JP2006307312A - 堆積膜被覆鉄粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】高抵抗複合軟磁性材を製造するための堆積膜被覆鉄粉末を提供する。
【解決手段】Mg、Fe、PおよびOからなるMg−Fe−P−O四元系リン酸塩化合物およびMg、FeおよびOからなるMg−Fe−O三元系酸化物を含みかつ素地中に燐化鉄微粒子が分散している堆積膜が鉄粉末の表面に被覆されている堆積膜被覆鉄粉末であって、前記Mg−Fe−P−O四元系リン酸塩化合物およびMg−Fe−O三元系酸化物は結晶質のMgO固溶ウスタイト型相が含まれており、前記堆積膜は結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有する。
【選択図】 なし

Description

この発明は、高抵抗複合軟磁性材を製造するための堆積膜被覆鉄粉末に関するものであり、この堆積膜被覆鉄粉末で作製した複合軟磁性材は低鉄損を必要とする各種電磁気回路部品、例えば、モータ、アクチュエータ、ヨーク、コア、リアクトルなどの各種電磁気部品の素材として使用される。
一般に、各種電磁気回路部品に使用される軟磁性材は、鉄損が小さいことが要求とされるため、電気抵抗を高くして渦電流損を低減させ、保磁力を小さくしてヒステリシス損を低減させることは一般に知られていることである。さらに、近年、電磁気回路の小型化、高応答化が求められているところから、磁束密度がより高いことも重要視されている。
かかる高比抵抗を有する軟磁性材料を製造するための原料粉末の一例として鉄粉末の表面に絶縁性を有するMg含有フェライト膜を被覆した酸化膜被覆鉄粉末が知られている(特許文献1参照)。
特開平11−1702号公報
しかし、従来のMg含有フェライト膜を被覆した酸化膜被覆鉄粉末は鉄粉末の表面にMg含有フェライト膜を化学的方法により被覆するために、従来のMg含有フェライト膜を被覆した酸化膜被覆鉄粉末をプレス成形した圧粉体に高温歪取り焼成を行って作製した複合軟磁性材は、Mg含有フェライト膜が一般に熱に対して不安定であるところから、焼成中に変化して絶縁性が低下する。
さらにMg含有フェライト膜は鉄粉末の表面に対する密着性が十分でなく、そのために従来のMg含有フェライト膜を被覆した酸化膜被覆鉄粉末をプレス成形し焼成することにより作製した複合軟磁性材はプレス成形中にMg含有フェライト膜が剥離したり破れるなどして十分な絶縁効果が発揮できず、したがって、十分な高比抵抗を有する複合軟磁性材が得られないという欠点があった。
そこで、本発明者らは、プレス成形しても、プレス成形時に鉄粉表面の高抵抗膜が破れることが無く表面に高抵抗膜が強固に密着した鉄粉末であり、プレス成形後に高温歪取り焼成を行っても表面の絶縁性が低下することなく高抵抗で渦電流損失が低くなり、また歪取り焼鈍の焼成を行った場合に、より保磁力が低減できてヒステリシス損失が低くなる高抵抗膜被覆鉄粉末を作製すべく研究を行った。
その結果、(イ)鉄粉末にリン酸処理を施すことにより鉄粉末の表面にリン酸塩膜を形成した鉄粉末(以下、リン酸塩被覆鉄粉末という)を作製し、このリン酸塩被覆鉄粉末にMg粉末を添加し混合して得られた混合粉末を不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で転動しながら加熱処理を施すと、Mg、Fe、PおよびOからなる堆積膜が鉄粉末の表面に被覆された堆積膜被覆鉄粉末が得られ、このMg、Fe、PおよびOからなる堆積膜は、Mg、Fe、PおよびOからなるMg−Fe−P−O四元系リン酸塩化合物およびMg、FeおよびOからなるMg−Fe−O三元系酸化物を含みかつ素地中に燐化鉄微粒子が分散していること、
(ロ)前記堆積膜被覆鉄粉末の堆積膜は、燐化鉄微粒子が堆積膜の素地中に分散しているために高度の靭性を有することから、従来の酸化膜被覆鉄粉末の表面に形成されているMg含有フェライト膜に比べてプレス成形時の鉄粉末の変形に追従しやすく、さらにこの堆積膜は鉄粉末に対する密着性が格段に優れることから、プレス成形中に絶縁皮膜である堆積膜が破壊されて鉄粉末同士が接触することが少なく、前記堆積膜被覆鉄粉末をプレス成形後に高温歪取り焼成を行っても堆積膜の絶縁性が低下することが少ないことから高抵抗を維持できて渦電流損失が低くなり、さらに歪取り焼成を行った場合に一層保磁力が低減できてヒステリシス損失が低くなり、したがって、低鉄損を有する複合軟磁性材料が得られること、
