JP2009256495A - ガスバリア性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 平板状顔料を主体とするガスバリア性フィルムにおいて、成膜性を改良し、機械的強度に優れるガスバリア性フィルムを提供する。
【解決手段】 平板状顔料と、ポリアミドポリ尿素樹脂、ポリアミドアミンポリ尿素樹脂、ポリアミンポリ尿素樹脂、ポリアミドポリアミンポリ尿素樹脂、から選ばれる少なくとも一種である樹脂を含有するガスバリア性フィルム。平板状顔料が、水膨潤性天然マイカ又は合成マイカから選ばれる少なくとも一種である前記ガスバリア性フィルム。工程フィルム上に、平板状顔料の水分散液と樹脂水溶液を混合して得た水性塗料組成物を塗工して乾燥させた後、工程フィルムから剥離する前記ガスバリア性フィルムの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、平板状顔料を主体とするガスバリア性フィルムに関する。さらに詳しくは、平板状顔料を主体とするガスバリア性フィルムの成膜性を改良し、機械的強度に優れるガスバリア性フィルムを提供するものである。
従来、ガスバリア性フィルムは、空気中の酸素や水蒸気と反応し劣化する物品(食品包装用、化粧品包装用、電子部品材料等)の包装に使用されている。ガスバリア性フィルムでは、気体を遮断する能力(ガスバリア性)を高めるほど、その効果も高いが、その製造にかかる費用とのバランスが重要である。また、用途に応じて、ガスバリア性以外の品質とのバランスをとることも重要である。
ガスバリア性フィルムを得るために、様々な方法が提案されてきた。例えば、ポリビニルアルコールやその誘導体であるエチレン−ポリビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデンのようにガスバリア性を有する樹脂を利用する方法、食品用途であるレトルトパック等に使用される、金属又は金属酸化膜を蒸着法にてプラスチックフィルム上に積層する方法、また、平板状顔料をプラスチックフィルム中に分散し、ガスバリア性を向上させる方法等がある。また、これらの技術を組み合わせてガスバリア層を複数層積層する方法が数多く提案されている。
ところで、近年、液晶、有機エレクトロルミネッセンス、フィールドエミッション、電気泳動等を利用した薄型ディスプレイが注目されている。その中でも、ディスプレイ自体が折り曲げ可能であるディスプレイはフレキシブルディスプレイと呼ばれている。フレキシブルディスプレイは、曲面追従性を有するために新しい広告媒体、携帯機器、照明器具等への応用が期待されている。
フレキシブルディスプレイの実現に大きな障害となっているのは封止技術である。フレキシブルディスプレイには基板として、従来のガラス基板ではなく折り曲げ可能なプラスチックフィルムが使用される。しかし、プラスチックフィルムには、ガラス基板と比較すると、酸素や水蒸気等の気体を透過させ、液晶等の電子デバイスの劣化を招く問題があった。食品用途等に要求されるガスバリア性と比較すると、これらの表示装置に要求されるガスバリア性は非常に高く、通常、このような電子デバイスの封止では、電子デバイス上に直接、バリア層と表面保護等の機能を有するポリマー層を設ける方法が主流であった(特許文献1)。
しかし、この方法では、積層の際に熱がかかるため、電子デバイス部を傷める可能性があり、製品歩留まりが低下する問題があった。また、目的とするガスバリア性を発現するためには少なくとも5回以上の積層を繰り返す必要があり、製造プロセス的にも複雑である。プラスチックフィルムに目的とするガスバリア性能を付与することができれば、電子デバイスの封止工程においてロールトゥロールによる連続封止も実現可能になる。
プラスチックフィルムに高度なガスバリア性を発現させる技術の一つに、平板状顔料を用いるものがある。平板状顔料とは縦横方向の長さに比較して厚みが桁違いに小さい顔料のことを表し、主に地球上に広く分布する粘土由来の物質はこれに該当する。平板状顔料は、優れた耐熱性、ガスバリア性、難燃性を有し、天然に広く産出される材料に由来しているためにコスト面においても非常に有利である。平板状顔料自体には気体透過能が全くなく、これまでもプラスチックフィルム等に混合/分散することでガスバリア性が改善されることが報告されている(特許文献2)。そのガスバリアメカニズムは、平面的には水蒸気の透過面積が小さくなること、また厚み方向では平板状顔料が無機膜表面に対して平行に配列して積層するため、無機膜中の気体はこの平板状顔料を迂回しながら透過することから、水蒸気の透過距離が長くなり、結果として大幅にガスバリア性能が向上するものである。この効果は曲路効果と呼ばれる。
