JP2009155780A - 防湿紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 オンマシン塗工時に、防湿層が低塗工量であっても高い防湿性を発現する防湿紙の製造方法を提供する。
【解決手段】 走行する紙支持体に連続的に防湿塗料を塗工し、乾燥させて防湿層を形成させる防湿紙の製造方法において、塗工工程から乾燥工程の間の紙支持体の張力が2〜6N/mであることを特徴とする防湿紙の製造方法。防湿塗料に合成樹脂、無機層状化合物、及び含窒素化合物が含まれる前記防湿紙の製造方法。防湿塗料に合成樹脂、及びワックスエマルジョンが含まれる前記防湿紙の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、古紙として再生可能な防湿紙の製造方法に関する。
従来、上質紙、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、各種の塗工紙などの巻取及び上質紙や塗工紙の平判紙の包装には、製品の吸湿を防ぐために、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系の高分子化合物を紙に塗工、ラミネート又は内部添加した耐湿性、耐水性を有する包装紙をロール状に巻き取った包装紙ロールをそのままの形状で、あるいは望みの大きさにカットして使用している。また、セメント袋、樹脂袋、塩袋、砂糖袋、飼料袋、肥料袋、ゴミ袋などの重袋用原紙では、製袋して袋詰めした後に、中身の吸湿、吸水を防止しながら重量物を搬送するために防湿性と強度が要求され、ポリエチレン、ポリプロピレンなどをクラフト紙にラミネートしたポリオレフィンラミネート紙(以下ポリラミ紙と称す)とクラフト紙を重ねたものが使用されている。さらには段ボール用のライナ原紙に防湿層を形成させたもので段ボールを耐水化、防湿化することも行われているが、このようなライナもポリラミ紙の場合が多い。
しかしながら、これらポリラミ紙は、使用後に古紙として再使用するため回収しても水に十分に離解せず、古紙として再使用できないので問題となっている。また、使用済みポリラミ紙は廃棄するにしても、処分としては焼却や埋め立てによるしかないため環境汚染となる懸念があり多くの問題を抱えており、これらに代わる防湿紙がいくつか提案されている。
例えば、ワックスを含んだホットメルト樹脂塗工あるいはワックスエマルジョン塗工などにより防湿層を形成する技術がある。しかし、ワックスを使用すると古紙として使用した時に再生された紙が滑りすぎるなどの問題があり、ワックスを使用しない防湿紙が求められていた。
ワックスを用いない防湿紙としては、本発明者等が紙支持体上に無機層状化合物と合成樹脂ラテックスと防湿性向上剤からなる塗料を塗工して防湿層を形成した防湿積層体を提案した(特許文献1参照)。この発明においては、それ自体は水蒸気を通さない顔料、例えば白雲母のような無機層状化合物を合成樹脂ラテックスなどの重合体と混合して防湿層を形成させるものである。その防湿メカニズムは、平面的には水蒸気の透過面積が小さくなること、また厚み方向では無機層状化合物が防湿層表面に対して平行に配列して積層するため、防湿層中の水蒸気はこの無機層状化合物を迂回しながら透過することから(曲路効果)、水蒸気の透過距離が長くなり、結果として大幅に防湿性能が向上するものである。
しかしながら、この発明は、塗工量30g/mで透湿度15〜60g/m・24hrの範囲の防湿紙を製造するには非常に有効であるが、塗工量を少なくすると防湿性は低下し、塗工量10g/m以下になると透湿度が60〜200g/m・24hr以上となって、防湿紙としての実用が困難になる。逆に防湿性を向上させるため塗工量を多くすると、防湿紙における防湿層の割合が大きくなり、離解性が悪化し、古紙としての価値も低下するといった問題点がある。
そこで、無機層状化合物の陽イオン交換容量A(meq/100g)と含窒素化合物のカチオン量B(meq/g)、無機層状化合物と含窒素化合物の質量比C/D(無機層状化合物の質量C/含窒素化合物の質量D)が特定の式を満たすことにより、大幅に防湿性を改善した防湿積層体を提案した(特許文献2参照)。この技術では塗工量10g/mという比較的低い塗工量で透湿度が10〜50g/m・24hrが得られる。
しかし、このような防湿紙を工業的に製造する場合は、走行する紙支持体上に連続的に防湿塗料を塗工(オンマシン塗工)することによって防湿層を設けるが、オンマシン塗工で塗工量を10g/m未満の低塗工量で防湿積層体を製造した場合、透湿度が大幅に悪化するといった問題点が発生する。
特開平9−21096号公報 特開2004−027444号公報
本発明の目的は、オンマシン塗工時に、防湿層が低塗工量であっても高い防湿性を発現する防湿紙の製造方法を提供するものである。
本発明の第1は、走行する紙支持体に連続的に防湿塗料を塗工し、乾燥させて防湿層を形成させる防湿紙の製造方法において、塗工工程から乾燥工程の間の紙支持体の張力が2〜6N/mである防湿紙の製造方法である。
本発明の第2は、防湿塗料に合成樹脂、無機層状化合物、及び含窒素化合物が含まれる本発明の第1に記載の防湿紙の製造方法である。
本発明の第3は、防湿塗料に合成樹脂、及びワックスエマルジョンが含まれる本発明の第1に記載の防湿紙の製造方法である。
以下に本発明について詳細に説明する。
防湿紙においては防湿性能を発現させるには均一な塗工層を形成させ必要がある。しかし、紙支持体には、地合いや製造法に起因するムラ(凹凸)やパルプ繊維が部分的に少ないところがあるため、防湿塗料の塗工量を削減させるには限界があった。即ち、基材表面にムラがあると、そのムラを完全に被覆するためにはそのムラの粗さより大きな厚さで防湿塗料を塗工する必要がある。また、パルプ繊維が少ない部分では、防湿塗料が浸透しやすくなりピンホールの原因となる。そのため、防湿塗料は紙支持体の表面性に応じて最低必要塗工量が決まってくる。例えば未晒クラフト紙の場合は、手塗りにおいては6g/m、塗工製造装置の場合は10g/m以上の塗工量が必要であることが、本発明者らの検討により判明した。
