JP2003187638A - グラビア印刷用導電性ペーストおよびその製造方法、ならびに積層セラミック電子部品 - Google Patents

グラビア印刷用導電性ペーストおよびその製造方法、ならびに積層セラミック電子部品

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JP2003187638A
JP2003187638A JP2001387545A JP2001387545A JP2003187638A JP 2003187638 A JP2003187638 A JP 2003187638A JP 2001387545 A JP2001387545 A JP 2001387545A JP 2001387545 A JP2001387545 A JP 2001387545A JP 2003187638 A JP2003187638 A JP 2003187638A
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component
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slurry
powder
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Takayuki Kayatani
孝行 榧谷
Shinya Watanabe
伸也 渡辺
Masayoshi Maeda
昌禎 前田
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Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性ペーストをグラビア印刷に適したもの
とするため、粘度を下げると、金属粉末の沈降が生じ、
粘度を上げると、高速での安定した連続印刷性が得られ
ず、また、平滑性に劣る印刷塗膜しか得られない。 【解決手段】 金属粉末を含む固形成分と分散剤と溶剤
成分とを混合・分散処理17して、第1スラリー18を
得、第1スラリー18にエトキシ基含有率49.6%以
上のエチルセルロース樹脂成分と溶剤成分とを混合し、
分散処理20して、第2スラリー21を得、第2スラリ
ー21から1.0μm以上の塊状物を除去22して、導
電性ペーストを得る。導電性ペーストは、ずり速度0.
1(s-1)での粘度η0.1 が1Pa・s以上であり、ず
り速度0.02(s-1)での粘度η 0.02が、η0.1 ×
1.2≦η0.02≦η0.1 ×3の範囲にあるチキソトロピ
ー流体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、グラビア印刷に
適した導電性ペーストおよびその製造方法、ならびにこ
の導電性ペーストを内部導体膜の形成のために用いて構
成された積層セラミック電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話機に代表されるように、
各種電子機器の小型化が進み、たとえば積層セラミック
コンデンサでは、より一層の薄層化および大容量化が求
められている。積層セラミックコンデンサの薄層化を実
現するためには、積層セラミックコンデンサを製造する
ために用いられるセラミックグリーンシートの厚みのみ
ならず、静電容量を得るための内部電極となる内部導体
膜についても同様の薄層化が必要である。同様のこと
が、積層セラミックコンデンサ以外の積層セラミック電
子部品についても言える。
【0003】内部導体膜を形成するため、通常、導電性
ペーストを用いた印刷が適用されるが、内部導体膜を薄
層化するには、平滑性が良好で、かつ薄く均質な印刷塗
膜を効率良く形成できることが望まれ、そのため、内部
導体膜の形成に用いられる導電性ペーストに含まれる金
属粉末の微粉化が進んでいる。
【0004】また、低コスト化のため、導電性ペースト
に含まれる金属粉末として、ニッケルや銅などの卑金属
からなる粉末を用いるようになってきている。
【0005】従来、導電性ペーストによる内部導体膜の
形成方法として、一般に、スクリーン印刷が用いられて
いる。しかしながら、スクリーン印刷によれば、タクト
時間が長く、生産性が低いため、印刷工程の高効率化が
望まれている。
【0006】そのため、高速で効率良く内部導体膜を形
成する方法として、特開平8−316090号公報、特
開平10−199331号公報および特開平10−33
5167号公報において提案されているグラビア印刷
や、特開平9−237737号公報および特開2000
−76930号公報で提案されている凹版オフセット印
刷がある。
【0007】上述のグラビア印刷において用いられる導
電性ペーストは、スクリーン印刷において用いられる導
電性ペーストとは異なり、グラビア印刷適性を満足させ
るためにチキソトロピー性の発生を極力抑え、かつ粘度
を1Pa・s以下というように低粘度化されている。
【0008】他方、凹版オフセット印刷では、凹版から
転写体への良好な転移を実現できるようにするため、そ
こに用いられる導電性ペーストには、粘度が80Pa・
s以上というような非常に高い領域でチキソトロピー性
を持たせているのが特徴である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】積層セラミック電子部
品において、グラビア印刷により内部電極を形成する場
合、導電性ペーストに対して、高速印刷での印刷適性お
よび分散安定性を有していることが要求される。
【0010】グラビア印刷では、版内の印刷パターン部
分に充填されたペーストが被印刷体上へ直接転写され
る。それゆえ、スクリーン印刷用ペーストや前述した凹
版オフセット印刷用ペーストのように、粘度の高いペー
ストでは、十分な転写性が得られない。つまり、印刷時
にはペーストが十分に流動する必要があり、その流体特
性が、転写性を含めた印刷適性を左右する重要な因子と
なる。
【0011】他方、一般的な出版または包装用途でのグ
ラビア印刷インキとは異なり、導電性ペーストでは、導
電成分となる金属粉末が含有され、また、その含有比率
も高い。そのため、グラビア印刷に適するように粘度が
低くされた導電性ペーストでは、特に非流動時におい
て、金属粉末が沈降するという問題がある。
【0012】この問題を解決するには、導電性ペースト
の非流動時(ずり速度が低い領域)において、導電性ペ
ーストの粘性をある程度以上に保持する必要がある。そ
の反面、グラビア印刷時のような導電性ペーストの流動
時(ずり速度が高い領域)においては、印刷適性を満足
させるために十分な粘度低下が生じるようにしなければ
ならない。
【0013】すなわち、上述のような相反する要望を満
たすようにするために、導電性ペーストは、ずり速度に
よる粘度変化が大きいチキソトロピー流体でなければな
らない。
【0014】また、積層セラミック電子部品に対する薄
層化の要求に伴い、前述したように、内部導体膜につい
ても同様の薄層化が求められ、そのため、導電性ペース
トに含まれる金属粉末の微粉化が進んでいる。
【0015】通常、グラビア印刷により形成された内部
導体膜となる印刷塗膜の表面には、若干ながらも、グラ
ビア版の印刷パターン部分の痕跡としての凹凸が残る。
この印刷塗膜の表面での凹凸は、セラミックグリーンシ
ートが薄くなるにつれて、製品の電気的特性や信頼性に
悪影響をより及ぼす。たとえば、積層数が300層を超
える積層セラミックコンデンサにおいては、若干の凹凸
が蓄積されることにより、生の状態にある積層体の内部
に比較的大きな歪みが生じる。その結果、この歪みが内
部応力となり、焼結後の積層体において、層間剥離やク
ラック等の構造欠陥が発生することがある。
【0016】印刷塗膜の平滑性を上げるためには、導電
性ペーストのレベリング性を向上させる必要がある。レ
ベリング性を向上させるためには、導電性ペーストの流
体特性としての低ずり速度域での粘度上昇を抑制しなけ
ればならない。
【0017】しかしながら、たとえば平均一次粒径が
0.5μm以下というような金属微粉末を用いて分散性
に優れた導電性ペーストを作製した場合、低ずり速度域
で構造粘性を有するため、低ずり速度域での粘度が上昇
する傾向にある。それゆえ、内部導体膜の薄層化と印刷
塗膜の平滑化を併せて実現することは困難である。
【0018】そこで、この発明の目的は、金属粉末の沈
降防止とグラビア印刷適性との双方を満足し、また、金
属微粉末を含む場合であっても、薄層化に対応できる平
滑な印刷塗膜が得られる、グラビア印刷用導電性ペース
トを提供しようとすることである。
【0019】この発明の他の目的は、金属粉末のような
