JP2009274287A - 防湿化粧シートおよび化粧板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 古紙として再利用可能な紙支持体であり、耐溶剤性に優れた防湿化粧シートを得る。
【解決手段】 紙支持体の少なくとも片面に合成樹脂と平板状顔料を含む防湿層を有する透気度が1000〜20000秒である防湿紙の前記防湿層上に印刷層を形成した防湿化粧シート。防湿層中にヒンダードフェノール系酸化防止剤もしくは二酸化チタンの少なくともいずれかが含まれる前項記載の防湿化粧シート。前記防湿化粧シートが木質ボードに貼合されている化粧板。
【選択図】 なし

Description

本発明は、紙基材からなる耐溶剤性に優れた防湿化粧シートおよび化粧板に関する。
現在、住宅の壁面、天井面、あるいはドアや襖等を初めとする各種建具、又はキッチン等の収納部に設けられた扉などの住宅設備機器、各種調度品等には、合板や平行合板、もしくはパーティクルボードやファイバーボード等の各種木質ボードを支持体とする化粧板等、様々な木質材料が使用されている。
この中でも、機械的処理あるいは化学的処理等により得られた木材繊維を接着剤と混合し熱圧成型してなるファイバーボードは、均質で異方性がないこと、また原料として未利用廃材や低質木材が主に利用されるリサイクル製品であって、コスト面でも優れていることから、化粧板用の支持体として多く使用されている。
このようなファイバーボードは、主に密度によって大別され、密度の低い方から、インシュレーションボード、中密度ファイバーボード(Mid Density Fiber Board,以下MDF)、ハードボードと呼ばれている。この中で通常は、MDFが化粧板用支持体として使用されている。
ところで、木質材料は、温度や湿度の変化によってその含水率が変化する性質がある。従って、従って、温度や湿度条件による水分量の変動の結果、材料の収縮や膨張によって形状が変化し、「反り」や「ネジレ」等が発生するおそれがある。
特に、建具の場合、室内と室外等、異なる空間を仕切るものであって、表面と裏面が各々温度や湿度が異なる環境にさらされる。従って、このような用途に使用する場合、温度・湿度条件の変動に対して耐性を有し、形状変化が起こりにくいという特性がより重要となる。
例えばドアの場合、反りやねじれが生じると、開閉できなくなったり、ドア枠とドア間に隙間が生じるという問題が発生する。
特に、木質ボードの中でもMDF等のファイバーボードの場合、構造上の特徴から、温度・湿度条件の変動により、通常8〜9%である含水率がかなり変化し、その結果、反りやネジレが生じ易いという問題があった。
そこで、上記木質ボードを支持体として化粧板を製造する場合は、防湿・防水加工を施して使用するのが一般的である。
例えば、木質ボードの表側面にはプラスチック系化粧シート、裏側面に防湿・防水加工としてプラスチックフィルムを貼合した構成の木質系化粧板がある。
あるいは、木質ボードの表側面には上記同様にプラスチック系化粧シートを貼合し、裏側面には、紙/プラスチックフィルム/紙(表裏を紙で覆ったプラスチックフィルム)からなる積層体を貼合した構成、金属箔/紙からなる積層体を貼合した構成の木質系化粧板が存在する。なお、裏側面に貼着するプラスチックフィルムや金属箔の表裏等に紙を貼合するのは、紙の多孔質性によってプラスチックフィルム等を木質板に接着し易くすると同時に、これにより得られた木質系化粧板を他の物に接着し易くする効果を有する。
具体的に述べると、特許文献1では、防湿性を有する内装材として、基板の少なくとも片面に、プラスチックフィルムや金属箔等からなる防湿シートを芯層としてその表裏に紙を積層した構成の防湿紙を、基板に接する内側の紙層内に接着剤が含浸されるように貼着した構成を開示している。
また、特許文献2には、木質板の表裏両面に塩化ビニリデン系樹脂を含む防湿防水塗膜層が形成され、更に表側の防湿防水塗膜層上に接着剤層を介して紙系化粧シートが貼着されてなる、木質系化粧板が開示されている。
しかし、このような従来の化粧シート(防湿化粧シート)は、紙を使用していても、フィルムや金属箔と貼合されているため、古紙として再利用が困難であった。従って、紙を支持体として再生可能であって、しかも防湿性に優れた化粧シートが求められていた。
再生可能な防湿紙としては、ワックスを含有する防湿層を有する防湿紙等が存在するが(特許文献3等)、化粧シートとして使用可能な防湿紙としては、防湿性の他に、印刷適性と表面強度が優れていることが要求されるため、ワックスを含む防湿層を有する防湿紙は、その点においては化粧シートとしては使用することはできない。
また、印刷適性と表面強度を有する再生可能な防湿紙としては、合成樹脂と平板状顔料による防湿層を有する特許文献4が開示されている。
特開平7−251407号公報 特開平11−348180号公報 特公昭59−66598号公報 特開平9−291499号公報
しかし、このような防湿紙を化粧シートとして使用する際には、新たな問題が発生することが判明した。即ち、化粧シートを木質ボードに貼合して化粧板とした後、該化粧板にペンキや木工用ニスを塗工した場合、該化粧板の表面からトルエンやメチルエチルケトンなどの溶剤が染み込む。その結果、防湿層が膨潤し、また、防湿層、印刷層が紙支持体から分離して化粧シートが損壊する。また、日常生活で使用する各種溶剤を含有する薬品が該化粧板の表面に接した場合も同様である。こうした問題は、製品の美観や耐久性を損なうものであって、化粧シートとしては非常に問題であった。
従って、古紙として再利用可能な紙基材であり、化粧板製品となった後もペンキやニスの塗工が可能な、耐溶剤性に優れた防湿化粧シートが求められていた。
本発明は上記課題を解決するために以下の方法をとる。
即ち本発明の第1は、紙支持体の少なくとも片面に合成樹脂と平板状顔料を含む防湿層を有し、透気度が1000〜20000秒である防湿紙の前記防湿層上に印刷層を形成した防湿化粧シートである。
本発明の第2は、防湿層中にヒンダードフェノール系酸化防止剤もしくは二酸化チタンの少なくともいずれかが含まれる本発明の第1に記載の防湿化粧シートである。
本発明の第3は、本発明の第1〜2のいずれかに記載の防湿化粧シートが木質ボードに貼合されている化粧板である。
本発明によって、古紙として再利用可能な紙支持体であり、耐溶剤性に優れた防湿化粧シートを得ることが可能となった。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の防湿化粧シートは、紙基材に合成樹脂と平板状顔料を含む防湿層を有し、透気度が1000〜20000秒となる防湿紙の前記防湿層上に印刷層を形成したものである。
合成樹脂と無機層状化合物を含む防湿層は、防湿性、再離解性、及び表面塗膜強度と印刷適性に優れるため防湿化粧シートの防湿層として優れたものである。
防湿層を構成する合成樹脂は、それ自体で成膜性があり耐水性を示すものであれば特に制限なく使用可能である。耐水性の指標としては、樹脂単独の被膜を作製し(ガラス板状に合成樹脂の溶液(水溶液あるいはアルカリ性水溶液)あるいはエマルジョンなどを、乾燥後の厚さが50μm〜100μmになるように塗布し、110℃、5分間乾燥後、乾燥剤の入ったデシケーター中で40℃24時間乾燥させる)。その被膜を23℃の水(サンプル質量に対して100倍以上の質量の水)の中に24時間、浸漬し(攪拌子でゆっくりとかき混ぜる)、被膜を取り出して乾燥させ(乾燥条件:110℃、5分間乾燥後、乾燥剤の入ったデシケーター中で40℃24時間乾燥させる)、その質量減が10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下である。
防湿層を構成する合成樹脂の単独被膜の防湿性は、厚さ20μm換算で透湿度が800g/m・24hr以下、好ましくは600g/m・24hr以下、より好ましくは400g/m・24hr以下である。具体的な測定方法は、上記耐水性の指標と同様に合成樹脂被膜を形成し、 JIS−Z−0208(カップ法)B法(40℃90%RH)で透湿度を測定し、該合成樹脂被膜の厚さを測定し、20μm換算の透湿度を求める。この時、透湿度は厚さに反比例すると仮定する。
