JP4748772B2 - 酸化膜被覆鉄粉末およびその製造方法 - Google Patents

酸化膜被覆鉄粉末およびその製造方法 Download PDF

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この発明は、Mg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜が鉄粉末の表面に被覆されてなる酸化膜被覆鉄粉末およびその製造方法に関するものであり、この酸化膜被覆鉄粉末で作製した複合軟磁性材は低鉄損を必要とする各種電磁気回路部品、例えば、モータ、アクチュエータ、ヨーク、コア、リアクトルなどの各種電磁気部品の素材として使用される。
一般に、各種電磁気回路部品に使用される軟磁性材は、鉄損が小さいことが要求されるため、電気抵抗を高くして渦電流損を低減させ、保磁力を小さくしてヒステリシス損を低減させることは一般に知られていることである。さらに、近年、電磁気回路の小型化、高応答化が求められているところから、磁束密度がより高いことも重要視されている。
かかる高比抵抗を有する軟磁性材料を製造するための原料粉末の一例として鉄粉末の表面にMg含有フェライト膜を被覆した酸化膜被覆鉄粉末が知られている(特許文献1参照)。
特開平11−1702号公報
しかし、従来のMg含有フェライト膜を被覆した酸化膜被覆鉄粉末をプレス成形して圧粉体を作製し、この圧粉体に高温歪取り焼成を施すと、一般にMg含有フェライトは熱に対して不安定であり、熱を加えるとフェライト構造が変化して絶縁性が低下しやすく、そのために得られた複合軟磁性材は絶縁性が低下する。さらに、従来のMg含有フェライト膜を被覆した酸化膜被覆鉄粉末は鉄粉末の表面にMg含有フェライト膜を化学的方法により被覆するために、鉄粉末の表面に対するMg含有フェライト膜の密着性が十分でなく、従来のMg含有フェライト膜を被覆した酸化膜被覆鉄粉末をプレス成形し焼成することにより作製した複合軟磁性材はプレス成形中にMg含有フェライト膜が剥離したり破れるなどして十分な絶縁効果が発揮できず、したがって、十分な高比抵抗が得られないという欠点があった。
そこで、本発明者らは、プレス成形してもプレス成形時に鉄粉末表面の高抵抗酸化膜が破れることが無く表面に酸化膜が強固に密着し、さらにプレス成形後に高温歪取り焼成を行っても表面の絶縁性が低下することなく高抵抗で渦電流損失が低く、さらに保磁力が一層低減できてヒステリシス損失が低くなる酸化膜被覆鉄粉末を得るべく研究を行った。
その結果、
(イ)鉄粉末の表面にMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜が形成された酸化膜被覆鉄粉末は、従来の鉄粉末の表面にMg含有フェライト膜を形成した酸化膜被覆鉄粉末に比べて酸化膜の鉄粉末に対する密着性が格段に優れることから、プレス成形中に絶縁皮膜である酸化膜が破壊されて鉄粉末同士が接触することが少なく、プレス成形後に高温歪取り焼成を行っても酸化膜の絶縁性が低下することなく高抵抗を維持することができるところから渦電流損失が低くなり、さらに歪取り焼成を行った場合に、より保磁力が低減できることからヒステリシス損失を低く抑えることができ、したがって、低鉄損を有する複合軟磁性材料が得られること、
(ロ)前記Mg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜は素地中に微細なFe粒子が分散していること、
(ハ)前記堆積酸化膜は結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有すること、などの知見が得られたのである。
この発明は、かかる知見に基づいてなされたものであって、
(1)鉄粉末の表面にMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜が形成されている酸化膜被覆鉄粉末において、堆積酸化膜は、その膜厚が5〜500nmであり、素地中に微細なFe粒子が分散し、結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有すること
に特徴を有するものである。
前記(1)に記載のMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜が形成されている酸化膜被覆鉄粉末を製造するには、まず、鉄粉末を酸化雰囲気中加熱処理することにより表面を酸化処理した鉄粉末を作製する。この酸化雰囲気中で加熱処理する温度は50〜500℃であることが好ましい。このようにして作製した表面を酸化処理した鉄粉末にMg粉末およびZn粉末またはMg−Zn合金粉末を添加し混合して混合粉末を作製し、この混合粉末を温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で加熱する。この不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中での加熱は転動しながら加熱することが一層好ましい。
したがって、この発明は、
