JP2006167679A - 無機膜及び水性塗料組成物及び無機膜の製造方法 - Google Patents

無機膜及び水性塗料組成物及び無機膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 平板状顔料を主体とした無機膜において、成膜性及び機械的強度を飛躍的に改良したガスバリア性を有する無機膜、及び無機膜を作製するための水性塗料組成物を提供する。
【解決手段】 アスペクト比が50以上の平板状顔料と水素結合性バインダーを含有し、該平板状顔料の固形分比率が70〜99質量%である無機膜。平板状顔料が、水膨潤性天然マイカ又は合成マイカから選ばれる少なくとも一種である前記無機膜。水素結合性バインダーがポリビニルアルコール、あるいはカチオン性化合物から選ばれる少なくとも一種である前記無機膜。アスペクト比が50以上の平板状顔料と水素結合性バインダーを含有し、前記平板状顔料の固形分比率が70〜99質量%である水性塗料組成物。前記水性
塗料組成物を、工程フィルム表面に塗工して製膜した後、工程フィルムを剥離させる無機膜の製造方法。

Description

本発明は、平板状顔料を主体とする無機膜に関する。さらに詳しくは、本発明は、平板状顔料を主体とする無機膜の成膜性を改良しようというものであり、特に、機械的強度に優れるガスバリア性能を有した無機膜を提供するものである。
従来、ガスバリア性フィルムは、空気中の気体を遮断することから、空気中の酸素や水蒸気と反応し劣化する物品を包装する目的で、食品包装用、化粧品包装用、電子部品材料等の用途に使用されている。ガスバリア性フィルムでは、気体を遮断する能力が高ければ高いほど、本来の目的を達成することができるが、その製造にかかる費用とのバランスが重要になってくる。また、用途に応じて、ガスバリア性以外の品質とのバランスをとることも重要であることはいうまでもない。
ガスバリア性を達成するために、様々な方法が提案されてきた。例えば、ポリビニルアルコールやその誘導体であるエチレン−ポリビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデンはガスバリア性を有する樹脂として古くから公知である。また、金属又は金属酸化膜を蒸着法にてプラスチックフィルム上に積層する方法は、食品用途であるレトルトパック等に実際に使用されている。また、平板状顔料をプラスチックフィルム中に分散し、ガスバリア性を向上させる方法、これらの技術を組み合わせて、ガスバリア層を複数層積層する方法も数多く提案されている。
近年、液晶、有機エレクトロルミネッセンス、フィールドエミッション、電気泳動等を利用した薄型ディスプレイが注目されている。その中でも、ディスプレイ自体が折り曲げ可能であるディスプレイはフレキシブルディスプレイと呼ばれている。フレキシブルディスプレイは、曲面追従性を有するために新しい広告媒体、携帯機器、照明器具等への応用が期待されている。
フレキシブルディスプレイの実現に大きな障害となっているのは封止技術である。フレキシブルディスプレイには基板として、従来のガラス基板ではなく折り曲げ可能なプラスチックフィルムが使用される。しかし、プラスチックフィルムには、ガラス基板と比較すると、酸素や水蒸気等の気体を透過させ、液晶等の電子デバイスの劣化を招く問題があった。食品用途等に要求されるガスバリア性と比較すると、これらの表示装置に要求されるガスバリア性は非常に高く、通常、このような電子デバイスの封止では、電子デバイス上に直接、バリア層と表面保護等の機能を有するポリマー層を設ける方法が主流であった(特許文献1)。しかし、この方法では積層の際に熱がかかるため、電子デバイス部を傷める可能性があり、製品歩留まりが低下する問題があった。また、目的とするガスバリア性を発現するためには少なくとも5回以上の積層を繰り返す必要があり、製造プロセス的に簡便な方法が望まれている。プラスチックフィルムに目的とするガスバリア性能を付与することができれば、電子デバイスの封止工程においてロールトゥロールによる連続封止も実現可能になるが、プラスチックフィルム自体にガスバリア性を付与したり、プラスチックフィルム上にガスバリア層を設ける方法ではガスバリア性を含む要求品質を満たすことはできなかった。
ガスバリア性を発現する技術の一つに、平板状顔料を用いるものがある。平板状顔料とは縦横方向の長さに比較して厚みが桁違いに小さい顔料のことを表し、主に地球上に広く分布する粘土由来の物質はこれに該当する。平板状顔料は、優れた耐熱性、ガスバリア性、難燃性を有し、天然に広く産出される材料に由来しているためにコスト面においても非常に有利である。平板状顔料自体には気体透過能が全くなく、これまでもプラスチックフィルム等に混合/分散することでガスバリア性が改善されることが報告されている(特許文献2)。そのガスバリアメカニズムは、平面的には水蒸気の透過面積が小さくなること、また厚み方向では平板状顔料が無機膜表面に対して平行に配列して積層するため、無機膜中の気体はこの平板状顔料を迂回しながら透過することから、水蒸気の透過距離が長くなり、結果として大幅にガスバリア性能が向上するものである。この効果は曲路効果と呼ばれる。