本発明者らは、さらなる低塗工量においても優れた防湿性を発現させる方法を得るため、防湿塗料を手塗りする場合と塗工製造装置によるオンマシン塗工では同条件における最低塗工量が大きく異なることに注目した。まず、本発明者らは塗料の紙支持体への浸透が、透湿度の悪化の大きな要因であると推定した。すなわち、防湿塗料が部分的に、あるいは全体的に紙支持体に浸透することで、支持体上の塗工層が薄くなったり、ピンホールが発生するなどして防湿性が損なわれ、特にオンマシン塗工により防湿紙を製造する場合に、防湿塗料の浸透が激しくなると推定した。
そこで本発明者らは、オンマシン塗工における防湿塗料の紙支持体への浸透を抑制する方法を検討した。塗工製造装置において塗料が浸透するのは、塗料が塗工装置により塗工されてから乾燥ゾーンで乾燥するまでの間である。そこで、塗工速度(紙支持体の走行速度)を上げることで塗料の浸透時間を短くして浸透を抑制しようとした。しかし、この方法では、製造された防湿紙の防湿性はほとんど改善されなかった。
次に、塗料を紙支持体に転写(塗工)する部分であるアプリケートロール(ピックアップロール)に注目し、塗料が紙支持体に転写された時に、塗料が紙支持体に浸透しているのではないかと考えた。そこで、塗料転写時の浸透を抑制するために、紙支持体の張力(テンション)を変えて防湿塗料を塗工し、それによって得られた防湿紙の防湿性を比較した。すると、塗工時の紙支持体がある張力以上になると、防湿紙の防湿性が急激に悪化することを見出し、本発明に到った。これは、紙支持体の張力を大きくすると、紙支持体がアプリケートロールに強く押し付けられるため、その圧力で防湿塗料が紙支持体に浸透してしまうのだと考えられる。浸透が大きいと、同じ塗工量で比較すると、ピンホールや塗工欠陥の頻度が大きくなり防湿性が悪化する。例えば、図1のバー塗工の場合では、紙支持体の張力が高すぎると、防湿塗料が転写されるアプリケートロールのところで、塗料が紙支持体に押し込まれ浸透が大きくなり、ピンホールなどの塗工欠陥が発生して防湿紙の透湿度は大幅に悪化する。逆に紙支持体の張力を低くするとピンホールなどの塗工欠陥が大幅に減少し防湿性が良好となる。また、紙支持体の張力が高いと、防湿塗料が塗布されて紙支持体に塗料が浸透すると、張力によって紙支持体が伸びてしまい、紙支持体の伸びに防湿層が追随できずに防湿層にクラックなどの欠陥が発生しやすくなるとも考えられる。
すなわち、本発明は、紙支持体への防湿塗料の塗工において塗工工程(塗工ヘッド)から乾燥工程(ドライヤー出口)に至るまでの紙支持体の張力が2〜6N/m、好ましくは2.5〜5.5N/m、より好ましくは3〜5N/m、に制御する防湿紙の製造方法である。紙支持体の張力が2N/m未満だと紙支持体がばたついたり蛇行したりするため防湿紙の安定した製造ができない。また、紙支持体の張力が6N/mを超えると、特に、10g/m未満の低塗工量時に急激に防湿性が悪化する。
このように、紙支持体への塗料の浸透を、製造工程における紙支持体の張力により制御する方法は今までにないものであって、この方法により、少ない塗工量で高い防湿性能を発現する防湿紙を安定的に製造することが可能になり、不良品発生の確率も低下し、生産コストも大幅に下げる事が可能となった。
なお、実際の操業時には、塗工工程〜乾燥工程の紙支持体の張力は、塗工工程〜乾燥工程間だけでなく、その前後でも近傍であれば近似しているため測定可能である。
本発明の防湿塗料に用いる合成樹脂の単独被膜の防湿性は、厚さ20μm換算で透湿度が800g/m・24hr以下、好ましくは600g/m・24hr以下、より好ましくは400g/m・24hr以下である。具体的な測定方法は、上記耐水性の指標と同様に合成樹脂被膜を形成し、JIS−Z−0208(カップ法)B法(40℃90%RH)で透湿度を測定し、該合成樹脂被膜の厚さを測定し、20μm換算の透湿度を求める。この時、透湿度は厚さに反比例すると仮定する。
防湿層を構成する合成樹脂は、水性エマルジョン(ラテックス、乳化物、マイクロエマルジョン、分散物などもエマルジョンに含まれるとする)、あるいはアルカリ水に溶解させたものが好ましい。水溶性あるいは熱水可溶性(水あるいは熱水に対する溶解度が5%以上)の合成樹脂は防湿性が上述した透湿度よりはるかに大きいため好ましくない。例えばポリビニルアルコール(PVA)は水に対する溶解度が5〜30%の範囲にあるが(溶解度は分子量あるいはケン化度に依存する)、その単独被膜(20μm)の透湿度は上述した条件化で1000g/m・24hrを越えるため、本発明では使用できない。
また、合成樹脂としては、芳香族ビニル系単量体、脂肪族共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体、不飽和脂肪酸系単量体、α−オレフィン系単量体及びその他の共重合可能な単量体の中から1種又は2種以上を乳化重合したものが挙げられる。具体的には、芳香族ビニル系単量体と脂肪族共役ジエン系単量体から乳化重合によって得られるスチレン−ブタジエン系共重合体(SBR)、エチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体と脂肪族共役ジエン系単量体から乳化重合によって得られるメチルメタクリレート−ブタジエン系共重合体(MBR)、芳香族ビニル系単量体とエチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体から乳化重合によって得られるスチレン−アクリル系共重合体、α−オレフィン系単量体と不飽和脂肪酸系単量体の乳化重合から得られるエチレン−アクリル酸系共重合体、1種類あるいは2種類以上のエチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体の乳化重合から得られるアクリルエステル系重合体などが挙げられる。これら共重合体は、他の単量体と共重合させて使用してもかまわない。
