JP3940988B2 - 圧力リリーフ弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は圧力リリーフ弁にかかるもので、とくにガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関の燃料供給システムないし燃料噴射システムにおける蓄圧器(コモンレール)、その他の圧力装置などに装備する圧力リリーフ弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本出願人が提案しているコモンレールなどに装備する圧力リリーフ弁について図11ないし図14にもとづき概説する。
図11は、従来の内燃機関の燃料噴射システム1の一例の概略図であって、燃料噴射システム1は、燃料タンク2と、高圧ポンプ3と、コモンレール4と、圧力リリーフ弁5と、インジェクター6と、を有する。
【0003】
圧力リリーフ弁5は、コモンレール4内の圧力を所定値以下に保持する安全弁として機能するとともに、高圧ポンプ3のコントロールバルブ(図示せず)が故障したときの圧力制御弁としても機能する。
【0004】
図12は、圧力リリーフ弁5の断面図であって、圧力リリーフ弁5は、バルブホルダー7と、バルブシート8と、ボール弁9(バルブボディ)と、バルブプレート10と、第1のカップ状スプリングシート11および第2のカップ状スプリングシート12と、バルブスプリング13と、フィルター14と、を有する。
【0005】
バルブホルダー7は、コモンレール4の内部の高圧部側Hに向かう高圧部側端部7Aおよび外部の低圧部側Lに向かう低圧部側端部7Bを有するもので、その内部にバルブスプリング13、第1のカップ状スプリングシート11および第2のカップ状スプリングシート12、バルブプレート10、ボール弁9、バルブシート8を収容した状態で、低圧部側L側の閉鎖端部15によりその内部を密閉している。
さらにバルブホルダー7は、スナップリング16によりコモンレール4にこれを固定し、第1のOリング17、第2のOリング18およびバックアップリング19によりコモンレール4の内部の高圧部側Hとコモンレール4の外部の低圧部側Lをシールしている。
【0006】
バルブシート8には、ボール弁9がシートするバルブシート面20を形成してあり、ボール弁9がバルブシート面20からリフトしたときに、バルブシート面20の高圧側の連通路21、バルブ室22および低圧側の径方向通路23を介して高圧部側Hを大気圧の燃料タンク2側に接続し、高圧燃料を還流可能としてある。
なお、バルブシート8は、バルブホルダー7にこれを圧入して固定するもので、バルブホルダー7に形成した圧入位置決め用ストッパー段部24に突き当ててこれを位置決めしてある。
【0007】
バルブプレート10は、円錐台形状を呈し、その頂面にボール弁9を当接し、その底面に径方向連通溝25を形成している。
径方向連通溝25は、第1のカップ状スプリングシート11に形成した中心孔26と連通していて、スプリング室27とバルブ室22とを連通可能としてある。
バルブプレート10は、ボール弁9および第1のカップ状スプリングシート11とは軸方向において所定圧力で当接するとともに、第1のカップ状スプリングシート11に対して径方向にずれることができるようになっている。
【0008】
第1のカップ状スプリングシート11および第2のカップ状スプリングシート12は、ステンレス材などを用いて打ち抜き加工などによりこれを薄肉に構成することが可能であり、その間にバルブスプリング13を介装し、バルブホルダー7のスプリング室27内で摺動可能であり、第1のカップ状スプリングシート11は、ボール弁9の開弁および閉弁に応じて移動可能である。第2のカップ状スプリングシート12は、閉鎖端部15の内壁面に当接している。
【0009】
低圧部側Lの閉鎖端部15は、バルブホルダー7の外側部末端部の径方向に延びており、その中心部に球状押圧部材28(図中仮想線)を押し当てることにより、スプリング室27内部方向に向かって変形可能である。
この変形部15Aの程度に応じてスプリング室27内で第2のカップ状スプリングシート12を第1のカップ状スプリングシート11に対して位置調整可能とし、バルブスプリング13の付勢力を調節可能である。
【0010】
図13は、フィルター14の一部切欠き側面図であって、フィルター14は、スリーブ29と、スリーブ29の折曲げ部に挟持したフィルターメッシュ30と、を有する。