防湿層を構成する合成樹脂は、水性エマルジョン(ラテックス、乳化物、マイクロエマルジョン、分散物などもエマルジョンに含まれるとする)、あるいはアルカリ水に溶解させたものが好ましい。水溶性あるいは熱水可溶性(水あるいは熱水に対する溶解度が5%以上)の合成樹脂は防湿性が上述した透湿度よりはるかに大きいため好ましくない。例えばポリビニルアルコール(PVA)は水に対する溶解度が5〜30%の範囲にあるが(溶解度は分子量あるいはケン化度に依存する)、その単独被膜(20μm)の透湿度は上述した条件化で1000g/m・24hrを越えるため、本発明では使用できない。
また、合成樹脂としては、芳香族ビニル系単量体、脂肪族共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体、不飽和脂肪酸系単量体、αオレフィン系単量体及びその他の共重合可能な単量体の中から1種又は2種以上を乳化重合したものが挙げられる。具体的には、芳香族ビニル系単量体と脂肪族共役ジエン系単量体から乳化重合によって得られるスチレン−ブタジエン系共重合体(SBR)、エチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体と脂肪族共役ジエン系単量体から乳化重合によって得られるメチルメタクリレート−ブタジエン系共重合体(MBR)、芳香族ビニル系単量体とエチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体から乳化重合によって得られるスチレン−アクリル系共重合体、αオレフィン系単量体と不飽和脂肪酸系単量体の乳化重合から得られるエチレン−アクリル酸系共重合体、1種類あるいは2種類以上のエチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体の乳化重合から得られるアクリルエステル系重合体などが挙げられる。これら共重合体は、他の単量体と共重合させて使用してもかまわない。
次に単量体について詳述する。芳香族ビニル系単量体は合成樹脂に耐水性と適度な硬さを付与させるもので、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレンなどがあり、スチレンが好適に使用される。
脂肪族共役ジエン系単量体は合成樹脂に柔軟性を付与させるもので、具体的には、ブタジエン、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、1,3−ブタジエンが好適に使用される。
エチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体は合成樹脂に耐水性を付与させるとともに、合成樹脂の硬さやガラス転移温度(Tg)、最低造膜温度(MFT)を調整させるもので、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体などが挙げられる。
不飽和脂肪酸単量体は、合成樹脂の成膜性を向上させるとともに、共重合体の水中でのコロイドとしての安定性を高めるもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などの不飽和カルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和多価カルボン酸;イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノブチルエステルなどの、少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル;アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩などの不飽和スルホン酸及びその塩が挙げられる。アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸が好適に使用される。
αオレフィン系単量体は合成樹脂に耐水性と柔軟性を付与させるもので具体的にはエチレン、プロピレンなどが挙げられる。
上述した単量体と共重合可能な他の単量体は、合成樹脂の耐水性を高めたり、カチオン基を導入して接着性を高めたり、架橋性の官能基を導入して強度を高めたりするもので、具体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル;アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル及びメタクリル酸β−ヒドロキシエチルなどのエチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド及びジアセトンアクリルアミドなどのエチレン性不飽和カルボン酸アミド及びその誘導体; アクリル酸グリシジル及びメタクリル酸グリシジルなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル;アクロレイン及びアリルアルコール等のビニル化合物などが挙げられる。
合成樹脂の水性エマルジョンは、上記した各単量体を用いて公知の乳化重合法により製造することができる。即ち、所望の単量体を混合し、これに乳化剤、重合開始剤等を加えて水系で乳化重合を行えばよく、一括して仕込み重合する方法、各成分を連続供給しながら重合する方法などの各種の方法が適用できる。
乳化重合用の乳化剤としてはアルキル又はアルキルアリル硫酸塩、アルキル又はアルキルアリルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル又はアルキルアリルエーテル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルアンモニウムクロライド等のカチオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル等のノニオン性乳化剤などが例示される。乳化剤の使用量はエマルジョンに対して要求される性質に応じて変わりうるが、一般に重合安定性を向上させる目的やエマルジョンの機械的、化学的安定性を良好にする目的には乳化剤の使用量は多いことが望ましく、乾燥皮膜の耐水性を向上させるためには逆に使用量が少ない方が望ましく、通常は単量体の合計量100質量部に対して0.1〜5質量部程度の範囲内から目的に応じて使用量が決められる。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アゾビスアミジノプロパン塩酸塩等の水溶性タイプ、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性タイプなどが用いられる。またさらに必要に応じ、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、L−アスコルビン酸、糖類、アミン類などの還元剤を併用したレドックス系も使用することができる。それらの使用量は単量体の合計量100質量部に対して0.01〜3質量部程度とすればよい。重合反応は通常35〜90℃程度で行えばよく、反応時間は通常3〜10時間程度とすればよい。
なお、乳化重合の開始時あるいは終了後に塩基性物質を加えてpHを調整することにより、エマルジョンの重合安定性、凍結安定性、機械的安定性、化学的安定性等を向上させることができる。特に膨潤性無機層状化合物との配合安定性を得るためには、得られるエマルジョンのpHが5以上となるように調整することが好ましい。膨潤性無機層状化合物の水分散液は通常アルカリ性(pH7〜11)を示すため、混和性の面から合成樹脂のエマルジョンはアルカリ性(pH7以上)がより好ましい。塩基性物質としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、苛性ソーダ、苛性カリ等を使用することができる。特にアンモニアが防湿性の面で好ましい。
