釈
して得た3%水溶液を、エポキシ系シランカップリング
剤の固形分と珪酸リチウムと合成スメクタイトの固形分
の比が20/100になるように添加し、更に攪拌して
3%水溶液とし、ガスバリアー性塗料とした。ガスバリ
アー性塗料を、前記アンカー層上に、メイヤーバーを用
いて、乾燥後のガスバリアー層の厚さが0.2μmにな
るように塗工し、100℃で2分間乾燥してガスバリア
ー層を形成した。イオン交換水を用いてSBR(S1X
2、酸変性スチレン−ブタジエンラテックス、Tg12
℃、ゲル分率79%、固形分50%)を希釈し固形分4
%のSBR水性液を調製した。この4%SBR水性液
に、カチオン性樹脂(スミレーズレジン302、ポリア
ミンポリ尿素樹脂、住友化学工業(株)製、固形分60
%)の4%水溶液(イオン交換水で希釈)をSBRに対
して5質量部添加し攪拌することでオーバーコート用塗
料を作製した。得られたオーバーコート用塗料をメイヤ
ーバーで乾燥後の膜厚が0.2μmになるように塗工
し、熱風乾燥機を用いて100℃2分間乾燥し、ガスバ
リアー性積層体を得た。
【0135】<実施例4>実施例3と同様にアンカー層
とガスバリアー層を形成した。イオン交換水を用いて両
性SBR(OX1060、Tg8℃、ゲル分率70%、
酸及びカチオン性モノマーで変性されたスチレン−ブタ
ジエンラテックス、固形分50%、日本ゼオン(株)
製)の5%水溶液を調製した。別に、酸化ホウ素(B
、和光純薬(株)製)とイオン交換水を使用して酸
化ホウ素の5%水溶液を作製した。両性SBRの5%水
溶液と酸化ホウ素の5%水溶液をそれぞれの固形分で1
00/20(両性SBR/酸化ホウ素)になるように混
合してオーバーコート用塗料を調製した。オーバーコー
ト用塗料をガスバリアー層上にメイヤーバーを用いて乾
燥後の塗工量が0.4g/mになるように塗工し、1
00℃で2分間乾燥し、ガスバリアー性積層体を得た。
【0136】<実施例5>両性SBRの代わりにナイロ
ン樹脂エマルジョン(住友精化(株)製、セポルジョン
PA150、固形分40%、融点85−90℃、粒子径
2μm)を用いたこと以外は実施例4と同様にしてガス
バリアー性積層体を得た。
【0137】<実施例6>両性SBRの代わりにポリウ
レタン樹脂(第一工業製薬(株)製、スーパーフレック
ス600、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂エマルジョ
ン、固形分25%、粒子径10nm、Tg70℃)を用
いたこと以外は実施例4と同様にしてガスバリアー性積
層体を得た。
【0138】<比較例1>オーバーコート塗料としてP
VA117の3%水溶液としたこと以外は実施例1と同
様にしてガスバリアー性積層体を得た。
【0139】<比較例2>オーバーコート塗料としてP
VA117の3%水溶液を使用したこと以外は実施例2
と同様にしてガスバリアー性積層体を得た。
【0140】<試験方法> 1)酸素透過度 JIS−K−7126 B法(等圧法)で塗工面を酸素
検出器側にして23℃90%RH条件で測定した(酸素
透過度測定装置:OX−TRAN100型、MOCON
社製)。酸素透過度はサンプルをセットして24時間後
の値を酸素透過度とした。酸素透過度は50cc/m・24
hr以下が好ましく、40cc/m・24hr以下がより好まし
く、30cc/m・24hr以下が更に好ましい。 2)密着性評価 ウレタン系接着剤(タケラックA−971、固形分50
%、武田薬品工業(株)製)36質量部とイソシアネー
ト系接着剤(タケネートA−3、固形分75%、武田薬
品工業(株)製)3質量部を酢酸エチル61部に添加し
攪拌し接着剤塗料(固形分20%、ウレタン/イソシア
ネート=90/10質量部)を作製した。接着用塗料を
ガスバリアー性積層体上に乾燥後の固形分が10g/m
になるようにメイヤーバーで塗布、70℃で20秒間
乾燥し接着剤層を形成した。接着剤層と25μm厚さの
ナイロンフィルム(ON−25、(株)ユニチカ製)の
コロナ処理面を重ね合せ、25gf/cmの荷重で4
0℃24時間エージング処理を行い、ガスバリアー性積
層体とナイロンフィルムの積層体を得た。該積層体のナ
イロンフィルムとガスバリアー性積層体を15mm巾で
スリットし、180℃ピール強度(U字強度、オーバー
コート層とガスバリアー層間の接着強度)を測定した。
引張速度は30m/minで、測定点数は7点として最
大値と最小値を除いた5点の平均値を密着強度とした。
密着強度は0.5N/15mm以上であれば必要上十分
な強度を有するが、1N/15mm以上であれば更に好
ましい。密着強度は40℃24時間エージングしたサン
プルを23℃50%RHあるいは40℃90%RHに2
4時間放置したものも測定した。
【0141】
【表1】
【0142】
【発明の効果】本発明によって、高湿度条件下において
も優れたガスバリアー性を有し、密着性が向上し、包装
