JP2003197416A - 圧粉磁心の製造方法、その方法で製造された圧粉磁心 - Google Patents
圧粉磁心の製造方法、その方法で製造された圧粉磁心Info
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- JP2003197416A JP2003197416A JP2001395005A JP2001395005A JP2003197416A JP 2003197416 A JP2003197416 A JP 2003197416A JP 2001395005 A JP2001395005 A JP 2001395005A JP 2001395005 A JP2001395005 A JP 2001395005A JP 2003197416 A JP2003197416 A JP 2003197416A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 低コアロスの圧粉磁心とその製造方法を提供
する。 【解決手段】 重量平均粒径が50μm以下である軟磁
性粉末を出発原料とし、その出発原料100質量部に対
し、リン酸またはリン酸を必須成分として含む溶質成分
の濃度が0.5〜50質量%である水溶液1〜10質量
部を混合して、軟磁性粉末の表面が絶縁皮膜で被覆され
た粉末にする工程;得られた粉末において、出発原料1
00質量部に相当する質量部の粉末に対し、溶質成分の
濃度が1〜50質量%である水ガラスを、前記溶質成分
の換算量として0.25〜5質量部混合する工程;およ
び得られた混合物を圧縮成形する工程;を備えている圧
粉磁心の製造方法。
する。 【解決手段】 重量平均粒径が50μm以下である軟磁
性粉末を出発原料とし、その出発原料100質量部に対
し、リン酸またはリン酸を必須成分として含む溶質成分
の濃度が0.5〜50質量%である水溶液1〜10質量
部を混合して、軟磁性粉末の表面が絶縁皮膜で被覆され
た粉末にする工程;得られた粉末において、出発原料1
00質量部に相当する質量部の粉末に対し、溶質成分の
濃度が1〜50質量%である水ガラスを、前記溶質成分
の換算量として0.25〜5質量部混合する工程;およ
び得られた混合物を圧縮成形する工程;を備えている圧
粉磁心の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧粉磁心の製造方
法とその方法で製造された低コアロスの圧粉磁心に関す
る。
法とその方法で製造された低コアロスの圧粉磁心に関す
る。
【0002】
【従来の技術】圧粉磁心は、対象製品が小型・複雑な形
状であっても高い歩留まりで製造することができ、現
在、OA機器や自動車部品などの制御用スイッチング電
源やDC−DCコンバータのチョークコイルとして多用
されている。また、ノイズフィルタ,バッテリ充電用ト
ランスなどのコアとしても用いられている。
状であっても高い歩留まりで製造することができ、現
在、OA機器や自動車部品などの制御用スイッチング電
源やDC−DCコンバータのチョークコイルとして多用
されている。また、ノイズフィルタ,バッテリ充電用ト
ランスなどのコアとしても用いられている。
【0003】この圧粉磁心は、概ね、次のようにして製
造されている。まず、所定組成の軟磁性合金に対し、機
械粉砕法や、アトマイズ法などを適用して、所望する形
状と粒度の軟磁性粉末を製造する。ついで、この軟磁性
粉末に所定量の絶縁材料とバインダ成分を均一に混合し
て軟磁性粉末の表面を被覆する絶縁皮膜を形成する。
造されている。まず、所定組成の軟磁性合金に対し、機
械粉砕法や、アトマイズ法などを適用して、所望する形
状と粒度の軟磁性粉末を製造する。ついで、この軟磁性
粉末に所定量の絶縁材料とバインダ成分を均一に混合し
て軟磁性粉末の表面を被覆する絶縁皮膜を形成する。
【0004】ついで、得られた混合物を所定形状の金型
に充填したのち所定の圧力で例えばプレス成形して圧粉
磁心のグリーンを成形する。そして最後に、上記グリー
ンに所定温度の熱処理を施して、成形時に蓄積された成
形歪みを解放し、目的とする圧粉磁心にする。
に充填したのち所定の圧力で例えばプレス成形して圧粉
磁心のグリーンを成形する。そして最後に、上記グリー
ンに所定温度の熱処理を施して、成形時に蓄積された成
形歪みを解放し、目的とする圧粉磁心にする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、圧粉磁心に
対しては、最近、低コアロス化への要求が非常に強くな
っている。この低コアロス化を実現するためには、圧粉
磁心のヒステリシス損と渦電流損を低下せしめることが
必要である。その場合、最近の圧粉磁心は高周波下で使
用されることが多くなっていることを考えると、圧粉磁
心の渦電流損を低下させることが当該圧粉磁心の低コア
ロス化にとって有効である。
対しては、最近、低コアロス化への要求が非常に強くな
っている。この低コアロス化を実現するためには、圧粉
磁心のヒステリシス損と渦電流損を低下せしめることが
必要である。その場合、最近の圧粉磁心は高周波下で使
用されることが多くなっていることを考えると、圧粉磁
心の渦電流損を低下させることが当該圧粉磁心の低コア
ロス化にとって有効である。
【0006】そして、用いる軟磁性粉末を微細化するこ
とが、渦電流損の低下、ひいては低コアロスを実現する
ための有効な1手段であることが知られている。しかし
ながら、微細な軟磁性粉末に前記した絶縁材料とバイン
