JP2003185041A - 圧力リリーフ弁 - Google Patents

圧力リリーフ弁

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JP2003185041A JP2001381275A JP2001381275A JP2003185041A JP 2003185041 A JP2003185041 A JP 2003185041A JP 2001381275 A JP2001381275 A JP 2001381275A JP 2001381275 A JP2001381275 A JP 2001381275A JP 2003185041 A JP2003185041 A JP 2003185041A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボール弁9(バルブボディ)をガイドす
る部分の形状を最適にすることにより流量に対するコモ
ンレール内の圧力勾配を低減を可能とし流量の増加にと
もなってもチャタリングが発生することがない圧力リリ
ーフ弁を提供すること。 【解決手段】 バルブガイド41の対向面41AにV溝
45やポケットなどの凹凸部43、あるいはバルブガイ
ド41に傾斜面などの凹凸部を形成し、バルブガイド4
1部分の燃料の流れを円滑にし、バルブボディ9のリフ
トにより流れ出る燃料の圧力をバルブガイド41が有効
に受けるようにすることに着目し、バルブボディ9をそ
の頂面に当接するとともにバルブスプリング13をガイ
ドするバルブガイド41を設け、バルブガイド41に、
バルブボディ9の周囲に位置して凹凸部43を環状に形
成したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧力リリーフ弁にか
かるもので、とくにガソリンエンジンやディーゼルエン
ジンなどの内燃機関の燃料供給システムないし燃料噴射
システムにおける蓄圧器(コモンレール)、その他の圧
力装置などに装備する圧力リリーフ弁に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】本出願人が提案しているコモンレールな
どに装備する圧力リリーフ弁について図11ないし図1
4にもとづき概説する。図11は、従来の内燃機関の燃
料噴射システム1の一例の概略図であって、燃料噴射シ
ステム1は、燃料タンク2と、高圧ポンプ3と、コモン
レール4と、圧力リリーフ弁5と、インジェクター6
と、を有する。
【0003】圧力リリーフ弁5は、コモンレール4内の
圧力を所定値以下に保持する安全弁として機能するとと
もに、高圧ポンプ3のコントロールバルブ(図示せず)
が故障したときの圧力制御弁としても機能する。
【0004】図12は、圧力リリーフ弁5の断面図であ
って、圧力リリーフ弁5は、バルブホルダー7と、バル
ブシート8と、ボール弁9(バルブボディ)と、バルブ
プレート10と、第1のカップ状スプリングシート11
および第2のカップ状スプリングシート12と、バルブ
スプリング13と、フィルター14と、を有する。
【0005】バルブホルダー7は、コモンレール4の内
部の高圧部側Hに向かう高圧部側端部7Aおよび外部の
低圧部側Lに向かう低圧部側端部7Bを有するもので、
その内部にバルブスプリング13、第1のカップ状スプ
リングシート11および第2のカップ状スプリングシー
ト12、バルブプレート10、ボール弁9、バルブシー
ト8を収容した状態で、低圧部側L側の閉鎖端部15に
よりその内部を密閉している。さらにバルブホルダー7
は、スナップリング16によりコモンレール4にこれを
固定し、第1のOリング17、第2のOリング18およ
びバックアップリング19によりコモンレール4の内部
の高圧部側Hとコモンレール4の外部の低圧部側Lをシ
ールしている。
【0006】バルブシート8には、ボール弁9がシート
するバルブシート面20を形成してあり、ボール弁9が
バルブシート面20からリフトしたときに、バルブシー
ト面20の高圧側の連通路21、バルブ室22および低
圧側の径方向通路23を介して高圧部側Hを大気圧の燃