プラスチックフィルム中の平板状顔料比率を増加していくと、ガスバリア性は向上し電子デバイスの封止にも使用可能なレベルに達する。
しかし、このような平板状顔料を主成分とする無機膜は成膜しづらい上、機械的強度に劣るという問題があった。例えば、特許文献3では平板状顔料である無焼成マイカの大きさを規定して無焼成マイカを緻密に積層させて機械的強度の向上を試みているが、無焼成マイカの単独膜ではある程度成膜するものの機械的強度ではフレキシブルディスプレイの基板としては不十分であった。
また、特許文献4では、平板状顔料である焼成マイカで得られた単独膜に樹脂を含漬させて機械的強度を向上させようとしているが、焼成マイカの単独膜には、樹脂が膜全体に浸透せずに機械的強度を向上させるには不十分であった。
また、特許文献5では、熱可塑性樹脂からなる基材フィルムの少なくとも片面に、平板状顔料である含水ケイ酸塩化合物と変性ポリビニルアルコールより層を形成しているが、含水ケイ酸塩化合物含有量が多い領域では平板状顔料が緻密には積層されないカードハウス構造をとるために、ガスバリア性は発揮されていないし、機械的強度も考慮されていない。
特許文献6では、粒径が5μm以下、アスペクト比が50〜5000の平板状顔料と高水素結合性樹脂と水素結合基用架橋剤を含有するフィルムを作製しているが、平板状顔料(A)と高水素結合性樹脂(B)の体積比率がA/B=3/7を越える領域では品質を確認しておらず、A/B=3/7の条件下では、顔料比率が低すぎて、本発明の目的とする水蒸気ガスバリア性は得られなかった。
特表2003−532260号公報 特開昭61−179716号公報 特開昭57−82598号公報 特開昭59−70099号公報 特開平3−93542号公報 特開平7−33909号公報
本発明の目的は、上記課題を解決するものである。即ち、平板状顔料を主体とした無機膜において、成膜性及び機械的強度を飛躍的に改良したガスバリア性を有する無機膜を提供すること、及び無機膜を作製するための水性塗料組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明は以下の実施様態を含む。
本発明の第1は、アスペクト比が50以上の平板状顔料と水素結合性バインダーを含有し、該平板状顔料の固形分比率が70〜99質量%である無機膜である。
本発明の第2は、平板状顔料が、水膨潤性天然マイカ又は合成マイカから選ばれる少なくとも一種である本発明の第1に記載の無機膜である。
本発明の第3は、水素結合性バインダーがポリビニルアルコール、あるいはカチオン性化合物から選ばれる少なくとも一種である本発明の第1〜2のいずれかに記載の無機膜である。
本発明の第4は、アスペクト比が50以上の平板状顔料と水素結合性バインダーを含有し、前記平板状顔料の固形分比率が70〜99質量%である水性塗料組成物である。
本発明の第5は、平板状顔料が、水膨潤性天然マイカ、あるいは合成マイカから選ばれる少なくとも一種である本発明の第4に記載の水性塗料組成物である。
本発明の第6は、水素結合性バインダーがポリビニルアルコール、あるいはカチオン性化合物から選ばれる少なくとも一種である本発明の第4〜5のいずれかに記載の水性塗料組成物である。
本発明の第7は、本発明の第4〜6ののいずれかに記載の水性塗料組成物を、工程フィルム表面に塗工して製膜した後、工程フィルムを剥離させる無機膜の製造方法である。
本発明により、無機膜における成膜性及び膜の機械的強度などの基本性能の飛躍的な向上が可能となる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明者らは、最初に平板状顔料単独により無機膜を作製しようと試みた。しかし、うまく成膜しなかったり、無機膜が得られたとしてもカードハウス構造になってしまい目的とするガスバリア性も機械的強度も得られなかった。
しかし、この検討の中で、平板状顔料のアスペクト比が大きいほど、平板状顔料が無機膜中で一定の方向に配向しやすく、機械的強度及びガスバリア性が優れた膜が作成できることを見出したが、まだ目的とする性能には達しなかった。
続いて、アスペクト比50以上の平板状顔料を用いて、無機膜がカードハウス構造にならないように平板状顔料同士を緩やかに架橋させることを考えた。その結果、平板状顔料に少量の水素結合性バインダーを混合することで、成膜性が良好になり機械的強度を飛躍的に向上できること、従来知られているものより遥かに高いガスバリア性を発現することを偶然に見出した。詳細な研究の結果、曲路効果によりガスバリア性が発現したのではなく、平板状顔料が極めて緻密に欠陥のない状態で積層しているために、機械的強度及びガスバリア性が飛躍的に向上していることがわかった。