次に単量体について詳述する。芳香族ビニル系単量体は合成樹脂に耐水性と適度な硬さを付与させるもので、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレンなどがあり、スチレンが好適に使用される。
脂肪族共役ジエン系単量体は合成樹脂に柔軟性を付与させるもので、具体的には、ブタジエン、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、1,3−ブタジエンが好適に使用される。
エチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体は合成樹脂に耐水性を付与させるとともに、合成樹脂の硬さやガラス転移温度(Tg)、最低造膜温度(MFT)を調整させるもので、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体などが挙げられる。
不飽和脂肪酸単量体は、合成樹脂の成膜性を向上させるとともに、共重合体の水中でのコロイドとしての安定性を高めるもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などの不飽和カルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和多価カルボン酸;イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノブチルエステルなどの、少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル;アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩などの不飽和スルホン酸及びその塩が挙げられる。アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸が好適に使用される。
α−オレフィン系単量体は合成樹脂に耐水性と柔軟性を付与させるもので具体的にはエチレン、プロピレンなどが挙げられる。
上述した単量体と共重合可能な他の単量体は、合成樹脂の耐水性を高めたり、カチオン基を導入して接着性を高めたり、架橋性の官能基を導入して強度を高めたりするもので、具体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル;アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル及びメタクリル酸β−ヒドロキシエチルなどのエチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド及びジアセトンアクリルアミドなどのエチレン性不飽和カルボン酸アミド及びその誘導体; アクリル酸グリシジル及びメタクリル酸グリシジルなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル;アクロレイン及びアリルアルコール等のビニル化合物などが挙げられる。
合成樹脂の水性エマルジョンは、上記した各単量体を用いて公知の乳化重合法により製造することができる。即ち、所望の単量体を混合し、これに乳化剤、重合開始剤等を加えて水系で乳化重合を行えばよく、一括して仕込み重合する方法、各成分を連続供給しながら重合する方法などの各種の方法が適用できる。
乳化重合用の乳化剤としてはアルキル又はアルキルアリル硫酸塩、アルキル又はアルキルアリルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル又はアルキルアリルエーテル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルアンモニウムクロライド等のカチオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル等のノニオン性乳化剤などが例示される。乳化剤の使用量はエマルジョンに対して要求される性質に応じて変わりうるが、一般に重合安定性を向上させる目的やエマルジョンの機械的、化学的安定性を良好にする目的には乳化剤の使用量は多いことが望ましく、乾燥皮膜の耐水性を向上させるためには逆に使用量が少ない方が望ましく、通常は単量体の合計量100質量部に対して0.1〜5質量部程度の範囲内から目的に応じて使用量が決められる。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、t-ブチルハイドロパーオキサイド、アゾビスアミジノプロパン塩酸塩等の水溶性タイプ、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性タイプなどが用いられる。またさらに必要に応じ、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、L-アスコルビン酸、糖類、アミン類などの還元剤を併用したレドックス系も使用することができる。それらの使用量は単量体の合計量100質量部に対して0.01〜3質量部程度とすればよい。重合反応は通常35〜90℃程度で行えばよく、反応時間は通常3〜10時間程度とすればよい。
なお、乳化重合の開始時あるいは終了後に塩基性物質を加えてpHを調整することにより、エマルジョンの重合安定性、凍結安定性、機械的安定性、化学的安定性等を向上させることができる。特に無機層状化合物との配合安定性を得るためには、得られるエマルジョンのpHが5以上となるように調整することが好ましい。無機層状化合物の水分散液は通常アルカリ性(pH7〜11)を示すため、混和性の面から合成樹脂のエマルジョンはアルカリ性(pH7以上)がより好ましい。塩基性物質としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、苛性ソーダ、苛性カリ等を使用することができる。特にアンモニアが防湿性の面で好ましい。
合成樹脂水性分散体の粒子径は一般に100nm〜300nmであるが、粒子径150nm以下、特に60〜100nm程度の小さい粒子径の水性分散体を使用すると成膜性が向上し欠陥の少ない膜ができるため好ましい。