ダ成分を混合して撹拌すると、粉末の凝集が起こり、い
わゆる“ダマ”が生成して、個々の軟磁性粉末の表面が
絶縁皮膜で被覆されないという問題が発生する。これ
は、あたかも大きな粒径の軟磁性粉末を用いた場合と同
様の状態となるため、微細な軟磁性粉末を用いたにもか
かわらず、得られた圧粉磁心の低コアロス化は実現しな
いことになる。
とが、渦電流損の低下、ひいては低コアロスを実現する
ための有効な1手段であることが知られている。しかし
ながら、微細な軟磁性粉末に前記した絶縁材料とバイン
ダ成分を混合して撹拌すると、粉末の凝集が起こり、い
わゆる“ダマ”が生成して、個々の軟磁性粉末の表面が
絶縁皮膜で被覆されないという問題が発生する。これ
は、あたかも大きな粒径の軟磁性粉末を用いた場合と同
様の状態となるため、微細な軟磁性粉末を用いたにもか
かわらず、得られた圧粉磁心の低コアロス化は実現しな
いことになる。
【0007】したがって、低コアロス化を実現するため
に微細な軟磁性粉末を用いた場合には、上記した“ダ
マ”の生成を防止して、個々の粉末に、その表面を被覆
する絶縁皮膜を形成することが必要となる。また、圧粉
磁心の使用環境は高温である場合が多い。そのため、室
温下ではコアロスが低い圧粉磁心であっても、高温環境
下で使用しているうちにコアロスが増大し、その結果、
熱暴走することもある。
に微細な軟磁性粉末を用いた場合には、上記した“ダ
マ”の生成を防止して、個々の粉末に、その表面を被覆
する絶縁皮膜を形成することが必要となる。また、圧粉
磁心の使用環境は高温である場合が多い。そのため、室
温下ではコアロスが低い圧粉磁心であっても、高温環境
下で使用しているうちにコアロスが増大し、その結果、
熱暴走することもある。
【0008】したがって、圧粉磁心の低コアロス化とい
う要求には、室温下で低コアロス化を実現していること
は当然のこととし、更に高温下、例えば80〜100℃
の温度環境下にあっても低コアロスであるという要求も
含まれている。本発明は、上記した問題を解決すること
ができる圧粉磁心の製造方法とその方法で製造された低
コアロスの圧粉磁心の提供を目的とする。
う要求には、室温下で低コアロス化を実現していること
は当然のこととし、更に高温下、例えば80〜100℃
の温度環境下にあっても低コアロスであるという要求も
含まれている。本発明は、上記した問題を解決すること
ができる圧粉磁心の製造方法とその方法で製造された低
コアロスの圧粉磁心の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、重量平均粒径が50μm以
下である軟磁性粉末を出発原料とし、前記出発原料10
0質量部に対し、リン酸またはリン酸を必須成分として
含む溶質成分の濃度が0.5〜50質量%である水溶液
1〜10質量部を混合して、前記軟磁性粉末の表面が絶
縁皮膜で被覆された粉末にする工程(以下、第1工程と
いう);得られた粉末において、前記出発原料100質
量部に相当する質量部の前記粉末に対し、溶質成分の濃
度が1〜50質量%である水ガラスを、前記溶質成分の
換算量として0.25〜5質量部混合する工程(以下、
第2工程という);および得られた混合物を圧縮成形す
る工程(以下、第3工程という);を備えていることを
特徴とする圧粉磁心の製造方法が提供される。
ために、本発明においては、重量平均粒径が50μm以
下である軟磁性粉末を出発原料とし、前記出発原料10
0質量部に対し、リン酸またはリン酸を必須成分として
含む溶質成分の濃度が0.5〜50質量%である水溶液
1〜10質量部を混合して、前記軟磁性粉末の表面が絶
縁皮膜で被覆された粉末にする工程(以下、第1工程と
いう);得られた粉末において、前記出発原料100質
量部に相当する質量部の前記粉末に対し、溶質成分の濃
度が1〜50質量%である水ガラスを、前記溶質成分の
換算量として0.25〜5質量部混合する工程(以下、
第2工程という);および得られた混合物を圧縮成形す
る工程(以下、第3工程という);を備えていることを
特徴とする圧粉磁心の製造方法が提供される。
【0010】また、本発明においては、重量平均粒径が
50μm以下であり、かつその表面がリン酸化合物から
なる絶縁皮膜で被覆されている軟磁性粉末と、水ガラス
との圧縮成形体であることを特徴とする圧粉磁心が提供
される。
50μm以下であり、かつその表面がリン酸化合物から
なる絶縁皮膜で被覆されている軟磁性粉末と、水ガラス
との圧縮成形体であることを特徴とする圧粉磁心が提供
される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明においては、最初に、第1
工程で軟磁性粉末の表面を被覆する絶縁皮膜が形成され
る。まず、本発明においては、出発原料である軟磁性粉
末として、重量平均粒径が50μm以下のものが用いら
れる。ここで、重量平均粒径とは、ある量の粉末につ
き、粒径の小さい粒子から順番に積算していき、累積重
量が全体重量の1/2になったときの粒子径で定義され
る。
工程で軟磁性粉末の表面を被覆する絶縁皮膜が形成され
る。まず、本発明においては、出発原料である軟磁性粉
末として、重量平均粒径が50μm以下のものが用いら
れる。ここで、重量平均粒径とは、ある量の粉末につ
き、粒径の小さい粒子から順番に積算していき、累積重
量が全体重量の1/2になったときの粒子径で定義され
る。
【0012】この重量平均粒径が50μmより大きい粉
末を用いると、仮に後述する製造条件を適正に選択して
も、製造した圧粉磁心のコアロスを低くすることが困難