プラスチックフィルム中の平板状顔料比率を増加していくと、ガスバリア性は向上し電子デバイスの封止にも使用可能なレベルに達する。
しかし、このような平板状顔料を主成分とするフィルムは成膜しづらい上、機械的強度に劣るという問題があった。例えば、特許文献3では平板状顔料である無焼成マイカの大きさを規定して無焼成マイカを緻密に積層させて機械的強度の向上を試みているが、無焼成マイカの単独膜ではある程度成膜するものの機械的強度ではフレキシブルディスプレイの基板としては不十分であった。
また、特許文献4では、平板状顔料である焼成マイカで得られた単独膜に樹脂を含漬させて機械的強度を向上させようとしているが、焼成マイカの単独膜には、樹脂が膜全体に浸透せずに機械的強度を向上させるには不十分であった。
特許文献5では、熱可塑性樹脂からなる基材フィルムの少なくとも片面に、平板状顔料である含水ケイ酸塩化合物と変性ポリビニルアルコールより層を形成しているが、含水ケイ酸塩化合物含有量が多い領域では、平板状顔料が緻密には積層されずにカードハウス構造をとるために、ガスバリア性は十分に発揮されず、また、機械的強度も考慮されていない。
また、特許文献6では、アスペクト比が50以上の平板状顔料と水素結合性バインダーからなるガスバリア性を有する無機膜を得るものであり、一定の効果を達成したものである、機械的強度とガスバリア性を両立させるべく、さらなる品質の向上が求められている。
特表2003−532260号公報 特開昭61−179716号公報 特開昭57−82598号公報 特開昭59−70099号公報 特開平3−93542号公報 特開2006−167679号公報
本発明の目的は、上記課題を解決するものである。
即ち、平板状顔料を主体とするガスバリア性フィルムにおいて、成膜性を改良し、機械的強度に優れるガスバリア性フィルムを提供するものである。
上記課題を解決するために本発明は以下の実施様態を含む。
即ち、本発明の第1は、平板状顔料と、ポリアミドポリ尿素樹脂、ポリアミドアミンポリ尿素樹脂、ポリアミンポリ尿素樹脂、ポリアミドポリアミンポリ尿素樹脂、から選ばれる少なくとも一種である樹脂を含有するガスバリア性フィルムである。
本発明の第2は、平板状顔料が、水膨潤性天然マイカ又は合成マイカから選ばれる少なくとも一種である本発明の第1に記載のガスバリア性フィルムである。
本発明の第3は、工程フィルム上に、平板状顔料の水分散液と樹脂水溶液を混合して得た水性塗料組成物を塗工して乾燥させた後、工程フィルムから剥離する、本発明の第1〜2のいずれかに記載のガスバリア性フィルムの製造方法である。
本発明により、平板状顔料を主体とするガスバリア性フィルムにおいて、成膜性及び機械的強度を飛躍的に改良したガスバリア性フィルムを提供することが可能となる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明者らは、最初に平板状顔料単独からなるフィルムを作製しようと試みた。しかし、成膜は困難であり、また、製膜した場合も平板状顔料同士が結晶層表面−端面同士の結合である立体的な会合構造であるカードハウス構造となるため、前述した曲路効果が得られず、目的とするガスバリア性が得られなかった。また機械的強度も十分ではなかった。
続いて、塗膜面と平行に配向しやすいアスペクト比50以上の平板状顔料を用い、かつ、平板状顔料がカードハウス構造にならないように平板状顔料同士を緩やかに架橋させることを試みた。その結果、平板状顔料と特定の樹脂、即ち、ポリアミドポリ尿素樹脂、ポリアミドアミンポリ尿素樹脂、ポリアミンポリ尿素樹脂、ポリアミドポリアミンポリ尿素樹脂から選ばれたいずれかの樹脂を混合して成膜すると、成膜性が良好になり、機械的強度を飛躍的に向上できること、従来知られているガスバリアフィルムより遥かに高いガスバリア性を発現することを見出した。研究の結果、曲路効果のみによってガスバリア性が発現したのではなく、平板状顔料が極めて緻密に欠陥のない状態で積層しているために、機械的強度及びガスバリア性が飛躍的に向上していることが判明した。
本発明で平板状顔料として用いた水膨潤性の天然マイカや合成マイカの膨潤した表面は強いアニオン性を示し、上記の選択した樹脂は、カチオン性を示す官能基を有するため、その表面に非常に強固に吸着し、平板状顔料同士のカードハウス構造を壊すばかりでなく、成膜したときには、平板状顔料の平面同士を強固にかつ分子オーダーで隙間なく密着する役割を果たしていると考えられる。