このフィルターメッシュ30は、スリーブ29の外周部29Aおよび内周部29Bの隙間がない部分に挟み込まれているため、スリーブ29部分に弾性的なゆとりがなく、剛性が大である。さらに、バルブホルダー7およびバルブシート8を袋状としたため、フィルター14の組立て工程においてバルブシート8の高圧側の一方向のみからフィルター14(スリーブ29)を圧入する必要があり、フィルター14の剛性を低減して、バルブシート8に過大な応力を発生しないようにすることが要請されている。
【0011】
こうした構成の圧力リリーフ弁5において、コモンレール4における高圧部側H内の圧力が異常に高く、バルブスプリング13による開弁圧以上になった場合には、バルブスプリング13の付勢力に抗してボール弁9がバルブシート8のバルブシート面20からリフトし、高圧部側Hから、連通路21、バルブ室22、径方向通路23を介して燃料タンク2側に圧力を逃がす。
【0012】
さらに、スプリングシートとして、単純な構成の第1のカップ状スプリングシート11および第2のカップ状スプリングシート12を採用するとともに、閉鎖端部15をバルブホルダー7の内方に変形可能としてので、バルブスプリング13による開弁圧も容易に調節可能である。
【0013】
なお、ボール弁9に当接しているバルブプレート10が、ボール弁9と軸方向で一体に移動し、かつボール弁9とともに径方向にずれることが可能であるため、バルブシート8ないしそのバルブシート面20部分の製造誤差さらには組立て誤差により、ボール弁9がバルブシート8および第1のカップ状スプリングシート11の中心軸線上に位置していなくても、ボール弁9のバルブシート面20へのシート状態に合わせてバルブプレート10が径方向にずれ、ボール弁9をバルブシート面20に確実にシートさせるとともに、燃料の噴射開始およびその終了にともなう燃料の流れに対するボール弁9の位置を安定にすることができる。
【0014】
図14は、圧力リリーフ弁5を通る燃料の流量Qに対するコモンレール4内の圧力Pの関係を示すグラフであって、圧力リリーフ弁5の特性としては、その開弁圧Poから流量Qが増加するにともなう圧力Pの圧力勾配を低く押さえる必要がある。
たとえば、ある流量Q(たとえばQ1、Q2)における圧力リリーフ弁5の開弁圧Poからの変化量△Pがより少ないことが望ましい。またコモンレール4内の圧力Pは、インジェクター6の作動上限界値をこえないことが望ましい。
さらに、流量Qの増加にともなって、チャタリング(自励振動)が発生しないことが望ましい。とくに、上記圧力勾配が大きいとチャタリングが発生しやすいという問題がある。
【0015】
従来は、バルブプレート10の形状、第1のカップ状スプリングシート11や第2のカップ状スプリングシート12とバルブホルダー7との間の間隙を小さくして(すなわち、第1のカップ状スプリングシート11および第2のカップ状スプリングシート12をバルブホルダー7内でわずかな抵抗とともに摺動するようにして)圧力勾配およびチャタリングの対策を行っていたが、微妙な調整が必要であるという問題があり、より効果的かつ簡単な構成が臨まれている。
【0016】
なお、圧力リリーフ弁としては、特開平11−182242号などがある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、ボール弁などバルブボディをガイドする部分の形状を最適にすることにより流量に対するコモンレール内の圧力勾配を低減を可能とした圧力リリーフ弁を提供することを課題とする。
【0018】
また本発明は、流量の増加にともなってもチャタリングが発生することがない圧力リリーフ弁を提供することを課題とする。
【0019】
また本発明は、バルブボディのリフトにともなうバルブ室部分の燃料の流れを円滑にして、燃料圧力をバルブボディのリフト作用に有効に利用することができるようにした圧力リリーフ弁を提供することを課題とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、ボール弁などのバルブボディを受けているバルブガイドの高圧側の面(対向面)に、V溝やポケットなどの凹凸部、あるいはバルブガイドのバルブボディないしバルブシート面に対して所定の傾斜角度を有する傾斜面などの凹凸部を形成することにより、当該バルブガイド部分の燃料の流れを円滑にすること、ないしはバルブボディのリフトにより流れ出る燃料の圧力をバルブガイドが有効に受けることができるようにすることに着目したもので、高圧部側に向かう高圧部側端部および低圧部側に向かう低圧部側端部を有するバルブホルダーと、このバルブホルダー内に収容するバルブスプリングと、上記バルブホルダー内に位置するバルブシートと、上記高圧部側の流体の圧力により上記バルブスプリングの付勢力に抗してこのバルブシートからリフトするバルブボディと、を有する圧力リリーフ弁であって、上記バルブボディをその頂面に当接するとともに上記スプリングシートとの間に上記バルブスプリングをガイドするバルブガイドを設けるとともに、このバルブガイドに、上記バルブボディの周囲に位置して凹凸部を環状に形成したことを特徴とする圧力リリーフ弁である。