になる。軟磁性粉末は、微粉であればあるほど、圧粉磁
心の低コアロス化にとって有効である。あまり粒径が微
細な粉末を用いると、粉末の粒内または表面の酸素含有
量が多くなるため、逆に低コアロス化を阻害する。
末を用いると、仮に後述する製造条件を適正に選択して
も、製造した圧粉磁心のコアロスを低くすることが困難
になる。軟磁性粉末は、微粉であればあるほど、圧粉磁
心の低コアロス化にとって有効である。あまり粒径が微
細な粉末を用いると、粉末の粒内または表面の酸素含有
量が多くなるため、逆に低コアロス化を阻害する。
【0013】このようなことから、軟磁性粉末は、その
重量平均粒径が5〜40μmの範囲内にあるものを好適
とする。この軟磁性粉末は、合金塊を機械粉砕して製造
することもできるが、アトマイズ法で製造する方が高い
歩留まりで所望する粒径の粉末を製造することができる
ので好適である。
重量平均粒径が5〜40μmの範囲内にあるものを好適
とする。この軟磁性粉末は、合金塊を機械粉砕して製造
することもできるが、アトマイズ法で製造する方が高い
歩留まりで所望する粒径の粉末を製造することができる
ので好適である。
【0014】軟磁性粉末としては、その組成がSi:7
〜11質量%,Al:4〜8質量%,残部はFeと不可
避的不純物から成る軟磁性合金の粉末が用いられる。S
iやAl成分が上記した範囲より外れた組成の軟磁性粉
末の場合、それを用いて製造した圧粉磁心のコアロスが
大きくなるからである。なお、圧粉磁心として高温環境
下で使用する圧粉磁心を製造目的とする場合には、組成
が、Fe−(8〜9)%Si−(5〜8)%Alまたは
Fe−(8〜9.5)%Si−(6〜8)%Alである
軟磁性合金の粉末を用いることが好ましい。 代表的な
組成であるFe−9.5%Si−5.5%Al付近の組成
の場合、室温では、磁歪定数:λ=0,結晶磁気異方性
定数:κ=0であり、室温でのコアロスは低い。
〜11質量%,Al:4〜8質量%,残部はFeと不可
避的不純物から成る軟磁性合金の粉末が用いられる。S
iやAl成分が上記した範囲より外れた組成の軟磁性粉
末の場合、それを用いて製造した圧粉磁心のコアロスが
大きくなるからである。なお、圧粉磁心として高温環境
下で使用する圧粉磁心を製造目的とする場合には、組成
が、Fe−(8〜9)%Si−(5〜8)%Alまたは
Fe−(8〜9.5)%Si−(6〜8)%Alである
軟磁性合金の粉末を用いることが好ましい。 代表的な
組成であるFe−9.5%Si−5.5%Al付近の組成
の場合、室温では、磁歪定数:λ=0,結晶磁気異方性
定数:κ=0であり、室温でのコアロスは低い。
【0015】しかしながら、温度が上昇すると、λ=
0,κ=0を実現する成分組成が変化し、Fe−9.5
%Si−5.5%Al付近の組成ではコアロスが増大す
る。そのため、高温下においては、この組成付近の使用
は好ましくない。第1工程では、上記したような軟磁性
粉末と、次のような水溶液が混合される。
0,κ=0を実現する成分組成が変化し、Fe−9.5
%Si−5.5%Al付近の組成ではコアロスが増大す
る。そのため、高温下においては、この組成付近の使用
は好ましくない。第1工程では、上記したような軟磁性
粉末と、次のような水溶液が混合される。
【0016】すなわち、その水溶液としては、溶質成分
がリン酸単独である水溶液、または、溶質成分としてリ
ン酸の外に更にホウ酸,リン酸の金属塩,ホウ酸の金属
塩の群から選ばれる少なくとも1種を含んでいる水溶液
が使用される。軟磁性粉末と上記水溶液との混合時に、
水溶液中のリン酸(またはリン酸の金属塩)は、軟磁性
粉末の金属成分と強固に結合することにより、乾燥後に
あって、軟磁性粉末の表面を被覆する薄い絶縁皮膜が形
成される。したがって、得られた粉末の質量は、工程開
始時に使用した軟磁性粉末の質量よりも形成された絶縁
皮膜の質量に相当する分だけ増大している。
がリン酸単独である水溶液、または、溶質成分としてリ
ン酸の外に更にホウ酸,リン酸の金属塩,ホウ酸の金属
塩の群から選ばれる少なくとも1種を含んでいる水溶液
が使用される。軟磁性粉末と上記水溶液との混合時に、
水溶液中のリン酸(またはリン酸の金属塩)は、軟磁性
粉末の金属成分と強固に結合することにより、乾燥後に
あって、軟磁性粉末の表面を被覆する薄い絶縁皮膜が形
成される。したがって、得られた粉末の質量は、工程開
始時に使用した軟磁性粉末の質量よりも形成された絶縁
皮膜の質量に相当する分だけ増大している。
【0017】そして、ホウ酸やホウ酸の金属塩は、軟磁
性粉末の表面に存在する上記した絶縁皮膜や後述する水
ガラスの系を安定化する働きをするものと考えられる。
なお、上記した金属塩を構成する金属としては、例え
ば、Na,Mg,Al,Si,K,Ca,Mn,Zn,
Cd,Co,Feなどをあげることができる。水溶液と
しては、その溶質成分の濃度が0.5〜50質量%であ
るものが用いられる。この濃度が0.5質量%より薄い
ものは、上記した絶縁皮膜の充分な形成が達成されず、
また50質量%より濃くすると、軟磁性粉末と上記リン
酸が過剰に反応して反応生成物が多くなるため、透磁率
の低下とヒステリシス損の増大を招く。いずれの場合で
あっても、製造した圧粉磁心の低コアロス化の実現が困
難になるからである。
性粉末の表面に存在する上記した絶縁皮膜や後述する水
ガラスの系を安定化する働きをするものと考えられる。
なお、上記した金属塩を構成する金属としては、例え
ば、Na,Mg,Al,Si,K,Ca,Mn,Zn,