(2)表面を酸化処理した鉄粉末に、Mg粉末およびZn粉末の混合粉末またはMg−Zn合金粉末を混合して得られた混合粉末を温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で加熱する前記(1)に記載の酸化膜被覆鉄粉末の製造方法、
(3)表面を酸化処理した鉄粉末に、Mg粉末およびZn粉末の混合粉末またはMg−Zn合金粉末を混合して得られた混合粉末を温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で転動させながら加熱する前記(1)に記載の酸化膜被覆鉄粉末の製造方法、
(4)表面を酸化処理した鉄粉末の表面にMg−Zn合金蒸着皮膜を形成し、このMg−Zn合金蒸着層を形成した表面に鉄酸化膜を有する鉄粉末を温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で加熱する前記(1)に記載の酸化膜被覆鉄粉末の製造方法、
(5)表面を酸化処理した鉄粉末の表面にMg−Zn合金蒸着皮膜を形成し、このMg−Zn合金蒸着層を形成した表面に鉄酸化膜を有する鉄粉末を温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で転動させながら加熱する前記(1)に記載の酸化膜被覆鉄粉末の製造方法、
(6)前記(2)(3)(4)または(5)記載の表面を酸化処理した鉄粉末は、酸化雰囲気中、温度:50〜500℃で加熱することにより製造する酸化膜被覆鉄粉末の製造方法、に特徴を有するものである。
一般に「堆積酸化膜」という用語は、真空蒸発やスパッタされた皮膜構成原子が例えば基板上に堆積した酸化皮膜を示すが、この発明の鉄粉末の表面に形成されているMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜は、鉄粉末表面の鉄酸化層とMgおよびZnが反応を伴って当該鉄粉末表面に形成された皮膜を示す。そして、この鉄粉末の表面に形成されている堆積酸化膜の膜厚は、圧粉成形した複合軟磁性材の高磁束密度と高比抵抗を得るために、5nm〜500nmの範囲内にあることが好ましい。膜厚が5nmより薄いと圧粉成形した複合軟磁性材の比抵抗が充分でなく渦電流損が増加するので好ましくなく、一方、膜厚が500nmより厚いと圧粉成形した複合軟磁性材の磁束密度が低下して好ましくないからである。さらに好ましい膜厚は5nm〜200nmの範囲内である。
前記(1)に記載の酸化膜被覆鉄粉末の表面に形成されているMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜は、その結晶粒が微細であるほど好ましく、結晶粒径が200nm以下の微細結晶組織を有する事が好ましい。この様な微細結晶組織を有することにより、圧粉成形時の粉末の変形に微結晶堆積酸化膜が追従して被覆の破れを防止することができ、焼成時にも鉄粉末同士の接触結合を防止することができ、また、高温歪取り焼成を行っても酸化物が安定で絶縁性低下が防止でき高抵抗で渦電流損失が低くなる。結晶粒径が200nmより大きいと圧粉成形した複合軟磁性材の磁束密度が低下するようになるので好ましくない。
前記(1)に記載の酸化膜被覆鉄粉末を製造する際に使用する鉄粉末の平均粒径は5〜500μmの範囲内にある粉末を使用することが好ましい。その理由は、平均粒径が5μmより小さすぎると、粉末の圧縮性が低下し、粉末の体積割合が低くなるために磁束密度の値が低下するので好ましくなく、一方、平均粒径が500μmより大きすぎると、粉末内部の渦電流が増大して高周波における透磁率が低下することによるものである。
前述のこの発明の酸化膜被覆鉄粉末に有機絶縁材料や無機絶縁材料、あるいは有機絶縁材料と無機絶縁材料との混合材料を混合して比抵抗および強度のさらに向上した複合軟磁性材を作製することができる。この場合、有機絶縁材料では、エポキシ樹脂やフッ素樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ユリア樹脂、イソシアネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、PPS樹脂,等を用いることができる。また無機絶縁材料では、リン酸鉄などのリン酸塩、各種ガラス状絶縁物、珪酸ソーダを主成分とする水ガラス、絶縁性酸化物、等を用いることができる。
また、この発明の酸化膜被覆鉄粉末を圧粉成形し、得られた圧粉成形体を温度:500〜1000℃で燒成することにより複合軟磁性材を作製することができる。
この発明の酸化膜被覆鉄粉末を用いて作製した複合軟磁性材は高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有し、この複合軟磁性材は、高磁束密度で高周波低鉄損の特徴を有する事からこの特徴を生かした各種電磁気回路部品の材料として使用できる。前記電磁気回路部品は、磁心、電動機コア,発電機コア、ソレノイドコア、イグニッションコア、リアクトル、トランス、チョークコイルコアまたは磁気センサコアなどがある。そして、この発明の酸化膜被覆鉄粉末を用いた高抵抗を有する複合軟磁性材からなる電磁気回路部品を組み込んだ電気機器には、電動機、発電機、ソレノイド、インジェクタ、電磁駆動弁、インバータ、コンバータ、変圧器、継電器、磁気センサシステム等があり、電気機器の高効率高性能化や小型軽量化を行うことができる。