また、水膨潤性の天然マイカや合成マイカの膨潤した表面は非常に親水性で、かつ強いアニオン性を示し、その表面には水素結合性の官能基やカチオン性を示す官能基を有する化合物が非常に強固に吸着するものと思われる。
このようにマイカ表面に吸着した化合物の有する物性は、その化合物バルクの物性とは大きく異なる。例えば、吸着した化合物がマイカ表面で高度に配向したり結晶化したりすることで、非常に耐水性が強く気体分子が透過できないような膜をマイカ表面に形成していると考えられる。従って、水素結合性バインダー量が相対的に多くなると化合物バルクの影響が強くなり、特異な物性が発現しないものと考えられる。
そのため、水素結合性バインダー量は、平板状顔料に対して単分子膜を形成するような量が好ましいと考えられる。平板状顔料の厚さが小さいほど(アスペクト比が大きいほど)水素結合性バインダーの量は少ない方が好ましい。さらに、平板状顔料の表面に吸着した水素結合性バインダー単分子膜あるいは非常に薄いナノオーダーの膜は、平板状顔料のカードハウス構造を壊すばかりでなく、成膜したときには、平板状顔料の平面同士を強固にかつ分子オーダーで隙間なく密着する役割を果たす。
本発明者らは、平板状顔料と水素結合性バインダーによる上記のような特異的な挙動に注目し、従来の曲路理論とは全く異なる新しいメカニズムによってガスバリア性を発揮することを見出した。
本発明の無機膜で好適に使用できる平板状顔料としては、第1にはフィロケイ酸塩(層状珪酸塩)が挙げられる。フィロケイ酸塩の具体例としては、カオリナイト−蛇紋石族(カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイトなどのカオリン鉱物、クリソタイル、リザーダイト、アンチゴライトなどの蛇紋石、ペコラアイト、ネポーアイト、アメサイトなどの蛇紋石類縁鉱物が一例として挙げられる)、パイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライトが一例として挙げられる)、雲母族(白雲母、パラゴナイト、イライト、金雲母、レピドライト、セリサイト、海緑石、セラドナイト、トベライト、ベントナイト、酸性白土が一例として挙げられる)、脆雲母(マーガライト、クリントナイト、アナンダイトなどが一例として挙げられる)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイトなどが一例として挙げられる、スメクタイト族(モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、ノントロナイトが一例として挙げられる)、バーミキュライト族(3八面型バーミキュライト、2八面型バーミキュライトなどが一例として挙げられる)などが挙げられる。
これらの中でも平板性の優れる平板状顔料、例えば雲母族、スメクタイト族が好ましい。雲母族には、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母、合成マイカ)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母、カリ四ケイ素雲母、ナトリウム四ケイ素雲母、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライトなどが挙げられる。組成的にタルクに類似する合成タルクなどの合成品も本発明の範疇に含むものとする。
カオリンやタルクなどの粘土鉱物も一般的には平板状といわれている。しかし、結晶一個をとれば、平板状の部分はあるが全体としては粒状である。しかし、カオリンやタルクのうち、意識的に結晶層を剥離し、平板にしたデラミカオリンや薄片状タルクなどは、本発明ににおける平板状顔料として用いることができる。また、平板状顔料の粒子径は、無機膜の膜厚に対応したものを使用することが好ましい。その場合は、平板状顔料をボールミル、サンドグラインダー、コボルミル、ジェットミルなどの粉砕機で粉砕分級して所望の粒子径を得た後、本発明に使用するものとする。
スメクタイト族には、ディッカイト、ナクライト、スメクタイト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、マーガライト、バーミキュライト、ザンソフィライト、緑泥石などを挙げることができる。特にスメクタイトが好ましく、スメクタイトにはモンモリロナイト、ハイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイトなどを挙げることができる。