Cd,Co,Feなどをあげることができる。水溶液と
しては、その溶質成分の濃度が0.5〜50質量%であ
るものが用いられる。この濃度が0.5質量%より薄い
ものは、上記した絶縁皮膜の充分な形成が達成されず、
また50質量%より濃くすると、軟磁性粉末と上記リン
酸が過剰に反応して反応生成物が多くなるため、透磁率
の低下とヒステリシス損の増大を招く。いずれの場合で
あっても、製造した圧粉磁心の低コアロス化の実現が困
難になるからである。
【0018】また、この水溶液の使用量は、混合対象の
軟磁性粉末100質量部に対し、1〜10質量部に設定
される。この使用量が1質量部より少ない場合は、軟磁
性粉末の全体につき、個々の粉末の表面を被覆して絶縁
皮膜を形成する量として不充分であり、また10質量部
より多くすると、軟磁性粉末の相対量が減少するので、
製造した圧粉磁心の初透磁率は小さくなり、またコアロ
スは増大する。
軟磁性粉末100質量部に対し、1〜10質量部に設定
される。この使用量が1質量部より少ない場合は、軟磁
性粉末の全体につき、個々の粉末の表面を被覆して絶縁
皮膜を形成する量として不充分であり、また10質量部
より多くすると、軟磁性粉末の相対量が減少するので、
製造した圧粉磁心の初透磁率は小さくなり、またコアロ
スは増大する。
【0019】第1工程の処理を受けた軟磁性粉末は、次
に、第2工程で水ガラスと混合される。この水ガラス
は、主として軟磁性粉末を相互に結着するバインダ成分
として機能するが、同時に各粉末間の絶縁をとるための
成分としても機能する。水ガラスとしては、溶質成分で
あるNa2O・nH2Oの濃度が1〜50質量%であるも
のを用いる。この溶質成分の濃度が1質量%より薄いも
のは、粉末相互に対する結着能が小さくなり、グリーン
成形に難が生ずるとともにコアロスは増大し、また50
質量%より濃いものは、全体として粘稠となり、混合時
に軟磁性粉末の凝集を引き起こす。好ましい溶質成分の
濃度は4〜20質量%である。
に、第2工程で水ガラスと混合される。この水ガラス
は、主として軟磁性粉末を相互に結着するバインダ成分
として機能するが、同時に各粉末間の絶縁をとるための
成分としても機能する。水ガラスとしては、溶質成分で
あるNa2O・nH2Oの濃度が1〜50質量%であるも
のを用いる。この溶質成分の濃度が1質量%より薄いも
のは、粉末相互に対する結着能が小さくなり、グリーン
成形に難が生ずるとともにコアロスは増大し、また50
質量%より濃いものは、全体として粘稠となり、混合時
に軟磁性粉末の凝集を引き起こす。好ましい溶質成分の
濃度は4〜20質量%である。
【0020】また、この水ガラスの使用量は、第1工程
で得られ、出発原料としての使用量に比べて絶縁皮膜の
分だけ増大している粉末において、前記出発原料(軟磁
性粉末)100質量部に相当する質量部に対し、0.2
5〜5質量部に設定される。この使用量が0.25質量
部よりも少ない場合はグリーンの成形が困難となり、逆
に5質量部より多くすると、粉末相互の結着能は高まる
ものの、他方では得られる圧粉磁心の初透磁率の低下が
もたらされる。
で得られ、出発原料としての使用量に比べて絶縁皮膜の
分だけ増大している粉末において、前記出発原料(軟磁
性粉末)100質量部に相当する質量部に対し、0.2
5〜5質量部に設定される。この使用量が0.25質量
部よりも少ない場合はグリーンの成形が困難となり、逆
に5質量部より多くすると、粉末相互の結着能は高まる
ものの、他方では得られる圧粉磁心の初透磁率の低下が
もたらされる。
【0021】第3工程は、第2工程で得られた混合物を
圧縮成形、例えばプレス成形して所定形状のグリーンを
成形する工程である。このときの加圧力が小さすぎる
と、圧粉磁心の密度は低くなって透磁率の低下や磁束密
度の低下などを招いて磁気特性に難が生じ、また加圧力
が高すぎると、粉末表面に既に形成されている絶縁皮膜
の破壊が起こるようになる。このようなことを勘案し
て、成形時の加圧力は1000〜2000MPa程度にす
ることが好ましい。
圧縮成形、例えばプレス成形して所定形状のグリーンを
成形する工程である。このときの加圧力が小さすぎる
と、圧粉磁心の密度は低くなって透磁率の低下や磁束密
度の低下などを招いて磁気特性に難が生じ、また加圧力
が高すぎると、粉末表面に既に形成されている絶縁皮膜
の破壊が起こるようになる。このようなことを勘案し
て、成形時の加圧力は1000〜2000MPa程度にす
ることが好ましい。
【0022】得られたグリーンに、Ar雰囲気中におい
て、例えば濃度600〜850℃で0.5〜3時間程度
の磁気焼鈍を行って、目的とする圧粉磁心が製造され
る。したがって、本発明の圧粉磁心は、重量平均粒径が
50μm以下の軟磁性粉末の個々の表面を、リン酸を主
体とする絶縁性の皮膜で被覆して成る粉末が、バインダ
成分である水ガラスを用いて圧縮成形された構造になっ
ている。用いる軟磁性粉末が微粉であり、しかも粉末相
互間には絶縁が確保されているので、この圧粉磁心は低
コアロス化を実現している。
て、例えば濃度600〜850℃で0.5〜3時間程度
の磁気焼鈍を行って、目的とする圧粉磁心が製造され
る。したがって、本発明の圧粉磁心は、重量平均粒径が
50μm以下の軟磁性粉末の個々の表面を、リン酸を主
体とする絶縁性の皮膜で被覆して成る粉末が、バインダ
成分である水ガラスを用いて圧縮成形された構造になっ
ている。用いる軟磁性粉末が微粉であり、しかも粉末相
互間には絶縁が確保されているので、この圧粉磁心は低
コアロス化を実現している。