固形成分粉末を優れた分散性をもって分散させた状態で
上述のような導電性ペーストを製造することができる、
グラビア印刷用導電性ペーストの製造方法を提供しよう
とすることである。
【0020】この発明のさらに他の目的は、上述した導
電性ペーストを内部導体膜の形成のために用いて構成さ
れた積層セラミック電子部品を提供しようとすることで
ある。
【0021】
【課題を解決するための手段】この発明は、複数のセラ
ミック層およびセラミック層間の特定の界面に沿って延
びる内部導体膜を備える積層セラミック電子部品におけ
る内部導体膜をグラビア印刷によって形成するために用
いられる導電性ペーストに、まず、向けられる。
【0022】この発明に係る導電性ペーストは、前述し
た技術的課題を解決するため、金属粉末を含む30〜7
0重量%の固形成分と、1〜10重量%のエトキシ基含
有率が49.6%以上のエチルセルロース樹脂成分と、
0.05〜5重量%の分散剤と、残部としての溶剤成分
とを含み、ずり速度0.1(s-1)での粘度η0.1 が1
Pa・s以上であり、かつ、ずり速度0.02(s-1
での粘度η0.02が下式で表わされる条件を満たす、チキ
ソトロピー流体であることを特徴としている。
【0023】η0.1 ×1.2≦η0.02≦η0.1 ×3 上述した固形成分は、セラミック粉末を含んでいてもよ
い。
【0024】また、金属粉末は、卑金属を含む粉末、よ
り特定的には、ニッケルを含む粉末であることが好まし
い。
【0025】また、金属粉末は、その平均一次粒径が
0.5μm以下であることが好ましい。
【0026】また、エチルセルロース樹脂成分は、重量
平均分子量が5000以上であることが好ましい。
【0027】また、分散剤は、脂肪酸、より特定的に
は、ステアリン酸もしくはオレイン酸またはこれらいず
れかの金属塩を含むものであることが好ましい。
【0028】これに代えて、分散剤は、アニオン性分散
剤を含んでいてもよい。この場合、アニオン性分散剤
は、重合反応体であり、その重量平均分子量が4500
以上であることが好ましい。アニオン性分散剤として
は、カルボン酸、スルホン酸もしくはリン酸またはこれ
らいずれかの中和塩を有するモノマーを含むものが好適
に用いられる。
【0029】この発明は、また、上述のような導電性ペ
ーストを製造する方法にも向けられる。
【0030】この発明に係る導電性ペーストの製造方法
は、前述した技術的課題を解決するため、固形成分と分
散剤と溶剤成分とを含む第1ミルベースを混合および分
散処理することによって、第1スラリーを得る、1次工
程と、第1スラリーに樹脂成分と溶剤成分とを混合した
第2ミルベースを分散処理することによって、第2スラ
リーを得る、2次工程と、第2スラリーから1.0μm
以上の塊状物を除去する、3次工程とを備えることを特
徴としている。
【0031】上述した3次工程の後、溶剤成分の一部を
除去することによって、導電性ペースト中の溶剤比率を
調整する、4次工程をさらに備えていてもよい。
【0032】また、4次工程は、好ましくは、加熱およ
び減圧の少なくとも一方を適用して溶剤成分の一部を蒸
発除去する工程を含む。
【0033】また、3次工程において塊状物を除去する
前の第2スラリーの粘度は、0.5Pa・s以下に調整
されていることが好ましい。
【0034】また、3次工程は、目開きが金属粉末の平
均一次粒径の2倍以上かつ20μm以下であるフィルタ
を用いて塊状物を除去する工程を含むことが好ましい。
【0035】また、3次工程は、圧力1.5kg/cm
2 未満の加圧濾過により塊状物を除去する工程を含むこ
とが好ましい。
【0036】また、3次工程において、好ましくは、2
段以上の多段濾過が適用される。
【0037】なお、3次工程において、フィルタが用い
られるとき、このフィルタは、デプスタイプであって
も、サーフェスタイプであってもよい。
【0038】この発明は、さらに、複数のセラミック層
およびセラミック層間の特定の界面に沿って延びる内部
導体膜を備える、積層セラミック電子部品にも向けられ
る。この発明に係る積層セラミック電子部品は、上述の
内部導体膜が、前述したような、この発明に係る導電性
ペーストを焼成して得られた焼結体からなることを特徴
としている。
【0039】この積層セラミック電子部品は、好ましく
は、積層セラミックコンデンサに適用される。この場
合、内部導体膜は、セラミック層を介して静電容量が得
られるように配置され、さらに、積層セラミック電子部
品は、複数のセラミック層をもって構成される積層体の
外表面上に形成され、かつ静電容量を取り出すため内部
導体膜の特定のものに電気的に接続される外部電極を備
えている。
【0040】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に係るグラビア
印刷用導電性ペーストを用いて構成される積層セラミッ
ク電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサ1
を図解的に示す断面図である。
【0041】積層セラミックコンデンサ1は、積層体2
を備えている。積層体2は、積層される複数の誘電体セ
ラミック層3と、複数の誘電体セラミック層3の間の特
定の複数の界面に沿ってそれぞれ形成される複数の内部
導体膜4および5とを備えている。
【0042】内部導体膜4および5は、積層体2の外表
面にまで到達するように形成されるが、積層体2の一方
の端面6にまで引き出される内部導体膜4と他方の端面
7にまで引き出される内部導体膜5とが、積層体2の内
部において、誘電体セラミック層3を介して静電容量が
得られるように交互に配置されている。
【0043】上述の静電容量を取り出すため、積層体2
の外表面上であって、端面6および7上には、内部導体
膜4および5の特定のものに電気的に接続されるよう
に、外部電極8および9がそれぞれ形成されている。ま
た、外部電極8および9上には、ニッケル、銅などから
なる第1のめっき層10および11がそれそれ形成さ
れ、さらにその上には、半田、錫などからなる第2のめ
っき層12および13がそれぞれ形成されている。
【0044】このような積層セラミックコンデンサ1に
おいて、内部導体膜4および5は、以下に詳細に説明す
るような導電性ペーストを、誘電体セラミック層3とな
るべきセラミックグリーンシート上にグラビア印刷によ
って付与し、これを焼成して得られた焼結体から構成さ
れる。
【0045】導電性ペーストは、金属粉末を含む30〜
70重量%の固形成分と、1〜10重量%のエトキシ基
含有率が49.6%以上のエチルセルロース樹脂成分
と、0.05〜5重量%の分散剤と、残部としての溶剤
成分とを含むことを特徴とするとともに、ずり速度0.
1(s-1)での粘度η0.1 が1Pa・s以上であり、か
つ、ずり速度0.02(s-1)での粘度η0.02が、η
0.1 ×1.2≦η0.02≦η 0.1 ×3の式で表わされる条
件を満たす、チキソトロピー流体であることを特徴とし
ている。
【0046】なお、導電性ペーストの粘度は、測定温度
25±5℃において、測定方式がずり速度制御方式によ
る回転式粘度測定機によって測定した粘度を示してい
る。この測定装置を用いることにより、任意のずり速度
での粘度を測定できる。
【0047】このような導電性ペーストを用いて、図1
に示した積層セラミックコンデンサ1における内部導体
膜4および5のような積層セラミック電子部品に備える
内部導体膜をグラビア印刷により形成することにより、
良好な生産効率をもって、積層セラミックコンデンサ1
のような積層セラミック電子部品を製造することができ
る。
【0048】前述したように、導電性ペーストの、ずり
速度0.1(s-1)というような低いずり速度域での粘
度η0.1 を1Pa・s以上とすることによって、金属粉
末のような固形成分粉末の沈降を防止することができ
る。また、この導電性ペーストは、チキソトロピー流体
であるため、グラビア印刷時の高いずり速度域では、十
分な粘度低下が起こり、良好な印刷適性を得ることがで
きる。
【0049】また、樹脂成分として、エトキシ基含有率
が49.6%以上のエチルセルロースを用いることによ
って、ずり速度0.1(s-1)以下のずり速度範囲での
粘度上昇を抑制することができ、薄層化かつ多層化に対
応可能な表面が平滑な印刷塗膜を得ることができる。
【0050】以下に、この発明に係る導電性ペーストに
よって得られる上述の作用についてより詳細に説明す
る。
【0051】ずり速度0.1(s-1)というような低い
ずり速度において、導電性ペーストの粘度が低い場合、
比重の大きい金属粉末が沈降するため、導電性ペースト