料タンク2側に接続し、高圧燃料を還流可能としてあ
る。なお、バルブシート8は、バルブホルダー7にこれ
を圧入して固定するもので、バルブホルダー7に形成し
た圧入位置決め用ストッパー段部24に突き当ててこれ
を位置決めしてある。
【0007】バルブプレート10は、円錐台形状を呈
し、その頂面にボール弁9を当接し、その底面に径方向
連通溝25を形成している。径方向連通溝25は、第1
のカップ状スプリングシート11に形成した中心孔26
と連通していて、スプリング室27とバルブ室22とを
連通可能としてある。バルブプレート10は、ボール弁
9および第1のカップ状スプリングシート11とは軸方
向において所定圧力で当接するとともに、第1のカップ
状スプリングシート11に対して径方向にずれることが
できるようになっている。
【0008】第1のカップ状スプリングシート11およ
び第2のカップ状スプリングシート12は、ステンレス
材などを用いて打ち抜き加工などによりこれを薄肉に構
成することが可能であり、その間にバルブスプリング1
3を介装し、バルブホルダー7のスプリング室27内で
摺動可能であり、第1のカップ状スプリングシート11
は、ボール弁9の開弁および閉弁に応じて移動可能であ
る。第2のカップ状スプリングシート12は、閉鎖端部
15の内壁面に当接している。
【0009】低圧部側Lの閉鎖端部15は、バルブホル
ダー7の外側部末端部の径方向に延びており、その中心
部に球状押圧部材28(図中仮想線)を押し当てること
により、スプリング室27内部方向に向かって変形可能
である。この変形部15Aの程度に応じてスプリング室
27内で第2のカップ状スプリングシート12を第1の
カップ状スプリングシート11に対して位置調整可能と
し、バルブスプリング13の付勢力を調節可能である。
【0010】図13は、フィルター14の一部切欠き側
面図であって、フィルター14は、スリーブ29と、ス
リーブ29の折曲げ部に挟持したフィルターメッシュ3
0と、を有する。このフィルターメッシュ30は、スリ
ーブ29の外周部29Aおよび内周部29Bの隙間がな
い部分に挟み込まれているため、スリーブ29部分に弾
性的なゆとりがなく、剛性が大である。さらに、バルブ
ホルダー7およびバルブシート8を袋状としたため、フ
ィルター14の組立て工程においてバルブシート8の高
圧側の一方向のみからフィルター14(スリーブ29)
を圧入する必要があり、フィルター14の剛性を低減し
て、バルブシート8に過大な応力を発生しないようにす
ることが要請されている。
【0011】こうした構成の圧力リリーフ弁5におい
て、コモンレール4における高圧部側H内の圧力が異常
に高く、バルブスプリング13による開弁圧以上になっ
た場合には、バルブスプリング13の付勢力に抗してボ
ール弁9がバルブシート8のバルブシート面20からリ
フトし、高圧部側Hから、連通路21、バルブ室22、
径方向通路23を介して燃料タンク2側に圧力を逃が
す。
【0012】さらに、スプリングシートとして、単純な
構成の第1のカップ状スプリングシート11および第2
のカップ状スプリングシート12を採用するとともに、
閉鎖端部15をバルブホルダー7の内方に変形可能とし
てので、バルブスプリング13による開弁圧も容易に調
節可能である。
【0013】なお、ボール弁9に当接しているバルブプ
レート10が、ボール弁9と軸方向で一体に移動し、か
つボール弁9とともに径方向にずれることが可能である
ため、バルブシート8ないしそのバルブシート面20部
分の製造誤差さらには組立て誤差により、ボール弁9が
バルブシート8および第1のカップ状スプリングシート
11の中心軸線上に位置していなくても、ボール弁9の
バルブシート面20へのシート状態に合わせてバルブプ
レート10が径方向にずれ、ボール弁9をバルブシート
面20に確実にシートさせるとともに、燃料の噴射開始
およびその終了にともなう燃料の流れに対するボール弁
9の位置を安定にすることができる。
【0014】図14は、圧力リリーフ弁5を通る燃料の
流量Qに対するコモンレール4内の圧力Pの関係を示す