したがって、この発明は、
(7)前記(1)に記載の酸化膜被覆鉄粉末を用いた複合軟磁性材、
(8)前記(7)に記載の複合軟磁性材からなる電磁気回路部品、
(9)前記電磁気回路部品は、磁心、電動機コア,発電機コア,ソレノイドコア,イグニッションコア,リアクトル,トランス,チョークコイルコアまたは磁気センサコアである前記(8)に記載の電磁気回路部品、
(10)前記(8)または(9)に記載の前記電磁気回路部品を組み込んだ電気機器、に特徴を有するものである。
この発明の酸化膜被覆鉄粉末を使用して複合軟磁性材を製造すると、高比抵抗を有することから低渦電流損失を有し、さらに保磁力が低いことから低ヒステリシス損失を有する複合軟磁性材を低コスト安定して作製することができ、電気・電子産業上優れた効果をもたらすものである。
実施例1
原料粉末として平均粒径:70μmを有する水アトマイズ純鉄粉末を用意し、さらに平均粒径:50μmのMg粉末および平均粒径:50μmのZn粉末を用意した。
この水アトマイズ純鉄粉末を大気中、温度:200℃に2時間保持することにより水アトマイズ純鉄粉末の表面に鉄酸化膜が被覆されている表面酸化純鉄粉末を作製した。
この表面酸化純鉄粉末に対してMg粉末およびZn粉末を、Mg粉末:0.2質量%、Zn粉末:0.4質量%、残部:酸化処理純鉄粉末となるように配合し混合して混合粉末を作製し、この混合粉末を表1に示される圧力の真空雰囲気および温度に保持することにより水アトマイズ純鉄粉末の表面に表1に示される厚さおよび最大結晶粒径を有するMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜が形成されている酸化膜被覆鉄粉末を作製した。このMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜をX線光電子分光装置により分析を行ったところ、堆積酸化膜の素地中に金属Fe微細粒子が分散していることがわかった。
実施例2
実施例1で作製した表面酸化純鉄粉末にMg粉末およびZn粉末を、Mg粉末:0.3質量%、Zn粉末:0.5質量%、残部:表面酸化純鉄粉末となるように配合し、この配合粉末を表1に示される圧力の真空雰囲気および温度に保持しながら転動することにより水アトマイズ純鉄粉末の表面にMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜が形成されている酸化膜被覆鉄粉末を作製した。このMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜をX線光電子分光装置により分析を行ったところ、堆積酸化膜の素地中に金属Fe微細粒子が分散していることがわかった。
実施例3
平均粒径:50μmのMg−Zn合金(Mg:50質量%、残部:Zn)粉末を用意した。このMg−Zn合金粉末を実施例1で作製した表面酸化純鉄粉末に配合し混合することにより混合粉末を作製し、この混合粉末を表1に示される圧力のアルゴンガス雰囲気および温度に保持することにより水アトマイズ純鉄粉末の表面にMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜が形成されている酸化膜被覆鉄粉末を作製した。このMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜をX線光電子分光装置により分析を行ったところ、堆積酸化膜の素地中に金属Fe微細粒子が分散していることがわかった。
実施例4
実施例3で用意したMg−Zn合金粉末を実施例1で作製した表面酸化純鉄粉末を配合し、この配合粉末を表1に示される圧力のアルゴンガス雰囲気および温度に保持しながら転動することにより水アトマイズ純鉄粉末の表面にMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜が形成されている酸化膜被覆鉄粉末を作製した。このMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜をX線光電子分光装置により分析を行ったところ、堆積酸化膜の素地中に金属Fe微細粒子が分散していることがわかった。
実施例5
実施例1で作製した表面酸化純鉄粉末の表面に真空蒸着法によりMg−Zn合金(Mg:80質量%、残部:Zn)皮膜を形成したMg−Zn合金蒸着表面酸化純鉄粉末を作製し、このMg−Zn合金蒸着表面酸化純鉄粉末を表1に示される圧力のアルゴンガス雰囲気および温度に保持することにより水アトマイズ純鉄粉末の表面にMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜が形成されている酸化膜被覆鉄粉末を作製した。このMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜をX線光電子分光装置により分析を行ったところ、堆積酸化膜の素地中に金属Fe微細粒子が分散していることがわかった。
実施例6