は分相する。また、金属粉末として、磁性をもつニッケ
ル粉末を用いると、その平均一次粒径が小さくなればな
るほど、ニッケル粉末間の相互作用が強まり、凝集しや
すくなる。その結果、凝集した粉末がフロック体を形成
して沈降するため、導電性ペーストの分散性が損なわれ
る。
【0052】したがって、金属粉末として、微粉末、特
に凝集しやすいニッケル微粉末を含む導電性ペーストに
おいては、金属粉末間の相互作用を弱め、凝集を防止す
る必要がある。また、同時に、比重差による金属粉末の
沈降を防止するためには、導電性ペーストに対して、ず
り速度0.1(s-1)で1Pa・s以上の粘度が求めら
れる。
【0053】導電成分である金属粉末間の相互作用を弱
め、分散性を向上させるためには、樹脂成分や分散剤等
の有機物成分を金属粉末に対して均質に吸着させること
が有効である。この均質な吸着は、後述する導電性ペー
ストの製造方法によって有利に達成することができる。
有機物成分の均質な吸着により、金属粉末の各々は、そ
の表面が有機物による吸着層で覆われた状態となって導
電性ペースト中に存在する。それゆえ、個々の金属粉末
は、吸着層を介して隣接するため、金属粉末間の相互作
用による凝集が生じにくく、また、フロック体も形成さ
れにくい。
【0054】また、上述のような均質な吸着層を形成す
ることにより、この発明に係る導電性ペーストは、ずり
速度による粘度変化の大きいチキソトロピー流体として
の特性を示す。均質な吸着層に覆われた金属粉末は、低
ずり速度域では、吸着層を形成している有機物成分の化
学的な相互作用により、吸着層を介した擬似的なネット
ワーク構造体を形成する。それによって、金属粉末の流
動が抑制されるため、導電性ペーストの粘度は、低ずり
速度域で大きく上昇する。したがって、吸着層を介した
擬似的なネットワーク構造体の形成とそれに伴う粘度上
昇により、導電性ペーストが流動しない低ずり速度域で
1Pa・s以上の粘度を保持でき、金属粉末の沈降を防
止することができる。
【0055】他方、上述のように低ずり速度域で形成さ
れたネットワーク構造体は、グラビア印刷時のように高
いずり速度が加わる領域では破壊される。ネットワーク
構造体は、たとえば吸着層を形成している有機物成分の
官能基間での水素結合のような擬似的な結合で構成され
ているものであるため、ある一定以上の応力が加わる
と、この結合は簡単に切断される。このように、ネット
ワーク構造体が破壊されると、吸着層に覆われた金属粉
末は、その一次粒子に近い状態で自由に流動することが
できる。したがって、高ずり速度域では、導電性ペース
トの粘度低下が大幅に生じるため、良好な印刷適性が得
られ、版詰まりによる転写不良やかすれ等の不具合が発
生しない。
【0056】さらに、薄層化かつ多層化に対応するため
には、印刷塗膜に対して、積層体における内部歪みが発
生しない程度の表面の平滑性が要求される。前述したよ
うに、一般に、グラビア印刷で形成した印刷塗膜の表面
には、グラビア版の印刷パターン部分の痕跡が若干なが
らも存在する。この痕跡は、導電性ペーストの粘度が高
いほど、より顕著に現れる傾向にある。たとえば、積層
セラミックコンデンサにおいては、この痕跡が製品特性
のすべてを左右する致命的な欠陥とは必ずしもならない
が、薄層化かつ多層化が進む積層セラミック電子部品に
とっては、積層体の内部歪みを増加させる原因となり、
歩留まりや製品の信頼性に大きく影響する。
【0057】したがって、良好な生産効率をもって、よ
り高い信頼性を有する積層セラミック電子部品を得るた
めには、印刷塗膜の表面の平滑性をできるだけ良好にす
る必要がある。そこで、グラビア印刷後の塗膜の形態と
導電性ペーストの流体特性とについて調査した結果、低
ずり速度域での粘度上昇が印刷塗膜の表面状態に影響す
ることがわかった。
【0058】印刷塗膜の表面を平滑にするためには、転
写された導電性ペーストが十分にレベリングされる必要
がある。しかし、導電性ペーストのフローカーブを観察
すると、ずり速度0.1(s-1)未満の領域で急激に粘
度が上昇するため、流動性が低下する。そのために、十
分なレベリング効果が得られない。このような急激な粘
度上昇は、前述したように、吸着層の相互作用により、
導電性ペースト内でネットワーク構造体が形成されるた
めである。したがって、導電性ペーストのレベリング性
を向上させるには、ずり速度0.1(s-1)未満の領域
での粘度上昇を緩和させることによって、導電性ペース
トの流動性を維持する必要がある。
【0059】そのため、ネットワーク構造体を形成する
金属粉末表面上の吸着層間の相互作用を弱める必要があ
る。つまり、吸着層間の相互作用を弱めることによっ
て、ネットワーク構造体の形成を抑制することができ
る。
【0060】しかしながら、吸着層間の相互作用が弱す
ぎると、低ずり速度域での導電性ペーストの粘度が低く
なりすぎるため、比重の大きい金属粉末は沈降してしま
う。そのため、導電性ペースト中にネットワーク構造体
が形成されるずり速度0.1(s-1)の領域での粘度変
化をコントロールする必要がある。ずり速度0.1(s
-1)以下の非常に低いずり速度域では、粘度の測定に限
界があるため、この発明では、粘度変化を把握するため
の下限値として、0.02(s-1)を採用している。
【0061】すなわち、印刷塗膜の十分なレベリング効
果を得るためには、ずり速度0.02(s-1)での粘度
η0.02は、ずり速度0.1(s-1)での粘度η0.1 を基
準とした下式で表わされるチキソトロピー流体であるこ
とが必要である。
【0062】η0.1 ×1.2≦η0.02≦η0.1 ×3 η0.1 ×1.2>η0.02の場合、粘度上昇が小さいの
で、レベリング性は良好であるが、その反面、にじみや
垂れの発生により、印刷塗膜の最外周部およびエッジ部
の形状が乱れ、均質な印刷塗膜が得られず、内部導体膜
における断線等の不具合の原因となる。
【0063】他方、η0.1 ×3<η0.02の場合には、粘
度上昇が大きいため、印刷塗膜の表面のレベリングが不
十分であり、印刷塗膜において、十分な平滑化を実現す
ることが困難になる。
【0064】したがって、平滑でありかつ良好な形状を
有する印刷塗膜を得るためには、ずり速度0.1
(s-1)および0.02(s-1)の各々における粘度が
前記式で規定された関係を満たすことが必要である。
【0065】次に、前記式で規定された粘度変化を実現
するための吸着層間の相互作用を弱め得る方策を検討し
た結果、導電性ペーストに含まれる樹脂成分として、エ
トキシ基含有率が49.6%以上のエチルセルロースを
用いることが有効であることがわかった。これは、化学
的に疎水性であり、物理的な立体障害となり得るエトキ
シ基の含有比率が高いことによって、吸着層間の距離を
適度に保つことができるためである。
【0066】エトキシ基含有率が49.5%以下の場
合、エトキシ基の化学的かつ物理的効果による吸着層間
の相互作用を弱める効果が少ない。その結果、ずり速度
0.02〜0.1s-1における導電性ペーストの粘度上
昇をコントロールして、印刷塗膜の平滑化を実現するこ
とが困難になる。なお、印刷適性に関しては、エトキシ
基含有率に関係なく、樹脂成分としてエチルセルロース
を用いると、良好な印刷性を得ることができる。
【0067】以上のように、この発明に係る導電性ペー
ストによれば、金属粉末表面へ均質に有機物成分を吸着
させることにより、低ずり速度域での金属粉末の沈降防
止を目的とした粘度確保と、印刷適性を満足させるため
の高ずり速度域での大きな粘度低下、および金属粉末の
表面上の吸着層間の相互作用のコントロールによる印刷
塗膜の平滑性向上を併せて実現することができる。
【0068】この発明に係る導電性ペーストにおいて、
金属粉末を含む固形成分の含有比率は、前述したよう
に、30〜70重量%とされる。この範囲で固形成分の
比率を調整することにより、目的とする印刷塗膜厚みを
安定して得ることができる。
【0069】固形成分の含有比率が30重量%未満の場
合、印刷塗膜中の固形成分の密度、より特定的には、金
属粉末の密度が低くなり過ぎる。その結果、図1に示し
た積層セラミックコンデンサ1について言えば、焼結時
において内部導体膜4および5の断線などの不具合が生
じ、内部導体膜4および5の有効面積にばらつきが生
じ、安定した電気的特性を有する積層セラミックコンデ
ンサ1を得ることができない。また、ずり速度0.1
(s-1)において1Pa・s以上の粘度を得ることが難
しくなり、固形成分の主成分となる金属粉末の沈降によ
る分散性の低下を引き起こす。
【0070】他方、固形成分の含有比率が70重量%を
超えると、グラビア印刷時に版詰まりによる印刷塗膜厚