(ハ)前記堆積膜に含まれるMg−Fe−P−O四元系リン酸塩化合物およびMg−Fe−O三元系酸化物には結晶質のMgO固溶ウスタイト型相が含まれていること、
(ニ)前記燐化鉄微粒子が素地中に分散している堆積膜は結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有することが好ましいこと、などの知見が得られたのである。
この発明は、かかる知見に基づいて成されたものであって、
(1)Mg、Fe、PおよびOからなる堆積膜が鉄粉末の表面に被覆されている堆積膜被覆鉄粉末、
(2)前記堆積膜は、Mg、Fe、PおよびOからなるMg−Fe−P−O四元系リン酸塩化合物およびMg、FeおよびOからなるMg−Fe−O三元系酸化物を含みかつ素地中に燐化鉄微粒子が分散している前記(1)記載の堆積膜被覆鉄粉末、
(3)前記堆積膜に含まれるMg−Fe−P−O四元系リン酸塩化合物およびMg−Fe−O三元系酸化物には結晶質のMgO固溶ウスタイト型相が含まれている前記(1)または(2)記載の堆積膜被覆鉄粉末、
(4)前記堆積膜は、結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有する前記(1)、(2)または(3)記載の堆積膜被覆鉄粉末、に特徴を有するものである。
この発明の前記(1)〜(4)記載の堆積膜被覆鉄粉末は、前述のように、リン酸塩被覆鉄粉末にMg粉末を添加し混合して得られた混合粉末を不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で転動しながら加熱処理を施したのち、さらに酸化雰囲気中で酸化処理を施すことにより作製するが、一層具体的には、リン酸塩被覆鉄粉末にMg粉末を添加し混合して得られた混合粉末を温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で転動しながら加熱処理したのち、さらに酸化雰囲気中で酸化処理を施すことにより作製する。
「堆積膜」という用語は、通常、真空蒸発やスパッタされた皮膜構成原子が例えば基板上に堆積した皮膜を示すが、この発明の鉄粉末の表面に形成されている堆積膜は、リン酸塩被覆鉄粉末表面のリン酸鉄(Fe−P−O)とMgが反応を伴って当該鉄粉末表面に堆積した皮膜を示す。この発明の鉄粉末の表面に形成されている燐化鉄微粒子が素地中に分散している堆積膜は燐化鉄微粒子が素地中に分散していることから高度の靭性を有する。このためプレス成形時の鉄粉末の変形に充分に追従すると共に酸化膜の鉄粉末に対する密着性が格段に優れたものとなっている。
この発明の鉄粉末の表面に形成されている堆積膜の膜厚は、圧粉成形して得られた複合軟磁性材の高磁束密度と高比抵抗を得るために5〜500nmの範囲内にあるのが好ましい。膜厚が5nmより薄いと圧粉成形した複合軟磁性材の比抵抗が充分でなく渦電流損が増加するので好ましくなく、一方、膜厚が500nmより厚いと圧粉成形した複合軟磁性材の磁束密度が低下し好ましくないからである。さらに好ましい膜厚は5〜200nmである。
この発明の堆積膜被覆鉄粉末を構成する堆積膜に含まれるMg−Fe−P−O四元系リン酸塩化合物およびMg−Fe−O三元系酸化物には結晶質のMgO固溶ウスタイト型相が含まれていることが好ましい。前記結晶質のMgO固溶ウスタイト型相はFeまたは/およびMgの一部をPで置換した場合もあるが、NaCl型結晶構造を有することが最も好ましい。
この発明の堆積膜被覆鉄粉末を構成する堆積膜は、その結晶粒が微細であるほど好ましく、結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有することが好ましい。この様な微細結晶組織を有することにより、圧粉成形時の粉末の変形に微結晶堆積膜が追従して被覆の破れを防止することができ、さらに焼成時にも鉄粉末同士の接触結合を防止することができ、また、高温歪取り焼成を行っても酸化物が安定で絶縁性低下が防止できて高抵抗を維持することができ、そのため渦電流損失が低くなる。結晶粒径が200nmより大きいと、堆積膜の膜厚が500nmよりも厚くなり圧粉成形した複合軟磁性材の磁束密度が低下するので好ましくない。