合成スメクタイトとしては、式(Na及び/又はLi)0.1〜1.0Mg2.4〜2.9Li0.0〜0.6Si3.5〜4.09.0〜10.6(OH及び/又はF)1.5〜2.5で示されるもの、合成マイカとしては膨潤性フッ素マイカが挙げられ、特開平5−270815号公報、特開平7−187657号公報に記載の方法等により合成される。
スメクタイト族は水により容易に膨潤、壁開するため、雲母族に比べるとアスペクト比の大きな平板状顔料が得やすい。そのため膨潤性無機層状化合物あるいは高膨潤性粘土鉱物と呼ばれることもあるが、スメクタイト族もフィロケイ酸塩化合物の一種であり雲母族と組成的には似ている。層間のイオンがナトリウムイオンやリチウムイオンの場合は水により膨潤しやすく、カリウムイオンの場合は膨潤しにくい。
スメクタイト族の市販品としては、一般にナトリウムベンナイトと呼ばれる天然のベントナイトや、クニピア、スメクトン(クニミネ工業社製)、ビーガム(バンダービルト社製)、ラポナイト(ラポルテ社製)、DMクリーンA、DMA−350、Na−Ts(トピー工業社製)、ベンゲル(豊順洋行社製)などを挙げることができ、これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いることもできる。
また、本発明で使用する平板状顔料は、水で分散された状態での平均粒子径が20nm〜100μmの間にあるものが好適であり、好ましくは0.1μm〜50μm、より好ましくは1μm〜30μmである。平均粒子径が20nm未満であると、アスペクト比が小さくなりガスバリア性向上効果が小さい。一方100μmを越えると無機膜表面から顔料が突き出し、外観不良やガスバリア性低下を招き好ましくない。
本発明で用いる平板状顔料の水に分散された平均粒子径は、平均粒子径が0.1μm以上のものは光散乱理論を応用したレーザー回折による粒度分布測定装置において測定した値である。また、水に分散された平均粒子径が0.1μmのものについは動的光散乱法を用いて測定した値である。
また、本発明で使用する平板状顔料の好ましいアスペクト比は50以上、さらに好ましくは500以上である。アスペクト比が50未満のものは緻密に積層しづらく機械的強度及びガスバリア性が低下する。アスペクト比は大きいほど平板状顔料の無機膜中における層数が大きくなるため高い機械的強度及びガスバリア性を発揮する。平板状顔料の厚みは、無機膜の断面写真より測定する。厚みが0.1μm以上のものは電子顕微鏡写真より画像化解析して求める。厚みが0.1μm未満のものは透過型電子顕微鏡写真より画像解析して求める。本発明でいうアスペクト比は、上記水に分散された平均粒子径を無機膜の断面写真より求めた厚さで除したものである。
本発明においては、無機膜中における平板状顔料の質量比は70〜99質量%でなければならない。平板状顔料が70質量%未満であると、目的とするガスバリア性が得られない。また、平板状顔料が99質量%を越えると、無機膜が成膜しない、又は成膜しても無機膜の機械的強度が低下してしまう。より好ましくは80〜99質量%、特に好ましくは90〜99質量%である。
水素結合性バインダーとは、例えば、水酸基、カルボン酸、アミノ基、スルホン酸、アミド基などの水素結合性官能基を含有する高分子である。
例えば酸化デンプン、デキストリン等のデンプン類;ポリビニルアルコール及びその誘導体類;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、パルプ繊維を溶解したセルロースそのもの等の天然又は合成のセルロース;ゼラチン、カゼイン、でんぷん;ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリアクリロイルモルホリン、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリ−N−ビニルホルムアミドなどがある。上記水素結合性バインダーは、他のモノマーや添加剤などで変性したものも使用可能であり、また二種類以上の合成樹脂を混合することが可能である。これらの中でも、ポリビニルアルコールが安価であり分子設計が容易であるため好ましく用いられる。
水素結合性バインダーとしては、カチオン基及び/又はカチオン基と成りうる官能基を有する化合物(即ち、カチオン性化合物)又は1分子内にアニオン基及びカチオン基を同時に有する化合物(即ち、両性化合物)も含まれる。