合成樹脂水性分散体の粒子径は一般に100nm〜300nmであるが、粒子径150nm以下、特に60〜100nm程度の小さい粒子径の水性分散体を使用すると成膜性が向上し欠陥の少ない膜ができるため好ましい。
また、合成樹脂としてはポリエステル系樹脂、生分解性樹脂(ポリ乳酸、ポリ酪酸、ポリカプロラクタムなど、また、天然系生分解性樹脂も含まれる)、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂なども使用することができる。
合成樹脂のガラス転移温度(Tg)、最低増膜温度(MFT)、ゲル分率(トルエンに対する不溶分)などには特に制限はないが、Tgは−30℃〜60℃、より好ましくは−20℃〜50℃、更に好ましくは−10℃〜40℃である。MFTは70℃以下、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは50℃以下が好ましい。ゲル分率は20%〜99%が好ましく、より好ましくは30%〜95%、更に好ましくは40%〜90%である。
Tgが−30℃より小さいと防湿面の粘着性が強くブロッキングを生じやすくなり、Tgが60℃を越えて大きくなると成膜性が低下して防湿性が悪くなる。MFTが70℃より大きいと成膜性が低下して防湿性が悪くなる。ゲル分率が20%未満になるとブロッキングを生じやすくなり、また、99%を越えて大きいと成膜性が低下して防湿性が悪くなる。
また、本発明の合成樹脂はエマルジョンあるいはラテックスの形態で使用されるが、合成樹脂のエマルジョンあるいはラテックスはアニオン性のものが好ましい。アニオン性にするためにはカルボン酸やスルホン酸基を有するモノマーを共重合させた合成樹脂を使用することが好ましい。合成樹脂がアニオン性を示すと、無機層状化合物に吸着した含窒素化合物と強い総合作用、含窒素化合物中のアミノ基やアミド基と合成樹脂中のカルボン酸基やスルホン酸基が強いイオン結合あるいは、乾燥過程で脱水反応を起こし共有結合を形成し、耐水性が向上し、その結果防湿性が向上する。
次に、本発明の防湿層に好適に使用できる平板状顔料としては、第1にはフィロケイ酸塩鉱物が挙げられる。フィロケイ酸塩鉱物に属するものは板状又は薄片状で明瞭な劈開性を有し、雲母族、パイロフィライト、タルク(滑石)、緑泥石、セプテ緑石、蛇紋石、スチルプノメレーン、粘土鉱物などがある。これらの中でも産出される時の粒子が大きく産出量が多い鉱物、例えば雲母族やタルクが好ましい。雲母族には、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母、合成マイカ)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母、カリ四ケイ素雲母、ナトリウム四ケイ素雲母、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライトなどが挙げられる。組成的にタルクに類似する合成雲母などの合成品も本発明の範疇に含むものとする。
カオリンのうち、意識的に結晶層を剥離し、平板にしたデラミカオリンなどは、本発明における平板状顔料として用いることができる。また、平板状顔料の粒子径は、防湿層の膜厚に対応したものを使用することが好ましい。その場合は、平板状顔料をボールミル、サンドグラインダー、コボルミル、ジェットミルなどの粉砕機で粉砕分級して所望の粒子径を得た後、本発明に使用するものとする。
本発明に好適に用いられる平板状顔料の第2として、膨潤性無機層状化合物の具体例としては、グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物等)、カルコゲン化物、ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物、粘土系鉱物、合成マイカ、合成スメクタイト等を挙げることができる。
グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物等)、カルコゲン化物、ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物は、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を有する化合物ないし物質であり、ここで層状構造とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス力等の弱い結合力によって略平行に積み重なった構造をいう。
「カルコゲン化物」とは、IV族(Ti,Zr,Hf)、V族(V,Nb,Ta)及び/又はVI族(Mo,W)元素のジカルコゲン化物であって、式MX(Mは上記元素、Xはカルコゲン(S,Se,Te)を示す。)で表わされるものをいう。
粘土系鉱物は、一般に、シリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした八面体層を有する2層構造を有するタイプと、シリカの四面体層が、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした八面体層を両側から挟んでなる3層構造を有するタイプに分類される。前者の2層構造タイプとしては、カオリナイト族、アンチゴライト族等を挙げることができ、後者の3層構造タイプとしては、層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族等を挙げることができる。
これらの粘土系鉱物としては、スメクタイト族、バーミキュライト族などの粘土鉱物を挙げることができる。より具体的には、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、マーガライト、タルク、バーミキュライト、ザンソフィライト、緑泥石等を挙げることができる。また、白水晴雄著、「粘土鉱物学」、1988年、(株)朝倉書店 などの文献を参照することができる。特にスメクタイトが好ましく、スメクタイトにはモンモリロナイト、ハイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなどを挙げることができる。
粘土性鉱物(天然品)以外にも、合成品、加工処理品(例えばシランカップリング剤の表面処理品)のいずれであってもよく、合成スメクタイトとしては、式Na0.1〜1.0Mg2.4〜2.9Li0.0〜0.6Si3.5〜4.09.0〜10.6(OH及び/又はF)1.5〜2.5で示されるものが挙げられる。合成スメクタイトや合成マイカの製造方法には、水熱反応法(特開平6−345419号公報)、固相反応法、熔融法(特開平5−270815号公報参照)の3つの合成方法がある。
水熱反応法は、珪酸塩、マグネシウム塩、アルカリ金属イオン、アルカリ金属塩、フッ素イオンなど各種原料を含んだ水溶液あるいは水性スラリーをオートクレーブやパイプリアクターの中で100〜400℃の高温、高圧化のもとで反応させ合成させる方法である。水熱反応法では、結晶の成長が遅いため一般に大きな粒子のものが得られなく、一般に粒子径が10〜100nmのものがほとんどである。もちろん、水熱反応においても、低濃度、低温、長時間の条件で合成すれば粒子径が1μm以上の大きな粒子を製造することは可能だが、製造コストが極端に高くなるといった問題がある。
固相反応法はタルクと珪フッ化アルカリと他の原料とともに400℃〜1000℃の範囲で数時間反応させ、合成マイカを製造する方法である。固相反応は原料のタルクの構造を残したまま元素移動を起こしマイカが生成する(トポタキシー)ため、得られる合成マイカの品質が原料のタルク物性やその不純物に依存したり、元素移動を完全にコントロールできないため合成マイカの純度や結晶化度が低いといった問題がある。