【0021】
上記凹凸部は、上記バルブボディが上記バルブシートからリフトした際に上記高圧部側から上記低圧部側に向かう上記流体の流線が上記バルブガイドの部分においてスムーズに流れるようにこれを形成することができる。
【0022】
上記凹凸部は、上記バルブボディが上記バルブシートからリフトした際に上記高圧部側から上記低圧部側に向かう上記流体を上記バルブガイドが有効に受けることができるようにこれを形成することができる。
【0023】
上記凹凸部は、上記バルブボディを受ける上記バルブガイドの係合凹部とは不連続状態でこれを形成することができる。
【0024】
上記凹凸部は、上記バルブボディを受ける上記バルブガイドの係合凹部とは連続状態でこれを形成することができる。
【0025】
上記凹凸部は、断面V字形のV溝を有することができる。
【0026】
上記凹凸部は、所定深さのポケットを有することができる。
【0027】
上記凹凸部は、上記バルブボディが上記バルブシートにシートするバルブシート面との接触部における該バルブボディの接線方向に延びている傾斜面を有することができる。
【0028】
上記傾斜面の傾斜角度は、これを40度以上50度未満とすることができる。
【0029】
本発明による圧力リリーフ弁においては、バルブプレートにV溝やポケットあるいはバルブガイドの流出燃料に対する傾斜角度を調整することとしたので、バルブシート面からリフトするボール弁などバルブボディの上昇にともない高圧部側からバルブガイドの対向面あるいは傾斜面に衝突する燃料は、バルブスプリングの付勢力に抗して有効にバルブガイドおよびバルブボディをリフトさせ、滑らかな流線を描いて、低圧側(燃料タンク側)に流すことができる。
すなわち、バルブガイドを収容しているバルブ室内における燃料圧力の伝搬が、円滑であるとともに流線が滑らかで、バルブガイドのスムーズな作動を保証することができる。
したがって、流量の増加にともなってもコモンレール内の圧力が圧力リリーフ弁の開弁圧からそれほど上昇せず、圧力勾配を低く押さえることができる。
さらに、バルブボディないしバルブガイドのリフトがスムーズであるため、流量の増加にともなってもチャタリングの発生を抑制することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の第1の実施の形態による圧力リリーフ弁40を図1ないし図3にもとづき説明する。ただし、図11ないし図14と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、圧力リリーフ弁40の断面図である。圧力リリーフ弁40は、前記圧力リリーフ弁5(図12)における前記第1のカップ状スプリングシート11を省いてバルブガイド41を設け、このバルブガイド41の頂面にボール弁9を当接させてある。
バルブガイド41は、前記第1のカップ状スプリングシート11および前記バルブプレート10に代わって、スプリングシート兼バルブプレートとしてバルブスプリング13を直接受けてこれをガイド可能としており、バルブホルダー7の内壁面7Cとの間にバルブ室22とスプリング室27とを連通可能なように間隙をあけてある。
さらに、フィルター42の構成をフィルター14(図13)と異なるものとしてある。
このバルブガイド41およびフィルター42の部分以外の構成は、既述の圧力リリーフ弁5(図12)と事実上同一である。
【0031】
図2は、バルブガイド41部分の一部切欠き拡大断面図であって、バルブガイド41のバルブ室22側の対向面41A(すなわち高圧部側Hの連通路21およびバルブシート面20部分から流れ出てくる燃料に対向する面)には、凹凸部43を形成してある。
【0032】
この凹凸部43は、上記対向面41Aの平坦部およびV溝45を有する。V溝45は、ボール弁9を受けているバルブガイド41の係合凹部44より外周側に、係合凹部44とは不連続状態で所定深さおよび幅の環状にこれを形成してある。
このV溝45は、バルブガイド41のバルブ室22側において任意の位置に、任意の大きさでこれを形成することができるが、バルブシート8のバルブシート面20からリフトしたボール弁9の外周縁部に向かう方向に開口していることが望ましい。
【0033】
こうした構成の圧力リリーフ弁40において、コモンレール4内の圧力勾配を低減し、かつコモンレール4内の圧力が高圧になって、バルブスプリング13の付勢力に抗してバルブシート面20からボール弁9がリフトしたときに、チャタリングの発生を抑制することができる。