グラフであって、圧力リリーフ弁5の特性としては、そ
の開弁圧Poから流量Qが増加するにともなう圧力Pの
圧力勾配を低く押さえる必要がある。たとえば、ある流
量Q(たとえばQ1、Q2)における圧力リリーフ弁5
の開弁圧Poからの変化量△Pがより少ないことが望ま
しい。またコモンレール4内の圧力Pは、インジェクタ
ー6の作動上限界値をこえないことが望ましい。さら
に、流量Qの増加にともなって、チャタリング(自励振
動)が発生しないことが望ましい。とくに、上記圧力勾
配が大きいとチャタリングが発生しやすいという問題が
ある。
【0015】従来は、バルブプレート10の形状、第1
のカップ状スプリングシート11や第2のカップ状スプ
リングシート12とバルブホルダー7との間の間隙を小
さくして(すなわち、第1のカップ状スプリングシート
11および第2のカップ状スプリングシート12をバル
ブホルダー7内でわずかな抵抗とともに摺動するように
して)圧力勾配およびチャタリングの対策を行っていた
が、微妙な調整が必要であるという問題があり、より効
果的かつ簡単な構成が臨まれている。
【0016】なお、圧力リリーフ弁としては、特開平1
1−182242号などがある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
諸問題にかんがみなされたもので、ボール弁などバルブ
ボディをガイドする部分の形状を最適にすることにより
流量に対するコモンレール内の圧力勾配を低減を可能と
した圧力リリーフ弁を提供することを課題とする。
【0018】また本発明は、流量の増加にともなっても
チャタリングが発生することがない圧力リリーフ弁を提
供することを課題とする。
【0019】また本発明は、バルブボディのリフトにと
もなうバルブ室部分の燃料の流れを円滑にして、燃料圧
力をバルブボディのリフト作用に有効に利用することが
できるようにした圧力リリーフ弁を提供することを課題
とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ボー
ル弁などのバルブボディを受けているバルブガイドの高
圧側の面(対向面)に、V溝やポケットなどの凹凸部、
あるいはバルブガイドのバルブボディないしバルブシー
ト面に対して所定の傾斜角度を有する傾斜面などの凹凸
部を形成することにより、当該バルブガイド部分の燃料
の流れを円滑にすること、ないしはバルブボディのリフ
トにより流れ出る燃料の圧力をバルブガイドが有効に受
けることができるようにすることに着目したもので、高
圧部側に向かう高圧部側端部および低圧部側に向かう低
圧部側端部を有するバルブホルダーと、このバルブホル
ダー内に収容するバルブスプリングと、上記バルブホル
ダー内に位置するバルブシートと、上記高圧部側の流体
の圧力により上記バルブスプリングの付勢力に抗してこ
のバルブシートからリフトするバルブボディと、を有す
る圧力リリーフ弁であって、上記バルブボディをその頂
面に当接するとともに上記スプリングシートとの間に上
記バルブスプリングをガイドするバルブガイドを設ける
とともに、このバルブガイドに、上記バルブボディの周
囲に位置して凹凸部を環状に形成したことを特徴とする
圧力リリーフ弁である。
【0021】上記凹凸部は、上記バルブボディが上記バ
ルブシートからリフトした際に上記高圧部側から上記低
圧部側に向かう上記流体の流線が上記バルブガイドの部
分においてスムーズに流れるようにこれを形成すること
ができる。
【0022】上記凹凸部は、上記バルブボディが上記バ
ルブシートからリフトした際に上記高圧部側から上記低
圧部側に向かう上記流体を上記バルブガイドが有効に受
けることができるようにこれを形成することができる。
【0023】上記凹凸部は、上記バルブボディを受ける
上記バルブガイドの係合凹部とは不連続状態でこれを形
成することができる。
【0024】上記凹凸部は、上記バルブボディを受ける
上記バルブガイドの係合凹部とは連続状態でこれを形成
することができる。
【0025】上記凹凸部は、断面V字形のV溝を有する
ことができる。
【0026】上記凹凸部は、所定深さのポケットを有す