熔融法は、無水珪酸、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、珪フッ化カリウム、炭酸カリウム、その他の原料をマイカの熔融点(例えば1500℃)以上で熔融後、徐冷結晶化し、合成マイカや合成スメクタイトを製造する方法である。また、加熱方法の違いにより、外熱式熔融法と内熱式熔融法がある。外熱式熔融法は原料を入れたるつぼを熔融点以上の温度の室に入れて昇温後、熔融点以下の温度の室に移動させて製造する方法であるがるつぼの費用が高いといった問題点がある。内熱式熔融法は黒鉛(炭素)電極や金属電極を備えた容器中で通電により原料を加熱熔融させた後、冷却させる方法であり、熔融合成法においては内熱式熔融法が一般的である。熔融合成法は冷却結晶化した塊を粉砕、分級することにより粒子径をコントロールした合成品を製造することができる。熔融合成法は原料として純度が高い原料を使用することができ、熔融化するため原料が均一に混合できるため、結晶化度が高く、粒子径が大きく、純度の高い合成マイカや合成スメクタイトを製造することができるといった利点がある。
合成平板状顔料としては、フッ素金雲母(KMgAlSi10F、熔融法又は固相反応法)、カリウム四珪素雲母(KMg2.5Si10、熔融法)、ナトリウム四ケイ素雲母(NaMg2.5Si10、熔融法)、ナトリウムテニオライト(NaMgLiSi10、熔融法)、リチウムテニオライト(LiMgLiSi10、熔融法)などの合成マイカ、ナトリウムヘクトライト(Na0.33Mg2.67Li0.33Si4.010(OH又はF)2、水熱反応法又は熔融法)、リチウムヘクトライト(Na0.33Mg2.67Li0.33Si4.010(OH又はF)、水熱反応法又は熔融法)、サポナイト(Na0.33Mg2.67AlSi4.010(OH)、水熱反応法)などの合成スメクタイトが挙げられる。
粘土鉱物の市販品としては、一般にナトリウムベンナイトと呼ばれる天然のベントナイトや、クニピア(天然モンモリロナイト、クニミネ工業製)、スメクトン(水熱反応法合成スメクタイト、クニミネ工業社製)、ビーガム(商標:バンダービルト社製)、ラポナイト(商標:ラポルテ社製)、DMクリーンA、DMA−350、Na−Ts、NTO−5(熔融法、ナトリウム四珪素雲母、商標:トピー工業製)、ベンゲル(商標:豊順洋行社製)、ソマシフME−100(固相反応法合成マイカ、商標:コープケミカル)等を挙げることができ、これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いることもできる。
本発明により好ましいものは、水中で容易に膨潤、へき開及び分散する膨潤性無機層状化合物である。膨潤性無機層状化合物の溶媒への「膨潤・へき開」性の程度は、以下の「膨潤・へき開」試験により評価することができる。該膨潤性無機層状化合物の膨潤性は、下記膨潤性試験において約5mL以上(より好ましくは約20mL以上)の程度であることが好ましい。膨潤性の具体的なものとしては、上記クニピア(膨潤力:65mL/2g以上)、スメクトン(膨潤力:60mL/2g以上)、DMクリーンA、DMA−350、Na−Ts(膨潤力:30mL/2g以上)、ME−100(商標:コープケミカル社製、膨潤力:20mL/2g以上)及びベンゲル(膨潤力:38mL/2g以上)等である。
一方、該膨潤性無機層状化合物のへき開性は、下記へき開性試験において約5mL以上(より好ましくは約20mL以上)の程度であることが好ましい。これらの場合、溶媒としては、膨潤性無機層状化合物の密度より小さい密度を有する溶媒を用いる。該溶媒としては、水を用いることが好ましい。
膨潤性試験を詳述する。膨潤性無機層状化合物2gを溶媒100mLにゆっくり加える(100mLメスシリンダーを容器とする)。静置後、23℃、24hr後の膨潤性無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から前者(膨潤性無機層状化合物分散層)の体積を読む。この数値が大きい程、膨潤性が高い。
へき開性試験を詳述する。膨潤性無機層状化合物30gを溶媒1500mLにゆっくり加え、分散機(浅田鉄工(株)製、デスパーMH−L、羽根径52mm、回転数3100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて周速8.5m/secで90分間分散した後(23℃)、分散液100mLをとりメスシリンダーに入れ60分静置後、上澄みとの界面から、膨潤性無機層状化合物分散層の体積を読む。
また、本発明で使用するのに好ましい膨潤性無機層状化合物としては、陽イオン交換容量が100g当り、30〜300meq、より好ましくは50〜250meq、特に好ましくは60〜200meqである。陽イオン交換容量が30meq/100g未満だと含窒素化合物との効果が小さくなり防湿性に優れない。また、300meq/100gを越えて大きいと塗料が凝集しやすくなり好ましくない。一般に、天然及び合成スクメタイトは85〜130meq/100gの陽イオン交換容量を有するものが本発明において特に好ましいものである。
陽イオン交換容量の測定は一般にアルコール洗浄法(Schollenberger法あるいはその改良法、和田光史(1981)粘土科学21,160−163参照)と呼ばれる測定方法で行う。膨潤性無機層状化合物の粉末0.2〜1.0gあるいは約1〜3%水分散液を約10〜30mlを100ml容量の遠心分離管に採取する。1Nの酢酸アンモニウム(CHCOONH)液(pH7)を加えて約80mlとして、十分に振とうした後、遠心沈降させ上澄みを捨てる(遠沈洗浄)。遠沈洗浄を4回繰り返した後、遠心分離管に残っている余剰の塩を取り除くため80%エタノール水溶液(pH7)で遠沈洗浄を3回行う。次に10%のNaCl水溶液を用いて遠沈洗浄を4回繰り返し、遠心管の上澄み液をすべて集めて抽出液とする。抽出液のNH4を蒸留法で定量し、試料の乾燥質量(100g)当りのミリグラム当量数(meq)を陽イオン交換容量(cation exchange capacity,CEC)の値とする。なお測定は23℃の環境下で行う。また、測定は7点行い、最大値と最小値を除いた5点の平均を測定値とした。
膨潤性無機層状化合物としては、そのアスペクト比が50〜5000のものが好ましい。アスペクト比(Z)とはZ=L/aなる関係で示されるものであり、Lは膨潤性無機層状化合物の水中での平均粒子径(レーザー回折法で測定。堀場製作所LA−910.屈折率1.3、体積分布50%のメジアン径)であり、aは膨潤性無機層状化合物の厚みであり。厚みは、防湿層の断面をSEMやTEMによる写真観察によって求めた値である。平均粒子径は0.1〜100μmが好ましく、とりわけ0.5〜50μmが好ましい。粒子径が0.1μm未満になるとアスペクト比が小さくなる上、防湿層中で防湿面に対して平行に並びにくくなり、防湿効果が不十分になる。粒子径が100μmを越えて大きくなると防湿層から膨潤性無機層状化合物が突き出てしまい好ましくない。
これら膨潤性無機層状化合物の中でも、ナトリウム四珪素雲母、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライト、ナトリウムヘクトライト、リチウムヘクトライト、サポナイト、天然スメクタイト(モンモリロナイト)が好ましい。これらの中でも、粒子径、アスペクト比、結晶性の面からから熔融合成法で製造されたナトリウム四珪素雲母(トピー工業製、DMA350)やタルクにフッ化ケイ素をインターカレートし約800℃で焼成して得られる膨潤性フッ素マイカが特に好ましい。
また、本発明で使用する平板状顔料は水、あるいは溶剤中で分散された状態での平均粒子径が20nm〜100μmの間にあるものが好適であり、好ましくは0.1μm〜50μm、より好ましくは1μm〜30μmである。平均粒子径が20nm未満であると、アスペクト比が小さくなり防湿性向上効果が小さい。一方100μmを越えると塗工層表面から顔料が突き出し、外観不良や防湿性低下を招き好ましくない。