実施例5で作製した表面酸化純鉄粉末の表面に真空蒸着法によりMg−Zn合金皮膜を形成したMg−Zn合金蒸着表面酸化純鉄粉末を作製し、このMg−Zn合金被覆純鉄粉末を表1に示される圧力のアルゴンガス雰囲気および温度に保持しながら転動することにより水アトマイズ純鉄粉末の表面にMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜が形成されている酸化膜被覆鉄粉末を作製した。このMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜をX線光電子分光装置により分析を行ったところ、堆積酸化膜の素地中に金属Fe微細粒子が分散していることがわかった。
実施例1〜6で得られた酸化膜被覆鉄粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃で30分保持の焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、得られた板状焼成体からなる複合軟磁性材の相対密度、比抵抗を測定してその結果を表1に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損等の磁気特性を測定し、それらの結果を表1に示した。
従来例1
実施例1で用意した水アトマイズ純鉄粉末に対してMgフェライト層を粉末表面に化学的に形成した従来酸化物被覆鉄粉末を作製し、この粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、600℃で30分保持の焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製した。板状焼成体からなる複合軟磁性材の相対密度、比抵抗を測定してその結果を表1に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損等の磁気特性を測定し、それらの結果を表1に示した。
Figure 0004748772
表1に示される結果から、実施例1〜6で作製した酸化膜被覆鉄粉末を使用して作製した複合軟磁性材は、従来例1で作製した酸化物被覆鉄粉末を使用して作製した複合軟磁性材と比べて、密度については大差は無いが、実施例1〜6で作製した酸化膜被覆鉄粉末を使用して作製した複合軟磁性材は、従来例1で作製した酸化膜被覆鉄粉末を使用して作製した複合軟磁性材に比べて、磁束密度が高く、保磁力が小さく、さらに比抵抗が格段に高く、そのため鉄損が格段に小さく、特に周波数が大きくなるほど鉄損が小さくなるなどの特性を有することが分かる。

Claims (10)

  1. 鉄粉末の表面にMg−Zn−Fe−O四元系酸化物を含む堆積酸化膜が形成されている酸化膜被覆鉄粉末において、堆積酸化膜は、その膜厚が5〜500nmであり、素地中に微細なFe粒子が分散し、結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有することを特徴とする酸化膜被覆鉄粉末。
  2. 表面を酸化処理した鉄粉末に、Mg粉末およびZn粉末の混合粉末またはMg−Zn合金粉末を混合して得られた混合粉末を温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で加熱することを特徴とする請求項1に記載の酸化膜被覆鉄粉末の製造方法。
  3. 表面を酸化処理した鉄粉末に、Mg粉末およびZn粉末の混合粉末またはMg−Zn合金粉末を混合して得られた混合粉末を温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で転動させながら加熱することを特徴とする請求項1に記載の酸化膜被覆鉄粉末の製造方法。
  4. 表面を酸化処理した鉄粉末の表面にMg−Zn合金蒸着皮膜を形成し、このMg−Zn合金蒸着層を形成した表面に鉄酸化膜を有する鉄粉末を温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で加熱することを特徴とする請求項1に記載の酸化膜被覆鉄粉末の製造方法。
  5. 表面を酸化処理した鉄粉末の表面にMg−Zn合金蒸着皮膜を形成し、このMg−Zn合金蒸着層を形成した表面に鉄酸化膜を有する鉄粉末を温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で転動させながら加熱することを特徴とする請求項1に記載の酸化膜被覆鉄粉末の製造方法。
  6. 請求項2乃至5のいずれか一項に記載の表面を酸化処理した鉄粉末は、酸化雰囲気中、温度:50〜500℃で加熱することにより製造することを特徴とする酸化膜被覆鉄粉末の製造方法。
  7. 請求項1記載の酸化膜被覆鉄粉末を用いた複合軟磁性材。
  8. 請求項7に記載の複合軟磁性材からなる電磁気回路部品。
  9. 前記電磁気回路部品は、磁心、電動機コア,発電機コア,ソレノイドコア,イグニッションコア,リアクトル,トランス,チョークコイルコアまたは磁気センサコアであることを特徴とする請求項8に記載の電磁気回路部品。
  10. 請求項8または9に記載の前記電磁気回路部品を組み込んだ電気機器。
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