すなわち、図3は、V溝45部分においてボール弁9がバルブシート面20からわずかにリフトした状態における流体の流れのシミュレーション結果を示す一部切欠き拡大斜視図であって、概略的に描いた燃料の流線が示すように、ボール弁9とバルブシート面20との間から流れ出る流体(燃料)が対向面41Aないし凹凸部43におけるV溝45にも流れ込み、流れの方向が変化してバルブ室22から径方向通路23にスムーズに流れてゆく。
【0034】
連通路21からバルブ室22に向かって流れ出る燃料の一部は、その流れの方向に対して垂直に位置しているバルブガイド41の対向面41Aに衝突することになるが、燃料の圧力がV溝45の存在によりバルブガイド41に有効に作用し、バルブガイド41およびボール弁9のリフトを効率よく行って圧力勾配を低減するとともに、流線の円滑さによって連通路21からバルブ室22および径方向通路23方向への流れの乱れが抑制される結果、ボール弁9がバルブシート面20あるいは係合凹部44に振動するように衝突するチャタリングの現象も低減される。
【0035】
さらに、圧力リリーフ弁5(図1、図2)における第2のカップ状スプリングシート12を削除したので、バルブホルダー7の内壁面7Cとの間で摺動する部品(第2のカップ状スプリングシート12)がなくなり、バルブホルダー7の内径公差を大きく取ることができ、コストの低減、耐久性および信頼性の向上を期待することができる。
【0036】
図4は、本発明の第2の実施の形態による圧力リリーフ弁50におけるバルブガイド41部分の一部切欠き拡大断面図であって、圧力リリーフ弁50においては、バルブガイド41の対向面41Aに凹凸部51を形成してある。
この凹凸部51は、対向面41Aの平坦部およびポケット52を有する。ポケット52は、バルブガイド41の係合凹部44に連続するように、かつ係合凹部44を環状に囲むように、所定深さにこれを形成してある。
【0037】
このポケット52は、バルブガイド41のバルブ室22側において任意の位置に、任意の大きさでこれを形成することができるが、バルブシート8のバルブシート面20からリフトしたボール弁9の外周縁部に向かう方向に開口していることが望ましい。
【0038】
こうした構成の圧力リリーフ弁50においても、上述の圧力リリーフ弁40(図1、図2)におけると同様に、ボール弁9とバルブシート面20との間から流れ出る流体(燃料)がポケット52にも流れ込み、流れの方向が変化してバルブ室22から径方向通路23にスムーズに流れてゆく。
【0039】
したがって、連通路21からバルブ室22に向かって流れ出る燃料の一部は、その流れの方向に対して垂直に位置しているバルブガイド41の対向面41Aに衝突することになるが、燃料の圧力がポケット52によりバルブガイド41に有効に作用し、バルブガイド41のリフトを効率よく行って圧力勾配を低減するとともに、流線の円滑さによって連通路21からバルブ室22および径方向通路23方向への流れの乱れが抑制される結果、ボール弁9がバルブシート面20あるいは係合凹部44に振動するように衝突するチャタリングの現象も低減される。
【0040】
図5は、本発明の第3の実施の形態による圧力リリーフ弁60におけるバルブガイド41部分の一部切欠き拡大断面図であって、圧力リリーフ弁60においては、前記バルブガイド41に相当するバルブガイド61の対向面61Aに凹凸部62を形成してある。
この凹凸部62は、対向面61Aの平坦部および傾斜面63を有する。傾斜面63は、バルブガイド61の係合凹部44の外周側において、これを形成し、この傾斜面63の傾斜角度Rを40度以上50度未満にすることが望ましい。
傾斜面63は、バルブ室22内においてボール弁9に向かってテーパー状にこれを形成するもので、バルブシート面20にシートしているボール弁9のバルブシート面20との接触部におけるボール弁9の接線方向すなわち接線延長上に位置していることが望ましく、連通路21からバルブシート面20とボール弁9との間を通って流れ出る燃料が傾斜面63の面に沿うように直接衝突してこれに圧力を及ぼすようにする。
【0041】
こうした構成の圧力リリーフ弁60においても、圧力リリーフ弁40(図1、図2)および圧力リリーフ弁50(図4)におけると同様に、ボール弁9とバルブシート面20との間から流れ出る流体(燃料)が、バルブ室22内において傾斜面63の面に直接衝突してこれに圧力を及ぼすとともに、傾斜面63とバルブホルダー7の内壁面7Cとの間にも流れ込み、流れの方向が変化してバルブ室22から径方向通路23にスムーズに流れてゆく。
