JP4454567B2 - 燃料噴射ノズル - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に記載された燃料噴射ノズルは、図6に示す様に、第1の噴孔100を開閉するインナニードル110と、第2の噴孔120を開閉するアウタニードル130とを有し、インナニードル110がアウタニードル130より先にリフトして第1の噴孔100より燃料を噴射した後、アウタニードル130がリフトして第2の噴孔120より燃料を噴射する構成である。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、簡易な構成によって噴孔からの燃料リークを確実に防止できる燃料噴射ノズルを提供することにある。
本発明は、上流側に第1の噴孔、下流側に第2の噴孔を有すると共に、第1の噴孔の上流側に第1のシート面、第1の噴孔と第2の噴孔との間に第2のシート面を形成するノズルボディと、このノズルボディの内部に往復動自在に収容され、第1の噴孔を開閉する円筒形状のアウタニードルと、このアウタニードルの内側に摺動自在に挿入され、第2の噴孔を開閉するインナニードルとを有し、アウタニードルがインナニードルに先行してリフトする燃料噴射ノズルであって、アウタニードルは、第1の噴孔を閉じる閉弁時に、第1のシート面に着座して第1の噴孔の上流側を閉じる第1ピースと、この第1ピースの先端部に取り付けられて第1ピースと一体に可動し、第2のシート面に着座して第1の噴孔の下流側を閉じる第2ピースとで構成され、第1ピースは、先端部の内周側に内径を拡大した拡大内径部が形成され、第2ピースは、拡大内径部に密着して嵌め込まれ、第1ピースより撓り性あるいは弾性が良好となる機械的性質を有していることを特徴とする。
なお、第1の噴孔の上流側と下流側とが共にシールされると、第2ピースの外周側には第1の噴孔を通じて大気圧が作用し、第2ピースの内周側には前記摺動隙間を通じて高圧が作用する。このため、第1ピースの拡大内径部に嵌め込まれた第2ピースに内周側から高圧が加わり、第2ピースを拡大内径部に押し付ける力が働く。その結果、拡大内径部と第2ピースとの間がシールされるため、拡大内径部と第2ピースとの間から燃料が漏れることを防止できる。
請求項1に記載した燃料噴射ノズルにおいて、第1ピースに形成される拡大内径部は、第1ピースの先端に向かって内径が次第に小さくなる逆テーパ形状に設けられ、第2ピースは、拡大内径部にテーパ嵌合して取り付けられることを特徴とする。
上記の構成によれば、第1ピースの拡大内径部に第2ピースをテーパ嵌合するだけの簡易な構成により、アウタニードルのリフト時、つまり第1ピースがリフトした時に、第2ピースが取り残されることなく、第1ピースと一体にリフトできる。
請求項1または2に記載した燃料噴射ノズルにおいて、アウタニードルは、第2ピースが第2のシート面に着座した後、第1ピースが第1のシート面に着座することを特徴とする。
この場合、第2ピースが第2のシート面に着座した後、第1ピースより撓り性あるいは弾性が良好な第2ピースが撓むことにより、第1ピースが第1のシート面に着座して、第1の噴孔の上流側と下流側とを液密に閉じることができる。
請求項3に記載した燃料噴射ノズルにおいて、第2ピースの内径側には、アウタニードルの閉弁時に、第2ピースの先端部が第2のシート面に沿ってシート位置を内径側へ移動できる逃げ代が確保されていることを特徴とする。
この場合、第2ピースが第2のシート面に着座した後、その第2ピースの先端部がシート面に沿ってインナニードル側(内径側)へ撓むことにより、第1ピースが第1のシート面に着座して、第1ピースと第2ピースとの着座タイミングのずれを吸収できる。
請求項1〜4に記載した何れかの燃料噴射ノズルにおいて、第2ピースは、反シート側の端部が拡大内径部に嵌め込まれる嵌合部として設けられ、その嵌合部より先端側には、拡大内径部の内周面と第2ピースの外周面との間に隙間が確保されていることを特徴とする。
この場合、第1ピースの先端部が前記隙間分だけ内側(第2ピース側)へ変形可能となるため、第1のシート面に対する第1ピースの密着度が向上する。