また、合成樹脂としてはポリエステル系樹脂、生分解性樹脂(ポリ乳酸、ポリ酪酸、ポリカプロラクタムなど、また、天然系生分解性樹脂も含まれる)、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂なども使用することができる。
合成樹脂のガラス転移温度(Tg)、最低増膜温度(MFT)、ゲル分率(トルエンに対する不溶分)などには特に制限はないが、Tgは−30℃〜60℃、より好ましくは−20℃〜50℃、更に好ましくは−10℃〜40℃である。MFTは70℃以下、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは50℃以下が好ましい。ゲル分率は20%〜99%が好ましく、より好ましくは30%〜95%、更に好ましくは40%〜90%である。
Tgが−30℃より小さいと防湿面の粘着性が強くブロッキングを生じやすくなり、Tgが60℃を越えて大きくなると成膜性が低下して防湿性が悪くなる。MFTが70℃より大きいと成膜性が低下して防湿性が悪くなる。ゲル分率が20%未満になるとブロッキングを生じやすくなり、また、99%を越えて大きいと成膜性が低下して防湿性が悪くなる。
また、本発明の合成樹脂はエマルジョンあるいはラテックスの形態で使用されるが、合成樹脂のエマルジョンあるいはラテックスはアニオン性のものが好ましい。アニオン性にするためにはカルボン酸やスルホン酸基を有するモノマーを共重合させた合成樹脂を使用することが好ましい。合成樹脂がアニオン性を示すと、無機層状化合物に吸着した含窒素化合物と強い総合作用、含窒素化合物中のアミノ基やアミド基と合成樹脂中のカルボン酸基やスルホン酸基が強いイオン結合あるいは、乾燥過程で脱水反応を起こし共有結合を形成し、耐水性が向上し、その結果防湿性が向上する。
次に、本発明の防湿層に好適に使用できる無機層状化合物としては、第1にはフィロケイ酸塩鉱物が挙げられる。フィロケイ酸塩鉱物に属するものは板状又は薄片状で明瞭な劈開性を有し、雲母族、パイロフィライト、タルク(滑石)、緑泥石、セプテ緑石、蛇紋石、スチルプノメレーン、粘土鉱物などがある。これらの中でも産出される時の粒子が大きく産出量が多い鉱物、例えば雲母族やタルクが好ましい。雲母族には、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母、合成マイカ)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母、カリ四ケイ素雲母、ナトリウム四ケイ素雲母、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライトなどが挙げられる。組成的にタルクに類似する合成雲母などの合成品も本発明の範疇に含むものとする。
また、カオリンのうち、意識的に結晶層を剥離し、平板にしたデラミカオリンなどは、本発明における無機層状化合物として用いることができる。また、無機層状化合物の粒子径は、防湿層の膜厚に対応したものを使用することが好ましい。その場合は、無機層状化合物をボールミル、サンドグラインダー、コボルミル、ジェットミルなどの粉砕機で粉砕分級して所望の粒子径を得た後、本発明に使用するものとする。
本発明に好適に用いられる無機層状化合物の第2としては、グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物等)、カルコゲン化物、ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物、粘土系鉱物、合成マイカ、合成スメクタイト等を挙げることができる。
グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物等)、カルコゲン化物、ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物は、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を有する化合物ないし物質であり、ここで層状構造とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス力等の弱い結合力によって略平行に積み重なった構造をいう。
「カルコゲン化物」とは、IV族(Ti,Zr,Hf)、V族(V,Nb,Ta)及び/又はVI族(Mo,W)元素のジカルコゲン化物であって、式MX(Mは上記元素、Xはカルコゲン(S,Se,Te)を示す。)で表わされるものをいう。
粘土系鉱物は、一般に、シリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした八面体層を有する2層構造を有するタイプと、シリカの四面体層が、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした八面体層を両側から挟んでなる3層構造を有するタイプに分類される。前者の2層構造タイプとしては、カオリナイト族、アンチゴライト族等を挙げることができ、後者の3層構造タイプとしては、層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族等を挙げることができる。
これらの粘土系鉱物としては、スメクタイト族、バーミキュライト族などの粘土鉱物を挙げることができる。より具体的には、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、マーガライト、タルク、バーミキュライト、ザンソフィライト、緑泥石等を挙げることができる。また、白水晴雄著、「粘土鉱物学」、1988年、(株)朝倉書店 などの文献を参照することができる。特にスメクタイトが好ましく、スメクタイトにはモンモリロナイト、ハイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなどを挙げることができる。