すなわち図6は、傾斜面63部分においてボール弁9がバルブシート面20からわずかにリフトした状態における流体の流れのシミュレーション結果を示す一部切欠き拡大断面図であって、概略的に描いた燃料の流線が示すように、ボール弁9とバルブシート面20との間から流れ出る流体(燃料)が傾斜面63に沿うように衝突し、さらに内壁面7Cに衝突し流れの方向が変化してバルブ室22から径方向通路23にスムーズに流れてゆく。
【0042】
したがって、連通路21からバルブ室22に向かって流れ出る燃料の一部は、その流れの方向に対して位置しているバルブガイド61の傾斜面63に衝突することにより、その圧力がバルブガイド61に有効に作用し、バルブガイド61のリフトを効率よく行って圧力勾配を低減するとともに、流線の円滑さによって連通路21からバルブ室22および径方向通路23方向への流れの乱れが抑制される結果、ボール弁9がバルブシート面20に振動するように衝突するチャタリングの現象も低減される。
【0043】
なお、バルブガイド61とバルブシート8との間の間隔Dを小さく設計することにより、圧力勾配をさらに低減することができる。
【0044】
本発明においては、圧力リリーフ弁40(図1、図2)におけるV溝45および圧力リリーフ弁50(図4)におけるポケット52を組み合わせることもできるし、さらに圧力リリーフ弁60(鵜5)における傾斜面63をこれらに組み合わせることもできる。なお、V溝45あるいはポケット52に傾斜面63を組み合わせる場合には、この傾斜面63は、ボール弁9の接線方向にある必要はない。
【0045】
図7は、圧力リリーフ弁40(図1、図2)、圧力リリーフ弁50(図4)および圧力リリーフ弁60(図5)に組み込まれているフィルター42の一部切欠き側面図であって、フィルター42は、これを三体部品としてあって、外方スリーブ64と、内方スリーブ65と、フィルターメッシュ30と、を有する。
外方スリーブ64と内方スリーブ65との間には隙間Sをあけてあり、フィルターメッシュ30は、外方スリーブ64の下方部において内方スリーブ65との間にこれを挟み込んである。
【0046】
したがって、フィルターメッシュ30のバルブシート8への圧入部位に間隙Sがあるため、バルブシート8の高圧側の一方向からフィルター42を圧入する際に、外方スリーブ64および内方スリーブ65が適度に弾性変形し、フィルター42の剛性を低減して、バルブシート8に過大な応力を発生しないようにすることができる。
【0047】
図8は、他の例によるフィルター66の一部切欠き側面図であって、フィルター66は、これを二体部品としてあって、スリーブ67と、フィルターメッシュ30と、を有する。
スリーブ67の下部の折曲げ部においてフィルターメッシュ30を挟持し、スリーブ67自体が弾性変形可能であって、フィルター66全体の剛性を低減している。
【0048】
図9は、第1の実施の形態による圧力リリーフ弁40(図1、図2)のV溝45有りの場合と、V溝45が無しの場合の変化量△Pおよびチャタリングの有無についての実験結果を記載した図表である。
チャタリングはいずれの場合にも発生しないが、V溝45有りの場合には、変化量△Pが0〜40リットル/時間まで、および0〜80リットル/時間までの流量Qに対して、V溝45無しの場合より小さく、圧力勾配が低減していることがわかる。
【0049】
つぎに図10は、第3の実施の形態による圧力リリーフ弁60(図5)の傾斜面63の傾斜角度Rを変化させた場合の変化量△Pおよびチャタリングの有無についての実験結果を記載した図表である。
傾斜面63の傾斜角度Rが50度および60度のように50度をこえるとチャタリングが発生し、30度では0〜80リットル/時間までの流量Qに対する変化量△Pが大きくなって圧力勾配が大きくなること、および傾斜角度Rが40度〜50度未満の場合には、変化量△Pが小さく、圧力勾配が低減していることがわかる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、バルブボディをガイドするバルブガイドにV溝やポケットあるいは傾斜面などの凹凸部を形成したので、バルブガイドが流体の圧力を受ける表面積を大きくして、流体による圧力を有効に作用させ、コモンレールにおける圧力勾配を低減し、圧力リリーフ弁ないし圧力制御弁としての性能を向上させ、低コストで、耐久性および信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による圧力リリーフ弁40の断面図である。
【図2】同、バルブガイド41部分の一部切欠き拡大断面図である。