みのばらつき等の不具合が多々発生する。
【0071】上述した固形成分は、金属粉末の他、セラ
ミック粉末を含んでいてもよい。図1に示した積層セラ
ミックコンデンサ1について言えば、導電性ペーストを
もって形成された内部導体膜4および5と誘電体セラミ
ック層3となるべきセラミックグリーンシートとを積層
した構造を有する生の状態の積層体2を高温で焼成した
場合、内部導体膜4および5となる導電性ペーストに含
まれる金属粉末とセラミックグリーンシートに含まれる
セラミックとの間で焼結温度に差があると、積層体2の
内部に焼結収縮のずれによる応力が発生するため、積層
体2において、剥がれやクラック等が発生する。固形成
分にセラミック粉末を含ませることにより、これらの弊
害を生じにくくすることができる。
【0072】固形成分に含まれる金属粉末としては、ニ
ッケル、銅等の卑金属からなる粉末、特にニッケル粉末
を有利に用いることができる。銀やパラジウムなどの貴
金属からなる金属粉末も用いることができるが、上述の
ように、卑金属粉末を用いることにより、積層セラミッ
クコンデンサ1のような積層セラミック電子部品をより
安価に製造することが可能となる。
【0073】金属粉末の平均一次粒径は、0.5μm以
下であることが望ましい。今後、積層セラミックコンデ
ンサ1のような積層セラミック電子部品に対しては、さ
らなる小型化かつ低背化が進むことが望まれている。そ
のため、積層セラミック電子部品に備える内部導体膜の
厚みを可能な限り薄くすることが望ましく、このような
内部導体膜の薄層化のためには、金属粉末の粒径を小さ
くする必要がある。金属粉末の平均一次粒径が0.5μ
m以下とされると、上述のような内部導体膜の薄層化に
十分対応することが可能になる。
【0074】他方、金属粉末の平均一次粒径が0.5μ
mを超えると、内部導体膜の物理厚みを厚くせざるを得
ず、薄層化の要求に十分に対応することが困難になる。
ただし、金属粉末の平均一次粒径が0.5μmを超えた
場合においても、目的に応じた平均一次粒径を有する金
属粉末を適宜用いることは可能であり、この発明によっ
て得られる効果に変わりはない。
【0075】なお、金属粉末の粒径の下限については、
特に規定はしない。積層セラミック電子部品の製造にあ
たって、セラミックとの同時焼成が可能な粒径であれ
ば、この発明による効果が得られる。
【0076】この発明に係る導電性ペーストにおいて、
前述したように、エトキシ基含有率が49.6%以上の
エチルセルロース樹脂成分の含有比率は、1〜10重量
%とされる。
【0077】この樹脂成分の比率が1重量%未満である
と、印刷塗膜の強度が十分でなく、密着不足やブロッキ
ング不良による不具合が発生する。また、導電性ペース
ト中での固形成分に対する樹脂成分の存在量が少なくな
るため、樹脂成分が金属粉末のような固形成分粉末に対
して均質に吸着することが困難になる。その結果、分散
性の低下や固形成分粉末の凝集を引き起こし、この発明
によって得ようとする導電性ペーストの流体特性を実現
することができない。
【0078】他方、樹脂成分の比率が10重量%より多
くなると、導電性ペーストの粘度上昇のため、版詰まり
による印刷精度の低下、溶剤成分の乾燥性の低下などの
不具合が発生する。また、積層セラミック電子部品を得
るための生の積層体中の有機物量が増加するため、脱脂
性の低下による構造欠陥等が発生して、積層セラミック
電子部品の特性低下および歩留まりの低下を引き起こ
す。
【0079】用いられるエチルセルロース樹脂成分は、
重量平均分子量が5000以上であることが好ましく、
10000以上であることがより好ましい。重量平均分
子量が5000未満であると、金属粉末のような固形成
分粉末への吸着−離脱が短時間のサイクルで進行するた
め、固形成分粉末に対する吸着性が十分でなくなる。そ
の結果、分散性の低下により、経時的に安定したペース
ト粘度を得ることができない。なお、この問題は、この
発明に係る導電性ペーストにとっては、致命的な問題で
はない。
【0080】この発明に係る導電性ペーストにおいて、
分散剤の含有比率は、前述したように、0.05〜5重
量%とされる。分散剤の添加量は、直接、導電性ペース
トの分散性に影響するため、固形成分の含有比率に応じ
て、上記の範囲内で使い分けられる。
【0081】分散剤の含有比率が0.05重量%未満の
場合、金属粉末のような固形成分粉末の表面への分散剤
の吸着量が十分でないため、分散性が低下して、固形成
分粉末の凝集により、印刷塗膜上の塊状物が増加して、
積層セラミック電子部品の特性が低下する。
【0082】他方、分散剤の含有比率が5重量%より多
いと、積層セラミック電子部品を得るための生の積層体
中の有機物量が増加するため、脱脂性の低下による構造
欠陥等が発生し、得られた積層セラミック電子部品の特
性低下および歩留まり低下を引き起こす。
【0083】分散剤としては、高分子タイプのアニオン
性分散剤または低分子タイプの脂肪酸系の分散剤を用い
ることができ、溶剤成分との相溶性のあるものを適宜選
択して用いればよい。
【0084】アニオン性分散剤としては、代表例とし
て、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメ
タクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、リン酸エステ
ル含有樹脂、マレイン酸、スルホン酸含有樹脂、ポリオ
キシアルキレン、酸変性アミド樹脂等の単体、またはこ
れら複数のものの組み合わせからなる共重合体があり、
重量平均分子量が4500以上の重合反応体であること
が好ましい。
【0085】重量平均分子量が4500未満であると、
固形成分粉末への吸着−離脱が短時間のサイクルで進行
するため、固形成分粉末に対する吸着性が十分でなくな
る。なお、この問題は、この発明に係る導電性ペースト
にとって致命的な問題ではない。
【0086】脂肪酸系の分散剤としては、飽和、不飽和
構造に関らず、代表例として、ステアリン酸、オレイン
酸またはこれらいずれかの金属塩を適宜用いることがで
き、溶剤成分と相溶性のあるものを選択して用いればよ
い。
【0087】分散剤の、金属粉末のような固形成分粉末
への吸着メカニズムは、酸−塩基相互作用によると考え
られており、有機溶剤を用いた系では、非共有電子対の
授受、つまりルイス論に基づく酸−塩基相互作用が支配
的であると考えられる。一般的な吸着形態として、ルー
プ・トレイン・テール構造が知られている。導電性ペー
ストのチキソトロピー性をコントロールする場合、分散
剤の構造の中で固形成分粉末に吸着する官能基部を基準
にして、テール状に広がる側鎖構造を導入することによ
り、固形成分粉末同士の相互作用をコントロールするこ
とが可能である。
【0088】たとえば、物理的には、側鎖部に鎖数の多
いアルキル基等を導入することにより、その側鎖が立体
障害となり、固形成分粉末同士の相互作用を弱めること
ができる。
【0089】また、化学的には、側鎖部に導入する官能
基の水素結合性をコントロールすることにより、固形成
分粉末同士の相互作用の程度をコントロールすることが
可能である。
【0090】実際には、樹脂成分や分散剤について、上
記の物理的作用および化学的作用の双方を考慮しなが
ら、固形成分粉末間の相互作用を適正にコントロールで
きるように、材料および含有比率が選ばれる。
【0091】一般に、ニッケルや銅などの金属粉末、あ
るいはセラミック粉末などの表面が反応性に富む無機酸
化物粉末は、空気中の酸素および水分との反応により、
その表面が酸化膜または水酸化膜で覆われた塩基性を示
している。つまり、酸化膜または水酸化膜で覆われてい
る固形成分粉末の表面に対して電子対授受による反応が
活性となる有機物成分が存在する状態で、固形成分粉末
の分散を行なうことにより、固形成分粉末の表面へ均質
に有機物成分を吸着させることができる。
【0092】この発明に係る導電性ペーストに含まれる
溶剤成分としては、たとえば、アルコール類、テルペン
系、ケトン系、エーテル系、エステル系、炭化水素系、
多価アルコール系等の溶剤を、単独または相溶性のある
ものを複数組み合わせて、適宜用いることができる。な
お、この溶剤成分は、導電性ペーストに含まれる樹脂成
分および分散剤の双方を溶解するが、セラミックグリー
ンシート中の有機物成分を溶解しない性質を持つものが
望ましい。
【0093】溶剤成分の沸点は、50℃以上かつ250
℃未満であることが望ましい。沸点が50℃未満の場
合、印刷時などに溶剤成分の蒸発が速過ぎるため、導電
性ペーストの粘度上昇や固形成分の凝集により、安定し
た印刷適性が得られず、印刷等の作業性が大きく低下す