ることができる。
【0027】上記凹凸部は、上記バルブボディが上記バ
ルブシートにシートするバルブシート面との接触部にお
ける該バルブボディの接線方向に延びている傾斜面を有
することができる。
【0028】上記傾斜面の傾斜角度は、これを40度以
上50度未満とすることができる。
【0029】本発明による圧力リリーフ弁においては、
バルブプレートにV溝やポケットあるいはバルブガイド
の流出燃料に対する傾斜角度を調整することとしたの
で、バルブシート面からリフトするボール弁などバルブ
ボディの上昇にともない高圧部側からバルブガイドの対
向面あるいは傾斜面に衝突する燃料は、バルブスプリン
グの付勢力に抗して有効にバルブガイドおよびバルブボ
ディをリフトさせ、滑らかな流線を描いて、低圧側(燃
料タンク側)に流すことができる。すなわち、バルブガ
イドを収容しているバルブ室内における燃料圧力の伝搬
が、円滑であるとともに流線が滑らかで、バルブガイド
のスムーズな作動を保証することができる。したがっ
て、流量の増加にともなってもコモンレール内の圧力が
圧力リリーフ弁の開弁圧からそれほど上昇せず、圧力勾
配を低く押さえることができる。さらに、バルブボディ
ないしバルブガイドのリフトがスムーズであるため、流
量の増加にともなってもチャタリングの発生を抑制する
ことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】つぎに本発明の第1の実施の形態
による圧力リリーフ弁40を図1ないし図3にもとづき
説明する。ただし、図11ないし図14と同様の部分に
は同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。図1
は、圧力リリーフ弁40の断面図である。圧力リリーフ
弁40は、前記圧力リリーフ弁5(図12)における前
記第1のカップ状スプリングシート11を省いてバルブ
ガイド41を設け、このバルブガイド41の頂面にボー
ル弁9を当接させてある。バルブガイド41は、前記第
1のカップ状スプリングシート11および前記バルブプ
レート10に代わって、スプリングシート兼バルブプレ
ートとしてバルブスプリング13を直接受けてこれをガ
イド可能としており、バルブホルダー7の内壁面7Cと
の間にバルブ室22とスプリング室27とを連通可能な
ように間隙をあけてある。さらに、フィルター42の構
成をフィルター14(図13)と異なるものとしてあ
る。このバルブガイド41およびフィルター42の部分
以外の構成は、既述の圧力リリーフ弁5(図12)と事
実上同一である。
【0031】図2は、バルブガイド41部分の一部切欠
き拡大断面図であって、バルブガイド41のバルブ室2
2側の対向面41A(すなわち高圧部側Hの連通路21
およびバルブシート面20部分から流れ出てくる燃料に
対向する面)には、凹凸部43を形成してある。
【0032】この凹凸部43は、上記対向面41Aの平
坦部およびV溝45を有する。V溝45は、ボール弁9
を受けているバルブガイド41の係合凹部44より外周
側に、係合凹部44とは不連続状態で所定深さおよび幅
の環状にこれを形成してある。このV溝45は、バルブ
ガイド41のバルブ室22側において任意の位置に、任
意の大きさでこれを形成することができるが、バルブシ
ート8のバルブシート面20からリフトしたボール弁9
の外周縁部に向かう方向に開口していることが望まし
い。
【0033】こうした構成の圧力リリーフ弁40におい
て、コモンレール4内の圧力勾配を低減し、かつコモン
レール4内の圧力が高圧になって、バルブスプリング1
3の付勢力に抗してバルブシート面20からボール弁9
がリフトしたときに、チャタリングの発生を抑制するこ
とができる。すなわち、図3は、V溝45部分において
ボール弁9がバルブシート面20からわずかにリフトし
た状態における流体の流れのシミュレーション結果を示
す一部切欠き拡大斜視図であって、概略的に描いた燃料
の流線が示すように、ボール弁9とバルブシート面20
との間から流れ出る流体(燃料)が対向面41Aないし
凹凸部43におけるV溝45にも流れ込み、流れの方向