本発明で用いる平板状顔料の水あるいは溶剤に分散された平均粒子径は、平均粒子径が0.1μm以上のものは光散乱理論を応用したレーザー回折による粒度分布測定装置において測定した値である。また、水あるいは溶剤に分散された平均粒子径が0.1μmのものについは動的光散乱法を用いて測定した値である。
また、本発明で使用する平板状顔料の好ましいアスペクト比は5以上であり、特に好ましくはアスペクト比が10以上である。アスペクト比が5未満のものは曲路効果が小さいために防湿性が低下する。アスペクト比は大きいほど平板状顔料の塗工層中における層数が大きくなるため高い防湿性能を発揮する。平板状顔料の厚みは、防湿膜の断面写真より測定する。厚みが0.1μm以上のものは電子顕微鏡写真より画像解析して求める。厚みが0.1μm未満のものは透過型電子顕微鏡写真より画像解析して求める。本発明でいうアスペクト比は、上記水、又は溶剤に分散された平均粒子径を防湿膜の断面写真より求めた厚さで除したものである。
防湿層における合成樹脂と平板状顔料の配合量は、質量換算で99/1〜30/70が好ましく、より好ましくは93/7〜35/65、特に好ましくは95/5〜40/60である。平板状顔料の配合量が1%未満になると、防湿性向上効果及び離解性向上効果が小さくなる。平板状顔料が70%を越えて大きくなると、平板状顔料の間を埋める樹脂が不足して、空隙やピンホールの増大を招き防湿性が悪化する。
なお、防湿層には、前述の合成樹脂、平板状顔料に加えて、防湿性向上のために含窒素化合物が含まれた方が好ましい。
本発明で使用できる含窒素化合物は、水溶液中でカチオン性を示す化合物であれば特に制限はないが、カチオン化度が0.1〜10meq/gのものが好ましく、0.2〜7meq/gが更に好ましく、0.5〜5meq/gが特に好ましい。カチオン化度が0.1meq/g未満だと、カチオン性が弱く、無機層状化合物への吸着力が弱くなるため防湿性が悪くなり、9meq/gを越えて大きいと、塗料が凝集しやすくなり取扱いが困難となるばかりでなく、防湿性も悪化する。
含窒素化合物を具体的に挙げると、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミド化合物、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、及びポリアミドアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物及びポリアミドアミン化合物、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、アミノ変性アクリルアミド系化合物、ポリビニルアミン、ポリビニルアミンなどがある。また、含窒素化合物は特開平9−291499号公報に記載の含窒素化合物も使用できる。
更に、含窒素化合物としてはイミン化合物やアミン化合物と称せられるものが代表である。これらのうちイミン化合物としてはポリアルキレンイミンが代表であり、ポリエチレンイミン、アルキルあるいはシクロペンチル変性ポリエチレンイミン、エチレン尿素のイミン付加物、ポリ(エチレンイミン−尿素)及びポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、又は、これらのアルキル変性体、アルケニル変性体、ベンジル変性体、もしくは、脂肪族環状炭化水素変性体、ポリアミドイミド、ポリイミドワニス、からなる群より選ばれたポリイミン系化合物がある。
また、アミン化合物としてはポリアルキレンポリアミンがある。例えばポリエチレンポリアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの化合物である。また同様の効果を示すものとしては、ポリアミドのポリエチレンイミド付加物などの化合物などのポリアミド、ヒドラジン化合物、ポリアミンポリアミドのエピクロロヒドリン付加物(炭素数3〜10の飽和二塩基性カルボン酸とポリアルキレンポリアミンとからポリアミドをエピクロルヒドリンと反応させて得られる水溶性で陽イオン性の熱硬化性樹脂)などのポリアミンアミド化合物、4級窒素含有アクリルポリマー、4級窒素含有ベンジルポリマー、ウレタン、カルボン酸アミン塩基を有する化合物、メチロール化メラミン、カチオン性ポリウレタンなどの化合物などの含窒素4級塩化合物がある。また、カチオン変性ポリウレタン樹脂、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、第3級窒素含有アクリル系樹脂等などのカチオン樹脂が挙げられる(カチオン樹脂については特開平8−90898号公報、特開昭63−162275号公報、特開昭62−148292号公報を参照されたい)。更に、尿素、チオ尿素、グアニル尿素、メチル尿素、ジメチル尿素などの尿素化合物やジシアンジアミド誘導体なども本発明の範疇である。
また、含窒素化合物はカチオン性を示すために、平板状顔料のアニオン部分やアニオン性の合成樹脂エマルジョンと混合した時にショック(塗料凝集)を起こすことがある。このようなショックを防止するために塩基性物質を含窒素化合物、平板状顔料の水溶液や合成樹脂エマルジョン中に加えてアルカリ側(pH7〜10が好ましい)に調整した方が好ましい。特に含窒素化合物に塩基性化合物を添加する方法がショック防止の効果が大きい。塩基性物質としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、苛性ソーダ、苛性カリ等を使用することができる。特にアンモニアが防湿性の面で好ましい。
また、本発明者らは、防湿層の変色の原因を調査したところ、防湿層に含まれる合成樹脂(スチレン−ブタジエン系共重合対やアクリル−スチレン系共重合体)が酸素と加熱による酸化によって発生することが判明した。即ち、酸素がきっかけとなりラジカルが発生して、そのラジカルによって、合成樹脂が変質することによって変色が発生すると考えられる。本発明者らはさらに検討を重ね、酸化防止剤を防湿層中に加えることで、酸素やラジカル物質が捕捉されることによって、変色が抑制されることを見出した。
本発明で使用できる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、二酸化チタン等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で、又は必要に応じて適宜混合しても使用することが可能である。なお、酸化防止剤の中でも、フェノール系酸化防止剤の一種であるヒンダードフェノール系酸化防止剤、及び二酸化チタンの変色抑制効果が優れており特に好適である。
リン系酸化防止剤やイオウ系酸化防止剤等の他の酸化防止剤については、本発明のヒンダードフェノール系酸化防止剤や二酸化チタンと併用して使用することが可能である。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤とは、フェノールの水酸基に隣接する位置にアルキル基を有する構造を持つ、フェノール由来の水酸基を有する有機化合物である。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6−第3ブチル−4−メチルフェノール、2−第3ブチル−4−メトキシ−フェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、2,2′−エチリデン−ビス(2,4−第3ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−第3ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル、2,4,6−トリス(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス(4−第3ブチル−2,6−ジメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−第3ブチル)−4′−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート〕メタン、3,9−ビス〔1,1−ジ−メチル−2−{β−(3−第3−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキザスピロ〔5,5〕ウンデカン、4,4′−チオ−ビス(3−メチル−6−第3ブチルフェノール)などがある。