この発明の堆積膜被覆鉄粉末を製造するための原料粉末である鉄粉末は、平均粒径が5〜500μmの範囲内にあることが好ましい。その理由は、平均粒径が5μmより小さすぎると、粉末の圧縮性が低下し、粉末の体積割合が低くなるために磁束密度の値が低下するので好ましくなく、一方、平均粒径が500μmより大きすぎると、粉末内部の渦電流が増大して高周波における透磁率が低下することによるものである。
この発明の堆積膜被覆鉄粉末を構成するMg、Fe、PおよびOからなるMg−Fe−P−O四元系リン酸塩化合物およびMg、FeおよびOからなるMg−Fe−O三元系酸化物は、Mgの一部をMgに対して10%以下のAl,Si,Ni,Mn,Zn,Cu,Coのうち1種以上で置換した疑三元系酸化物堆積膜でも良い。
次に、この発明の堆積膜被覆鉄粉末を使用した複合軟磁性材の製造方法を説明する。
この発明の堆積膜被覆鉄粉末を通常の方法で圧粉成形し焼結することにより作製することができる。また、この発明の堆積膜被覆鉄粉末に平均粒径:0.5μm以下の酸化ケイ素,酸化アルミニウムのうちの1種または2種を0.05〜1質量%添加して混合粉末を作製し、この混合粉末を通常の方法で圧粉成形し、焼結することにより作製することができる。
この製造方法により作製した複合軟磁性材は、Mg、Fe、PおよびOからなるMg−Fe−P−O四元系リン酸塩化合物およびMg、FeおよびOからなるMg−Fe−O三元系酸化物を含みかつ素地中に燐化鉄微粒子が分散している堆積膜が鉄粉末を包囲した堆積膜被覆鉄粉末を酸化ケイ素や酸化アルミニウムで結合した組織を有する高比抵抗の複合軟磁性材が得られ、この複合軟磁性材はケイ素や酸化アルミニウムを介して焼結されるために機械的強度を一層高めることができる。
この場合、酸化ケイ素や酸化アルミニウムが主体となって焼結されるところから保磁力を小さく保つことができ、したがって、ヒステリシス損の少ない複合軟磁性材を製造することができる、前記焼成は、不活性ガス雰囲気または酸化性ガス雰囲気中、温度:400〜1300℃で行われることが好ましい。
また、この発明の堆積膜被覆鉄粉末にシリカのゾルゲル(シリケート)溶液やアルミナのゾルゲル溶液などの湿式溶液を添加し混合したのち乾燥し、この乾燥した混合物を圧縮成形後、不活性ガス雰囲気または酸化性ガス雰囲気中、温度:400〜1300℃で焼成することにより複合軟磁性材を製造することができる。
さらに、この発明の堆積膜被覆鉄粉末に有機絶縁材料や無機絶縁材料、あるいは有機絶縁材料と無機絶縁材料との混合材料を混合して比抵抗および強度のさらに向上した複合軟磁性材を作製することができる。この場合、有機絶縁材料では、エポキシ樹脂やフッ素樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ユリア樹脂、イソシアネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂,等を用いることができる。また無機絶縁材料では、リン酸鉄などのリン酸塩、各種ガラス状絶縁物、珪酸ソーダを主成分とする水ガラス、絶縁性酸化物、等を用いることができる。
また、この発明の堆積膜被覆鉄粉末に、酸化硼素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンの内の1種または2種以上をB、V、Bi、Sb、MoO換算で0.05〜1質量%を配合し混合したのち圧粉成形し、得られた圧粉成形体を温度:500〜1000℃で燒結することにより複合軟磁性材を作製することができる。このようにして作製した複合軟磁性材は、酸化硼素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンの内の1種または2種以上をB、V、Bi、Sb、MoO換算で0.05〜1質量%を含有し、残部がこの発明の堆積膜被覆鉄粉末からなる組成を有し、堆積膜と、酸化硼素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンの内の1種または2種以上とが反応した皮膜が形成される。