が変化してバルブ室22から径方向通路23にスムーズ
に流れてゆく。
【0034】連通路21からバルブ室22に向かって流
れ出る燃料の一部は、その流れの方向に対して垂直に位
置しているバルブガイド41の対向面41Aに衝突する
ことになるが、燃料の圧力がV溝45の存在によりバル
ブガイド41に有効に作用し、バルブガイド41および
ボール弁9のリフトを効率よく行って圧力勾配を低減す
るとともに、流線の円滑さによって連通路21からバル
ブ室22および径方向通路23方向への流れの乱れが抑
制される結果、ボール弁9がバルブシート面20あるい
は係合凹部44に振動するように衝突するチャタリング
の現象も低減される。
【0035】さらに、圧力リリーフ弁5(図1、図2)
における第2のカップ状スプリングシート12を削除し
たので、バルブホルダー7の内壁面7Cとの間で摺動す
る部品(第2のカップ状スプリングシート12)がなく
なり、バルブホルダー7の内径公差を大きく取ることが
でき、コストの低減、耐久性および信頼性の向上を期待
することができる。
【0036】図4は、本発明の第2の実施の形態による
圧力リリーフ弁50におけるバルブガイド41部分の一
部切欠き拡大断面図であって、圧力リリーフ弁50にお
いては、バルブガイド41の対向面41Aに凹凸部51
を形成してある。この凹凸部51は、対向面41Aの平
坦部およびポケット52を有する。ポケット52は、バ
ルブガイド41の係合凹部44に連続するように、かつ
係合凹部44を環状に囲むように、所定深さにこれを形
成してある。
【0037】このポケット52は、バルブガイド41の
バルブ室22側において任意の位置に、任意の大きさで
これを形成することができるが、バルブシート8のバル
ブシート面20からリフトしたボール弁9の外周縁部に
向かう方向に開口していることが望ましい。
【0038】こうした構成の圧力リリーフ弁50におい
ても、上述の圧力リリーフ弁40(図1、図2)におけ
ると同様に、ボール弁9とバルブシート面20との間か
ら流れ出る流体(燃料)がポケット52にも流れ込み、
流れの方向が変化してバルブ室22から径方向通路23
にスムーズに流れてゆく。
【0039】したがって、連通路21からバルブ室22
に向かって流れ出る燃料の一部は、その流れの方向に対
して垂直に位置しているバルブガイド41の対向面41
Aに衝突することになるが、燃料の圧力がポケット52
によりバルブガイド41に有効に作用し、バルブガイド
41のリフトを効率よく行って圧力勾配を低減するとと
もに、流線の円滑さによって連通路21からバルブ室2
2および径方向通路23方向への流れの乱れが抑制され
る結果、ボール弁9がバルブシート面20あるいは係合
凹部44に振動するように衝突するチャタリングの現象
も低減される。
【0040】図5は、本発明の第3の実施の形態による
圧力リリーフ弁60におけるバルブガイド41部分の一
部切欠き拡大断面図であって、圧力リリーフ弁60にお
いては、前記バルブガイド41に相当するバルブガイド
61の対向面61Aに凹凸部62を形成してある。この
凹凸部62は、対向面61Aの平坦部および傾斜面63
を有する。傾斜面63は、バルブガイド61の係合凹部
44の外周側において、これを形成し、この傾斜面63
の傾斜角度Rを40度以上50度未満にすることが望ま
しい。傾斜面63は、バルブ室22内においてボール弁
9に向かってテーパー状にこれを形成するもので、バル
ブシート面20にシートしているボール弁9のバルブシ
ート面20との接触部におけるボール弁9の接線方向す
なわち接線延長上に位置していることが望ましく、連通
路21からバルブシート面20とボール弁9との間を通
って流れ出る燃料が傾斜面63の面に沿うように直接衝
突してこれに圧力を及ぼすようにする。
【0041】こうした構成の圧力リリーフ弁60におい
ても、圧力リリーフ弁40(図1、図2)および圧力リ
リーフ弁50(図4)におけると同様に、ボール弁9と
バルブシート面20との間から流れ出る流体(燃料)
が、バルブ室22内において傾斜面63の面に直接衝突
してこれに圧力を及ぼすとともに、傾斜面63とバルブ