【0023】
【実施例】実施例1
水アトマイズ法で、組成はFe−9.5%Si−5.5%
Alで示され、重量平均粒径が異なる各種の軟磁性粉末
を出発原料として用意した。一方、質量比で、リン酸:
ホウ酸:酸化マグネシウム=10:1:1から成る混合
溶液を水で希釈して、これら溶質成分の濃度が4質量%
である水溶液を調製し、これを第1工程用の水溶液とし
た。
Alで示され、重量平均粒径が異なる各種の軟磁性粉末
を出発原料として用意した。一方、質量比で、リン酸:
ホウ酸:酸化マグネシウム=10:1:1から成る混合
溶液を水で希釈して、これら溶質成分の濃度が4質量%
である水溶液を調製し、これを第1工程用の水溶液とし
た。
【0024】また、溶質濃度が20質量%である水ガラ
スを用意し、これを第2工程用のバインダ成分とした。
まず、第1工程として、軟磁性粉末100質量部に対し
上記水溶液5質量部を均一に混合したのち、温度200
℃で1時間の乾燥処理を行った。得られた粉末は、軟磁
性粉末の使用量100質量部に対し、0.5質量部増量
していた。
スを用意し、これを第2工程用のバインダ成分とした。
まず、第1工程として、軟磁性粉末100質量部に対し
上記水溶液5質量部を均一に混合したのち、温度200
℃で1時間の乾燥処理を行った。得られた粉末は、軟磁
性粉末の使用量100質量部に対し、0.5質量部増量
していた。
【0025】ついで第2工程として、上記粉末に対し上
記水ガラスを溶質換算量で0.5質量%に相当する量だ
け添加して均一に混合したのち、温度70℃で乾燥し
た。得られた混合物を金型に充填し、圧1700MPaで
プレス成形して外径28mm,内径20mm,厚み5mmのリ
ングコアの成形体にした。ついで、Ar雰囲気中におい
て、上記成形体に温度700℃で1時間の磁気焼鈍を行
って圧粉磁心にした。
記水ガラスを溶質換算量で0.5質量%に相当する量だ
け添加して均一に混合したのち、温度70℃で乾燥し
た。得られた混合物を金型に充填し、圧1700MPaで
プレス成形して外径28mm,内径20mm,厚み5mmのリ
ングコアの成形体にした。ついで、Ar雰囲気中におい
て、上記成形体に温度700℃で1時間の磁気焼鈍を行
って圧粉磁心にした。
【0026】比較のために、上記した水溶液を用いるこ
となく、同量の水ガラスのみで成形した圧粉磁心も製造
した。これらの圧粉磁心の1次側に40ターン、2次側
に20ターンの巻線を施し、HP社のLCRメータ(4
194)を用いて100kHzにおける交流透磁率を測定
し、またIWATSU社製の交流アナライザ(SY82
32)を用いて磁束密度(B)0.1T,周波数100k
Hz印加時におけるコアロスを測定した。
となく、同量の水ガラスのみで成形した圧粉磁心も製造
した。これらの圧粉磁心の1次側に40ターン、2次側
に20ターンの巻線を施し、HP社のLCRメータ(4
194)を用いて100kHzにおける交流透磁率を測定
し、またIWATSU社製の交流アナライザ(SY82
32)を用いて磁束密度(B)0.1T,周波数100k
Hz印加時におけるコアロスを測定した。
【0027】以上の結果を、用いた軟磁性粉末の重量平
均粒径の関係として図1と図2に示した。図2から明ら
かなように、実施例の圧粉磁心は、軟磁性粉末の粒径が
小さいときは比較例に比べて大幅にコアロスが低下して
いる。これは、リン酸を主体とする水溶液で粉末を処理
した効果を明白に示す結果である。しかしながら、粒径
が大きくなるにつれてコアロスは増大していき、粒径が
50μm以上になるとコアロスは比較例よりも大きくな
り、しかも透磁率は低下傾向を示し、上記水溶液による
処理効果は消失する。
均粒径の関係として図1と図2に示した。図2から明ら
かなように、実施例の圧粉磁心は、軟磁性粉末の粒径が
小さいときは比較例に比べて大幅にコアロスが低下して
いる。これは、リン酸を主体とする水溶液で粉末を処理
した効果を明白に示す結果である。しかしながら、粒径
が大きくなるにつれてコアロスは増大していき、粒径が
50μm以上になるとコアロスは比較例よりも大きくな
り、しかも透磁率は低下傾向を示し、上記水溶液による
処理効果は消失する。
【0028】このようなことから、軟磁性粉末として重
量平均粒径が50μm以下の微粉を用い、かつリン酸を
主体とする水溶液で当該微粉を処理することの有用性が
明らかである。 実施例2 水アトマイズ法で、組成はFe−9.5%Si−5.5%
Alで示され、重量平均粒径が30μmの軟磁性粉末を
出発原料として用意した。
量平均粒径が50μm以下の微粉を用い、かつリン酸を
主体とする水溶液で当該微粉を処理することの有用性が
明らかである。 実施例2 水アトマイズ法で、組成はFe−9.5%Si−5.5%
Alで示され、重量平均粒径が30μmの軟磁性粉末を
出発原料として用意した。
【0029】一方、質量比で、リン酸:ホウ酸:酸化マ
グネシウム=10:1:1から成る混合溶液を水の量を
変えて希釈して、これら溶質成分の濃度が異なる水溶液
を調製し、これを第1工程用の水溶液とした。また、溶
質濃度が20質量%である水ガラスを用意し、これを第
2工程用のバインダ成分とした。
グネシウム=10:1:1から成る混合溶液を水の量を
変えて希釈して、これら溶質成分の濃度が異なる水溶液
を調製し、これを第1工程用の水溶液とした。また、溶
質濃度が20質量%である水ガラスを用意し、これを第
2工程用のバインダ成分とした。
【0030】まず、第1工程として、軟磁性粉末100
質量部に対し、上記した各水溶液を混合量を変えて添加