カチオン性化合物としては、特に限定されず、1級アミノ基又はその付加塩類、2級アミノ基又はその付加塩類、3級アミノ基又はその付加塩類、4級アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸エステルの1級アミン類及びその付加塩類、ジアリルアミン、ジアリルアミン付加塩類、(メタ)アクリル酸エステルの2級アミン類及びその付加塩類、(メタ)アクリル酸エステルの3級アミン類及びその付加塩類、(メタ)アクリル酸エステルの4級アンモニウム塩類、(メタ)アクリル酸ピリジルアルキルエステル類及びそのピリジニウム塩類、(メタ)アクリル酸ピリジルアルキルエステルのN−置換ピリジニウム塩類、ビニルピリジン類及びそのピリジニウム塩類、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミド化合物、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、及びポリアミドアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物及びポリアミドアミン化合物、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、アミノ変性アクリルアミド系化合物、ポリビニルアミン、ポリビニルアミンなどがあるが挙げられる。また、含窒素化合物は特開平9−291499号公報に記載のカチオン性化合物も使用できる。
カチオン性化合物又は両性化合物をポリマーとして使用する場合、該ポリマー中に占めるカチオン基及び/又はカチオン基となり得る官能基を有するモノマーの割合は、10質量%以上、好ましくは20質量%以上である。
水素結合性のモノマーを平板状顔料と混合し、熱、紫外線、電子線等で重合させてバインダーとして使用することが可能である。ここで、水素結合性モノマーとは、水素結合性官能基を有するモノマーであり、例えば、水酸基、カルボン酸、アミノ基、スルホン酸、アミド基などを有するモノマーである。例えば、水ガラス、シランカップリング剤等も範囲に入る。
本発明の無機膜は、水性塗料組成物の塗工により製膜することで得ることができる。即ち、平板状顔料を固形分比率70〜99質量%と水素結合性バインダーを含有する水性塗料組成物を用いる。
本発明の水性塗料組成物を作製する際には、添加剤として顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、カチオン性、ノニオン性又は両性の界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、耐水化剤等を本発明の目的を達成する範囲にて配合することが可能である。
前述の水性塗料組成物の塗工により、本発明の無機膜を得ることが可能である。無機膜の製造方法は、特に限定されるものではないが、上記水性塗料組成物を、工程フィルム表面に塗工して、乾燥させて製膜した後、工程フィルムを剥離させて無機膜を得ることが好ましい。
なお、本発明の無機膜は、上記のように無機膜単独としても用いることできるが、フィルム等の基材表面に形成させたままでもガスバリア層として使用可能である。
水性塗料組成物を工程フィルム表面に塗布する場合、塗工方法としては特に限定するものではないが、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が用いられる。その中でも、精密塗工が可能で塗工速度が速い、グラビアコーター、ダイコーターが好ましい。
上記工程フィルムについては、特に限定するものではないが、合成樹脂フィルム、金属箔、上質紙、中質紙、アート紙、コート紙等の紙類、合成紙、不織布等が任意に用いられる。また、これらを積層したり、表面処理したものを用いることができる。この中でも、合成樹脂フィルム、より好ましくは、耐熱性があり安価なポリエチレンテレフタレートフィルム素材のものが好適に用いられる。
本発明の無機膜の坪量は10〜50g/mが好ましく、より好ましくは20〜40g/mである。坪量が10g/mより小さいと機械的強度に劣る恐れがある。また、坪量が50g/mより大きいと、塗工時の乾燥に時間がかかるため、生産効率が悪いという問題が発生するおそれがある。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を限定するものではない。また、特に断らない限り実施例中の部は質量部を示す。
<実施例1>
平板状顔料としてナトリウム四珪素雲母(商品名:DMA80、トピー工業製、アスペクト比1000)を用い、平板状顔料固形分が5質量%になるように平板状顔料と水を混合し、回転数500rpmにて1日間攪拌してナトリウム四珪素雲母水分散液を得た。
ナトリウム四珪素雲母水分散液85質量部に、さらにポリビニルアルコール(クラレ製 PVA117)5質量%水溶液15質量部を攪拌しながら添加して水性塗料組成物を得た。
上記水性塗料組成物を、工程フィルム(50μm厚、ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名A4100、東洋紡社製)上にアプリケーターバーで塗布し、120℃で10分乾燥した後、工程フィルムを剥離して無機膜を得た。
得られた無機膜の坪量は20g/mであった。
<実施例2>
ナトリウム四珪素雲母水分散液を98質量部に、ポリビニルアルコール5質量%水溶液2質量部を攪拌しながら添加して水性塗料組成物を得た以外は、実施例1記載と同様にして無機膜を得た。