ホルダー7の内壁面7Cとの間にも流れ込み、流れの方
向が変化してバルブ室22から径方向通路23にスムー
ズに流れてゆく。すなわち図6は、傾斜面63部分にお
いてボール弁9がバルブシート面20からわずかにリフ
トした状態における流体の流れのシミュレーション結果
を示す一部切欠き拡大断面図であって、概略的に描いた
燃料の流線が示すように、ボール弁9とバルブシート面
20との間から流れ出る流体(燃料)が傾斜面63に沿
うように衝突し、さらに内壁面7Cに衝突し流れの方向
が変化してバルブ室22から径方向通路23にスムーズ
に流れてゆく。
【0042】したがって、連通路21からバルブ室22
に向かって流れ出る燃料の一部は、その流れの方向に対
して位置しているバルブガイド61の傾斜面63に衝突
することにより、その圧力がバルブガイド61に有効に
作用し、バルブガイド61のリフトを効率よく行って圧
力勾配を低減するとともに、流線の円滑さによって連通
路21からバルブ室22および径方向通路23方向への
流れの乱れが抑制される結果、ボール弁9がバルブシー
ト面20に振動するように衝突するチャタリングの現象
も低減される。
【0043】なお、バルブガイド61とバルブシート8
との間の間隔Dを小さく設計することにより、圧力勾配
をさらに低減することができる。
【0044】本発明においては、圧力リリーフ弁40
(図1、図2)におけるV溝45および圧力リリーフ弁
50(図4)におけるポケット52を組み合わせること
もできるし、さらに圧力リリーフ弁60(鵜5)におけ
る傾斜面63をこれらに組み合わせることもできる。な
お、V溝45あるいはポケット52に傾斜面63を組み
合わせる場合には、この傾斜面63は、ボール弁9の接
線方向にある必要はない。
【0045】図7は、圧力リリーフ弁40(図1、図
2)、圧力リリーフ弁50(図4)および圧力リリーフ
弁60(図5)に組み込まれているフィルター42の一
部切欠き側面図であって、フィルター42は、これを三
体部品としてあって、外方スリーブ64と、内方スリー
ブ65と、フィルターメッシュ30と、を有する。外方
スリーブ64と内方スリーブ65との間には隙間Sをあ
けてあり、フィルターメッシュ30は、外方スリーブ6
4の下方部において内方スリーブ65との間にこれを挟
み込んである。
【0046】したがって、フィルターメッシュ30のバ
ルブシート8への圧入部位に間隙Sがあるため、バルブ
シート8の高圧側の一方向からフィルター42を圧入す
る際に、外方スリーブ64および内方スリーブ65が適
度に弾性変形し、フィルター42の剛性を低減して、バ
ルブシート8に過大な応力を発生しないようにすること
ができる。
【0047】図8は、他の例によるフィルター66の一
部切欠き側面図であって、フィルター66は、これを二
体部品としてあって、スリーブ67と、フィルターメッ
シュ30と、を有する。スリーブ67の下部の折曲げ部
においてフィルターメッシュ30を挟持し、スリーブ6
7自体が弾性変形可能であって、フィルター66全体の
剛性を低減している。
【0048】図9は、第1の実施の形態による圧力リリ
ーフ弁40(図1、図2)のV溝45有りの場合と、V
溝45が無しの場合の変化量△Pおよびチャタリングの
有無についての実験結果を記載した図表である。チャタ
リングはいずれの場合にも発生しないが、V溝45有り
の場合には、変化量△Pが0〜40リットル/時間ま
で、および0〜80リットル/時間までの流量Qに対し
て、V溝45無しの場合より小さく、圧力勾配が低減し
ていることがわかる。
【0049】つぎに図10は、第3の実施の形態による
圧力リリーフ弁60(図5)の傾斜面63の傾斜角度R
を変化させた場合の変化量△Pおよびチャタリングの有
無についての実験結果を記載した図表である。傾斜面6
3の傾斜角度Rが50度および60度のように50度を
こえるとチャタリングが発生し、30度では0〜80リ
ットル/時間までの流量Qに対する変化量△Pが大きく
なって圧力勾配が大きくなること、および傾斜角度Rが
40度〜50度未満の場合には、変化量△Pが小さく、