して均一に混合したのち、温度200℃で1時間の乾燥
処理を行った。得られた粉末に対しては、以後、実施例
1の場合と同様の処理を施して圧粉磁心を製造し、更に
実施例と同様の条件で圧粉磁心のコアロスと透磁率を測
定した。結果を図3と図4に示した。
質量部に対し、上記した各水溶液を混合量を変えて添加
して均一に混合したのち、温度200℃で1時間の乾燥
処理を行った。得られた粉末に対しては、以後、実施例
1の場合と同様の処理を施して圧粉磁心を製造し、更に
実施例と同様の条件で圧粉磁心のコアロスと透磁率を測
定した。結果を図3と図4に示した。
【0031】図3と図4から明らかなように、用いる水
溶液における溶質成分の濃度が高くなるにつれて、また
水溶液の混合量が多くなるにつれて、圧粉磁心のコアロ
スは増大していくとともに透磁率は低くなっていく。こ
れらの結果から、水溶液の溶質成分の濃度を1〜20質
量%に設定し、同時にその水溶液を軟磁性粉末に対し1
〜5質量部の範囲内で混合すれば、コアロスが1000
kW/m3より小さく、同時に透磁率は略100以上を保
持する圧粉磁心を得ることができる。
溶液における溶質成分の濃度が高くなるにつれて、また
水溶液の混合量が多くなるにつれて、圧粉磁心のコアロ
スは増大していくとともに透磁率は低くなっていく。こ
れらの結果から、水溶液の溶質成分の濃度を1〜20質
量%に設定し、同時にその水溶液を軟磁性粉末に対し1
〜5質量部の範囲内で混合すれば、コアロスが1000
kW/m3より小さく、同時に透磁率は略100以上を保
持する圧粉磁心を得ることができる。
【0032】実施例3
水アトマイズ法で、組成はFe−9.5%Si−5.5%
Alで示され、重量平均粒径が30μmの軟磁性粉末を
出発原料として用意した。一方、質量比で、リン酸:ホ
ウ酸:酸化マグネシウム=10:1:1から成る混合溶
液を水で希釈して、これら溶質成分の濃度が4質量%で
ある水溶液を調製し、これを第1工程用の水溶液とし
た。
Alで示され、重量平均粒径が30μmの軟磁性粉末を
出発原料として用意した。一方、質量比で、リン酸:ホ
ウ酸:酸化マグネシウム=10:1:1から成る混合溶
液を水で希釈して、これら溶質成分の濃度が4質量%で
ある水溶液を調製し、これを第1工程用の水溶液とし
た。
【0033】また、JIS 2号の水ガラスに水を添加
して溶質成分の濃度が異なる水ガラスとし、これを第2
工程用のバインダ成分とした。まず、実施例1の場合と
同じ条件で第1工程を実施し、得られた粉末に上記水ガ
ラスを混合量を変えて混合した。以後、得られた混合物
に対しては、実施例1の場合と同じ条件で圧粉磁心を製
造し、その透磁率とコアロスを測定した。その結果を図
5と図6に示した。
して溶質成分の濃度が異なる水ガラスとし、これを第2
工程用のバインダ成分とした。まず、実施例1の場合と
同じ条件で第1工程を実施し、得られた粉末に上記水ガ
ラスを混合量を変えて混合した。以後、得られた混合物
に対しては、実施例1の場合と同じ条件で圧粉磁心を製
造し、その透磁率とコアロスを測定した。その結果を図
5と図6に示した。
【0034】図5と図6から明らかなように、水ガラス
の溶質濃度が低すぎると、粉末表面との濡れ性が低下
し、またバインダ成分としての機能も低下するので、透
磁率の低下およびコアロスの増大が起こりはじめてい
る。そのため、溶質濃度は1質量%以上にすることが必
要である。逆に、水ガラスの溶質濃度が高すぎると、粉
末は凝集しやすくなり、個々の粉末の被覆が困難となっ
て、コアロスは増大傾向にある。このようなことから、
溶質濃度は50質量%以下にすべきであり、好ましくは
4〜20質量%である。
の溶質濃度が低すぎると、粉末表面との濡れ性が低下
し、またバインダ成分としての機能も低下するので、透
磁率の低下およびコアロスの増大が起こりはじめてい
る。そのため、溶質濃度は1質量%以上にすることが必
要である。逆に、水ガラスの溶質濃度が高すぎると、粉
末は凝集しやすくなり、個々の粉末の被覆が困難となっ
て、コアロスは増大傾向にある。このようなことから、
溶質濃度は50質量%以下にすべきであり、好ましくは
4〜20質量%である。
【0035】また、水ガラスを多量に用いると透磁率の
低下が起こっている。60以上の透磁率を実現するため
には、軟磁性粉末に対する水ガラスの使用量は5質量%
以下にすべきことがわかる。 実施例4 水アトマイズ法で、組成:Fe−9.5%Si−5.5%
Al,重量平均粒径が30μmの軟磁性粉末を出発原料
として製造した。
低下が起こっている。60以上の透磁率を実現するため
には、軟磁性粉末に対する水ガラスの使用量は5質量%
以下にすべきことがわかる。 実施例4 水アトマイズ法で、組成:Fe−9.5%Si−5.5%
Al,重量平均粒径が30μmの軟磁性粉末を出発原料
として製造した。
【0036】また、表1で示した各種成分を表示の質量
比で混合し、それら溶質成分の濃度がいずれも4質量%
となる各種の水溶液を調製した。まず、第1工程とし
て、軟磁性粉末100質量部に対し、上記した各水溶液
5質量部を均一に混合したのち、温度200℃で1時間
の乾燥処理を行った。そして、第2工程以後は、実施例
1の場合と同じ条件を採用して各種の圧粉磁心を製造し
た。これら圧粉磁心のコアロスと透磁率を表1に示し
た。
比で混合し、それら溶質成分の濃度がいずれも4質量%
となる各種の水溶液を調製した。まず、第1工程とし
て、軟磁性粉末100質量部に対し、上記した各水溶液
5質量部を均一に混合したのち、温度200℃で1時間