また、この複合軟磁性材は、酸化硼素のゾル溶液または粉末、酸化バナジウムのゾル溶液または粉末、酸化ビスマスのゾル溶液または粉末、酸化アンチモンのゾル溶液または粉末および酸化モリブデンのゾル溶液または粉末の内の1種または2種以上をB、V、Bi、Sb、MoO換算で0.05〜1質量%、残部が前記この発明の堆積膜被覆鉄粉末からなる組成となるように配合し、混合し、乾燥して前記この発明の堆積膜被覆鉄粉末を酸化物乾燥ゲルまたは粉末からなる混合酸化物で被覆してなる混合堆積膜被覆鉄粉末を作製し、この混合堆積膜被覆鉄粉末を圧粉し、成形したのち、温度:500〜1000℃で燒結することにより得ることができる。
これらのこの発明の堆積膜被覆鉄粉末を用いて作製した高比抵抗を有する複合軟磁性材は、鉄粒子相とこの鉄粒子相を包囲する粒界相からなり、前記粒界相には結晶質のMgO固溶ウスタイト型相を含有する酸化物を含むことが好ましい。前記結晶質のMgO固溶ウスタイト型相はFeまたは/およびMgの一部をPで置換した場合もあるが、NaCl型結晶構造を有することが最も好ましい。
この発明の堆積膜被覆鉄粉末を用いて作製した複合軟磁性材は高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有し、この複合軟磁性材は、高磁束密度で高周波低鉄損の特徴を有することからこの特徴を生かした各種電磁気回路部品の材料として使用できる。前記電磁気回路部品は、磁心、電動機コア,発電機コア、ソレノイドコア、イグニッションコア、リアクトル、トランス、チョークコイルコアまたは磁気センサコアなどがある。そして、この発明の堆積膜被覆鉄粉末を用いた高抵抗を有する複合軟磁性材からなる電磁気回路部品を組み込んだ電気機器には、電動機、発電機、ソレノイド、インジェクタ、電磁駆動弁、インバータ、コンバータ、変圧器、継電器、磁気センサシステム等があり、電気機器の高効率高性能化や小型軽量化を行うことができる。
この発明の堆積膜被覆鉄粉末をプレス成形して複合軟磁性材を製造すると、堆積膜は燐化鉄微粒子が素地中に分散していることから高度の靭性を有し、この堆積膜被覆鉄粉末をプレス成形しても成形中に膜が破壊することが少なく、したがって、得られた複合軟磁性材は高比抵抗を有することから低渦電流損失を有し、さらに保磁力が低いことから低ヒステリシス損失を有する複合軟磁性材を低コスト安定して作製することができ、電気・電子産業上優れた効果をもたらすものである。
実施例
原料粉末として、平均粒径:70μmを有する市販のリン酸塩被覆鉄粉末を用意し、さらに、平均粒径:50μmのMg粉末を用意した。前記リン酸塩被覆鉄粉末に対しMg粉末を、リン酸塩被覆鉄粉末:Mg粉末=99.8質量%:0.2質量%の割合で添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を温度:650℃、圧力:1×10−4MPa、1時間保持の条件で転動しながら加熱することにより鉄粉末の表面に堆積膜が被覆されている本発明堆積膜被覆鉄粉末を作製した。本発明堆積膜被覆鉄粉末に形成されている堆積膜の断面組織を透過電子顕微鏡で観察し、その透過電子顕微鏡組織写真を図1に示した。図1の写真から本発明堆積膜被覆鉄粉末に形成されている堆積膜の厚さと最大結晶粒径を求め、その結果を表1に示した。
さらに、堆積膜の深さ方向のMg、O、PおよびFeの濃度分布をオージェ電子分光装置を用いて調べた結果を図2のグラフに示す。図2のグラフに示される結果から、堆積膜を構成する元素はMg、Fe、PおよびOであることが解った。
さらに、この本発明堆積膜被覆鉄粉末の表面に形成された堆積膜をX線光電子分光装置により分析を行ない、結合エネルギーを解析したところ、燐化鉄微粒子が素地中に分散していること、並びにMg、Fe、PおよびOからなるMg−Fe−P−O四元系リン酸塩化合物およびMg、FeおよびOからなるMg−Fe−O三元系酸化物が存在していることが解った。さらに本発明堆積膜被覆鉄粉末の表面に形成された堆積膜の電子線回折図形から、Mg、Fe、PおよびOからなるMg−Fe−P−O四元系リン酸塩化合物およびMg、FeおよびOからなるMg−Fe−O三元系酸化物は結晶質のMgO固溶ウスタイト型相を含有することが解った。