圧力勾配が低減していることがわかる。
【0050】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、バルブボ
ディをガイドするバルブガイドにV溝やポケットあるい
は傾斜面などの凹凸部を形成したので、バルブガイドが
流体の圧力を受ける表面積を大きくして、流体による圧
力を有効に作用させ、コモンレールにおける圧力勾配を
低減し、圧力リリーフ弁ないし圧力制御弁としての性能
を向上させ、低コストで、耐久性および信頼性を向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による圧力リリーフ
弁40の断面図である。
【図2】同、バルブガイド41部分の一部切欠き拡大断
面図である。
【図3】同、V溝45部分においてボール弁9がバルブ
シート面20からわずかにリフトした状態における流体
の流れのシミュレーション結果を示す一部切欠き拡大斜
視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態による圧力リリーフ
弁50におけるバルブガイド41部分の一部切欠き拡大
断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態による圧力リリーフ
弁60におけるバルブガイド41部分の一部切欠き拡大
断面図である。
【図6】同、傾斜面63部分においてボール弁9がバル
ブシート面20からわずかにリフトした状態における流
体の流れのシミュレーション結果を示す一部切欠き拡大
断面図である。
【図7】圧力リリーフ弁40(図1、図2)、圧力リリ
ーフ弁50(図4)および圧力リリーフ弁60(図5)
に組み込まれているフィルター42の一部切欠き側面図
である。
【図8】他の例によるフィルター66の一部切欠き側面
図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態による圧力リリーフ
弁40(図1、図2)のV溝45有りの場合と、V溝4
5が無しの場合の変化量△Pおよびチャタリングの有無
についての実験結果を記載した図表である。
【図10】本発明の第3の実施の形態による圧力リリー
フ弁60(図5)の傾斜面63の傾斜角度Rを変化させ
た場合の変化量△Pおよびチャタリングの有無について
の実験結果を記載した図表である。
【図11】従来の内燃機関の燃料噴射システム1の一例
の概略図である。
【図12】同、圧力リリーフ弁5の断面図である。
【図13】同、フィルター14の一部切欠き側面図であ
る。
【図14】圧力リリーフ弁5を通る燃料の流量Qに対す
るコモンレール4内の圧力Pの関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 燃料噴射システム(図11) 2 燃料タンク 3 高圧ポンプ 4 コモンレール(蓄圧器) 5 圧力リリーフ弁 6 インジェクター 7 バルブホルダー 7A バルブホルダー7の高圧部側端部 7B バルブホルダー7の低圧部側端部 7C バルブホルダー7の内壁面(図5) 8 バルブシート 9 ボール弁(バルブボディ) 10 バルブプレート 11 第1のカップ状スプリングシート 12 第2のカップ状スプリングシート 13 バルブスプリング 14 フィルター 15 閉鎖端部 15A 閉鎖端部15の変形部 16 スナップリング 17 第1のOリング 18 第2のOリング 19 バックアップリング 20 バルブシート面 21 高圧側の連通路 22 バルブ室 23 低圧側の径方向通路 24 圧入位置決め用ストッパー段部 25 径方向連通溝 26 中心孔 27 スプリング室 28 球状押圧部材 29 スリーブ(図13) 29A スリーブ29の外周部 29B スリーブ29の内周部 30 フィルターメッシュ 40 圧力リリーフ弁(第1の実施の形態、図1、図