の乾燥処理を行った。そして、第2工程以後は、実施例
1の場合と同じ条件を採用して各種の圧粉磁心を製造し
た。これら圧粉磁心のコアロスと透磁率を表1に示し
た。
【0037】なお、比較のため、軟磁性粉末に水溶液処
理を行うことなく、直接水ガラスのみで成形して圧粉磁
心を製造し、その結果も比較例として表1に併記した。
理を行うことなく、直接水ガラスのみで成形して圧粉磁
心を製造し、その結果も比較例として表1に併記した。
【0038】
【表1】
【0039】表1から明らかなように、水溶液の溶質成
分がリン酸の外に、リン酸の各種金属塩とホウ酸を含ん
でいる場合であっても、実施例の圧粉磁心のコアロスは
比較例と対比して大幅に低下している。 実施例5 用いた軟磁性粉末の組成が表2で示した組成であったこ
とを除いては、実施例1の場合と同じ条件で圧粉磁心を
製造した。なお、軟磁性粉末としては、その重量平均粒
径が20μmのものを用いた。
分がリン酸の外に、リン酸の各種金属塩とホウ酸を含ん
でいる場合であっても、実施例の圧粉磁心のコアロスは
比較例と対比して大幅に低下している。 実施例5 用いた軟磁性粉末の組成が表2で示した組成であったこ
とを除いては、実施例1の場合と同じ条件で圧粉磁心を
製造した。なお、軟磁性粉末としては、その重量平均粒
径が20μmのものを用いた。
【0040】得られた各圧粉磁心につき、温度25℃と
温度100℃でそれぞれコアロスを測定した。その結果
を表2に示した。
温度100℃でそれぞれコアロスを測定した。その結果
を表2に示した。
【0041】
【表2】
【0042】表2から明らかなように、用いる軟磁性粉
末の組成が変化すると、コアロスは温度によって特異な
挙動を示している。すなわち、温度25℃においては、
Si:7〜11質量%,Al:4〜8質量%の組成の軟
磁性粉末で製造した圧粉磁心は、いずれも、低コアロス
になっている。
末の組成が変化すると、コアロスは温度によって特異な
挙動を示している。すなわち、温度25℃においては、
Si:7〜11質量%,Al:4〜8質量%の組成の軟
磁性粉末で製造した圧粉磁心は、いずれも、低コアロス
になっている。
【0043】しかしながら、上記した組成の軟磁性粉末
から製造した圧粉磁心であっても、温度が100℃にな
ると、実施例5−5,実施例5−9,実施例5−12,
実施例5−13,実施例5−14などは、いずれもコア
ロスが増大している。すなわち、軟磁性粉末がSi:7
〜11質量%,Al:4〜8質量%,残部がFeの組成
のものは、低温下で低コアロスの圧粉磁心の出発原料と
して有用であるが、これらのうち一部組成のものは、高
温下で低コアロスを保障していない。
から製造した圧粉磁心であっても、温度が100℃にな
ると、実施例5−5,実施例5−9,実施例5−12,
実施例5−13,実施例5−14などは、いずれもコア
ロスが増大している。すなわち、軟磁性粉末がSi:7
〜11質量%,Al:4〜8質量%,残部がFeの組成
のものは、低温下で低コアロスの圧粉磁心の出発原料と
して有用であるが、これらのうち一部組成のものは、高
温下で低コアロスを保障していない。
【0044】したがって、高温下でも低コアロスの圧粉
磁心を製造するためには、表2の結果を参照すれば、S
i:8〜9質量%,Al:5〜8質量%,残部がFeの
組成であるか、または、Si:8〜9.5質量%,A
l:6〜8質量%,残部がFeの組成である軟磁性粉末
を用いることが有効である。
磁心を製造するためには、表2の結果を参照すれば、S
i:8〜9質量%,Al:5〜8質量%,残部がFeの
組成であるか、または、Si:8〜9.5質量%,A
l:6〜8質量%,残部がFeの組成である軟磁性粉末
を用いることが有効である。
【0045】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、低コアロスの圧粉磁心を製造することができ
る。これは、リン酸を主体とする水溶液を用いて微細な
個々の軟磁性粉末の表面に絶縁皮膜を形成したことによ
ってもたらされる効果である。
よれば、低コアロスの圧粉磁心を製造することができ
る。これは、リン酸を主体とする水溶液を用いて微細な
個々の軟磁性粉末の表面に絶縁皮膜を形成したことによ
ってもたらされる効果である。
【図1】軟磁性粉末の重量平均粒径と製造した圧粉磁心
の透磁率との関係を示すグラフである。
の透磁率との関係を示すグラフである。
【図2】軟磁性粉末の重量平均粒径と製造した圧粉磁心
のコアロスとの関係を示すグラフである。
のコアロスとの関係を示すグラフである。
【図3】軟磁性粉末と混合する水溶液の溶質成分の濃度
と製造された圧粉磁心の透磁率との関係を示すグラフで
ある。
と製造された圧粉磁心の透磁率との関係を示すグラフで
ある。
【図4】軟磁性粉末と混合する水溶液の溶質成分の濃度
と製造された圧粉磁心のコアロスとの関係を示すグラフ
である。
と製造された圧粉磁心のコアロスとの関係を示すグラフ
である。
【図5】軟磁性粉末と混合する水ガラスの溶質成分の濃
度と製造された圧粉磁心の透磁率との関係を示すグラフ
である。
度と製造された圧粉磁心の透磁率との関係を示すグラフ
である。
【図6】軟磁性粉末と混合する水ガラスの溶質成分の濃
度と製造された圧粉磁心のコアロスとの関係を示すグラ
フである。
度と製造された圧粉磁心のコアロスとの関係を示すグラ
フである。
Claims (5)
- 【請求項1】 重量平均粒径が50μm以下である軟磁
性粉末を出発原料とし、前記出発原料100質量部に対