これらの酸化防止剤は合成樹脂に対して0.1〜10質量部添加され使用される。より好適な添加範囲は0.5〜7質量部であり、さらに好適な添加範囲は1〜5質量部である。添加量が0.1質量部未満の場合変色防止効果が不十分となり、添加量が10質量部を超えると変色防止効果が頭打ちになり不経済である。
また、二酸化チタンはアナターゼ型とルチル型がありいずれも本発明の酸化防止剤として使用できる。二酸化チタンの粒子径は5〜300nmが好ましい。
本発明においては、防湿層に、さらに、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物などの光安定剤を添加することによって、耐候性を改善することができる。
紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5′−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−第3オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3′,5′−ジ第3ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−第3ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス(4−第3オクチル−6−ベンゾトリアゾール)フェノール等のベンゾトリアゾール類、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−第3ブチルフェニル−3′−5′−ジ第3ブチル−4′−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3−5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類が挙げられる。
本発明においては、防湿層に、さらに、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物などの光安定剤を添加することによって、耐候性を改善することができる。
紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5′−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−第3オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3′,5′−ジ第3ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−第3ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス(4−第3オクチル−6−ベンゾトリアゾール)フェノール等のベンゾトリアゾール類、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−第3ブチルフェニル−3′−5′−ジ第3ブチル−4′−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3−5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類が挙げられる。
本発明においては、防湿塗料に界面活性剤、有機溶剤を添加することによって、紙基材への浸透による防湿層と紙基材の密着性を向上させ、また防湿層のピンホールの発生を促進させることができる。
界面活性剤の具体例としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型などのノニオン系界面活性剤、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体などの両性界面活性剤があげられる。
また、有機溶剤は一般的に入手できるものならば、何を使用しても良いが、具体例としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、トルエン、ベンゼンなどの芳香族類などがあげられる。
以上で述べた合成樹脂、平板状顔料、酸化防止剤を含有する防湿塗料を調製し、これを紙支持体に塗工して本発明の防湿層を形成する。塗工設備には特に限定はなく、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーター、カーテンコーター等の公知の方式から適宜選択が可能である。特に、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーター等の、塗工表面をスクレイプする形式の塗工設備が、平板状顔料の配向を促し、防湿性を向上させるという点で好ましい。
本発明における防湿層の塗工量は、0.1〜20g/mが好適な範囲である。防湿層塗工量が0.1g/m未満であると、十分な防湿性を得ることができず好ましくない。また塗工量が20g/mを越えると、防湿性が頭打ちとなるため不経済である上、防湿層のピンホールの発生が難しくなる。
また防湿層の割合が大きくなることで古紙としての価値が低下する。
なお、本発明の防湿層を形成する防湿塗料には、必要に応じて、ポリカルボン酸などの分散剤、シリコーン系などの消泡剤、界面活性剤、保水剤、色合い調整剤、平板状顔料以外の顔料(炭酸カルシウム、クレー、カオリン、マイカ)などを添加することが可能である。
また本発明に用いられる紙基材は、パルプを主成分とするものであれば特に制限はないが、一般的に用いられている晒クラフト紙または未晒クラフト紙、又は段ボール用、建材用、白ボ−ル用、チップボ−ル用などに用いられる板紙などが好適である。更に好ましくは、ヤンキ−ドライヤ−などで強制乾燥がなされた片ツヤ紙、又は、カレンダー処理が施されたクラフト紙などである。このように高平滑性を有する紙基材を用いた場合は、防湿層の厚さ方向における平板状顔料の配向性が、塗工面に対し、均一に平行に配列しやすくなるため、防湿性能が格段に向上する。さらに、化粧シートには、通常美粧性を付与するため木目模様等の各種印刷層が設けられているが、平板状顔料が均一に配列することで印刷適性も向上する。
また、本発明において、さらに印刷適性を向上させるために、防湿層を形成後、さらにカレンダー処理を施して、表面平滑性を向上させることができる。
また、防湿塗料の塗工適性や塗工量減少のために、基材と防湿層の間にアンカー層を設けてもよい。
本発明は、耐溶剤性が大幅に改善された防湿化粧シートを得るために、上記防湿紙の防湿層に適度にピンホールを形成させるものである。通常、防湿層にピンホールが存在すると、水蒸気の通過により防湿性を大きく損なうことが懸念されるため、従来の常識では考えられないことであった。
しかし、本発明者らは、本発明の層構成を有する防湿化粧シートにおいて、印刷層と防湿層の界面の接着が、溶剤の浸透で最初にダメージを受けることに着目した。その結果、防湿層表面に適度なピンホールを存在させ、その上に印刷層を設けることにより、印刷インキがピンホールから防湿層に浸透し、その結果防湿層と印刷層の密着性が向上し、耐溶剤性を大幅に改善できることを見出した。
同時に、防湿層に適度なピンホールを有する防湿紙は、単体では防湿性が低いが、印刷層を形成することにより、優れた防湿性を示すようになることを見出した。