る。他方、溶剤成分の沸点が250℃以上であると、印
刷塗膜の乾燥性が低くなり過ぎ、高速印刷に対応できな
くなる。
【0094】前述したように、ずり速度による粘度変化
が大きい流体特性を示す、この発明に係る導電性ペース
トを得るためには、固形成分粉末の表面へ有機物の均質
な吸着層を形成し、導電性ペーストの分散性を向上させ
る必要がある。
【0095】そのため、たとえば3本ロールを用いた分
散方法が従来からあるが、固形成分と、樹脂成分および
分散剤からなる有機成分と、溶剤成分とから構成される
ミルベースの粘度が高いため、3本ロールによる分散方
法では、分散剤等を固形成分粉末の表面へ均質に吸着さ
せることが困難である。また、樹脂成分は、分散剤が固
形成分粉末の表面に吸着することを阻害するという問題
もある。そこで、分散剤を固形成分粉末の表面に予め吸
着させた後に、樹脂成分を添加する方法も考えられる。
しかし、この方法によっても、3本ロールを用いた分散
方法の場合、固形成分、分散剤および溶剤成分のみで
は、ミルベースの粘度が低いため、固形成分を十分に分
散させることが困難であるという問題がある。
【0096】そこで、この発明においては、導電性ペー
ストを得るため、次のような製造方法が有利に用いられ
る。図2を参照して説明する。
【0097】まず、固形成分と分散剤と溶剤成分とを含
む第1ミルベース16が用意され、これらを混合および
分散処理する1次工程17を実施して、第1スラリー1
8を得る。
【0098】次いで、第1スラリー18に樹脂成分と溶
剤成分とを混合した第2ミルベース19を作製し、これ
らを分散処理する2次工程20を実施して、第2スラリ
ー21を得る。
【0099】次に、第2スラリー21から1.0μm以
上の塊状物を除去する、3次工程22を実施し、目的と
する導電性ペーストを得ることができる。
【0100】得ようとする導電性ペーストにおいて要求
されるペースト粘度、用いる金属粉末による分散性の違
い等に応じて、上述した3次工程22の後、溶剤成分の
一部を除去することによって、導電性ペースト中の溶剤
比率を調整する、4次工程23が実施されてもよい。
【0101】たとえば、金属粉末として、凝集しやすい
ニッケル微粉末を用いた場合、ニッケル粉末の解砕性、
ニッケル粉末表面への有機物成分の吸着、および再凝集
防止による分散安定化を効率良く行なうため、ミルベー
スの分散は、より低粘度で行なった方が好ましく、この
ような場合には、4次工程23が実施される。
【0102】4次工程23を実施する場合には、1次な
いし3次工程17、20および22での任意の過程で溶
剤成分を予め過剰量添加しておくことにより、ミルベー
スの低粘度化が可能となる。また、スラリー18または
21も低粘度となるため、3次工程22での塊状物除去
の作業効率も向上し、加えて、微粉化された固形成分に
対しても、十分な解砕および分散性を付与することが可
能となる。
【0103】このように、4次工程23が実施される場
合、この4次工程23では、導電性ペーストに含まれる
溶剤成分の一部が除去されるが、溶剤成分が単一成分か
ら構成される場合には、その一部、溶剤成分が複数成分
から構成される場合には、その中で最も沸点が低い溶剤
の一部または全部が除去される。
【0104】また、このような溶剤成分の除去方法とし
ては、たとえば、加熱、減圧またはこれら双方を適用す
ることができ、生産効率を考慮した場合、加熱および減
圧の双方を併用することが好ましい。
【0105】過剰添加した溶剤成分は、4次工程23に
おいて、導電性ペーストから除去される。その際、導電
性ペーストの粘度は、溶剤成分の除去量に応じて上昇す
るが、既に、金属粉末のような固形成分粉末へ有機物成
分が均質に吸着しており、また、分散状態も安定化して
いるため、粘度が上昇しても、良好な分散性は維持され
たままの状態に保たれることができる。
【0106】上述の図2に示した導電性ペーストの製造
方法を採用すれば、1次工程17で、固形成分と分散剤
とを分散処理することにより、分散剤の、固形成分粉末
表面への吸着を効率良くかつ均質に行なうことができ
る。
【0107】1次工程17においては、まず、分散剤を
固形成分粉末表面へ優先的に吸着させるため、ここで樹
脂成分を添加する場合には、樹脂成分の添加量は、導電
性ペーストの設計組成比における樹脂成分の総含有量の
1/3以下とすることが好ましい。
【0108】このように、1次工程17において、固形
成分粉末表面へ分散剤、場合によっては、さらに樹脂成
分を効率良くかつ均質に吸着させるため、固形成分粉末
表面を有機物成分により安定して覆うことができ、固形
成分粉末間の相互作用による凝集を防止することができ
る。また、この均質な吸着層により、低ずり速度域で固
形成分粉末の吸着層を介した構造体が形成されるため、
低ずり速度域でのペースト粘度を上げることができる。
【0109】次に、2次工程20では、第1スラリー1
8に、樹脂成分を、溶剤成分とともに添加し、分散処理
されるが、既に1次工程17において、固形成分粉末の
表面に分散剤が吸着しているため、樹脂成分と固形成分
との親和性は良好であり、固形成分粉末の表面にさらに
安定した吸着層を形成することができる。
【0110】これら1次および2次工程17および20
が、この発明に係る導電性ペーストの流体特性を左右す
る重要な過程であり、安定な吸着層の形成によって、固
形成分粉末間の相互作用を弱めることができ、ずり速度
による粘度変化率の比較的大きいチキソトロピー性を示
す導電性ペーストを得ることができる。
【0111】1次および2次工程17および20の各々
において実施される分散処理には、低粘度ミルベースの
分散に適した分散機を適宜用いることができる。用い得
る分散機としては、たとえば、インペラー分散機、ホモ
ジナイザー分散機、ポット分散機、サンドミル分散機等
が挙げられる。なお、一般には、1次工程17と2次工
程20とにおいて、同一の分散機が用いられるが、分散
させるべきミルベースの粘度、分散機の生産性および特
性を考慮して、異なる分散機が用いられてもよい。
【0112】固形成分としては、金属粉末、その合金粉
末、セラミック等の無機酸化物粉末というように、種々
の粉末が用いられる可能性がある。このようなとき、そ
れぞれの粉末について、最適な分散剤、スラリー組成、
分散条件等が異なる場合がある。
【0113】上述のような場合、各粉末について、最適
な分散剤、スラリー組成、分散条件等の下で分散処理し
て得られた複数のスラリーを混合することによって、第
1スラリー18または第2スラリー21を得るようにし
てもよく、また、複数の第2スラリー21から希釈溶剤
を除去して、複数の中間ペーストを得た後に、これらを
混合して、目的とする最終組成の導電性ペーストを得る
ようにしてもよい。
【0114】また、3次工程22では、前述したよう
に、第2スラリー21中に存在する塊状物(印刷面に現
れる突起物)が除去される。この塊状物は、第2スラリ
ー21中に含まれる固形成分粉末の未分散物、いずれか
の工程において混入される異物、樹脂成分や分散剤など
の有機物成分の不溶解物などからなることが、分析によ
り判明している。このような塊状物を含んだ状態の導電
性ペーストで内部導体膜を形成すると、薄層化が進む積
層セラミック電子部品では、この塊状物がセラミックグ
リーンシートを貫き、得られた積層セラミック電子部品
の信頼性および歩留まりを著しく低下させるという問題
を引き起こすため、導電性ペーストの製造過程の中で除
去しておく必要がある。
【0115】この3次工程22において塊状物を除去す
る前の第2スラリー21の粘度は、0.5Pa・s以下
に調整しておくことが好ましい。ここでの粘度は、測定
温度25±5℃およびずり速度10(s-1)の条件に
て、回転式粘度測定機によって測定した粘度を示してい
る。
【0116】第2スラリー21が0.5Pa・sを超え
る粘度であると、細かなフィルタを通過させる際の差圧
が大きくなるため、通常、濾過時間が長くなり、生産性
を低下させる。第2スラリー21を低粘度化しておくこ
とにより、塊状物除去工程としての3次工程22での濾
過時間を短縮でき、生産効率を向上させることができ
る。
【0117】第2スラリー21の低粘度化は、第2スラ
リー21の加温または第2スラリー21への溶剤添加に
よって可能である。たとえば、4次工程23を実施しな
い場合には、第2スラリー21の加温を行なうことが好
ましく、4次工程23を実施する場合には、第2スラリ
ー21の加温および溶剤添加の一方または双方を適用す
ることができる。また、前述したように、4次工程23
を実施する場合には、塊状物除去工程としての3次工程