本実施例の燃料噴射ノズルは、例えば、ディーゼル機関用のインジェクタに用いられるもので、ノズルボディ1とニードル(後述する)とで構成される。
ノズルボディ1には、径方向の中央部を長手方向(図示上下方向)に穿設された縦孔2と、この縦孔2に通じる噴孔(第1の噴孔3と第2の噴孔4)等が設けられている。
縦孔2の下端部には、円錐状のテーパ面が形成され、更にテーパ面の下流端よりサック室2aが凹設されている。
第1の噴孔3は、テーパ面を形成しているノズルボディ1の先端壁部を貫通して設けられ、第2の噴孔4は、サック室2aを形成しているノズルボディ1の先端壁部を貫通して設けられている。つまり、第1の噴孔3の方が第2の噴孔4より図示上方(上流側)に位置している。
アウタニードル5は、縦孔2の内部に往復動自在に収容され、図示しないスプリングにより閉弁方向(図示下方)に付勢されている。このアウタニードル5は、第1の噴孔3を閉じる閉弁時に、第1の噴孔3より上流側のテーパ面(以下、第1のシート面7と呼ぶ)に着座して、第1の噴孔3の上流側を液密に閉じる第1ピース5Aと、この第1ピース5Aの先端部に取り付けられ、第1の噴孔3より下流側のテーパ面(以下、第2のシート面8と呼ぶ)に着座して、第1の噴孔3の下流側を液密に閉じる第2ピース5Bとで構成される。
なお、内シート6aの外径(シート径と呼ぶ)は、アウタニードル5の内周を摺動する摺動部6bの外径より小さく設けられている。また、シート径の上流側には、シート径と同一径の小径部6cが設けられ、この小径部6cと摺動部6bとの間にテーパ状の段差6dが設けられている。
本実施例の燃料噴射ノズルは、アウタニードル5がインナニードル6に先行してリフトする。このアウタニードル5のリフトにより、第1ピース5Aの上シート5aが第1のシート面7から離れると、燃料通路9に供給される燃料が第1の噴孔3より噴射される。この時、第2ピース5Bは、第1ピース5Aの拡大内径部10にテーパ嵌合しているため、第1ピース5Aのリフト時に取り残されることはなく、第1ピース5Aと一体にリフトする。
アウタニードル5が所定のリフト量まで到達すると、アウタニードル5に続いてインナニードル6がリフトすることにより、燃料通路9からサック室2aに流れ込んだ燃料が第2の噴孔4より噴射される。
続いて、アウタニードル5が第1の噴孔3を閉弁する。この時、図2(a)に示す様に、先ず第2ピース5Bの下シート5bが第2のシート面8に着座して第1の噴孔3の下流側を閉弁する。この時点で、第1ピース5Aの上シート5aは、未だ第1のシート面7に着座していない。
実施例1に記載した燃料噴射ノズルは、アウタニードル5の閉弁時に、第1の噴孔3の下流側が第2ピース5Bの下シート5bによって確実にシールされる。これにより、アウタニードル5とインナニードル6との間に設けられる摺動隙間と第1の噴孔3との間が液密に遮断されるため、摺動隙間を通って第1の噴孔3より燃料が漏れ出ることを防止できる。なお、アウタニードル5の閉弁時には、第2ピース5Bの下シート5bより外側には第1の噴孔3を通じて大気圧が作用し、第2ピース5Bの内周側には前記摺動隙間を通じて高圧が作用するため、第1ピース5Aの拡大内径部10に嵌め込まれた第2ピース5Bに内周側から高圧が加わり、第2ピース5Bを拡大内径部10に押し付ける力が働く。その結果、拡大内径部10と第2ピース5Bとの間がシールされるため、拡大内径部10と第2ピース5Bとの間から燃料が漏れることはない。
この場合、アウタニードル5自体にバネ構造を持たせるための複雑な加工を行う必要がなく、撓り性あるいは弾性を有する第2ピース5Bを第1ピース5Aの拡大内径部10に嵌め込むだけの簡易な構成によって燃料リークを防止できるので、先の公知技術(特許文献1)と比較して安価であり、且つ耐久性にも優れた燃料噴射ノズルを提供できる。