粘土性鉱物(天然品)以外にも、合成品、加工処理品(例えばシランカップリング剤の表面処理品)のいずれであってもよく、合成スメクタイトとしては、式Na0.1〜1.0Mg2.4〜2.9Li0.0〜0.6Si3.5〜4.09.0〜10.6(OH及び/又はF)1.5〜2.5で示されるものが挙げられる。合成スメクタイトや合成マイカの製造方法には、水熱反応法(特開平6−345419号公報)、固相反応法、熔融法(特開平5−270815号公報参照)の3つの合成方法がある。
水熱反応法は、珪酸塩、マグネシウム塩、アルカリ金属イオン、アルカリ金属塩、フッ素イオンなど各種原料を含んだ水溶液あるいは水性スラリーをオートクレーブやパイプリアクターの中で100〜400℃の高温、高圧化のもとで反応させ合成させる方法である。水熱反応法では、結晶の成長が遅いため一般に大きな粒子のものが得られなく、一般に粒子径が10〜100nmのものがほとんどである。もちろん、水熱反応においても、低濃度、低温、長時間の条件で合成すれば粒子径が1μm以上の大きな粒子を製造することは可能だが、製造コストが極端に高くなるといった問題がある。
固相反応法はタルクと珪フッ化アルカリと他の原料とともに400℃〜1000℃の範囲で数時間反応させ、合成マイカを製造する方法である。固相反応は原料のタルクの構造を残したまま元素移動を起こしマイカが生成する(トポタキシー)ため、得られる合成マイカの品質が原料のタルク物性やその不純物に依存したり、元素移動を完全にコントロールできないため合成マイカの純度や結晶化度が低いといった問題がある。
熔融法は、無水珪酸、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、珪フッ化カリウム、炭酸カリウム、その他の原料をマイカの熔融点(例えば1500℃)以上で熔融後、徐冷結晶化し、合成マイカや合成スメクタイトを製造する方法である。また、加熱方法の違いにより、外熱式熔融法と内熱式熔融法がある。外熱式熔融法は原料を入れたるつぼを熔融点以上の温度の室に入れて昇温後、熔融点以下の温度の室に移動させて製造する方法であるがるつぼの費用が高いといった問題点がある。内熱式熔融法は黒鉛(炭素)電極や金属電極を備えた容器中で通電により原料を加熱熔融させた後、冷却させる方法であり、熔融合成法においては内熱式熔融法が一般的である。熔融合成法は冷却結晶化した塊を粉砕、分級することにより粒子径をコントロールした合成品を製造することができる。熔融合成法は原料として純度が高い原料を使用することができ、熔融化するため原料が均一に混合できるため、結晶化度が高く、粒子径が大きく、純度の高い合成マイカや合成スメクタイトを製造することができるといった利点がある。
合成無機層状化合物としては、フッ素金雲母(KMgAlSi10F、熔融法又は固相反応法)、カリウム四珪素雲母(KMg2.5Si10、熔融法)、ナトリウム四ケイ素雲母(NaMg2.5Si10、熔融法)、ナトリウムテニオライト(NaMgLiSi10、熔融法)、リチウムテニオライト(LiMgLiSi10、熔融法)などの合成マイカ、ナトリウムヘクトライト(Na0.33Mg2.67Li0.33Si4.010(OH又はF)、水熱反応法又は熔融法)、リチウムヘクトライト(Na0.33Mg2.67Li0.33Si4.010(OH又はF)、水熱反応法又は熔融法)、サポナイト(Na0.33Mg2.67AlSi4.010(OH)、水熱反応法)などの合成スメクタイトが挙げられる。
粘土鉱物の市販品としては、一般にナトリウムベンナイトと呼ばれる天然のベントナイトや、クニピア(天然モンモリロナイト、クニミネ工業製)、スメクトン(水熱反応法合成スメクタイト、クニミネ工業社製)、ビーガム(商標:バンダービルト社製)、ラポナイト(商標:ラポルテ社製)、DMクリーンA、DMA−350、Na−Ts、NTO−5(熔融法、ナトリウム四珪素雲母、商標:トピー工業製)、ベンゲル(商標:豊順洋行社製)、ソマシフME−100(固相反応法合成マイカ、商標:コープケミカル)等を挙げることができ、これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いることもできる。
本発明により好ましいものは、水中で容易に膨潤、壁開及び分散する無機層状化合物である。無機層状化合物の溶媒への「膨潤・へき開」性の程度は、以下の「膨潤・へき開」試験により評価することができる。該無機層状化合物の膨潤性は、下記膨潤性試験において約5mL以上(より好ましくは約20mL以上)の程度であることが好ましい。膨潤性の具体的なものとしては、上記クニピア(膨潤力:65mL/2g以上)、スメクトン(膨潤力:60mL/2g以上)、DMクリーンA、DMA−350、Na−Ts(膨潤力:30mL/2g以上)、ME−100(商標:コープケミカル社製、膨潤力:20mL/2g以上)及びベンゲル(膨潤力:38mL/2g以上)等である。
一方、該無機層状化合物のへき開性は、下記へき開性試験において約5mL以上(より好ましくは約20mL以上)の程度であることが好ましい。これらの場合、溶媒としては、無機層状化合物の密度より小さい密度を有する溶媒を用いる。該溶媒としては、水を用いることが好ましい。
膨潤性試験を詳述する。無機層状化合物2gを溶媒100mLにゆっくり加える(100mLメスシリンダーを容器とする)。静置後、23℃、24hr後の無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から前者(無機層状化合物分散層)の体積を読む。この数値が大きい程、膨潤性が高い。
へき開性試験を詳述する。無機層状化合物30gを溶媒1500mLにゆっくり加え、分散機(浅田鉄工(株)製、デスパーMH−L、羽根径52mm、回転数3100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて周速8.5m/secで90分間分散した後(23℃)、分散液100mLをとりメスシリンダーに入れ60分静置後、上澄みとの界面から、無機層状化合物分散層の体積を読む。