22の前段階に限らず、1次工程17または2次工程2
0において、設計値より過剰量の溶剤をミルベース16
または19へ添加しておくことによって、第2スラリー
21の低粘度化を図ってもよい。
【0118】3次工程22において実施される第2スラ
リー21に含まれる塊状物除去は、目開きが導電性ペー
ストに含まれる金属粉末の平均一次粒径の2倍以上かつ
20μm以下であるフィルタを用いて、圧力1.5kg
/cm2 未満の加圧濾過によって行なうことが好まし
い。
【0119】用いられるフィルタは、濾過精度の高いも
のであれば、どのような形状のものでもよい。カートリ
ッジ式、カプセル式などのフィルタが、濾過精度および
使用の容易さの点で適している。濾過時のスラリー流量
および差圧については、特に限定しないが、使用するフ
ィルタの設定耐圧以下で運転する必要がある。
【0120】濾過時の圧力が1.5kg/cm2 以上と
高く設定すると、濾過時間を短縮できるが、ゲル状の有
機物成分までもがフィルタを通過するため、濾過精度の
点からも、できる限り、濾過圧力を低くした低差圧状態
での使用が好ましい。この発明に係る導電性ペーストの
製造方法では、低粘度スラリーの状態で濾過を行なうこ
とができるので、1.5kg/cm2 未満の加圧であっ
ても、良好な生産効率をもってスラリーを濾過すること
ができる。したがって、濾過圧力は、スラリー粘度によ
って適宜調整すればよい。
【0121】3次工程22において用いるフィルタの目
開きについて、これが20μmを超えると、金属粉末の
損失量は少なくなるが、粗粒が除去されないために、導
電性ペースト中に塊状物が残存する。したがって、3次
工程22での塊状物除去の目的が達成されない。
【0122】また、最も小さい塊状物を除去するための
フィルタには、導電性ペーストに含まれる金属粉末の平
均一次粒径の2倍の目開きを有するフィルタを用いるの
が効果的である。たとえば、平均一次粒径が0.2μm
の金属粉末を用いる場合、目開きが0.4μmのフィル
タを用いるのが効果的である。通常、金属粉末は、任意
の幅の粒度分布をもっている。そのため、平均一次粒径
と実質的に同じ目開きのフィルタでは、ほとんどの場
合、金属成分の大部分が除去されてしまうため、好まし
くない。
【0123】フィルタの種類としては、綿繊維やガラス
繊維を巻き込んだ糸巻き式などのデプスタイプ、あるい
はポリテトラフルオロエチレンのメンブレン式やポリプ
ロピレンの不織布などを使用したサーフェスタイプのい
ずれでもよい。導電性ペーストの製造において使用され
る溶剤に対する耐性など考慮して、用いるべきフィルタ
の材質および構造を適宜選択すればよい。
【0124】濾過処理されるペースト中からゲル状樹脂
のような変形する不純物を除去する場合には、糸巻き式
などのデプスタイプのフィルタを使用することが好まし
い。
【0125】また、たとえば積層セラミックコンデンサ
1のように、誘電体セラミック層3となるべきセラミッ
クグリーンシートの厚みが薄い状況において内部導体膜
を形成するために用いられる導電性ペーストを製造する
場合には、濾過精度の高いメンブレン式などのサーフェ
スタイプのフィルタを用いることが好ましい。また、糸
巻き式などのデプスタイプおよびメンブレン式などのサ
ーフェスタイプの各々のフィルタを組み合わせて使用す
ることによっても、より高い濾過精度を達成できる。
【0126】このような精密フィルタによる濾過を行な
えば、ある程度の固形成分が除去されてしまう。通常、
導電性ペーストは、固形成分の含有量により、印刷など
による膜形成時の塗布厚みを調整している。そのため、
濾過の結果、固形成分の含有量が設計値より低下してし
まうと、目的とする塗布厚みを得られないという問題が
発生する。
【0127】そこで、濾過前のペースト中の固形成分含
有量を設計値より高めに設定し、濾過による固形成分の
損失を見越しておくことにより、得られた導電性ペース
トの固形成分含有量のずれを防ぐことができる。
【0128】また、濾過による固形成分の損失がロット
毎に変動する場合においても、通常の濾過による固形成
分の損失量より3〜4%程度高めに固形成分を添加して
おき、濾過後において、目的とする固形成分含有量とな
るように、導電性ペーストに含まれる主溶剤を添加する
ことによって、固形成分含有量を調整することも可能で
ある。
【0129】塊状物除去のために、目開きが20μm以
下の細かいフィルタを使用すると、固形成分粉末の凝集
が強い場合や、不純物が多い場合には、フィルタに詰ま
りが発生し、フィルタの寿命が極端に落ちることがあ
る。
【0130】このような問題を回避するためには、2段
以上のフィルタを用いて、多段濾過を適用することが好
ましい。このとき、多段のフィルタは互いに目開きが異
なることが好ましい。そして、最終の目的とする濾過精
度を与えるフィルタより前段に、目的とする濾過精度よ
り粗めのフィルタを少なくとも1段配置するようにすれ
ば、濾過効率が向上するとともに、固形成分の損失も最
小限に抑制でき、また、最終段のフィルタの寿命を伸ば
すこともできる。
【0131】フィルタへの第2スラリー21の液送法と
しては、ダイアフラムポンプ、バイキングポンプ、チュ
ーブポンプ、モーノポンプなどのポンプによる液送や、
圧縮空気、窒素ガスなどによるガス圧送などを適用する
ことができ、フィルタの設定耐圧を超えない範囲で適宜
選択すればよい。
【0132】以上のように、この発明に係る導電性ペー
ストの製造方法によれば、固形成分粉末表面へ均質に有
機物成分を効率良く吸着させ、固形成分粉末を良好に分
散させることができる。その結果、大きなずり速度依存
性を示すチキソトロピー流体である、この発明に係る導
電性ペーストを高品質でかつ安定的に製造することがで
きる。
【0133】
【実験例】次に、この発明に従って実施した実験例につ
いて説明する。この実験例では、グラビア印刷用導電性
ペーストを、積層セラミックコンデンサの内部導体膜を
形成するために用いた。
【0134】まず、表1および表2に示すような試料1
〜26の各々に係る導電性ペーストを作製した。表1お
よび表2ならびに後述する表3および表4において、試
料番号に*が付されている試料は、この発明の範囲外の
ものである。
【0135】表1および表2を参照して、「比率」の各
欄に記載された数値は、得られた導電性ペーストを10
0重量%としたときの各成分の重量割合を重量%で示し
たものである。
【0136】また、「固形成分1」の「成分」の欄にあ
る右側の数値は、固形成分粉末として用いたニッケル粉
末の平均一次粒径(μm)を示している。
【0137】なお、「固形成分2」の「成分」の欄にあ
る「誘電体粉末」は、BaTiO3系誘電体セラミック
粉末であり、この実験例では、0.2〜0.4μmの平
均一次粒径を有するものを用いた。
【0138】また、「樹脂成分」の「成分」の欄に示さ
れた「エチルセルロース」は、試料1〜22および25
では、重量平均分子量が10000〜200000のエ
トキシ基含有率が49.6〜53.0%のエチルセルロ
ースであり、試料23〜24では、重量平均分子量が1
0000〜200000のエトキシ基含有率が49.5
%以下のエチルセルロースである。
【0139】また、「分散剤」の「成分」の欄にある
「変性ポリアクリル酸エステル」は、試料18を除い
て、重量平均分子量が4500〜200000であり、
試料18についてのみ、重量平均分子量が3200であ
る。また、「無水マレイン酸ポリスチレン共重合体」お
よび「フタル酸エステル」は、いずれも、重量平均分子
量が4500〜200000である。
【0140】また、「ペースト製造方法」の欄に「1」
とあるのは、次のような製造方法に従って、各試料に係
る導電性ペーストを作製した。
【0141】すなわち、固形成分、分散剤、樹脂成分
(全添加量に対して1/3程度)および溶剤成分を混合
することによって、第1ミルベースを得て、これを玉石
(5mm径)とともに容積1リットルの樹脂ポット中で
調合した。この調合済みポットを一定回転速度で12時
間回転させることによって、ポットミル分散処理を行な
い、第1スラリーを得た。
【0142】次に、上記ポット中に、樹脂成分(残量)
と溶剤成分とを予め混合しておいた有機ビヒクルを添加
することによって、第2ミルベースを得て、さらに一定
速度で12時間回転させることによって、ポットミル分
散処理を行ない、第2スラリーを得た。
【0143】次に、第2スラリーを加温した状態でスラ
リー粘度が0.5Pa・s以下になるように調整した
後、目開きが20μm、10μm、5μm、3μmおよ
び最終段に金属粉末(固形成分1)の平均一次粒径の2
倍の目開きのメンブレン式フィルタを用いて、圧力1.