この実施例2に示す燃料噴射ノズルは、図3に示す様に、インナニードル6の内シート6aが摺動部6bと同一径に設けられる一例である。この場合、アウタニードル5の第2ピース5Bは、第1ピース5Aの拡大内径部10にテーパ嵌合する嵌合部の内径(第1ピース5Aの内径と同一)より、先端側の内径の方が大きく設けられている。これにより、第2ピース5Bの先端側の内周面とインナニードル6の外周面との間に、アウタニードル5とインナニードル6との摺動隙間より大きな隙間Aが確保される。その結果、インナニードル6の内シート6aが摺動部6bと同一径に設けられる構成であっても、第2ピース5Bの下シート5bが第2のシート面8に着座した後、第1ピース5Aの上シート5aが第1のシート面7に着座する際に、第2ピース5Bの先端部が内側(インナニードル6側)へ撓むことができる。
これにより、実施例1と同じく、第1ピース5Aの上シート5aが第1のシート面7に着座するタイミングより、第2ピース5Bの下シート5bが第2のシート面8に着座するタイミングを早く設定することで、両者の着座タイミングのずれを吸収でき、第1の噴孔3の上流側と下流側とを確実に閉じることができる。
この実施例3では、図5に示す様に、第2ピース5Bの反シート側の端部(図示上端部)を第1ピース5Aの拡大内径部10にテーパ嵌合する嵌合部として設け、この嵌合部より先端側には、拡大内径部10の内周面と第2ピース5Bの外周面との間に隙間Bを設けている。
この場合、第1ピース5Aの先端部が前記隙間B分だけ内側(第2ピース5B側)へ変形可能となるため、第1のシート面7に対する上シート5aの密着度が向上する。
3 第1の噴孔
4 第2の噴孔
5 アウタニードル
5A 第1ピース
5B 第2ピース
6 インナニードル
7 第1のシート面
8 第2のシート面
10 第1ピースの拡大内径部
B 拡大内径部の内周面と第2ピースの外周面との間の隙間
Claims (5)
- 上流側に第1の噴孔、下流側に第2の噴孔を有すると共に、前記第1の噴孔の上流側に第1のシート面、前記第1の噴孔と前記第2の噴孔との間に第2のシート面を形成するノズルボディと、
このノズルボディの内部に往復動自在に収容され、前記第1の噴孔を開閉する円筒形状のアウタニードルと、
このアウタニードルの内側に摺動自在に挿入され、前記第2の噴孔を開閉するインナニードルとを有し、
前記アウタニードルが前記インナニードルに先行してリフトする燃料噴射ノズルであって、
前記アウタニードルは、前記第1の噴孔を閉じる閉弁時に、前記第1のシート面に着座して前記第1の噴孔の上流側を閉じる第1ピースと、この第1ピースの先端部に取り付けられて前記第1ピースと一体に可動し、前記第2のシート面に着座して前記第1の噴孔の下流側を閉じる第2ピースとで構成され、
前記第1ピースは、先端部の内周側に内径を拡大した拡大内径部が形成され、
前記第2ピースは、前記拡大内径部に密着して嵌め込まれ、前記第1ピースより撓り性あるいは弾性が良好となる機械的性質を有していることを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項1に記載した燃料噴射ノズルにおいて、
前記第1ピースに形成される前記拡大内径部は、前記第1ピースの先端に向かって内径が次第に小さくなる逆テーパ形状に設けられ、前記第2ピースは、前記拡大内径部にテーパ嵌合して取り付けられることを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項1または2に記載した燃料噴射ノズルにおいて、
前記アウタニードルは、前記第2ピースが前記第2のシート面に着座した後、前記第1ピースが前記第1のシート面に着座することを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項3に記載した燃料噴射ノズルにおいて、
前記第2ピースの内径側には、前記アウタニードルの閉弁時に、前記第2ピースの先端部が前記第2のシート面に沿ってシート位置を内径側へ移動できる逃げ代が確保されていることを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項1〜4に記載した何れかの燃料噴射ノズルにおいて、
前記第2ピースは、反シート側の端部が前記拡大内径部に嵌め込まれる嵌合部として設けられ、その嵌合部より先端側には、前記拡大内径部の内周面と前記第2ピースの外周面との間に隙間が確保されていることを特徴とする燃料噴射ノズル。
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