また、本発明で使用するのに好ましい無機層状化合物としては、陽イオン交換容量が100g当り、30〜300meq、より好ましくは50〜250meq、特に好ましくは60〜200meqである。陽イオン交換容量が30meq/100g未満だと含窒素化合物との効果が小さくなり防湿性に優れない。また、300meq/100gを越えて大きいと塗料が凝集しやすくなり好ましくない。一般に、天然及び合成スクメタイトは85〜130meq/100gの陽イオン交換容量を有するものが本発明において特に好ましいものである。
陽イオン交換容量の測定は一般にアルコール洗浄法(Schollenberger法あるいはその改良法、和田光史(1981)粘土科学21,160−163参照)と呼ばれる測定方法で行う。無機層状化合物の粉末0.2〜1.0gあるいは約1〜3%水分散液を約10〜30mlを100ml容量の遠心分離管に採取する。1Nの酢酸アンモニウム(CHCOONH)液(pH7)を加えて約80mlとして、十分に振とうした後、遠心沈降させ上澄みを捨てる(遠沈洗浄)。遠沈洗浄を4回繰り返した後、遠心分離管に残っている余剰の塩を取り除くため80%エタノール水溶液(pH7)で遠沈洗浄を3回行う。次に10%のNaCl水溶液を用いて遠沈洗浄を4回繰り返し、遠心管の上澄み液をすべて集めて抽出液とする。抽出液のNH4を蒸留法で定量し、試料の乾燥質量(100g)当りのミリグラム当量数(meq)を陽イオン交換容量(cation exchange capacity,CEC)の値とする。なお測定は23℃の環境下で行う。また、測定は7点行い、最大値と最小値を除いた5点の平均を測定値とした。
無機層状化合物としては、そのアスペクト比が50〜5000のものが好ましい。アスペクト比(Z)とはZ=L/aなる関係で示されるものであり、Lは無機層状化合物の水中での平均粒子径(レーザー回折法で測定。堀場製作所LA−910.屈折率1.3、体積分布50%のメジアン径)であり、aは無機層状化合物の厚みであり。厚みは、防湿層の断面をSEMやTEMによる写真観察によって求めた値である。平均粒子径は0.1〜100μmが好ましく、とりわけ0.5〜50μmが好ましい。粒子径が0.1μm未満になるとアスペクト比が小さくなる上、防湿層中で防湿面に対して平行に並びにくくなり、防湿効果が不十分になる。粒子径が100μmを越えて大きくなると防湿層から無機層状化合物が突き出てしまい好ましくない。
これら無機層状化合物の中でも、ナトリウム四珪素雲母、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライト、ナトリウムヘクトライト、リチウムヘクトライト、サポナイト、天然スメクタイト(モンモリロナイト)が好ましい。これらの中でも、粒子径、アスペクト比、結晶性の面からから熔融合成法で製造されたナトリウム四珪素雲母(トピー工業製、DMA350)やタルクにフッ化ケイ素をインターカレートし約800℃で焼成して得られる膨潤性フッ素マイカが特に好ましい。
また、本発明で使用する無機層状化合物は水、あるいは溶剤中で分散された状態での平均粒子径が20nm〜100μmの間にあるものが好適であり、好ましくは0.1μm〜50μm、より好ましくは1μm〜30μmである。平均粒子径が20nm未満であると、アスペクト比が小さくなり防湿性向上効果が小さい。一方100μmを越えると塗工層表面から顔料が突き出し、外観不良や防湿性低下を招き好ましくない。
本発明で用いる無機層状化合物の水あるいは溶剤に分散された平均粒子径は、平均粒子径が0.1μm以上のものは光散乱理論を応用したレーザー回折による粒度分布測定装置において測定した値である。また、水あるいは溶剤に分散された平均粒子径が0.1μmのものについは動的光散乱法を用いて測定した値である。
また、本発明で使用する無機層状化合物の好ましいアスペクト比は5以上であり、特に好ましくはアスペクト比が10以上である。アスペクト比が5未満のものは曲路効果が小さいために防湿性が低下する。アスペクト比は大きいほど無機層状化合物の塗工層中における層数が大きくなるため高い防湿性能を発揮する。無機層状化合物の厚みは、防湿膜の断面写真より測定する。厚みが0.1μm以上のものは電子顕微鏡写真より画像解析して求める。厚みが0.1μm未満のものは透過型電子顕微鏡写真より画像解析して求める。本発明でいうアスペクト比は、上記水、又は溶剤に分散された平均粒子径を防湿膜の断面写真より求めた厚さで除したものである。
防湿層における合成樹脂と無機層状化合物の配合量は、質量換算で99/1〜30/70が好ましく、より好ましくは93/7〜35/65、特に好ましくは95/5〜40/60である。無機層状化合物の配合量が1%未満になると、防湿性向上効果及び離解性向上効果が小さくなる。無機層状化合物が70%を越えて大きくなると、無機層状化合物の間を埋める樹脂が不足して、空隙やピンホールの増大を招き防湿性が悪化する。
なお、防湿層には、前述の合成樹脂、無機層状化合物に加えて、防湿性向上のために含窒素化合物が含まれた方が好ましい。
本発明で使用できる含窒素化合物は、水溶液中でカチオン性を示す化合物であれば特に制限はないが、カチオン化度が0.1〜10meq/gのものが好ましく、0.2〜7meq/gが更に好ましく、0.5〜5meq/gが特に好ましい。カチオン化度が0.1meq/g未満だと、カチオン性が弱く、無機層状化合物への吸着力が弱くなるため防湿性が悪くなり、9meq/gを越えて大きいと、塗料が凝集しやすくなり取扱いが困難となるばかりでなく、防湿性も悪化する。
含窒素化合物を具体的に挙げると、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミド化合物、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、及びポリアミドアミンポリ尿素−エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物及びポリアミドアミン化合物、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、アミノ変性アクリルアミド系化合物、ポリビニルアミン、ポリビニルアミンなどがある。また、含窒素化合物は特開平9−291499号公報に記載の含窒素化合物も使用できる。