用材料として好適なガスバリアー性積層体を提供するこ
とが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F006 AA35 AB72 AB74 AB76 AB77 BA05 CA07 DA04 4F100 AA03B AA04C AA07C AA08C AA20B AA31C AC03B AC05B AK01C AK07A AK12C AK12J AK25C AK25J AK41C AK42A AK46C AK51C AK73C AL01C AT00A BA03 BA07 BA10A BA10C CA13B EJ38A GB15 GB23 GB66 JB06C JD02B JK06 JL00

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の少なくとも片面にガスバリアー
    層が形成されたガスバリアー性積層体において、ガスバ
    リアー層が珪酸アルカリ金属塩あるいはコロイダルシリ
    カから選ばれる少なくとも一種の珪酸縮合物及び平板状
    顔料を含み、前記ガスバリアー層上に疎水性樹脂を含む
    オーバーコート層が形成されたことを特徴とするガスバ
    リアー性積層体。
  2. 【請求項2】 珪酸縮合物が、一般式MO・nSiO
    (n>0、M=Na、K、Li)で表される珪酸ナト
    リウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムから選ばれた少な
    くともいずれか一種以上であることを特徴とする請求項
    1記載のガスバリアー性積層体。
  3. 【請求項3】 平板状顔料が、スメクタイト粘土及び雲
    母族から選ばれた少なくともいずれか一種以上であるこ
    とを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のガスバ
    リアー性積層体。
  4. 【請求項4】 疎水性樹脂が、スチレン−ブタジエン共
    重合体、アクリルスチレン共重合体、ポリエステル樹
    脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂から選ばれた少な
    くともいずれか一種以上であることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載のガスバリアー性積層体。
  5. 【請求項5】 疎水性樹脂が、カチオン性を示す官能基
    を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載のガスバリアー性積層体。
  6. 【請求項6】 オーバーコート層にカチオン性の物質が
    含まれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    に記載のガスバリアー性積層体。
  7. 【請求項7】 オーバーコート層に酸性物質が含まれる
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のガス
    バリアー性積層体。
  8. 【請求項8】 酸性物質が、リン酸化合物、硫酸化合
    物、炭酸化合物、ホウ素化合物、珪酸化合物から選ばれ
    た少なくともいずれか一種以上であることを特徴とする
    請求項7記載のガスバリアー性積層体。
  9. 【請求項9】 ガスバリアー層が、珪酸以外の酸性物質
    を含むことを特徴とする請求項1〜8記載のガスバリア
    ー性積層体。
  10. 【請求項10】 珪酸以外の酸性物質が、リン酸化合
    物、硫酸化合物、炭酸化合物、ホウ素化合物から選ばれ
    た少なくともいずれか一種以上であることを特徴とする
    請求項9記載のガスバリアー性積層体。
  11. 【請求項11】 ガスバリアー層が有機官能基を有する
    金属アルコキシドの加水分解縮合物を含むことを特徴と
    する請求項1〜10のいずれかに記載のガスバリアー性
    積層体。
  12. 【請求項12】 支持体とガスバリアー層の間にアンカ
    ー層が存在することを特徴とする請求項1〜11のいず
    れかに記載のガスバリアー性積層体。
  13. 【請求項13】 アンカー層が含窒素化合物あるいは高
    水素結合性樹脂から選ばれた少なくともいずれか一種以
    上を含むことを特徴とする請求項12記載のガスバリア
    ー性積層体。
  14. 【請求項14】 オーバーコート層上に熱可塑性樹脂層
    を積層したことを特徴とする請求項1〜13のいずれか
    に記載のガスバリアー性積層体。
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