なお、上記防湿層に発生したピンホールの個数は、防湿紙の透気度と相関するため、本発明においては、防湿紙の透気度による規定が可能である。
本発明において、前述の紙基材と防湿塗料により得られる防湿紙の透気度は1000〜20000秒の範囲とする。好ましくは2000〜15000秒以下、より好ましくは3000〜12000秒以下、さらに好ましくは5000〜10000秒である。
透気度が1000秒より低いと、防湿化粧シート表面のピンホールの面積が広く、深さが深く、個数も多いため、印刷インキのみではピンホールを埋めきれず、防湿性が悪化する。透気度が20000秒より高いと防湿化粧シート表面のピンホールの個数が少ないため、印刷時にインキの浸透が起こらず、印刷層の耐溶剤性が悪化する。
なお、本発明において、防湿層の透気度が上記範囲となるようにコントロールする手段としては、ブレード塗工やロッド塗工のように塗料を強い剪断圧力で掻き落とすことで塗料を原紙に染み込ませてピンホールを発生させる方法や、サイズプレスやゲートロールのようにロール間のニップ圧力で塗料を原紙に浸透させてピンホールを発生する方法、さらには、塗料の表面張力を下げることで塗料を原紙に浸透させてピンホールを発生する方法が挙げられる。これらの方法の中でもブレード塗工やロッド塗工がピンホールの個数の制御(透気度の制御)のしやすさに優れているために好適である。
印刷層には模様やデザインに応じて適宜顔料入りのインキが用いられる。顔料としては、チタン白、カーボンブラック、群青、弁柄、黄鉛等の無機顔料、キクナドリン、イソインドリノン、フタロシアニンブルー、アニリンブラック等の有機顔料ないしは染料が用いられる。この他、必要に応じて炭酸カルシウム、シリカ(二酸化珪素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、硫酸バリウムのような顔料が併用できる。また、インキに用いられるバインダーとしてはウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、その他の常用のビヒクルが使用できる。また、エポキシ系架橋剤やイソシアネート系の架橋剤を硬化剤として添加することもできる。印刷層を形成するには、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷,シルクスクリーン印刷等のような通常の印刷方式を用いることができる。
印刷層の表面には磨耗、水、化学薬品等の影響から保護するために、透明樹脂からなる保護層を設けても良い。また、防湿層と印刷層の間の接着力を十分なものとするためにアンカー層を設けても良い。ここで保護層に使用する樹脂は、要求される表面物性に応じて選定するが、特に耐磨耗性、耐汚染性を要する場合はウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等からなる電離放射線硬化性樹脂やエポキシポリウレタン、ポリシロキサン等の熱硬化性樹脂が適している。また、アンカー層についても適宜選定すればよいものであり、例えば、塩素化ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、塩酢ビ共重合体樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース等、2液硬化ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
本発明の防湿化粧シートを木質ボードの少なくとも片面に貼合することで、化粧板が得られる。木質ボードとは、木質材料からなる面材であれば特に限定はなく、単板、合板、平行合板、パーティクルボード、さらには、インシュレーションボード、MDF、ハードボード等のファイバーボードが使用可能である。この中でも、湿度の影響によって反りが生じ易いMDFにおいても、本発明の防湿化粧シートを貼合することで、優れた反り防止効果が発揮される。
防湿化粧シートを木質ボードに貼合する場合は接着剤を用いることが好ましい。使用する接着剤には特に制限は無く、要求物性等に応じて従来公知の接着剤から適宜選択使用することができる。例えば具体的には、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂、或いはウレタン樹脂等の硬化性樹脂等を用いることができる。
これらの接着剤は、溶液や分散液、或いは溶融物等任意の形態で木質ボードに塗工することができる。塗工は、ロールコートやスプレーコート等の従来公知の方法で行なうことができる。
以下、本発明を実施例により詳説する。
<実施例1>
水84質量部に、25%アンモニア水(和光純薬製、特級)7部を攪拌しながら添加後、カチオン性樹脂(住友化学製、商標:SPI203、固形分50%、ポリアミンポリアミド樹脂)41質量部を添加し、10分間攪拌した。この水性分散液に無機層状化合物の水分散液(トピー工業製、商標NTO−5、固形分6.0%、合成マイカ、ナトリウム四珪素雲母)460質量部を添加し、10分間攪拌した。さらにSBRラテックス(日本ゼオン製、商標LX407S12、固形分46%)を1000質量部添加し10分間攪拌した。この水性分散液に酸化防止剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤である4,4’−ブチリデンビス(6−ターシャリブチル−3−メチルフェノール)(分子量383、融点205℃以上、川口化学工業製、商標:アンテージW−300)の水分散液(固形分30%、ポリカルボン酸系分散剤を酸化防止剤に対して1質量%添加して、カウレス分散機で30分間分散した液)13質量部を添加し10分間攪拌して防湿塗料を得た。
得られた防湿塗料を、片艶晒クラフト紙(王子特殊紙製、商標:フレックスS−45、坪量45g/m)の艶面に防湿層の塗工量が固形分で4g/mとなるように、表1の条件でブレード塗工した(塗工速度400m/分)のち乾燥させ(乾燥温度140℃)、二段式スーパーカレンダーを2回通過させてカレンダー処理を行い防湿紙を得た。
上記で得た防湿紙の防湿層表面に、溶剤系インキ(大日本インキ製、商標:ユニビアNT)を用い、グラビア印刷機で木目印刷を全面に3g/mで印刷した後、一旦80℃で乾燥させて、さらに40℃条件で24時間静置した。
その上に、2液硬化型アクリルウレタン樹脂(大橋化学工業株式会社製、商標:ウタナール)を6g/m(dry)の厚みに塗布し、80℃で乾燥させて、防湿化粧シートを得た。
Figure 2009274287
<実施例2>
ポリビニルアルコール(クラレ製、商標クラレポバールPVA117、鹸化度98.5%)の水溶液(固形分10%、85℃1時間攪拌して溶解した)53質量部に、水50質量部、25%アンモニア水(和光純薬製、特級)6部を攪拌しながら添加後、カチオン性樹脂(住友化学製、商標:SPI203、固形分50%、ポリアミンポリアミド樹脂)41質量部を添加し、10分間攪拌した。この水性分散液に無機層状化合物の水分散液(トピー工業製、商標NTO−5、固形分6.0%、合成マイカ、ナトリウム四珪素雲母)460質量部を添加し、10分間攪拌した。さらにSBRラテックス(日本ゼオン製、商標LX407S12、固形分46%)を1000質量部添加し10分間攪拌した。この水性分散液に酸化防止剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤である4,4’−ブチリデンビス(6−ターシャリブチル−3−メチルフェノール)(分子量383、融点205℃以上、川口化学工業製、商標:アンテージ W−300)の水分散液(固形分30%、ポリカルボン酸系分散剤を酸化防止剤に対して1質量%添加した。さらに、カウレス分散機で攪拌しながら、ポリアクリル酸系増粘剤(商標ソマレックス530、濃度55%)9質量部を添加し防湿塗料を得た。