2) 41 バルブガイド 41A バルブガイド41の対向面 42 フィルター 43 凹凸部 44 係合凹部 45 環状のV溝 50 圧力リリーフ弁(第2の実施の形態、図4) 51 凹凸部 52 ポケット 60 圧力リリーフ弁(第3の実施の形態、図5) 61 バルブガイド 61A バルブガイド61の対向面 62 凹凸部 63 傾斜面 64 外方スリーブ(図7) 65 内方スリーブ(図7) 66 フィルター(図8) 67 スリーブ H コモンレール4の内部の高圧部側 L コモンレール4の外部の低圧部側 Q 燃料の流量 P コモンレール4内の圧力 Po 圧力リリーフ弁5の開弁圧 △P ある流量Qにおける圧力リリーフ弁5の開弁圧P
oからの変化量 R 傾斜面63の傾斜角度(図5) D バルブガイド61とバルブシート8との間の間隔
(図5) S 間隙(図7)
フロントページの続き (72)発明者 穂積 悦郎 神奈川県横浜市都筑区牛久保3−9−1 株式会社ボッシュオートモーティブシステ ム横浜事業所内 (72)発明者 長岐 剛 神奈川県横浜市都筑区牛久保3−9−1 株式会社ボッシュオートモーティブシステ ム横浜事業所内 (72)発明者 前田 薫 神奈川県横浜市都筑区牛久保3−9−1 株式会社ボッシュオートモーティブシステ ム横浜事業所内 (72)発明者 ステファン マイヤー 神奈川県横浜市都筑区牛久保3−9−1 株式会社ボッシュオートモーティブシステ ム横浜事業所内 Fターム(参考) 3H059 AA08 BB12 BB37 BB38 CD05 CF14 EE01 FF13

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧部側に向かう高圧部側端部および
    低圧部側に向かう低圧部側端部を有するバルブホルダー
    と、 このバルブホルダー内に収容するバルブスプリングと、 前記バルブホルダー内に位置するバルブシートと、 前記高圧部側の流体の圧力により前記バルブスプリング
    の付勢力に抗してこのバルブシートからリフトするバル
    ブボディと、を有する圧力リリーフ弁であって、 前記バルブボディをその頂面に当接するとともに前記バ
    ルブスプリングをガイドするバルブガイドを設けるとと
    もに、 このバルブガイドに、前記バルブボディの周囲に位置し
    て凹凸部を環状に形成したことを特徴とする圧力リリー
    フ弁。
  2. 【請求項2】 前記凹凸部は、前記バルブボディが前
    記バルブシートからリフトした際に前記高圧部側から前
    記低圧部側に向かう前記流体の流線が前記バルブガイド
    の部分においてスムーズに流れるようにこれを形成した
    ことを特徴とする請求項1記載の圧力リリーフ弁。
  3. 【請求項3】 前記凹凸部は、前記バルブボディが前
    記バルブシートからリフトした際に前記高圧部側から前
    記低圧部側に向かう前記流体を前記バルブガイドが有効
    に受けることができるようにこれを形成したことを特徴
    とする請求項1記載の圧力リリーフ弁。
  4. 【請求項4】 前記凹凸部は、前記バルブボディを受
    ける前記バルブガイドの係合凹部とは不連続状態でこれ
    を形成したことを特徴とする請求項1記載の圧力リリー
    フ弁。
  5. 【請求項5】 前記凹凸部は、前記バルブボディを受
    ける前記バルブガイドの係合凹部とは連続状態でこれを
    形成したことを特徴とする請求項1記載の圧力リリーフ
    弁。
  6. 【請求項6】 前記凹凸部は、断面V字形のV溝を有
    することを特徴とする請求項1記載の圧力リリーフ弁。
  7. 【請求項7】 前記凹凸部は、所定深さのポケットを
    有することを特徴とする請求項1記載の圧力リリーフ
    弁。
  8. 【請求項8】 前記凹凸部は、前記バルブボディが前
    記バルブシートにシートするバルブシート面との接触部
    における該バルブボディの接線方向に延びている傾斜面
    を有することを特徴とする請求項1記載の圧力リリーフ
    弁。
  9. 【請求項9】 前記傾斜面の傾斜角度は、これを40
    度以上50度未満としたことを特徴とする請求項8記載
    の圧力リリーフ弁。
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