<実施例3>
ナトリウム四珪素雲母水分散液75質量部に、ポリビニルアルコール5質量%水溶液25質量部を攪拌しながら添加して水性塗料組成物を得た以外は、実施例1記載と同様の方法にて無機膜を得た。
<実施例4>
平板状顔料としてモンモリロナイト(商品名:クニピアF、クニミネ工業製、アスペクト比461)を用いた以外は、実施例1記載と同様の方法にて無機膜を得た。
<実施例5>
ポリビニルアルコールをシリル基変性ポリビニルアルコール(商品名:R1130、クラレ製)に変更した以外は、実施例1記載と同様の方法にて無機膜を得た。
<実施例6>
ポリビニルアルコールを変性ポリアミド系樹脂(商品名:SPI203(50)、住友化学製)に変更した以外は、実施例1記載と同様の方法にて無機膜を得た。
<実施例7>
ポリビニルアルコールを2級アミノ基の塩酸塩を含有する樹脂であるジアリルアミン塩酸塩とアクリルアミドの共重合体(商品名:スミレーズレジン1001、住友化学株製)に変更した以外は、実施例1記載と同様の方法にて無機膜を得た。
<比較例1>
ナトリウム四珪素雲母水分散液65質量部に、ポリビニルアルコール5質量%水溶液35質量部を攪拌しながら添加して水性塗料組成物を得た以外は、実施例1記載と同様の方法にて無機膜を得た。
<比較例2>
ポリビニルアルコール5質量%水溶液を添加せずに(0質量部)水性塗料組成物を得た以外は、実施例1記載と同様の方法にて無機膜を得た。
<比較例3>
平板状顔料として白雲母(商品名:B−325、兼松化成製、アスペクト比20)を用いた以外は、実施例1記載と同様の方法にて無機膜を得た。
次に、実施例及び比較例で得た無機膜を以下の方法にて評価した。結果を表1に示す。
<ガスバリア性>
無機膜のガスバリア性は、水蒸気透過率評価にて行った。
水蒸気透過率の測定は、23℃90%RH環境下にて水蒸気ガス透過率測定装置(モダンコントロール(株)製、PERMATRAN−W3/31)を用いた。
<機械的強度>
無機膜の機械的強度は引張強度にて評価した。
23℃50%RH環境下にて1日以上調湿した無機膜を、製膜時の塗工した方向をT方向として、T方向が長さ方向となるようにして試験片(25mm幅、長さ100mm)を作製し、引張試験機(オリエンテック社製RTC−1210)を用いて長さ方向に引張速度は0.3m/分で引っ張ることにより引張強度を測定した。
<総合評価>
無機膜としての以下の4段階で総合評価を行った。
◎:非常に優れている。
○:優れている。
△:若干問題があるが、実用上問題ないレベルである。
×:問題があり、実用出来ないレベルである。
Figure 2006167679
表1から実施例1〜7の本発明の無機膜は、ガスバリア性及び機械的強度が実用上問題ないレベルである。一方、比較例1では、無機膜中の平板状顔料の質量比が65と小さいためにガスバリア性が悪くなった。比較例2では、平板状顔料単独で無機膜を作製したが、平板状顔料がカードハウス構造になり、機械的強度及びガスバリア性が極端に悪化した。比較例3では、平板状顔料のアスペクト比が20と小さいためにガスバリア性が悪く機械的強度が悪化した。

Claims (7)

  1. アスペクト比が50以上の平板状顔料と水素結合性バインダーを含有し、該平板状顔料の固形分比率が70〜99質量%であることを特徴とする無機膜。
  2. 平板状顔料が、水膨潤性天然マイカ又は合成マイカから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の無機膜。
  3. 水素結合性バインダーがポリビニルアルコール、あるいはカチオン性化合物から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の無機膜。
  4. アスペクト比が50以上の平板状顔料と水素結合性バインダーを含有し、前記平板状顔料の固形分比率が70〜99質量%であることを特徴とする水性塗料組成物。
  5. 平板状顔料が、水膨潤性天然マイカ、あるいは合成マイカから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項4に記載の水性塗料組成物。
  6. 水素結合性バインダーがポリビニルアルコール、あるいはカチオン性化合物から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項4〜5のいずれかに記載の水性塗料組成物。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の水性塗料組成物を、工程フィルム表面に塗工して製膜した後、工程フィルムを剥離させることを特徴とする無機膜の製造方法。

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