得られた防湿塗料を、片艶晒クラフト紙(王子特殊紙製、商標:フレックスS−45、坪量45g/m)の艶面に防湿層の塗工量が固形分で4g/mとなるように、ロッド塗工した(塗工速度400m/分、ロッド回転数50rpm、ロッドの回転方向:逆転)のち乾燥させ(乾燥温度140℃)、二段式スーパーカレンダーを2回通過させてカレンダー処理を行って防湿紙を得た。さらに実施例1と同様に防湿化粧シートを得た。
<実施例3>
水86質量部、25%アンモニア水(和光純薬製、特級)6部を攪拌しながら添加後、カチオン性樹脂(住友化学製、商標:SPI203、固形分50%、ポリアミンポリアミド樹脂)41質量部を添加し、10分間攪拌した。さらに攪拌しながらポリアクリル酸系増粘剤(商標ソマレックス270K、アルカリ増粘型、濃度30%)8質量部を添加しこの水性分散液に無機層状化合物の水分散液(トピー工業製、商標NTO−5、固形分6.0%、合成マイカ、ナトリウム四珪素雲母)460質量部を添加し、10分間攪拌した。さらにSBRラテックス(日本ゼオン製、商標LX407S12、固形分46%)を1000質量部添加し10分間攪拌した。この水性分散液に酸化防止剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤である4,4’−ブチリデンビス(6−ターシャリブチル−3−メチルフェノール)(分子量383、融点205℃以上、川口化学工業製、商標:アンテージ W−300)の水分散液(固形分30%、ポリカルボン酸系分散剤を酸化防止剤に対して1質量%添加した。さらに、カウレス分散機で攪拌しながら、ポリアクリル酸系増粘剤(商標ソマレックス530、濃度55%)9質量部を添加し防湿塗料を得た。前記防湿塗料を使用したこと以外は、実施例2と同様に防湿紙、及び防湿化粧シートを得た。
<実施例4>
防湿層をサイズプレス塗工(塗工速度400m/分)により、紙基材の艶面と更面の両面に対して、防湿層の塗工量を固形分で各3g/mに変更したこと以外は、実施例1と同様に防湿紙、及び防湿化粧シートを得た。
<実施例5>
防湿層の塗工方法をゲートロール塗工(塗工速度500m/分)に塗工したこと以外は、実施例1と同様に防湿紙、及び防湿化粧シートを得た。
<実施例6>
防湿塗料にさらに、界面活性剤(ポリカルボン酸系、日信化学製、商標:オルフィンWE003)を0.5部添加、攪拌しバー塗工した(バーNo.6、塗工速度400m/分)こと以外は、実施例1と同様に防湿紙、及び防湿化粧シートを得た。
<実施例7>
防湿塗料にさらに、界面活性剤(ポリカルボン酸系、日信化学製、商標:オルフィンWE003)を1部添加、攪拌しバー塗工した(バーNo.6、塗工速度400m/分)こと以外は、実施例1と同様に防湿紙、及び防湿化粧シートを得た。
<実施例8>
防湿塗料にさらに、界面活性剤(ポリカルボン酸系、日信化学製、商標:オルフィンWE003)を2部添加、攪拌しバー塗工した(バーNo.6、塗工速度400m/分)こと以外は、実施例1と同様に防湿紙、及び防湿化粧シートを得た。
<実施例9>
イソプルピルアルコール(特級、和光純薬製)1部を添加、攪拌し防湿層をバー塗工した(バーNo.6、塗工速度400m/分)こと以外は、実施例1と同様に防湿紙、及び防湿化粧シートを得た。
<実施例10>
防湿塗料にさらに、水を1680部添加、10分攪拌し、濃度を16%とし、バー塗工した(バーNo.12、塗工速度300m/分)こと以外は、実施例1と同様に防湿紙、及び防湿化粧シートを得た。
<実施例11>
紙基材艶面にバー塗工(バーNo.4、塗工速度500m/分)にて水を3g/m塗布し、未乾燥のまま、防湿層を表2の条件でカーテン塗工したこと以外は、実施例1と同様に防湿紙、及び防湿化粧シートを得た。
Figure 2009274287
<比較例1>
防湿層をバー塗工した(バーNo.6、塗工速度400m/分)こと以外は、実施例1と同様に防湿紙、及び防湿化粧シートを得た。
<比較例2>
防湿層を表2の条件でカーテン塗工したこと以外は、実施例1と同様に防湿紙、及び防湿化粧シートを得た。
<比較例3>
防湿塗料にさらに、界面活性剤(ポリカルボン酸系、日信化学製、商標:オルフィンWE003)を0.1部添加、攪拌しバー塗工した(バーNo.6、塗工速度400m/分)こと以外は、実施例1と同様に防湿紙、及び防湿化粧シートを得た。
<比較例4>
防湿塗料にさらに、界面活性剤(ポリカルボン酸系、日信化学製、商標:オルフィンWE003)を2.5部添加、攪拌し防湿塗料を得たこと以外は、実施例4と同様に防湿紙、及び防湿化粧シートを得た。
<比較例5>
防湿塗料にさらに、界面活性剤(ポリカルボン酸系、日信化学製、商標:オルフィンWE003)を5.0部添加、攪拌し防湿塗料を得たことと、防湿層の塗工量が固形分で1g/mとなるように塗工したこと以外は、実施例4と同様に防湿紙、及び防湿化粧シートを得た。
実施例、比較例で得た防湿紙を以下の方法で評価、結果を表3に示す。
[評価方法]
1.透気度
JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.5−2、紙及び板紙−平滑度及び透気度試験方法−第2部:王研法 2000年版に準拠して、王研式透気度測定器によって、実施例・比較例で得た防湿紙の透気度を測定した。
2.透湿度
JIS−Z−0208(カップ法)B法(40℃90%RH)で、実施例・比較例で得た防湿紙及び防湿化粧シートの塗工面を外側にして透湿度を測定した。(単位:g/m・24hr)
なお、本発明の防湿化粧シートの透湿度の基準としては、300g/m・24hr以下であれば実用性がある。好ましくは、200g/m・24hr以下であり、より好ましくは180g/m・24hr以下、さらに好ましくは、150g/m・24hr以下である。
3.防湿化粧シートの耐溶剤性
実施例・比較例で得た防湿化粧シートの保護層上の1ヶ所にメチルエチルケトン2mlを滴下し、ウェスにて強く30回こする。
防湿層が溶けたり傷ついたりしなければ○、保護層、印刷層、防湿層が半分程度溶けて傷ついた場合は△、保護層、印刷層、防湿層が全て溶けて紙支持体が傷ついた場合を×とした。
4.化粧板の反り評価
木質ボードとしてMDF(一優科学技術製、厚さ2.7mm)を用意し、MDFの片面に、酢酸ビニル樹脂系接着剤を、ロールコート法によって50g/m(固形分基準)塗布した後、実施例・比較例で得た防湿化粧シートの印刷の施していない面を貼り合わせた後、80℃で加熱乾燥した。乾燥後、さらにMDFのもう片面に、同様に防湿化粧シートを貼り合わせた後、80℃で加熱乾燥して木質系化粧板を得た。
得られた木質系化粧板を、表裏のそれぞれの面材に使用して扉を作製し、この扉について、温度・湿度変化に対する耐性テストを行った。反りの発生したものを×とし、発生しなかったものを○とした。
なお、耐性テスト条件は、5℃、湿度70%に保ったA室と、30℃、湿度30%に保ったB室との間に扉を設置し、24時間経過した後に、扉に反りやネジレが発生の有無を目視で評価したところ、実施例では全て反りやネジレは発生していなかった。
尚、対照実験として、前記MDFの両面に、片艶晒クラフト紙(王子特殊紙製、商標:フレックスS−45、坪量45g/m)を貼合して得た化粧板を製造したものを面材として扉を作製し、同様に耐性テストを行なったところ、反りが発生した。
6.防湿塗料の動的表面張力透湿度の測定
Wilhelmy法(プレート法)により、表面張力計(商品名:CVBP−Z、協和界面科学社製)を用いて測定した。
Figure 2009274287

Claims (3)

  1. 紙支持体の少なくとも片面に合成樹脂と平板状顔料を含む防湿層を有する透気度が1000〜20000秒である防湿紙の前記防湿層上に印刷層を形成したことを特徴とする防湿化粧シート。
  2. 防湿層中にヒンダードフェノール系酸化防止剤もしくは二酸化チタンの少なくともいずれかが含まれることを特徴とする請求項1に記載の防湿化粧シート。
  3. 請求項1〜2のいずれかに記載の防湿化粧シートが木質ボードに貼合されていることを特徴とする化粧板。
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