更に、含窒素化合物としてはイミン化合物やアミン化合物と称せられるものが代表である。これらのうちイミン化合物としてはポリアルキレンイミンが代表であり、ポリエチレンイミン、アルキルあるいはシクロペンチル変性ポリエチレンイミン、エチレン尿素のイミン付加物、ポリ(エチレンイミン−尿素)及びポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、又は、これらのアルキル変性体、アルケニル変性体、ベンジル変性体、もしくは、脂肪族環状炭化水素変性体、ポリアミドイミド、ポリイミドワニス、からなる群より選ばれたポリイミン系化合物がある。
また、アミン化合物としてはポリアルキレンポリアミンがある。例えばポリエチレンポリアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの化合物である。また同様の効果を示すものとしては、ポリアミドのポリエチレンイミド付加物などの化合物などのポリアミド、ヒドラジン化合物、ポリアミンポリアミドのエピクロロヒドリン付加物(炭素数3〜10の飽和二塩基性カルボン酸とポリアルキレンポリアミンとからポリアミドをエピクロルヒドリンと反応させて得られる水溶性で陽イオン性の熱硬化性樹脂)などのポリアミンアミド化合物、4級窒素含有アクリルポリマー、4級窒素含有ベンジルポリマー、ウレタン、カルボン酸アミン塩基を有する化合物、メチロール化メラミン、カチオン性ポリウレタンなどの化合物などの含窒素4級塩化合物がある。また、カチオン変性ポリウレタン樹脂、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、第3級窒素含有アクリル系樹脂等などのカチオン樹脂が挙げられる(カチオン樹脂については特開平8−90898号公報、特開昭63−162275号公報、特開昭62−148292号公報を参照されたい)。更に、尿素、チオ尿素、グアニル尿素、メチル尿素、ジメチル尿素などの尿素化合物やジシアンジアミド誘導体なども本発明の範疇である。
また、含窒素化合物はカチオン性を示すために、無機層状化合物のアニオン部分やアニオン性の合成樹脂エマルジョンと混合した時にショック(塗料凝集)を起こすことがある。このようなショックを防止するために塩基性物質を含窒素化合物、無機層状化合物の水溶液や合成樹脂エマルジョン中に加えてアルカリ側(pH7〜10が好ましい)に調整した方が好ましい。特に含窒素化合物に塩基性化合物を添加する方法がショック防止の効果が大きい。塩基性物質としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、苛性ソーダ、苛性カリ等を使用することができる。特にアンモニアが防湿性の面で好ましい。
以下、防湿塗料が、合成樹脂とワックスを含む場合について説明する。
合成樹脂とワックスを含む防湿層に使用できる合成樹脂は、前記、無機層状化合物と合成樹脂を含む防湿層で使用できる合成樹脂と同じものが使用できる。例えば、芳香族ビニル系単量体、脂肪族共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体、不飽和脂肪酸系単量体、α−オレフィン系単量体及びその他の共重合可能な単量体の中から1種又は2種以上を乳化重合したものが好適に用いられる。
より具体的には、芳香族ビニル系単量体と脂肪族共役ジエン系単量体から乳化重合によって得られるスチレン−ブタジエン系共重合体(SBR)、エチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体と脂肪族共役ジエン系単量体から乳化重合によって得られるメチルメタクリレート−ブタジエン系共重合体(MBR)、芳香族ビニル系単量体とエチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体から乳化重合によって得られるスチレン−アクリル系共重合体、α−オレフィン系単量体と不飽和脂肪酸系単量体の乳化重合から得られるエチレン−アクリル酸系共重合体、1種類あるいは2種類以上のエチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体の乳化重合から得られるアクリルエステル系重合体などが挙げられる。これら共重合体は他の単量体と共重合させて使用してもかまわない。
また、ワックスとしては、天然系ワックスと合成系ワックスのいずれのワックスを選択してもよく、天然系ワックスには、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックスなどがあり、また合成系ワックスには、低分子量ポリエチレンワックスなどがある。これらのワックスのうちから単独、もしくは必要に応じて適宜混合して使用することも可能である。ワックスの融点は40〜120℃が好ましい。融点が40℃以下だとワックスが防湿層表面でワックス層を形成できずに防湿性が悪化する。また、融点が120℃以上の場合、紙製造時の乾燥温度を高くする必要があったり、生産スピードが遅くなったりと生産性が非常に悪くなり好ましくない。また、ワックスの中でも防湿性に優れるパラフィンワックスが好ましい。ワックスの含有量は、合成樹脂100質量部(固形分換算)に対して、0.5〜50質量部(固形分換算)である。ワックスの含有量が0.5質量部以下だと防湿性が悪くなり、50部以上になると極端に滑りやすくなったり、折り曲げ部分の防湿性が悪くなり好ましくない。より好ましくは合成樹脂100質量部(固形分換算)に対して、ワックス1〜10質量部(固形分換算)である。