本発明者らは、平板状顔料と上記の樹脂との組み合わせによる上記の特異的な挙動により、さらに高度なガスバリア性が発現することを見出した。
本発明のガスバリア性フィルムで好適に使用できる平板状顔料としては、第1にはフィロケイ酸塩(層状珪酸塩)が挙げられる。フィロケイ酸塩の具体例としては、カオリナイト−蛇紋石族(カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイトなどのカオリン鉱物、クリソタイル、リザーダイト、アンチゴライトなどの蛇紋石、ペコラアイト、ネポーアイト、アメサイトなどの蛇紋石類縁鉱物が一例として挙げられる)、パイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライトが一例として挙げられる)、雲母族(白雲母、パラゴナイト、イライト、金雲母、レピドライト、セリサイト、海緑石、セラドナイト、トベライト、ベントナイト、酸性白土が一例として挙げられる)、脆雲母(マーガライト、クリントナイト、アナンダイトなどが一例として挙げられる)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイトなどが一例として挙げられる、スメクタイト族(モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、ノントロナイトが一例として挙げられる)、バーミキュライト族(3八面型バーミキュライト、2八面型バーミキュライトなどが一例として挙げられる)などが挙げられる。
これらの中でも平板性の優れる平板状顔料、例えば雲母族、スメクタイト族が好ましい。雲母族には、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母、合成マイカ)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母、カリ四ケイ素雲母、ナトリウム四ケイ素雲母、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライトなどが挙げられる。組成的にタルクに類似する合成タルクなどの合成品も本発明の範疇に含むものとする。
カオリンやタルクのうち、意識的に結晶層を剥離し、平板にしたデラミカオリンや薄片状タルクなどは、本発明における平板状顔料として用いることができる。また、平板状顔料の粒子径は、無機膜の膜厚に対応したものを使用することが好ましい。その場合は、平板状顔料をボールミル、サンドグラインダー、コボルミル、ジェットミルなどの粉砕機で粉砕分級して所望の粒子径を得た後、本発明に使用するものとする。
スメクタイト族には、ディッカイト、ナクライト、スメクタイト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、マーガライト、バーミキュライト、ザンソフィライト、緑泥石などを挙げることができる。特にスメクタイトが好ましく、スメクタイトにはモンモリロナイト、ハイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイトなどを挙げることができる。
合成スメクタイトとしては、式(Na及び/又はLi)0.1〜1.0Mg2.4〜2.9Li0.0〜0.6Si3.5〜4.09.0〜10.6(OH及び/又はF)1.5〜2.5で示されるもの、合成マイカとしては膨潤性フッ素マイカが挙げられ、特開平5−270815号公報、特開平7−187657号公報に記載の方法等により合成される。
スメクタイト族は水により容易に膨潤、へき開するため、雲母族に比べるとアスペクト比の大きな平板状顔料が得やすい。そのため膨潤性無機層状化合物あるいは高膨潤性粘土鉱物と呼ばれることもあるが、スメクタイト族もフィロケイ酸塩化合物の一種であり雲母族と組成的には似ている。層間のイオンがナトリウムイオンやリチウムイオンの場合は水により膨潤しやすく、カリウムイオンの場合は膨潤しにくい。
スメクタイト族の市販品としては、一般にナトリウムベンナイトと呼ばれる天然のベントナイトや、クニピア、スメクトン(クニミネ工業社製)、ビーガム(バンダービルト社製)、ラポナイト(ラポルテ社製)、DMクリーンA、DMA−350、Na−Ts(トピー工業社製)、ベンゲル(豊順洋行社製)などを挙げることができ、これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いることもできる。