得られた本発明堆積膜被覆鉄粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、この板状焼成体からなる複合軟磁性材の密度および比抵抗を測定してその結果を表1に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表1に示した。
さらに本発明堆積膜被覆鉄粉末を用いた複合軟磁性材を透過電子顕微鏡で観察したところ、鉄粒子相とこの鉄粒子相を包囲する粒界相が観察され、前記粒界相から得られた電子線回折図形から、粒界相には結晶質のMgO固溶ウスタイト型相を含有することが解った。
従来例
純鉄粉末の表面にMg含有フェライト層を化学的に形成した従来酸化物被覆鉄粉末を作製し、この従来酸化物被覆鉄粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性材を作製し、板状焼結体からなる複合軟磁性材の密度および比抵抗を測定してその結果を表1に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表1に示した。
Figure 2006307312
表1に示される結果から、本発明堆積膜被覆鉄粉末を使用して作製した複合軟磁性材は、従来酸化物被覆鉄粉末を使用して作製した複合軟磁性材従来複合軟磁性材と比べて、密度については大差は無いが、本発明堆積膜被覆鉄粉末を使用して作製した複合軟磁性材は、従来酸化物被覆鉄粉末を使用して作製した複合軟磁性材に比べて、磁束密度が高く、保磁力が小さく、さらに比抵抗が格段に高く、そのため鉄損が格段に小さく、特に周波数が大きくなるほど鉄損が小さくなるなどの特性を有することから、本発明堆積膜被覆鉄粉末は従来酸化物被覆鉄粉末と比べて一層優れた特性を有する複合軟磁性材を提供することができる軟磁性原料粉末であることが分かる。
この発明の堆積膜被覆鉄粉末に形成されている堆積膜の断面組織の透過電子顕微鏡写真である。 この発明の堆積膜被覆鉄粉末に形成されている堆積膜の深さ方向のMg、O、PおよびFeの濃度分布をオージェ電子分光装置を用いて調べたグラフである。

Claims (9)

  1. Mg、Fe、PおよびOからなる堆積膜が鉄粉末の表面に被覆されていることを特徴とする堆積膜被覆鉄粉末。
  2. 前記堆積膜は、Mg、Fe、PおよびOからなるMg−Fe−P−O四元系リン酸塩化合物およびMg、FeおよびOからなるMg−Fe−O三元系酸化物を含みかつ素地中に燐化鉄微粒子が分散していることを特徴とする請求項1記載の堆積膜被覆鉄粉末。
  3. 前記堆積膜に含まれるMg−Fe−P−O四元系リン酸塩化合物およびMg−Fe−O三元系酸化物には結晶質のMgO固溶ウスタイト型相が含まれていることを特徴とする請求項1または2記載の堆積膜被覆鉄粉末。
  4. 前記堆積膜は、結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有することを特徴とする請求項1、2または3記載の堆積膜被覆鉄粉末。
  5. 請求項1、2、3または4記載の堆積膜被覆鉄粉末を用いて作製した高比抵抗を有する複合軟磁性材。
  6. 鉄粒子相とこの鉄粒子相を包囲する粒界相からなり、前記粒界相には結晶質のMgO固溶ウスタイト型相を含有する酸化物を含むことを特徴とする請求項5の複合軟磁性材。
  7. 請求項5または6記載の複合軟磁性材からなる電磁気回路部品。
  8. 前記電磁気回路部品は、磁心、電動機コア,発電機コア,ソレノイドコア,イグニッションコア,リアクトル,トランス,チョークコイルコアまたは磁気センサコアであることを特徴とする請求項7記載の電磁気回路部品。
  9. 請求項7または8前記電磁気回路部品を組み込んだ電気機器。
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