し、リン酸またはリン酸を必須成分として含む溶質成分
の濃度が0.5〜50質量%である水溶液1〜10質量
部を混合して、前記軟磁性粉末の表面が絶縁皮膜で被覆
された粉末にする工程;得られた粉末において、前記出
発原料100質量部に相当する質量部の前記粉末に対
し、溶質成分の濃度が1〜50質量%である水ガラス
を、前記溶質成分の換算量として0.25〜5質量部混
合する工程;および得られた混合物を圧縮成形する工
程;を備えていることを特徴とする圧粉磁心の製造方
法。 - 【請求項2】 リン酸以外の前記溶質成分が、ホウ酸,
リン酸の金属塩、またはホウ酸の金属塩の1種または2
種以上である請求項1の圧粉磁心の製造方法。 - 【請求項3】 前記金属塩を構成する金属が、Na,M
g,Al,Si,K,Ca,Mn,Zn,Cd,Co,
Feのいずれかである請求項2の圧粉磁心の製造方法。 - 【請求項4】 前記軟磁性粉末が、組成:Fe−(7〜
11)重量%Si−(4〜8)重量%Alで示される合
金の粉末である請求項1の圧粉磁心の製造方法。 - 【請求項5】 重量平均粒径が50μm以下であり、か
つその表面がリン酸化合物からなる絶縁皮膜で被覆され
ている軟磁性粉末と、水ガラスとの圧縮成形体であるこ
とを特徴とする圧粉磁心。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001395005A JP2003197416A (ja) | 2001-12-26 | 2001-12-26 | 圧粉磁心の製造方法、その方法で製造された圧粉磁心 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001395005A JP2003197416A (ja) | 2001-12-26 | 2001-12-26 | 圧粉磁心の製造方法、その方法で製造された圧粉磁心 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003197416A true JP2003197416A (ja) | 2003-07-11 |
Family
ID=27601561
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001395005A Pending JP2003197416A (ja) | 2001-12-26 | 2001-12-26 | 圧粉磁心の製造方法、その方法で製造された圧粉磁心 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003197416A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006307312A (ja) * | 2005-03-28 | 2006-11-09 | Mitsubishi Materials Pmg Corp | 堆積膜被覆鉄粉末 |
JP2009038256A (ja) * | 2007-08-02 | 2009-02-19 | Kobe Steel Ltd | 圧粉磁心用鉄基軟磁性粉末および圧粉磁心 |
JP2011219611A (ja) * | 2010-04-08 | 2011-11-04 | San Nopco Ltd | 金属酸化物粒子分散体 |
JP2012129217A (ja) * | 2010-11-24 | 2012-07-05 | Daido Steel Co Ltd | 圧粉磁心のための加圧成形用粉体及び圧粉磁心の製造方法 |
US8409707B2 (en) | 2007-07-26 | 2013-04-02 | Kobe Steel, Ltd. | Iron-based soft magnetic powder for dust core and dust core |
US8481178B2 (en) | 2005-01-25 | 2013-07-09 | Diamet Corporation | Iron powder coated with Mg-containing oxide film |
JP2017143259A (ja) * | 2011-04-07 | 2017-08-17 | ホガナス アクチボラグ (パブル) | 新規な組成物及び方法 |
WO2018035595A1 (pt) * | 2016-08-25 | 2018-03-01 | Whirlpool S.A. | Camadas de recobrimento de superfícies de partículas ferromagnéticas para obtenção de compósitos magnéticos moles (smcs) |
JP2019033114A (ja) * | 2017-08-04 | 2019-02-28 | 国立大学法人信州大学 | SiO2含有被膜を備えたSi含有Fe基合金粉及びその製造方法 |
-
2001
- 2001-12-26 JP JP2001395005A patent/JP2003197416A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2022008547A (ja) * | 2017-08-04 | 2022-01-13 | 国立大学法人信州大学 | SiO2含有被膜を備えたSi含有Fe基合金粉及びその製造方法 |
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