また、本発明で使用する平板状顔料は、水で分散された状態での平均粒子径が20nm〜100μmの間にあるものが好適であり、好ましくは0.1μm〜50μm、より好ましくは1μm〜30μmである。平均粒子径が20nm未満であると、アスペクト比が小さくなりガスバリア性向上効果が小さい。一方100μmを越えると無機膜表面から顔料が突き出し、外観不良やガスバリア性低下を招き好ましくない。
本発明で用いる平板状顔料の水に分散された平均粒子径は、平均粒子径が0.1μm以上のものは光散乱理論を応用したレーザー回折による粒度分布測定装置において測定した値である。また、水に分散された平均粒子径が0.1μmのものについは動的光散乱法を用いて測定した値である。
また、本発明で使用する平板状顔料の好ましいアスペクト比は50以上、さらに好ましくは500以上である。アスペクト比が50未満のものは緻密に積層しづらく機械的強度及びガスバリア性が低下する。アスペクト比は大きいほど平板状顔料の無機膜中における層数が大きくなるため高い機械的強度及びガスバリア性を発揮する。平板状顔料の厚みは、無機膜の断面写真より測定する。厚みが0.1μm以上のものは電子顕微鏡写真より画像化解析して求める。厚みが0.1μm未満のものは透過型電子顕微鏡写真より画像解析して求める。本発明でいうアスペクト比は、上記水に分散された平均粒子径を無機膜の断面写真より求めた厚さで除したものである。
本発明のガスバリア性フィルムにおいて用いられるカチオン性樹脂は、好ましくは、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物およびポリアミドアミン化合物である。
ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物およびポリアミドアミン化合物は、i)ポリアルキレンポリアミンまたはアルキレンポリアミン、ii)尿素類、iii)二塩基性カルボン酸、および必要によりiv)アルデヒド類、エピハロヒドリン類およびα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれた化合物を反応させて得られる(特公昭59−32597、特開平4−10097など)。上記合成において、二塩基性カルボン酸(iii)を用いるとポリアミドポリ尿素化合物またはポリアミドアミンポリ尿素化合物が得られ、用いない場合はポリアミンポリ尿素系化合物が得られる。アルデヒド類やエピハロヒドリン類は用いる場合、その使用量は非常に少ないか、或は合成過程で自己架橋を起こして、フリーのメチロール基やエポキシ基がほとんど残存しないことが好ましい。また、上記反応において、尿素類(ii)を用いず、ポリアルキレンポリアミン又はアルキレンポリアミン(i)と、二塩基性カルボン酸とを反応させるとポリアミドアミン化合物が得られる。成分(iv)アルデヒド類、エピハロヒドリン類、およびα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類の反応量は、成分(i)の100モル量に対し、5〜300モルの範囲内にあることが好ましい
上記成分(i)として用いられるポリアルキレンポリアミンまたはアルキレンポリアミンとしては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、3−アザヘキサン−1,6−ジアミン、4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、エチレンジアミン、プロピルジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。これらのなかでジエチレントリアミン及び/又はトリエチレンテトラミンを用いることが好ましい。これらの化合物(i)は単独、あるいは2種類以上の混合物として用いられる。また、化合物(i)にシクロヘキシルアミンなどの脂環式アミンおよび脂環式エポキシ化合物の1種以上を併用してもよい。