2kg/cm2 での濾過処理を行ない、各試料に係る導
電性ペーストを得た。
【0144】他方、「ペースト製造方法」の欄に「2」
とある試料については、次のような製造方法に従って、
試料に係る導電性ペーストを製造した。
【0145】すなわち、固形成分、分散剤、樹脂成分
(全添加量に対して1/3程度)および溶剤成分を混合
することによって、第1ミルベースを得て、これを玉石
(5mm径)とともに容積1リットルの樹脂ポット中で
調合した。この調合済みポットを一定回転速度で12時
間回転させることによって、ポットミル分散処理を行な
い、第1スラリーを得た。
【0146】次に、上記ポット中に、樹脂成分(残量)
と溶剤成分とを予め混合しておいた有機ビヒクルを添加
し、さらに、溶剤成分を添加することによって、スラリ
ー粘度が0.5Pa・s以下となるように調整した第2
ミルベースを得た後、これを一定回転速度で12時間回
転させることによって、ポットミル分散処理を行ない、
第2スラリーを得た。
【0147】次に、第2スラリーを加温した状態で、目
開きが20μm、10μm、5μm、3μmおよび最終
段に金属粉末(固形成分1)の平均一次粒径の2倍の目
開きのメンブレン式フィルタを用いて、圧力1.2kg
/cm2 での濾過処理を行ない、第3スラリーを得た。
【0148】次に、第3スラリーを、2×10-2MPa
の減圧下で45℃に加熱して溶剤の一部を除去するよう
に減圧蒸留して、試料に係る導電性ペーストを得た。
【0149】試料23については、固形成分、樹脂成分
と溶剤成分とを予め混合した有機ビヒクル、および分散
剤を、すべて一度に混合した後、ケーキミキサーで攪拌
し、次いで、3本ロールで分散処理を行なって、導電性
ペーストを作製したものである。
【0150】また、試料24〜26については、固形成
分、樹脂成分、分散剤および溶剤成分を、すべて一度に
混合した後、ボールミルおよびアトライターを用いて、
分散させ練り合わせて、各試料に係る導電性ペーストを
作製したものである。
【0151】
【表1】
【0152】
【表2】
【0153】次に、表1および表2に示した各試料に係
る導電性ペーストについて、表3および表4に示すよう
な各項目についての評価を行なった。
【0154】より詳細には、各試料に係る導電性ペース
トについて、0.1(s-1)および0.02(s-1)の
ずり速度が加わったときの粘度を、25±5℃の環境下
で、ずり速度制御方式の回転式粘度測定機により測定し
た。その結果が、表3および表4の「粘度」の欄に示さ
れている。
【0155】また、上述の「粘度」の測定結果から、粘
度変化を、 粘度変化=(ずり速度0.02・s-1での粘度η0.02
/(ずり速度0.1・s -1での粘度η0.1 ) の式に基づいて求めた。その結果が、表3および表4の
「粘度変化」の欄に示されている。
【0156】また、固形成分の沈降状態を確認するた
め、作製直後の導電性ペーストを試験管に詰め、静止状
態のまま24時間放置した後、目視により固形成分粉末
(ニッケル粉末)の沈降度合いを評価した。その結果
が、表3および表4における「固形成分粉末の沈降」の
欄に示され、「○」は、沈降が生じなかったことを示
し、「×」は、沈降が生じたことを示している。
【0157】また、各試料に係る導電性ペーストのグラ
ビア印刷適性について、次のように評価した。
【0158】まず、ポリエチレンテレフタレートからな
るフィルム上に、厚み5.0μm以下のセラミックグリ
ーンシートを成形した。また、グラビア印刷には、市販
の包装用材用途に用いられるグラビア印刷機を用い、グ
ラビア印刷用の版胴には、印刷面積中にチップパターン
が数千個得られる形状のグラビア版を用いた。
【0159】次に、上述のセラミックグリーンシート上
に、厚みが1μmとなる所定の印刷条件を適用しなが
ら、各試料に係る導電性ペーストを印刷した。
【0160】次に、上述の各試料に係る導電性ペースト
の印刷によって形成された印刷塗膜の表面粗さを測定し
た。その結果、表3および表4において、「表面粗さ」
の欄に示されている。なお、平均一次粒径0.2μm以
外の粒径を有するニッケル粉末を用いた試料1〜4につ
いては、表面粗さの測定を行なわなかった。
【0161】また、導電性ペーストを印刷したセラミッ
クグリーンシートを100枚積層して、所定の条件で加
圧した後、所定の寸法にカットし、積層セラミックコン
デンサのための生の積層体を得た。次に、生の積層体
を、所定の温度にて焼成し、さらに外部電極を焼き付け
によって形成し、試料となる積層セラミックコンデンサ
を得た。
【0162】このようにして得られた各試料に係る積層
セラミックコンデンサについて、所定の電圧を印加しな
がら絶縁抵抗を測定した。この絶縁抵抗の測定結果か
ら、絶縁抵抗値が1×109 Ω以下のものを不良と判定
して、不良発生率を求めた。その結果が、表3および表
4において、「絶縁抵抗不良発生率」の欄に示されてい
る。
【0163】
【表3】
【0164】
【表4】
【0165】表3および表4から明らかなように、この
発明の範囲内にある導電性ペーストによれば、固形成分
粉末の沈降が生じず、印刷塗膜の表面粗さが1.0〜
1.4μmと平滑で許容範囲にあり、また、絶縁抵抗不
良発生率が1.1%以下と低く、いずれも優れた結果が
得られた。
【0166】これは、表1および表2に示すように、
「ペースト製造方法」として、前述したような「1」ま
たは「2」の製造方法を採用し、それによって、導電性
ペーストの分散性を優れたものとし、また、粘度変化η
0.02/η0.1 を、1.2〜3の範囲内に入るようにして
優れた印刷特性を与えるようにしたためである。
【0167】これらに対して、導電性ペーストの組成に
ついて、この発明の範囲外にある試料5、9、10、1
3、14および17では、「ペースト製造方法」とし
て、「1」を採用したにも関らず、表3および表4に示
すように、粘度変化η0.02/η 0.1 が1.2〜3の範囲
から外れたり、金属粉末のような固形成分粉末の沈降が
生じたりし、そのため、表面粗さが大きくなり、許容範
囲から外れたり、絶縁抵抗不良発生率が高くなったりす
るといった不具合が確認された。
【0168】試料18は、分散剤として、重量平均分子
量が4500未満の変性ポリアクリル酸エステルを用い
たため、重量平均分子量が4500以上の変性ポリアク
リル酸エステルを用いた場合と比較して、表面粗さおよ
び絶縁抵抗不良発生率がやや劣るが、実用上問題のない
レベルである。
【0169】また、試料23〜26は、前述したよう
に、「ペースト製造方法」として「一括混合」を採用し
た比較例である。これら試料23〜26では、表2に示
すように、導電性ペーストの組成比率については、この
発明の範囲内にある。
【0170】しかしながら、これら試料のうち、試料2
3、24および26では、樹脂成分として、エトキシ基
含有率が49.5%以下のエチルセルロースまたはアク
リル樹脂を用いたので、粘度変化η0.02/η0.1 がこの
発明の範囲の上限である3を超え、0.02(s-1)と
いった低ずり速度域での粘度上昇を抑制することができ
なかった。そのため、表面粗さが大きく、また、絶縁抵
抗不良発生率も高かった。
【0171】また、試料25は、樹脂成分としてエトキ
シ基含有率が49.6%以上のエチルセルロースを用い
たが、ペースト製造方法として「一括混合」を採用した
ため、低ずり速度域での粘度上昇を抑制することができ
なかった。
【0172】なお、試料26については、ずり速度0.
1(s-1)での粘度が1Pa・s未満であり、金属粉末
のような固形成分粉末の沈降が生じ、このことも、表面
粗さおよび絶縁抵抗不良発生率が劣る結果となった原因
であるとも考えられる。
【0173】以上の実験例では、固形成分1(金属粉
末)としてニッケル粉末を用いたが、銅等の他の卑金属
粉末についても、あるいは、銀、パラジウムなどの貴金
属粉末を用いた場合についても、実質的に同様の結果が
得られることが確認されている。
【0174】以上、この発明を、積層セラミックコンデ
ンサの内部導体膜の形成に用いるグラビア印刷用導電性
ペーストについて説明したが、この発明に係るグラビア
印刷用導電性ペーストは、このような用途に限定される
ものではなく、たとえば、多層セラミック基板等の積層
セラミック電子部品に備える内部導体膜をグラビア印刷
によって形成するための導電性ペーストとしても適用す
ることができる。
【0175】
【発明の効果】以上のように、この発明に係るグラビア
印刷用導電性ペーストによれば、ずり速度0.1
(s-1)での粘度が1Pa・s以上であるチキソトロピ
ー流体であるので、比較的低いずり速度域では金属粉末
を含む固形成分の沈降を防止できる粘度を保持し、印刷
時には導電性ペーストに加わる比較的高いずり速度で粘
度低下し流動性を向上させることができるので、グラビ
ア印刷において高速での安定した連続印刷性が得られ、
良好な生産効率をもって、積層セラミックコンデンサの
ような積層セラミック電子部品を製造することができ
る。
【0176】また、この発明に係るグラビア印刷用導電
性ペーストには、樹脂成分として、エトキシ基含有率が
49.6%以上のエチルセルロースを用いているので、
ずり速度0.1(s-1)での粘度をη0.1 としたとき、
ずり速度0.02(s-1)での粘度η0.02が、η0.1 ×
1.2≦η0.02≦η0.1 ×3の式で表わされる条件を満
たすようにでき、金属粉末の表面への有機成分による吸
着層間の相互作用をコントロールして、0.02〜0.