また、ワックスと合成樹脂を含む防湿塗料において、必要に応じて顔料を配合しても良い。顔料としては、特に制約はなく、無機または有機の顔料が適宜使用できる。例えばマグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、チタン、アルミニウム、アンチモン、鉛等の各種金属酸化物、水酸化物、硫化物、炭酸塩、硫酸塩または珪酸塩化合物やポリスチレン、ポリチレン、ポリ塩化ビニル等の固体高分子微粉末等が挙げられる。具体的には炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、水酸化アルミニウムシリカ、石膏、バライト粉、アルミナホワイト、サチンホワイト等無機顔料が挙げられる。
本発明で製造する防湿紙の防湿層の塗工量は、任意に決定することが可能であるが、0.1〜20g/m、好ましくは0.5〜15g/m、より好ましくは3.0〜12.0g/mが好適な範囲である。防湿層の塗工量が0.1g/m未満であると、十分な防湿性を得ることができず好ましくない。また塗工量が20g/mを越えると、防湿性が頭打ちとなるため不経済であり、また防湿層の割合が大きくなることで古紙としての価値が低下する。
また、前述の通り、本発明の防湿紙の製造方法は、塗工量が10g/m未満の防湿紙を製造する際に特に有効である。
なお、本発明の防湿層を形成する防湿塗料には、必要に応じて、ポリカルボン酸などの分散剤、シリコーン系などの消泡剤、保水剤、色合い調整剤、無機層状化合物以外の顔料(炭酸カルシウム、クレー、カオリン、マイカ)などを添加することが可能である。
また本発明に用いられる紙支持体は、パルプを主成分とするものであれば特に制限はないが、一般的に用いられている晒クラフト紙または未晒クラフト紙、又は段ボール用、建材用、白ボ−ル用、チップボ−ル用などに用いられる板紙などが好適である。更に好ましくは、ヤンキ−ドライヤーなどで強制乾燥がなされた片ツヤ紙、又は、カレンダー処理が施されたクラフト紙などである。
以下、本発明を実施例により詳説する。
<防湿塗料A>
水36部に25%アンモニア水溶液を0.40部加え攪拌し、含窒素化合物として変性ポリアミド系樹脂(カチオン化度2.5meq/g、pH7.2、固形分50%、商標:SPI203(50)、住友化学製)4.5部を攪拌しながら加えた。
更に、攪拌しながら合成樹脂としてSBRラテックス(固形分50%、スチレン単量体47部、ブタジエン単量体38部、メタクリル酸15部、ガラス転移温度15℃、ゲル分率80%、粒子径80nm、pH7.0、商標HOJ4097、日本ゼオン製)100部を加え攪拌した。
これに無機層状化合物として膨潤性合成マイカ(ナトリウム四ケイ素雲母、NaMg2.5Si10、粒子径6.3μm、陽イオン交換容量100meq/100g、6%水分散液、商標:NTO−5、トピー工業製)50部を攪拌しながら添加して、防湿塗料A(固形分32%)を得た。
<防湿塗料B>
水61部にカルボン酸変性SBRラテックス(固形分50%、スチレン単量体47部、ブタジエン単量体38部、メタクリル酸15部、ガラス転移温度15℃、ゲル分率80%、粒子径80nm、pH7.0、商標HOJ4097、日本ゼオン製)100部)100部と、ワックスエマルジョン(固形分46%、サンノプコ(株)製、マイクロクリスタリンワックス、融点77℃、商標ノプコ1245―M―SN、サンノプコ(株)製)5量部とを混合し、防湿塗料B(固形分32%)を得た。
<実施例1>
紙幅500mmの未晒クラフト紙(坪量70g/m、厚さ100μm)の片面に、防湿塗料Aをウェット塗工量18.8g/m(固形分塗工量6.0g/m)で、図1に記載の塗工装置により塗工速度100m/分でオンマシン塗工し、160℃で乾燥させて防湿紙を得た。
また、塗工時の紙支持体の張力は3.0N/mとした。
<実施例2>
防湿塗料Aの代りに防湿塗料Bを用いた事以外は、実施例1と同様にして防湿紙を得た。
<実施例3>
紙支持体の張力を2.5N/mとした事以外は、実施例1と同様にして防湿紙を得た。
<実施例4>
紙支持体の張力を3.0N/mとした事以外は、実施例1と同様にして防湿紙を得た。
<実施例5>
紙支持体の張力を5.0N/mとした事以外は、実施例1と同様にして防湿紙を得た。
<実施例6>
紙支持体の張力を5.5N/mとした事以外は、実施例1と同様にして防湿紙を得た。
<実施例7>
紙支持体の張力を6.0N/mとした事以外は、実施例1と同様にして防湿紙を得た。
<比較例1>
紙支持体の張力を7.0N/mとした事以外は、実施例1と同様にして防湿紙を得た。
<比較例2>
防湿塗料Aの代りに防湿塗料Bを用い、紙支持体の張力を7.0N/mとした事以外は、実施例1と同様にして防湿紙を得た。
<比較例3>
紙支持体の張力を1.5N/mとした事以外は、実施例1と同様にして防湿紙を得ようとしたが、塗工時にしわが発生したため、ワインダーに巻き取る事ができず防湿紙を得る事ができなかった。
<試験方法>
1)透湿度の測定
JIS−Z−0208(カップ法)B法(40℃90%RH)に準じて、防湿紙の塗工面が上側にくるように測定した。
なお、透湿度の基準としては、100g/m・24hr以下であれば防湿紙として実用性がある。好ましくは、60g/m・24hr以下であり、さらに好ましくは、45g/m・24hr以下である。
2)コーター張力の測定
コーター張力は、本質安全防爆型張力検出器(三菱電機(株)製)を用いて、計測した。
Figure 2009155780
本発明で使用するオンマシン塗工による防湿紙の製造装置の模式図である。

Claims (3)

  1. 走行する紙支持体に連続的に防湿塗料を塗工し、乾燥させて防湿層を形成させる防湿紙の製造方法において、塗工工程から乾燥工程の間の紙支持体の張力が2〜6N/mであることを特徴とする防湿紙の製造方法。
  2. 防湿塗料に合成樹脂、無機層状化合物、及び含窒素化合物が含まれることを特徴とする請求項1に記載の防湿紙の製造方法。
  3. 防湿塗料に合成樹脂、及びワックスエマルジョンが含まれることを特徴とする請求項1に記載の防湿紙の製造方法。
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