成分(ii)として用いられる尿素類としては尿素、チオ尿素、グアニル尿素、メチル尿素、ジメチル尿素などが挙げられる。これらの中でも尿素を用いることが好ましい。これらの尿素化合物は、単独で用いてもよく、或は2種類以上を混合して用いてもよい。また、成分(iii)として用いられる二塩基性カルボン酸類は、分子内にカルボキシル基またはそれから誘導される基を2個有するものであって、遊離酸であってもよく、或はエステル類又は酸無水物などであってもよい。二塩基性カルボン酸は脂肪族、芳香族、脂環式二塩基性カルボン酸のいずれでもよい。その具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、およびヘキサハイドロフタル酸などが挙げられる。また、二塩基性カルボン酸とグリコール類との反応生成物であって、末端に遊離カルボン酸基を有するポリエステル類を使用してもよい。これら二塩基性カルボン酸類は単独で用いてもよく、或は2種類以上を混合して用いてもよい。成分(iv)として用いられるアルデヒド類としてはホルムアルデヒド、プロピルアルデヒドなどのアルキルアルデヒド類やグリオキザール、プロパンジアール、ブタンジアール、エピハロヒドリン類としてはエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンなどが挙げられる。さらに、成分(iv)として用いられるα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類としては1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどが挙げられる。
これらアルデヒド類、エピハロヒドリン類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類は単独で用いてもよく、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。
さらに単量体成分として脂環式エポキシ化合物、アルキル化剤(一般式R−X;R=低級アルキル基、アルケニル基、ベンジル基、フェノキシエチル基など、X=ハロゲン原子)、一般式R’−C(=Y)−NH〔R’はアルキル基もしくは−NR’基、Yは酸素原子又は硫黄原子〕で表される化合物などを反応させてもよい。
上記各成分は、任意の順序で反応させることができるが、その合成法の一例として次の方法を用いることができる。すなわち、アルキレンジアミンまたはポリアルキレンポリアミンと、尿素類とを脱アンモニア反応させ、次に、この反応生成物を二塩基性カルボン酸類と脱水縮合させ、さらに尿素類と脱アンモニア反応させることによりポリアミドポリ尿素化合物が得られる。このポリアミドポリ尿素化合物をアルデヒド類、エピハロヒドリン類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれた化合物と反応させるとポリアミドポリ尿素−アルデヒド(エピハロヒドリン)樹脂が得られる。
アルデヒド類、エピハロヒドリン類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類は分子量の調整、水溶性の調整を目的として使用されるが、メチロール基やエポキシ環は自己架橋させほとんど残留していないことが好ましい。
本発明のガスバリア性フィルムの製造方法は、特に限定されるものではないが、前述の平板状顔料およびカチオン性樹脂を主として含有する水性塗料組成物を工程フィルム表面に塗工、乾燥させて製膜した後、工程フィルムを剥離させて得ることが好ましい。なお、本発明のガスバリア性フィルムは、単独で用いる他、フィルム等の基材表面から剥離せず組み合わせたまま、積層体のガスバリア層として使用することも可能である。
本発明の水性塗料組成物を作製する際には、添加剤として、バインダー、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、カチオン性、ノニオン性又は両性の界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、耐水化剤等を本発明の目的を達成する範囲にて任意に配合することが可能である。
本発明において、上記水性塗料組成物の塗工方法としては特に限定するものではないが、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が用いられる。その中でも、精密塗工が可能で塗工速度が速い、グラビアコーター、ダイコーターが好ましい。
上記工程フィルムについては、特に限定するものではないが、合成樹脂フィルム、金属箔、上質紙、中質紙、アート紙、コート紙等の紙類、合成紙、不織布等が任意に用いられる。また、これらを積層したり、表面処理したものを用いることができる。この中でも、合成樹脂フィルム、より好ましくは、耐熱性があり安価なポリエチレンテレフタレートフィルム素材のものが好適に用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を限定するものではない。また、特に断らない限り実施例中の部は質量部を示す。
<実施例1>