1(s-1)のずり速度域での粘度上昇範囲をコントロー
ルすることができる。その結果、導電性ペーストのレベ
リング性が向上するため、平滑性に優れた印刷塗膜を得
ることができ、薄層化かつ多層化に対応可能な内部導体
膜をグラビア印刷により形成することができる。
【0177】この発明において、導電性ペーストに含ま
れる固形成分がセラミック粉末を含むと、積層セラミッ
ク電子部品のための生の積層体を焼成するとき、内部導
体膜とセラミック層との収縮挙動の差による剥がれやク
ラック等の構造欠陥を生じにくくすることができる。
【0178】この発明に係る導電性ペーストにおいて、
固形成分として含まれる金属粉末がニッケルのような卑
金属を含む粉末である場合には、貴金属からなる粉末を
用いる場合に比べて、導電性ペーストのコストないしは
積層セラミック電子部品のコストを低減することができ
る。
【0179】導電性ペーストに含まれる金属粉末の平均
一次粒径を0.5μm以下にすると、この導電性ペース
トをもって形成される内部導体膜の薄層化および内部導
体膜に沿って形成されるセラミック層の薄層化の要求に
十分に対応することができる。
【0180】導電性ペーストに含まれるエチルセルロー
ス樹脂成分の重量平均分子量が5000以上であると、
固形成分粉末に対する樹脂成分の十分な吸着性をより確
実に得ることができる。
【0181】導電性ペーストに含まれる分散剤がアニオ
ン性分散剤を含む場合、このアニオン性分散剤が、重量
平均分子量4500以上の重合反応体であるとき、固形
成分粉末に対する分散剤の十分な吸着性をより確実に得
ることができる。
【0182】また、この発明に係る導電性ペーストの製
造方法によれば、固形成分と分散剤と溶剤成分とを含む
第1ミルベースを混合および分散処理することによっ
て、第1スラリーを得る、1次工程と、第1スラリーに
樹脂成分と溶剤成分とを混合した第2ミルベースを分散
処理することによって、第2スラリーを得る、2次工程
と、第2スラリーから1.0μm以上の塊状物を除去す
る、3次工程とを実施するようにしているので、平均一
次粒径が0.5μm以下の金属粉末であっても、このよ
うな金属粉末を含む固形成分粉末の表面に有機物成分を
効率良くかつ均質に吸着させることが容易となり、かつ
良好な分散状態を得ることが容易となるので、前述した
ようなこの発明に係る特徴ある導電性ペーストを確実に
かつ高い生産効率をもって製造することができる。
【0183】上述の3次工程の後、溶剤成分の一部を除
去することによって、導電性ペースト中の溶剤比率を調
整する、4次工程をさらに実施するようにすれば、1次
ないし3次工程で過剰な溶剤成分を添加しておくことが
でき、そのため、各ミルベースの低粘度化が可能とな
る。したがって、1次および2次工程で実施される分散
処理や3次工程で実施される塊状物除去工程の作業効率
を高めることができるとともに、これら分散処理および
塊状物除去の効率を高めることができる。
【0184】3次工程において塊状物を除去する前の第
2スラリーの粘度を、0.5Pa・s以下に調整してお
くと、塊状物除去を能率的に行なうことが可能となり、
したがって、塊状物除去のために要する時間の短縮を図
ることができる。
【0185】3次工程において、目開きが金属粉末の平
均一次粒径の2倍以上かつ20μm以下であるフィルタ
を用いると、塊状物を確実に除去しながら、金属粉末の
損失量を少なく抑えることができる。
【0186】3次工程において、2段以上の多段濾過が
適用されると、用いられるフィルタの寿命を伸ばすこと
ができるとともに、より高い濾過精度を達成することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るグラビア印刷用導電性ペースト
を用いて構成される積層セラミック電子部品の一例とし
ての積層セラミックコンデンサ1を図解的に示す断面図
である。
【図2】この発明の一実施形態による導電性ペーストの
製造方法に備える複数の工程を順次示すブロック図であ
る。
【符号の説明】
1 積層セラミックコンデンサ 2 積層体 3 誘電体セラミック層 4,5 内部導体膜 8,9 外部電極 16 第1ミルベース 17 1次工程 18 1次スラリー 19 第2ミルベース 20 2次工程 21 第2スラリー 22 3次工程 23 4次工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 昌禎 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 Fターム(参考) 5E001 AB03 AC09 AH01 AJ01 5G301 DA06 DA10 DA32 DA42 DD01

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のセラミック層および前記セラミッ
    ク層間の特定の界面に沿って延びる内部導体膜を備える
    積層セラミック電子部品における前記内部導体膜をグラ
    ビア印刷によって形成するために用いられる導電性ペー
    ストであって、 金属粉末を含む30〜70重量%の固形成分と、1〜1
    0重量%のエトキシ基含有率が49.6%以上のエチル
    セルロース樹脂成分と、0.05〜5重量%の分散剤
    と、残部としての溶剤成分とを含み、 ずり速度0.1(s-1)での粘度η0.1 が1Pa・s以
    上であり、かつずり速度0.02(s-1)での粘度η
    0.02が下式で表わされる条件を満たす、チキソトロピー
    流体である、導電性ペースト。η0.1 ×1.2≦η0.02
    ≦η0.1 ×3
  2. 【請求項2】 前記固形成分は、セラミック粉末を含
    む、請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 【請求項3】 前記金属粉末は、卑金属を含む粉末であ
    る、請求項1または2に記載の導電性ペースト。
  4. 【請求項4】 前記卑金属は、ニッケルを含む、請求項
    3に記載の導電性ペースト。
  5. 【請求項5】 前記金属粉末の平均一次粒径は、0.5
    μm以下である、請求項1ないし4のいずれかに記載の
    導電性ペースト。
  6. 【請求項6】 前記エチルセルロース樹脂成分は、重量
    平均分子量が5000以上である、請求項1ないし5の
    いずれかに記載の導電性ペースト。
  7. 【請求項7】 前記分散剤は、脂肪酸を含む、請求項1
    ないし6のいずれかに記載の導電性ペースト。
  8. 【請求項8】 前記脂肪酸は、ステアリン酸もしくはオ
    レイン酸またはこれらいずれかの金属塩である、請求項
    7に記載の導電性ペースト。
  9. 【請求項9】 前記分散剤は、アニオン性分散剤を含
    む、請求項1ないし6のいずれかに記載の導電性ペース
    ト。
  10. 【請求項10】 前記アニオン性分散剤は、重合反応体
    であり、その重量平均分子量が4500以上である、請
    求項9に記載の導電性ペースト。
  11. 【請求項11】 前記アニオン性分散剤は、カルボン
    酸、スルホン酸もしくはリン酸またはこれらいずれかの
    中和塩を有するモノマーを含む、請求項9または10に
    記載の導電性ペースト。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の導電性ペーストの製造方法であって、 前記固形成分と前記分散剤と前記溶剤成分とを含む第1
    ミルベースを混合および分散処理することによって、第
    1スラリーを得る、1次工程と、 前記第1スラリーに前記樹脂成分と前記溶剤成分とを混
    合した第2ミルベースを分散処理することによって、第
    2スラリーを得る、2次工程と、 前記第2スラリーから1.0μm以上の塊状物を除去す
    る、3次工程とを備える、導電性ペーストの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記3次工程の後、前記溶剤成分の一
    部を除去することによって、導電性ペースト中の溶剤比
    率を調整する、4次工程をさらに備える、請求項12に
    記載の導電性ペーストの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記4次工程は、加熱および減圧の少
    なくとも一方を適用して前記溶剤成分の一部を蒸発除去
    する工程を含む、請求項13に記載の導電性ペーストの
    製造方法。
  15. 【請求項15】 前記3次工程において前記塊状物を除
    去する前の前記第2スラリーの粘度は、0.5Pa・s
    以下に調整されている、請求項12または13に記載の
    導電性ペーストの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記3次工程は、目開きが前記金属粉
    末の平均一次粒径の2倍以上かつ20μm以下であるフ
    ィルタを用いて前記塊状物を除去する工程を含む、請求
    項12ないし15のいずれかに記載の導電性ペーストの
    製造方法。
  17. 【請求項17】 前記3次工程は、圧力1.5kg/c
    2 未満の加圧濾過により前記塊状物を除去する工程を
    含む、請求項12ないし16のいずれかに記載の導電性
    ペーストの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記3次工程において、2段以上の多
    段濾過が適用される、請求項12ないし17のいずれか
    に記載の導電性ペーストの製造方法。
  19. 【請求項19】 前記3次工程において、デプスタイプ
    またはサーフェスタイプのフィルタが用いられる、請求
    項12ないし18のいずれかに記載の導電性ペーストの
    製造方法。
  20. 【請求項20】 複数のセラミック層および前記セラミ
    ック層間の特定の界面に沿って延びる内部導体膜を備え
    る、積層セラミック電子部品であって、 前記内部導体膜は、請求項1ないし11のいずれかに記
    載の導電性ペーストを焼成して得られた焼結体からな
    る、積層セラミック電子部品。
  21. 【請求項21】 前記内部導体膜は、前記セラミック層
    を介して静電容量が得られるように配置され、さらに、
    前記複数のセラミック層をもって構成される積層体の外
    表面上に形成され、かつ前記静電容量を取り出すため前
    記内部導体膜の特定のものに電気的に接続される外部電
    極を備え、それによって、積層セラミックコンデンサを
    構成する、請求項20に記載の積層セラミック電子部
    品。
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