【図3】同、V溝45部分においてボール弁9がバルブシート面20からわずかにリフトした状態における流体の流れのシミュレーション結果を示す一部切欠き拡大斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態による圧力リリーフ弁50におけるバルブガイド41部分の一部切欠き拡大断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態による圧力リリーフ弁60におけるバルブガイド41部分の一部切欠き拡大断面図である。
【図6】同、傾斜面63部分においてボール弁9がバルブシート面20からわずかにリフトした状態における流体の流れのシミュレーション結果を示す一部切欠き拡大断面図である。
【図7】圧力リリーフ弁40(図1、図2)、圧力リリーフ弁50(図4)および圧力リリーフ弁60(図5)に組み込まれているフィルター42の一部切欠き側面図である。
【図8】他の例によるフィルター66の一部切欠き側面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態による圧力リリーフ弁40(図1、図2)のV溝45有りの場合と、V溝45が無しの場合の変化量△Pおよびチャタリングの有無についての実験結果を記載した図表である。
【図10】本発明の第3の実施の形態による圧力リリーフ弁60(図5)の傾斜面63の傾斜角度Rを変化させた場合の変化量△Pおよびチャタリングの有無についての実験結果を記載した図表である。
【図11】従来の内燃機関の燃料噴射システム1の一例の概略図である。
【図12】同、圧力リリーフ弁5の断面図である。
【図13】同、フィルター14の一部切欠き側面図である。
【図14】圧力リリーフ弁5を通る燃料の流量Qに対するコモンレール4内の圧力Pの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 燃料噴射システム(図11)
2 燃料タンク
3 高圧ポンプ
4 コモンレール(蓄圧器)
5 圧力リリーフ弁
6 インジェクター
7 バルブホルダー
7A バルブホルダー7の高圧部側端部
7B バルブホルダー7の低圧部側端部
7C バルブホルダー7の内壁面(図5)
8 バルブシート
9 ボール弁(バルブボディ)
10 バルブプレート
11 第1のカップ状スプリングシート
12 第2のカップ状スプリングシート
13 バルブスプリング
14 フィルター
15 閉鎖端部
15A 閉鎖端部15の変形部
16 スナップリング
17 第1のOリング
18 第2のOリング
19 バックアップリング
20 バルブシート面
21 高圧側の連通路
22 バルブ室
23 低圧側の径方向通路
24 圧入位置決め用ストッパー段部
25 径方向連通溝
26 中心孔
27 スプリング室
28 球状押圧部材
29 スリーブ(図13)
29A スリーブ29の外周部
29B スリーブ29の内周部
30 フィルターメッシュ
40 圧力リリーフ弁(第1の実施の形態、図1、図2)
41 バルブガイド
41A バルブガイド41の対向面
42 フィルター
43 凹凸部
44 係合凹部
45 環状のV溝
50 圧力リリーフ弁(第2の実施の形態、図4)
51 凹凸部
52 ポケット
60 圧力リリーフ弁(第3の実施の形態、図5)
61 バルブガイド
61A バルブガイド61の対向面
62 凹凸部
63 傾斜面
64 外方スリーブ(図7)
65 内方スリーブ(図7)
66 フィルター(図8)
67 スリーブ
H コモンレール4の内部の高圧部側
L コモンレール4の外部の低圧部側
Q 燃料の流量
P コモンレール4内の圧力
Po 圧力リリーフ弁5の開弁圧
△P ある流量Qにおける圧力リリーフ弁5の開弁圧Poからの変化量
R 傾斜面63の傾斜角度(図5)
D バルブガイド61とバルブシート8との間の間隔(図5)
S 間隙(図7)
Claims (2)
- 高圧部側に向かう高圧部側端部および低圧部側に向かう低圧部側端部を有するバルブホルダーと、
このバルブホルダー内に収容するバルブスプリングと、
前記バルブホルダー内に位置するバルブシートと、
前記高圧部側の流体の圧力により前記バルブスプリングの付勢力に抗してこのバルブシートからリフトするバルブボディと、を有する圧力リリーフ弁であって、
前記バルブボディをその頂面に当接するとともに前記バルブスプリングをガイドするバルブガイドを設けるとともに、
前記バルブボディが前記バルブシートからリフトした際に前記高圧部側から前記低圧部側に向かう前記流体に対向して、このバルブガイドに、前記バルブボディの周囲に位置して断面V字形のV溝を環状に形成したことを特徴とする圧力リリーフ弁。 - 前記V溝は、前記バルブボディを受ける前記バルブガイドの係合凹部とは対向面を介して不連続状態でこれを形成したことを特徴とする請求項1記載の圧力リリーフ弁。
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