平板状顔料としてナトリウム四珪素雲母(商品名:DMA80、トピー工業製、アスペクト比1000)を用い、平板状顔料固形分が5質量%になるように平板状顔料と水を混合し、回転数500rpmにて1日間攪拌してナトリウム四珪素雲母水分散液を得た。
上記ナトリウム四珪素雲母水分散液60質量部に、さらにカチオン性樹脂としてスミレーツレジン633(ポリアミドポリ尿素樹脂、住友化学工業製)5質量%水溶液40質量部を攪拌しながら添加して水性塗料組成物を得た。
上記水性塗料組成物を、工程フィルム(50μm厚、ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名A4100、東洋紡社製)上にアプリケーターバーで塗布し、120℃で10分乾燥した後、工程フィルムを剥離して、ガスバリア性フィルムを得た。なお得られたガスバリア性フィルムの坪量は20g/mであった。
<実施例2>
カチオン性樹脂として、スミレーツレジン633の代わりにスミレーツレジン632(ポリアミドアミンポリ尿素樹脂、住友化学工業製)を使用した以外は、実施例1記載と同様の方法にてガスバリア性フィルムを得た。
<実施例3>
カチオン性樹脂として、スミレーツレジン633の代わりにPA−620(ポリアミンポリ尿素樹脂、日本PMC製)を使用した以外は、実施例1記載と同様の方法にてガスバリア性フィルムを得た。
<実施例4>
カチオン性樹脂として、スミレーツレジン633の代わりにPA−622(ポリアミドアミンポリ尿素樹脂、日本PMC製)を使用した以外は、実施例1記載と同様の方法にてガスバリア性フィルムを得た。
<実施例5>
平板状顔料としてナトリウム四珪素雲母の代わりにモンモリロナイト(商品名:クニピアF、クニミネ工業製、アスペクト比461)を用いた以外は、実施例1記載と同様の方法にてガスバリア性フィルムを得た。
<比較例1>
スミレーツレジン633をPVA117(ポリビニルアルコール、クラレ製)に変更した以外は、実施例1記載と同様の方法にてガスバリア性フィルムを得た。
<比較例2>
スミレーツレジン633をLX407S12(スチレンブタジエンラテックス、日本ゼオン製)に変更した以外は、実施例1記載と同様の方法にてガスバリア性フィルムを得た。
次に、実施例及び比較例で得たガスバリア性フィルムを以下の方法にて評価した。結果を表1に示す。
<ガスバリア性>
ガスバリア性フィルムのガスバリア性は、23℃0%RH条件で測定した(酸素透過度測定装置:OX−TRAN2/20型、MOCON社製)。酸素透過度はサンプルをセットして24時間後の値を酸素透過度とした。
<機械的強度>
ガスバリア性フィルムの機械的強度は引張強度にて評価した。
23℃50%RH環境下にて1日以上調湿した無機膜を、製膜時の塗工した方向をT方向として、T方向が長さ方向となるようにして試験片(25mm幅、長さ100mm)を作製し、引張試験機(オリエンテック社製RTC−1210)を用いて長さ方向に引張速度は0.3m/分で引っ張ることにより引張強度を測定した。
<総合評価>
無機膜としての以下の4段階で総合評価を行った。
◎:非常に優れている。
○:優れている。
△:若干問題があるが、実用上問題ないレベルである。
×:問題があり、実用出来ないレベルである。
Figure 2009256495
表1より、実施例1〜5の本発明のガスバリア性フィルムは、ガスバリア性及び機械的強度が実用上問題ないレベルである。一方、比較例1では、ポリビニルアルコールを混合したために平板状顔料がカードハウス構造になり、機械的強度及びガスバリア性が悪化した。比較例2では、スチレンブタジエンラテックスを混合したために平板状顔料がカードハウス構造になり、機械的強度及びガスバリア性が悪化した。

Claims (3)

  1. 平板状顔料と、ポリアミドポリ尿素樹脂、ポリアミドアミンポリ尿素樹脂、ポリアミンポリ尿素樹脂、ポリアミドポリアミンポリ尿素樹脂、から選ばれる少なくとも一種である樹脂を含有することを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 平板状顔料が、水膨潤性天然マイカ又は合成マイカから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 工程フィルム上に、平板状顔料の水分散液と樹脂水溶液を混合して得た水性塗料組成物を塗工して乾燥させた後、工程フィルムから剥離することを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
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